(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
QR券を利用する改札システムでは、QR券の二次元バーコードを券売機で正確に印刷する必要がある。しかしながら、二次元バーコードを印刷する印刷部の経年劣化の進展や不具合があると、二次元バーコードの印刷が不良化し、改札機での二次元バーコードの読み取りが不能になることがある。また、改札機で、二次元バーコードを読み取る画像読取部の経年劣化の進展や不具合があっても、二次元バーコードの読み取りが不能になることがある。
【0006】
これらの理由によって改札機で二次元バーコードの読み取りが不能になると、利用者が改札を通過することができないため、係員はQR券の交換等を行う必要がある。また、係員は、QR券の目視から券売機の印刷部や改札機の画像読取部の劣化や不具合を推察し、営業中であっても券売機や改札機を停止してメンテナンスする必要がある。
【0007】
そこで、この発明の目的は、バーコードの読み取りが不能になるよりも前に、
バーコードを媒体に印刷する印刷ユニットが劣化
しているか否かを高い確度で
判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の印刷読取システムは、複数の印刷ユニットと、複数の画像読取ユニットと、管理ユニットと、を有している。
各印刷ユニットは、自ユニットを識別する第1の識別情報と、媒体データとを含む第1の符号列をパターン化したバーコードを媒体に印刷する印刷部を備えている。
また、画像読取ユニットは、画像読取部と、復号部と、判定部と、通知部とを備えている。画像読取部は、印刷ユニットにより、バーコードが印刷された媒体からバーコード画像を光学的に読み取る。復号部は、画像読取部が読み取ったバーコード画像から第2の符号列を復号化し、誤り訂正により第2の符号列を補正して第1の符号列を取得する。判定部は、画像読取部が読み取ったバーコード画像について、復号部での誤り訂正の程度により不良化画像か否かを判定する。通知部は、自ユニット(
画像読取ユニット)を識別する第2の識別情報と、復号部が取得した第1の符号列に含まれている印刷ユニット(復号部が、今回第1の符号列を取得したバーコードを媒体に印刷した印刷ユニット)を識別する第1の識別情報と、判定部の判定結果と、を含む判定情報を管理ユニットに通知する。
さらに、管理ユニットは、判定情報記憶部と、第1の劣化状態判定部とを備えている。判定情報記憶部には、画像読取ユニットから通知された判定情報が蓄積的に記憶される。第1の劣化状態判定部は、判定情報記憶部が記憶する判定情報を用いて、印刷ユニット毎に、その印刷ユニットの印刷部が印刷したバーコードについて、
画像読取ユニットの判定部が不良化画像であると判定したバーコードの発生頻度を算出し、ここで算出した発生頻度によって、当該印刷ユニットの印刷部が劣化している状態であるか否かを判定する。
この構成では、印刷ユニットの印刷部が劣化している状態であるか否かを判定することができる。
【0009】
また、管理ユニットは、判定情報記憶部が記憶する判定情報を用いて、
画像読取ユニット毎に、その
画像読取ユニットの判定部が不良化画像と判定したバーコードの発生頻度を算出し、ここで算出した発生頻度によって、当該
画像読取ユニットの画像読取部が劣化している状態であるか否かを判定する第2の劣化状態判定部を備える構成にしてもよい。
【0010】
このように構成すれば、
画像読取ユニットの画像読取部が劣化している状態であるか否かを判定することができる。
【0011】
さらに管理ユニットの第1の劣化状態判定部は、判定情報記憶部が記憶する判定情報であって、第2の劣化状態判定部で劣化していると判定された
画像読取ユニットの判定部によって不良化画像であると判定されていない判定情報を用いて、印刷ユニット毎に、その印刷ユニットの印刷部が印刷したバーコードについて、
画像読取ユニットの判定部が不良化画像であると判定したバーコードの発生頻度を算出し、ここで算出した発生頻度によって、当該印刷ユニットの印刷部が劣化している状態であるか否かを判定する、構成にしてもよい。
【0012】
このように構成すれば、印刷ユニットの印刷部が劣化している状態であるか否かを一層精度よく判定することができる。
【0013】
また、管理ユニットを、第1の劣化状態判定部において、画像読取部が劣化している状態であると判定された
画像読取ユニットを示す第1の情報、または第2の劣化状態判定部において、印刷部が劣化している状態であると判定された印刷ユニットを示す第2の情報の少なくとも一方を出力する出力部を備える構成にしてもよい。
【0014】
このように構成すれば、画像読取部が劣化している状態であると判定された
画像読取ユニットや、印刷部が劣化している状態であると判定された印刷ユニットに対するメンテナンスを、係員等に促すことができる。
定部と、第2の劣化状態判定部と、に相当する。また、報知部23が、この発明で言う出力部に相当する。さらに、記憶部22のQR券情報データベースDB1が、この発明で言う判定情報記憶部に相当する。
【0015】
また、この印刷読取システムは、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対して改札処理を行う改札システムに利用してもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、バーコード画像からデータの読み取りができる状態であっても、印刷部や画像読取部が劣化したことを高い確度で自動的に検出することができる。したがって、印刷部や画像読取部のメンテナンスを、バーコード画像からのデータの読み取りが不能になるよりも前に実施することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
≪第1の実施形態≫
以下、この発明の実施形態に係る印刷読取システムについて、改札システムを例に説明する。
【0019】
図1(A)は、第1の実施形態に係る改札システムの要部構成を例示する図である。
【0020】
改札システム1は、管理端末2と、改札端末3A〜3Nと、発券端末4A〜4Nと、を含んで構成されている。管理端末2、改札端末3A〜3N、および、発券端末4A〜4Nは、鉄道網の同一駅に配置されている。改札端末3A〜3N、および、発券端末4A〜4Nは、配置駅に設けられたLAN等を介して管理端末2に接続されている。
【0021】
発券端末4A〜4Nは、配置駅の改札口周辺に設置されていて、利用者に対してQR券や磁気券、IC券を販売する発券処理を行う。
図1(B)は、QR券の券面印刷を例示する図である。QR券は、従来の磁気券と同様の乗車券情報が券面に印字されているとともに、その乗車券情報を含む二次元バーコードが印刷されたものである。発券端末4A〜4Nは、このようなQR券や、磁気券、IC券の発券処理を行う毎に、その発券処理に係る乗車券情報を自駅の管理端末2に通知する。
【0022】
改札端末3A〜3Nは、配置駅の改札口に設置されていて、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者の持つ、QR券や、磁気券、IC券に対して改札処理を行う。これらの改札端末3A〜3Nは、改札処理を行う毎に、その改札処理に係る情報(以下、改札情報と言う。)を自駅の管理端末2に通知する。
【0023】
管理端末2は、改札端末3A〜3Nや、発券端末4A〜4N等の駅務機器から通知された情報(改札情報や乗車券情報等)を記憶したり、自駅に設置されている改札端末3A〜3Nや発券端末4A〜4N等の駅務機器に、必要な情報を通知したりする。
【0024】
≪発券端末≫
図2は、発券端末4Aの主要部の構成を例示するブロック図である。発券端末4B〜4Nの構成は発券端末4Aの構成と同一である。
【0025】
発券端末4Aは、制御部41、IC券読取・書込部42、券面印字部43、磁気券読取・書込部44、貨幣処理部46、表示部47、操作部48、および、通信部49を備えている。
制御部41は、利用者からの入力に応じた乗車券情報を生成し、改札端末3Aの各部の動作を制御し、乗車券情報が記録された乗車券の発行を行う。IC券読取・書込部42は、IC券と近距離無線通信を行ってIC券のメモリに乗車券情報を電子データとして書き込む。券面印字部43は、磁気券やQR券、IC券の券面に乗車券情報を印字(印刷)する。磁気券読取・書込部44は、磁気券の片面に貼り付けられている磁気シートに乗車券情報を磁気データとして書き込む。貨幣処理部46は、利用者が投入する硬貨や紙幣を処理する。表示部47は、利用者の操作に係る情報を表示する。操作部48は、利用者の操作を受け付ける。通信部49は、管理端末2との間で乗車券情報を含む各種情報の送受信を行う。
【0026】
また、券面印字部43は、乗車券としてQR券を発行する場合に、QR券の券面に二次元バーコードを印刷する。ここで印刷する二次元バーコードは、二次元バーコードの画像認識のための画像認識パターンと、データの記録のためのデータパターンとを含んでいる。データパターンは、乗車券情報と発券端末4Aの識別情報とを含むデータ符号列と、データ符号列の誤り訂正を行うために割り当てられる誤り訂正符号列と、を含む符号列(第1の符号列)をパターン化したものである。なお、データ符号列は適切な長さのいくつかのブロックに分けられ、ブロックごとに誤り訂正符号列が割り当てられ、第1の符号列は構成されている。
【0027】
本実施形態では、
券面印字部43が、
この発明で言う印刷部に相当する。
【0028】
≪改札端末≫
図3は、改札端末3Aの主要部の構成を例示するブロック図である。改札端末3B〜3Nの構成は改札端末3Aの構成と同一である。
【0029】
改札端末3Aは、制御部31、IC券読取・書込部32、磁気券読取・書込部33、QR券読取部34、利用者検出部35、表示部36、扉開閉部37、および、通信部38を備えている。
制御部31は、乗車券から乗車券情報を取得し、改札端末3Aの各部の動作を制御し、利用者に対する改札処理を行う。利用者検出部35は、改札口に進入する利用者を検出する。扉開閉部37は、制御部31に制御されて、改札口の扉を閉することで利用者の通行を防ぎ、改札口の扉を開することで利用者の通行を許可する。通信部38は、管理端末2との間で改札処理に伴う情報(以下、改札情報と言う。)を含む各種情報の送受信を行う。表示部36は、改札情報を表示する。
IC券読取・書込部32は、改札口に進入する利用者が、改札口の入口側に位置する無線通信エリアにIC券をかざすことにより、IC券と近距離無線通信を行ってIC券のメモリに電子データとして記録された乗車券情報を読み取り、IC券のメモリに電子データとして改札情報を書き込む。
磁気券読取・書込部33は、改札口に進入する利用者が、改札口の入口側に位置する磁気券投入部に磁気券を投入することにより、磁気券の片面に貼り付けられている磁気シートに磁気データとして記録された乗車券情報を読み取る。そして、磁気券の磁気シートに磁気データとして改札情報を書き込み、改札口の出口側に位置する磁気券排出部から磁気券を排出する。
【0030】
QR券読取部34は、改札口に進入する利用者が、改札口の入口側に位置する撮像エリアにQR券の券面をかざすことにより、QR券の券面を撮像する。そして、QR券の券面に印刷されている二次元バーコードから、画像処理パターンを用いた画像処理によってバーコード画像およびデータパターンを抽出する。そして、データパターンから符号列(第2の符号列)を復号する。
この二次元バーコードから復号した第2の符号列は、二次元バーコードの作成時に埋め込まれた第1の符号列と相違することがある。例えば、QR券の汚れ、QR券の印刷不良、QR券の読取不良などにより、第2の符号列を構成する符号が、第1の符号列を構成する符号と相違する。
そこで、二次元バーコードから復号した第2の符号列に対して、誤り訂正処理が行われる。前述したように、二次元バーコードのデータパターンは、いくつかのブロックに分かれていて、各ブロックにデータ符号列と誤り訂正符号列とが含まれている。QR券読取部34は、復号した第2の符号列から、ブロック毎にデータ符号列と誤り訂正符号列とを読み取り、データ符号列と誤り訂正符号列とに所定の演算を施すことで、このデータ符号列を、元のデータ符号列すなわち第1の符号列に含まれていたデータ符号列に補正する。この誤り訂正処理により、例えば、二次元バーコードのパターンのうちの30%程度が汚れて読み取れなくても、元のデータ符号列を補正して取得することができる。
【0031】
このようにして、QR券読取部34は、乗車券情報や発券端末の識別情報を含むデータを取得する。また、誤り訂正処理により補正するブロックの数を計数する。
【0032】
制御部31は、QR券読取部34の出力を受けて、乗車券情報と発券端末の識別情報と、誤り訂正により補正したブロック数と、を取得する。そして、乗車券情報に基づいて改札処理を行い、補正したブロック数に基づいて不良化画像判定対策処理を行う。不良化画像判定対策処理の詳細については後述するが、不良化画像判定対策処理は、QR券の二次元バーコードを読み取ったバーコード画像が、不良化画像であるか否かを判定し対策する処理である。不良化画像は、バーコードの汚れや、印刷の劣化、画像読取の劣化等によって、誤り訂正するブロック数が閾値を超えたバーコード画像である。制御部31は、QR券ごとに、乗車券情報と、発券端末の識別情報と、自端末(改札端末3A)の識別情報と、不良化画像であるか否かの情報とをQR券情報として、通信部38を介して管理端末2に送信する。
【0033】
本実施形態では、
QR券読取部34が、
この発明で言う画像読取部と、
復号部とに相当する。また、
制御部31が、
この発明で言う判定部に相当する。
さらに、通信部38が、この発明で言う通知部に相当する。
【0034】
≪管理端末≫
図4(A)は、管理端末2の主要部の構成を例示するブロック図であり、
図4(B)は、管理端末2が備えるQR券情報データベース構造を例示する図である。
【0035】
管理端末2は、制御部21、記憶部22、報知部23、および、通信部24を備えている。
制御部21は、管理端末2の動作を制御する。記憶部22は、QR券情報データベースDB1と、乗車券情報データベースDB2と、改札情報データベースDB3とを記憶している。報知部23は、画面表示などによりメンテナンスの
要否を係員に報知する。通信部38は、駅端末(改札端末3A〜3N、発券端末4A〜4N等)との各種情報の送受信を行う。
【0036】
記憶部22に記憶されているQR券情報データベースDB1は、改札端末3A〜3Nが送信するQR券情報を記憶するものである。乗車券情報データベースDB2は、発券端末4A〜4Nが送信する乗車券情報を記憶するものである。改札情報データベースDB3は、改札端末3A〜3Nが送信する改札情報を記憶するものである。
【0037】
QR券情報データベースDB1のデータベース構造は、
図4(B)に示すようなものである。QR券情報データベースDB1は、QR券のバーコード画像が不良化画像と判定された頻度について登録するデータベースであり、ここでは、QR券を発行した発券端末の識別情報と、QR券を改札した改札端末の識別情報と、QR券が不良化画像と判定されたか否かの情報と、をQR券ごとに登録している。
【0038】
管理端末2の制御部21は、QR券情報データベースDB1に登録された情報に基づいて、劣化判定対策処理を行う。劣化判定対策処理の詳細については後述するが、劣化判定対策処理は、QR券のバーコード画像が不良化画像と判定される頻度に基づいて、二次元バーコードの印刷不良や、バーコード画像の読取不良の発生を推定し、印刷不良や読取不良に対するメンテナンスを促す処理である。
【0039】
本実施形態では、
制御部21
が、この発明で言う第1の劣化状態判定部と、第2の劣化状態判定部と、に相当する。また、
報知部23
が、この発明で言う出力部に相当する。さらに、記憶部22のQR券情報データベースDB1が、この発明で言う判定情報記憶部に相当する。
【0040】
なお、本実施形態における発券処理と改札処理とは、従来からの一般的な処理と同様のものとする。そのため、乗車券情報データベースDB2や改札情報データベースDB3のデータベース構造の詳細についての説明は省く。
【0041】
また、本実施形態では、劣化判定対策処理を管理端末2で実施するが、劣化判定対策処理は改札端末3A〜3Nや発券端末4A〜4Nで実施してもよい。
【0042】
≪不良化画像判定対策処理≫
図5は、改札端末3A〜3Nで実行される不良化画像判定対策処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【0043】
不良化画像判定対策処理では、まず、制御部31が、QR券読取部34の出力からQR券のバーコード画像における補正ブロック数を取得する(S11→S12)。次に、QR券のバーコード画像における総ブロック数で、補正ブロック数を除して補正ブロック使用率を算出する(S13)。
【0044】
次に、制御部31は、補正ブロック使用率を閾値と比較し、補正ブロック使用率が閾値を超えたバーコード画像を不良化画像と判定し、所定の対策処理を実行する(S14→S15)。なお、閾値として、所定値を用いるようにしてもよく、補正ブロック使用率の基準値(初期値など)に所定の割合を掛けた値を用いるようにしてもよい。
【0045】
対策処理は、改札端末3A〜3Nで行わずに管理端末2で行うようにしてもよいが、ここでは、対策処理として、改札端末3A〜3Nの表示部36に所定のメッセージを表示させる。所定のメッセージとしては、QR券の券面に汚れがないかの確認を促すメッセージや、QR券の交換を促すメッセージなどを採用するとよい。また、表示部36での表示の他の対策処理を行ってもよい。
【0046】
そして、制御部31は、自端末(改札端末)の識別情報と、QR券を発行した発券端末の識別情報と、不良化画像の判定結果とをQR券情報として、改札情報とともに、通信部38を介して管理端末2に送信する(S16→S17)。
【0047】
なお、ここでは補正ブロック使用率を不良化画像の判定に用いているが、各QR券における総ブロック数が一定である場合には、補正ブロック数自体を判定に用いてもよい。
【0048】
≪劣化判定対策処理≫
図6は、管理端末2で実行される劣化判定対策処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【0049】
劣化判定対策処理では、まず、制御部
21が、改札端末3A〜3Nの出力からQR券情報を取得すると、そのQR券情報をQR券情報データベースDB1に登録する(S21→S22)。これらの処理は、改札端末3A〜3NがQR券情報を出力するたびに実行される。
【0050】
次に、制御部
21は、劣化判定タイミングとなると、QR券情報データベースDB1から複数のQR券情報を読み出す(S23→S24)。劣化判定タイミングは、駅務終了後など、一日に一回程度であってもよく、QR券情報を受信する度などであってもよい。
【0051】
次に、制御部
21は、発券端末での印刷劣化を検出するために、発券端末ごとの不良化画像発生率を算出する(S25)。具体的には、発券端末の識別情報ごとに、不良化画像の発生数と、QR券情報の総数とを計数し、不良化画像の発生数をQR券情報の総数で除して不良化画像発生率を算出する。そして、発券端末の識別情報ごとに、不良化画像発生率を所定の閾値と比較し、不良化画像発生率が閾値を超えた発券端末を劣化状態と判定し、所定の対策処理を実行する(S26→S27)。ここでは、対策処理として管理端末2で、報知部23から該当する発券端末のメンテナンスを要する旨を報知させる。
【0052】
次に、制御部
21は、改札端末での読取劣化を検出するために、改札端末ごとの不良化画像発生率を算出する(S28)。具体的には、改札端末の識別情報ごとに、不良化画像の発生数と、QR券情報の総数とを計数し、不良化画像の発生数をQR券情報の総数で除して不良化画像発生率を算出する。そして、改札端末の識別情報ごとに、不良化画像発生率を所定の閾値と比較し、不良化画像発生率が閾値を超えた改札端末を劣化状態と判定し、所定の対策処理を実行する(S29→S30)。ここでは、対策処理として管理端末2で、報知部23から該当する改札端末のメンテナンスを要する旨を報知させる。
【0053】
なお、劣化判定タイミングを駅務終了後とする場合には、その日の駅務中に受信した全てのQR券情報を対象として不良化画像発生率を算出するとよい。また、劣化判定タイミングをQR券情報の受信時とする場合には、それ以前に連続して受信した所定数のQR券情報を対象として不良化画像発生率を算出するとよい。また、所定回連続して不良化画像が発生した場合に、劣化状態と判定するようにしてもよい。
【0054】
また、メンテナンスを要する旨の報知は、たとえば、該当端末での放音や表示、係員窓口の監視盤による表示、係員の保有する携帯端末での表示、上位サーバや保守セン
タ等への通知などであってもよい。
【0055】
以上のように、本実施形態の改札システムは構成される。したがって、各改札端末3A〜3Nで、バーコード画像からデータの読み取りができる状態であっても、発券端末4A〜4Nや改札端末3A〜3Nが劣化して、発券端末4A〜4Nでの印刷不良や、改札端末3A〜3Nでのバーコード画像の読取劣化が発生していることを、高い確度で自動的に検出することができる。したがって、発券端末4A〜4Nや改札端末3A〜3Nのメンテナンスを、バーコード画像からのデータの読み取りが不能になるよりも前に実施することが可能になる。
【0056】
≪第2の実施形態≫
次に、第2の実施形態に係る改札システムを説明する。この改札システムでは、管理端末で実行される劣化判定対策処理のフローチャートが第1の実施形態と相違する。
【0057】
図7は、第2の実施形態に係る管理端末で実行される劣化判定対策処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【0058】
第2の実施形態に係る管理端末での劣化判定対策処理では、まず、制御部
21が、改札端末3A〜3Nの出力からQR券情報を取得すると、そのQR券情報をQR券情報データベースDB1に登録する(S31→S32)。次に、劣化判定タイミングとなると、QR券情報データベースDB1から複数のQR券情報を読み出す(S33→S34)。
【0059】
次に、改札端末での読取劣化による影響を除いて、発券端末での印字劣化を検出するために、改札端末ごとの不良化画像発生率を算出する(S35)。そして、改札端末の識別情報ごとに、不良化画像発生率を所定の閾値と比較し、不良化画像発生率が閾値を超えた改札端末を劣化状態と判定し、QR券情報データベースDB1の対応するQR券情報に、改札端末が劣化状態であったか否か、即ち、読取劣化があったか否かを登録する(S36→S37)。次に、発券端末での印刷劣化を検出するために、先に読取劣化があったと判定されたQR券情報を除いて、発券端末ごとの不良化画像発生率を算出する(S38)。次に、発券端末の識別情報ごとに、不良化画像発生率を所定の閾値と比較し、不良化画像発生率が閾値を超えた
発券端末を劣化状態と判定し、所定の対策処理を実行する(S39→S40)。
【0060】
以上のように、本実施形態の改札システムは構成される。これにより、バーコード画像からのデータの読み取りが不能になるよりも前に、また、改札端末での読取劣化による影響を除いて、発券端末での印刷劣化をより高い確度で検出することができる。
【0061】
≪第3の実施形態≫
次に、第3の実施形態に係る発券端末を説明する。この発券端末は、単一の発券端末で、QR券の印刷と読み取りを行い、印刷不良のあるQR券を除外して発券するもので
ある。
【0062】
図8は、第3の実施形態に係る発券端末5Aの主要部の構成を例示するブロック図である。
【0063】
発券端末5Aは、第1の実施形態に係る発券端末と同様の構成である、制御部51、IC券読取・書込部52、券面印字部53、磁気券読取・書込部54、貨幣処理部56、表示部57、操作部58、および、通信部59と、本実施形態に独自の構成であるQR券読取部55と、を備えている。
【0064】
券面印字部53は、
磁気券やQR券、IC券の券面に乗車券情報を印字(印刷)し、乗車券としてQR券を発行する場合には、QR券の券面に二次元バーコードを印刷する。
【0065】
QR券読取部55は、
券面印字部53による二次元バーコードの印刷後に、QR券の券面を撮像して、QR券の券面に印刷されている二次元バーコードから符号列を復号し、符号列をブロック毎に誤り訂正して、補正を要するブロックの数を計数する。
【0066】
制御部51は、
QR券読取部55にて誤り訂正を要するとして計数された補正ブロック数を取得し、補正ブロック数に基づいて不良化画像判定対策処理を行う。
【0067】
図9は、発券端末5Aで実行される不良化画像判定対策処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【0068】
不良化画像判定対策処理では、まず、制御部51が、QR券の発行に係る入力を受け付けると、券面印字部53に、乗車券情報と二次元バーコードとをQR券の券面に印刷させる(S51→S52)。次に、QR券をQR券読取部55に搬送し、QR券の券面に印刷された二次元バーコードの読み取りに要する、誤り訂正の補正ブロック数を取得する(S53→S54)。次に、補正ブロック使用率を算出する(S55)。次に、補正ブロック使用率を閾値と比較し、補正ブロック使用率が閾値を超えたバーコード画像に対応するQR券に、所定の対策処理を実行する(S56→S57)。そして、補正ブロック使用率が閾値を超えていないバーコード画像に対応するQR券をそのまま発券する(S58)。なお、この場合の対策処理としては、不良化画像と判定されたQR券の発券取り止めや、改札端末自体の使用中止、係員へのメンテナンスを促すメッセージの報知などが考えられる。
【0069】
以上のように、本実施形態の改札システムは構成される。したがって、改札端末自体で、バーコード画像からデータの読み取りができる状態であるが、ある程度以上の印刷劣化が進展している状態を、高い確度で自動的に検出することができる。したがって、発券端末のメンテナンスを、バーコード画像からのデータの読み取りが不能になるよりも前に実施することが可能になる。