(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体管に接続された仕切弁の上流側部位に、前記流体管に形成されている貫通孔に連通し、且つ、前記流体管に対して弾性シール材で密封状態に外装固定される分割構造の機器本体を備えた既設の流体機器が設けられている流体輸送経路において、前記既設の流体機器を、前記貫通孔を閉塞した状態で前記流体管に対して溶接で外装固定される流体機材に置き替える流体機器布設替え工法であって、下記の(イ)〜(ホ)工程を備える。
(イ)前記仕切弁に、前記流体管における前記既設の流体機器よりも上流側の管路閉塞予定位置にまで挿入可能で、且つ、先端側にゴムの膨張操作によって流路を閉塞する膨張閉塞手段を備えた流路閉塞装置を連結する工程、
(ロ)前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による前記流体管の流路閉塞部位又は当該流路閉塞部位と前記既設の流体機器の外装固定箇所との間の前記流体管に、前記流体管を冷却する冷却装置を外装する工程、
(ハ)前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段で前記流体管の流路閉塞部位を閉塞した状態で、前記既設の流体機器の一部又は全部を撤去する工程、
(ニ)前記流体管において前記冷却装置が外装された部位を前記冷却装置で冷却し、前記流体機材を、前記貫通孔を閉塞した状態で前記流体管に溶接により密封状態で外装固定する工程、
(ホ)前記流路閉塞装置及び前記冷却装置を撤去する工程。
前記(ハ)の工程において、前記既設の流体機器の一部又は全部を撤去して、前記流体機材としての別の流体機器を構成する分割構造の機器本体を前記流体管に外装状態で構築し、
前記(ニ)の工程において、前記冷却装置が外装された部位を前記冷却装置で冷却し、前記流体管に構築された前記別の流体機器の機器本体を、前記流体管に溶接により密封状態で外装固定して、溶接された前記別の流体機器の機器本体に、残りの機器構成部材を密封状態で組付けて前記別の流体機器を構築する請求項1に記載の流体機器布設替え工法。
前記流体機材としての別の流体機器における機器本体には、前記流体管の貫通孔と連通する管状部が設けられており、前記管状部の内面に設けられたネジ部に、前記流体管の貫通孔を密封する密封手段を外部から操作可能な状態で保持するプラグを密封状態で螺合装着し、溶接された前記別の流体機器の機器本体の内面と前記流体管の外周面との間において、前記プラグと前記密封手段とで密封される閉鎖空間内に圧力流体を供給して密封試験を行ったのち、前記プラグと前記密封手段とを撤去し、前記管状部のネジ部に前記残りの機器構成部材である蓋部材を密封状態で螺合装着する請求項2に記載の流体機器布設替え工法。
前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による流路閉塞部位が、前記冷却装置による冷却領域のうち、前記貫通孔から遠ざかる側に偏倚した冷却部位に設定されている請求項4に記載の流体機器布設替え工法。
前記既設の流体機器が、前記仕切弁の更新時に布設された作業仕切弁であって、前記流体管に外装される機器本体としての分割構造の弁箱と、当該弁箱の弁体装着口部から脱着自在に装着される弁体を有する弁蓋とが備えられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の流体機器布設替え工法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のように、流体管に形成された貫通孔の周囲、機器本体の内面と流体管の外周面との間、及び、分割構造の機器本体同士の間は、弾性シール材により密封されているが、流体輸送経路を構成する流体管の流路内には、アンモニア等の化学物質を含む水溶液や上水等の液体が、種々の温度で通流している。
このため、既設の仕切弁装置が長期間に亘って流体管に外装装着されて、ゴム等により形成される弾性シール材が、水分、化学物質及び種々の温度等に長期間晒されると劣化して止水性が低下し、流体管内の流体が外部に漏出する虞がある。また、劣化した弾性シール材を定期的に交換する作業が必要となり、交換のための工費及び工期が必要となる問題がある。
【0006】
一方で、既設の仕切弁装置の機器本体を流体管に外装する際に、止水性が低下する虞のある弾性シール材により機器本体の内面と流体管の外周面との密封を図るのではなく、当該機器本体の内面と流体管の外周面とを直接溶接して密封することも考えられる。
【0007】
しかしながら、既設の仕切弁装置の機器本体が流体管の外周面に外装された状態でも、流体管の流路内には流体が通流しているため、当該機器本体の内面と流体管の外周面とを溶接する作業を行った際に流体管に穴等が開いてしまうと、流体管から流体が噴出する虞がある。また、穴が開かないまでも溶接作業には極度の慎重を要するため、工期が遅延する虞がある。
なお、既設の仕切弁装置の機器本体を流体管の外周面に直接溶接する際の問題は、既設の仕切弁装置の機器本体の替わりに、別の流体機器(流体機材の一例)である別の仕切弁装置の機器本体を流体管の外周面に直接溶接する場合にも同様に問題となる。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既設の流体機器を流体機材に更新し流体機材を流体管に外装した状態で、長期間に亘って流体の漏出を確実に防止でき、しかも、別の流体機器を流体管に溶接する作業を確実、簡便、迅速及び安全に行うことができる流体機器布設替え工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る流体機器布設替え工法は、流体管に接続された仕切弁の上流側部位に、前記流体管に形成されている貫通孔に連通し、且つ、前記流体管に対して弾性シール材で密封状態に外装固定される分割構造の機器本体を備えた既設の流体機器が設けられている流体輸送経路において、前記既設の流体機器を、前記貫通孔を閉塞した状態で前記流体管に対して溶接で外装固定される流体機材に置き替える流体機器布設替え工法であって、その特徴構成は、下記の(イ)〜(ホ)工程を備える点にある。
(イ)前記仕切弁に、前記流体管における前記既設の流体機器よりも上流側の管路閉塞予定位置にまで挿入可能で、且つ、先端側にゴムの膨張操作によって流路を閉塞する膨張閉塞手段を備えた流路閉塞装置を連結する工程、
(ロ)前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による前記流体管の流路閉塞部位又は当該流路閉塞部位と前記既設の流体機器の外装固定箇所との間の前記流体管に、前記流体管を冷却する冷却装置を外装する工程、
(ハ)前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段で前記流体管の流路閉塞部位を閉塞した状態で、前記既設の流体機器の一部又は全部を撤去する工程、
(ニ)前記流体管において前記冷却装置が外装された部位を前記冷却装置で冷却し、前記流体機材を、前記貫通孔を閉塞した状態で前記流体管に溶接により密封状態で外装固定する工程、
(ホ)前記流路閉塞装置及び前記冷却装置を撤去する工程。
【0010】
上記特徴構成によれば、既設の流体機器を流体機材に置き換え、当該流体機材を流体管に外装固定した状態で、長期間に亘って流体の漏出を確実に防止でき、しかも、流体機材を流体管に溶接する作業を確実、簡便、迅速及び安全に行うことができる。
【0011】
具体的には、仕切弁と当該仕切弁の上流側部位に既設の流体機器とが設けられた流体輸送経路の流体管に流体が通流している状態で、仕切弁の下流側に膨張閉塞手段を備えた流路閉塞装置を密封状態で連結し、仕切弁及び既設の流体機器を介して膨張閉塞手段の先端側のゴムを既設の流体機器の上流側である管路閉塞予定位置にまで挿入し、当該ゴムを膨張操作して、膨張閉塞手段で流体管の流路閉塞部位を閉塞することができる。
これにより、流体管内において流路閉塞部位よりも上流側では流体の通流を遮断することなく、下流側である仕切弁及び既設の流体機器が設けられている箇所では流体の通流を遮断した状態とすることができ、既設の流体機器の一部又は全部を撤去し、流体機材を、流体管の貫通孔を閉塞した状態で流体管に対して溶接で外装固定することができる。
【0012】
また、流体管を冷却する冷却装置を、流路閉塞部位又は当該流路閉塞部位と既設の流体機器の外装固定箇所との間の流体管に外装するので、少なくとも流体の通流が遮断された流路閉塞部位よりも下流側における既設の流体機器の外装固定箇所の流体管を冷却することができる。この際、冷却装置が外装された部位の下流側における流体管内には流体が通流していないので、冷却装置による冷熱を流体管を冷却するために有効に利用することができる。
【0013】
このように、流体管内の流体が遮断され且つ流体管が冷却された状態で、流体管の貫通孔に連通する箇所(既設の流体機器の外装固定箇所)における流体管の外周面に、流体機材を直接溶接して密封状態で固定することができる。
これにより、溶接により発生した熱による流体管や流体機器の温度上昇を良好に防止できるとともに、溶接作業により流体管の外周面に穴等が開いたとしても、流体管内の流体が外部に噴出することが無く、溶接作業を確実、簡便、迅速且つ安全に行うことができる。
特に、冷却装置が外装された部位或いはその上流側に、膨張操作されたゴムが流体管の内面に密着しているので、溶接により発生した熱が流体管を介して当該ゴムに伝熱することを防止でき、仮に当該熱が当該ゴムに伝熱したとしても、冷却装置による冷熱により当該ゴムを冷却することができ、ゴムによる止水性能を安定させることができる。
【0014】
さらに、流体機材を、弾性シール材を用いることなく、溶接により流体管の外周面に密封状態で確実に固定することができ、長期間に亘って流体の漏出を確実に防止できる。
【0015】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記(ハ)の工程において、前記既設の流体機器の一部又は全部を撤去して、前記流体機材としての別の流体機器を構成する分割構造の機器本体を前記流体管に外装状態で構築し、
前記(ニ)の工程において、前記冷却装置が外装された部位を前記冷却装置で冷却し、前記流体管に構築された前記別の流体機器の機器本体を、前記流体管に溶接により密封状態で外装固定して、溶接された前記別の流体機器の機器本体に、残りの機器構成部材を密封状態で組付けて前記別の流体機器を構築する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、構築された別の流体機器(流体機材の一例)の機器本体を流体管に溶接により密封状態で外装固定した後に、当該機器本体に残りの機器構成部材を密封状態で組付けるので、溶接により発生した熱による当該機器構成部材の温度上昇を良好に防止できる。
【0017】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記流体機材としての別の流体機器における機器本体には、前記流体管の貫通孔と連通する管状部が設けられており、前記管状部の内面に設けられたネジ部に、前記流体管の貫通孔を密封する密封手段を外部から操作可能な状態で保持するプラグを密封状態で螺合装着し、溶接された前記別の流体機器の機器本体の内面と前記流体管の外周面との間において、前記プラグと前記密封手段とで密封される閉鎖空間内に圧力流体を供給して密封試験を行ったのち、前記プラグと前記密封手段とを撤去し、前記管状部のネジ部に前記残りの機器構成部材である蓋部材を密封状態で螺合装着する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、流体管の貫通孔と連通する管状部が別の流体機器の機器本体に設けられており、管状部の内面に設けられたネジ部に、流体管の貫通孔を密封する密封手段を外部から操作可能な状態で保持するプラグを密封状態で螺合装着し、溶接された別の流体機器の機器本体の内面と流体管の外周面との間において、プラグと密封手段とで密封される閉鎖空間内に圧力流体を供給して密封試験を行うので、当該機器本体にプラグと密封手段とを設けるという簡便な構成で確実に密封試験を行うことができる。
特に、密封試験を行ったのちに、当該機器本体における管状部のネジ部からプラグと密封手段とを撤去し、当該ネジ部に残りの機器構成部材である蓋部材を密封状態で螺合装着するので、流体管の貫通孔を簡便に密封できるとともに、当該ネジ部を蓋部材と密封試験の際のプラグとを螺合装着するために兼用でき、当該機器本体の構成を簡便なものとすることができる。
【0019】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による前記流体管の流路閉塞部位に、前記冷却装置が外装され、
前記冷却装置による管軸芯方向での冷却領域長さが、前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による管軸芯方向での閉塞長さよりも大に構成されている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、膨張閉塞手段による流体管の流路閉塞部位に冷却装置が外装され、冷却装置による流体管の管軸芯方向での冷却領域長さが膨張閉塞手段による流体管の管軸芯方向での閉塞長さよりも大に構成されているので、膨張閉塞手段の先端に設けられて流路閉塞部位にて膨張操作されたゴムを、常に冷却装置による冷却領域内に位置させることができる。
これにより、溶接により発生した熱が流体管を介して当該ゴムに伝熱することを一層防止でき、仮に当該熱が当該ゴムに伝熱したとしても、冷却装置による冷熱により当該ゴムを一層冷却することができ、ゴムによる止水性能を一層安定させることができる。
【0021】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記流路閉塞装置の膨張閉塞手段による流路閉塞部位が、前記冷却装置による冷却領域のうち、前記貫通孔から遠ざかる側に偏倚した冷却部位に設定されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、膨張閉塞手段による流路閉塞部位が、冷却装置による冷却領域のうち、貫通孔から遠ざかる側に偏倚した冷却部位に設定されているので、貫通孔に連通する管状部を有する機器本体を流体管に溶接する際に発生した熱が、流体管を介して当該ゴムに伝熱することをより一層防止でき、仮に当該熱が当該ゴムに伝熱したとしても、冷却装置による冷熱により当該ゴムをより一層冷却することができ、ゴムによる止水性能をより一層安定させることができる。
【0023】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記別の流体機器の機器本体が、前記既設の流体機器の機器本体の主要部をもって兼用構成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、別の流体機器の機器本体が、既設の流体機器の機器本体の主要部をもって兼用構成されているので、既設の流体機器の機器本体の主要部を流体管に残置したまま、別の流体機器の機器本体以外の残りの機器構成部材を密封状態で組み付けて別の流体機器を構築することができる。
従って、既設の流体機器の機器本体を有効に利用しながら、別の流体機器に更新することができ、両流体機器を簡便な構成とし、且つ、工費の軽減及び工期の短縮を図ることができる。
【0025】
本発明に係る流体機器布設替え工法の更なる特徴構成は、前記既設の流体機器が、前記仕切弁の更新時に布設された作業仕切弁であって、前記流体管に外装される機器本体としての分割構造の弁箱と、当該弁箱の弁体装着口部から脱着自在に装着される弁体を有する弁蓋とが備えられている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、既設の流体機器が、仕切弁の更新時に布設された作業仕切弁であるので、仕切弁を更新する前に作業仕切弁の弁体により当該仕切弁の上流側の流体管内の流路を遮断することで、作業仕切弁の上流側の流体の通流は維持しながら、下流側の流体の通流を遮断して、仕切弁を別の仕切弁に更新することができる。
また、作業仕切弁は、流体管に外装される機器本体としての分割構造の弁箱と、当該弁箱の弁体装着口部から脱着自在に装着される弁体を有する弁蓋とが備えられているので、例えば、弁箱及び弁蓋の両方を撤去して、流体管の貫通孔に連通する別の流体機器の機器本体(別の作業仕切弁の弁箱)を流体管に外装状態で構築し、その後、当該機器本体(別の作業仕切弁の弁箱の弁体装着口部)に残りの機器構成部材を密封状態で組み付けて別の流体機器を構築することができ、或いは、弁蓋のみを撤去して、流体管の貫通孔に連通する別の流体機器の機器本体(既設の作業仕切弁の弁箱)を流体管に外装状態で構築し、その後、当該機器本体(既設の作業仕切弁の弁箱の弁体装着口部)に残りの機器構成部材を密封状態で組み付けて別の流体機器を構築することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
以下、
図1〜
図13に基づいて、本発明の第1実施形態に係る流体機器布設替え工法について説明する。
【0029】
図1に示すように、流体輸送経路は、少なくとも本管1と、本管1から複数分岐する流体管2とを備えており、本管1及び流体管2内の流路には、本管1から各流体管2に向かって、常温より高い温度の上水(流体の一例)Wが通流している。なお、当該流体は、アンモニア等の化学物質を含む水溶液や上水等の液体であって、種々の温度となっている液体を例示することができる。
流体管2は、鋳鉄管や鋼管等の金属製の管であり、流体管2には、本管1と連通接続される箇所よりも下流側の部位に、既設仕切弁3(仕切弁の一例)がフランジ接続されている。
既設仕切弁3は、流体管2内の流路を遮断自在な弁体3aと、流体管2の上流側フランジ部2Aにボルト4及びナット5を介して固定連結可能な上流側フランジ部3bと、流体管2の下流側フランジ部2Bにボルト4及びナット5を介して固定連結可能な下流側フランジ部3cとを備えている。
【0030】
図2に示すように、まず、本管1及び流体管2内の流体の通流を維持したままで、流体管2における本管1と既設仕切弁3との間の部位(仕切弁の上流側部位)に、作業仕切弁(既設の流体機器の一例)6を密封状態で外装固定する。なお、この段階では、後述する作業仕切弁6の弁箱7のみを流体管2に外装する。
【0031】
作業仕切弁6は、流体管2に外装される分割構造の弁箱(既設の流体機器の機器本体の一例)7と、当該弁箱7の弁体装着口部(管状部の一例)8から脱着自在に装着される弁体9を有する弁蓋10とを備えている(
図3参照)。
図2〜
図4に示すように、弁箱7は、流体管2の外周面に対して複数本のボルト11及びナット12を介して管径方向から外装自在な管周方向で上下二分割された半円筒状の分割弁箱7aと、各分割弁箱7aのうちの一つの分割弁箱7aに流体管2の径方向外方側(上方側)に突出形成される弁体装着口部8とを備えている。分割弁箱7aの半円筒状の部分において弁体装着口部8が形成された箇所には、後述する弁体9を挿通自在な挿通孔7fが貫通形成されている。
【0032】
各分割弁箱7aにおいて流体管2の外周面に外装される半円筒状の部分は、流体管2の外周面よりも若干大径の内周面を備えており、各分割弁箱7aが流体管2に外装された状態で、各分割弁箱7aの内周面と流体管2の外周面との間には、所定の隙間が形成されている。また、各分割弁箱7aのうち上側の分割弁箱7aの半円筒状の部分において、管軸芯X方向で弁体装着口部8に対して離間した位置に、当該所定の隙間と外部とを連通させ外部から密封試験用の水(圧力流体の一例)を流入可能な分水栓7gが設けられている。
各分割弁箱7aの半円筒状の部分における流体管2の管軸芯X方向の両端部には、弁体装着口部8が突出形成された部位から管軸芯X方向に沿って離間するにつれて拡径するテーパー面7eが形成されている。
また、各分割弁箱7aは、流体管2に外装された状態で、管軸芯X方向に沿う端面同士が上下方向で当接するように構成されており、各端面から上側又は下側に離間した部位から水平方向に延出する複数の連結板部7bが設けられている。連結板部7bは、各分割弁箱7aのうち、管軸芯X方向における両端部のそれぞれに一対設けられている(
図4では、各分割弁箱7aにつき4つずつ設けられている)。各連結板部7bには、ボルト11を挿通可能な上下方向に貫通する挿通孔7cが設けられている。
従って、各分割弁箱7aが、管軸芯X方向に沿う端面同士が上下方向で当接した状態で流体管2に外装されると、締付連結される連結板部7b同士は、上下方向の対向面間に所定の隙間を空けた状態で挿通孔7cに挿通されたボルト11及びナット12により締付連結されるため、側面視で、当該所定の隙間を介して分割弁箱7a同士が当接する端面が、分割弁箱7aの径方向外方側に露出するように構成されている。即ち、連結板部7b同士がボルト11及びナット12により締付固定された状態でも、当該所定の隙間を介して分割弁箱7a同士が当接する端面を、分割弁箱7aの側方から溶接することが可能に構成されている。
【0033】
更に、連結板部7bには、後述する押輪部材13を連結固定するためのボルト14を管軸芯X方向から螺合装着可能な雌ネジ部7dが形成されている。雌ネジ部7dは、各分割弁箱7aの管軸芯方向Xの両端部に設けられた一対の連結板部7bのうち、一方側の連結板部7bのみに形成されており、管軸芯X方向視で、管軸芯Xに対して対向する位置に形成されている。
【0034】
押輪部材13は、流体管2の外周面に対して複数本のボルト17を介して管径方向から水密状態で外装自在な管周方向で上下二分割された一対の分割押輪体13a(
図3では、管軸芯X方向の両側に2つずつ配置された分割押輪体13a)と、上下二分割された分割押輪体13aが流体管2に外装された状態で、各分割押輪体13aの内周面と流体管2の外周面と分割弁箱7aのテーパー面7eとの間を密封する略環状の弾性シール材13bと、管軸芯X方向への各分割押輪体13aの移動を阻止する移動阻止部13cとを備えている。
【0035】
各分割押輪体13aには、上下方向に貫通する貫通孔15と、貫通孔15に上下方向で対向する位置に形成された雌ネジ部16とが形成され、ボルト17を貫通孔15を介して雌ネジ部16に螺合することにより、上下方向に二分割された分割押輪体13aをシール材13dを介して連結固定することができる。
また、各分割押輪体13aには、連結板部7bの雌ネジ部7dに対応する箇所(雌ネジ部16の形成箇所の近傍)に、管軸芯X方向に貫通する貫通孔18が形成されており、ボルト14を貫通孔18に挿通して雌ネジ部7dに螺合することで、各分割押輪体13aを分割弁箱7aの半円筒状の部分における端部に、管軸芯X方向から連結固定することができる。
このように一対の分割押輪体13aの夫々を、分割弁箱7aの半円筒状の部分における各端部に位置させて流体管2に装着した状態では、上述のように、弾性シール材13bにより、各分割押輪体13aのテーパー状の内周面と流体管2の外周面と分割弁箱7aのテーパー面7eとの間が密封される。
更に、各分割押輪体13aには、上下方向に貫通する雌ネジ孔19が設けられており、上述のように、各分割押輪体13aを流体管2に装着した状態で、雌ネジ孔19に雄ネジ部材20を螺合することで、雄ネジ部材20の先端に形成された喰い込み爪20aが流体管2の外周面に喰い込むことにより、各分割押輪体13aが管軸芯X方向に移動することが阻止され、各分割弁箱7aの管軸芯X方向への移動も阻止される。なお、雄ネジ部材20及び雌ネジ孔19が上述の移動阻止部13cとして機能する。
【0036】
弁体装着口部8の上端部には環状鍔部8aが形成され、弁体装着口部8の内面の上方側部位には、雌ネジ部(ネジ部の一例)8bが設けられている。
【0037】
弁蓋10は、概略有底筒状に形成され、上底部にネジ軸10aが密封状態で回動自在に貫設されており、ネジ軸10aの上端部にはネジ軸10aを回動操作可能なハンドル10bが弁蓋10の外部に突出する状態で設けられ、ネジ軸10aの下端部には弁体9が螺合装着されている。また、弁蓋10の下端部には、弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合装着可能な雄ネジ部10cが形成され、雄ネジ部10cよりも更に下方側には、弁体装着口部8の内面との間を密封するOリング10dが設けられている。
弁体9は、先端部にシール部材(図示せず)を装着し流体管2内の流路を遮断することができる形状に形成され、基端部がネジ軸10aの下端部に螺合装着されている。
【0038】
よって、このような構成の作業仕切弁6を流体管2に密封状態で外装する際には、まず、流体管2における本管1と既設仕切弁3との間の部位(仕切弁の上流側部位)において、各分割弁箱7aを外装し、各分割弁箱7aの管軸芯X方向に沿う端面同士が上下方向で当接した状態で、当該端面同士を分割弁箱7aの側方から溶接して、連結板部7bの挿通孔7cに挿通されたボルト11及びナット12の連結を解除する。その後、各分割弁箱7aの半円筒状の部分における両端部に位置する流体管2に、それぞれ一対の分割押輪体13aを外装固定し、管軸芯X方向から連結固定して、移動阻止部13cにより各分割押輪体13a及び各分割弁箱7aの管軸芯X方向への移動を阻止する。
【0039】
そして、公知の構成であるので図示を省略するが、不断流且つ密封状態で、弁体装着口部8に連結固定された穿孔装置のホールソーにより分割弁箱7aの挿通孔7fを介して流体管2に円形状の穿孔口2aを穿孔形成し、穿孔装置を弁体装着口部8から撤去して、当該弁体装着口部8の雌ネジ部8bに、弁蓋10の雄ネジ部10cを螺合装着する。
その後、ハンドル10bを回転操作して、ネジ軸10aの回転により弁体9を下方に摺動させ、流体管2内の流路を遮断する(
図3参照)。
【0040】
次に、
図5に示すように、作業仕切弁6の下流側における流体管2内の流体の通流を遮断した状態で、ボルト4及びナット5を緩めて流体管2の上流側フランジ部2Aと既設仕切弁3の上流側フランジ部3bとの連結を解除し、既設仕切弁3を撤去した後、ボルト4及びナット5を介して流体管2の上流側フランジ部2Aに新設仕切弁21の上流側フランジ部21Aを連結固定する。なお、新設仕切弁21は、既設仕切弁3と略同様に構成されており、弁体21aと上流側フランジ部21Aと下流側フランジ部21Bとを備えている。
【0041】
そして、新設仕切弁21の下流側フランジ部21Bに、ボルト4及びナット5により後述する流路閉塞装置30の連結フランジ部31Aを連結固定する。
【0042】
流路閉塞装置30は、連結フランジ部31Aを備えた有底筒状の閉塞ケース31と、閉塞ケース31の底壁部31Bに、底壁部31Bの中央部を水密状態で軸芯方向(管軸芯X方向)に摺動自在に貫通する筒状の外側操作軸32と、外側操作軸32内を軸芯方向に摺動自在に貫通する内側操作軸33と、外側操作軸32及び内側操作軸33の先端側に、流体管2内の流路を遮断するための膨張閉塞手段34と、膨張閉塞手段34を外部から両操作軸32、33を介して操作する操作手段35とを備えている。
【0043】
内側操作軸33は、基端側に配置され外周面に雄ネジ部33aを有するネジ軸部33Aと、内側操作軸33の先端側に配置されてネジ軸部33Aの先端側に連結される軸部33Bとを備えている。
【0044】
膨張閉塞手段34は、外側操作軸32の先端部に、円環状の押圧面36aを備えた第1押圧板36が外嵌固定され、内側操作軸33の先端部には、第1押圧板36の押圧面36aと軸芯方向で相対向する円環状の押圧面37aを備えた第2押圧板37が外嵌固定されているとともに、両押圧板36、37の押圧面36a、37a間には、これらによる軸芯方向からの挟圧により、流体管2の内周面に密着する膨張状態に弾性変形して、両押圧板36、37間の外周部と流体管2の内周面との間を閉塞し、流体管2内の流路を遮断するゴム製の拡径用弾性体38が外装されている(
図7参照)。
【0045】
操作手段35は、外側操作軸32の基端に当接する位置において、外側操作軸32に対して相対回転自在に支持された状態で、内側操作軸33のネジ軸部33Aの雄ネジ部33aに螺合する雌ネジ部32bを有する操作ナット32Aを備えている。
従って、外側操作軸32の基端に当接する操作ナット32Aを外部から操作部材(図示せず)を用いて軸芯周りに締付回転操作すると、ネジ軸部33A及び軸部33Bが外側操作軸32に対して基端側に抜け出すように摺動し、軸部33Bの先端に外装固定された第2押圧板37の押圧面37aに対する第1押圧板36の押圧面36aの近接移動に伴う挟圧作用により、非圧縮状態にある拡径用弾性体38が流体管2の内周面に密着する膨張状態に弾性変形して、流体管2内の流路を密封状態で遮断することができる。
【0046】
また、外側操作軸32の基端部には、一対のブラケット39が一対の蝶ボルト40により固定されている。一対のブラケット39の基端側(軸芯方向で蝶ボルト40とは反対側)は、一対のブラケット39の隣接間に滑車41を配設した状態で、ボルト42及びナット43により締付支持されている。当該滑車41は、ボルト42周りで回転自在に構成されている。閉塞ケース31には、閉塞ケース31から径方向外方に突出する一対の係止リング31Cが設けられ、一方の係止リング31Cにフック部材(図示せず)を介してレバーブロック(登録商標、以下同じ)44が接続され、他方の係止リング31Cにフック部材(図示せず)が接続されて、滑車41を介してレバーブロック44と他方の係止リング31Cとに亘ってチェーン45が架け渡されている。
従って、レバーブロック44によりチェーン45を緊締側に巻き取り操作し、一対のブラケット39を介して外側操作軸32及び内側操作軸33を軸芯(管軸芯X)に沿って押込み操作し、流体管2内の流体圧に抗して閉塞手段34を流体管2内にまで挿入することができる。つまり、一対のブラケット39、蝶ボルト40、滑車41、レバーブロック44、チェーン45等が操作手段35として機能する。
【0047】
続いて、
図6及び
図7に示すように、本管1と作業仕切弁6との間の流体管2に、流体管2を冷却する冷却装置50を外装する。
【0048】
冷却装置50は、管周方向で複数(
図6では、上下方向に二つ)に分割され、流体管2にシール材51を介して密封状態で外装可能な分割体50Aを備え、管周方向で隣り合う分割体50A同士が連結手段(図示せず)により締付け連結される。
各分割体50Aを流体管2に外装した状態では、各分割体50Aの内周面と流体管2の外周面との間には所定の隙間が形成されて、円環状の空間Sが形成される。各分割体50Aの内周面における管軸芯X方向の両端部には、円環状の溝部51aが形成され、当該溝部51aに環状のシール材51が装着されている。なお、各分割体50Aのその他の接合部位も図示しないシール材により密封されている。
下側の分割体50Aには当該円環状の空間Sと外部とを連通する導入口部52が貫通形成され、上側の分割体50Aには、当該円環状の空間Sと外部とを連通する導出口部53が貫通形成されており、冷却水源(図示せず)から導入口部52を介して冷却水Cを当該円環状の空間Sに供給し導出口部53を介して外部に排出することができるように構成されている。なお、冷却水Cの温度は、常温より高い温度の上水よりも低い温度に設定されている。
従って、当該冷却装置50により冷却水Cを円環状の空間Sに連続供給することにより、冷却装置50の装着された領域を冷却領域Aとすることができる。
【0049】
次に、
図6に示すように、作業仕切弁6を開弁操作して流体管2内の流路の遮断を解除し、流路閉塞装置30の膨張閉塞手段34を新設仕切弁21及び作業仕切弁6を介して、当該作業仕切弁6よりも上流側の流路閉塞部位(本実施形態では、管軸芯X方向における冷却領域Aの中央部近傍)にまで挿入する。その後、
図7に示すように、膨張閉塞手段34を膨張変形させて流路閉塞部位における流体管2内を閉塞する。なお、冷却領域Aの長さは、膨張閉塞手段による管軸芯X方向での閉塞長さよりも大に構成されている。
この状態では、流路閉塞部位の下流側における流体管2の流路内には上水Wが存在していないので、冷却領域Aよりも下流側の流体管2がより一層効率よく冷却され、当該冷却領域A内の流体管2の内面に密着する膨張閉塞手段34の膨張操作された拡径用弾性体38(ゴム)が、冷却装置50による冷熱により良好に冷却され、当該拡径用弾性体38(ゴム)の止水性能が安定する。
【0050】
続いて、作業仕切弁6の各分割弁箱7a及び各分割押輪体13aを流体管2に残置した状態で、上側の分割弁箱7aの弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合されている弁蓋10の雄ネジ部10cの螺合を解除し、弁体9とともに弁蓋10(既設の流体機器の一部の一例)を撤去する。
【0051】
そして、
図8に示すように、作業仕切弁6から各分割押輪体13aを弾性シール材13bとともに撤去し、流体管2に対して後述する密封手段62により分割弁箱7aを位置決めした状態で、各分割弁箱7aの半円筒状の部分における流体管2の管軸芯X方向の両端部に形成されたテーパー面7eと流体管2の外周面との間を、流体管2の外周面の全周に亘って溶接により密封固定する(
図8、
図10〜
図13参照)。
【0052】
次に、溶接された分割弁箱7aが流体管2に対して確実に密封されているか否かを、密封試験装置60を用いて試験する。
【0053】
密封試験装置60は、
図9及び
図10に示すように、外周面に形成された雄ネジ部61aを弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合可能な円環状のプラグ61と、プラグ61の中心部に上下方向に貫通形成された貫通孔61bを介して外部から操作可能で、流体管2の穿孔口2aを閉塞自在な密封手段62とを備えている。
プラグ61の外周面には、雄ネジ部61aよりも先端側に、弁体装着口部8の内面との間を密封するOリング61fを装着するリング溝61cと、雄ネジ部61aよりも基端側に、弁体装着口部8の環状鍔部8aの上面に当接可能な環状鍔部61dとを備えている。プラグ61の貫通孔61bの上方側の内周面には、雌ネジ部61eを備えている。
密封手段62は、筒状の第1操作軸63と、第1操作軸63内に位置する棒状の第2操作軸64と、第1操作軸63及び第2操作軸64の先端側に位置し穿孔口2を閉塞する閉塞部65と、閉塞部65を外部から両操作軸63、64を介して操作する閉塞操作手段66と、閉塞操作手段66の基端側に当該閉塞操作手段66に相対回転自在に装着されて両操作軸63、64との間に形成された隙間をボールバルブ(図示せず)により密封する封止部材K(
図10(c)参照)とを備えている。
第1操作軸63は、外周面における上下方向の中央部に雄ネジ部63aと、雄ネジ部63aよりも先端側に位置するOリング63bを装着する環状溝63cと、先端部に環状鍔部63dとを備えている。
第2操作軸64は、第1操作軸63内に挿入可能に構成され、先端部に雄ネジ部64aを備えている。
【0054】
閉塞部65は、第2操作軸64の先端側から順に、保持具67、上側抑え板68、弾性拡径ゴム69及び下側抑え板70を備えている。
保持具67は、円環状の本体部67aと、本体部67aの上面側中央部に窪み形成され第2操作軸64の雄ネジ部64aに螺合する雌ネジ部67bと、本体部67aの下面側中央部から下方側に突出形成される円筒部(図示せず)から下方側に突出する雄ネジ軸67cと、本体部67aの径方向外方側に突出形成される一対の腕部67dとを備えている。
上側抑え板68は、中央部に貫通孔68aを有する円環状の本体部68bと、本体部68bの外周側端部から上方側に突出する円筒部68cと、円筒部68cに形成される一対の切欠き部68dと、本体部68bの下面側において径方向外方側に行くにつれて下方側に突出する一対の傾斜面を有する下側押圧面68eとを備えている。
下側抑え板70は、中央部に上方側に突出する円筒部70aを有する円環状の本体部70bと、円筒部70aに窪み形成される雌ネジ部70cと、本体部70bの上面側において径方向外方側に行くにつれて上方側に引退する一対の傾斜面を有する上側押圧面70dと、本体部70bの下面側において径方向外方側に行くにつれて下方側に突出する一対の傾斜面を有する下側面70eとを備えている。
弾性拡径ゴム69は、中央部に貫通孔69bを有する円環状の本体部69aを備え、本体部69aの上面が上側抑え板68の下側押圧面68eに対応し、下面が下側抑え板70の上側押圧面70dに対応する形状に形成されている。
【0055】
そして、閉鎖部65は、保持具67の一対の腕部67dが上側抑え板68の一対の切欠き68dに嵌合し且つ円筒部(図示せず)及び雄ネジ部67cが貫通孔68aに挿通された状態で、保持具67の本体部67aが上側抑え板68の円筒部68cに相対回転不能に内嵌支持されるとともに、下側抑え板70の円筒部70aが弾性拡径ゴム69の貫通孔69bに挿通され且つ保持具67の雄ネジ部67cが円筒部70aの雌ネジ部70cに螺合された状態で、弾性拡径ゴム69が上側抑え板68の下側押圧面68eと下側抑え板70の上側押圧面70dとの間に配置される。
【0056】
従って、
図8に示すように、作業仕切弁6から各分割押輪体13aを弾性シール材13bとともに撤去し、流体管2に対して密封手段62により分割弁箱7aを位置決めする際(溶接作業前)には、密封手段62のうち、棒状の第2操作軸64と、保持具67と、上側抑え板68と、弾性拡径ゴム69と、下側抑え板70とを一体的に組み付けた状態で、保持具67の一対の腕部67dの下端が分割弁箱7aの挿通孔7fの周縁部に当接し且つ下側抑え板70の下側面70eが流路閉塞装置30の外側操作軸32の外周面の近傍に位置するように弁体装着口部8内に挿入し、流体管2の穿孔口2aよりも若干小径に形成された弾性拡径ゴム69を穿孔口2aの全周に亘って対向する位置に位置させる。
これにより、密封手段62により穿孔口2aに対する分割弁箱7aの弁体装着口部8の位置決めを行うことができる。
【0057】
また、溶接された分割弁箱7aが流体管2に対して確実に密封されているか否かを、密封試験装置60を用いて試験する際には、
図10(a)に示すように、密封手段62のうち、棒状の第2操作軸64と、保持具67と、上側抑え板68と、弾性拡径ゴム69と、下側抑え板70とを一体的に組み付けた状態で、保持具67の一対の腕部67dの下端が分割弁箱7aの挿通孔7fの周縁部に当接し且つ下側抑え板70の下側面70eが流路閉塞装置30の外側操作軸32の外周面の近傍に位置するように弁体装着口部8内に挿入し、流体管2の穿孔口2aよりも若干小径に形成された弾性拡径ゴム69を穿孔口2aの全周に亘って対向する位置に位置させる。そして、
図10(b)に示すように、第1操作軸63の雄ネジ部63aをプラグ61の貫通孔61bにおける雌ネジ部61eに当該プラグ61の下方側から螺合させた状態で、第2操作軸64に第1操作軸63及びプラグ61を外嵌して、プラグ61の雄ネジ部61aを弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合させ、プラグ61の環状鍔部61dの下面を弁体装着口部8の環状鍔部8aの上面に当接させる。この状態では、第1操作軸63の環状鍔部63dの下面が上側抑え板68の円筒部68cの上面に当接した状態となっている。その後、プラグ61の貫通孔61bから外部に突出した第1操作軸63及び第2操作軸64の基端部に、第1操作軸63と一体回転する状態で筒状の閉塞操作手段66及び封止部材Kを外嵌する。
【0058】
そして、
図10(c)に示すように、閉塞操作手段66を締付側に回転操作すると、第2操作軸64に対して第1操作軸63が回転しながら先端側に押込み摺動され、第1操作軸63の環状鍔部63dにより上側抑え板68の筒状部68cが押込操作されて、下側抑え板70の上側押圧面70dに対する上側抑え板68の下側押圧面68eの近接移動に伴う挟圧作用により、縮径状態にある弾性拡径ゴム69が穿孔口2aの内径よりも大なる外径にまで拡径状態に弾性変形して、穿孔口2aを密封状態で遮断することができる。なお、第1操作軸63を締付側に回転操作することで、当該第1操作軸63を先端側に押込み摺動し、第1操作軸63の環状鍔部63dにより上側抑え板68の筒状部68cを押込操作してもよい。
この状態では、プラグ61の外周面と弁体装着口部8の内周面との間もOリング61fにより密封状態となっており、また、第1操作軸63と第2操作軸64との隙間も閉塞操作手段66及び封止部材Kにより密封状態となっている。このため、溶接された各分割弁箱7aの内面と流体管2の外周面との間において、プラグ61と弾性拡径ゴム69とで密封される閉鎖空間Q内は密封状態となっている。
このため、当該閉塞空間Q内に、供給源(図示せず)から各分割弁箱7aのうち上側の分割弁箱7aの半円筒状の部分に形成された分水栓7gを介して密封試験用の水(図示せず)を流入させて、当該閉鎖空間Q内の密封試験を行う。
【0059】
密封試験の結果、漏水していないことが確認できると、
図11〜
図13に示すように、弁体装着口部8からプラグ61及び密封手段62を撤去し、蓋部材(残りの機器構成部材の一例)71を弁体装着口部8に密封状態で装着する。
蓋部材71は、円環状に形成され、外周面には弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合可能な雄ネジ部71aと、雄ネジ部71aよりも先端側に、弁体装着口部8の内面との間を密封するOリング72を装着するリング溝71bと、雄ネジ部71aよりも基端側に、弁体装着口部8の環状鍔部8aの上面に当接可能な環状鍔部71cとを備えている。
従って、蓋部材71の雄ネジ部71aを弁体装着口部8の雌ネジ部8bに螺合させることで、当該蓋部材71を密封状態で装着することができる。この際には、蓋部材71の分割弁箱7a(流体機材としての溶接された別の流体機器の機器本体の一例)が、作業仕切弁6(既設の流体機器の一例)の分割弁箱7a(既設の流体機器の機器本体の一例)の主要部をもって兼用構成されている。また、分割弁箱7a及び蓋部材71により流体機材としての別の流体機器が構築されることとなる。
【0060】
その後、冷却装置50を撤去するとともに、流路閉塞装置30の膨張閉塞手段34を閉塞ケース31内に収容し、新設仕切弁21を閉弁操作した状態で、流路閉塞装置30を撤去する。そして、新設仕切弁21の下流側フランジ部21Bに適宜の管(図示せず)に連結して、新設仕切弁21を開弁操作することができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、作業仕切弁6(既設の流体機器の一例)として、流体管2に外装される分割構造の弁箱7と、当該弁箱7の弁体装着口部8から脱着自在に装着される弁体9を有する弁蓋10とを備え、弁箱7の半円筒状の部分における流体管2の管軸芯X方向の両端部に、弁箱7とは別体の押輪部材13を設け、押輪部材13の内周面と流体管2の外周面と弁箱7のテーパー面7eとの間を密封する略環状の弾性シール材13bと、管軸芯X方向への各分割押輪体13aの移動を阻止する移動阻止部13cとを備えるように構成した。
【0062】
しかしながら、作業仕切弁6(既設の流体機器の一例)の構成は適宜変更することができ、例えば、
図14〜
図19に示す本第2実施形態に係る流体機器布設替え工法のように、上述の押輪部材13の機能を実現する構成を、弁箱7に一体的に備えた構成の作業仕切弁(既設の流体機器の一例)80とすることができる。なお、第1実施形態と同様の構成及び工法については、同様の符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
具体的には、
図14に示すように、作業仕切弁80は、弁箱(既設の流体機器の機器本体の一例)7の分割弁箱7aの半円筒状の部分における流体管2の管軸芯X方向の両端部に、その内周面に円環状の溝部7Aが形成されて略環状の弾性シール材7Bが装着され、溝部7Aよりも管軸芯X方向における端部側に、上下方向に貫通する雌ネジ孔7Cが設けられている。そして、各分割弁箱7aを流体管2に装着した状態で、弾性シール材7Bにより流体管2の外周面との間を密封状態にすることができるとともに、雌ネジ孔7Cに雄ネジ部材7Dを螺合することで、雄ネジ部材7Dの先端に形成された喰い込み爪7Eが流体管2の外周面に喰い込むことにより、各分割弁箱7aの管軸芯X方向への移動が阻止される。
【0063】
図14に示すように、作業仕切弁80を閉弁操作して、既設仕切弁3の上流側における流体管2内の流路を閉塞し、
図15に示すように、既設仕切弁3を撤去して新設仕切弁21を連結し、新設仕切弁21に流路閉塞装置30を連結し、作業仕切弁80を開弁操作する。
その後、
図16に示すように、冷却装置50が装着された部位にまで、流路閉塞装置30の膨張閉塞手段34を挿入し、
図17に示すように、冷却領域A内で膨張閉塞手段34を膨張操作して流体管2を閉塞する。流路閉塞位置よりも下流側には流体管2内の上水Wが存在しないので、作業用仕切弁80を弁箱7及び弁蓋10とともに流体管2の外周面から撤去する。即ち、作業仕切弁80の構成の全部を流体管2の外周面から撤去する。
【0064】
そして、
図17に示すように、流体管2に外装される分割構造のケーシング(流体機材である別の流体機器の機器本体の一例)90を外装する。ケーシング90は、流体管2の外周面に対して複数本のボルト11及びナット12を介して管径方向から外装自在な管周方向で上下二分割された半円筒状の分割ケース90aと、各分割ケース90aのうちの一つの分割ケース90aに流体管2の径方向外方側(上方側)に突出形成される弁体装着口部91(第1実施形態の弁体装着口部8と同様の構成)とを備えている。分割ケース90aの半円筒状の部分において弁体装着口部91が形成された箇所には挿通孔7fが貫通形成されている。
【0065】
各分割ケース90aにおいて流体管2の外周面に外装される半円筒状の部分は、流体管2の外周面よりも若干大径の内周面を備えており、各分割ケース90aが流体管2に外装された状態で、各分割ケース90aの内周面と流体管2の外周面との間には、所定の隙間が形成されている。また、各分割弁箱7aのうち上側の分割ケース90aの半円筒状の部分において、当該所定の隙間と外部とを連通させ外部から密封試験用の水(圧力流体の一例)を流入可能な分水栓91cが設けられている(
図18参照)。
各分割ケース90aの半円筒状の部分における流体管2の管軸芯X方向の両端部には、弁体装着口部91が突出形成された部位から管軸芯X方向に沿って離間するにつれて拡径するテーパー面91dが形成されている。
また、各分割ケース90aは、流体管2に外装された状態で、管軸芯X方向に沿う端面同士が上下方向で当接するように構成されており、各端面から上側又は下側に離間した部位から水平方向に延出する複数の連結板部91eが設けられている。連結板部91eは、各分割ケース90aに一対設けられている。各連結板部91eには、ボルト11を挿通可能な上下方向に貫通する挿通孔(図示せず)が設けられている
【0066】
従って、各分割ケース90aが、管軸芯X方向に沿う端面同士が上下方向で当接した状態で流体管2に外装されると、締付連結される連結板部91e同士は、上下方向の対向面間に所定の隙間を空けた状態で挿通孔に挿通されたボルト11及びナット12により締付連結されるため、側面視で、当該所定の隙間を介して分割ケース90a同士が当接する端面が、分割ケース90aの径方向外方側に露出するように構成されている。即ち、連結板部91e同士がボルト11及びナット12により締付固定された状態でも、当該所定の隙間を介して分割ケース90a同士が当接する端面を、分割ケース90aの側方から溶接することが可能に構成されている。
【0067】
従って、作業用仕切弁80を弁箱7及び弁蓋10とともに流体管2の外周面から撤去し、流体管2に対して密封手段62により分割ケース90aを位置決めする際(溶接作業前)には、密封手段62を弁体装着口部91内に挿入し、流体管2の穿孔口2aよりも若干小径に形成された弾性拡径ゴム69を穿孔口2aの全周に亘って対向する位置に位置させる。これにより、密封手段62により穿孔口2aに対する分割ケース90aの弁体装着口部91の位置決めを行う。
【0068】
また、溶接された分割ケース90aが流体管2に対して確実に密封されているか否かを、密封試験装置60を用いて上記第1実施形態の場合と同様に試験する。
密封試験の結果、漏水していないことが確認できると、弁体装着口部91から密封試験装置60を撤去し、蓋部材(残りの機器構成部材の一例)71を弁体装着口部91に密封状態で装着する。
蓋部材71は、円環状に形成され、外周面には弁体装着口部91の雌ネジ部91bに螺合可能な雄ネジ部71aと、雄ネジ部71aよりも先端側に、弁体装着口部91の内面との間を密封するOリング72を装着するリング溝71bと、雄ネジ部71aよりも基端側に、弁体装着口部91の環状鍔部91aの上面に当接可能な環状鍔部71cとを備えている。
従って、蓋部材71の雄ネジ部71aを弁体装着口部91の雌ネジ部91bに螺合させることで、当該蓋部材71を密封状態で装着することができる。この際には、分割ケース90a及び蓋部材71により別の流体機器(流体機材の一例)が構築されることとなる。
【0069】
その後、冷却装置50を撤去するとともに、流路閉塞装置30の膨張閉塞手段34を閉塞ケース31内に収容し、新設仕切弁21を閉弁操作した状態で、流路閉塞装置30を撤去する。そして、新設仕切弁21の下流側フランジ部21Bに適宜の管(図示せず)に連結して、新設仕切弁21を開弁操作することができる。
【0070】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、既設の流体機器を別の流体機器(流体機材の一例)に更新する際、既設の流体機器として作業仕切弁6及び80を例示し、別の流体機器として弁箱7及び蓋部材71又はケーシング90及び蓋部材71を例示したが、既設の流体機器及び流体機材としてはその他の構成を例示することができる。例えば、流体機材である別の流体機器として、流体管2の外周面に密封状態で外装される分割構造の継手体であって、流体管2の外周面と継手体の内周面との間の環状空間が穿孔口2aに連通する構成(上述の各実施形態における弁体装着口部8や91を備えない構成)や、流体管2の穿孔口2aを含む流体管2の外周面における環状の領域を、分割構造の部分円環状の鉄板により密封状態で覆う構成とすることができる。また、例えば、流体機材として、少なくとも流体管2の穿孔口2aを閉塞する状態で流体管2に対して溶接で外装固定可能な、流体管2の横断面視で円弧状の鞍状鉄板により構成することもできる。
【0071】
(2)上記第1及び第2実施形態では、新設仕切弁21に流路閉塞装置30を連結し、作業仕切弁6等の上流側部位に冷却装置50を外装した後、流路閉塞装置30により冷却装置50が装着された部位の流体管2の流路を閉塞して、作業仕切弁6の弁蓋10等を撤去する構成としたが、流路閉塞装置30の連結、冷却装置の外装及び流路閉塞装置30による流体管2の流路の閉塞は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で順序を変更することができる。流路閉塞装置30を連結し、流路閉塞装置30により流体管2の流路を閉塞してから、冷却装置50を外装する構成としてもよく、また、冷却装置50を外装した後、流路閉塞装置30を連結し、流路閉塞装置30により流体管2の流路を閉塞する構成としてもよい。要は、既設仕切弁を新設仕切弁に更新する際及び既設の流体機器を撤去する際に、流路閉塞装置30により流体管2内の流路が閉塞され、且つ、別の流体機器(流体機材の一例)を流体管2に溶接する際に、冷却装置50が外装されていればよいのである。
【0072】
(3)上記第1及び第2実施形態では、冷却装置50により冷却領域Aの中央部に、流路閉塞装置30の膨張閉塞手段34による流路閉塞部位を位置させたが、その他の部位に、流路閉塞部位を位置させてもよい。
例えば、膨張閉塞手段34による流路閉塞部位を、冷却装置50による冷却領域Aのうち、穿孔口2aから管軸芯X方向で遠ざかる側に偏倚した位置や、穿孔口2aに近づく側に偏倚した位置に位置させてもよい。また、当該流路閉塞部位を当該冷却領域Aよりも穿孔口2aに近接する側に偏倚した位置に位置させてもよい。即ち、膨張閉塞手段34による流体管2の流路閉塞部位と既設の流体機器の外装固定箇所との間の流体管2に、流体管2を冷却する冷却装置50を外装してもよい。
また、冷却装置50による管軸芯X方向での冷却領域Aの長さを、膨張閉塞手段34による管軸芯X方向での閉塞長さと同等或いは小さくなるように構成してもよい。
【0073】
(4)上記実施形態では、冷却装置50として、各分割体50Aの内周面と流体管2の外周面との間に形成された環状の空間Sに冷却水Cを連続供給する構成を示したが、冷却装置50が外装された部位である冷却領域Aを良好に冷却できる構成であれば、その他の流体やその他の構造を採用することができる。
【0074】
(5)上記実施形態では、各分割弁箱7aのうち上側の分割弁箱7a又は分割弁箱90aの半円筒状の部分において、管軸芯X方向で弁体装着口部8又は弁体装着口部91に対して離間した位置に、各分割ケース7a又は各分割ケース90aの内周面と流体管2の外周面との間の所定の隙間と外部とを連通させ外部から密封試験用の水(圧力流体の一例)を流入可能な分水栓7g又は分水栓91cを設けた。
しかしながら、当該所定の隙間に外部から密封試験用の水(圧力流体の一例)を流入させて密封試験を行うことができる構成であれば、その他の箇所に分水栓等の供給機構を設けることができる。
例えば、
図10(c)に示すように、当該供給機構として、密封手段62における閉塞操作手段66の基端側に装着されて両操作軸63、64との間に形成された隙間をボールバルブ(図示せず)により密封する封止部材Kを用いて、当該封止部材Kに外部からボールバルブ(図示せず)を介して当該隙間に密封試験用の水を供給可能に連通する連通路(図示せず)を設ける構成とすることができる。これにより、各分割ケース7a又は各分割ケース90aの内周面と流体管2の外周面との間の所定の隙間と外部とを連通させ外部から密封試験用の水(圧力流体の一例)を流入可能な構成として、当該所定の隙間の密封試験、即ち、溶接された分割弁箱7a又は分割弁箱90aが流体管2に対して確実に密封されているか否かを検査することができる。