特許第6019531号(P6019531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019531
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ガス遮蔽用材料
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/478 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   C04B35/46 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-210096(P2012-210096)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-65616(P2014-65616A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173522
【氏名又は名称】一般財団法人ファインセラミックスセンター
(73)【特許権者】
【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】松平 恒昭
(72)【発明者】
【氏名】北岡 諭
(72)【発明者】
【氏名】和田 匡史
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
(72)【発明者】
【氏名】大矢 豊
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 修
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−258670(JP,A)
【文献】 特開平03−043245(JP,A)
【文献】 特開平05−058722(JP,A)
【文献】 特開平09−249451(JP,A)
【文献】 特開2010−215416(JP,A)
【文献】 特開2003−320446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/46−35/493
C04B 41/87
B22D 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有しており、
前記YをYTi換算し、AlTiO及びYTiの合計を100モル%とした場合に、前記YTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
【請求項2】
チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有しており、
前記MgをMgTi換算し、AlTiO及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、前記MgTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
【請求項3】
チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有しており、
前記YをYTi換算し、前記MgをMgTi換算し、AlTiO、YTi及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、
前記YTiの含有割合は20モル%以下であり、
且つ前記MgTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
【請求項4】
溶融金属に接触する物に用いられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガス遮蔽用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮蔽用材料に関する。更に詳しくは、本発明は、ガスの透過を十分に抑制することができるガス遮蔽用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸アルミニウムセラミックス(AlTiO)は、熱膨張係数の大きな異方性を有するものであり、製造プロセスにおける焼成後の冷却過程で発生する熱応力によって、結晶粒界に多数の粒界き裂(マイクロクラック)が形成されている。この粒界き裂の存在により、チタン酸アルミニウムセラミックスの結晶粒子が加熱によって熱膨張しても、その膨張は多数の粒界き裂の閉塞とその後のき裂面の癒着によって吸収される。また、冷却によって熱収縮しても、その収縮は粒界き裂の生成とその後のき裂開口によって吸収される。そのため、チタン酸アルミニウムセラミックスの見掛け上の熱膨張係数は小さくなり、耐熱衝撃性及び断熱性に優れているといえる。そして、このような観点から、チタン酸アルミニウムセラミックスは、アルミニウム合金等の鋳造プロセスにおいて用いられる溶湯用接触部材としての使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−355970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、AlTiOは、上述のように粒界き裂を有する構造であるため、アルミニウム合金等の鋳造プロセスに用いた際には、還元性ガス(AlガスやMgガス)のAlTiO内部への浸透により、AlTiOが還元分解されてしまうという問題点がある。更には、AlTiOを低圧鋳造用のストークに適用する場合には、溶湯を吸い込む際に、同時にストーク外表面から大気を吸い込むため、溶湯を吸引する能力が低下すると共に、溶湯の一部が酸化してノロが発生し、それが鋳造欠陥なるという問題点がある。
そのため、耐熱衝撃性及び断熱性を備えるとともに、還元性ガス等のガスの透過を抑制することができる材料が求められているのが現状である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ガスの透過を十分に抑制することができるガス遮蔽用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
[1]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有しており、
前記YをYTi換算し、AlTiO及びYTiの合計を100モル%とした場合に、前記YTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[2]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有しており、
前記MgをMgTi換算し、AlTiO及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、前記MgTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[3]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有しており、
前記YをYTi換算し、前記MgをMgTi換算し、AlTiO、YTi及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、
前記YTiの含有割合は20モル%以下であり、
且つ前記MgTiの含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(Dmax50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[4]溶融金属に接触する物に用いられる前記[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のガス遮蔽用材料。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガス遮蔽用材料は、Al、Ti、Y及びOを含有する特定のチタン酸アルミニウム系酸化物により構成されており、Yを特定量含有しているため、優れたガス遮蔽性を備える。
また、本発明のガス遮蔽用材料は、Al、Ti、Mg及びOを含有する特定のチタン酸アルミニウム系酸化物により構成されており、Mgを特定量含有しているため、優れたガス遮蔽性を備える。
更に、本発明のガス遮蔽用材料は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有する特定のチタン酸アルミニウム系酸化物により構成されており、Y及びMgを特定量含有しているため、優れたガス遮蔽性を備える。
また、本発明のガス遮蔽用材料は、ガス遮蔽性に優れているため、溶融金属に接触する物に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】き裂開口の状態を模式的に説明する説明図である。
図2】き裂開口の状態を模式的に説明する説明図である。
図3】き裂開口の状態を模式的に説明する説明図である。
図4】実施例1のガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の粒度分布(長径)を示すグラフである。
図5】実施例2のガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の粒度分布(長径)を示すグラフである。
図6】実施例3のガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の粒度分布(長径)を示すグラフである。
図7】実施例4のガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の粒度分布(長径)を示すグラフである。
図8】比較例1のガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム酸化物の粒度分布(長径)を示すグラフである。
図9】酸素透過係数の計測に用いた装置の模式的な説明図である。
図10】単位粒界密度当たりの透過係数と温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]ガス遮蔽用材料(I)
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(AlTiO)にYTiが添加された複合酸化物であり、AlTiO相及びYTi相により構成される。
【0010】
上記チタン酸アルミニウム系酸化物に含有されるYの含有割合は、YTi換算で、AlTiO及びYTiの合計を100モル%とした場合に、20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
本発明においては、YTiの含有割合が、上記の範囲となっていることにより、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂のき裂長さを、YTiによる空隙のピン止め効果によって、AlTiOにおける粒界き裂のき裂長さよりも短くすることができる(図1を参照)。更には、複合酸化物における粒界き裂の開口幅を、AlTiOにおける粒界き裂の開口幅よりも狭くすることができる(図1参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図1における「AT」はAlTiOを示し、「YT」はYTiを示す。
但し、ここでいう「粒界き裂のき裂長さ」とは、1個のき裂(ひとつながりのき裂)の長さを意味する。
また、「粒界き裂の開口幅」とは、き裂の空間を形成している幅を意味する。
【0011】
また、チタン酸アルミニウム系酸化物全体を100質量%とした場合に、AlTiO及びYTiの合計は、80〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
【0012】
[2]ガス遮蔽用材料(II)
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(AlTiO)にMgTiが添加された複合酸化物であり、MgAl2(1−x)Ti(1+x)相(但し、xは0.1以下である。)により構成される。
【0013】
上記チタン酸アルミニウム系酸化物に含有されるMgの含有割合は、MgTi換算で、AlTiO及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
本発明においては、MgTiの含有割合が、上記の範囲となっていることにより、熱膨張異方性が低減し、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂の開口幅を、AlTiOにおける粒界き裂の開口幅よりも大幅に狭くすることができる(図2参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図2における「AT」はAlTiOを示す。
【0014】
また、チタン酸アルミニウム系酸化物全体を100質量%とした場合に、MgAl2(1−x)Ti(1+x)は、80〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
【0015】
[3]ガス遮蔽用材料(III)
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(AlTiO)にYTi及びMgTiが添加された複合酸化物であり、MgAl2(1−x)Ti(1+x)相(但し、xは0.1以下である。)及びYTi相により構成される。
【0016】
上記チタン酸アルミニウム系酸化物に含有されるY、Mgの各含有割合は、それぞれ、YTi換算、MgTi換算で、AlTiO、YTi及びMgTiの合計を100モル%とした場合に以下の通りである。
Tiの含有割合は20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
また、MgTiの含有割合は20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
本発明においては、YTi、MgTiの各含有割合が、それぞれ、上記の範囲となっていることにより、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂のき裂長さを、YTiによる空隙のピン止め効果によって、AlTiOにおける粒界き裂のき裂長さよりも短くすることができる(図3参照)。更には、Mgの固溶による熱膨張異方性の低減によって、複合酸化物における粒界き裂の開口幅を、AlTiOにおける粒界き裂の開口幅よりも大幅に狭くすることができる(図3参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図1における「AT」はAlTiOを示し、「YT」はYTiを示す。
【0017】
また、チタン酸アルミニウム系酸化物全体を100質量%とした場合に、MgAl2(1−x)Ti(1+x)及びYTiの合計は、80〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
【0018】
[4]各チタン酸アルミニウム系酸化物について
上述の各ガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の相対密度は、80〜98%であることが好ましく、より好ましくは85〜96%、更に好ましくは88〜94%である。
【0019】
また、上述の各ガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の平均クラスターサイズ(粒子長径の平均サイズ、Dmax50)は、2〜15μmであ、より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは2〜4μmである。このサイズが上記範囲である場合には、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。
尚、上記平均クラスターサイズ(Dmax50)は、焼結体サンプルを表面研磨の上、走査型電子顕微鏡で組織を撮影し、撮像組織を構成している全ての粒子をスケッチして、粒径解析ソフトにて全粒子の長径データを取り組み、存在確率が50%に対応した長径から算出することができる。
【0020】
また、各チタン酸アルミニウム系酸化物の製造方法については特に限定されない。具体的には、例えば、Al、Ti、Y、Mg等の元素を含む原料粉末(例えば、酸化物粉末、窒化物粉末、炭化物粉末等)を選択的に用いて、所望形状の成形体を作製し、得られた成形体を焼成することにより製造することができる。そして、得られたチタン酸アルミニウム系酸化物を、切削加工等により所望形状に加工することによりガス遮蔽用材料を製造することができる。
また、上記原料粉末における酸化物粉末は、複合酸化物であってもよい。この複合酸化物を製造する方法は特に限定されず、例えば、錯体重合法、共沈法、ゾルゲル法及び固相法等の公知の合成法を用いて製造することができる。
尚、各チタン酸アルミニウム系酸化物の製造に用いられる粉末は、市販品であってもよい。
【0021】
また、上記成形体の成形方法は特に限定されず、例えば、ホットプレス、熱間静水圧成形(HIP)、冷間静水圧成形(CIP)等の公知の方法を用いることができる。焼成時の条件は特に限定されず、例えば、焼成温度は約800〜1400℃、焼成雰囲気は、大気雰囲気や、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等とすることができる。
尚、焼結体の製造には、公知の焼結助剤等の添加剤を用いてもよい。
【0022】
[5]ガス遮蔽性の評価方法
本発明のガス遮蔽用材料におけるガス遮蔽性能は、例えば、次のように評価することができる。
ガス遮蔽用材料の一面側と他面側に、分圧の異なる腐食ガスを供給する。この際の、ガス遮蔽用材料の厚さ方向における腐食ガスの透過量の計測において、温度を変化させた場合の、その変化に対する透過量の依存性を評価する。そして、各々の温度における腐食ガスの透過係数を算出し、温度と単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、その相関に基づいて、ガス遮蔽用材料のガス遮蔽性能を評価することができる。
【0023】
上記ガス遮蔽性の評価方法では、試験片を作製し、この試験片の一面側と他面側に、分圧の異なる腐食ガスを供給する。この腐食ガスは、ガス遮蔽用材料が高温で用いられるときに、例えば、この部材を酸化させるガスであり、酸素ガス、水蒸気等が挙げられる。
尚、高腐食ガス分圧領域では、低分圧側には、Arガス等の不活性ガスが供給され、高分圧側には不活性ガスと微量の酸素ガスとの混合ガスを供給するが、不活性ガス及び混合ガスのいずれにも微量の腐食ガスが含有されているため、「分圧の異なる腐食ガスを供給する」と表現する。
【0024】
そして、分圧が異なることにより、腐食ガスが高分圧P(II)側から低分圧P(I)側に透過するが、この透過量を、各々の腐食ガスに適したガスセンサ等により計測する。また、低分圧側で腐食ガスの分圧が平衡に達した時点の分圧に基づき、下記式(1)に従って、粒界密度で除した透過係数(単位粒界密度当たりの透過係数)を算出する。
PL/Sgb=C・Q・L/Vst・S・Sgb (1)
(PL;透過係数、Sgb;粒界密度、C;透過した腐食ガスの濃度、Q;腐食ガスの流量、Vst;理想気体モル体積、S;試験片の面積、L;試験片の厚さ)
尚、上記粒界密度(Sgb)は、試験後の試験片表面の総粒界長をSEMで測定することで算出することができる。
【0025】
更に、温度を変化させたときに、低分圧側で腐食ガスの分圧が平衡に達した時点の分圧に基づき、各々の平衡分圧において上記式(1)に従って、それぞれの単位粒界密度当たりの透過係数を算出する。
このようにして、温度と、単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、絶対温度の逆数を横軸、単位粒界密度当たりの透過係数を縦軸とした両対数グラフを作成し、温度の変化に対する、単位粒界密度当たりの透過係数の依存性を評価し、単位粒界密度当たりの透過係数の絶対値によりガス遮蔽用材料のガス遮蔽性能を評価する。
【0026】
[6]用途について
本発明の各ガス遮蔽用材料は、上述のようにガス遮蔽性に優れているため、溶融金属に接触する物(溶融金属接触材)に用いられるものとすることができる。
上記溶融金属接触材の形状は特に限定されず、溶融金属に接触する物全体を構成していてもよいし、その物の一部を構成する部材であってもよい。具体的な溶融金属接触材としては、例えば、ストーク、樋、管路、溶湯搬送容器、ラドル、湯だまり等の鋳造用治工具等が挙げられる。
【0027】
また、上記溶融金属の種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、又はそれらの合金を主成分とする溶融金属を挙げることができる。
上記アルミニウム合金の種類は特に限定されず、一般的に、アルミニウム合金の鋳造プロセスにおいて用いられているものを挙げることができる。例えば、主成分であるアルミニウム(Al)と、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びスズ(Sn)等から選ばれる少なくも1種の金属との合金が挙げられる。
具体的には、一般用アルミニウム合金ダイカスト、特殊用アルミニウム合金ダイカスト等が挙げられる。一般用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Zが挙げられる。特殊用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC1、ADC3、ADC5、ADC6、ADC14が挙げられる。
【0028】
上記マグネシウム合金の種類は特に限定されず、一般的に、マグネシウム合金の鋳造プロセスにおいて用いられているものを挙げることができる。例えば、主成分であるマグネシウム(Mg)と、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び鉄(Fe)等から選ばれる少なくも1種の金属との合金が挙げられる。
具体的には、一般用マグネシウム合金ダイカスト、特殊用マグネシウム合金ダイカスト等が挙げられる。一般用マグネシウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、MDC1B、MDC1Dが挙げられる。特殊用マグネシウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、MDC2B、MDC3B、MDC4が挙げられる。
【0029】
上記銅合金の種類は特に限定されず、一般的に、銅合金の鋳造プロセスにおいて用いられているものを挙げることができる。例えば、主成分である銅(Cu)と、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)等から選ばれる少なくも1種の金属との合金が挙げられる。
【0030】
また、本発明の各ガス遮蔽用材料は、上述の溶融金属接触材以外にも、熱交換器(過熱器)等の過熱水蒸気システムにおける配管等の部材として用いることができる。
このガス遮蔽用材料を過熱水蒸気システムにおける配管として用いた場合には、優れたガス遮蔽性により、管外表面からの大気の吸い込みを抑制することができ、過熱水蒸気中の酸素分圧の上昇を抑制することができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。
【0032】
[1]AlTiOにYTiが添加された複合酸化物により構成されたガス遮蔽用材料の作製(実施例1)
(1−1)原料粉末の調製(AlTiO粉末の調製)
Al粉末(大明化学工業社製、商品名「タイミクロン」、純度:99.99%、平均粒径:1.6μm)と、TiO粉末(石原産業社製、商品名「PT−401M」、純度:99.99%、平均粒径:0.07μm)とを、Al及びTiOの合計を100モル%とした場合に、TiOが50モル%となる配合割合で、エタノールを加えてボールミル混合を24時間行った。次いで、75℃で乾燥した後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、混合粉末を調製した。
その後、混合粉末を、大気中において、5℃/分で1550℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって仮焼した。次いで、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、AlTiO粉末を得た。
【0033】
(1−2)原料粉末の調製(YTi粉末の調製)
チタニウムテトラ−iso−プロポキシド[Ti(O−iPr)]と、エチレングリコールと、無水クエン酸とを混合した。更に、無色透明になるまでビーカー内で混合して(50℃×1時間)、硝酸イットリウム・6水和物[Y(NO・6HO]をビーカー内に追加し、無色透明になるまで混合した(50℃×1時間)。尚、各成分の配合割合はモル比[チタニウムテトラ−iso−プロポキシド:硝酸イットリウム・6水和物:エチレングリコール:無水クエン酸]で、0.2:0.2:4:1である。
その後、130℃×10時間の条件にて、エステル化反応させた後、マントルヒーターを用いて、350℃×5時間の条件にて熱分解した。次いで、得られた熱分解物をアルミナ鞘に移し、大気中(0.3L/分の酸素気流中)において、5℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。その後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、チタン酸イットリウム(YTi)粉末を得た。
【0034】
(1−3)ガス遮蔽用材料の作製
上記AlTiO粉末及び上記YTi粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[AlTiO:YTi=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を4時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例1のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、AlTiO相とYTi相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるYの含有割合は、YTi換算で、AlTiO及びYTiの合計を100モル%とした場合に、5モル%である。更に、この焼結体の相対密度は96%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は5.6μmであった。尚、この焼結体(実施例1)における粒度分布(長径)を図4に示す。
【0035】
[2]AlTiOにYTiが添加された複合酸化物により構成されたガス遮蔽用材料の作製(実施例2)
上記(1−1)で得られたAlTiO粉末、及び上記(1−2)で得られたYTi粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[AlTiO:YTi=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例2のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、AlTiO相とYTi相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるYの含有割合は、YTi換算で、AlTiO及びYTiの合計を100モル%とした場合に、5モル%である。更に、この焼結体の相対密度は96%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は4.1μmであった。尚、この焼結体(実施例2)の粒度分布(長径)を図5に示す。
【0036】
[3]AlTiOにMgTiが添加された複合酸化物により構成されたガス遮蔽用材料の作製(実施例3)
(3−1)原料粉末の調製(MgAl2(1−x)Ti(1+x)粉末の調製)
Al粉末(大明化学工業社製、商品名「タイミクロン」、純度:99.99%、平均粒径:1.6μm)と、TiO粉末(石原産業社製、商品名「PT−401M」、純度:99.99%、平均粒径:0.07μm)と、Mg化合物粉末[4MgCO・Mg(OH)・5HO粉末(関東化学社製)]を、Al、TiO及びMg化合物(MgTi換算)の合計を100モル%とした場合に、TiOが52.38モル%、MgTiが4.76モル%となる配合割合で、エタノールを加えてボールミル混合を24時間行った。次いで、75℃で乾燥した後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、混合粉末を調製した。
その後、混合粉末を、大気中において、5℃/分で1550℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって仮焼した。次いで、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、MgAl2(1−x)Ti(1+x)粉末を得た(尚、x;0.1)。
【0037】
(3−2)ガス遮蔽用材料の作製
上記MgAl2(1−x)Ti(1+x)粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例3のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、MgAl2(1−x)Ti(1+x)相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるMgの含有割合は、MgTi換算で、AlTiO及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、10モル%である。更に、この焼結体の相対密度は93%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は6.8μmであった。尚、この焼結体(実施例3)の粒度分布(長径)を図6に示す。
【0038】
[4]AlTiOにYTi及びMgTiが添加された複合酸化物により構成されたガス遮蔽用材料の作製(実施例4)
上記(3−1)で得られたMgAl2(1−x)Ti(1+x)粉末、及び上記(1−2)で得られたYTi粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[MgAl2(1−x)Ti(1+x):YTi=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例4のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、MgAl2(1−x)Ti(1+x)相とYTi相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるMg及びYの含有割合は、それぞれ、MgTi換算、YTi換算で、AlTiO、YTi及びMgTiの合計を100モル%とした場合に、それぞれ、10モル%である。更に、この焼結体の相対密度は97%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は4.7μmであった。尚、この焼結体(実施例4)の粒度分布(長径)を図7に示す。
【0039】
[5]AlTiOにより構成された比較用のガス遮蔽用材料の作製(比較例1)
上記(1−1)で得られたAlTiO粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を3時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、比較例1のガス遮蔽用材料を得た。
そして、この焼結体の相対密度は90%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は5.0μmであった。尚、この焼結体(比較例1)の粒度分布(長径)を図8に示す。
【0040】
[6]性能評価及びその結果
(6−1)試験片の作製
実施例1〜4及び比較例1のガス遮蔽用材料を切削加工することにより、直径23.5mm、厚さ0.25mmの各試験片を作製した。尚、各試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
【0041】
(6−2)酸素透過特性の評価
図9に示すガス透過係数測定装置100を用いて、酸素透過特性の評価を行った。尚、図9における矢印はガスの流れを示す。
この際、酸素分圧差の条件として、PO2(I)=1Pa、PO2(II)=10Paにおいて酸素透過特性を評価した。
具体的には、2本のアルミナ保護管の間にガラスシール2を介して試験片3を配置した。その後、試験片3の両側に100cc/分の流速で高純度Arガスを供給した。ここで、ガラスシール2と試験片3との間のガスリークの影響を防止するため、上下のアルミナ保護管11、12の外側に、更にアルミナ保護管(外側アルミナ保護管13)を配置し、外側と内側の保護管の間にも同一流速にて高純度Arガスを供給した。
【0042】
その後、上下のチャンバーの酸素分圧を、それぞれ酸素センサ(ジルコニアセンサ)61、62により計測しながら、電気炉8により900℃まで昇温させてガラスシール2によるシールを完成させ、次いで、計測温度まで降温させた。酸素分圧の計測は酸素センサ61、62を720℃に保持して実施した。その後、各々のセンサの出力が一定となった時点で、上下チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値とした。
【0043】
次いで、上側チャンバーの供給ガスを高酸素分圧ガス(100体積%のOガスであり、下側チャンバーに供給される高純度Arガスより更に酸素分圧が高い。)に切り替え、100cc/分の流速で供給し、上下チャンバーの酸素分圧の変化をモニターした。そして、それぞれのセンサの出力が一定となった時点で、下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値との差分から、前記式(1)に基づいて酸素ガスに係る単位粒界密度当たりの透過係数PL/Sgbを算出した。
その後、電気炉8により温度を変化させ、各々の温度における下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値との差から、前記式(1)に基づいて、それぞれの酸素ガスに係る単位粒界密度当たりの透過係数PL/Sgbを算出した。
【0044】
図10によれば、各測定温度において、AlTiOに何も添加されていない焼結体により構成される試験片(比較例1)の単位粒界密度当たりの透過係数よりも、AlTiOに、YTi及びMgTiの少なくとも一方が添加された焼結体からなる試験片(実施例1〜4)の単位粒界密度当たりの透過係数の方が低く、ガス遮蔽性に優れていることが分かった。
また、YTi及びMgTiの少なくとも一方が添加された焼結体からなる試験片(実施例1〜4)のなかでは、MgTiが添加された焼結体からなる試験片(実施例3)、YTiが添加された焼結体からなる試験片(実施例1〜2)、YTi及びMgTiの両者が添加された焼結体からなる試験片(実施例4)の順に、単位粒界密度当たりの透過係数が低くなっており、実施例4が最もガス遮蔽性に優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のガス遮蔽用材料は、耐熱衝撃性及び断熱性を備えるとともに、還元性ガス等のガスの透過を十分に抑制することができるため、アルミニウム合金等の溶融金属を用いた鋳造プロセス分野において好適に利用することができる。更には、熱交換器(過熱器)等の過熱水蒸気システム分野においても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100;ガス透過特性評価装置、11;上側アルミナ保護管、12;下側アルミナ保護管、13;外側アルミナ保護管、2;ガラスシール、3;円板状試験片、4;Arガス供給配管、61、62;酸素センサ、71、72;ガスクロマトグラフィ、8;電気炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10