(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づき説明する。先ず、画像形成装置の全体構成及び動作を説明し、次いで、定着装置の構成及び動作を説明し、その後、本実施形態の要部について説明することとする。なお、以下の説明では、
図1に矢印Hで示す方向を装置高さ方向、
図1に矢印Wで示す方向の装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(適宜矢印Dで示す)を装置奥行き方向とする。
【0015】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10を正面側から見た全体構成を示す概略図である。この図に示される如く、画像形成装置10は、電子写真方式により記録媒体Pに画像を形成する画像形成部12と、記録媒体を搬送する媒体搬送部50と、画像が形成された記録媒体Pに対する後処理等を行う後処理部60とを含んで構成されている。さらに、画像形成装置10は、上記各部及び電源部80の制御を行う制御部70、並びに制御部70を含む上記各部に電力を供給する電源部80を含んで構成されている。
【0016】
<画像形成部の構成>
画像形成部12について、該画像形成部12を正面側から見た概略図である
図2を参照しつつ説明する。画像形成部12は、像保持体の一例である感光体ドラム21と、帯電器22と、露光装置23と、現像装置24と、清掃装置25とを含んで構成されてなり、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成された画像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体P定着する定着装置40とを含んで構成されている。
【0017】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。この実施形態では、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計6色のトナー画像形成部20が設けられている。
図1に示す(V)、(W)、(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色を示している。転写装置30は、6色分のトナー画像が重畳して1次転写された転写ベルト31から、転写ニップNTにおいて記録媒体Pに6色分のトナー画像を転写するようになっている。
【0018】
(感光体ドラム)
感光体ドラム21は、円筒状に形成され、図示しない駆動手段によって自軸周りに回転駆動されるようになっている。感光体ドラム21の外周面には、一例として負の帯電極性を呈する感光層が形成されている。なお、感光体ドラム21の外周面にオーバコート層を形成した構成としても良い。各色の感光体ドラムは、正面視で装置幅方向に沿って直線状に並べて配置されている。
【0019】
(帯電器)
帯電器22は、感光体ドラム21の外周面(感光層)を負極性に帯電させるようになっている。この実施形態では、帯電器22は、コロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器とされている。
【0020】
(露光装置)
露光装置23は、感光体ドラム21の外周面に静電潜像を形成するようになっている。具体的には、制御部70を構成する画像信号処理部から受け取った画像データに応じて、変調した露光光L(
図3参照)を帯電器22により帯電された感光体ドラム21の外周面に照射するようになっている。この露光装置23による露光光Lの照射によって、感光体ドラム21の外周面には静電潜像が形成される。この実施形態では、露光装置23は、光源から照射された光ビームをポリゴンミラーやFθレンズを含む光走査手段(光学系)で走査しつつ感光体ドラム21の表面を露光する構成とされている。また、本実施形態では、露光装置23は、色ごとに設けられている。
【0021】
(現像装置)
現像装置24は、トナーを含む現像剤Gで感光体ドラム21の外周面に形成された静電潜像を現像することで、該感光体ドラム21の外周面にトナー画像を形成するようになっている。詳細は省略するが、現像装置24は、現像剤Gを収容する容器241と、容器241に収容された現像剤Gを回転しながら感光体ドラム21に供給する現像ロール242とを少なくとも含んで構成されている。容器241には、現像剤Gを補給するためのトナーカートリッジ27が図示しない補給路を介してつながっている。各色のトナーカートリッジ27は、感光体ドラム21、露光装置23に対する上方に正面視で装置幅方向に並べて配置されており、個別に交換可能とされている。
【0022】
(清掃装置)
清掃装置25は、転写装置30へのトナー画像の転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを該感光体ドラム21の表面から掻き取るブレード251を備えている。図示は省略するが、清掃装置25は、ブレード251が掻き取ったトナーを回収するハウジング、及びハウジング内のトナーを排トナーボックスに搬送する搬送装置をさらに備えて構成されている。
【0023】
(転写装置)
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像を転写ベルト31に重畳して1次転写し、該重畳されたトナー画像を記録媒体Pに2次転写するようになっている。
【0024】
具体的には、転写ベルト31は、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。この実施形態では、転写ベルト31は、正面視で装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。複数のロール32のうち、
図2に示すロール32Dは、図示しないモータの動力により転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。また、複数のロール32のうち、
図2に示すロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうち、
図2に示すロール32Bは、2次転写ロール34の対向ロールとして機能する。
【0025】
この転写ベルト31は、上記した姿勢で装置幅方向に延びる上辺部において、各色の感光体ドラム21に下方から接触しており、各感光体ドラム21の画像が1次転写ロール33からの転写バイアス電圧の印加を受けて転写されるようになっている。また、転写ベルト31は、鈍角を成す下端側の頂部において2次転写ロール34が接触されて転写ニップNTを形成しており、2次転写ロール34からの転写バイアス電圧の印加を受けて該転写ニップNTを通過する記録媒体Pにトナー画像を転写する。
【0026】
(定着装置)
定着装置40は、転写装置30においてトナー画像が転写された記録媒体に、該トナー画像を定着させるようになっている。この実施形態では、定着装置40は、定着ニップNFにおいてトナー画像を加熱しつつ加圧することで、該トナー画像を記録媒体Pに定着する構成とされている。
【0027】
<媒体搬送部>
媒体搬送部50は、画像形成部12に記録媒体Pを供給する媒体供給部52と、画像が形成された記録媒体Pを排出する媒体排出部54とを含んで構成されている。また、媒体搬送部50は、記録媒体Pの両面に画像を形成させる際に用いられる媒体戻し部56と、転写装置30から定着装置40まで記録媒体Pを搬送する中間搬送部58とを含んで構成されている。
【0028】
媒体供給部52は、画像形成部12の転写ニップNTに対し、転写タイミングに合わせて記録媒体Pを1枚ずつ供給するようになっている。媒体排出部54は、定着装置40にてトナー画像が定着された画像が形成された記録媒体Pを装置外に排出するようになっている。媒体戻し部56は、一方の面にトナー画像が定着された記録媒体Pの他方の面に画像を形成する際に、該記録媒体を表裏反転して画像形成部12(媒体供給部52)に戻すようになっている。
【0029】
<後処理部>
後処理部60は、画像形成部12で画像が形成された記録媒体Pを冷却する媒体冷却部62と、記録媒体Pの湾曲を矯正する矯正装置64と、記録媒体Pに形成された画像を検査する画像検査部66とを含んで構成されている。後処理部60を構成する各部は、媒体搬送部50の媒体排出部54中に配置されている。
【0030】
後処理部60を構成する媒体冷却部62、矯正装置64、及び画像検査部66は、媒体排出部54における記録媒体Pの排出方向の上流側からこの順で配置されており、媒体排出部54による排出過程の記録媒体Pに対して上記後処理を施すようになっている。
【0031】
[画像形成動作]
画像形成装置10による記録媒体Pへの画像形成工程、及び、その後処理工程の概要を説明する。
【0032】
画像形成指令を受けた制御部70は、トナー画像形成部20、転写装置30、定着装置40を作動させる。これにより、感光体ドラム21、現像ロール242が回転され、転写ベルト31が周回される。また、加圧ロール42が回転されると共に、定着ベルト411が周回される。さらに、これらの動作に同期して、制御部70は、媒体搬送部50等を作動させる。
【0033】
これにより、各色の感光体ドラム21は、回転されながら帯電器22によって帯電される。また、制御部70は、画像信号処理部で画像処理が施された画像データを、各露光装置23に送る。各露光装置23は、画像データに応じて各露光光Lを出射して、帯電した各感光体ドラム21に露光する。すると、各感光体ドラム21の外周面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される現像剤によって現像される。これにより、各色の感光体ドラム21には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち、対応する色のトナー画像が形成される。
【0034】
各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー画像は、各色の1次転写ロール33を通じた転写バイアス電圧の印加によって、周回する転写ベルト31に順次転写される。これにより、転写ベルト31には、6色分のトナー画像が重畳された重畳トナー画像が形成される。この重畳トナー画像は、転写ベルト31の周回によって転写ニップNTに搬送される。この転写ニップNTには、媒体供給部52によって重畳トナー画像の搬送にタイミングを合わせて記録媒体Pが供給される。この転写ニップNTにおいて転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト31から重畳トナー画像が記録媒体Pに転写される。
【0035】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、中間搬送部58によって転写装置30の転写ニップNTから定着装置40の定着ニップNFに向けて、負圧吸引されながら搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び加圧力(定着エネルギ)を付与する。これにより、記録媒体Pに転写されたトナー画像が該記録媒体に定着される。
【0036】
定着装置40から排出された記録媒体Pは、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部に向けて搬送されつつ、後処理部60により処理が施される。定着工程により加熱された記録媒体Pは、先ず媒体冷却部62において冷却される。次いで、記録媒体Pは、矯正装置64によって湾曲が矯正される。さらに、記録媒体Pに定着されたトナー画像は、画像検査部66によって、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等の有無や程度が検出される。そして、記録媒体Pは、媒体排出部54に排出される。
【0037】
一方、記録媒体Pの画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)、制御部70は、画像検査部66の通過後の記録媒体Pの搬送経路を、媒体排出部54から媒体戻し部56に切り替える。これにより記録媒体Pは、表裏反転されて媒体供給部52に送り込まれる。この記録媒体の裏面には、上記した表面への画像形成工程と同様の工程で画像が形成(定着)される。この記録媒体Pは、上記した表面への画像形成後の後処理工程と同様の工程を経て、媒体排出部54によって装置外に排出される。
【0038】
[定着装置の基本構成]
図4には、定着装置40の定着動作を行う主要部が模式的な断面図にて示されている。この図に示される如く、定着装置40は、定着ベルトモジュール41と、定着ベルトモジュール41に外側から巻き掛けられた外部ロール45と、定着ベルトモジュール41とで定着ニップNFを形成する加圧ロール42とを含んで構成されている。また、定着装置40は、定着ベルトモジュール41を加熱するハロゲンランプ43と、定着ニップNFを通過した記録媒体Pの先端を定着ベルトモジュール41から剥がすための剥離パッド機構46とを含んで構成されている。
【0039】
定着ベルトモジュール41は、定着ベルト411、装置奥行き方向に長手とされたパッド部材412、及び、それぞれ装置奥行き方向が回転軸方向とされた複数のロール413を備える。定着ベルト411は、記録媒体Pの搬送方向に直交する装置奥行き方向の両側に開口する環状(無端状)を成している。定着ベルト411は、パッド部材412、複数のロール413、及び外部ロール45に巻き掛けられて定められた姿勢とされ、該姿勢を維持したまま(該姿勢に沿った周回軌道上を)
図4に示す矢印R方向に周回する。
【0040】
パッド部材412は、定着ベルト411の内側に配置され、ニップ形成面4121で加圧ロール42からの押付(ニップ)荷重を受けることで、該定着ベルト411と加圧ロール42との間に定着ニップNFを形成させる。パッド部材412は、装置フレームに固定されており、定着ベルト411の周回には追従しない。
【0041】
パッド部材412のニップ形成面4121は、装置奥行き方向から見て、加圧ロール42側に円弧状に凹とされた曲面とされている。この形状により、パッド部材412は、定着ベルト411と加圧ロール42との間に、該パッド部材412に代えてニップ荷重を支持するロールを設けた構成と比較して、記録媒体Pの搬送方向に長い定着ニップNFを形成している。
【0042】
定着ベルト411とパッド部材412のニップ形成面4121との間には、摺動シート414が介在されている。摺動シート414は、少なくとも定着ベルト411と接する側の表面が、例えばフッ素系樹脂等の低摩擦材にて構成されている。これにより、定着ベルト411の周回に対する摩擦抵抗が低減される構成である。
【0043】
また、パッド部材412の本体4122内には、加熱源の一例としてのハロゲンランプ43が設けられている。パッド部材412は、ハロゲンランプ43が発した熱を、ニップ形成面4121を経由して定着ベルト411に伝達する熱伝達部材としても機能する。
【0044】
複数のロール413のうち、パッド部材412に対する定着ベルト411の周回方向の上下流両側に位置するロール413Cは、姿勢矯正ロールとして機能する。具体的には、各ロール413Cは、定着ニップNF前後での定着ベルト411の周回方向の変化を抑える(定着ニップNFの両端での定着ベルト411の曲げ角度を鈍角とする)ようになっている。
【0045】
複数のロール413のうちパッド部材412から最も離れて位置するロール413Hは、定着ベルト411を内周側から加熱する内部加熱ロールとして機能する。具体的には、ロール413Hは、定着ベルト411が内周側から巻き掛けられており、その内部に設けられたハロゲンランプ43が発した熱を定着ベルト411に伝達する。この実施形態では、ロール413Hは、軸線を装置奥行き方向に対し傾けることで、定着ベルト411の幅方向(装置奥行方向)の位置を調整し得るステアリングロールとしても機能する。
【0046】
加圧ロール42は、一例としてアルミニウム製の円柱状のロール本体421の外周に、シリコーンゴム製の弾性体層422が被覆されて構成されている。図示は省略するが、弾性体層422の外周には、その外周面に膜厚100μmのフッ素系樹脂等より成る剥離層が形成されている。この加圧ロール42は、図示しない駆動源によって回転されることで、定着ベルト411に周回のための駆動力を付与する駆動ロールとして機能する。
【0047】
また、定着装置40は、定着ベルト411が外周側から巻き掛けられた外部ロール45を備えている。外部ロール45は、定着ベルト411の周回方向において、パッド部材412の下流側のロール413Cとロール413Hとの間に配置されている。この外部ロール45は、定着ベルト411を外周側から加熱する外部加熱ロールとして機能する。具体的には、外部ロール45は、その内部に設けられたハロゲンランプ43が発した熱を定着ベルト411に伝達する。また、外部ロール45は、図示しない駆動源によって回転することで、定着ベルト411に周回のための駆動力を付与する駆動ロールとして機能する。この実施形態では、加圧ロール42が定着ベルト411に主に駆動力を付与する主駆動ロールとされ、外部ロール45は、補助駆動ロールと位置付けられる。
【0048】
また、定着ベルトモジュール41は、定着ベルト411を内周側から外部ロール45に押し付ける押付ロール415を備える。押付ロール415は、スプリング416の付勢を受けて定められた荷重で定着ベルト411を外部ロール45に押し付けている。これにより、押付ロール415を備えない構成と比較して、外部ロール45から定着ベルト411への駆動力の伝達に寄与する摩擦力が増す構成である。
【0049】
剥離パッド機構46は、記録媒体Pの搬送方向において定着ニップNFの下流に配置された剥離パッド461を有しており、該剥離パッド461の先端を定着ニップNFに近接させている。
【0050】
図示は省略するが、定着ベルトモジュール41は、装置フレームに対して、定着ベルト411、パッド部材412、各ロール413等で構成されたモジュールとして一体に着脱可能とされている。
【0051】
[定着装置の基本動作]
定着装置40は、画像形成部12における記録媒体Pへの画像形成(転写)の動作に先立って、制御部70からの指令により動作準備される。具体的には、加圧ロール42及び外部ロール45の駆動により、定着ベルト411が定められた軌道を周回する。また、各ハロゲンランプ43の発熱により、定着ベルト411が定められた温度範囲に昇温され、該温度範囲に維持される。定着ベルト411は、周回しながら加熱されることで、各部の温度が定められた範囲内とされる。
【0052】
そして、転写装置30にてトナー画像が転写された記録媒体Pが、中間搬送部58によって、
図4に示される如く定着ニップNFに導入されると、定着装置40は、記録媒体Pを搬送しながら該記録媒体Pに圧力及び熱(定着エネルギ)を付加する。これにより、トナー画像が記録媒体Pに定着される。
【0053】
また、定着ニップNFを通過した記録媒体Pの先端が剥離パッド機構46の剥離パッド461と加圧ロール42との間に進入する。具体的には、定着ベルト411は、パッド部材412のニップ形成面4121における記録媒体Pの搬送方向の下流側端部に形成されたアール形状(及び下流側のロール413Cとで成す周回軌道)に沿って、記録媒体Pの搬送経路から離れるように周回する。このため、記録媒体Pの先端は、その腰(復元性)により定着ベルト411から離れて(定着ベルト411軒動に追従せずに)、剥離パッド機構46の剥離パッド461と加圧ロール42との間に進入する。そして、記録媒体Pは、搬送されるのに伴って定着ベルト411から剥離される。このようにして定着装置40から送り出された記録媒体Pは、媒体排出部54によって下流側(後処理部60側)に搬送される。
【0054】
[定着装置における要部構成]
<加圧ロールの位置切替機構>
上記構成の定着装置40は、定着ベルトモジュール41に対して加圧ロール42が接触、離間可能に構成されている。具体的には、加圧ロール42は、
図5に示される如くベルトの一例である定着ベルト411に接触して定着ニップNFを形成する接触位置と、
図6に示される如く定着ベルト411から離間する離間位置とを切り替え得る構成とされている。以下、具体的に説明する。
【0055】
定着装置40は、装置フレーム47を備えている。装置フレーム47は、固定側フレーム471と、該固定側フレーム471に対し相対変位される可動フレーム472とを含んで構成されている。この実施形態では、可動フレーム472は、固定側フレーム471に対し、装置奥行き方向を軸方向とする支軸473周りに相対回転可能とされている。
【0056】
固定側フレーム471は、定着ベルトモジュール41を構成する支持部材の一例としてのパッド部材412を固定的に支持すると共に、各ロール413をそれぞれの軸周りに回転可能に支持している。これにより、定着ベルトモジュール41は、定着ベルト411の周回動作及び各ロール413の回転動作を除いて、固定側フレーム471に対して相対変位しない構成とされている。
【0057】
一方、定着回転体の一例である加圧ロール42は、可動フレーム472に回転可能に支持されている。加圧ロール42は、可動フレーム472が固定側フレーム471に対し支軸473回りに回転することで、その位置が
図5に示される接触位置と
図6に示される離間位置との何れかに切り替えられるようになっている。より具体的には、可動フレーム472は、装置長手方向において加圧ロール42を挟んで支軸473に対する反対側に配置された荷重入力部4721を有する。荷重入力部4721に対して上向きの荷重を付加することで、加圧ロール42は接触位置に保持されるようになっている。この保持荷重は、パッド部材412を介して固定側フレーム471に支持される。荷重入力部4721への上向きの荷重を除去すると、加圧ロール42は自重で可動フレーム472と共に支軸473回りの下向きに回転し、離間位置側に移動される構成である。なお、図示しない弾性部材の復元力にて加圧ロール42が離間位置側に移動される構成としても良い。
【0058】
定着装置40は、加圧ロール42を接触位置と離間位置とに切り替える切替機構48を備えている。切替機構48は、可動フレーム472の荷重入力部4721に上向きの荷重を付与する状態と、該荷重を除去する状態とを切り替える構成とされている。以下、具体的に説明する。
【0059】
切替機構48は、押アーム481を備えている。押アーム481は、可動フレーム472と共に固定側フレーム471に対し支軸473回りに回転可能に支持されている。押アームの他端部4811は、可動フレーム472の荷重入力部4721の下側に配置されており、該荷重入力部4721との間に圧縮コイルばね482を介在させている。
【0060】
また、押アーム481における支軸473と圧縮コイルばね482との間には、カムフォロアとして機能するベアリング483の内輪が固定されている。そして、切替機構48は、ベアリング483の外輪に接触しつつ押アーム481を下方から支持するカム484を備えている。カム484は、固定側フレーム471に回転可能に支持されており、図示しないモータによって回転駆動されるようになっている。
【0061】
カム484の長径部がベアリング483の外輪に接触する状態では、
図5に示される如く押アーム481が水平に近い姿勢とされ、加圧ロール42は接触位置とされる。この状態では、圧縮コイルばね482の圧縮量に応じた上向きの荷重が可動フレーム472の荷重入力部4721に付加されている。すなわち、加圧ロール42が定められた範囲内のニップ圧で定着ベルト411に接触するようになっている。
【0062】
一方、カム484の短径部がベアリング483の外輪に接触する状態では、
図6に示される如く押アーム481は他端部4811が下がる方向に傾斜した姿勢とされ、圧縮コイルばね482の伸長は図示しないストッパにて制限されている。このため、加圧ロール42は自重で定着ベルト411から離間され、可動フレーム472の荷重入力部4721からは上向きの荷重が除去される。この状態で、加圧ロール42及び可動フレーム472は、押アーム481及びカム484を介して離間位置(下側の移動限)に保持されるようになっている。
【0063】
以上についてまとめると、定着装置40では、切替機構48のカム484の回転位置に応じて、加圧ロール42の定着ベルト411に対する位置が、接触位置及び離間位置の何れかに選択的に切り替えられるようになっている。そして、この実施形態では、画像形成装置10の停止時や定着装置40のウォームアップ時などに、制御部70の制御によって、加圧ロール42が離間位置に位置されるようになっている。
【0064】
<姿勢矯正ロール>
2つのロール413Cのうち、定着ニップNFに対する該定着ニップNFでの定着ベルト411の周回方向の上流側に位置するロール413C1(
図5、
図6参照)は、巻き掛け回転体の一例とされる。このロール413C1は、定着ベルト411の内側で、パッド部材412に対して、定着ニップNFへの記録媒体Pの搬送方向の上流側に隣り合うように配置されている。この配置のロール413C1に巻き掛けられた定着ベルト411は、定着ニップNFまでの周回軌道が記録媒体Pの搬送経路に沿う(平行に近づけられた)軌道とされている。このため、定着ベルト411の定着ニップNF前後での曲げ角度(軌道)が鈍角とされている。
【0065】
図7に示される如く、ロール413C1は、長手方向の中央から両端に向けて外径が徐々に小さくなるクラウン形状に形成されている。ロール413C1の形状(外形の変化率)は、定着ベルト411の張力により曲げられた結果、
図7に想像線にて示すように、該ロール413C1における定着ベルト411の巻き掛け部位413CAが該ロール413C1の軸方向に沿うように決められている。
【0066】
<姿勢矯正ロールの回転ロック機構>
定着装置40は、加圧ロール42が接触位置に位置するときにロール413C1の回転をロックし、加圧ロール42が離間位置に位置するときにロール413C1の回転ロックを解除(回転を許容)する拘束手段の一例としての回転ロック機構49を備えている。
【0067】
図8に示される如く、回転ロック機構49は、ロール413C1の長手方向端部に該ロール413C1と同軸的かつ一体的に回転するように設けられた被ロックギヤ491と、被ロックギヤ491と噛み合い可能なロックギヤ492とを含んで構成されている。
【0068】
ロックギヤ492は、
図5、
図6に示される如く、加圧ロール42側部材である可動フレーム472に固定されている。そして、ロックギヤ492は、加圧ロール42が接触位置に位置する状態で被ロックギヤ491に噛み合い(
図8(A)参照)、加圧ロール42が離間位置に位置する状態で被ロックギヤ491との噛み合いが解除される(
図8(B)参照)構成とされている。これにより、上記の通りロール413C1は、加圧ロール42が接触位置に位置するときに回転がロックされ、加圧ロール42が離間位置に位置するときに回転が許容される構成とされている。
【0069】
(作用効果)
上記構成の定着装置40では、ウォームアップの際には、ハロゲンランプ43の熱で定着ベルト411を加熱し、制御目標温度まで昇温させる。この際、加圧ロール42を離間位置に位置させることで、昇温される部分の熱容量が小さく抑えられ、ウォームアップ時間の短縮に寄与する。このウォームアップの際に、定着ベルト411は、加圧ロール42からの駆動力を受けることができず、外部ロール45の駆動力で周回される。
【0070】
ここで、定着ベルト411における定着ニップNFに対する周回方向の上流側部分は、定着ニップNFを形成するパッド部材412に対し水平方向に隣り合って配置された姿勢矯正用のロール413C1に巻き掛けられている。これにより、定着ベルト411は、定着ニップNFの入口において記録媒体Pの搬送経路に沿う軌道上を周回する(定着ニップNF入口での定着ベルト411の曲げ角度が鈍角とされる)。このため、例えばロール413C1がパッド部材412よりも上方に配置された構成と比較して、定着ベルト411の周回抵抗が小さく抑えられる。また、ウォームアップの際には定着ベルト411の周回に伴ってロール413C1が回転するので、該ロール413C1が回転しない構成と比較して、定着ベルト411の周回抵抗が小さく抑えられる。
【0071】
これらにより、周回する定着ベルト411と摺動するパッド部材412を用いて定着ニップNFを形成する構成において、ウォームアップの際に外部ロール45の駆動力だけで定着ベルト411が適正に周回される。また、定着ベルト411の周回抵抗が抑えられることで、定着装置40すなわち画像形成装置10のエネルギ消費が抑制される。なお、ウォームアップ動作に際等に外部ロール45からの駆動力だけで定着ベルト411を駆動するのは、固定のパッド部材412を用いて定着ニップNFを長くするために、該パッド部材412に代えて駆動用ロールを採用し得ないことによる。また、固定のパッド部材412を用いて定着ニップNFのニップ長を長くするのは、記録媒体Pへ付与する単位時間当たりの定着エネルギ(熱、圧力)を大きくして、画像形成装置10としての生産性を向上させるためである。
【0072】
また、ロール413C1がクラウン形状を成している。例えば長手方向の各部で外径が一定のロールを用いた比較例では、該ロールが定着ベルト411の支持荷重で撓むと、該ロールの長手方向両端側で中央側よりも定着ベルト411の接触圧が低くなり、定着ベルト411の周回挙動が乱れることが懸念される。これに対して、クラウン形状のロール413C1を採用することで、定着ベルト411の支持荷重(張力)にて撓んだ後のロール413C1は、該定着ベルト411の巻き掛け部位が平面視で直線状となる(比較例との比較で直線に近くなる)。このため、上記比較例と比較して、加圧ロール42が離間位置に位置する場合に、定着ベルト411の不安定な周回挙動が抑制される。
【0073】
さらに、加圧ロール42が接触位置に位置するときにはロール413C1の回転が回転ロック機構49にてロックされる。例えば、定着動作の際にクラウン形状のロール413C1が回転する比較例では、該ロール413C1の長手方向両端側と中央側との周長差に基づく周速差によって定着ベルト411の周回挙動が乱れることが懸念される。これに対して、定着動作の際にクラウン形状のロール413C1の回転がロックされる構成を採用することで、ロール413C1の長手方向各部での周速差が生じないため、上記比較例と比較して、定着ベルト411の不安定な周回挙動が抑制される。なお、この場合、定着ベルト411は、加圧ロール42及び外部ロール45の駆動力で周回されるので、該周回に要する駆動力が不足することはない。
【0074】
なお、上記実施形態では、ロール413C1がクラウン形状である例を示したが、これに限定されることはない。例えば定着ベルト411の支持荷重に対し剛性の高い円筒状ロールを用いても良く、また例えば円筒状ロールの長手方向中央に撓みを抑制する補強部材を設けた構成としても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、加圧ロール42の定着ベルト411に対する接触、離間動作によって回転ロック機構49のロック、ロック解除が切り替わる例を示したが、これに限定されることはない。例えば、専用のアクチュエータや電磁クラッチなどによってロック、ロック解除が切り替えられる回転ロック機構を採用しても良い。