(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第3の電力変換部を介して前記発電装置から出力される電力により起動したと判断した場合、起動してから一定時間以上、電力の供給が継続したときに、前記発電装置から出力される電力を前記蓄電池に供給するように制御を行う
請求項1に記載の蓄電制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本技術を適用した蓄電制御装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、蓄電制御装置11には、商用電源から電力を供給するための電力系統12が分電盤13を介して接続され、太陽光パネル14がPV(Photovoltaic)用パワーコンディショナ15を介して接続されている。また、分電盤13およびPV用パワーコンディショナ15が互いに接続されている。
【0020】
分電盤13は、配線用ブレーカ(MCB:Molded Case Circuit Breaker)21、漏電ブレーカ(ELB:Earth Leakage Circuit Breaker)22および23、並びに、複数のブレーカ24を有して構成されており、それらは互いに接続されている。配線用ブレーカ21には電力系統12が接続され、漏電ブレーカ22にはPV用パワーコンディショナ15が接続され、漏電ブレーカ23には蓄電制御装置11が接続され、複数のブレーカ24には、図示しない負荷がそれぞれ接続されている。例えば、電力系統12およびPV用パワーコンディショナ15から供給される電力が、分電盤13を介して、蓄電制御装置11や、複数のブレーカ24に接続されている負荷などに分配される。また、蓄電制御装置11に蓄電されている電力が、分電盤13を介して、複数のブレーカ24に接続されている負荷に分配される。
【0021】
太陽光パネル14は、複数の太陽電池モジュールが接続されて構成されるパネルであり、太陽光の照射量に応じて発電を行う。
【0022】
PV用パワーコンディショナ15は、例えば、太陽光パネル14から最大の電力を取得することができるように、太陽光パネル14により発電される電力の電圧を調整する。そして、PV用パワーコンディショナ15は、太陽光パネル14により発電された電力をDC/AC(Direct Current/Alternating Current)変換して分電盤13に出力する。また、PV用パワーコンディショナ15は、例えば、停電が発生しているときに電力を出力する自立出力端子を備えており、その自立出力端子が蓄電制御装置11に接続されている。
【0023】
蓄電制御装置11は、蓄電池31、バッテリマネジメントシステム(BMS:Battery Management System)32、蓄電池用パワーコンディショナ33、AC/DC変換器34、DC/DC(Direct Current/Direct Current)変換器35、および制御ユニット36を備えて構成される。また、蓄電制御装置11の内部の配線には、電力の供給経路を制御するためのリレー37乃至39並びに逆流防止手段40および41が接続されている。さらに、蓄電制御装置11の筐体には、接続端子42乃至44が配設されており、接続端子42には分電盤13が接続され、接続端子43にはPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子が接続され、接続端子44には、図示しない負荷が接続される。
【0024】
蓄電制御装置11の内部では、蓄電池31と蓄電池用パワーコンディショナ33とがリレー37を介して接続され、蓄電池用パワーコンディショナ33と接続端子42とがリレー38を介して接続される。また、蓄電池用パワーコンディショナ33およびリレー38の間の配線と接続端子43とがリレー39を介して接続され、蓄電池用パワーコンディショナ33と接続端子44とが直接的に接続される。さらに、接続端子42およびリレー38の間の配線にはAC/DC変換器34の入力端子が接続されており、AC/DC変換器34の出力端子は、逆流防止手段40を介して制御ユニット36に接続される。また、蓄電池用パワーコンディショナ33およびリレー37の間の配線には、DC/DC変換器35の入力端子が接続されており、DC/DC変換器35の出力端子は、逆流防止手段41を介して制御ユニット36に接続される。
【0025】
蓄電池31は、蓄電池用パワーコンディショナ33から供給される電力を蓄積する。また、蓄電池31に蓄積されている電力は、蓄電池用パワーコンディショナ33に供給されるとともに、DC/DC変換器35を介して制御ユニット36に供給される。
【0026】
バッテリマネジメントシステム32は、制御ユニット36と通信を行い、蓄電池31を管理する。例えば、バッテリマネジメントシステム32は、蓄電池31に蓄積されている電力の電圧値や、蓄電池31に入出力する電力の電流値、蓄電池31の温度などを測定し、それらの測定値を制御ユニット36に送信する。
【0027】
蓄電池用パワーコンディショナ33は、制御ユニット36と通信を行い、蓄電池31の充電状態に応じて蓄電池31に入出力する電力を調整する。例えば、蓄電池用パワーコンディショナ33は、分電盤13を介して電力系統12から供給される電力、または、太陽光パネル14により発電されPV用パワーコンディショナ15を介して供給される電力を、蓄電池31の蓄電容量に応じてAC/DC変換して蓄電池31に供給する。また、蓄電池用パワーコンディショナ33は、蓄電池31に蓄積されている電力をDC/AC変換し、分電盤13に接続されている負荷に供給する。さらに、蓄電池用パワーコンディショナ33は、例えば、停電時において、電池31に蓄積されている電力をDC/AC変換して接続端子44から電力を出力(自立出力)し、接続端子44に接続されている負荷に供給する。
【0028】
このように、蓄電池用パワーコンディショナ33は、双方向に電力を変換(AC/DC変換およびDC/AC変換)することができるように構成されており、DC側(蓄電池31が接続される側)に、比較的に容量の大きな平滑コンデンサ45を内蔵している。平滑コンデンサ45には、蓄電池用パワーコンディショナ33が電力を変換する際に、その容量に応じた電力が蓄積される。
【0029】
AC/DC変換器34は、分電盤13または蓄電池用パワーコンディショナ33から供給される電力をAC/DC変換し、逆流防止手段40を介して制御ユニット36に供給する。
【0030】
DC/DC変換器35は、蓄電池31または蓄電池用パワーコンディショナ33から供給される電力をDC/DC変換し、逆流防止手段41を介して制御ユニット36に供給する。
【0031】
制御ユニット36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、および入出力インタフェースを備えて構成され、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、入出力インタフェースを介して蓄電制御装置11の各部を制御する。例えば、制御ユニット36は、バッテリマネジメントシステム32と通信を行って取得した測定値に基づいて、蓄電池31に適切な充電が行われるように、蓄電池用パワーコンディショナ33に対する制御を行う。また、制御ユニット36は、必要に応じて、リレー37乃至39の開閉を制御する。
【0032】
リレー37乃至39は、制御ユニット36の制御に従って、それぞれの配線のオン/オフ(閉鎖状態/開放状態)の切り替えを行う。また、リレー38および39は、互いに排他的に配線をオンするように構成されており、リレー38がオンであるときにはリレー39がオフとされ、リレー39がオンであるときにはリレー38がオフとされる。即ち、リレー38および39は、分電盤13およびPV用パワーコンディショナ15のどちらか一方を蓄電池用パワーコンディショナ33に接続するように構成されている。
【0033】
逆流防止手段40および41は、AC/DC変換器34から出力される電力と、DC/DC変換器35から出力される電力とが、制御ユニット36のみに入力されるように、電流の向きを規制する。
【0034】
このように蓄電制御装置11は構成されており、制御ユニット36には、電力系統12から供給される電力がAC/DC変換器34を介して供給されるとともに、蓄電池31に蓄積されている電力がDC/DC変換器35を介して供給される。従って、蓄電制御装置11では、例えば、停電が発生した場合には、蓄電池31に蓄積されている電力により制御ユニット36が駆動し続けることができる。これにより、蓄電制御装置11の信頼性を向上させることができる。
【0035】
図2を参照して、制御ユニット36に供給される電力の経路について説明する。
【0036】
図2では、停電が発生していない通常時における制御ユニット36への電力経路が、白抜きの矢印で示されている。即ち、通常時には、太線の白抜きの矢印で示される電力供給経路に沿って、電力系統12から分電盤13を介して蓄電制御装置11に供給される電力が、AC/DC変換器34においてAC/DC変換されて制御ユニット36に供給される。同様に、細線の白抜きの矢印で示されている電力供給経路に沿って、蓄電池31から出力される電力が、DC/DC変換器35においてDC/DC変換されて制御ユニット36に供給される。
【0037】
ここで、蓄電制御装置11では、制御ユニット36の動作可能電圧の範囲内において、AC/DC変換器34の出力電圧の電圧値が、DC/DC変換器35の出力電圧の電圧値よりも高く設定されている。具体的には、制御ユニット36の動作可能電圧が24Vから上下に各2Vの範囲に設定されている場合、DC/DC変換器35の出力電圧は約22Vに設定され、AC/DC変換器34の出力電圧は約26Vに設定される。
【0038】
従って、蓄電制御装置11において、制御ユニット36への電力供給は、蓄電池31から供給される電力よりも、電力系統12から供給される電力が優先されることになる。このように、蓄電池31以外からの電力を優先的に制御ユニット36に供給することにより、蓄電池31に蓄積された貴重な電力の消費を抑制することができる。また、蓄電池31に充電する際には充電ロスが発生するため、蓄電池31に蓄積された電力の消費を抑制することで、全体として電力効率を向上させることができる。また、蓄電池31から常時放電される電力量を低減することで、蓄電池31が過放電となるリスクを回避することができる。さらに、ユーザが、蓄電池31を使用していないのに充電残量が低減していると感じることを回避することができる。
【0039】
そして、蓄電制御装置11では、通常時においても、蓄電池31からDC/DC変換器35を介して制御ユニット36に電力を常に供給するように構成されているため、例えば、停電が発生して電力系統12からの電力の供給が停止した場合でも、蓄電制御装置11は、稼働し続けることができる。
【0040】
図3には、停電時において、制御ユニット36に供給される電力の経路が示されている。
【0041】
図3に示すように、電力系統12からの電力の供給が停止し、AC/DC変換器34が制御ユニット36に電力を供給することができなくなった場合、白抜きの矢印で示されているように、蓄電池31からDC/DC変換器35を介して制御ユニット36に電力が供給される。
【0042】
例えば、複数の電力供給経路を切り替えるようなシステムでは、電力系統から電力を取得しているときに停電が発生した場合には、電力供給経路を切り替えることができず、システムが停止する恐れがある。これに対し、蓄電制御装置11では、制御ユニット36は電力系統12および蓄電池31の両方から電力を取得し、停電が発生した場合でも、電力供給経路を切り替える操作を必要とせず、蓄電池31から制御ユニット36に電力を供給することができる。
【0043】
これにより、蓄電制御装置11では、制御ユニット36が停電によって停止することが回避され、蓄電制御装置11が稼働し続けることができる。従って、蓄電制御装置11は、停電時の災害対策用の蓄電システムに用いて有効に活用することができる。
【0044】
ここで、一般的に、蓄電池31を備えたシステムにおいて、蓄電池31に接続されるリレー37は、安全を担保するための重要な部品である。そのため、蓄電制御装置11では、リレー37の異常(例えば、接点の溶着)を検知するために、リレー37の動作確認を定期的に行うように運用することが望ましい。例えば、制御ユニット36は、リレー37をオン/オフさせる制御を定期的に行い、リレー37が正常に動作しているのかを確認する。
【0045】
従って、リレー37の動作確認中には、
図4に示すように、リレー37がオフ(接点が開放)された状態となる。この状態において、制御ユニット36は、太線の白抜きの矢印で示すように、電力系統12からAC/DC変換器34を介して供給される電力を取得して動作することができる。
【0046】
ところで、通常、停電が発生することを予測することは困難である。従って、
図4に示すように、リレー37の動作確認中においてリレー37がオフされた状態であるときに停電が発生した場合、電力系統12および蓄電池31のどちらからも、制御ユニット36に電力を供給することができない事態が発生する。このような事態が発生したとき、蓄電制御装置11では、蓄電池用パワーコンディショナ33が備える平滑コンデンサ45に蓄積されている電力が制御ユニット36に供給される。
【0047】
図5には、リレー37の動作確認中に停電が発生したときに、制御ユニット36に供給される電力の経路が示されている。
【0048】
図5において、リレー37の動作確認中に停電が発生したときおける蓄電制御装置11への電力経路が、白抜きの矢印で示されている。即ち、リレー37の動作確認中に停電が発生したときには、蓄電池用パワーコンディショナ33の平滑コンデンサ45に蓄積されている電力が、DC/DC変換器35によりDC/DC変換されて制御ユニット36に供給される。上述したように、蓄電池用パワーコンディショナ33は、比較的に容量の大きな平滑コンデンサ45をDC側に備えており、蓄電池用パワーコンディショナ33の動作中には、平滑コンデンサ45に電力が蓄積されている。
【0049】
従って、蓄電制御装置11では、リレー37の動作確認中においてリレー37がオフされた状態であるときに停電が発生して電力系統12からの電力の供給が停止したとしても、蓄電池用パワーコンディショナ33の平滑コンデンサ45に蓄積されている電力を活用して、制御ユニット36に電力を供給することができる。
【0050】
従って、制御ユニット36は、リレー37の動作確認中に停電が発生したことを検知すると、平滑コンデンサ45に蓄積されている電力により駆動可能な間に、リレー37をオン(接点を接続)にする制御を優先的に行う。リレー37をオンになることにより、蓄電池31に蓄積されている電力が制御ユニット36に供給されるようになるため、制御ユニット36は、動作し続けることができる。
【0051】
図6のフローチャートを参照して、制御ユニット36が、リレー37の動作確認中に停電が発生した場合に行う処理について説明する。
【0052】
例えば、停電が発生していない通常時に制御ユニット36が起動すると処理が開始され、ステップS11において、制御ユニット36は通常モードの処理を実行する。例えば、電力系統12からの電力により蓄電池31を充電したり、蓄電池31に蓄積されている電力を、分電盤13を介して図示しない負荷に供給したりするように蓄電池用パワーコンディショナ33に対して制御を行う処理を実行する。また、通常モードの処理では、定期的に、リレー37の動作確認を行うように設定されており、リレー37の動作確認を行うタイミングになると、処理はステップS12に進む。
【0053】
ステップS12において、制御ユニット36は、動作確認を行うためにリレー37をオフにし、リレー37の動作を確認する。
【0054】
ステップS13において、制御ユニット36は、リレー37の動作確認が終了したか否かを判定し、リレー37の動作確認が終了したと判定された場合、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0055】
一方、ステップS13において、リレー37の動作確認が終了していないと判定された場合、処理はステップS14に進み、制御ユニット36は、停電が発生したか否かを判定する。
【0056】
ステップS14において、制御ユニット36が、停電が発生していないと判定した場合、処理はステップS13に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。一方、ステップS14において、制御ユニット36が、停電が発生したと判定した場合、即ち、リレー37の動作確認中に停電が発生した場合、処理はステップS15に進む。なお、この場合、
図5を参照して上述したように、制御ユニット36には、蓄電池用パワーコンディショナ33の平滑コンデンサ45に蓄積されている電力が供給される。
【0057】
ステップS15において、制御ユニット36は、実行中の処理を全て中断して、リレー37をオンにする割り込み処理を実行する。これにより、動作確認中でオフにされていたリレー37がオンになり、リレー37を介して蓄電池31に蓄積されている電力が制御ユニット36に供給される。
【0058】
ステップS16において、制御ユニット36は、停電モードの処理を実行し、蓄電制御装置11が稼働を継続する。
【0059】
ステップS17において、制御ユニット36は停電が復旧したか否かを判定し、停電が復旧していないと判定された場合、処理はステップS16に戻り、停電モードの処理が継続して実行される。
【0060】
一方、ステップS17において、停電が復旧したと判定された場合、処理はステップS11に戻り、通常モードの処理に切り替えられ、以下、同様の処理が繰り返される。
【0061】
以上のように、蓄電制御装置11では、リレー37の動作確認中に停電が発生しても、平滑コンデンサ45から供給される電力により駆動する制御ユニット36が、リレー37をオンにする処理を優先的に行うため、蓄電池31に蓄積されている電力がリレー37を介して制御ユニット36に供給され、蓄電制御装置11が稼働を継続することができる。
【0062】
また、蓄電制御装置11では、蓄電池用パワーコンディショナ33に内蔵されている平滑コンデンサ45を利用するように構成されているため、新たに外部に補助電源などを設けることなく、リレー37の動作確認中の停電に対応することができる。従って、蓄電制御装置11は、そのような補助電源を設けた場合に必要となるメンテナンスを不要とすることができる。
【0063】
また、上述したように、蓄電制御装置11では、蓄電池31からの電力が制御ユニット36に優先的に供給されるように設定されているため、停電が発生していない通常時には、平滑コンデンサ45は蓄積できる限りの電力を保持した状態となる。これにより、停電が発生したときに、制御ユニット36が最低限の動作を行うのに必要な電力を平滑コンデンサ45に蓄積させることができる。
【0064】
このように、蓄電制御装置11は、蓄電池用パワーコンディショナ33に内蔵されている平滑コンデンサ45を利用することで、新たな補助電源などを外部に設けることなく、リレー37の動作確認中に発生する停電に対応することができる。これにより、蓄電制御装置11の信頼性を向上させることができる。
【0065】
次に、
図7は、本技術を適用した蓄電制御装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、
図7に示されている蓄電制御装置11’において、
図1の蓄電制御装置11と共通する構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
即ち、
図7に示すように、蓄電制御装置11’は、蓄電池31、バッテリマネジメントシステム32、蓄電池用パワーコンディショナ33、AC/DC変換器34、DC/DC変換器35、制御ユニット36、リレー37乃至39、逆流防止手段40および41、並びに、接続端子42乃至44を備える点で、
図1の蓄電制御装置11と共通の構成とされる。但し、蓄電制御装置11’は、AC/DC変換器51、逆流防止手段52および53、接続端子54、およびリレー55を備える点で、
図1の蓄電制御装置11と異なる構成とされる。
【0067】
また、蓄電制御装置11’には、電力系統12が分電盤13を介して接続され、太陽光パネル14がPV用パワーコンディショナ15を介して接続されるのとともに、表示器16が接続されている。表示器16は、例えば、液晶パネルなどから構成されるディスプレイを備えており、制御ユニット36と通信を行って制御信号を送受信し、制御ユニット36から供給される画像信号に応じた画像をディスプレイに表示する。また、表示器16の駆動に必要な電力は、制御ユニット36から供給される。
【0068】
AC/DC変換器51の入力端子は、リレー39および接続端子43の間の配線に接続され、AC/DC変換器51の出力端子は、逆流防止手段52を介して制御ユニット36に接続される。上述したように、接続端子43はPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子に接続されており、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力が接続端子43を介してAC/DC変換器51に供給され、AC/DC変換器51は、その電力をAC/DC変換して制御ユニット36に供給することができる。
【0069】
逆流防止手段52および53は、逆流防止手段40および41とともに、AC/DC変換器34から出力される電力、DC/DC変換器35から出力される電力、AC/DC変換器51から出力される電力、および、接続端子54を介して外部から供給される電力が、制御ユニット36のみに入力されるように、電流の向きを規制する。
【0070】
接続端子54は、外部から保守起動用の外部電源を接続するための端子であり、接続端子54は、逆流防止手段53を介して制御ユニット36に接続されている。
【0071】
リレー55は、AC/DC変換器34およびリレー38の接続点と、接続端子42との間に配設され、制御ユニット36の制御に従って、配線のオン/オフを行う。
【0072】
このように構成される蓄電制御装置11’では、電力系統12からAC/DC変換器34を介して制御ユニット36が電力を取得する経路、蓄電池31からDC/DC変換器35を介して制御ユニット36が電力を取得する経路、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子からAC/DC変換器51を介して制御ユニット36が電力を取得する経路、および、接続端子54に接続される保守起動用の電源から制御ユニット36が電力を取得する経路が設けられている。
【0073】
例えば、蓄電制御装置11’が電力系統12と連系しているときには、制御ユニット36には、電力系統12から供給される電力がAC/DC変換器34を介して供給されるとともに、蓄電池31に蓄積されている電力がDC/DC変換器35を介して供給される。なお、このとき、PV用パワーコンディショナ15は、自立出力端子からの電力の出力を停止している。
【0074】
例えば、
図8には、停電が発生していない通常時における蓄電制御装置11’の電力経路が白抜きの矢印で示されている。即ち、通常時には、太線の白抜きの矢印で示される電力供給経路に沿って、電力系統12から分電盤13を介して蓄電制御装置11’に供給される電力が、AC/DC変換器34においてAC/DC変換されて制御ユニット36に供給される。同様に、細線の白抜きの矢印で示されている電力供給経路に沿って、蓄電池31から出力される電力が、DC/DC変換器35においてDC/DC変換されて制御ユニット36に供給される。
【0075】
このとき、
図1の蓄電制御装置11と同様に、蓄電池31から供給される電力よりも、電力系統12から供給される電力が優先されるように、AC/DC変換器34およびDC/DC変換器35の出力電圧が設定されている。
【0076】
ここで、蓄電制御装置11’において、制御ユニット36は、システムに異常が発生したことを検知した場合、リレー37および55をオフにして、蓄電池31に関連した危険の発生を防止するように設定されている。例えば、制御ユニット36は、リバッテリマネジメントシステム32と通信を行って、蓄電池31が異常に高温となった場合や、蓄電池31が漏電した場合に、システムに異常が発生したことを検知する。そして、制御ユニット36がリレー37および55をオフにした結果、通常時における電力供給経路が遮断されてしまうため、蓄電制御装置11’の稼働が停止することになる。
【0077】
このような場合には、蓄電制御装置11’に対する保守を行って、蓄電制御装置11’の稼働が停止した原因を分析し、試験的な再稼働を行うために、制御ユニット36に電力を供給して、制御ユニット36を駆動させる必要がある。そこで、蓄電制御装置11’は、保守を行う者が、接続端子54に保守電源を接続し、接続端子54を通じて制御ユニット36に電力を供給することができるように構成されている。
【0078】
即ち、
図9に示すように、蓄電制御装置11’ではリレー37および55がオフとされた状態であっても、接続端子54に接続された保守電源17から、制御ユニット36に電力が供給される。これにより、制御ユニット36は、保守電源17からの電力により起動することができ、保守を行う者が、例えば、システムのデータログを取得したり、蓄電制御装置11’を構成する各部の状況を確認したりすることができる。
【0079】
また、例えば、停電が発生しているときに太陽光パネル14が発電している場合、PV用パワーコンディショナ15は、自立出力端子から電力を出力しようとする。これにより、蓄電制御装置11’において、制御ユニット36は、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力をAC/DC変換器51を介して取得することができるとともに、蓄電池31に蓄積されている電力をDC/DC変換器35を介して取得することができる。
【0080】
図10には、停電が発生しているときに太陽光パネル14が発電している場合における蓄電制御装置11’の電力経路が白抜きの矢印で示されている。
【0081】
図10に示すように、蓄電制御装置11’では、太線の白抜きの矢印で示す電力供給経路に沿って、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力が制御ユニット36に供給される。同様に、細線の白抜きの矢印で示す電力供給経路に沿って、蓄電池31から出力される電力が制御ユニット36に供給される。
【0082】
また、蓄電制御装置11’では、AC/DC変換器51の出力電圧の電圧値が、DC/DC変換器35の出力電圧の電圧値よりも高く設定されている。これにより、蓄電制御装置11’では、蓄電池31の電力よりもPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力が、制御ユニット36に優先的に供給される。
【0083】
このように、制御ユニット36が、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力を優先的に取得することで、蓄電制御装置11’では、蓄電池31に蓄積された電力の消費を抑制することができる。さらに、蓄電制御装置11’では、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子からの出力を、起動電源として利用することで、停電中に蓄電池31の残量が減少して、リレー37が解列された状態から、システムを自立復帰することができる。
【0084】
例えば、夜間や雨天時などに停電が発生した場合、制御ユニット36は、電力系統12からも、PV用パワーコンディショナ15からも電力を取得することができない。
【0085】
この場合、
図11に示すように、蓄電制御装置11’では、制御ユニット36は、蓄電池31から取得することによって駆動することができる。即ち、停電が発生した瞬間に電力系統12からの電力が途絶えても、蓄電制御装置11’では、制御ユニット36は、電力系統12と並列的に蓄電池31から電力を取得しているため、停電に関係なく動作することができる。
【0086】
ところが、停電が継続するとともに、天候の悪い状態が継続すると、制御ユニット36が蓄電池31から電力を取得し続けることになるため、蓄電池31の残量が減少し続けることになる。そして、蓄電池31の残量が一定値以下になると、過放電による蓄電池31の劣化を回避するために、制御ユニット36は、それ以上の電力を蓄電池31から取得することができないように、リレー37をオフにして蓄電池31を保護するような制御を行う。なお、蓄電池31の残量が少ない状態で停電が発生した場合には、直ちにリレー37をオフにして蓄電池31を保護するような制御が行われる。
【0087】
このような状態において、天候が回復して太陽光パネル14による発電が行われると、
図12に示すように、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力が、AC/DC変換器51を介して制御ユニット36に供給されるようになる。これにより、制御ユニット36が起動して、蓄電制御装置11’は、再稼働することができる。
【0088】
また、このとき、制御ユニット36は、リレー39をオンにして、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力を蓄電池用パワーコンディショナ33に供給させて、蓄電池31を充電させる。
【0089】
このように、蓄電制御装置11’では、PV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力をAC/DC変換器51を介して制御ユニット36に供給する電力供給経路が設けられているので、蓄電制御装置11’の稼働が停止したときに、停電が復旧する前であっても、天候が改善されたときにシステムを再稼働することができる。
【0090】
また、天候が改善するのに応じて、蓄電制御装置11’が再稼働したとき、太陽光パネル14により発電される電力は安定していないことが想定される。特に、明け方においては、太陽光パネル14の発電量が少ないため、リレー37や蓄電池用パワーコンディショナ33などを起動させるための十分な電力を取得することができない。この場合、例えば、太陽光パネル14により発電された電力により制御ユニット36が起動して、制御ユニット36がリレー37をオンにしようとするが電力が不足してしまい、リレー37のチャタリングが発生することが想定される。
【0091】
そこで、制御ユニット36は、太陽光パネル14が発電を開始してから、太陽光パネル14により発電される電力が安定するまでの一定期間が経過した後に、リレー37をオンにする制御を行う。
【0092】
次に、
図13を参照して、制御ユニット36が実行する起動処理について説明する。
【0093】
上述したように、停電の発生中に太陽光パネル14による発電が行われず、蓄電池31の残量が一定値以下となってリレー37がオフにされている状態において、制御ユニット36の動作が停止しているときに電力の供給が開始されると、処理が開始される。
【0094】
ステップS21において、制御ユニット36は、供給が開始された電力により起動する。
【0095】
ステップS22において、制御ユニット36は、停電状態であるか否かを判定する。例えば、停電が復旧している場合には、蓄電池用パワーコンディショナ33にも電力系統12から電力が供給されているため、制御ユニット36は、蓄電池用パワーコンディショナ33との通信を試みることにより、停電状態であるか否かを判定することができる。
【0096】
ステップS22において、制御ユニット36が、停電状態でないと判定した場合、即ち、制御ユニット36が起動するための電力が電力系統12から供給されていた場合、処理はステップS23に進む。ステップS23において、制御ユニット36は、電力系統12からの電力により蓄電制御装置11’を復帰する復帰モードに移行する。
【0097】
一方、ステップS22において、制御ユニット36が、停電状態であると判定した場合、処理はステップS24に進み、制御ユニット36は、強制起動信号が供給されているか否かを判定する。例えば、保守を行う者が、接続端子54に保守電源17(
図9参照)を接続し、接続端子54を通じて制御ユニット36に電力を供給した場合には、別途、制御ユニット36に対して強制起動信号が供給される。
【0098】
ステップS24において、制御ユニット36が、強制起動信号が供給されていると判定した場合、処理はステップS25に進み、制御ユニット36は、保守電源17からの電力により蓄電制御装置11’を復帰する復帰モードに移行する。
【0099】
一方、ステップS24において、制御ユニット36が、強制起動信号が供給されてないと判定した場合、処理はステップS26に進み、制御ユニット36は、太陽光パネル14により発電されてPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力により起動したと判断する。即ち、この場合、電力系統12および保守電源17から電力が供給されていることはなく、かつ、制御ユニット36の起動前の状態ではリレー37がオフとされているため、太陽光パネル14により発電されてPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力により起動したと判断することができる。
【0100】
ステップS27において、制御ユニット36は、例えば、図示しないタイマーカウンタを利用して、起動してから一定時間以上、電力の供給が継続したか否かを判定し、電力の供給が継続したと判定するまで処理を待機する。ここで、例えば、制御ユニット36が一定時間の経過を待機しているときに、太陽光パネル14による発電が安定しておらず、電力の供給が停止した場合には、制御ユニット36の動作は停止して、再度、電力の供給が開始されると、ステップS21から処理を再開する。
【0101】
そして、ステップS27において、制御ユニット36が、起動してから一定時間以上、電力の供給が継続したと判定した場合、処理はステップS28に進む。ステップS28において、制御ユニット36は、太陽光パネル14による発電が安定したと判断して、太陽光パネル14により発電されてPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力により蓄電制御装置11’を復帰する復帰モードに移行する。即ち、この場合、復帰モードでは、リレー37をオンにするとともに、リレー39をオンにしてPV用パワーコンディショナ15の自立出力端子から出力される電力を蓄電池用パワーコンディショナ33に供給させ、蓄電池31を充電するように蓄電池用パワーコンディショナ33に対する指示を行う。
【0102】
そして、ステップS23,S25、およびS28の処理後、起動処理は終了される。
【0103】
以上のように、蓄電制御装置11’では、太陽光パネル14が発電を開始してから、太陽光パネル14により発電される電力が安定するまでの一定期間が経過した後に、リレー37をオンにするので、リレー37のチャタリングが発生することを回避して、確実に、蓄電池31を充電することができる。
【0104】
また、蓄電制御装置11’は、複数の経路から制御ユニット36が電力を取得することができるため、停電が発生したり天候の悪い状態が継続したりしても、制御ユニット36を起動することができ、通常時および停電時でも有効に電力を利用することができる。
【0105】
なお、制御ユニット36が電力を取得する複数の経路は、上述したうちの一部だけでもよい。
【0106】
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0107】
また、それらのプログラムは、あらかじめ記憶部に記憶させておく他、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部を介して、あるいは、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディアを駆動するドライブを介して、コンピュータにインストールすることができる。
【0108】
また、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0109】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。