(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記分布算出部で算出した前記度数分布を表示するとともに、前記度数分布に対応する前記運動データを表示する、請求項2または請求項3に記載の眼球運動解析システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の眼球運動解析システムでは、特許文献2で示したように、閾値により眼球の運動データ(眼振データ)を急速相の部分と緩徐相の部分とに分離する手法を用いる場合、適切な閾値を設定しなければ期待する結果が得られないという問題があった。さらに、従来の眼球運動解析システムでは、得られた結果から直ちに、眼球の運動データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを容易に確認することができないという問題があった。
【0010】
また、従来の眼球運動解析システムでは、閾値を変更することにより得られる結果がどの程度変化するのかを容易に確認することができず、閾値を変化させながら適切な閾値を選択する操作を行なうことができなかった。眼球運動解析システムは、眼球の運動データを急速相の部分と緩徐相の部分とを適切に分離することができなければ、眼球運動の診断に必要な情報を提供することができないという問題があった。
【0011】
さらに、これまでの眼球運動の診断において、緩徐相と急速相とは、別々に扱われてきた。しかし、緩徐相と急速相とは、連続して交互に現れるものであるために、緩徐相と急速相との間に何らかの相関が存在すると予想されている。これまでの眼球運動の診察方法では、当該相関についての情報が見落とされてきた可能性がある。
【0012】
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、眼球の運動データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを容易に確認することができ、緩徐相と急速相とを統合的に扱うことができる眼球運動解析システム、眼球運動診断装置および眼球運動解析
システムの作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る眼球運動解析システムは、平衡機能検査における眼球の運動データを解析する眼球運動解析システムであって、平衡機能検査で測定した眼球の運動データを入力する入力部と、入力部から入力した運動データを、所定の閾値に基づき眼球運動における緩徐相と急速相とに分離する相分離部と、相分離部で分離した複数の緩徐相および複数の急速相に対して、緩徐相における眼球の第1変位ベクトルと、緩徐相の次の急速相における眼球の第2変位ベクトルとのなす角を検出する角度検出部と、角度検出部で検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を算出する分布算出部と、分布算出部で算出した度数分布を含む結果を出力する出力部とを備える。
【0014】
好ましくは、出力部は、分布算出部で算出した度数分布を表示する表示部を含む。
好ましくは、表示部は、度数分布をヒストグラムで表示する。
【0015】
好ましくは、表示部は、分布算出部で算出した度数分布を表示するとともに、度数分布に対応する運動データを表示する。
【0016】
好ましくは、表示部は、表示する運動データのうち、緩徐相の部分と、急速相との部分とを識別可能に表示する。
【0017】
好ましくは、使用者の入力操作に基づき、表示部に表示している運動データの表示範囲を変更する表示範囲変更部をさらに備え、分布算出部は、表示範囲変更部で変更した表示範囲に含まれる運動データから検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を再度算出し、表示部は、再度算出した度数分布を表示する。
【0018】
好ましくは、相分離部の閾値を変更する閾値変更部をさらに備え、相分離部は、閾値変更部が変更した閾値に基づき、運動データを緩徐相と急速相とに再度分離し、角度検出部は、再度分離した緩徐相および急速相に基づき、第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角を再度検出し、分布算出部は、再度検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を再度算出し、表示部は、再度算出した度数分布を表示する。
【0019】
好ましくは、角度検出部で検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の統計データを算出する統計算出部をさらに備え、表示部は、統計算出部で算出した統計データを表示する。
【0020】
好ましくは、運動データは、眼球の回転運動中心における眼球の角度を所定の間隔でサンプリングした眼球位置データであり、相分離部は、隣接する眼球位置データ間の差分から眼球の角速度を算出し、算出した眼球の角速度が閾値以上となる眼球位置データを急速相に分離し、角度検出部は、急速相から緩徐相に変化する第1の眼球位置データと、緩徐相から急速相に変化する第2の眼球位置データとを結ぶベクトルを第1変位ベクトルとし、第2の眼球位置データと、急速相から緩徐相に変化する第3の眼球位置データとを結ぶベクトルを第2変位ベクトルとする。
【0021】
本発明に係る眼球運動診断装置は、平衡機能検査における眼球の運動データを測定する平衡機能検査装置と、上記のいずれかの眼球運動解析システムとを備える。
【0022】
本発明に係る眼球運動解析
システムの作動方法は、平衡機能検査における眼球の運動データを解析する眼球運動解析
システムの作動方法であって、平衡機能検査で測定した眼球の運動データを入力する入力ステップと、入力ステップから入力した眼球の運動データを、所定の閾値に基づき眼球運動における緩徐相と急速相とに分離する相分離ステップと、相分離ステップで分離した複数の緩徐相および複数の急速相に対して、緩徐相における眼球の第1変位ベクトルと、緩徐相の次の急速相における眼球の第2変位ベクトルとのなす角を検出する角度検出ステップと、角度検出ステップで検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を算出する分布算出ステップと分布算出ステップで算出した度数分布を含む結果を出力する出力ステップとを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る眼球運動解析システム、眼球運動診断装置および眼球運動解析
システムの作動方法は、緩徐相における眼球の第1変位ベクトルと、緩徐相の次の急速相における眼球の第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を算出することで、眼球の運動データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを容易に確認することができる。また、本発明では、第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布から、適切な閾値を設定したか否かを客観的に評価することができる。さらに、本発明では、適切に分離した緩徐相および急速相に基づく第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角、およびそのなす角の度数分布を出力することで、眼球運動の解析評価や診断に必要な情報を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施形態に係る眼球運動診断装置の基本構成を示す概略図である。
図1に示す眼球運動診断装置100は、平衡機能検査における眼球Eの運動データ(以下、眼振データともいう)を測定する平衡機能検査装置と、平衡機能検査における眼球Eの運動データを解析する眼球運動解析システムとを備えている。平衡機能検査装置は、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどで構成された撮像カメラ1、パソコンなどで構成されたコンピュータ2、頭部運動センサ3、撮像カメラ1で撮像した動画像をAD変換するビデオ入力ボード4、頭部運動センサ3から出力された測定信号VaをAD変換するA/Dボード5を含んでいる。
【0026】
平衡機能検査装置は、被検者の頭部に所定の刺激を与えて、前庭眼反射、自然視前庭眼反射、固視前庭眼反射を観察し、このときの眼球Eの運動を撮像カメラ1によって撮像し、撮像した動画像を、ビデオ入力ボード4を介してコンピュータ2に取り込む。眼球の運動を撮像するための構成としては、特開平9−285468号(特許第3455638号)公報に開示してある平衡機能検査装置がある。当該平衡機能検査装置で提案されている構成は、ゴーグルタイプの眼球観察用装着具であり、被検者は、このゴーグルを装着して、頭部を回転させるなどして眼球Eの運動を撮像カメラ1で撮像する。
【0027】
撮像カメラ1で撮像した動画像は、ビデオ信号の形で出力されるため、そのビデオ信号を、ビデオ入力ボード4を介してコンピュータ2に取り込む。コンピュータ2は、取り込んだ眼球Eの動画像をフレーム毎あるいはフィールド毎にサンプリングして、サンプリングした画像を2値化し、楕円近似法によって眼球Eの運動中心O(
図4参照)を検出する。さらに、コンピュータ2は、所定の演算処理を施し、眼球Eの運動中心Oに対する瞳孔中心の角度位置を眼球位置データとして算出する。なお、眼球の画像から楕円近似法を用いて、眼球の運動中心Oを求める手法は、特開平8−145644号において詳しく開示されているため、説明を繰返さない。
【0028】
コンピュータ2は、算出した眼球位置データを時系列に並べ、緩徐相と急速相との2つの相が交互に現れる眼振データとして記憶部(図示せず)に記憶する。記憶部に記憶した眼振データは、データファイルとして外部の記憶媒体に保存したり、LANを介して外部に送信したり、後述する眼球運動解析システムで解析処理を行なったりすることが可能である。
【0029】
頭部運動センサ3は、角速度センサ、角度センサ、角加速度センサなどが使用され、被検者の頭部の運動に応じた測定信号Vaを出力する。コンピュータ2は、ADボード5を介して測定信号Vaを取込み、眼球位置データと同期させて記憶部(図示せず)に記憶する。コンピュータ2は、特開平11−225967号(特許第3730005号)公報に開示されているように、記憶部に記憶した眼球位置データと、測定信号Vaに基づく頭部運動の角速度などのデータとを組合せて解析することで、より信頼性の高い診断データとして解析したデータを利用することができる。
【0030】
次に、眼振データを解析する眼球運動解析システムについて説明する。眼球運動解析システムは、
図1に示すコンピュータ2により実行されるソフトウェアで構成されるシステムとして以下に説明するが、本発明はこれに限定されず、専用のハードウェアとして各部が構成されるシステムであってもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る眼球運動解析システムの構成を示すブロック図である。
図2に示す眼球運動解析システム22は、入力部221、相分離部223、角度検出部224、分布算出部225、出力部226、統計算出部227、表示範囲変更部228、および閾値変更部229を含んでいる。
【0032】
入力部221は、平衡機能検査装置で取得した眼振データの入力を行なう。具体的に、入力部221は、ビデオ入力ボード4に直接接続され、当該ビデオ入力ボード4から眼振データを読込んで眼球運動解析システム22に入力する。または、入力部221は、既にコンピュータ2の記憶部に記憶してあるファイルから眼振データを読込んで眼球運動解析システム22に入力する。もちろん、入力部221は、有線または無線で接続されたサーバ(眼振データが蓄積された記憶装置)から眼振データを読込んで眼球運動解析システム22に入力してもよい。
【0033】
相分離部223は、入力部221から入力した眼振データを緩徐相と急速相とに分離する。本実施形態では、後述するように眼球Eの角速度が閾値以上となる眼球位置データを急速相に、それ以外を緩徐相に分離する手法を説明する。しかし、相分離部223は、当該手法に限定されるものではなく、特許文献2などに記載された他の手法で眼振データを緩徐相と急速相とに分離してもよい。
【0034】
角度検出部224は、相分離部223で分離した複数の緩徐相および複数の急速相に対して、緩徐相における眼球Eの第1変位ベクトルと、緩徐相の次の急速相における眼球Eの第2変位ベクトルとのなす角(以下、単に第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角ともいう)を検出する。角度検出部224では、平衡機能検査装置で測定した緩徐相と、当該緩徐相の次に現れる急速相とを一組の情報として取扱うため、緩徐相の変位ベクトルと急速相の変位ベクトルとのなす角として検出している。ここで、緩徐相の変位ベクトルは、緩徐相が始まる時点の眼球位置データから緩徐相が終わる時点の眼球位置データへの位置変位を示すベクトルであり、急速相の変位ベクトルは、急速相が始まる時点の眼球位置データから急速相が終わる時点の眼球位置データへの位置変位を示すベクトルである。
【0035】
分布算出部225は、角度検出部224で検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の度数分布を算出する。なお、分布算出部225は、たとえば、階級の個数を13階級に、階級の幅を30度に固定して度数分布を算出しても、度数分布が適切な分布となるように階級の個数および階級の幅を自動的に設定して度数分布を算出してもよい。
【0036】
出力部226は、分布算出部で算出した度数分布を含む結果を出力する。具体的に、出力部226は、ディスプレイ21と接続し、当該ディスプレイ21に算出した度数分布を表示する。また、出力部226は、プリンタ6と接続し、当該プリンタ6に算出した度数分布を印刷してもよいし、コンピュータ2の記憶部に算出した度数分布をそのまま記憶しても、眼球運動解析システム22の専用ソフトから汎用ソフトで表示可能な形式のファイルにエクスポートして記憶してもよい。もちろん、出力部226は、有線または無線で接続された他のディスプレイなどに算出した度数分布を表示してもよい。
【0037】
統計算出部227は、角度検出部224で検出した第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の統計データを算出する。ここで、第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角の統計データとしては、たとえば、当該なす角の平均値、中央値、最頻値、偏差、標準偏差、変動係数、歪度、および尖度などがある。
【0038】
表示範囲変更部228は、使用者の入力操作の情報に基づく処理により、ディスプレイ21に表示している眼振データの表示範囲を変更する。たとえば、使用者がディスプレイ21に表示されている眼振データの一部分を拡大して表示したり、眼振データを縮小して表示されていなかった部分をディスプレイ21に表示させたりするために、表示範囲変更部228は、マウスなどの入力操作の情報に基づく処理をして、ディスプレイ21に表示している眼振データの表示範囲を変更することができる。
【0039】
本実施形態では、眼振データのすべてを対象に分布算出部225で度数分布を算出し、当該度数分布をディスプレイ21に表示する。一方、眼振データは、使用者の入力操作に基づき指定した表示範囲のみが表示される。つまり、本実施形態では、ディスプレイ21に表示している眼振データの範囲に連動して分布算出部225が度数分布を算出するのではなく、使用者の入力操作に基づき眼振データの表示範囲を単に変更しているだけである。
【0040】
しかし、表示範囲変更部228が眼振データの表示範囲を変更した結果を分布算出部225に出力して、分布算出部225が変更した表示範囲に含まれる眼振データで、度数分布を再度算出する構成であってもよい。つまり、ディスプレイ21に表示している眼振データに連動して度数分布を算出し、算出した度数分布でディスプレイ21の表示を更新してもよい。詳細については、変形例で述べる。
【0041】
閾値変更部229は、相分離部223の閾値を変更する。閾値変更部229は、使用者の入力操作に基づき相分離部223の閾値を変更しても、分布算出部225で算出する度数分布がある定められた範囲の分布となるように相分離部223の閾値を変更してもよい。なお、閾値変更部229は、相分離部223の閾値を変更した場合、その結果を相分離部223に出力する。相分離部223は、閾値変更部229で変更した閾値に基づき、眼振データを緩徐相と急速相とに再度分離する。
【0042】
次に、眼球運動解析システム22の動作を、フローチャートを用いて詳しく説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る眼球運動解析システム22の動作を説明するためのフローチャートである。まず、入力部221は、平衡機能検査装置で取得した眼振データを含むファイルを読込む(ステップS301)。
【0043】
ここで、眼振データについて詳しく説明する。眼振データは、眼球位置データを時系列に並べ、緩徐相と急速相との2つの相が交互に現れるデータである。
図4は、眼球位置を説明するための図である。また、
図5は、眼球位置データを時系列に並べ、緩徐相と急速相との2つの相が交互に現れる眼振データの一例を示す図である。
【0044】
図4では、x−y平面またはy−z平面で見た眼球Eが示してある。そして、y軸方向が正面であり、眼球Eが正面を向いている位置が基準位置e0である。この基準位置e0に対して、運動中心Oを中心に眼球Eが移動した位置e1とのなす角が眼球位置θである。眼球位置θは、x−y平面での角度θxyの成分と、y−z平面での角度θyzの成分とを有している。そのため、本実施の形態では、眼球位置θを、角度θxyと角度θyzとの二乗平均平方根(RMS(Root Mean Square)や平均二乗偏差ともいう)の値として表わす。なお、角度θxyと角度θyzとの二乗平均平方根を眼球位置θとしているが、それぞれの角度を別々に眼球位置として解析を行なってもよい。
【0045】
図5に示す眼振データは、眼球位置θの時間変化を示しており、緩徐相と急速相との2つの相が交互に現れるデータである。つまり、
図5に示す眼振データは、緩徐相において、眼球位置θが徐々に大きくなり、急速相になると、眼球位置θが急激に小さくなる変化を繰返している。
【0046】
図3に戻って、相分離部223は、眼振データを緩徐相と急速相とに分離するために、隣接する眼球位置θのデータの差分をとって眼球Eの角速度(角度/秒)を算出する(ステップS302)。
図6は、
図5に示す眼振データから算出した眼球Eの角速度を説明するための図である。
図6に示す眼球Eの角速度のグラフには、緩徐相の期間に遅い角速度であった眼球Eの運動が、急速相になると急激に速い角速度に変化する様子が示されている。そのため、
図6から分かるように緩徐相の角速度と急速相の角速度との間に閾値を設定すれば、眼振データを緩徐相と急速相とに分離することができる。
【0047】
図3に戻って、相分離部223は、たとえば入力操作によって指定された閾値で眼振データを緩徐相と急速相とに分離する(ステップS303)。つまり、相分離部223は、指定された閾値以上の角速度に対応する眼球位置θのデータを急速相とし、指定された閾値より遅い角速度に対応する眼球位置θのデータを緩徐相とする。
【0048】
次に、角度検出部224は、相分離部223で分離した緩徐相と急速相とのなす角を検出する(ステップS304)。緩徐相と急速相とのなす角とは、緩徐相の第1変位ベクトルと、急速相の第2変位ベクトルとのなす角である。緩徐相の第1変位ベクトルは、たとえば、
図5に示す急速相から緩徐相に変わった眼球位置θから緩徐相から急速相に変わった眼球位置θまでの位置変位より求めことができる。また、急速相の第2変位ベクトルは、たとえば、
図5に示すように緩徐相から急速相に変わった眼球位置θから、急速相から緩徐相に変わった眼球位置θまでの位置変位より求めことができる。
【0049】
図7は、緩徐相の第1変位ベクトルと、急速相の第2変位ベクトルとのなす角を説明するための図である。前述のように求めた第1変位ベクトルおよび第2変位ベクトルは、
図7に示すようにx−y座標の原点にそれぞれのベクトルの始点をあわせ、x軸からのそれぞれの角度が求められる。第1変位ベクトルの角度を角度α、第2変位ベクトルの角度を角度βとする場合、緩徐相と急速相とのなす角(第1変位ベクトルと第2変位ベクトルとのなす角)は、角度β−角度αで求めることができる。
【0050】
図3に戻って、分布算出部225は、緩徐相と急速相とのなす角の度数分布を算出する(ステップS305)。具体的に、分布算出部225は、角度検出部224で検出した緩徐相と急速相とのなす角を階級ごとに振分け、それぞれの階級に含まれる数を求めて度数分布を算出する。統計算出部227は、緩徐相と急速相とのなす角の統計量(統計データ)を算出する(ステップS306)。ここで、分布算出部225での処理と、統計算出部227での処理とは、
図3に示すフローチャートのように順番に行なっても、
図2に示すように並列に行なってもよい。また、後述するように、眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを確認する程度であれば、統計算出部227での処理を行なわずに、分布算出部225での処理のみでもよい。つまり、眼球運動解析システム22は、ステップS306をスキップするフローチャートの処理でもよい。
【0051】
次に、出力部226は、分布算出部225および統計算出部227の結果を、ディスプレイ21に表示する(ステップS307)。
図8は、本発明の実施形態に係る眼球運動解析システム22が出力する解析結果の一例を示す図である。
図8に示す表示では、上段に眼振データを、下段に分布算出部225で算出した度数分布のヒストグラムをそれぞれ図示している。
【0052】
上段に示す眼振データには、サンプリングした眼球位置θのデータの一部(ある時点から10秒間)が図示されている。そして、表示範囲変更部228は、使用者が操作したスライドバー228aの情報を処理することで、ディスプレイ21に表示されている眼振データの範囲を変更することができる。具体的に、表示範囲変更部228は、使用者がスライドバー228aを左右に移動する操作の情報を処理することで表示できる期間(10秒間)を変更することなく、サンプリングしたデータのうち使用者が所望する一部をディスプレイ21に表示させることができる。
【0053】
また、表示範囲変更部228は、使用者がスライドバー228a自体を長くする操作の情報を処理することで表示できる期間(10秒間)を長くすること(たとえば20秒間)ができ、逆に使用者がスライドバー228a自体を短くする操作の情報を処理することで表示できる期間(10秒間)を短くすること(たとえば5秒間)ができる。つまり、表示範囲変更部228は、マウスなどの入力操作の情報を処理することで、ディスプレイ21に表示されている眼振データの一部分を拡大して表示したり、眼振データを縮小して表示されていなかった部分をディスプレイ21に表示させたりすることができる。
【0054】
上段に示す眼振データには、サンプリングした眼球位置θのデータがドットとして表示されている。さらに、ディスプレイ21の表示の右上欄に示した閾値(
図8では閾値=5.0)以上となる眼球位置θのドットは白色、閾値未満となる眼球位置θのドットは黒色として識別されている。また、黒色のドットは、緩徐相であり、白色のドットは、急速相である。さらに、黒色のドット間を実線で結び、白色のドット間を破線で結ぶことで、緩徐相と急速相とを識別することができる。これにより、使用者が、ディスプレイ21に表示された眼振データを見るだけで、緩徐相の部分と、急速相との部分とを識別可能に表示してあるので、眼振データにおいて緩徐相と急速相とが適切に分離されているのかを視覚的に確認することができる。なお、緩徐相の部分と、急速相との部分との識別を色分けすることで行なってもよく、たとえば緩徐相を青色の実線やドットで、急速相を赤色の実線やドットで表わしてもよい。
【0055】
下段に示すヒストグラムは、緩徐相と急速相とのなす角の度数分布を表わしており、階級の個数は13階級で、階級の幅は30度(ただし、0度の階級、360度の階級は除く)である。具体的に、各階級は、0度の階級(0度以上〜15度未満)、30度の階級(15度以上〜45度未満)、60度の階級(45度以上〜75度未満)、90度の階級(75度以上〜105度未満)、120度の階級(105度以上〜135度未満)、150度の階級(135度以上〜165度未満)、180度の階級(165度以上〜195度未満)、210度の階級(195度以上〜225度未満)、240度の階級(225度以上〜255度未満)、270度の階級(255度以上〜285度未満)、300度の階級(285度以上〜315度未満)、330度の階級(315度以上〜345度未満)、および360度の階級(345度以上〜360度未満)である。
【0056】
そして、下段に示すヒストグラムは、緩徐相と急速相とのなす角の数が287個あり、0度の階級に6個、30度の階級に3個、60度の階級に6個、90度の階級に3個、120度の階級に6個、150度の階級に24個、180度の階級に218個、210度の階級に15個、および240度の階級に6個、緩徐相と急速相とのなす角が分布している。
【0057】
平衡機能検査では、一定方向の加速度刺激などが持続すると、眼球Eが逆方向に徐々に変位し、急速に元に戻るという規則的な運動を検査している。そのため、眼球Eが逆方向に徐々に変位する緩徐相の第1変位ベクトルと、急速に元に戻る急速相の第2変位ベクトルとのなす角度は、正常な被験者であれば180度の階級に多く分布することになる。そのため、適切に分離した緩徐相および急速相に基づく緩徐相と急速相とのなす角、およびそのなす角の度数分布を使用者が確認できることで、正常な被験者の度数分布か否かを容易に確認することができ、眼球運動の診断に必要な情報を提供することができる。さらに、ヒストグラム同士を比較することで、正常な眼球運動との比較がさらに容易になる。
【0058】
なお、下段に示すヒストグラムは例示であり、算出した度数分布をディスプレイ21に表示する形式は、階級ごとの数を表にした度数分布表の形式であってもよい。さらに、ディスプレイ21に表示する形式は、これに限定されず、階級ごとの数を折れ線グラフや円グラフなどで表わす形式であってもよい。
【0059】
さらに、ディスプレイ21の表示の右下欄には、統計算出部227で算出した統計量が表示されている。具体的に、同欄には、統計量として平均、標準偏差、変動係数、歪度、および尖度が表示されている。なお、同欄には、緩徐相と急速相とのなす角の数も表示されている。このように、眼球運動解析システム22は、緩徐相と急速相とのなす角の統計量を算出することで、眼球運動の診断に必要となる定量データを使用者に提供することができる。
【0060】
次に、
図3に戻って、ディスプレイ21に表示された結果に基づき、使用者が閾値を変更する必要があると判断した場合、閾値変更部229に対して入力操作を行ない、逆に、閾値を変更する必要がないと判断した場合、閾値変更部229に対して入力操作を行なわない。つまり、閾値変更部229は、使用者による閾値変更の入力操作が行なわれたか否かを判定する(ステップS308)。閾値変更部229が、使用者による閾値変更の入力操作が行なわれたと判定した場合(ステップS308:YES)、ステップS303に処理を戻し、相分離部223は、入力操作で指定した閾値で緩徐相と急速相との分離を再度行なう。一方、閾値変更部229が、使用者による閾値変更の入力操作が行なわれていないと判定した場合(ステップS308:NO)、出力部226は、設定した閾値で眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができたと判断して、分布算出部225および統計算出部227で処理した結果をコンピュータ2の記憶部に出力する(ステップS309)。その後、眼球運動解析システム22は、処理を終了する。
【0061】
このように、眼球運動解析システム22は、閾値を変更するごとに、緩徐相と急速相とが識別されて表示される眼振データや、緩徐相と急速相とのなす角のヒストグラムの表示を更新するので、閾値を変更することにより得られる結果がどの程度変化するのかを容易に且つ視覚的に確認することができ、閾値を変化させながら適切な閾値を選択する操作を行なうことができる。
【0062】
なお、分布算出部225および統計算出部227で処理した結果の出力先は、コンピュータ2の記憶部に限定されるものではなく、コンピュータ2に接続されたプリンタ6や有線または無線で接続されたサーバなどでもよい。また、出力部226が出力する結果には、分布算出部225および統計算出部227で処理した結果以外に、相分離部223で緩徐相と急速相とに分離した結果や角度検出部224で検出した緩徐相と急速相とのなす角の結果など、あるいは、ディスプレイ21に表示された画面の画像データを含んでもよい。
【0063】
使用者は、ディスプレイ21の表示の右上欄に表示された閾値表示の下にあるスライダー229aをマウスなどで左右に操作することで、閾値を変更することができる。また、使用者は、表示された閾値の欄に直接数字を入力して閾値を変更することもできる。前述のような入力操作により閾値を変更した場合の解析結果を説明する。
【0064】
図9は、本発明の実施形態に係る眼球運動解析システム22が出力する解析結果の別の一例を示す図である。
図10は、本発明の実施形態に係る眼球運動解析システム22が出力する解析結果のさらに別の一例を示す図である。なお、
図9および
図10に表示する眼振データは、
図8で表示した同じ表示範囲の眼振データである。また、
図9および
図10に表示するヒストグラムは、
図8で表示した同じ階級の個数で、同じ階級の幅である。
【0065】
図9に示す解析結果は、入力操作により閾値を0.1に変更した場合である。そのため、上段に示す眼振データには、眼球位置θのドットの略すべてが閾値以上となり、すべてのドットが黒色で表示されている。なお、
図8では、閾値以上となった眼球位置θのドット(急速相のドット)を白色で表示していたが、
図9のようにすべてのドットを白色で表示すると、表示を視認し難いので、すべてのドットを黒色で表示してある。
【0066】
図8では、緩徐相のドット間を実線で結び、急速相のドット間を破線で結ぶことで、緩徐相と急速相とを識別していた。しかし、
図9に示す眼振データでは、すべてのドットが急速相と判断されるため、正しく実線および破線を引くことができず、意味のない破線が表示されている。そのため、眼球運動解析システム22は、眼振データにおいて緩徐相と急速相とが適切に分離されていないことを視覚的に確認することができる。
【0067】
眼振データの略すべてが急速相であり、緩徐相が極端に少ないという分離結果に基づいているため、
図9に示すヒストグラムは、緩徐相と急速相とのなす角の数が4個あり、180度の階級に3個、および330度の階級に1個、緩徐相と急速相とのなす角が分布している。そのため、眼球運動解析システム22は、ヒストグラムにおいても緩徐相と急速相とが適切に分離されていないことを視覚的に確認することができる。
【0068】
一方、
図10に示す解析結果は、入力操作により閾値を8.0に変更した場合である。そのため、上段に示す眼振データには、
図8で急速相と分離された眼球位置θのドットの一部が緩徐相と分離され、白色のドットの一部が黒色のドットに変化している。しかし、
図10に示す眼振データは、
図9に示した眼振データと異なり、黒色のドット間を実線で結び、白色のドット間を破線で結ぶことができ、緩徐相と急速相とを識別することができる。これにより、使用者が、ディスプレイ21に表示された眼振データを見るだけで、緩徐相の部分と、急速相との部分とを識別可能に表示してあるので、眼振データにおいて緩徐相と急速相とが適切に分離されているか否かを視覚的に確認することができる。
【0069】
図10に示すヒストグラムは、緩徐相と急速相とのなす角の数が254個あり、0度の階級に3個、60度の階級に3個、90度の階級に3個、120度の階級に9個、150度の階級に24個、180度の階級に194個、210度の階級に9個、240度の階級に6個、および270度の階級に3個、緩徐相と急速相とのなす角が分布している。そのため、眼球運動解析システム22は、ヒストグラムにおいても緩徐相と急速相とが適切に分離されていることを視覚的に確認することができる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る眼球運動解析システム22は、緩徐相と急速相とのなす角の度数分布を算出することで、眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを容易に確認することができる。さらに、適切に分離した緩徐相と急速相とのなす角、およびそのなす角の度数分布を出力することで、眼球運動の診断に必要な情報を提供することができる。また、眼球運動解析システム22は、度数分布をヒストグラムで表示するので、眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを視覚的に確認することができるとともに、ヒストグラム同士を比較することで正常な眼球運動との比較が容易になる。
【0071】
また、本実施形態に係る眼球運動診断装置100は、眼球運動解析システム22において緩徐相と急速相とのなす角の度数分布を算出することで、眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができているか否かを容易に確認することができる。眼球運動診断装置100は、眼球運動解析システム22において適切に分離した緩徐相と急速相とのなす角、およびそのなす角の度数分布を出力することで、眼球運動の解析評価や診断に必要な情報を提供することができる。
【0072】
(変形例)
(1) 本実施形態では、ディスプレイ21に表示している眼振データの範囲に連動して分布算出部225が度数分布を算出するのではなく、使用者の入力操作に基づき眼振データの表示範囲を単に変更する構成について説明した。そこで、本変形例1では、ディスプレイ21に表示している眼振データに連動して度数分布を算出し、算出した度数分布でディスプレイ21の表示を更新する構成について説明する。
【0073】
本変形例1に係る表示範囲変更部228では、眼振データの表示範囲を変更した場合、その結果を分布算出部225に出力する。そのため、分布算出部225は、変更された表示範囲に含まれる眼振データで、度数分布を再度算出する。具体的に、表示範囲変更操作の処理を、フローチャートを用いて詳しく説明する。
図11は、本発明の実施形態の変形例1に係る眼球運動解析システム22の動作を説明するためのフローチャートである。
【0074】
まず、表示範囲変更部228は、使用者がマウスなど眼振データの表示範囲を指定した情報を読込む(ステップS101)。具体的に、使用者がスライドバー228aを左右に移動するなどの操作を行った情報が、表示範囲を指定する情報として表示範囲変更部228に読込まれる。
【0075】
次に、表示範囲変更部228は、読込んだ情報による表示範囲が、現在表示している表示範囲と同じか否かを確認する(ステップS102)。表示範囲変更部228は、読込んだ情報に基づく表示範囲が、現在表示している表示範囲と異なる場合(ステップS102:NO)、変更する眼振データの表示範囲の情報を分布算出部225に出力する。分布算出部225は、変更する眼振データの表示範囲の情報が入力されると、新たに指定した表示範囲に含まれる緩徐相と急速相とのなす角の度数分布を再度算出する(ステップS103)。
【0076】
次に、統計算出部227は、新たに指定した表示範囲に含まれる緩徐相と急速相とのなす角の統計量(統計データ)を再度算出する(ステップS104)。その後、出力部226は、分布算出部225で再度算出した度数分布のヒストグラムにディスプレイ21の表示を更新し、統計算出部227で再度算出した統計量の結果にディスプレイ21の表示を更新する(ステップS105)。
【0077】
一方、表示範囲変更部228は、読込んだ情報に基づく表示範囲が、現在表示している表示範囲と同じである場合(ステップS102:YES)、ステップS103〜ステップS105の処理をスキップして、現在、ディスプレイ21に表示しているヒストグラムや統計量の表示を維持する。
【0078】
以上のように、本変形例1に係る眼球運動解析システム22は、眼振データの表示範囲を変更した場合、変更した眼振データの表示範囲の度数分布を再度算出して、ディスプレイ21に表示するので、使用者が希望する眼振データの表示範囲の度数分布を容易に確認することができる。
【0079】
(2) 本実施形態では、使用者がディスプレイ21に表示している眼振データや、ヒストグラムを見て、スライダー229aなどを操作して閾値を変更し、変更した閾値に基づいて分布算出部225が度数分布を再度算出する構成について説明した。そこで、本変形例2では、分布算出部225が算出した度数分布や、統計算出部227が算出した統計量に基づいて、閾値変更部229が適正な閾値に設定されているか否かを判定し、閾値を変更する構成について説明する。
【0080】
図3に示すステップS308において、閾値変更部229は、閾値変更の入力操作が行なわれた否かを判定するのではなく、たとえば、分布算出部225から算出した度数分布の結果が入力され、当該度数分布の結果が所定の度数分布の範囲に入っているか否かを判定する。そして、閾値変更部229は、当該度数分布の結果が所定の度数分布の範囲に入っていない場合(ステップS308:YES)、閾値をたとえば「1.0」増加する変更を行ない、当該度数分布の結果が所定の度数分布の範囲に入っている場合、閾値に問題が無いと判定し(ステップS308:NO)、閾値を変更せずにステップS309に進む。
【0081】
以上のように、本変形例2に係る眼球運動解析システム22は、閾値変更部229が度数分布の結果が所定の度数分布の範囲になるように閾値変更を変更するので、眼振データを緩徐相と急速相とに適切に分離することができる閾値を自動で設定することが可能になる。
【0082】
なお、閾値変更部229は、分布算出部225から算出した度数分布の結果ではなく、統計算出部227が算出した統計量の結果が所定の統計量の範囲に入っているか否かを判定して、閾値を変更してもよい。たとえば、閾値変更部229は、統計算出部227が算出した歪度および尖度が、所定の範囲に入っているか否かを判定して、閾値を変更してもよい。
【0083】
(3) 本実施形態では、閾値を変更した場合、変更した閾値に基づいて算出された度数分布のヒストグラムをディスプレイ21に表示して、表示を更新する構成について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、たとえば、本変形例3では、変更した閾値に基づいて算出された度数分布のヒストグラムを、変更前のヒストグラムと比較可能となるように表示する。たとえば、出力部226は、閾値が異なる複数のヒストグラムの表示領域をタイリングしてディスプレイ21に表示しても、複数のヒストグラムを閾値順に並べて3次元的にディスプレイ21に表示してもよい。
【0084】
(4) さらに、本変形例4では、緩徐相の角速度をX軸、眼球運動解析システム22において適切に分離した緩徐相と急速相とのなす角をY軸として、眼振データをプロットした散布図をディスプレイ21に表示してもよい。
図12は、本発明の実施形態の変形例に係る眼球運動解析システム22が出力する散布図の一例を示す図である。
図12に示す散布図は、X軸に0度/秒〜20度/秒の緩徐相の角速度をとり、Y軸に0度〜360度の緩徐相と急速相とのなす角をとることで、緩徐相の角速度ごとの、緩徐相と急速相とのなす角のばらつきを表示する。この散布図から、緩徐相の角速度が遅いときには緩徐相と急速相とのなす角のばらつきが大きくなる傾向があり、逆に、緩徐相の角速度が速いときには緩徐相と急速相とのなす角のばらつきが小さくなる傾向があることが分かる。また、
図12に示すように、緩徐相の角速度ごとの、緩徐相と急速相とのなす角が180度付近に集中する分布の場合、正常な被験者の散布図であると考えられる。
【0085】
さらに、
図12に示す散布図では、プロットした眼振データをY軸へ投影することで、緩徐相と急速相とのなす角のヒストグラムを作成することができる。また、
図12に示す散布図では、プロットした眼振データをX軸へ投影することで、緩徐相の角速度のヒストグラムを作成することができる。
【0086】
なお、散布図を表示したディスプレイ21には、統計算出部227が散布図から算出した統計量を表示してもよい。また、出力部226は、閾値を変更した場合、変更した閾値に基づいて算出した散布図およびヒストグラムにディスプレイ21の表示を更新してもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。