特許第6019578号(P6019578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019578
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】タービン翼
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20161020BHJP
   F01D 5/18 20060101ALI20161020BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20161020BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F01D9/02 102
   F01D5/18
   F01D25/12 E
   F02C7/18 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-274335(P2011-274335)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-124612(P2013-124612A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】仁田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】大北 洋治
(72)【発明者】
【氏名】仲俣 千由紀
(72)【発明者】
【氏名】米倉 一男
(72)【発明者】
【氏名】久保 世志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 修
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−247248(JP,A)
【文献】 特開平10−054203(JP,A)
【文献】 米国特許第07997867(US,B1)
【文献】 特開2011−196360(JP,A)
【文献】 特開平10−089005(JP,A)
【文献】 特開2008−248733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D1/00−11/24
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空とされた翼体の内壁面から外壁面に貫通する冷却空気孔を備えるタービン翼であって、
前記冷却空気孔が前記翼体の内壁面側に設けられる直管部と前記翼体の外壁面側に設けられる拡径部とを有し、
前記拡径部の内壁に設けられると共に前記拡径部における冷却空気の案内を行うガイド溝と、前記ガイド溝に形成された凹部とを備え、
前記凹部は、前記内壁面に向けて掘られた穴部である
ことを特徴とするタービン翼。
【請求項2】
前記ガイド溝は、前記拡径部の内壁面に沿って設けられていることを特徴とする請求項1記載のタービン翼。
【請求項3】
前記ガイド溝は、前記直管部を流れる冷却空気の流れ方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のタービン翼。
【請求項4】
前記拡径部に設けられると共に前記冷却空気の流れ方向と交差する衝突面を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のタービン翼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン翼に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン等が備えるタービン翼は、燃焼器によって生成された燃焼ガスに晒されて高温となる。このため、タービン翼の耐熱性を向上させるために、例えば特許文献1〜4に示すような、様々な対策が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3997986号公報
【特許文献2】特許第4752841号公報
【特許文献3】特開平10−89005号公報
【特許文献4】特開平6−093802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、近年においてはガスタービンエンジン等のさらなる出力の向上が求められており、これによって燃焼器で生成される燃焼ガスの温度が、以前にも増して高温化される傾向にある。
このため、ガスタービンエンジン等が備えるタービン翼には、冷却効率のさらなる向上が求められている。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ガスタービンエンジン等が備えるタービン翼の冷却効率をさらに高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、中空とされた翼体の内壁面から外壁面に貫通する冷却空気孔を備えるタービン翼であって、上記冷却空気孔が上記翼体の内壁面側に設けられる直管部と上記翼体の外壁面側に設けられる拡径部とを有し、上記拡径部の内壁に設けられると共に上記拡径部における冷却空気の案内を行うガイド溝を備えるという構成を採用する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ガイド溝が、上記拡径部の内壁面に沿って設けられているという構成を採用する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記ガイド溝が、上記直管部を流れる冷却空気の流れ方向に沿って設けられているという構成を採用する。
【0010】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記拡径部に設けられると共に上記冷却空気の流れ方向と交差する衝突面を有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷却空気孔が、翼体の外壁面側に設けられる拡径部を備えている。このため、直管部に流れ込んだ冷却空気は、拡径部において広がる。よって、本発明の冷却空気孔によれば、直管部のみからなる冷却空気孔と比較して、より広範囲に冷却空気を噴き出すことができ、翼体の外壁面をより広範囲に冷却することができる。
【0012】
ただし、冷却空気孔に拡径部を設けただけでは、十分に冷却空気を広げて流すことができない。これは、拡径部において、冷却空気の流れ方向が変化したときに当該冷却空気が冷却空気孔の内壁面から剥離し、内壁面近傍に冷却空気が流れ込み難くなるためと考えられる。このように、冷却空気孔に拡径部を設けただけでは、冷却空気の流れに偏りが生じることがあり、求める方向に十分な流量の冷却空気が流れない場合がある。
これに対して、本発明は、拡径部の内壁に設けられると共に上記拡径部における冷却空気の案内を行うガイド溝を備える。このため、直管部から拡径部に流れ込む冷却空気の一部をガイド溝によって所望の方向に案内することが可能となる。したがって、本発明によれば、確実に冷却空気を広範囲に広げることが可能となる。
【0013】
このように、本発明によれば、冷却空気孔から確実に広範囲に冷却空気を噴き出すことができ、翼体の外壁面をより広範囲に冷却することができる。したがって、本発明によれば、タービン翼の冷却効率をさらに高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態におけるタービン翼の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるタービン翼が備えるフィルム冷却部の概略図であり、(a)が冷却空気の流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図であり、(c)が(a)のB−B線断面図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるタービン翼が備えるフィルム冷却部の変形例の概略図であり、(a)が冷却空気Yの流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のC−C線断面図であり、(c)が(a)のD−D線断面図である。
図4図3に示すガイド溝が拡径部に形成されたタービン翼のモデルとして外壁面の温度分布をシミュレーションした結果と、ガイド溝が拡径部に形成されていないタービン翼をモデルとして外壁面の温度分布をシミュレーションした結果とを示す図である。
図5】本発明の第2実施形態におけるタービン翼が備えるフィルム冷却部の概略図であり、(a)が冷却空気の流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図であり、(c)が(a)のB−B線断面図である。
図6】本発明の第2実施形態におけるタービン翼が備えるフィルム冷却部の模式的な断面図であり、(a)が本実施形態のフィルム冷却部の第1の態様を示し、(b)がフィルム冷却部の第2の態様を示し、(c)がフィルム冷却部の第3の態様を示している。
図7】本発明の第3実施形態におけるタービン翼が備えるフィルム冷却部の概略図であり、(a)が冷却空気の流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のG−G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るタービン翼の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のタービン翼1の概略構成を示す斜視図である。本実施形態のタービン翼1は、タービン静翼であり、翼体2と、翼体2を挟み込むバンド部3と、フィルム冷却部4とを備えている。
【0017】
翼体2は、不図示の燃焼器の下流側に配置されており、燃焼器によって生成された燃焼ガスG(図2参照)の流路に配置されている。この翼体2は、前縁2aと、後縁2bと、正圧面2cと、負圧面2dとを有する翼形状とされている。翼体2は、中空とされており、内部に冷却空気を導入するための内部空間を有している。翼体2の内部空間には、不図示の冷却空気流路が接続されており、例えば燃焼器の上流側に設置される圧縮機から抽気された空気が冷却空気として導入される。バンド部3は、翼体2を高さ方向から挟み込んで設けられおり、燃焼ガスGの流路壁の一部として機能する。これらのバンド部3は、翼体2のチップとハブに一体化されている。
【0018】
図2は、フィルム冷却部4の概略図であり、(a)が冷却空気Yの流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図であり、(c)が(a)のB−B線断面図である。これらの図に示すように、フィルム冷却部4は、冷却空気孔5と、ガイド溝6とから構成されている。
【0019】
冷却空気孔5は、翼体2の内壁面2eから外壁面2fに貫通する貫通孔であり、内壁面2e側の直管部5aと、外壁面2f側の拡径部5bとから構成されている。直管部5aは、直線状に延びる部位であり、断面が長孔形状とされている。また、直管部5aは、内壁面2e側の端部より外壁面2f側の端部が翼体2の外壁面2fに沿って流れる主流ガスGの下流側に配置されるように傾斜されている。拡径部5bは、外壁面2fに向かうに連れて流路断面が大きくなる部位である。なお、図2(a)に示すように、拡径部5bは、内壁面2e側から外壁面2f側に向かうに連れて、側壁面5cが翼体2の高さ方向に広がる形状とされている。
このような冷却空気孔5は、翼体2の内部空間から供給される冷却空気Yを外壁面2fに向けて案内すると共に、拡径部5bにおいて冷却空気Yを翼体2の高さ方向に分散させて広げてから外壁面2fに沿って噴き出す。
【0020】
ガイド溝6は、拡径部5bの内壁のうち、主流ガスGの下流側の部位に設けられる溝である。このガイド溝6は、冷却空気孔5の流路面積を局所的に大きくし、ガイド溝6が形成された部位により多くの冷却空気Yを導くものである。
本実施形態においては、ガイド溝6として、拡径部5bの側壁面5cに沿って設けられる2つの側部ガイド溝6aと、これらの側部ガイド溝6aの間に配置されると共に直管部5aを流れる冷却空気Yの流れ方向に沿って設けられる中央ガイド溝6bとが形成されている。
【0021】
また、各ガイド溝6の外壁面2f側の端部には、冷却空気Yの流れと直交(交差)する衝突面7が設けられている。この衝突面7は、冷却空気Yの流れを阻害して圧力損失を高める機能を有し、衝突した冷却空気Yの流速を低下させる。
【0022】
なお、図1に示すように、本実施形態のタービン翼1においては、上述のように構成されたフィルム冷却部4が多数設けられている。このようなフィルム冷却部4から噴出された冷却空気Yが翼体2の外壁面2fに沿って流れ、これによって翼体2の外壁面2fがフィルム冷却される。
【0023】
このような構成を有する本実施形態のタービン翼1によれば、翼体2の内部から冷却空気がフィルム冷却部4の冷却空気孔5に流れ込む。冷却空気孔5に流れ込んだ冷却空気Yは、流路面積が変化しない直管部5aで真っ直ぐと案内され、流路面積が連続的に広がる拡径部5bで翼体2の高さ方向に広がりながら流れる。よって、本実施形態のタービン翼1が備える冷却空気孔5によれば、直管部のみからなる冷却空気孔と比較して、翼体2の高さ方向において、より広範囲に冷却空気Yを噴き出すことができ、翼体2の外壁面2fをより広範囲に冷却することができる。
【0024】
また、本実施形態のタービン翼1においては、拡径部5bの側壁面5cに沿って設けられる側部ガイド溝6aを備えている。このため、直管部5aから拡径部5bに流れ込む冷却空気Yの一部を側部ガイド溝6aによって側壁面5cに沿うように案内することができる。側部ガイド溝6aを設けない場合には、側壁面5cから冷却空気Yが剥離しやすく、側壁面5cの周囲において冷却空気Yが流れ難くなり、冷却空気Yの広がりが十分でなくなる。これに対して、本実施形態のタービン翼1によれば、側壁面5cに沿って冷却空気Yを案内するため、冷却空気Yをより確実に広範囲に広げることが可能となる。
【0025】
なお、側部ガイド溝6aを設けることによって、側壁面5cに沿って流れる冷却空気Yの流量が増大し、拡径部5bにおける中央の冷却空気Yの流量が側壁面5cに沿って流れる冷却空気Yの流量よりも減少することが懸念される。これに対して、本実施形態のタービン翼1においては、側部ガイド溝6aの間に配置されると共に直管部5aを流れる冷却空気Yの流れ方向に沿って設けられる中央ガイド溝6bを備えている。このため、本実施形態のタービン翼1では、拡径部5bにおける中央にも冷却空気Yが案内され、拡径部5bにおける中央の冷却空気Yの流量が側壁面5cに沿って流れる冷却空気Yの流量よりも減少することを防止することができる。したがって、本実施形態のタービン翼1によれば、冷却空気孔5から噴き出される冷却空気Yの流量分布を均一化し、翼体2の外壁面2fを均一に冷却することが可能となる。
【0026】
このように、本実施形態のタービン翼1よれば、冷却空気孔5から確実に広範囲に冷却空気Yを噴き出すことができ、翼体2の外壁面2fをより広範囲に冷却することができる。したがって、本実施形態のタービン翼1によれば、タービン翼1の冷却効率をさらに高めることが可能となる。
【0027】
また、本実施形態のタービン翼1によれば、ガイド溝6の外壁面2f側の端部には、冷却空気Yの流れと直交(交差)する衝突面7が設けられている。このため、ガイド溝6を流れる冷却空気Yが衝突面7と衝突して流速が低下する。これによって、冷却空気Yをより広げることが可能となる。
【0028】
図3は、本実施形態のタービン翼1が備えるフィルム冷却部4の変形例の概略図であり、(a)が冷却空気Yの流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のC−C線断面図であり、(c)が(a)のD−D線断面図である。これらの図に示すように、中央ガイド溝6bの底部6b1を側部ガイド溝6aの底部6a1よりも高くし、中央ガイド溝6bの内壁面2e側にも衝突面8を設けるようにしても良い。このような衝突面8を設けることによって、拡径部5bの入口においても冷却空気Yの流速を低下させることができ、より冷却空気Yをより確実に広範囲に噴き出すことが可能となる。
【0029】
図4は、図3に示すガイド溝6が拡径部5bに形成されたタービン翼1のモデルとして外壁面2fの温度分布をシミュレーションした結果と、ガイド溝6が拡径部5bに形成されていないタービン翼をモデルとして外壁面の温度分布をシミュレーションした結果とを示す図である。図4において(a)は、図3に示すガイド溝6が拡径部5bに形成されたタービン翼1のモデルとして外壁面2fの温度分布をシミュレーションした結果を模式的に示す温度分布図である。また、図4において(b)は、ガイド溝6が拡径部5bに形成されていないタービン翼をモデルとして外壁面の温度分布をシミュレーションした結果を模式的に示す温度分布図である。
これらの図に示すように、図3のガイド溝6が拡径部5bに形成されたタービン翼1では、冷却空気Yがより広範囲に噴き出し、冷却効率が向上していることが分かる。
【0030】
(第2実施形態)
図5は、本実施形態のタービン翼が備えるフィルム冷却部4Aの概略図であり、(a)が冷却空気の流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のE−E線断面図であり、(c)が(a)のF−F線断面図である。
【0031】
これらの図に示すように、本実施形態のフィルム冷却部4Aは、ガイド溝6として外壁面2f側の端部が尖った側部ガイド溝6cを備えている。また、本実施形態のタービン翼は、側部ガイド溝6c同士の間に中間ガイド溝6bを備えておらず、側部ガイド溝6c同士の分岐位置に衝突面9を備えている。
【0032】
このような構成を有するタービン翼においても、側部ガイド溝6cによって、冷却空気孔5から噴き出される空気をより翼体2の高さ方向に広げることが可能となる。また、衝突面9によって、拡径部5bを流れる冷却空気Yの流速を低下させることができ、より冷却空気Yを広範囲に広げることが可能となる。
【0033】
(第3実施形態)
図6は、本実施形態のタービン翼が備えるフィルム冷却部4Bの模式的な断面図であり、(a)が本実施形態のフィルム冷却部4Bの第1の態様を示し、(b)がフィルム冷却部4Bの第2の態様を示し、(c)がフィルム冷却部4Bの第3の態様を示している。
【0034】
図6(a)〜(c)に示すように、本実施形態のフィルム冷却部4Bでは、ガイド溝6に対して凹部10が設けられている。この凹部10は、図6(a)に示すようにディンプル状の窪み10aであっても良いし、図6(b)に示すようにガイド溝6をもう一段掘り下げた溝部10bであても良いし、図6(c)に示すように内壁面2eに向けて掘られた穴部10cであっても良い。
【0035】
このような凹部10を設けることによって、凹部10において渦流を形成して圧力損失を高めることができる。この結果、ガイド溝6における冷却空気Yの流速を低下させることができ、冷却空気Yをより広範囲に広げることが可能となる。
【0036】
(第4実施形態)
図7は、本実施形態のタービン翼が備えるフィルム冷却部4Cの概略図であり、(a)が冷却空気Yの流れ方向に沿う平面で切断した断面図であり、(b)が(a)のG−G線断面図である。
【0037】
これらの図に示すように、本実施形態のフィルム冷却部4Cは、ガイド溝6として中央ガイド溝6bのみを備えている。このような本実施形態のタービン翼によれば、何らかの原因によって直管部5aでの冷却空気Yの流量分布に偏りが生じて中央部の流量が少ない場合であっても、拡径部5bにおいて中央部の流量を増加させることができ、均一に冷却空気Yを噴出することが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、中央ガイド溝6bに対して、上記第2実施形態で示したような凹部10を設けても良い。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態の翼体2におけるフィルム冷却部4の配置位置及び個数は一例であり、タービン翼に要求される冷却性能に応じて適宜変更可能である。
また、上記実施形態においては、タービン翼が静翼である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、動翼に対してフィルム冷却部を設置する構成を排除するものではない。
【符号の説明】
【0041】
1……タービン翼、2……翼体、2a……前縁、2b……後縁、2c……正圧面、2d……負圧面、2e……内壁面、2f……外壁面、3……バンド部、4,4A,4B,4C……フィルム冷却部、5……冷却空気孔、5a……直管部、5b……拡径部、5c……側壁面、6……ガイド溝、6a……側部ガイド溝、6b……中央ガイド溝、6c……側部ガイド溝、7,8,9……衝突面、10……凹部、10a……窪み、10b……溝部、10c……穴部、G……燃焼ガス、Y……冷却空気
図1
図2
図3
図5
図6
図7
図4