【実施例】
【0116】
実施例1
ハイグロマイシンB及びピューロマイシン抗生物質薬剤選択マーカーをそれぞれ含む完全ヒト免疫グロブリン重(IgH)鎖及び免疫グロブリン軽(IgL)鎖のレトロウイルス発現ベクターのクローニング 先述のとおり、本発明は、種々の設計の結合タンパク質のレトロウイルス発現ベクター(例えば、
図4a〜cを比較)により実現することができる。本発明を実現するために用いることのできるベクター設計の1つの例として、レトロウイルス発現ベクターについての、完全ヒトIgG
1/κL抗体の発現、及び標的細胞内でこうしたベクターを安定的に維持するための抗生物質耐性マーカーを用いた選択を可能にする詳細なクローニング戦略が、本明細書に記載される。
【0117】
a)ヒト免疫グロブリン重(IgH)鎖のレトロウイルス発現ベクターの構築
レトロウイルスヒト免疫グロブリン重鎖発現ベクターを構築するための出発点として、市販のレトロウイルスベクターpLHCX(BD−Clontech、Mountain View,CA)を用いた(
図5a)。pLHCXは、レトロウイルス骨格の5’LTRプロモーターによって駆動されるハイグロマイシンB耐性マーカー遺伝子を含む。加えて、pLHCXは、CMV前初期プロモーターと、その後ろに、発現させる対象の遺伝子を挿入するための単純な多重クローニング部位(MCS)とを含む。加えて、pLHCX骨格は、CMVプロモーターの上流に、好都合な固有のBglII制限酵素部位を含み(
図5a)、そこにさらなる遺伝子要素をクローニングすることができる。
【0118】
本発明の好ましい実施形態は、ヒト定常γ1重鎖コード領域に対するヒトV
Hコード領域のインフレームクローニングのためにEco47III制限酵素を用いるものである。これは、この特定の制限酵素部位を、発現するIgH鎖のアミノ酸組成を変化させることなく、V
Hコード領域とCγ1コード領域との間の接合部に導入することができるためである。しかしながら、pLHCXは、Ψパッケージングシグナル内に1つのEco47III制限酵素部位を含み(
図5a)、このため、上述のV
H領域クローニング戦略にEco47IIIを単純に用いることはできない。pLHCXベクター骨格からこの不都合なEco47III制限酵素部位を取り除くため、
図5aに詳細に示すとおりの、以下の第1の予備クローニングステップを実施した。市販のQuikchange(商標)キット(Stratagene、La Jolla,CA)を用いた部位特異的突然変異誘発により、製造者の指示に従い、所望の突然変異をもたらす特異的プライマー対を用いて、Eco47III認識配列AGCGCTの3番目のCヌクレオチドをAに置換して、Ψパッケージングシグナル内のEco47III部位を取り除いた。改変されたベクターはpLHCX−m1と命名し、Ψ(プサイ)パッケージングシグナルにおけるこの単一の塩基対の置換が、改変ベクターpLHCX−m1のレトロウイルス形質導入の効率性に影響を及ぼさないことを確認した(データは示さず)。
【0119】
pLHCX−m1骨格に、膜貫通コード領域M1及びM2を有する、又は有しないヒトCγ1の定常領域をコードするcDNAを同時にクローニングした。RT−PCRにより、鋳型としてのヒト末梢血リンパ球のcDNAと、フォワード及びリバースプライマー配列番号1、配列番号2、配列番号3とを使用して(下記参照)、Cγ1−m及びCγ1−s DNA断片を増幅した。膜結合型のヒトIgGのRT−PCR増幅には、配列番号1と配列番号2とのプライマーの組み合わせを用い、分泌型のヒトIgGのクローニングには、配列番号1と配列番号3とのプライマーの組み合わせを用いた。フォワード及びリバースPCR増幅プライマーは、それぞれ、HindIII及びClaI制限酵素部位を含み、それによりPCR増幅断片を、pLHCX−m1内のCMVプロモーターの下流にある固有のHindIII及びClaI部位に定方向性クローニングすることが可能であった(
図5a)。フォワードPCR増幅プライマーは、発現する完全長IgG
1重鎖のアミノ酸組成を変化させることなく、V
H領域を定常領域とインフレーム融合するのに有用な内部Eco47III部位をさらに含んだ。リバースPCR増幅プライマー配列番号2及び配列番号3は、さらなる内部NotI部位を含み、これにより、例えば、種々のIgアイソタイプを発現させるための定常領域コード領域の交換など、一般的なクローニングを目的とした、コード領域のすぐ下流でのコンストラクトの制限酵素消化が可能であった。
【数1】
【0120】
配列番号1と共に、分泌型のヒトIgG
1をPCR増幅するためのリバースプライマーとしてプライマー配列番号2を使用し、これは、クローニングを目的とした固有のNotI部位(下線)を含んだ。
【数2】
【0121】
配列番号1と共に、膜結合型のヒトIgG
1をPCR増幅するためのリバースプライマーとしてプライマー配列番号3を使用し、これは、クローニングを目的とした固有のNotI部位(下線)を含んだ。
【数3】
【0122】
分泌型のヒトCγ1について約1.0kbの、及び膜結合型のヒトCγ1について約1.2kbの得られたPCR産物を、HindIII及びClaI制限酵素で消化し、同時に適合する制限酵素部位のpLHCX−m1に定方向性クローニングし、結果としてそれぞれプラスミドpLHCX−m1−Cγ1−s及びpLHCX−m1−Cγ1−mを得た(
図5bもまた参照)。次に、固有の制限酵素HindIII及びEco47III、隣接するV
H領域断片を使用して、分泌型又は膜結合型ヒトCγ1のコード領域に対しV
H鎖領域をインフレームでクローニングすることができた(
図5b)。この制限酵素の組み合わせは、全7つのヒトV遺伝子セグメントファミリーのヒトV
Hコード領域では、極めて稀にしか見られない。
【0123】
完全ヒトIgG1重鎖発現ベクターを構築するため、先に同定した、NIP−オボアルブミンに対して特異的な完全ヒト抗体のヒトV
Hコード領域を、コンストラクトpLHCX−m1−Cγ1s及びpLHCX−m1−Cγ1mにHindIII−Eco47III断片として挿入し、結果として、それぞれプラスミドpLHCX−m1−VHCγ1s及びpLHCX−m1−VHCγ1mを得た(
図5c)。リーダー配列と5’−HindIII及び3’Eco47IIIクローニング部位とを含むNIP−オボアルブミン特異的ヒト抗体のV
Hコード領域を、配列番号4に提供する。翻訳の改良のため、開始ATGの上流に2つの追加的なCヌクレオチドが付加されていることに留意されたい(Kozakコンセンサス配列の近似):
【数4】
【0124】
配列番号4において、クローニングのためのHindIII及びEco47III制限酵素部位には下線を付す。リーダー配列の開始ATGは9位から始まる。
【0125】
図5cに図示されるこのヒトIgG
1重鎖発現ベクターは、本発明を実現し、且つレトロウイルスIgL鎖発現ベクターと組み合わせてレトロ細胞ディスプレイを実施するには既に十分であるものの、体細胞超突然変異の標的がV
Hコード領域となるよう機能させるには、免疫グロブリン軽鎖又は重鎖遺伝子座に特定のシス調節性エンハンサー要素が存在する必要がある。κ軽鎖遺伝子座のκイントロン及び3’κエンハンサー要素により、活性プロモーターの下流に位置するV領域を体細胞超突然変異の標的とすることが可能になることが公知であるため、基本となるレトロウイルスヒトIg重鎖発現ベクターpLHCXm1−VHCg1m及びpLHCXm1−VHCg1s(
図5c)を、以下の方法で、κイントロン及び3’κエンハンサー要素を含むようにさらに改変した。マウスのκイントロンエンハンサー(κiE)の配列は、Jκ5要素と定常κコード領域との間に位置する約2.3kb長の遺伝子間領域内に置かれ、その配列は、NCBI−GenbankエントリV00777に由来し得る。コアκiEは、この遺伝子間領域内に約0.5kbしか含まれず、その配列は、NCBI GenbankエントリX00268に由来し得る。κiE領域を含むJκ5からCκまでの2.3kbの断片全体には、内部BglII部位が含まれ、これは、この制限酵素を用いたPCR増幅ゲノム断片のpLHCX−m1−VHCγ1−s及びpLHCX−m1−VHCγ1−mベクターへのクローニングを妨げる。しかしながら、この領域には内部BamHI制限酵素断片がないため、BamHI部位に隣接したゲノムPCR断片をBglII線状化ベクターpLHCX−mod1−VHCγ1s及びpLHCX−m1−VHCγ1mにクローニングすることは可能である(
図5c)。フォワードプライマー配列番号5及びリバースプライマー配列番号6を用いて、マウスゲノムDNA由来のこのゲノム断片をPCR増幅することにより、Jκ5〜Cκの約2.3kbの遺伝子間領域全体を双方とも含み、pLHCX−m1−VHCγ1s及びpLHCX−m1−VHCγ1mの固有のBglII制限酵素部位にクローニングするためのさらなるBamHI制限酵素部位(下線)を双方とも含むベクターを構築し、結果として、それぞれプラスミドpLHCX−m1−VHCγ1s−κiE及びpLHCX−m1−VHCγ1m−κiEを得た(
図5d)。
【数5】
【0126】
マウスκ軽鎖遺伝子座由来のゲノム断片を含む約2.3kbのκiE全体を挿入することに加え、コアκiEを含む、より短い約0.8kbのゲノムPCR断片(V00777の3634〜4394位、配列番号7)もまた、pLHCX−m1−VHCγ1−s及びpLHCX−m1−VHCγ1−mの固有のBglII部位にクローニングした(図示せず)。このゲノムDNA断片のPCR増幅に用いたフォワード及びリバースPCRプライマーを、配列番号8及び配列番号9として示す。
【数6】
【0127】
ゲノムPCR断片を含む約0.8kbの断片コアκiEはまた、BamHI消化PCR断片としても、ベクターpLHCX−m1−VHCγ1−s及びpLHCX−m1−VHCγ1−mの双方の固有のBglII制限酵素部位にクローニングした(ここには図示せず)。
【0128】
寄託されたマウス3’κエンハンサー要素の配列は、NCBI−Genbank参照番号X15878として検索することができ、マウスゲノムの定常κコード領域の約8.7kb下流に位置する808bpの遺伝子配列に含まれる。
【0129】
マウス3’κエンハンサーは内部ClaI部位を含まないため、レトロウイルスベクターpLHCX−m1−VHCγ1s−3’κE及びpLHCX−m1−VHCγ1m−3’κEの固有のClaI部位にクローニングするため、追加的なClaI制限酵素部位を含むフォワードPCRプライマー配列番号10及びリバースPCRプライマー配列番号11を用いて、マウスゲノムDNAからPCR増幅した(
図5d)。
【数7】
【0130】
この結果、最終的なIgγ
1H鎖発現ベクターpLHCX−m1−VHCγ1s−3’κE−κiE及びpLHCX−m1−VHCγ1m−3’κE−κiE(
図5e)を得た。これらのベクターはいずれも、IgL鎖と同時発現させると、それぞれ分泌型又は膜結合型ヒトIgG
1抗体の産生をもたらすIg重鎖をコードする。
【0131】
双方のベクターとも、Igγ
1H鎖発現カセットの上流及び下流に、κiE及び3’κEシス調節要素をさらに含み、発現したIgγ
1H鎖のV
H領域に体細胞超突然変異がもたらされる。
【0132】
b)ヒトIgκ軽鎖のレトロウイルス発現ベクターのクローニング
レトロウイルス組込みのための抗生物質選択を可能にするレトロウイルスヒト免疫グロブリン軽鎖発現ベクターを構築するための出発点として、市販のレトロウイルスベクターpLPCX(BD−Clontech、Mountain View,CA)を使用した(
図6a)。このベクターは、ピューロマイシン耐性を付与する抗生物質選択マーカーを含み、レトロウイルス骨格の5’LTRプロモーターにより駆動される。pLHCX骨格(実施例1aを参照)と同様の設計だが、pLPCXは、2つのEco47III部位と、より多くの制限酵素部位を有するMCSとを含み、しかし、CMVプロモーターの上流に好都合な固有のBglII部位はない(
図6a)。
【0133】
pLPCXベクター骨格からEco47III制限酵素を取り除き、同時にCMVプロモーターの上流に固有のBglII制限酵素を導入するため、以下の予備クローニングステップを実施した:第1のステップにおいて、市販のQuikchange(商標)キット(Stratagene、La Jolla,CA)を用いた部位特異的突然変異誘発により、製造者の指示に従い、所望の突然変異をもたらす特異的プライマー対を用いて、Eco47III認識配列AGCGCTの3番目のCヌクレオチドをAに置換して、pLHCXのパッケージングシグナル内のEco47III部位を取り除いた(
図6a)。Ψ(プサイ)パッケージングシグナルにおけるこの単一の塩基対の置換が、突然変異ベクターのレトロウイルス形質導入の効率性に影響を及ぼさないことを確認した(データは示さず)。突然変異ベクターはpLPCX−m1と命名した(
図6a)。Eco47III部位が完全に欠如していて、且つCMVプロモーターの上流に固有のBglII部位をさらに含むpLPCXベクター骨格を得るため、NcoI消化したDNA末端をクレノウ酵素によって充填したpLPCX−m1のAscI−NcoI断片を、BlpI消化したDNA末端をクレノウ酵素によって充填したAscI−BlpI消化pLHCX骨格にクローニングし(
図6b)、それにより、pLPCX−m2と命名されるベクターを生成した。ここでは、本質的にpLHCXのハイグロマイシンB遺伝子のみが、pLPCXのピューロマイシン耐性マーカーによって置換されている(
図6b)。
【0134】
IgκL鎖発現ベクターを構築するため、pLPCX−m2に定方向性クローニングするための、HindIII及びClaI制限酵素部位をそれぞれ含むフォワードプライマー配列番号12及びリバースプライマー配列番号13を用いて、ヒト末梢血リンパ球cDNAから定常κ軽鎖コード領域をPCRクローニングした(
図6b)。第a.)節に記載されるとおり、フォワードプライマー配列番号12は、V
Lコード領域の定常κ軽鎖コード領域とのインフレーム融合を可能にするEco47III部位をさらに含んだため、結果としてヒト定常κ軽鎖の1位における1つの保存されたスレオニンからセリンへのアミノ酸置換のみが生じた。リバースプライマーはさらなる内部NotI部位を含み、例えば定常κコード領域の交換などの、後のクローニング手順を促進した。
【数8】
【0135】
定常κ軽鎖コード領域を、5’末端でHindIII/Eco47III部位に、及び3’末端でNotI/ClaI部位に隣接してpLPCX−m2に挿入し、結果としてプラスミドpLPCX−m2−Cκを得た。
【0136】
完全ヒトIgκL重鎖発現ベクターを構築するため、先に同定した、NIP−オボアルブミンに対して特異的な完全ヒト抗体由来のヒトVκコード領域を、コンストラクトpLPCX−m2−CκにHindIII−Eco47III断片として挿入した(
図6c)。リーダー配列と5’−HindIII及び3’Eco47IIIクローニング部位とを含むNIP−オボアルブミン特異的ヒト抗体のVκコード領域を、配列番号14に提供する。翻訳の改良のため、開始ATGの上流に2つの追加的なCヌクレオチドが付加されていることに留意されたい(Kozakコンセンサス配列の近似):
【数9】
【0137】
配列番号14において、クローニングのためのHindIII及びEco47III制限酵素部位には下線を付す。リーダー配列の開始ATGは9位から始まる。このHindIII−Eco47III断片をHindIII−Eco47III線状化pLPCX−m2−Cκに挿入し、結果として発現コンストラクトpLPCX−m2−VκCκを得た(
図6c)。
【0138】
このレトロウイルスのκ軽鎖発現ベクターは、本発明を実現し、且つレトロウイルスIg重鎖発現ベクターと同時発現させたときにレトロ細胞ディスプレイを実施するには既に十分であるものの、Ig重鎖発現コンストラクトと同じクローニング戦略に従い、κiE及び3’κE要素も含むさらなるベクターをクローニングした。従って、マウスκiEを、プライマー対の配列番号5及び配列番号6(上記参照)により増幅した約2.3kbのBamHI消化したゲノムPCR断片か、又はプライマー対の配列番号8及び配列番号9(上記参照)により増幅した約0.8kbのBamHI消化したゲノムPCR断片のいずれかとして、CMVプロモーターの上流の、pLPCX−m2−Vκ−Cκにおける固有のBglII部位に挿入した。ここに図示されるのは、約2.3kbのゲノムマウスκiEを含む断片のpLPCX−m2−VκCκへのクローニングのみであり、その結果としてプラスミドpLPCX−m2−VκCκ−κiEを得た(
図6d)。
【0139】
最後に、上記の実施例1aに記載されるκiE及び3’κEを含むIgH鎖レトロウイルス発現ベクターの構築と同様に、マウス3’κEを、プライマー対の配列番号10及び配列番号11により増幅したClaI消化ゲノムPCR断片として、κ軽鎖コード領域の下流の固有のClaI制限部位に挿入し、それによりレトロウイルス発現ベクターpLPCX−m2−Vκ−Cκ−κiE−3’κEを生成した(
図6d)。
【0140】
κiE及び3’κE要素を含むIgH鎖発現ベクターと同じく、このベクターも、以上から、コンストラクトにクローニングされる任意のVκコード領域に体細胞超突然変異をもたらすために必要なあらゆるシス調節要素を含む(下記参照)。
【0141】
実施例2
活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)を過剰発現する細胞系の生成
活性化されたB細胞特異的タンパク質の活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)は、任意の脊椎動物細胞系に体細胞超突然変異の表現型を付与するのに必要且つ十分な固有のトランス活性化因子であることが実証されている。AIDを発現する細胞では、転写活性のある遺伝子座が、シス調節性エンハンサー要素、特に免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座のκiE及び3’κE要素に対して正しいコンテクストで配列されている場合には、それらが体細胞超突然変異の特異的な標的となり得る。AIDを安定的に発現する細胞系を得るため、まず初めに、マウスAIDをコードするレトロウイルス発現コンストラクトを以下のように構築した:
【0142】
完全なマウス脾臓cDNA由来の忠実度の高いPfxポリメラーゼ(Invitrogen、Carlsbad,CA)を用いて、製造者の指示に従い、PCR増幅断片を適合するベクターにライゲーションするためのさらなるXhoIクローニング部位を含むフォワードPCRプライマー配列番号15及びリバースPCRプライマー配列番号16を用いて、マウスAID cDNAをPCR増幅した。加えて、フォワードプライマーは、XhoI部位の下流及びマウスAID ORFの開始ATGコドンの上流にさらなる2つのCヌクレオチド(斜体で強調される)を含み、それによりKozak翻訳開始配列に近似し、従ってクローニングされたcDNAの適切な翻訳が確実となった。
【数10】
【0143】
得られた620bpのRT−PCR産物をXhoIで消化したうえ、BD−Clontech(Mountain View,CA)からの、XhoI消化され、且つアルカリ性ホスファターゼ処理されたpLPCXにライゲートした。正しい向きで挿入断片を含むライゲーション産物を診断的な制限酵素消化によって決定した。マウスAID cDNA挿入断片を正しい向きで含む正しい制限酵素パターンを有するクローンを、DNA配列決定により確認し、pLPCX−mAIDと命名した(
図7)。
【0144】
クローニングしたマウスAID cDNAの配列は、NCBI−GenbankエントリAF132979として提供される、公表されているマウスAID cDNA ORFに正確に対応した。
【0145】
次に、10μgのPvuI線状化pLPCX−mAIDコンストラクトを、300V、960μFの周囲温度での電気穿孔により、800μlの無添加RPMI培地に再懸濁した5×10
6個のFA−12エーベルソン形質転換プレB細胞にトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、FCSを含有する20mlの増殖培地に再懸濁し、10枚の96ウェルプレートに200μl/ウェルでプレーティングした。トランスフェクションの48時間後、増殖培地に2μg/mlピューロマイシン抗生物質を添加することにより、安定的にトランスフェクトされた細胞を選択した。
【0146】
トランスフェクションの10〜14日後、数十個のピューロマイシン耐性コロニーを検出することができ、選択されたクローンを、2μg/mlのピューロマイシンを含む新鮮な培養培地に移した。ピューロマイシン耐性クローンをさらに増殖させ、製造者の推奨どおり市販の抗マウスAID抗体を用いるECLウエスタンブロッティングにより、特定の数のクローンをマウスAIDタンパク質の発現について試験した(
図9aを参照)。
【0147】
分析したFA−12−AIDトランスフェクト細胞クローンの約80%において特異的AIDタンパク質バンドを検出することができ、予想どおり、25kDの見かけの分子量を示した。これから、マウスAIDタンパク質を構成的に過剰発現するいくつかの細胞系が得られたと結論付けられた。
【0148】
実施例3
シス調節性κiE及び3’κE要素を含むレトロウイルスヒト免疫グロブリン発現コンストラクトにおいてレポーター遺伝子を標的とする体細胞超突然変異の実証
次に、本発明に開示されるとおりの、レトロウイルス発現コンストラクト内のヒト抗体可変領域が、AID媒介性の体細胞超突然変異の標的であることを実証した。このために、レポーターコンストラクトを生成し、これは、ヒトIgH鎖のV領域ORFが突然変異EGFP ORFに置換されており、ここで終止コドンは、体細胞超突然変異のホットスポットであることが公知のRGYW配列モチーフのコンテクストに導入した(Bachl & Olsson,1999)。
【0149】
EGFP ORFのコドン107に、チロシンコドンをTAG終止コドンに変化させる終止突然変異を導入した。加えて、コドン108を改変し、それにより突然変異EGFP配列内に新規の診断用SpeI制限部位が生成され、従ってコドン107に終止突然変異の復帰突然変異が起こると、SpeI部位は破壊され、それにより復帰突然変異体の同定及び特性決定が促進される。EGFP ORFに導入された配列改変は
図10aに図示され、突然変異EGFP ORFの全体は
図10bに提供される。
【0150】
体細胞超突然変異を実証するためのレポーターコンストラクトを以下のとおり構築した:
忠実度の高いPfxポリメラーゼ(Invitrogen、Carlsbad,CA)と、pLHCXm1−VHCγ−s−κiE−3’κEにおけるV
H領域のEGFP ORFとの置換を可能にする追加的なHindIII及びEco47III制限酵素部位を各々含むフォワードプライマー配列番号17及び配列番号18とにより、鋳型としてプラスミドpIRES−EGFP(BD−Clontech、Mountain View,CA)からEGFP ORFをPCR増幅した。フォワードプライマーは、ATG開始コドンの上流に、斜体で強調されるさらに2つのCヌクレオチドを含んだ。これは、Kozak翻訳開始コンセンサス配列を近似し、且つ正しいATG開始コドンでの適切な翻訳開始を確実にするものである。
【数11】
【0151】
737bpのPfx増幅されたEGFP PCR断片を、Zero−Blunt PCRクローニングキット(Invitrogen、Carlsbad,CA)の一部であるpCR4−Topoベクターに直接クローニングし、結果としてpCR4−Topo−EGFPベクターを得た(
図11)。次に、
図10に示されるとおり、Quikchange(商標)キット(Stratagene、La Jolla,CA)を用い、製造者の指示に従い、所望の突然変異をもたらす特異的プライマー対を用いて、pCR4−Topo−EGFPの配列検証したクローンを、EGFP ORFのコドン107及び108で突然変異させ、それによりプラスミドpCR4−Topo−EGFPmutを生成した。
【0152】
制限酵素HindIII及びEco47IIIを用いた二重制限酵素消化により、pCR4−Topo−EGFPmutの配列検証した突然変異EGFP ORFをプラスミドから回収した。消化断片を、エンハンサー要素を含まないHindIII及びEco47III二重消化プラスミドpLHCXm1−VHCγ−s−κiE−3’κE(
図5e)並びにHindIII及びEco47III二重消化プラスミドpLHCXm1−VHCγ−s(
図5c)にライゲートした。それにより、双方のベクターにおいて、V
Hコード領域が突然変異EGFP ORFにより置換され、これをCγ
1領域とインフレーム融合し、結果としてレポータープラスミドpLHCXm1−E(mut)−Cγ−s−κiE−3’κE、及び対照のレポータープラスミドpLHCXm1−E(mut)−Cγ−sを得た(
図11)。
【0153】
双方のプラスミドをピューロマイシン耐性FA−12 AIDトランスフェクタントクローン3(AIDを発現する)に、及び対照として5(AIDを発現しない)に形質導入した。形質導入細胞を、形質導入後24時間目から開始して2mg/mlハイグロマイシンB選択下に培養し、培養後6、8及び10日目の緑色自己蛍光細胞の出現について細胞を分析した。κiE及び3’κEのコンテクストにおいて(すなわち、プラスミドpLHCXm1−E(mut)−Cγ−s−κiE−3’κEを用いて)突然変異EGFPレポーターコンストラクトが発現した実験、及びAID発現がウエスタンブロッティングにより検出可能であったFA−12 AIDトランスフェクタント(すなわちFA−12 AIDトランスフェクタントクローン3)においてのみ、FACSにより約0.2%(
図9b)の定常状態の頻度の緑色細胞を検出可能であったとき、培養後6、8及び10日で緑色自己蛍光細胞を検出することができた。対照実験のいずれにおいても(AIDを発現しない、及び/又はコンストラクトにエンハンサー要素が存在しないもの、データは示さず)、実験期間の10日間以内に緑色細胞は検出することができなかった。
【0154】
0.2%EGFP陽性集団から、2つの96ウェルの個々のウェルに192個の単細胞を分取し、十分な細胞が増殖した後、これらの単一分取されたクローンから100個のクローンを、FACSにより緑色蛍光について分析した。分析した100個のクローンから、95個のクローンが同質の蛍光パターンを示し、単一分取された細胞で検出される蛍光と同様の強度、すなわち約10
2ログの蛍光であった(FA−12細胞の対照細胞の自己蛍光は、閾値ラインによって示される10
1ログ未満の蛍光レベルに留まった)。4個のクローンは、異質の蛍光パターンを示し、EGFP発現について、細胞の約半数が陰性であり、且つ細胞の半数が陽性であった。分析した100個のクローンのうち1つのみが、事実上全くEGFP蛍光を示さなかったが、このクローンはまた、バックグラウンド自己蛍光レベルを僅かに上回った。異質及び陰性のEGFPパターンを有する5個のクローンは、レトロウイルス組み込み体のEGFP発現の(部分的)位置サイレンシングに起因し得るか、又はこの結果は、単細胞分取のアーチファクトに起因し得る。それにもかかわらず、クローンの大部分(95%)において、EGFP発現を明確に検出することができた。こうしたクローンのうち24個を、安定的に形質導入された細胞からEGFP遺伝子を再度増幅するため、クローニングプライマー配列番号17及び配列番号18を用いてPCRにより分析した。
【0155】
突然変異EGFP ORFを含むレポーターベクターからのPCR産物とは対照的に、EGFP発現クローンからの24個のPCR産物のいずれも、SpeI制限酵素によって消化することができなかったことから、突然変異EGFP ORFのコドン107におけるTAG終止突然変異の復帰突然変異が示唆される(データは示さず)。
【0156】
PCR産物のうち10個をDNA配列決定により分析し、これまでに文献に記載されているとおり、10個全てのクローンが、EGFP ORFに導入されたRGYWモチーフにおけるGヌクレオチドのG−>C突然変異を含んだことが確認された(Bachl & Olsson,1999)。
【0157】
これは、κiE及び3’κE要素などのシス調節遺伝子要素の存在に依存して、且つAID発現に依存して、体細胞突然変異、従って突然変異生成のレベルが上昇し、活性プロモーターの下流のDNA領域、ひいては、開示されるレトロウイルス発現コンストラクトのコンテクストにおいてはヒト抗体鎖のV
Hコード領域が標的なり得ることを実証している。
【0158】
κiE及び3’κEコンストラクトにおけるAID依存性の体細胞突然変異のレベルの推定に関して、推定突然変異率は、約3×10
−5突然変異/bp/生成の範囲であった。この値は、インビボで報告された、最高10
−4又はさらには10
−3/bp/生成に至る率に達し得る体細胞超突然変異率よりなお低い。それにもかかわらず、検出された突然変異率は、脊椎動物細胞において報告されている10
−8突然変異/bp/生成の範囲であると推定されるバックグラウンドの突然変異率と比べると、なお著しく高かった。従って、高い体細胞突然変異率により、本開示のレトロウイルスコンストラクトにおける活性プロモーターの下流の領域がエンハンサー及びAID依存的な様式で特異的に標的化され、従って、AID発現により媒介される体細胞超突然変異に基づき、インビボで突然変異誘発条件下にレトロ細胞ディスプレイを適用することが可能であると結論付けられる。
【0159】
実施例4
V(D)J組換え能を有するレトロウイルス発現ベクターを用いることによるヒト抗体コード領域のインサイチュ生成の実証
a)IgH鎖発現の前にV(D)J組換えを必要とするレトロウイルスヒト重(IgH)鎖発現ベクターのクローニング 実施例1に記載されるcDNA発現ベクターから重(H)鎖及び軽(L)鎖をレトロウイルスにより発現させる手法の代替として、異なるレトロウイルスIgH鎖ベクタークラスを構築した。ここでは、可変部コード領域が、「準生殖細胞系」配置にある別個のV、D及びJ遺伝子セグメントによりコードされ、これらの遺伝子セグメントは、発現前にV(D)J組換えの過程により組み立てられる必要がなおある。V(D)J組換えは、V、D及びJ遺伝子セグメントの部位特異的だがいくらか不正確な組立てを媒介し、従って、V(D)J組換え活性細胞、例えば前駆B細胞をインサイチュで形質導入すると、単一の発現コンストラクトから多様なVコード領域を生成することができる。
【0160】
このため、生殖細胞系V
H3.30、D
H1.26及びJ
H3遺伝子セグメントを、B細胞欠失ヒト末梢血単核球(PBMC)に由来するゲノムDNAから個々にPCRクローニングした。生殖細胞系V、D及びJ遺伝子セグメントの増幅に用いたPCRプライマーは、保存された組換えシグナル配列(RSS)とさらなる介在DNA配列とを含む隣接DNA配列が含まれ、それによりV、D及びJ遺伝子セグメントの適切な組立てが可能となるように選択した。全てのPCRアンプリコンは、プルーフリーディング耐熱性DNAポリメラーゼPfx(Invitrogen、Carlsbad,CA)を用いて生成したとともに、最初にpSC−B PCRクローニングベクター(Stratagene、La Jolla,CA)にサブクローニングし、いずれの場合にも供給者の指示に従った。pSC−BにサブクローニングしたPCR断片をDNA配列決定により確認し、DNA配列が配列検証された場合には、それらの断片をそれ以降のクローニングにのみ用いた。
【0161】
生殖細胞系ヒトV
H3.30断片をPCR増幅するため、DNAプライマー配列番号19及び配列番号20を用い、これらは、PCRクローニングしたDNA断片のさらなるサブクローニングを可能にするBamHI及びNheI制限酵素部位(示されるとおり)を含んだ。
【数12】
【0162】
このようにして、フランキングDNAを有する生殖細胞系VH3.30遺伝子セグメントを含む623bp長のPCRアンプリコンを得た(配列番号21)。
図11aを参照のこと。
【数13】
【0163】
次に、制限酵素NheI及びXhoIのための部位をそれぞれ含むプライマー対の配列番号22及び配列番号23を用いて、隣接ゲノムDNAを有するヒトDH1.26断片を含むヒトゲノムDNA断片のPCR増幅を実現した(
図11a)。
【数14】
【0164】
このようにして、隣接DNAを有する生殖細胞系DH1.26遺伝子セグメントを含む336bp長のPCRアンプリコンを得た(配列番号24)。
【数15】
【0165】
最後に、示されるとおりの、制限酵素SalI及びXbaI/HindIIIのための部位をそれぞれ含むプライマー対の配列番号25及び配列番号26を用いて、隣接ゲノムDNAを有するヒトJH3断片を含むヒトゲノムDNA断片のPCR増幅を実現した(
図11a)。
【数16】
【0166】
このようにして、隣接DNAを有する生殖細胞系JH3遺伝子セグメントを含む239bp長のPCRアンプリコンを得た(配列番号27)。
【数17】
【0167】
続いて、3つのDNA断片、配列番号21、配列番号24及び配列番号27を、固有のBamHI、NheI、XhoI及びXbaI制限酵素部位を含むシャトルベクターにクローニングし、従って、適合する制限酵素部位を介してDNA断片を連続的にライゲーションすることにより、遺伝子セグメントVH3.30、DH1.26及びJH3を含むカセットを組み立てることができた。配列番号21を、BamHI−NheI断片としてBamHI−NheI線状化シャトルベクターにライゲートし、次にNheI−XhoI消化断片の配列番号24を、既に配列番号21を含むNheI−XhoI線状化シャトルベクターにライゲートし、最後に、SalI−XbaI消化断片の配列番号27を、既にクローニングした配列番号21及び配列番号24を含むXhoI−XbaI線状化シャトルベクターにライゲートして、それによりシャトルベクター内に人工的なVH3.30−DH1.26−JH3カセットを生成した(
図11a)。
【0168】
次に、人工的に組み立てられたVH3.30、DH1.26及びJH3遺伝子セグメントを含む「準生殖細胞系」カセット全体を、レトロウイルスベクターMigR1(Pear et al.1998)にクローニングした(コンストラクトMigR1−muH、
図11b)。このMigR1は、MigR1ベクターの固有のBglII及びHpaI部位にクローニングされたヒトμH鎖のコード領域(配列番号28、以下を参照)を既に含んでいる。MigR1−muHにおいてVHコード領域を定常μH鎖コード領域と隔てる固有のXhoI部位(配列番号28の中央に太字体で強調される)を用いて、定常コード領域に転移した形態のJHにおけるアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、VH3.30−DH1.26−JH3カセットをインフレームで定常μH鎖コード領域にライゲートすることができた。
【数18】
【0169】
挿入断片のそれぞれ5’末端及び3’末端におけるBglII−HpaI制限酵素部位もまた、太字体で強調したうえ下線が付され、これらはMigR1ベクター骨格への転移を示す(Pear et al.1998)。
【0170】
MigR1レトロウイルス骨格に含まれる配列番号28のVコード領域を、VH3.30−DH1.26−JH3「準生殖細胞系」カセットと置換するため、BglIIを含むフォワードプライマー配列番号29及びXhoIを含むリバースプライマー配列番号30を用いたPCRにより、約1.1kbのVH3.30−DH1.26−JH3断片を再増幅する必要があった(
図11a)。
【数19】
【0171】
得られた約1.1kbのPCR断片をBglII及びXhoIで消化し、BglII−XhoI線状化μH鎖を含むMigR1ベクターにライゲートし、それにより結果としてV−D−J組換え能を有するレトロウイルス発現ベクターpVDJ−muH−MigR1を得た(
図11b)。
【0172】
b)前駆B細胞に形質導入すると多様な配列を生成する、レトロウイルスV−D−Jベクターにおいて起こる真正のV(D)J組換えの実証 概念実証として、「準生殖細胞系」配置のV、D及びJ遺伝子セグメントを含むレトロウイルスベクターで適切なV(D)J組換えが起こり得ることを実証するため、実施例1bに記載されるとおり、ベクターpVDJ−muH−MigR1をA−MuLV形質転換プレB細胞系230−238にレトロウイルスIgL鎖発現ベクターと共に同時形質導入した。pVDJ−muH−MigR1コンストラクトでV(D)J組換え現象が起こる場合にのみ、その結果としてV、D及びJ遺伝子セグメントのインフレーム再配列が生じ、二重形質導入細胞の細胞表面に完全長ヒトIgM抗体が発現することができる。pVDJ−muH−MigR1ベクターの形質導入の効率性は、IRES結合EGFPマーカー遺伝子の同時発現によりモニタすることができる。
図12(a)で見て分かるとおり、少なくともpVDJ−muH−MigR1コンストラクトにより形質導入された細胞のうち0.04%の極めて小さい集団が(形質導入の効率性は44.7%であった)、抗κ軽鎖抗体でのFACS染色により計測したとき、細胞表面上に検出可能なIgM発現を示した。特に、pVDJ−muH−MigR1コンストラクトで形質導入しなかった細胞集団においては、IgMを発現する細胞は事実上検出できなかったことから(
図12(a)の右下象限)、染色の特異性が実証された。
【0173】
図12(a)の右上象限に検出することのできた微量のIgM発現細胞を、FACS−Aria高速細胞分取装置(BD、Franklin Lakes,NJ)を用いた予備細胞分取により分取し、8日間にわたり組織培養で増殖させて、それによりレトロウイルス組込み体を特性決定するための細胞を増殖させた。増殖8日後のEGFP発現(組み込まれたpVDJ−muH−MigR1コンストラクトの指標となる)及び表面IgMについてのFACSプロファイルから、細胞表面上にIgMを示し、且つpVDJ−muH−MigR1コンストラクトを含んだ(緑色蛍光による計測時、
図12(b))クローン増殖細胞は、おそらくほとんどないことが示された。
図12(b)のFACSプロットの右上範囲の明確な細胞集団を分取し、プールした細胞集団からゲノムDNAを調製した。
【0174】
pVDJ−muH−MigR1コンストラクトにおいてVHの上流及びJH領域の下流に結合するプライマーを用いた診断的PCRにより、ゲノムDNAを分析した。予想どおり、診断的PCRの結果、再配列されていないV、D及びJ遺伝子セグメント(約1.2kb断片)を示す、ほぼ等しい強度の2つの異なるバンドと、V(D)J組換えされた遺伝子セグメントを示す、より小さい約0.5kbの断片とが得られた(データは示さず)。より大きいPCRバンドを配列決定することにより、このPCRアンプリコンが、なお「準生殖細胞系」配置にある再配列されていないV−D−Jカセットを表すことを確認した。これらの再配列されていないコンストラクトは、細胞を2つ以上のコンストラクトで形質導入した場合にIgM陽性細胞中になお検出可能であったことから、そのうちの全てがV(D)J組換えに利用可能であったわけではないと考えられる。より小さいPCRアンプリコンは、PCR産物を配列決定しても固有の配列は得られず、個々のPCR断片を配列分析するためにはpSC−B PCRクローニングベクターにサブクローニングする必要があった。
【0175】
分析した6個のプラスミドのうち、2個が同一の真正のV(D)J組換え配列を含み、これらはV(D)J組換えによるV、D及びJ遺伝子セグメントの部位特異的接合についてのあらゆる特有の特徴を示した。そうした特徴には、コード領域におけるヌクレオチドの喪失、及び前駆リンパ球特異的酵素の末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)によって触媒される鋳型によらない配列(N領域)の付加が含まれる(
図12(b))。
【0176】
クローン225の配列(
図12b)によって表される既に回収した2本の配列は、V、D、及びJ遺伝子セグメントを含むレトロウイルス発現ベクターが、前駆Bリンパ球においてV(D)J組換えを受ける能力を有することの確かな証拠である。なぜなら、この時点における効率性が低いように見えるとしても、真正のV(D)J組換えイベントのあらゆる徴候を示すこれらの配列が、その他の方法でどのように生成され得たかについて、他に説明がないためである。前駆リンパ球のレトロウイルス形質導入のコンテクストにおけるV(D)J組換えの効率性が上昇すると、「準生殖細胞系」配置のV、D及びJ遺伝子セグメントを含む限られた数のレトロウイルスベクターから、抗体配列の多様なコレクションを生成することができると結論付けられる。
【0177】
実施例5
レトロ細胞ディスプレイに好適な選択用マウスB細胞系の同定及び特性決定
a)B細胞系における内因性抗体の発現は、潜在的にレトロ細胞ディスプレイにおけるその選択用細胞としての利用を妨げ得る。これは、内因性マウス免疫グロブリン鎖の組換え完全抗体鎖との対形成が、その細胞表面提示に悪影響を及ぼし得るか、又は結合特異性が不確定な混合ヒト−マウス免疫グロブリンの発現につながり得るためである。従って、文献に記載されるエーベルソンマウス白血病ウイルス(A−MuLV)により形質転換されたマウスプレB細胞系のパネルを、内因性IgM重鎖(μH)の細胞内発現について、FITC(Southern Biotech)と結合させた抗マウスIgM重鎖抗体を用いて調べた。これらの細胞は、系統40E1、230−238、204−1−8(Alt et al.,1981)、18−81、18−81サブクローン8−11(Rosenberg & Baltimore 1978)、RAG−2欠損マウス由来の63−12(ここではFA−12と称される)細胞(Sinkai et al.,1992)、及び三重代替軽鎖ノックアウトマウス由来の1624−5、1624−6(Shimizu et al.,2002)を含んだ。Fix/Permキット(Caltech)を用いて、製造者の指示に従い、細胞を透過処理した。
図14に示されるとおり、細胞系FA−12、40E1、及び18−81サブクローン8−11、1624−5及び1624−6は、細胞内IgM染色のシグナルをほとんど又は全く示さなかったため、レトロ細胞ディスプレイに好適な選択用細胞として適格とされた。
【0178】
b)レトロ細胞ディスプレイはレトロウイルスベクター媒介性の遺伝子導入に基づくため、マウスA−MuLV形質転換プレB細胞系のパネルを、そのレトロウイルス形質導入に対する感受性について、緑色蛍光タンパク質(GFP)マーカー遺伝子を含むエコトロピックMLV由来のベクター粒子を用いてさらに調べた(
図13)。限界希釈により18−81サブクローン8−11プレB細胞に対して予め力価を決定した、パッケージングされたレポーター遺伝子GFPを含む導入ベクターLEGFP−N1(Clontech)を有するベクター調製物を用いて、0.5のMOIで1×10
5個の細胞を形質導入した。ベクター粒子は、以下に記載されるとおり生成した。形質導入は、基本的に、1.5mlエッペンドルフ試験管内における3,300rpm、30℃での3時間にわたる遠心を用いて、スピン感染により実施した。形質導入の2日後、FACS分析によりGFP発現細胞の頻度を測定することによって遺伝子導入を分析した。処置していない未導入の標的細胞を陰性対照として供した。
図13に示されるとおり、元の18−81細胞のみが、MLVベクター形質導入に対して極めて低い寛容性を示した(<10%)。他の全ての細胞系は、40%以上の遺伝子導入効率が明らかとなった。特に、FA−12、40E1及び1624−5細胞では、遺伝子導入効率が最も高く、本実験においては50%超に達した。
【0179】
まとめると、a)内因性マウス免疫グロブリン発現が低いか、又はないこと、及びb)レトロウイルス形質導入に対する感受性の双方の基準を考慮すれば、レトロ細胞ディスプレイにはFA12、40E1及び1624−5細胞が最も好適であることが分かった。しかしながら、組換え重鎖及び軽鎖からなる免疫グロブリンを発現させることが望ましいため、代替軽鎖成分の発現が欠如した(λ5、又はVpreB1、又はVpreB2遺伝子から発現させることが可能な)B細胞も好ましく、これは、代替軽鎖成分がまた、野生型プレB細胞では組換え軽鎖との重鎖結合について競合し得るためである。従って、代替軽鎖三重ノックアウトマウスに由来する1624−5細胞が、これ以降のレトロ細胞ディスプレイ技術に最も適した細胞であるものと予想される。しかしながら、ここで分析した別の細胞系を含め、内因性免疫グロブリン発現がない/低いことと、レトロウイルスによる形質導入性との基準を満たす任意の他の細胞系が、本明細書に開示される方法の実現に用いられ得ることは理解されなければならない。
【0180】
実施例6完全ヒト抗体ライブラリをクローン性に安定発現する選択用細胞の生成
完全ヒト抗体鎖及びそのライブラリをコードするパッケージング導入ベクターを有するベクター粒子を生成するため、及び続いてそれらをマウスB細胞系の形質導入に用いるため、以下の方法により感染実験を実施した。トランスフェクションの16〜24時間前、ヒト胎児腎臓293T−HEK細胞を、10cmの組織培養皿につき、10%ウシ胎仔血清(FCS)及びLグルタミンを補充した10mlのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中、2×10
6でプレーティングした。5μgの各導入ベクターIgL(245)−LIB−IRES−YFP及びIgH(650)−LIB−IRES−GFP(IRESによりGFP又はYFP発現と結び付けられた重鎖又は軽鎖のライブラリをコードする、
図15)と、3μgのpVPack−GP(MLVのgag及びpol遺伝子を有する発現コンストラクト)と、2.5μgのpVPack−Eco(エコトロピックMLVのenv遺伝子を含む発現コンストラクト、双方ともSTRATAGENE)との混合物を調製し、1mlの無血清DMEM中、30μlのFugene(Roche)と共にインキュベートし、15〜30分間、室温で静置したままとした。次に、10cm皿に播種した293T−HEK細胞に、Fugene/DNA混合物を静かに添加した。重鎖及び軽鎖コード導入ベクターを、別個の一時的なパッケージング細胞にトランスフェクトした。
【0181】
トランスフェクションの48時間後、一時的なパッケージング細胞からベクター粒子を含む上清を回収し、3,000rpmで遠心して、混入している細胞を取り除いた。パッケージングされた抗体の重鎖又は軽鎖コード領域を有する種々の量のベクター粒子(1:1; 1:5; 1:20; 1:50; 1:100; 1:200希釈)を補充した1mlの培地に、1.5×10
6個の1624−5マウスB細胞を懸濁した。1.5mlのEppendorfカップ内で、3,300rpm、30℃で3時間にわたり遠心することにより、形質導入を実施した。用いられなかった上清は、後の時点で利用するため−80℃で保存した。宿主細胞ゲノムに導入ベクターの単一のコピーが組み込まれたことを確実にするため、感染の4日後に遺伝子導入の効率性(GFP又はYFPの発現により検出される)が10%より低いことが明らかとなった細胞は、FACSを用いて濃縮した(
図16)。細胞を6日間にわたり増殖させたうえ、上記のとおり、先に凍結した、パッケージングされた抗体の軽鎖コード領域を有するベクター粒子を1:5希釈で用いて、第2の形質導入手順に供した。ここで、重鎖発現用に選択されたGFP陽性細胞を、軽鎖−IRES−YFPライブラリを形質導入するベクター粒子に感染させ、逆もまた同様に行った(
図15及び
図16)。感染の4日後、形質導入に成功してGFP及びYFPを発現する細胞を、FACSを用いて濃縮した。第2の形質導入後、細胞の約20%がGFP及びYFP発現を示した。細胞1個につき単一のベクターの組込みのみが起こったことを確かにするため、集団の約3分の1を濃縮したところ、第2のラウンドで形質導入されたレポーター遺伝子の発現は低度又は中程度に過ぎないことが明らかとなった(約8%、
図16を参照)。
【0182】
実施例7
レトロ細胞ディスプレイによる抗原反応性ヒト抗体発現細胞の検出及び濃縮
a)レトロ細胞ディスプレイ概念実証実験の準備として、第一に、選択用細胞上でレトロウイルス発現させるIL−15結合抗体に最適な染色及び検出条件を決定した。ヒトIgH鎖及びIgL鎖ライブラリを同時発現する1624−5 A−MuLV形質転換プレB細胞を、細胞表面上のヒト抗IL−15抗体をコードするレトロウイルス発現ベクターを発現する1624−5 A−MuLV形質転換プレB細胞と2:1の比で混合した。混合した細胞試料は、示されるとおりの、様々な濃度の組換えヒトIL−15(0.1〜2.5μg/ml)、及び様々な濃度のポリクローナルビオチン化抗hu−IL−15抗体(1.0及び3.0μg/ml)と共にインキュベートし、これらは、最終的にストレプトアビジン−フィコエリトリン(strep−PE)により明らかにされた。抗体を提示する細胞を、免疫グロブリンを発現しない細胞と区別するため、試料をさらに抗hu−IgκL−APC抗体で対比染色した。
図17の右上の2つのFACSパネルを見ると分かるとおり、一次試薬としての0.1及び0.5μg/mlの組換えIL−15と、二次染色試薬としての3.0μg/mlのビオチン化抗hu−IL−15抗体との組み合わせを用いると、IL−15反応性細胞が最も効率的に検出された(20.1及び20.4%)。
【0183】
b)次に、概念実証実験を実施し、ここでは、ヒトIL−15に対して特異的な基準抗体を、ヒト抗体の多様なライブラリを発現する細胞のプールにスパイクし、その後、スパイクインされた抗原反応性細胞をFACSにより分析した。この実験の準備において、1624−5細胞内でレトロウイルスにより発現する抗体のライブラリ(実施例6を参照)を、表面Ig発現及びIL−15結合性について(NC)、ヒトIL−15抗原に対して特異的な基準抗体を発現する1624−5細胞系(PC)と同時に染色した。これらのNC及びPC細胞系に対するFACS分析が
図18に示され、これは、PC細胞の表面上に提示された抗IL−15基準抗体の特異的IL−15染色を実証する。PC細胞がヒト抗体のランダムコレクションを発現するNC細胞系にスパイクされた場合に、基準抗IL−15Ab発現細胞系がなおFACSにより定量的に検出可能であるかどうかを分析するため、NCライブラリにおける異なる希釈のPC細胞を、上記で決定した最適化IL−15染色条件を用いて、特異的IL−15結合性についてFACSにより分析した。陰性対照細胞のFACS分析からは、わずかな集団しかIL−15結合活性を示さないことが明らかとなった。対照的に、陽性対照集団の60%超が、IL−15と結合することが実証された。上記の双方の集団を、10、12.5、25、37.5、及び50%の比率で混合すると、抗体ライブラリ細胞プール中に混合した陽性対照細胞のパーセンテージの、IL−15と結合することが示された細胞の割合との間に相関が認められた。従って、IL−15反応性細胞は、他の非特異的抗体発現細胞との混合物中にあるとき、FACS染色により定量的に検出することができると結論付けられる。
【0184】
c)次に、微量のIL−15反応性細胞をレトロ細胞ディスプレイにより濃縮する概念実証実験を実施した。このため、IL−15 IgH鎖(GFPと結合)のレトロウイルス形質導入により、1624−5プレB細胞内で発現するヒト抗体の高度に多様なコレクションを生成し、ヒトIgκL鎖(YFPと結合)の複雑度の高いコレクション(複雑度 約7×10
4)を同時形質導入した。このようにして、ヒトIgκL鎖の多様なコレクションを、ヒト抗IL−15特異的抗体由来の単一のIgH鎖に対してシャフリングすることにより、レトロ細胞ディスプレイ抗体ライブラリを作成した。先に決定したとおりの最適条件を用いて、IL−15反応性について細胞を染色した。高速FACS細胞分取と、それに続く細胞培養物の増殖との3回の連続ラウンドにより、IL−15反応性細胞を濃縮した。レトロ細胞ディスプレイ濃縮の3回のラウンド後、ヒト抗体を発現する細胞集団を得ることができ、これは、基本的に、IL−15反応性細胞をほとんど検出することのできなかった初期細胞集団由来の抗原IL−15について定量的に染色した(
図19)。この実験から、レトロ細胞ディスプレイ濃縮の反復ラウンドを効率的に用いて、IL−15結合性細胞を濃縮できたことが実証された。
【0185】
d)3回のIL−15濃縮を行った細胞プールから樹立した個々の細胞クローンのIL−15結合特異性の確認(先述の実施例を参照)。次に、IL−15特異的レトロ細胞ディスプレイ濃縮に3回供された細胞プールから、単細胞分取により25個の個々の細胞クローンを樹立した。これらの25個の細胞クローンを、そのIL−15特異性について、IL−15染色により、先に最適化した染色条件を用いて(実施例7aを参照)特徴付けた。IL−15染色の特異性についての対照として、全てのクローンはまた、IL−15抗原を除くあらゆる染色試薬と共にインキュベートした。25個の単細胞クローンの大部分は高度に特異的なIL−15染色パターンを示し、これは、IL−15抗原を染色反応から外すと失われた。代表的なIL−15特異的染色を、4個の選択された個別の細胞クローンで
図19に示す。これらのクローンについての染色は、3回のIL−15抗原濃縮を行った細胞集団から樹立された25個の細胞クローン(AからYまで、アルファベット順に命名)の全体を代表するものであり、これらは全て試験され、IL−15抗原結合性に対し陽性であった。染色の特異性についての陰性及び陽性対照を、示されるとおり、
図19に提供する。
【0186】
実施例8
鎖シャフリング又は誘導進化手法:高速細胞分取による抗原特異的ヒト抗体発現細胞の検出及び反復濃縮、抗原選択された細胞からの可変領域コード領域のクローニング、及び抗原特異性の確認
上記のとおり(実施例6)、約1.2×10
5の複雑度のヒトIgκL鎖のライブラリを、標的抗原ヒトIL−1βに対する基準抗体SK48−E26(Young et al.,国際公開第95/07997 A1号パンフレット)の重鎖と併せて発現する細胞ライブラリを作成した。こうした鎖を含むレトロウイルスベクター骨格は、
図4c及び
図11にさらに詳細に図示される(実施例4もまた参照のこと)。このため、3×10
6個の1624−5 A−MuLV形質転換1624−5プレB細胞を、SK48−E26 IgH鎖コード導入ベクターを含む粒子により、0.1未満のMOIで形質導入した。形質導入の1日後、BDからのFACSAriaを用いた標準的な高速細胞分取によりGFP陽性細胞を濃縮した。分取した細胞を、加湿されたインキュベーター内で5日間にわたり組織培養により増殖した。増殖後、細胞集団を、上記のとおり(実施例5)、パッケージングされたIgκL鎖ライブラリを有する粒子で、標準的なスピン感染により1.5のMOIで形質導入し、細胞を組織培養で2日間、形質導入から回復させた。2日間の回復及び増殖期間後、GFP及びYFPを同時発現する、従って少なくとも1本の重鎖と1本の軽鎖とのコンストラクトを有する5×10
5個の細胞を、BDからのFACSAriaを用いた予備的細胞分取を用いて濃縮した。こうしてIgH鎖及びIgL鎖コンストラクトの同時発現について濃縮した細胞集団を、さらに4日間、組織培養で増殖した。この最後の増殖後、IgH鎖/IgL鎖ライブラリを発現する2×10
6個の細胞のアリコートを、100μlの容量中2μg/mlで組換えヒトIL−1β(R&D Systems)により30分間、氷上で染色し、その後、1%ウシ胎仔血清(FCS)を補充したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて2回の洗浄ステップを行った。IL−1βに対する、ビオチンとコンジュゲートしたポリクローナル抗体とのインキュベーション後、細胞を再び2回洗浄し、続いて、抗原結合性細胞の検出、及びその後のフローサイトメトリーを用いた濃縮のために、ストレプトアビジン−APCで染色した。FACSによる第1の細胞分取ラウンド後、細胞を5日間増殖させ、上記のとおりの、抗IL−1β染色と陽性染色細胞の濃縮とのさらなるラウンドに供した。この選別を3回繰り返した(
図21)。レトロ細胞ディスプレイ濃縮の3回のラウンド後に得られた細胞集団を、上記のとおり、IL−1β結合性について再び染色したが、このとき反応性細胞は、それまでのようにバルク集団としては濃縮せず、BDからのFACSAriaを用いた単細胞分取により個々の細胞クローンを96ウェルプレートに分取した。7日間の培養及び増殖後、個々の細胞クローンを、IL−1β抗原特異性について、記載したプロトコルを用いて、加えて陰性対照として、抗原IL−1βを除くあらゆる二次試薬により、再び分析した。予想どおり、フローサイトメトリーを用いて実証されたとおり、抗原の存在下における特異的FACSシグナルにより明らかになったように、一部のクローンが標的抗原に対して特異的結合性を示したが、抗原が存在しない場合には、特異的結合性は示さなかった(クローンの二次検出試薬のいずれかとのバックグラウンドでの結合を除く)。しかしながら、一部のクローンは、抗原の存在と関係なく染色シグナルを示したが、これは、こうしたクローンが、IL−1β反応性を検出するために用いられた二次試薬のいずれかと非特異的に結合したことを示す。全体では、24個の細胞クローンのゲノムDNAを単離し、オリゴヌクレオチド配列番号31及び配列番号32を用いる標準的ゲノムPCRの鋳型として供した。これらのオリゴヌクレオチドは、レトロウイルス軽鎖ライブラリにコードされるヒト軽鎖の可変領域の、それぞれ上流及び下流に特異的に結合する。
【数20】
【0187】
分析した各細胞クローンから予想されたサイズのPCRアンプリコンが得られ、それらのPCRアンプリコンを直接DNA配列解析に供した。個別に決定したとき、分析した24個のクローンのうち12個が、LCB24と称される同一の、しかし新規のIgκL鎖を有することが示され、また、予想どおりSK48−E26のIgH鎖も有した。
【0188】
予想どおり、SK48−E26 IgH鎖と併せてLCB24 IgL鎖を発現する12個全てのクローンが、上述されるとおりフローサイトメトリーを用いると、特異的IL−1βシグナルを示した。
【0189】
増幅した新規LCB24 IgκL鎖を含む選択されたPCRアンプリコンを、可変部コード領域に隣接する制限酵素HindIII及びEco47III(
図4c)で消化し、その断片を、LCB24 V
Lコード領域の定常ヒトκ軽鎖コード領域とのインフレーム融合を可能にする適合する制限酵素部位により、レトロウイルスIgκL鎖発現ベクターにクローニングした。従って、得られたベクターは、新規の完全ヒトIgκL鎖をコードした。
【0190】
再クローニングし、さらに配列検証した、LCB24 IgκL鎖のレトロウイルス発現ベクターを、IL−1β基準抗体SK48−E26のSK48E26 IgH鎖と共に1624−5細胞に形質導入した。組織培養で2日間増殖させた後、BDからのFACSAriaを用いた高速細胞分取によりGFP+/YFP+細胞を濃縮した。結果として得られたIg発現細胞を、まず初めに、そのIL−1βとの結合能力について記載されるとおり試験した。予想どおり、SK48−E26の重鎖と共にLCB24を提示することにより媒介されたその反応性が確認された(
図22)。新規抗体が概して他の抗原又はタンパク質と交差反応することを排除するため、LCB24 IgL/SK48−E26 IgHの組み合わせを発現する細胞を、先述のとおりIL−15反応性についてアッセイした。
図23に示されるとおり、新規IgL LCB24/HC SK48−E26抗体についてIL−15に対する反応性を検出することはできなかったことから、新規抗体の標的抗原特異性が示された。さらなる対照として、抗IL−15特異的基準抗体(陽性対照として)、及び元のSK48−E26 IL−1β抗体を発現する細胞系を含めた。抗IL−15抗体発現細胞は、予想どおりIL−15に対して特異的染色を示したが、SK48−E26 IL−1β抗体又は細胞については、反応性は認められなかった(
図23)。
【0191】
要約すれば、IL−1β特異的基準抗体SK48−E26の重鎖に対してシャッフルした軽鎖のライブラリを用いたスクリーニング実験において、抗原特異的反応性を媒介する新規軽鎖が同定された。
【0192】
実施例9
シャッフルしたIgH鎖及びIgL鎖ライブラリに対するレトロ細胞ディスプレイスクリーニング。高速細胞分取による抗原特異的ヒト抗体発現細胞の検出及び反復濃縮、抗原選択された細胞からの可変領域コード領域のクローニング、及び抗原特異性の確認
上記のとおり(実施例6)、約0.1のMOIを用いて、複雑度が約6.5×10
5の重鎖(GFPと結合)のライブラリを発現する細胞ライブラリを生成した。こうした鎖を含むレトロウイルスベクター骨格は、
図4c及び
図11にさらに詳細に図示される(実施例4もまた参照のこと)。このため、3×10
6個の1624−5 A−MuLV形質転換1624−5プレB細胞を、上述のIgH鎖ライブラリをコードする導入ベクターを含む粒子により、0.1未満のMOIで形質導入した。形質導入の2日後、BDからのFACSAriaを用いた標準的な高速細胞分取によりGFP陽性細胞を濃縮した。GFP+細胞の分取後、細胞を組織培養でさらに2日間にわたり増殖した。増殖後、GFP+細胞集団を、245本の完全配列を特徴とする軽鎖からなるパッケージングされた軽鎖ライブラリを有する粒子により、1より大きいMOIで先述のとおり形質導入した。形質導入の2日後、GFP+/YFP+二重形質導入細胞を高速細胞分取により濃縮し、こうして細胞の大部分がIgH鎖及びIgL鎖ライブラリの双方を有する細胞集団を、組織培養で3日間にわたり再び増殖した。この後、2.5×10
5個の細胞のアリコートを、上記のとおり、とりわけSAV(ストレプトアビジン)−APC−Cy7を含む抗原のカクテルで染色し(実施例8を参照)、標的抗原の反応性についてフローサイトメトリーを用いて濃縮した。同時に、抗体IgH/IgLライブラリを発現する細胞集団を、抗IgLκ特異的抗体を用いて染色した。これらの細胞のうち約75%が、細胞表面上にヒト抗体を提示することが分かった(データは示さず)。抗原反応性細胞を、BDからのFACSAriaを用いた高速細胞分取により分取し、濃縮した細胞を組織培養で7日間にわたり増殖した。上記と同じ染色及び細胞濃縮手順をさらに2回繰り返した。3回のレトロ細胞ディスプレイ選択ラウンド後、得られた細胞集団を再び染色して標的抗原SAV−APC−Cy7の結合性を評価し、フローサイトメトリーを用いて分析した。
図24に示されるとおり、得られたバルク集団はSAV−APC−Cy7との結合性を示したことから、SAV−APC−Cy7に対して抗原特異性を有する抗体の選択の成功が示された。標的抗原SAV−APC−Cy7に対する反応の特異性を評価するため、3回濃縮したライブラリ発現細胞を、抗原SAV−APC及びSAV−PerCP−Cy5.5によっても染色した(
図25)。陰性対照として供された形質導入していない細胞及び選択していないライブラリを発現する細胞と同様に、これらの抗原には、3回のSAV−APC−Cy7濃縮を行った細胞は結合しなかった。しかしながら、後者の細胞は、ここでも確かに、SAV−APC−Cy7に対する強力な反応性が明らかとなったことから、選択された細胞集団の抗原特異性が、SAV−APC−Cy7タンデム色素のCy7蛍光色素を対象としたことが示唆される。
【0193】
3回濃縮した細胞集団のゲノムDNAを単離し、オリゴヌクレオチド配列番号31(上記参照)及び配列番号33を用いる標準的なゲノムPCRの鋳型として供した。これらのオリゴヌクレオチドは、レトロウイルスライブラリにコードされるヒト軽鎖及び重鎖のコード領域の上流及び下流に特異的に結合する。
【数21】
【0194】
予想されたサイズの重鎖及び軽鎖のPCRアンプリコンが得られ、それらを、標準的なPCR断片クローニングベクターpSC−B(Stratagene)に、製造者の推奨どおりに個別にサブクローニングした。IgH PCR断片サブクローニング及びIgL PCR断片サブクローニングから各々得られた10個の細菌クローンから、クローニングされた重鎖及び軽鎖領域を有するpSC−Bプラスミドクローンを単離し、これらを全て、DNA配列解析に供した。DNA配列決定により、HC49、HC58と称される2本の異なるIgH鎖配列と、LC4及びLC10と称される2本の異なるIgL鎖配列とが明らかとなった。
【0195】
V
H及びV
Lコード領域を含むDNA断片を、配列検証したクローンからHindIII及びEco47III消化により単離した。これは、これらの制限酵素部位が、HC49、HC58、LC4及びLC10のそれぞれのV
H及びV
L領域の可変領域(
図4cを参照)に隣接するためである。HC49、HC58、LC4及びLC10の単離したV
H及びV
L領域を、上記のとおり、ヒトIgγ1H鎖(GFPと結合したIRESを発現する)及びヒトIgκL鎖(YFPと結合したIRESを発現する)の定常領域をそれぞれ有するレトロウイルスレシピエントベクターにクローニングした。これにより、新規HC49及びHC58 IgH鎖、LC4及びLC10 IgL鎖の完全ヒトIgH鎖及びIgL鎖をコードするレトロウイルス発現ベクターコンストラクトが生成された。これらのベクターを1624−5プレB細胞に同時形質導入し、8日間増殖させた後、前と同じくフローサイトメトリーを用いてGFP+/YFP+細胞を濃縮した。得られた細胞を、まず初めに、そのSAV−APC−Cy7との結合能力について記載したとおり試験した。
図26に示されるとおり、抗体HC49/LC4及びHC/LC10を発現する細胞の反応性は、SAV−APC−Cy7に対して特に著しい結合活性を示さなかった。対照的に、抗体HC58/LC4及びHC58/LC10によって媒介される反応性は、直ちに認められた。これは、公知の抗原特異性を有する基準抗体由来の公知のIgH鎖又はIgL鎖のいずれも必要とすることのない、IgH鎖及びIgL鎖の多様なコレクションのシャフリングに基づくレトロ細胞ディスプレイによる新規抗原特異的抗体の同定の成功についての概念実証を提供するものである。
【0196】
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