(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1配線を形成する工程は、さらに、前記透明導電膜と前記銅膜と前記銅マンガン合金膜とを形成した後に、前記銅マンガン合金膜及び前記銅膜をエッチングによりパターニングする工程と、続いて、前記透明導電膜をエッチングによりパターニングする工程とを含む
請求項10に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の一実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程(ステップ)、工程の順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0016】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0017】
(実施の形態)
まず、TFT基板が用いられる表示装置の一例として、有機EL表示装置の構成について説明する。
【0018】
[有機EL表示装置]
図1は、実施の形態に係る有機EL表示装置の一部切り欠き斜視図である。
図2は、実施の形態に係る有機EL表示装置のピクセルバンクの例を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、有機EL表示装置100は、複数個の薄膜トランジスタが配置されたTFT基板(TFTアレイ基板)1と、下部電極である陽極131、有機材料からなる発光層であるEL層132及び透明な上部電極である陰極133からなる有機EL素子(発光部)130との積層構造により構成される。
【0020】
本実施の形態における有機EL表示装置100は、トップエミッション型であり、陽極131は反射電極である。なお、有機EL表示装置100は、トップエミッション型に限るものではなく、ボトムエミッション型としてもよい。
【0021】
TFT基板1には複数の画素110がマトリクス状に配置されており、各画素110には画素回路120が設けられている。
【0022】
有機EL素子130は、複数の画素110のそれぞれに対応して形成されており、各画素110に設けられた画素回路120によって各有機EL素子130の発光の制御が行われる。有機EL素子130は、複数の薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜(平坦化層)の上に形成される。
【0023】
また、有機EL素子130は、陽極131と陰極133との間にEL層132が配置された構成となっている。陽極131とEL層132との間にはさらに正孔輸送層が積層され、EL層132と陰極133との間にはさらに電子輸送層が積層されている。なお、陽極131と陰極133との間には、その他の有機機能層が設けられていてもよい。
【0024】
各画素110は、それぞれの画素回路120によって駆動制御される。また、TFT基板1には、画素110の行方向に沿って配置される複数のゲート配線(走査線)140と、ゲート配線140と交差するように画素110の列方向に沿って配置される複数のソース配線(信号配線)150と、ソース配線150と平行に配置される複数の電源配線(
図1では省略)とが形成されている。各画素110は、例えば直交するゲート配線140とソース配線150とによって区画されている。
【0025】
ゲート配線140は、各画素回路120に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのゲート電極と行毎に接続されている。ソース配線150は、各画素回路120に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのソース電極と列毎に接続されている。電源配線は、各画素回路120に含まれる駆動素子として動作する薄膜トランジスタのドレイン電極と列毎に接続されている。
【0026】
図2に示すように、有機EL表示装置100の各画素110は、3色(赤色、緑色、青色)のサブ画素110R、110G、110Bによって構成されており、これらのサブ画素110R、110G、110Bは、表示面上に複数個マトリクス状に配列されるように形成されている。各サブ画素110R、110G、110Bは、バンク111によって互いに分離されている。バンク111は、ゲート配線140に平行に延びる突条と、ソース配線150に平行に延びる突条とが互いに交差するように、格子状に形成されている。そして、この突条で囲まれる部分(すなわち、バンク111の開口部)の各々とサブ画素110R、110G、110Bの各々とが一対一で対応している。なお、本実施の形態において、バンク111はピクセルバンクとしたが、ラインバンクとしても構わない。
【0027】
陽極131は、TFT基板1上の層間絶縁膜(平坦化層)上でかつバンク111の開口部内に、サブ画素110R、110G、110B毎に形成されている。同様に、EL層132は、陽極131上でかつバンク111の開口部内に、サブ画素110R、110G、110B毎に形成されている。透明な陰極133は、複数のバンク111上で、かつ全てのEL層132(全てのサブ画素110R、110G、110B)を覆うように、連続的に形成されている。
【0028】
さらに、画素回路120は、各サブ画素110R、110G、110B毎に設けられており、各サブ画素110R、110G、110Bと、対応する画素回路120とは、コンタクトホール及び中継電極によって電気的に接続されている。なお、サブ画素110R、110G、110Bは、EL層132の発光色が異なることを除いて同一の構成である。
【0029】
ここで、画素110における画素回路120の回路構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る有機EL表示装置における画素回路の構成を示す電気回路図である。
【0030】
図3に示すように、画素回路120は、スイッチング素子として動作する薄膜トランジスタSwTrと、駆動素子として動作する薄膜トランジスタDrTrと、対応する画素110に表示するためのデータを記憶するキャパシタCとで構成される。本実施の形態において、薄膜トランジスタSwTrは、画素110を選択するためのスイッチングトランジスタであり、薄膜トランジスタDrTrは、有機EL素子130を駆動するための駆動トランジスタである。
【0031】
薄膜トランジスタSwTrは、ゲート配線140に接続されるゲート電極G1と、ソース配線150に接続されるソース電極S1と、キャパシタC及び薄膜トランジスタDrTrのゲート電極G2に接続されるドレイン電極D1と、半導体膜(図示せず)とで構成される。この薄膜トランジスタSwTrは、接続されたゲート配線140及びソース配線150に所定の電圧が印加されると、当該ソース配線150に印加された電圧がデータ電圧としてキャパシタCに保存される。
【0032】
薄膜トランジスタDrTrは、薄膜トランジスタSwTrのドレイン電極D1及びキャパシタCに接続されるゲート電極G2と、電源配線160及びキャパシタCに接続されるドレイン電極D2と、有機EL素子130の陽極131に接続されるソース電極S2と、半導体膜(図示せず)とで構成される。この薄膜トランジスタDrTrは、キャパシタCが保持しているデータ電圧に対応する電流を電源配線160からソース電極S2を通じて有機EL素子130の陽極131に供給する。これにより、有機EL素子130では、陽極131から陰極133へと駆動電流が流れてEL層132が発光する。
【0033】
なお、上記構成の有機EL表示装置100では、ゲート配線140とソース配線150との交点に位置する画素110毎に表示制御を行うアクティブマトリクス方式が採用されている。これにより、各画素110(各サブ画素110R、110G、110B)の薄膜トランジスタSwTr及びDrTrによって、対応する有機EL素子130が選択的に発光し、所望の画像が表示される。
【0034】
[薄膜トランジスタ基板]
次に、実施の形態に係るTFT基板について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係るTFT基板の概略断面図である。以下の実施の形態では、上記有機EL表示装置100におけるTFT基板1について説明する。また、薄膜トランジスタDrTrについて説明するが、薄膜トランジスタSwTrについても同様の構成とすることができる。つまり、以下に説明する薄膜トランジスタは、スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタのいずれにも適用することができる。
【0035】
図4に示すように、TFT基板1には、薄膜トランジスタDrTrが形成されている。TFT基板1は、基板2と、ゲート電極3と、ゲート絶縁膜4と、酸化物半導体層5と、絶縁層6と、ソース電極7S、ドレイン電極7D及び延設配線7Lと、絶縁層8と、第1配線9及び第2配線10(上層配線)と、絶縁層11と、端子12及び電極13とを有する。
【0036】
第1配線9及び第2配線10は、積層膜であり、ソース電極7S及びドレイン電極7Dが形成された層よりも上層に形成される。第2配線10は、第1配線9が形成された層と同じ層に形成されている。つまり、第1配線9と第2配線10とは同層に形成されている。
【0037】
また、端子12及び電極13は、第1配線9及び第2配線10が形成された層よりも上層に形成されている。電極13は、端子12が形成された層と同じ層に形成されている。つまり、端子12と電極13とは、同層に形成されている。
【0038】
ゲート電極3と、ソース電極7S及びドレイン電極7Dと、第1配線9及び第2配線10と、端子12及び電極13とは、金属材料によって構成されており、これらの電極や配線、端子が形成される層は金属層(配線層)である。
【0039】
具体的には、ゲート電極3が形成される層は、第1金属層(第1の層)ML1である。また、ソース電極7S及びドレイン電極7Dが形成される層は、第2金属層(第2の層)ML2であって、第1金属層ML1よりも1つ上の金属層である。第1配線9及び第2配線10が形成される層は、第3金属層(第3の層)ML3であって、第2金属層ML2よりも1つ上の金属層である。
【0040】
第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3は、各種配線の配線層として利用することができる。つまり、各金属層に形成される金属膜(導電膜)を所定形状にパターニングすることで、上記の電極や配線、端子に加えて、所定形状の所望の配線を形成することができる。各金属層には、例えば、
図1に示される、ゲート配線140、ソース配線150及び電源配線160が形成される。また、各金属層の配線同士を接続したり配線と電極とを接続したりするために、上下の金属層の間の絶縁層にはコンタクトホールが形成されている。
【0041】
図4に示すように、TFT基板1において、薄膜トランジスタDrTrは、ゲート電極3と、ゲート絶縁膜4と、酸化物半導体層5と、絶縁層6と、ソース電極7S及びドレイン電極7Dとによって構成される。ゲート電極3、ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、それぞれ、
図3におけるゲート電極G2、ソース電極S2及びドレイン電極D2に対応する。本実施の形態に係る薄膜トランジスタDrTrは、ボトムゲート型のTFTである。
【0042】
また、
図4に示すように、TFT基板1は、画素部(画素領域)Xと端子部(端子領域)Yとを有する。画素部Xは、
図1における画素110が形成された領域であり、有機EL表示装置の表示領域に対応する。端子部Yは、画素部Xの外側の領域であって、画素部X内に形成された配線を引き出して外部配線等に接続するための引き出し領域(取り出し領域)である。引き出された配線は、端子部Yにおいて、例えば、配線が形成されたCOF(Chip On Film)と熱圧着により接続されて外部の回路基板等と電気的に接続される。
【0043】
以下、TFT基板1における各構成部材について、
図4を用いて詳細に説明する。
【0044】
基板2は、例えば、ガラス基板である。また、薄膜トランジスタDrTrをフレキシブルディスプレイに用いる場合には、基板2として樹脂基板等のフレキシブル基板を用いてもよい。なお、基板2の表面にアンダーコート層を形成してもよい。
【0045】
ゲート電極3は、基板2の上方に所定形状で形成される。ゲート電極3としては、例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)等の金属、又は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の導電性酸化物が用いられる。また、金属に関しては、例えばモリブデンタングステン(MoW)のような合金もゲート電極3として用いることができる。また、膜の密着性を高めるために、酸化物との密着性が良い金属として例えばTi、AlやAu等を用いて、これらの金属を挟んだ積層体をゲート電極3として用いることもできる。
【0046】
ゲート絶縁膜4は、ゲート電極3と酸化物半導体層5との間に形成される。ゲート絶縁膜4は、ゲート電極3を覆うように基板2上に形成される。ゲート絶縁膜4としては、例えばシリコン酸化膜やハフニウム酸化膜等の酸化物薄膜、窒化シリコン膜等の窒化膜もしくはシリコン酸窒化膜の単層膜、又は、これらの積層膜等が用いられる。
【0047】
酸化物半導体層5は、基板2の上方に所定形状で形成される。酸化物半導体層5は、薄膜トランジスタDrTrのチャネル層(半導体層)であり、ゲート電極3と対向するように形成される。例えば、酸化物半導体層5は、ゲート電極3の上方においてゲート絶縁膜4上に島状に形成される。
【0048】
酸化物半導体層5としては、In−Ga−Zn−Oを含むInGaZnO
X(IGZO)等の透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)により構成することが望ましい。In:Ga:Znの比率は、例えば、約1:1:1とすることができる。また、In:Ga:Znの比率は、0.8〜1.2:0.8〜1.2:0.8〜1.2の範囲であってもよいが、この範囲に限られない。透明アモルファス酸化物半導体をチャネル層とする薄膜トランジスタは、キャリア移動度が高く、大画面及び高精細の表示装置に適している。また、透明アモルファス酸化物半導体は、低温成膜が可能であるため、プラスチックやフィルム等のフレキシブル基板上に容易に形成することができる。
【0049】
InGaZnO
Xのアモルファス酸化物半導体は、例えば、InGaO
3(ZnO)
4組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして、スパッタ法やレーザー蒸着法等の気相成膜法により成膜することができる。
【0050】
絶縁層6(第1絶縁層)は、酸化物半導体層5を覆うようにゲート絶縁膜4上に成膜される。つまり、酸化物半導体層5は絶縁層6によって覆われており、絶縁層6は酸化物半導体層5を保護する保護層(チャネル保護層)として機能する。絶縁層6は、一例として、シリコン酸化膜(SiO
2)である。絶縁層6の一部は貫通するように開口されており、この開口部分(コンタクトホール)を介して酸化物半導体層5がソース電極7S及びドレイン電極7Dに接続されている。
【0051】
ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、絶縁層6上に所定形状で形成される。具体的には、ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、絶縁層6に設けられたコンタクトホールを介して酸化物半導体層5に接続されており、絶縁層6上において基板水平方向に所定の間隔をあけて対向配置されている。
【0052】
ソース電極7S及びドレイン電極7Dのうち、少なくとも第1配線9に接続された方は、銅(Cu)を含んでいる。本実施の形態において、ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、いずれもCuを主成分として含んでいる。より具体的には、ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、純CuからなるCu膜(銅膜)である。
【0053】
このように、ソース電極7S及びドレイン電極7Dに低抵抗材料であるCuを含ませることによって、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの低抵抗化を図ることができるとともに、第2金属層に形成する配線(ソース電極7S及びドレイン電極7Dと同層の配線)を低抵抗配線とすることができる。
【0054】
また、
図4に示す例では、ドレイン電極7Dが延設されることで延設配線7Lが形成されている。延設配線7Lは、画素部Xに形成されたドレイン電極7Dを端子部Yに引き出すための配線であり、ドレイン電極7Dと第1配線9とを接続している。
【0055】
なお、ソース電極7S及びドレイン電極7Dは、単層膜ではなく、積層膜にしてもよい。例えば、下から順にCu膜及びCuMn合金膜(銅マンガン合金膜)が積層された2層膜としてもよいし、下から順にCuMn合金膜、Cu膜及びCuMn合金膜が積層された3層膜、又は、下から順にMo膜、Cu膜及びCuMn合金膜が積層された3層膜としてもよい。
【0056】
ソース電極7S及びドレイン電極7Dの最上層(キャップ層)としてCuMn合金膜を用いることによって、Cu原子が酸化してCu膜が変質することを抑制できる。これにより、Cu酸化によるソース電極7S及びドレイン電極7Dの高抵抗化を抑制できる。また、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの最下層としてCuMn膜又はMo膜を用いることによって、Cu原子の下層への拡散を抑制できるとともに下地層との密着性を向上させることができる。なお、本明細書において、CuMn合金膜とは、銅とマンガンとの合金膜であることを意味している。
【0057】
絶縁層8(第2絶縁層)は、ソース電極7S及びドレイン電極7Dを覆うように絶縁層6上に形成される。絶縁層8は、ソース電極7S及びドレイン電極7Dを保護する保護層としても機能する。また、絶縁層8は、第2金属層ML2と第3金属層ML3との間に形成される層間絶縁膜である。絶縁層8は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)又は酸化アルミニウム膜(Al
2O
3)等の酸化膜の単層膜、あるいは、これらの酸化膜の積層膜とすることができる。
【0058】
また、絶縁層8の一部は貫通するように開口されており、この開口部分(コンタクトホール)を介して、ドレイン電極7Dと第1配線9とが接続されるとともに、ソース電極7Sと第2配線10とが接続されている。
【0059】
第1配線9は、絶縁層8上に所定形状で形成されている。第1配線9は、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの少なくとも一方に接続される。本実施の形態において、第1配線9は、絶縁層8に設けられたコンタクトホールを介してドレイン電極7Dに接続されている。また、第1配線9は、絶縁層11に設けられたコンタクトホールを介して端子12にも接続されている。
【0060】
第1配線9は、透明導電膜である第1の膜9aと、銅膜(Cu膜)である第2の膜9bと、銅マンガン合金膜(CuMn合金膜)である第3の膜9cとが下から上にこの順序で積層された積層膜である。本実施の形態において、透明導電膜である第1の膜9aは、酸化インジウムスズ膜(ITO膜)である。なお、Cu膜である第2の膜9bの膜厚は、第1の膜9a及び第3の膜9cの膜厚よりも厚くする方がよい。
【0061】
また、本実施の形態における第1配線9には、
図4及び
図5に示すように、スリット部9Sが形成されている。
図5は、
図4に示されるTFT基板の端子部Yにおけるスリット部9Sの周辺構造を示す拡大平面図である。
【0062】
図5に示すように、スリット部9Sは、第1配線9の一部がスリット状に切断された部分である。スリット部9Sは、第1配線9において、第1の膜9a(ITO膜)、第2の膜9b(Cu膜)及び第3の膜9c(CuMn合金膜)の3つの膜のうち、第2の膜9b及び第3の膜9cの2つの膜の一部が切断された部分である。つまり、スリット部9Sにおいて、第1配線9は、第1の膜9a(ITO膜)のみが存在する。スリット部9Sのスリット幅は、例えば、10μmや20μm程度とすることができる。
【0063】
このように、第1配線9にスリット部9Sを設けることによって、TFT基板1の割断面から伝搬するCuの腐食の進行をスリット部9Sで止めることができる。つまり、スリット部9SではCu膜である第2の膜9bが切断されているので、Cuの腐食がスリット部9Sで止まることになる。
【0064】
なお、
図4において、第1配線9は、ドレイン電極9Dに接続されたドレイン配線端子であり、スリット部9Sは、このドレイン配線端子に接続されているが、スリット部9Sは、ゲート配線端子(不図示)及びはソース配線端子(不図示)に形成してもよい。
【0065】
第2配線10は、絶縁層8上に所定形状で形成されている。第2配線10は、絶縁層11に設けられたコンタクトホールを介して電極13に接続されている。また、第2配線10は、絶縁層8に設けられたコンタクトホールを介してドレイン電極7Dにも接続されている。
【0066】
第2配線10は、第1配線9が形成された層と同じ層(第3金属層ML3)に形成されており、第1配線9と同じ構造の積層膜である。つまり、第2配線10は、透明導電膜である第1の膜10aと、Cu膜である第2の膜10bと、CuMn合金膜である第3の膜10cとが下から上にこの順序で積層された積層膜である。なお、第2配線10でも、透明導電膜である第1の膜10aは、ITO膜である。
【0067】
このように、第1配線9及び第2配線10にCu膜を用いることによって、第1配線9及び第2配線10を低抵抗配線とすることができる。
【0068】
また、第1配線9及び第2配線10の最上層(キャップ層)としてCuMn合金膜を用いることによって、Cu原子が酸化してCu膜が変質することを抑制できる。これにより、Cu酸化による第1配線9及び第2配線10の高抵抗化を抑制できる。
【0069】
また、第1配線9及び第2配線10の最下層として透明導電膜(ITO膜)を用いることによって、第1配線9にスリット部9Sを形成したとしても、スリット部9Sで断線することなく第1配線9を連続的な配線として機能させることができる。
【0070】
なお、第1配線9及び第2配線10において、第1の膜9a及び10aであるITO膜は、例えば50nmとすることができる。また、第2の膜9b及び10bであるCu膜は、例えば300nmとすることができる。また、第3の膜9c及び10cであるCuMn合金膜は、例えば50〜60nmとすることができる。また、第1の膜9a及び第2の膜10aの透明導電膜としては、ITO膜を用いたが、その他の透明導電性酸化物を用いてもよい。
【0071】
ここで、第3の膜9c及び10cであるCuMn合金膜について、Mn濃度を変化させたときの抵抗率を測定したところ、Mn濃度が0%及び4%の場合は、加熱温度が250℃を越えると抵抗率が急激に上昇するが、Mn濃度が8%及び10%の場合は、加熱温度が300℃以下では抵抗率の変動はみられなかった。一般的に、TFT基板の各種配線を形成した後は、その後のプロセス温度の上限により300℃の耐熱性が要求される。したがって、CuMn合金膜のMn濃度を少なくとも8%以上とすることによって、プロセスの上限温度に耐えうる耐熱性を確保することができる。つまり、第3の膜9c及び10cであるCuMn合金膜のMn濃度は、8%以上にすることが好ましい。なお、実用上、CuMn合金膜のMn濃度の上限は15%である。また、このCuMn合金膜のMn濃度については、ソース電極7S及びドレイン電極7DにおけるCuMn合金膜の場合も同様である。
【0072】
絶縁層11(第3絶縁層)は、第1配線9及び第2配線10を覆うように絶縁層8上に形成される。絶縁層11は、第1配線9及び第2配線10を保護する保護層であるとともに、平坦化するための平坦化層としても機能する。したがって、本実施の形態では、4μmの絶縁層11を形成している。
【0073】
絶縁層11は、例えば、アクリル系樹脂を用いることができる。具体的には、450nm以下の波長の光を減衰させることが可能な、シルセスシオキセン、アクリル、シロキサンを含む樹脂塗布型の感光性絶縁材料が用いられる。また、絶縁層11は、この感光性絶縁材料と無機絶縁材料との積層膜としてもよいし、無機絶縁材料の単層膜としてもよい。無機絶縁材料としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン等が用いられる。また、無機絶縁材料の成膜には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等が用いられる。
【0074】
また、絶縁層11の一部は貫通するように開口されており、この開口された部分(コンタクトホール)を介して、第1配線9と端子12とが接続されるとともに、第2配線10と電極13とが接続されている。
【0075】
端子12は、TFT基板1の端子部Yにおいて、絶縁層11上に所定形状で形成されている。端子12は、COF等の外部部品と接続するための外部接続端子であり、画素部Xに形成された配線を、直接的又は間接的に端子部Yに引き出すための引き出し電極である。端子12は、電極13の材料と同じであって、後述するように、所定のアルミニウム合金(Al合金)からなるAl合金膜である。
【0076】
本実施の形態において、端子12は、絶縁層11に設けられたコンタクトホールを介して第1配線9に接続されている。これにより、端子12は、画素部Xのドレイン電極7Dが延設された配線と第1配線9を介して電気的に接続される。
【0077】
電極13は、TFT基板1の画素部Xにおいて、絶縁層11上に所定形状で形成されている。電極13は、端子12が形成された層と同じ層(第4金属層ML4)に形成されている。したがって、電極13の材料は、端子12の材料と同じである。
【0078】
電極13は、アルミニウム合金(Al合金)からなるAl合金膜である。電極13及び端子12のAl合金は、例えば、Al−Ag合金及びAl−Ni合金とすることができる。Al−Ag合金としては、例えば、Agを0.1〜6原子%含有するAl合金を用いることができる。また、Al−Ni合金としては、例えば、Niを0.1〜2原子%含有するAl合金を用いることができる。Al合金膜は、スパッタ又は真空蒸着によって成膜することができる。電極13の厚さは、例えば、400nmである。
【0079】
また、本実施の形態において、電極13は、画素電極である。具体的には、電極13は、
図1における有機EL素子130の陽極131であり、反射電極である。
【0080】
[薄膜トランジスタ基板の製造方法]
次に、実施の形態に係るTFT基板1の製造方法について、
図6A〜
図6Mを用いて説明する。
図6A〜
図6Mは、実施の形態に係る薄膜トランジスタ基板の製造方法における各工程の断面図である。
【0081】
まず、
図6Aに示すように、基板2を準備して、当該基板2の上方に所定形状のゲート電極3を形成する。例えば、基板2上にゲート金属膜をスパッタによって成膜し、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチング法を用いてゲート金属膜を加工することにより、所定形状のゲート電極3を形成する。
【0082】
なお、ゲート金属膜をパターニングするときに、必要に応じて、ゲート電極3以外の電極や配線等についても第1金属層ML1の電極や配線として形成してもよい。
【0083】
次に、
図6Bに示すように、基板2の上方にゲート絶縁膜4を形成する。例えば、ゲート電極3を覆うようにして酸化シリコンからなるゲート絶縁膜4をプラズマCVD等によって成膜する。
【0084】
なお、このときに、ゲート電極3以外の配線や電極等についてもゲート絶縁膜4によって覆われる。
【0085】
次に、
図6Cに示すように、基板2の上方に所定形状の酸化物半導体層5を形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜4上に酸化物半導体層5を形成する。
【0086】
例えば、ゲート絶縁膜4上にInGaZnO
Xの透明アモルファス酸化物半導体をスパッタリング法等によって成膜し、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて透明アモルファス酸化物半導体を加工することにより、ゲート電極3の上方に所定形状の酸化物半導体層5を形成する。
【0087】
次に、
図6Dに示すように、酸化物半導体層5を覆うようにしてゲート絶縁膜4上に絶縁層6を形成する。例えば、プラズマCVDによって、シリコン酸化膜からなる絶縁層6を成膜する。
【0088】
次に、
図6Eに示すように、絶縁層6の一部をエッチング除去することによって、酸化物半導体層5とソース電極7S及びドレイン電極7Dとをコンタクトさせるためのコンタクトホールを形成する。例えば、酸化物半導体層5の一部が露出するように、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて絶縁層6にコンタクトホールCH1及びCH1’を形成する。
【0089】
次に、
図6Fに示すように、酸化物半導体層5に接続される電極として所定形状のソース電極7S及びドレイン電極7Dを形成する。
【0090】
具体的には、まず、絶縁層6のコンタクトホールCH1及びCH1’を埋めるようにして絶縁層6上にCu膜をスパッタ法で成膜し、その後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いてCu膜を加工することにより、所定形状のソース電極7S及びドレイン電極7Dを形成する。なお、このときに、延設配線7Lも形成する。
【0091】
なお、Cuをパターニングするときに、必要に応じて、ソース電極7S、ドレイン電極7D及び延設配線7L以外の電極や配線等についても第2金属層ML2の電極や配線として形成してもよい。
【0092】
次に、
図6Gに示すように、ソース電極7S、ドレイン電極7D及び延設配線7Lを覆うように絶縁層6上に絶縁層8を成膜する。例えば、プラズマCVDによって、300℃の成膜温度でシリコン酸化膜からなる絶縁層8を成膜する。
【0093】
なお、このときに、ソース電極7S、ドレイン電極7D及び延設配線7L以外の配線や電極等についても絶縁層8によって覆われる。
【0094】
次に、
図6Hに示すように、絶縁層8の一部をエッチング除去することによって、ソース電極7S又はドレイン電極7Dが露出するようにコンタクトホールを形成する。本実施の形態では、ドレイン電極7D及び延設配線7Lの各々の一部が露出するように、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて絶縁層8に2つのコンタクトホールCH2及びCH2’を形成している。
【0095】
なお、このときに、必要に応じて、ソース電極7S、ドレイン電極7D及び延設配線7L以外の配線や電極等を露出するように、絶縁層8にコンタクトホールを形成してもよい。
【0096】
次に、
図6I〜
図6Kに示すような手順で、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの少なくとも一方に接続された第1配線9を形成する。本実施の形態では、露出させたドレイン電極7Dに接続されるように第1配線9を形成する。さらに、本実施の形態では、ドレイン電極7Dに接続するようにして第1配線9と分離された第2配線10も形成している。
【0097】
この第1配線9及び第2配線10を形成する工程は、
図6Iに示すように、透明導電膜である第1の膜F1を形成する工程と、第1の膜F1(透明導電膜)の上に銅膜である第2の膜F2を形成する工程と、第2の膜F2(Cu膜)の上にCuMn合金膜である第3の膜F3を形成する工程とを含む。
【0098】
さらに、第1配線9及び第2配線10を形成する工程は、第1の膜F1(透明導電膜)と第2の膜F2(Cu膜)と第3の膜F3(CuMn合金膜)とを形成した後に、
図6Jに示すように、第3の膜F3及び第2の膜F2をエッチングによりパターニングする工程(第1のパターニング工程)と、続いて、
図6Kに示すように、第1の膜F1をエッチングによりパターニングする工程(第2のパターニング工程)とを含む。
【0099】
具体的には、以下のようにして第1配線9及び第2配線10を形成することができる。
【0100】
まず、
図6Iに示すように、絶縁層8のコンタクトホールCH2及びCH2’を埋めるようにして、絶縁層8上に透明導電膜である第1の膜F1を成膜する。本実施の形態では、第1の膜F1(透明導電膜)としてITO膜をスパッタによって成膜した。次いで、第1の膜F1(透明導電膜)の上に、Cu膜である第2の膜F2をスパッタによって成膜する。次いで、第2の膜F2(Cu膜)の上に、CuMn合金膜である第3の膜F3をスパッタによって成膜する。
【0101】
その後、
図6Jに示すように、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて第3の膜F3及び第2の膜F2を所定形状に加工する(第1のパターニング工程)。本実施の形態では、エッチャントとして過酸化水素水を用いたウェットエッチングによって、CuMn合金膜である第3の膜F3とCu膜である第2の膜F2とをパターニングした。
【0102】
次いで、
図6Kに示すように、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて第1の膜F1を所定形状に加工する(第2のパターニング工程)。本実施の形態では、シュウ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチングによって、平面視において第3の膜F3及び第2の膜F2と同じ形状となるようにして、ITO膜である第1の膜F1をパターニングした。但し、スリット部9Sにおける第1の膜F1(ITO膜)はエッチングせずに残している。
【0103】
このように、
図6I〜
図6Kに示すようにして、第1の膜9a、第2の膜9b及び第3の膜9cの積層膜からなる所定形状の第1配線9と、第1の膜10a、第2の膜10b及び第3の膜10cの積層膜からなる所定形状の第2配線10とを形成することができる。
【0104】
なお、本実施の形態では、第1の膜F1、第2の膜F2及び第3の膜F3を積層した後に2回のエッチングを行うことによって、所定形状にパターニングされた第1配線9及び第2配線10を形成したが、これに限らない。例えば、第1の膜F1を成膜してエッチングした後に、第2の膜F2及び第3の膜F3を成膜してエッチングを行うことによって、所定形状にパターニングされた第1配線9及び第2配線10を形成してもよい。
【0105】
具体的には、まず、絶縁層8の上に第1の膜F1を成膜して、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチング法を用いて第1の膜F1を所定形状にパターニングする。この場合、エッチャントとしては、シュウ酸系のものを用いることができる。
【0106】
次に、所定形状にパターニングされた第1の膜F1上に、第2の膜F2及び第3の膜F3を成膜して、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチング法を用いて第2の膜F2及び第3の膜F3を所定形状にパターニングする。この場合、エッチャントとしては、過酸化水素系のものを用いることができる。
【0107】
これにより、
図6Kに示すような所定形状の第1配線9及び第2配線10を形成することができる。
【0108】
次に、第1配線9及び第2配線10を覆うようにして絶縁層8上に絶縁層11を成膜して、その後、
図6Lに示すように、第1配線9及び第2配線10が露出するように絶縁層11にコンタクトホールCH3及びCH3’を形成する。
【0109】
例えば、第1配線9及び第2配線10を覆うようにしてアクリル系樹脂からなる感光性塗布材料を塗布して、露光及び現像することによって、コンタクトホールCH3及びCH3’が形成された絶縁層11を形成する。これにより、第1配線9の第3の膜9c及び第2配線10の第3の膜10cが露出する。
【0110】
次に、
図6Mに示すように、第1配線9に接続される所定形状の端子12と、第2配線10に接続される所定形状の電極13とを形成する。具体的には、まず、絶縁層11のコンタクトホールCH3及びCH3’を埋めるようにして絶縁層11上にAl合金膜をスパッタ法で成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いてAl合金膜を加工することにより、所定形状の端子12及び電極13を形成する。Al合金膜のパターニングは、例えば、PAN系エッチャントを用いたウェットエッチングによって行うことができる。
【0111】
[作用効果等]
以下、実施の形態に係るTFT基板1の作用効果について、本開示の技術に至った経緯も含めて説明する。
【0112】
近年、表示装置の大画面化及び高精細化によってTFT基板の配線が長く且つ細くなる傾向にある。このため、配線抵抗が高くなり、表示画像の品質が劣化するという課題がある。このことから、配線の低抵抗化が要望されている。
【0113】
また、薄膜トランジスタにおけるソース電極及びドレイン電極は、その一部が延設されて配線としても機能することがある。さらに、ソース電極及びドレイン電極と同層に形成される配線は、ソース電極及びドレイン電極と同じ材料で成膜された導電膜をパターニングすることで形成される。このため、ソース電極及びドレイン電極は、TFTとしての性能だけではなく、配線としての性能も要求される。
【0114】
そこで、ソース電極及びドレイン電極の材料として、低抵抗材料である銅(Cu)を用いることが検討されている。例えば、
図7に示す構成のTFT基板1Aが検討されている。
【0115】
図7は、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの材料としてCuを用いた薄膜トランジスタDrTrを有するTFT基板1Aを示している。具体的に、ソース電極7S及びドレイン電極7DはCu膜としている。
【0116】
また、TFT基板1Aでは、絶縁層(平坦化層)11の上に電極(陽極)13と端子12Aが形成されており、電極13及び端子12Aの各々は、絶縁層11に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極7D及び延設配線7Lに接続されている。端子12Aは、端子部Yに形成されたドレイン端子(引き出し電極)であり、ITO膜である。
【0117】
しかしながら、
図7に示すTFT基板1Aでは、以下の問題がある。
【0118】
第1に、
図7に示すTFT基板1Aでは、ゲート電極3が形成された第1金属層ML1と、ソース電極7S及びドレイン電極7Dが形成された第2金属層ML2との2層配線構造であるので、配線抵抗が大きくなるという問題がある。さらに、配線の引き回しが2層に限られてくるので、配線のレイアウト設計の自由度が低く、8W等の多数配線を実現することが難しいという問題もある。
【0119】
第2に、
図8に示すように、電極13(Al合金膜)のエッチング時において、端子部Yに不具合が生じるという問題がある。
図8は、
図7に示すTFT基板1Aの端子部Yをエッチングしたときの様子を示す平面図である。
【0120】
具体的には、ITO膜である端子12Aにはピンホールが発生しているので、Al合金膜である電極13をPAN系のAlエッチャントを用いたウェットエッチングを行ってパターニングすると、
図8の(a)及び(b)に示すように、AlエッチャントがITO膜のピンホールを介して浸入し、端子12Aの直下のCu膜である延設配線7L(ドレイン配線)が溶融するという問題がある。
【0121】
第3に、
図9Aに示すように、電極13(Al合金膜)とドレイン電極7D(Cu膜)とのコンタクト部分には、Al合金とCuとの相互拡散によってコンタクト不良が生じるという問題がある。これは、Al合金のAl原子がCu膜のCu原子を吸い上げた結果、Cu膜の膜質が劣化するからであると考えられる。なお、
図9Aは、
図7における破線で囲まれる領域Aの断面SEM像である。
【0122】
実際に、コンタクト不良の発生個数を調べると、
図9Bに示すように、焼成前では、1ロット当たり、約400個のコンタクトウィンドウ欠陥(CW欠陥)が発生していた。また、230℃65minの焼成後では、1ロット当たり、約850個のCW欠陥が発生していた。このように、電極13とドレイン電極7Dとの間にコンタクト不良が生じると、有機EL表示装置では画素の滅点不良となる。
【0123】
本開示の技術は、このような知見に基づいてなされたものであり、
図4に示すように、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの材料としてCuを用いた薄膜トランジスタDrTrを有するTFT基板1において、ソース電極7S及びドレイン電極7Dが形成された層よりも上層においてドレイン電極7Dに接続された第1配線9を形成し、当該第1配線9が形成された層よりも上層において第1配線9に接続されたAl合金からなる端子12を形成し、さらに、第1配線9を、透明導電膜(ITO膜)である第1の膜9aとCu膜である第2の膜9bとCuMn合金膜である第3の膜9cとの積層膜にしたものである。
【0124】
これにより、TFT基板1の配線構造を、ゲート電極3が形成された第1金属層ML1と、ソース電極7S及びドレイン電極7Dが形成された第2金属層ML2と、第1配線9(上層配線)が形成された第3金属層ML3のとの3層配線構造とすることができる。したがって、TFT基板1における配線を3層配線化することができるので、配線の低抵抗化を図ることができる。また、配線のレイアウト設計の自由度を大きくすることができる。
【0125】
さらに、TFT基板1では、端子部Yの端子構造を、延設配線7L、第1配線9及び端子12(つまり、Al合金/CuMn/Cu/ITO/Cu)としている。これにより、透明導電膜9a(ITO膜)にピンホールが発生していたとしても、電極13をパターニングするときのエッチャントによって、Cu膜である延設配線7L(ドレイン配線)が溶融することを防ぐことができる。つまり、ITO膜の上方に形成されるCuMn膜がエッチャントの浸入を防ぐバリア膜として機能する。
【0126】
さらに、TFT基板1では、電極13(Al合金膜)とドレイン電極7D(Cu膜)又は第2の膜10b(Cu膜)との間には、第3の膜10c(CuMn合金膜)が挿入されている。つまり、Al合金膜とCu膜との間にCuMn膜が挿入されている。これにより、Al合金とCuとが接触することで生じるAl合金とCuとの相互拡散を抑制することができるので、
図10Aに示すように、コンタクト不良の発生を抑制することができる。
図10Aは、
図4における破線で囲まれる領域Aの断面SEM像である。
【0127】
実際に、コンタクト不良の発生個数を調べると、
図10Bに示すように、焼成前でも焼成後であっても、1ロット当たりのCW欠陥は数十個程度であった。したがって、有機EL表示装置における滅点不良を軽減することができる。
【0128】
なお、本実施の形態では、端子12(Al合金膜)と延設配線7L(Cu膜)又は第2の膜9b(Cu膜)との間にも第3の膜9c(CuMn合金膜)が挿入されている。したがって、端子12についてもコンタクト不良の発生を抑制することができる。
【0129】
以上、本実施の形態に係るTFT基板1によれば、ソース電極7S及びドレイン電極7Dの材料としてCuを用いたとしても、所望の性能を有するTFT基板を実現することができる。
【0130】
(変形例等)
以上、薄膜トランジスタ基板、薄膜トランジスタ基板の製造方法及び有機EL表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0131】
例えば、上記実施の形態において、薄膜トランジスタは、ボトムゲート型としたが、トップゲート型としても構わない。
【0132】
また、上記実施の形態において、薄膜トランジスタは、チャネルエッチングストッパー型(チャネル保護型)としたが、チャネルエッチング型としても構わない。つまり、上記実施の形態において、絶縁層6は形成しなくてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態では、薄膜トランジスタ基板を用いた表示装置として有機EL表示装置について説明したが、上記実施の形態における薄膜トランジスタ基板は、液晶表示装置等、アクティブマトリクス基板が用いられる他の表示装置にも適用することもできる。
【0134】
また、以上説明した有機EL表示装置等の表示装置(表示パネル)については、フラットパネルディスプレイとして利用することができ、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話等、表示パネルを有するあらゆる電子機器に適用することができる。特に、大画面及び高精細の表示装置に適している。
【0135】
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。