特許第6019537号(P6019537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019537不規則な開口部形状を伴う液晶ディスプレイ・マトリックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019537
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】不規則な開口部形状を伴う液晶ディスプレイ・マトリックス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20161020BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G02F1/1368
   G02F1/1343
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-553899(P2013-553899)
(86)(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公表番号】特表2014-510304(P2014-510304A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012052449
(87)【国際公開番号】WO2012113673
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年1月14日
(31)【優先権主張番号】1151416
(32)【優先日】2011年2月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510163846
【氏名又は名称】コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ロッシーニ、ウンベルト
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−276587(JP,A)
【文献】 特開2006−330472(JP,A)
【文献】 特開2009−223098(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0246404(US,A1)
【文献】 米国特許第06833882(US,B1)
【文献】 特開2004−048032(JP,A)
【文献】 特表2002−526811(JP,A)
【文献】 特開2011−191791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行および列の画素の規則的な配列を備えるアクティブ・マトリックス液晶であって、各画素は隣接する2つの行導体および隣接する2つの列導体と境界を接し、各画素に対して、透明電極によって覆われた透明領域と不透明領域とを伴い、前記不透明領域は、前記画素内における、前記行導体(L)と前記列導体(C)と前記画素の前記電極に接続された前記画素用制御トランジスタ(T)との存在に由来する、アクティブ・マトリックスにおいて、
前記画素は少なくとも3つの可能な幾何学的構成を備え、前記画素と境界を接する前記行および列導体に対する前記トランジスタの位置は、前記複数の構成において異なり、前記複数の構成は、前記マトリックスの少なくとも1つの領域内に擬似ランダムに分布し、該領域は少なくとも100個の隣接画素の群を含むことを特徴とするアクティブ・マトリックス。
【請求項2】
前記マトリックスは、前記画素の前記幾何学的構成が擬似ランダムである複数の領域の周期的な配置を備えることを特徴とする請求項に記載のアクティブ・マトリックス。
【請求項3】
前記画素は少なくとも5つの可能な構成に従って分布されることを特徴とする請求項1または2に記載のアクティブ・マトリックス。
【請求項4】
前記画素は、左下のトランジスタ、中央下のトランジスタ、右下のトランジスタ、左中央のトランジスタ、左上のトランジスタの構成のうちの1つを取ることができることを特徴とする請求項に記載のアクティブ・マトリックス。
【請求項5】
前記幾何学的位置の少なくとも1つにおいて、前記トランジスタは、行導体(または列導体)に隣接しているが、それが接続されるべき列導体(または行導体)には隣接しておらず、前記トランジスタとこの列導体(または行導体)との間の接続が、前記行導体(または列導体)上に重ねられた導体によって与えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクティブ・マトリックス。
【請求項6】
前記行導体(または列導体)上に重ねられた導体を介する前記接続は、前記行導体(または列導体)の上を延びる前記列導体(または行導体)の延長部分であることを特徴とする請求項に記載のアクティブ・マトリックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ・マトリックス液晶ディスプレイに関し、より詳細には、マイクロエレクトロニクス技術に端を発する集合的作製技術(特に「リキッド・クリスタル・オン・シリコン」に対するLCOSと言われる技術)を用いて製造されるマイクロ・ディスプレイに関する。これらのディスプレイでは、マトリックスの各画素に制御トランジスタが付随し、このトランジスタは、液晶の制御電極を含む同じ基板上に一体化されている。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティブ・マトリックス・ディスプレイは、行および列の画素のマトリックスを備え、各画素には液晶が、他の画素の電極から分離された個々の画素電極と、すべての画素に共通の対極との間に含まれている。画素電極と共通電極との間に電圧が印加されることによって電界が生成され、この電界によって液晶の分子が、電界強度に従って配向される。この配向は、結晶を通過する光の偏光に作用し、偏光子の使用との組み合わせで、印加電界に依存する光の透過レベルを定める。同じ列のすべての画素の画素電極が、制御トランジスタ(画素の能動素子)によって個々の列導体に接続されている。列導体は、所定の時点で、画素に適用すべきグレー・レベルを定めるアナログ電圧を受け取る。トランジスタが導通状態の場合には、この電圧は画素電極に印加され、そうでない場合には、画素は、絶縁されたキャパシタとして振る舞って、以前に受け取った電圧レベルを保存する。同じ行の画素の制御トランジスタは、個々の行導体を介して制御される。その結果、画像フレームの書き込みの間に、マトリックスのいくつかの行が連続してアドレス指定されて、アドレス指定された行の画素中に所定の時点で、列導体からこの時点で加えられた情報を書き込むことが図られる。
【0003】
図1に、このようなマトリックスの一般的な構造を示す。ここで、CLは液晶セルを示し、Qはこのセルに付随するトランジスタを示し、セルおよびトランジスタのアセンブリ全体によって画素が形成されている。セルの共通の対極をCEで示し、画素の個々の電極(他の画素の個々の電極には電気的に接続されていない)をEpで示す。行制御導体を、n行を有するマトリックスの場合にL〜Lで示す。列導体は、m列を有するマトリックスの場合にC〜Cである。行デコーダDECによって、いくつかの行が連続してアドレス指定される。行がアドレス指定されると、デジタル・アナログ変換回路DACから列導体に、この行によって表示されるべき画像を表わす一組のアナログ電圧が印加される。変換回路は、これらのアナログ電圧をデジタル信号に基づいて設定する。シーケンス回路SEQによって、行デコーダおよび変換回路DACの同期動作が確実にされる。
【0004】
マイクロ・ディスプレイは、反射モード(LCOS技術ではもっとも一般的である)または透過モードで動作することができる。
【0005】
非常に小さいアクティブ・マトリックス・ディスプレイを作製する際、画素の寸法は、一辺が数マイクロメートルもの小さい値になる可能性がある。たとえば、画素のピッチは5マイクロメートルであり、これは非常に小さい。画素用に確保された表面積内に、アドレス指定行のための場所、信号列のための場所、および制御トランジスタのための場所を設けなければならない。これらの要素が占める表面積は、光が液晶を透過することには利用できない。なぜならば、それらは不透明だからであり、たとえば導体が銅またはアルミニウムで作られている場合である。また、もともと不透明というわけではないとしても、トランジスタは、不透明層によって光から保護しなければならない。不透明層がないと、その動作は、マトリックスを照明する光源の影響を受ける可能性がある。
【0006】
結果として、画素を光が透過するのは、画素に割り当てられた表面積全体の限られた部分上でのみである。一例として、ピッチが行および列において5マイクロメートルの場合は、画素用に確保される表面積は25平方マイクロメートルである。行および列はそれぞれ、画素の長さに渡って約1〜2平方マイクロメートルを占める可能性があり、トランジスタは約5平方マイクロメートルである。したがって、不透明表面が占めるのは、この例では、7〜9平方マイクロメートルである。一般的に言って、画素の開口部、言い換えれば、光が通過できる表面積と画素の全表面積との間の比率は、約65%〜70%の範囲である。
【0007】
図2に、このようなマトリックスの画素の不透明および透明領域を象徴的に示す。不透明の行および列導体は、画素およびフレームのエッジに位置する。これらは、一方で、個々の透明電極によって覆われた透明部分を備え、他方で、画素電極に接続されたトランジスタ(やはり不透明)を備える領域である。簡単にするために、行Lおよび列C導体は、一定幅lの厳密に直線であると考える。トランジスタTは、一辺aの四角形であると考えるが、別の形状を有することもできる。画素のピッチは、行および列の両方に沿って値pに等しいと考える。トランジスタは左下隅に配置され、仮定として、そのゲートは、トランジスタの真下に位置する行導体に接続され、そのドレインは、トランジスタのすぐ左に位置する列導体に接続されているとする。画素の液晶を制御するために用いられる透明電極は図示していない。透明電極は、少なくとも、行、列、およびトランジスタの不透明領域間で開いた状態になっている開口部の表面積を占めるが、画素のほぼ全面を占めることができる。
【0008】
単純な幾何学的構成たとえば図2に示すものの場合、画素のサイズにしたがって画素内に存在するパターンのサイズが非常に小さいために、光学的欠陥が生じることが観察されている。これは主に、パターンのサイズが、マトリックスを通過する光の波長とそれほど離れていないという事実に起因する。これが原因で生じる光の回折は問題である。ディスプレイを画像の観察または投影用に用いた場合、この問題によって画像の品質が影響を受ける。ディスプレイを高品質光学素子における波面の補正用に用いた場合、この問題によってさらに大きい影響を受ける。なぜならば、回折に起因する干渉のレベルは、適用すべき補正よりも大きい可能性があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、不透明パターンによる光の回折に起因して観察される光学的欠陥を可能な限り減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、行および列の画素の規則的な配列を備えるアクティブ・マトリックス液晶であって、各画素は隣接する2つの行導体および隣接する2つの列導体と境界を接し、各画素に対して、個々の透明電極によって覆われた透明領域と不透明領域とを伴い、不透明領域は、画素内における、行導体と列導体と画素の電極に接続された画素用制御トランジスタとの存在に由来し、画素は少なくとも3つの可能な幾何学的構成を備え、画素と境界を接する行および列導体に対するトランジスタの位置は、複数の構成において異なり、複数の構成は、マトリックスの少なくとも1つの領域内に擬似ランダムに分布することを特徴とするアクティブ・マトリックスが提供される。
【0011】
擬似ランダムは、主に、複数の構成の分布が領域の内部で周期的ではないという事実を指していると理解される。領域には好ましくは、少なくとも100個の隣接画素が含まれている。より詳細には、本発明によれば、構成は、同じ行または同じ列における少なくとも10個の一連の隣接画素に対して擬似ランダムであり、言い換えれば、行および列において構成の周期性はない。
【0012】
画素の開口部の複数の幾何学的構成が擬似ランダム分布であることから、制御トランジスタの位置が可変であることに起因して、すべての画素に対して構成が同じ場合に観察される回折ピークが非常に大きく減る。
【0013】
マトリックス全体を擬似ランダム分布によって組織化すること、したがってマトリックス内に周期性が全く無いことが、行内であろうと列内であろうと好ましい。しかし、リソグラフィ・マスクのデザインが容易であるということに関連する理由から、擬似ランダム分布を、マトリックスの同一方法で繰り返される部分に限定しても良い。これは、これらの領域の繰り返しピッチが画素のピッチよりもはるかに大きい限り(少なくとも10倍)可能であり、当然のことながら光の波長よりもはるかに大きい(少なくとも100倍)。実際、広いパターン(したがって、寸法が波長よりもはるかに大きい場合)の周期性に起因する回折の重大さは、短い周期性に起因する回折の場合よりもはるかに小さい。
【0014】
好ましい実施形態において、画素には5つの可能な構成がある。
【0015】
この場合、構成は以下のようにすることができる。左下のトランジスタ、中央下のトランジスタ、右下のトランジスタ、左中央のトランジスタ、左上のトランジスタ。列は垂直方向に、行は水平方向に配向されると仮定する。
【0016】
実際には、幾何学的位置の少なくとも1つにおいて、トランジスタは行導体(またはそれぞれ列導体)に隣接しているが、トランジスタが接続されるべき列導体(またはそれぞれ行導体)には隣接していない場合がある。この場合、接続することによって画素の開口部が小さくなるおそれがある。これを回避するために、トランジスタとこの列導体(またはそれぞれ行導体)との間の接続を、行導体(またはそれぞれ列導体)上に導体を重ねることによって行なう。したがって、それは、もとから不透明な領域上に重ねられることになり、開口部を小さくしない。
【0017】
このように行導体(またはそれぞれ列導体)上に重ねられた接続導体は単に、行導体(またはそれぞれ列導体)上を延びる列導体(またはそれぞれ行導体)の延長部分となることができる。
【0018】
本発明の他の特徴および優位性は、以下に続く、添付の図面を参照して述べられる詳細な説明を読むことによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】アクティブ・マトリックス液晶の概略的な回路図を示す図である。
図2】透明領域および不透明領域を伴うマトリックスの画素の幾何学的構成を単純化した形態で示す図である。
図3】従来技術からの画素のマトリックスの全体的な概観を示す図である。
図4図3のマトリックスの幾何学的なパターンの仮想分解を示す図である。
図5】本発明によるマトリックスの画素が、トランジスタの位置が変化する5つの可能な構成を取ることができることを示す図である。
図6】トランジスタが、それが接続されるべき列導体(または行導体)に隣接していないときに、画素の開口部を小さくすることなく、トランジスタを列導体(または行導体)に接続する1つの方法を示す図である。
図7】マトリックス内に5つの構成が擬似ランダムに分布しているときのマトリックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3に、図2の従来技術の画素を用いるアクティブ・マトリックスの全体的な概観を示す。
【0021】
幾何学的なパターンが、行および列の両方に沿ってピッチp(数マイクロメートル)で規則的に繰り返されていることが分かる(ピッチは異なることができる)。
【0022】
パターンの要素が小型であるために、マトリックスを通過する光の回折が無視できないものになっている。この回折が起きるのは主に、マトリックスが透過モードで動作する場合である。
【0023】
マトリックスが規則的であるために、回折は一様ではなく、法線に対して特徴のはっきりした方向に沿って生じる回折ピークを含んでいる。これらの方向は、画素配列のピッチと波長との間の比率に関係している。
【0024】
1つの典型的なマトリックスとして、ピッチが5マイクロメートルで、行および列の幅が0.2マイクロメートルで、トランジスタの一辺が2.3マイクロメートルである場合、シミュレーションによって、ある波長に対して回折ピークが約5.7°の倍数の角度で観察され、一次のピーク(法線から5.7°に中心がある)は高次のピークよりもはるかに大きい。
【0025】
実際には、回折関数を計算することによって、回折ピークは、行および列の配列のみに起因する回折と、トランジスタの配列のみに起因する回折との重ね合わせによって生じていることを示すことができる。図3の幾何学的なパターンは、実際、図4に示す2つのパターンに仮想的に分解しても良い。幅lの行および列とピッチpで繰り返される幅p−lのフレーミング開口部とのみを含むパターンと、ピッチpで繰り返される一辺がaの不透明四角形のみを含むパターンである。
【0026】
画素の透過関数Tlc(x,y)を、ピッチpで繰り返される一辺が(p−l)の四角形開口部の規則的な配列において、少なくとも近似的に直接計算しても良い。ここで、xおよびyはマトリックスの平面内の点の座標である。行および列は、実際このようなアレイを形成する。
【0027】
また画素の透過関数Tap(x,y)を、ピッチpで繰り返される一辺aの四角形開口部の仮想的な配列の場合で計算しても良い。不透明トランジスタの配列は一辺aの四角形開口部の配列ではない。なぜならば、一辺aの四角形は実際には不透明だからである。しかし不透明トランジスタ単独(不透明の行および列がない)の配列の透過関数Ttr(x,y)は、一辺aの四角形開口部の透過関数の1に対する補数である。
Ttr(x,y)=[1−Tap(x,y)]
【0028】
個の画素のマトリックスが波長lの単色光源で照明されたときに生じる回折画像は、フラウンホーファー近似において、不透明の行および列の存在に由来する関数Tlc(x,y)と不透明トランジスタの配列に由来するTtr(x,y)とのフーリエ変換の畳み込みである。
【0029】
F{Tpix(x,y)}=F{Tlc(x,y)}*conv*F{Ttr(x,y)}
ここで、Fはフーリエ変換関数を示し、Tpix(x,y)は図2の画素の透過関数を示し、*conv*は関数「畳み込み積」である。
【0030】
計算の詳細に入る前に、次のことを示すことができる。すなわち、N個の画素配列の回折に対する寄与が不透明トランジスタの配列(関数Ttr(x,y))に大きく起因するのは、一次の回折ピークに関する限りであり、3次の回折ピークはそれほどではないということである。回折ピークにおける回折強度は、同じ寸法aおよびピッチpを有する不透明四角形の配列および透明開口部の配列に対して同じであり、非回折強度のみが明らかに同じではない。
【0031】
シミュレーションに対して選択された寸法を用いて計算することによって、一次のピークには、トランジスタ配列に起因する成分が、行および列の配列に起因する成分よりもほぼ20倍高い値で含まれていることが示されている。
【0032】
ピークの幅は1/Nで変化し、それらの高さはNで変化する。エネルギーの積分はNで変化する。
【0033】
この回折は、不透明領域の寸法が波長に近いときはいつも、防ぐことができない。本発明によれば、特定の角度において局在化されるピークを回避するために、回折エネルギーが大角度領域上に分布される。
【0034】
このため、不透明トランジスタの配列を不規則にすることが選ばれる。なぜならば、それは、最大の寄与が得られる配列だからである。
【0035】
任意的に、不規則な形状をさらに行および列に与えて、回折に対するそれらの寄与を減らすようにしても良いが、行の伝導性に対して(または伝導性の低下を補償するために行および列の幅を大きくすると画素の開口部に対して)負の結果となる。さらに、不規則な形状を行および列に与えることによって、画素の表面積が画素ごとに変化してしまう可能性がある。その結果、電荷が変化し、したがって電界が無制御となる。
【0036】
トランジスタの配列を不規則にするために、本発明においては、トランジスタは画素の表面積内で複数の可能な位置を占めることができ、また複数の位置を、行または列に沿って移動したときに擬似ランダムに(言い換えれば、本質的に非周期的に)分布させることができる。
【0037】
特定の周期性を大きい規模で存在させることができる。言い換えれば、波長よりもはるかに大きい周期性、好ましくは、波長より少なくとも50倍または100倍大きい周期性である。しかし、少なくとも10または20個以上の隣接画素の規模では、行内または列内において、複数の構成の画素の分布はどんな周期性も備えてはいない。
【0038】
マトリックス内では、少なくとも3つの異なる構成の画素が設けられ、好ましくは少なくとも5つである。
【0039】
図5に、マトリックス内に擬似ランダムに分布された5つの異なる幾何学的構成を示す。これらの構成をローマ数字I〜Vで示す。この例でなされている仮定は、トランジスタは常に、そのゲートが、トランジスタの真下に位置する行導体に接続され、そのドレインが、トランジスタの左に位置する列導体に接続されているということである。トランジスタの位置が、それが接続される行または列導体に接触する箇所にある場合には、導体とトランジスタとを結合する接続(不透明)は図示していないが、トランジスタが、その真下に位置する行導体またはその左に位置する列導体から離れているときには、接続を図示している。この接続によって画素の開口部が数パーセント減ることに注意されたい。
【0040】
この例で採用した構成は、トランジスタを表わす不透明領域が常に、行導体または列導体に接触している構成である。
【0041】
構成Iでは、不透明トランジスタは左下に位置していて、行および列導体に隣接している。
【0042】
構成IIでは、トランジスタは中央下に位置していて行導体のみに接触しており、列導体に対するリンクが設けられている。
【0043】
構成IIIでは、トランジスタは右下に位置し、列導体への接続は構成IIの場合よりも長い。
【0044】
構成IVでは、トランジスタは左中央に位置し、リンクが行導体に対して設けられている。
【0045】
最後に、構成Vでは、トランジスタは左上に位置し、より長い接続が行導体に対して設けられている。
【0046】
他の構成も想定可能であり、特にトランジスタは以下のように位置する。
−中央上
−右上
−中央真ん中
−右中央
【0047】
採用された構成が、トランジスタを表わす不透明領域が常に行導体または列導体に接触している構成である場合、行または列導体に対して導入される付加的な接続を、場合に応じて、それぞれ列または行導体に対する重ね合わせとして、これらの導体の金属レベルとは異なりこれらの導体から電気的に絶縁された金属レベル上に形成することができて優位である。その結果、トランジスタが列に沿って複数の異なる位置を有する場合、行信号は、たとえば、列導体に対する重ね合わせとしてデザインされた行金属を介して通過する。したがって、画素の開口部は影響を受けない。
【0048】
このタイプの構成は、画素の開口部を変えないため優位である。
【0049】
図6にこの可能性を例示する。図示では、トランジスタが図5−IIの場合と同じ5番目の幾何学的位置にあるが、トランジスタと行との間の導体リンクが、すでに不透明である部分に重ねられた接続によって変更されている。そのため、図V−IIの場合のようにこの接続のための不透明領域によって画素の開口部が減ることはない。ここでは、列導体の延長部分が、トランジスタに達する前は行導体上に重ねられていることによって、列と導体との間の接続が非常に単純に形成されている。これらの接続は、行および列導体のそれとは異なる金属レベルによって形成することもできる。
【0050】
図7に、図5の5つの構成を用いたマトリックスの一例を示す。行および列の両方に擬似ランダムに分布されている。図7のパターンをマトリックスの他の部分で繰り返しても良く(マスクのデザインを容易にするため)、その場合、繰り返しは、波長よりもはるかに長い繰り返しピッチ、好ましくは、波長の少なくとも100倍で行なう。実際には、繰り返し可能な擬似ランダム構成のパターンには、少なくとも50個の画素が含まれる。図6では、図に過度な負荷をかけないように、トランジスタと行との間の分離に必要な接続は示していない。
【0051】
前述の説明では、トランジスタを表わす不透明領域は、簡単にするために四角形であると示してきたが、他の形状を有することもできる。行および列の方向に対して斜め傾斜を有する形状であれば、回折ピークの広がりが助長される。したがって、多角形形状のトランジスタが好ましい。八角形形状であれば、六角形形状よりも良好な広がりが得られ、六角形形状自体は、四角形形状よりも良好である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7