(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる設計支援プログラム、設計支援方法、設計支援装置および製造方法の実施の形態を詳細に説明する。設計支援装置は、理想的な絶縁層に配線層を積層した場合に配線層に配線される信号線の位置情報と、実際に使用される絶縁層内の繊維束の位置情報と、を取得する。そして、設計支援装置は、信号線の位置情報を、実際に使用される絶縁層内の繊維束上の位置情報に変換する。
【0016】
ここで、繊維束は、例えば、ガラス繊維束、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、テトロン(登録商標)繊維束、ナイロン(登録商標)繊維束、およびアラミド繊維束などである。絶縁層内の繊維束は、平織りされていてもよいし、朱子織りされていてもよいし、綾織りされていてもよい。以降、繊維束としてガラス繊維束を例に挙げる。
【0017】
これにより、製造装置は、設計支援装置によって変換された位置情報に従って、信号線が絶縁層内のガラス繊維束上に包含されるように、信号線を形成することができる。そして、製造装置は、信号線と絶縁層とを積層して、インピーダンスの変動が抑制された基板を製造することができる。
【0018】
(設計支援装置による位置変換例)
図1は、設計支援装置による位置変換例を示す説明図である。
図1に示すように、まず、設計支援装置は、絶縁層の規格に従って絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影した領域Gに包含されるように配線層に配線された信号線の位置情報を取得する。信号線の位置情報は、例えば、基板の或る点を原点とした場合の信号線の各頂点の座標値である。
【0019】
図1の例では、設計支援装置は、2つの信号線L1,L2の位置情報を取得する。ここでは、信号線L1,L2はシングルエンド配線である。シングルエンド配線とは、単独で信号を伝送する信号線をいう。
【0020】
図1の例では、信号線L1の位置情報は、頂点P11の座標値(21,0)、頂点P12の座標値(26,0)、頂点P13の座標値(26,50)、頂点P14の座標値(0,50)、頂点P15の座標値(0,45)、頂点P16の座標値(21,45)である。また、信号線L2の位置情報は、頂点P21の座標値(38,0)、頂点P22の座標値(43,0)、頂点P23の座標値(43,80)、頂点P24の座標値(0,80)、頂点P25の座標値(0,75)、頂点P26の座標値(38,75)である。
【0021】
ここで、実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束は、製造誤差により、規格上のガラス繊維束とは異なる位置に存在する場合がある。そのため、取得された信号線の位置情報に従って信号線を配線した場合、実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束の領域Gに信号線が包含されない場合がある。
【0022】
図1の符号101は、取得された信号線の位置情報に従って信号線を配線した場合の絶縁層と信号線とを積層方向から示した図である。また、
図1の符号102は、符号101に示した絶縁層と信号線との符号Aの位置における断面図である。
図1に示すように、信号線L1は実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束の領域Gに包含されているが、信号線L2は実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束の領域Gからはみ出している。
【0023】
この場合、位置情報に従って信号線2を配線すると、信号線L2は、ガラス繊維束の領域Gからはみ出している領域とガラス繊維束の領域Gに包まれる領域といった誘電率の異なる領域に配線されることになる。そして、信号線L2の挿入損失は、信号線L2全体がガラス繊維束の領域Gに包含されている場合に比べて増大してしまう。ここで、挿入損失とは、信号線により伝送される電力の損失をいう。
【0024】
そのため、設計支援装置は、信号線L2がガラス繊維束の領域Gに包含されるように信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。ここで、設計支援装置は、位置情報の変換前後において信号線L2のインピーダンスが一定になるように、信号線L2の線幅を同一の線幅に維持しておく。
【0025】
図1の例では、まず、設計支援装置は、信号線L2とガラス繊維束の領域Gとの非重複箇所Sを特定する。次に、設計支援装置は、特定された非重複箇所Sを含み、ガラス繊維束の領域G内に包含すべき部分信号線L21を特定する。
【0026】
そして、設計支援装置は、信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換するための座標値の変動量を決定する。変動量は、例えば、特定された部分信号線L21の線幅方向になるX軸方向において、部分信号線L21の左辺から部分信号線L21に近いガラス繊維束の左辺までの長さである。
【0027】
次に、設計支援装置は、部分信号線L21に含まれる頂点P21、頂点P22、頂点P23、および頂点P26のX座標値に、特定された変動量を加算することにより、信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。ここで、信号線L2がシングルエンド配線である場合、信号線L1の位置情報は変換しなくてもよい。
【0028】
設計支援装置は、例えば、部分信号線L21からガラス繊維束までの長さ「Y=2」を変動量に決定する。次に、設計支援装置は、変動量をX座標値に加算することにより、信号線L2の頂点P21の座標値(38,0)を(40,0)に変換し、頂点P22の座標値(43,0)を(45,0)に変換する。また、設計支援装置は、変動量をX座標値に加算することにより、頂点P23の座標値(43,80)を(45,80)に変換し、頂点P26の座標値(38,75)を(40,75)に変換する。
【0029】
図1の符号103は、設計支援装置によって変換された信号線の位置情報に従って信号線を配線した場合の絶縁層と信号線とを積層方向から示した図である。また、
図1の符号104は、符号103に示した絶縁層と信号線との符号Aの位置における断面図である。
図1に示すように、設計支援装置によって変換された位置情報に従って信号線を配線した場合、信号線L2はガラス繊維束の領域Gに包含されることになる。
【0030】
これにより、設計支援装置は、信号線L2のインピーダンスの変動を抑制し、信号線L2の挿入損失を低減することができる信号線L2の位置を決定することができる。そして、製造装置は、設計支援装置により変換された位置情報に従って信号線L2を形成することにより、信号線L2の挿入損失を低減することができる。
【0031】
ここで、信号線L1,L2はシングルエンド配線ではなく、差動配線であってもよい。差動配線とは、一対で信号を伝送する2つの信号線をいう。この場合、信号線L1と信号線L2との間隔が変動すると、差動配線の差動インピーダンスが変動し、スキューが生じてしまう。そして、差動配線による信号の伝送精度が低下してしまう。ここで、差動インピーダンスは、差動配線における電流の流れにくさを示す値である。スキューは、差動配線の信号線間の伝送時間の差である。
【0032】
そのため、設計支援装置は、差動インピーダンスを一定に保つために、信号線L1と信号線L2との間隔を維持したまま、信号線L2の位置情報の変換に併せて、信号線L1の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0033】
これにより、製造装置は、設計支援装置により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成し、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減することができる。また、製造装置は、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。信号線L1と信号線L2との間隔を維持したまま、信号線L2の位置情報の変換に併せて、信号線L1の位置情報を変換する場合については、
図8および
図9を用いて後述する。
【0034】
また、設計支援装置は、信号線L1と信号線L2との間隔を維持したままでは、信号線L1の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができない場合、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更する。設計支援装置は、例えば、差動インピーダンスの算出式を用いて、線幅と間隔との変更前後において差動インピーダンスが一定になるように、変更後の信号線の線幅と間隔とを算出する。そして、設計支援装置は、信号線L1と信号線L2との線幅と間隔が算出された線幅と間隔になり、かつ、信号線L1と信号線L2がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線L1と信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0035】
これにより、製造装置は、設計支援装置により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成し、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減することができる。また、製造装置は、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。信号線L1と信号線L2との線幅と間隔とを変更して、信号線L1と信号線L2との位置情報を変換する場合については、
図10〜
図12を用いて後述する。
【0036】
(製造システム)
次に、
図2を用いて、
図1に示した設計支援装置により変換された位置情報に従って基板を製造する製造システムの一例について説明する。
【0037】
図2は、製造システムの一例を示す説明図である。製造システム200は、設計装置201と、検査装置202と、設計支援装置203と、製造装置204と、を含む。設計支援装置203は、設計装置201と検査装置202と製造装置204と接続されている。
【0038】
設計装置201は、絶縁層の規格に従って、絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影した領域Gに包含されるように、配線層に配線する信号線の位置情報を決定するコンピュータである。また、設計装置201は、決定した信号線の位置情報を設計支援装置203に送信する。
【0039】
検査装置202は、実際に使用される絶縁層について、絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影した領域Gを特定するコンピュータである。検査装置202は、例えば、X線や赤外線を絶縁層に照射し、透過量の多寡を黒色の濃度により示した画像を生成する。次に、検査装置202は、生成した画像から、ガラス繊維束の交点を特定する。そして、検査装置202は、特定された交点から、ガラス繊維束の領域Gを特定する。検査装置202は、特定されたガラス繊維束の領域Gを設計支援装置203に送信する。
【0040】
設計支援装置203は、絶縁層の規格に従って絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影した領域Gに包含されるように配線層に配線された信号線の位置情報を、設計装置201から取得するコンピュータである。また、設計支援装置203は、ガラス繊維束の領域Gを検査装置202から取得する。また、設計支援装置203は、設計装置201から取得した信号線の位置情報を、検査装置202から取得したガラス繊維束の領域Gに信号線が包含されるように、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。また、設計支援装置203は、変換された信号線の位置情報を製造装置204に送信する。
【0041】
製造装置204は、設計支援装置203により決定された信号線の位置に従って、基板を製造するコンピュータである。ここでは、設計装置201と、検査装置202と、設計支援装置203と、製造装置204とは、別の装置であるが、これに限らない。例えば、設計支援装置203は、設計装置201の機能と検査装置202の機能と製造装置204の機能とのうち、少なくとも一つの機能をさらに有してもよい。次に、
図3を用いて、上述した設計装置201と、検査装置202と、設計支援装置203と、製造装置204と、に採用されるコンピュータの一例について説明する。
【0042】
(コンピュータのハードウェア構成例)
図3は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータは、例えば、設計装置201、検査装置202、設計支援装置203、または製造装置204に採用される。
【0043】
図3において、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、磁気ディスクドライブ(Hard Disk Drive)304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、ディスプレイ308と、I/F(Interface)309と、キーボード310と、マウス311と、スキャナ312と、プリンタ313と、を備えている。また、各構成部はバス300によってそれぞれ接続されている。
【0044】
ここで、CPU301は、コンピュータの全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御に従って磁気ディスク305に対するデータのリード/ライトを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0045】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御に従って光ディスク307に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク307に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
【0046】
ディスプレイ308は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ308は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0047】
インターフェース(以下、「I/F」と略する。)309は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワーク314に接続され、このネットワーク314を介して他の装置に接続される。そして、I/F309は、ネットワーク314と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F309には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0048】
キーボード310は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス311は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0049】
スキャナ312は、画像を光学的に読み取り、コンピュータ内に画像データを取り込む。なお、スキャナ312は、OCR(Optical Character Reader)機能を持たせてもよい。また、プリンタ313は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ313には、例えば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。なお、光ディスクドライブ306、光ディスク307、ディスプレイ308、キーボード310、マウス311、スキャナ312、およびプリンタ313の少なくともいずれか1つは、なくてもよい。
【0050】
また、検査装置202になるコンピュータは、例えば、絶縁層にX線や赤外線などを照射する照射装置や、絶縁層を透過したX線や赤外線の透過量を測定する測定装置を有してもよい。また、製造装置204になるコンピュータは、例えば、絶縁層と配線層とを積層して一体化させる圧力板や、配線層に信号線を配線する配線層を有してもよい。
【0051】
(設計支援装置203の機能的構成例)
次に、
図4を用いて、設計支援装置203の機能的構成例と製造装置204の機能的構成例とについて説明する。
【0052】
図4は、設計支援装置203の機能的構成例と製造装置204の機能的構成例とを示すブロック図である。まず、設計支援装置203の機能について説明する。設計支援装置203は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、を含む構成である。取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404とは、具体的には、例えば、
図3に示したROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F309により、その機能を実現する。
【0053】
設計支援装置203は、1つの絶縁層の上に配線される信号線の位置を決定することができる。また、設計支援装置203は、2つの絶縁層の間に配線される信号線の位置を決定することができる。ここで、信号線は、単独で信号を伝送するシングルエンド配線の信号線であってもよいし、一対の信号線により信号を伝送する差動配線の信号線であってもよい。
【0054】
まず、設計支援装置203が1つの絶縁層の上に配線されるシングルエンド配線の信号線の位置を決定する場合の機能について説明する。1つの絶縁層の上に配線されるシングルエンド配線の信号線の位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0055】
取得部401は、配線層での信号線の位置情報と、配線層に積層される絶縁層内の繊維束群を積層方向に投影した繊維束群の位置情報と、を取得する。ここで、配線層は、導電材の層であり、例えば、銅箔である。絶縁層は、絶縁体の層であり、例えば、縦横に織られた繊維束を樹脂に浸して固めた樹脂板である。繊維束は、複数本の繊維を束ねたものである。位置情報は、例えば、基板の或る点を原点とした場合の信号線の各頂点の座標値である。座標値は、原点から各頂点までのX軸方向の長さを示すX座標値と、原点から各頂点までのY軸方向の長さを示すY座標値と、を含む。長さの単位は、例えば、ミリメートルである。
【0056】
図1の例では、取得部401は、設計装置201により生成された配線層での信号線L2の各頂点P21〜P26の座標値を設計装置201から受信する。また、
図1の例では、取得部401は、検査装置202により測定された実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の各ガラス繊維束の辺の交点の座標値を検査装置202から受信する。
【0057】
取得されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、検出部402は、取得部401によって取得された信号線の位置情報とガラス繊維束群の位置情報とに基づいて、信号線とガラス繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出することができる。
【0058】
ここでは、信号線の位置情報は設計装置201によって生成されたが、これに限らない。例えば、設計支援装置203が配線層での信号線の位置情報を生成してもよい。この場合、取得部401は、具体的には、例えば、設計支援装置203により生成された配線層での信号線の位置情報を取得する。ここでは、ガラス繊維束群の位置情報は検査装置202により測定されたが、これに限らない。例えば、設計支援装置203が実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の位置情報を測定してもよい。この場合、取得部401は、設計支援装置203により測定された実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の位置情報を取得する。
【0059】
検出部402は、信号線の位置情報と繊維束群の位置情報とに基づいて、信号線と繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出する。検出部402は、具体的には、例えば、取得部401によって取得された信号線の各頂点の座標値と、ガラス繊維束群の各ガラス繊維束の辺の交点と、に基づいて、信号線とガラス繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを示す情報を検出する。非重複箇所Sを示す情報は、例えば、非重複箇所Sの各頂点の座標である。検出されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、特定部403は、検出部402によって検出された非重複箇所Sに基づいて、部分信号線の位置情報を特定することができる。
【0060】
特定部403は、信号線の位置情報に基づいて、信号線のうち、検出部402によって検出された非重複箇所Sを含む部分信号線の位置情報を特定する。
図1の例では、特定部403は、信号線L2のうち、検出部402によって検出された非重複箇所Sを含み、或る配線方向になる部分信号線L21に含まれる点P21,点P22,点P23,および点P26の座標値を特定する。特定されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、変換部404は、特定部403によって特定された部分信号線の位置情報を変換することができる。
【0061】
変換部404は、繊維束群のうち部分信号線の配線方向に並行な繊維束の位置情報により特定される領域に部分信号線が包含されるように、特定部403によって特定された部分信号線の位置情報を、繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
図1の例では、変換部404は、非重複箇所Sを含む信号線L2のうちの部分信号線L21の左辺から部分信号線L21に並列かつ近距離のガラス繊維束の左辺までの長さ「Y=2」を変動量として採用する。そして、変換部404は、特定部403によって特定された部分信号線L21に含まれる点P21,点P22,点P23,および点P26のX座標値に変動量「Y=2」を加算して、信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0062】
また、変換部404は、ガラス繊維束群の交点のうちガラス繊維束の左辺上に存在する交点の座標値を特定し、部分信号線L21の左辺上に存在する点の座標値を、特定された交点の座標値に変換してもよい。次に、変換部404は、部分信号線L21の右辺上に存在する点の座標値を、左辺上に存在する点のX座標値に信号線の線幅を加算した座標値に変換する。そして、変換部404は、信号線L2の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。変換されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、製造装置204は、変換部404によって変換された信号線の位置情報に従って、基板を製造することができる。
【0063】
また、変換部404は、変換された位置情報を出力してもよい。出力形式としては、例えば、ディスプレイ308への表示、プリンタ313への印刷出力、I/F309による外部装置への送信がある。外部装置とは、例えば、上述した製造装置204である。また、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶することとしてもよい。これにより、製造装置204は、変換部404から位置情報を取得することができる。
【0064】
次に、設計支援装置203が1つの絶縁層の上に配線される差動配線の信号線の位置を決定する場合の機能について説明する。ここで、設計支援装置203は、一対の信号線の間隔が並行するガラス繊維束の間隔より大きい場合、一対の信号線の線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する。一方、設計支援装置203は、一対の信号線の間隔が並行するガラス繊維束の間隔以下の場合、一対の信号線の線幅と間隔とを変更して位置を決定する。
【0065】
まず、線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する場合の設計支援装置203の機能について説明する。線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0066】
取得部401は、信号線が差動信号線の一方の信号線である場合、差動信号線の他方の信号線の位置情報を取得する。ここで、差動信号線とは、差動配線になる一対の信号線である。
図1の例では、取得部401は、信号線L1と信号線L2とが差動信号線である場合、設計装置201により生成された配線層での信号線L1の各頂点の座標値を設計装置201から受信する。これにより、特定部403は、取得部401によって取得された差動信号線の他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定することができる。
【0067】
特定部403は、他方の信号線の位置情報に基づいて、他方の信号線のうち、一方の信号線の部分信号線と並行な他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定する。
図1の例では、特定部403は、信号線L1の各頂点のうち、信号線L2の部分信号線と平行な信号線L1の部分信号線に含まれる点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値を特定する。これにより、特定部403は、差動配線の一方の信号線の部分信号線の位置情報の変換に伴って、信号線の間隔を保ったまま位置情報が変換される他方の信号線の部分信号線を特定することができる。
【0068】
変換部404は、一方の信号線の部分信号線と他方の信号線の部分信号線との間隔を維持した状態で、一方の信号線の部分信号線について用いられた変換量により、他方の信号線の部分信号線の位置情報を、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補に変換する。
図1の例では、変換部404は、信号線L2に用いた変動量「Y=2」を、特定部403によって特定された信号線L1の点P11,点P12,点P13,および点P16のX座標値に加算して、各点の座標値を座標値候補に変換する。これにより、検出部402は、他方の信号線とガラス繊維束の領域Gとの非重複箇所Sを検出することができる。
【0069】
検出部402は、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補と繊維束群の位置情報とに基づいて、他方の信号線の部分信号線候補と繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出する。
図1の例では、検出部402は、点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値を座標値候補に変換した後の信号線L1とガラス繊維束の領域Gとの非重複箇所Sを検出する。検出部402は、例えば、信号線L1の部分信号線に含まれる点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値がガラス繊維束の領域G内の座標値である場合、信号線L1はガラス繊維束の領域に包含されるため、非重複箇所Sを検出しない。これにより、変換部404は、変換された他方の信号線の位置情報を確定させるか否かを判定することができる。
【0070】
変換部404は、他方の信号線の部分信号線について非重複箇所Sが検出されなかった場合、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補を他方の信号線の部分信号線の位置情報に決定する。
図1の例では、変換部404は、検出部402によって非重複箇所Sが検出されなかった場合、変換された信号線L1の座標値候補を、信号線のL1の点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値に決定する。
【0071】
次に、線幅と間隔とを変更して位置を決定する場合の設計支援装置203の機能について説明する。線幅と間隔とを変更して位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0072】
変換部404は、他方の信号線の部分信号線について非重複箇所Sが検出された場合、一方の信号線の部分信号線および他方の信号線の部分信号線に関する差動インピーダンスを維持した状態で、一方の信号線の部分信号線の線幅、他方の信号線の部分信号線の線幅、および間隔が大きくなるように、一方の信号線の部分信号線の位置情報と他方の信号線の部分信号線の位置情報を繊維束群の領域内の位置情報に変換する。
【0073】
変換部404は、具体的には、例えば、信号線L1と信号線L2とがガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線L1と信号線L2との間隔を並列するガラス繊維束の幅に決定する。次に、変換部404は、差動インピーダンスの算出式を用いて、決定された信号線L1と信号線L2との間隔の場合に、差動インピーダンスが100[Ω]になる差動信号線の線幅を算出する。そして、変換部404は、信号線L1と信号線L2との線幅と間隔が算出された線幅と間隔になるように、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、製造装置204は、変換部404によって変換された位置情報に従って、基板を製造することができる。
【0074】
次に、設計支援装置203が2つの絶縁層の間に配線されるシングルエンド配線の信号線の位置を決定する場合の機能について説明する。2つの絶縁層の間に配線される1つの絶縁層の上に配線されるシングルエンド配線の信号線の位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0075】
取得部401は、配線層での信号線の位置情報と、配線層に積層される第1の絶縁層内の第1の繊維束群を積層方向に投影した第1の繊維束群の位置情報と、を取得する。また、取得部401は、配線層に積層される第2の絶縁層内の第2の繊維束群を積層方向に投影した第2の繊維束群の位置情報と、を取得する。取得部401は、具体的には、例えば、設計装置201により生成された配線層での信号線L1の各頂点の座標値を設計装置201から受信する。また、取得部401は、具体的には、例えば、検査装置202により測定された配線層を挟んで積層される2つの絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の各ガラス繊維束の辺の交点の座標値を検査装置202から受信する。
【0076】
取得されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、検出部402は、取得部401によって取得された信号線の位置情報とガラス繊維束群の位置情報とに基づいて、信号線とガラス繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出することができる。
【0077】
ここでは、信号線の位置情報は設計装置201によって生成されたが、これに限らない。例えば、設計支援装置203が配線層での信号線の位置情報を生成してもよい。この場合、取得部401は、具体的には、例えば、設計支援装置203により生成された配線層での信号線の位置情報を取得する。ここでは、ガラス繊維束群の位置情報は検査装置202により測定されたが、これに限らない。例えば、設計支援装置203が実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の位置情報を測定してもよい。この場合、取得部401は、設計支援装置203により測定された実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束群を積層方向に投影したガラス繊維束群の位置情報を取得する。
【0078】
検出部402は、信号線の位置情報と第1の繊維束群の位置情報と第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、信号線と第1または第2の繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出する。検出部402は、具体的には、例えば、信号線L2と一方の絶縁層内のガラス繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを示す情報を検出し、信号線L2と他方の絶縁層内のガラス繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを示す情報を検出する。非重複箇所Sを示す情報は、例えば、非重複箇所Sの各頂点の座標である。
【0079】
検出されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、特定部403は、検出部402によって検出された非重複箇所Sに基づいて、部分信号線の位置情報を特定することができる。
【0080】
特定部403は、信号線の位置情報に基づいて、信号線のうち、検出部402によって検出された非重複箇所Sを含む部分信号線の位置情報を特定する。特定部403は、具体的には、例えば、信号線L2のうち、検出部402によって検出された非重複箇所Sを含み、或る配線方向になる部分信号線L21に含まれる点P21,点P22,点P23,および点P26の座標値を特定する。特定されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、変換部404は、特定部403によって特定された部分信号線の位置情報を変換することができる。
【0081】
変換部404は、第1の繊維束群のうち部分信号線の配線方向に並行な第1の繊維束の位置情報により特定される領域および第2の繊維束群のうち部分信号線の配線方向に並行な第2の繊維束の位置情報により特定される領域に部分信号線が包含されるように、特定部403によって特定された部分信号線の位置情報を、第1および第2の繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0082】
変換部404は、具体的には、例えば、非重複箇所Sを含む信号線L2のうちの部分信号線L21の左辺から部分信号線L21に並列かつ近距離のガラス繊維束の重複領域の左辺までの長さを変動量として採用する。そして、変換部404は、特定部403によって特定された部分信号線L21に含まれる点P21,点P22,点P23,および点P26のX座標値に変動量を加算して、信号線L2の位置情報をガラス繊維束の重複領域内の位置情報に変換する。変換されたデータは、例えば、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶領域に記憶される。これにより、製造装置204は、変換部404によって変換された信号線の位置情報に従って、基板を製造することができる。
【0083】
次に、設計支援装置203が2つの絶縁層の間に配線される差動配線の信号線の位置を決定する場合の機能について説明する。ここで、設計支援装置203は、一対の信号線の間隔が並行するガラス繊維束の間隔より大きい場合、一対の信号線の線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する。一方、設計支援装置203は、一対の信号線の間隔が並行するガラス繊維束の間隔以下の場合、一対の信号線の線幅と間隔とを変更して位置を決定する。
【0084】
まず、線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する場合の設計支援装置203の機能について説明する。線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0085】
取得部401は、信号線が差動信号線の一方の信号線である場合、差動信号線の他方の信号線の位置情報を取得する。取得部401は、具体的には、例えば、信号線L1と信号線L2とが差動信号線である場合、設計装置201により生成された配線層での信号線L1の各頂点の座標値を設計装置201から受信する。これにより、特定部403は、取得部401によって取得された差動信号線の他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定することができる。
【0086】
特定部403は、他方の信号線の位置情報に基づいて、他方の信号線のうち、一方の信号線の部分信号線と並行な他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定する。特定部403は、具体的には、例えば、信号線L1の各頂点のうち、信号線L2の部分信号線と平行な信号線L1の部分信号線に含まれる点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値を特定する。これにより、特定部403は、差動配線の一方の信号線の部分信号線の位置情報の変換に伴って、信号線の間隔を保ったまま位置情報が変換される他方の信号線の部分信号線を特定することができる。
【0087】
変換部404は、一方の信号線の部分信号線と他方の信号線の部分信号線との間隔を維持した状態で、一方の信号線の部分信号線について用いられた変換量により、他方の信号線の部分信号線の位置情報を、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補に変換する。変換部404は、信号線L2に用いた変動量を、特定部403によって特定された信号線L1の点P11,点P12,点P13,および点P16のX座標値に加算して、各点の座標値を座標値候補に変換する。これにより、検出部402は、他方の信号線とガラス繊維束の領域Gとの非重複箇所Sを検出することができる。
【0088】
検出部402は、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補と第1および第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、他方の信号線の部分信号線候補と第1または第2の繊維束群との積層方向における非重複箇所Sを検出する。検出部402は、具体的には、例えば、点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値を座標値候補に変換した後の信号線L1とガラス繊維束の領域Gとの非重複箇所Sを検出する。検出部402は、例えば、信号線L1の部分信号線に含まれる点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値がガラス繊維束の領域G内の座標値である場合、信号線L1はガラス繊維束の領域に包含されるため、非重複箇所Sを検出しない。これにより、変換部404は、変換された他方の信号線の位置情報を確定させるか否かを判定することができる。
【0089】
変換部404は、他方の信号線の部分信号線について非重複箇所Sが検出されなかった場合、他方の信号線の部分信号線の位置情報候補を他方の信号線の部分信号線の位置情報に決定する。変換部404は、具体的には、例えば、検出部402によって非重複箇所Sが検出されなかった場合、変換された信号線L1の座標値候補を、信号線のL1の点P11,点P12,点P13,および点P16の座標値に決定する。これにより、製造装置204は、変換部404によって変換された信号線の位置情報に従って、基板を製造することができる。
【0090】
次に、線幅と間隔とを変更して位置を決定する場合の設計支援装置203の機能について説明する。線幅と間隔とを変更して位置を決定する場合の機能は、取得部401と、検出部402と、特定部403と、変換部404と、により実現される。
【0091】
変換部404は、他方の信号線の部分信号線について非重複箇所Sが検出された場合、一方の信号線の部分信号線および他方の信号線の部分信号線に関する差動インピーダンスを維持した状態で、一方の信号線の部分信号線の線幅、他方の信号線の部分信号線の線幅、および間隔が大きくなるように、一方の信号線の部分信号線の位置情報と他方の信号線の部分信号線の位置情報を第1および第2の繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0092】
変換部404は、具体的には、例えば、差動インピーダンスの算出式を用いて、差動インピーダンスが100[Ω]になる差動信号線の線幅と間隔を算出する。次に、変換部404は、信号線L1と信号線L2との線幅と間隔が算出された線幅と間隔になるように、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、製造装置204は、変換部404によって変換された位置情報に従って、基板を製造することができる。
【0093】
次に、製造装置204の機能について説明する。製造装置204は、形成部405と、積層部406と、を含む構成である。形成部405と、積層部406とは、具体的には、例えば、
図3に示したROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F309により、その機能を実現する。
【0094】
形成部405は、変換部404によって部分信号線の位置情報が変換された変換後の信号線の位置情報に基づいて、配線層に変換後の信号線を形成する。形成部405は、具体的には、例えば、コア材に積層された配線層になる銅箔のうち、設計支援装置203により決定された信号線の位置から外れた銅箔を剥離する。これにより、形成部405は、設計支援装置203により決定された位置に信号線を配線することができる。
【0095】
積層部406は、形成部405によって変換後の信号線が形成された配線層と絶縁層とを積層する。積層部406は、具体的には、例えば、2枚のヒータ内蔵の圧力板を用いて、コア材と信号線とを、上下から加熱しながら加圧する。これにより、製造装置204は、コア材と信号線とを接合することができる。
【0096】
また、積層部406は、形成部405によって変換後の信号線が形成された配線層を第1の絶縁層と第2の絶縁層で挟むように積層してもよい。積層部406は、具体的には、例えば、絶縁層になるコア材とプリプレグとにより、信号線を挟んで積層する。次に、積層部406は、2枚のヒータ内蔵の圧力板を用いて、積層したコア材とプリプレグとを、上下から加熱しながら加圧する。これにより、製造装置204は、信号線を挟んで、コア材とプリプレグとを接合することができる。
【0097】
(検査装置202による検査例)
まず、
図5〜
図7を用いて、検査装置202による検査例について説明する。
【0098】
図5〜
図7は、検査装置202による検査例を示す説明図である。
図5に示すように、検査装置202は、絶縁層に対してX線や赤外線などを照射し、透過した透過量の多寡を黒色の濃度により示した画像を生成する。次に、検査装置202は、生成された画像から、ガラス繊維束の辺の交点CPの座標値を算出する。
【0099】
そして、検査装置202は、各交点CPを直線で結び、ガラス繊維束の領域Gを検出する。検査装置202は、例えば、或る交点CPと、当該交点CPのX座標値またはY座標値との差が閾値以下になり当該交点CPと距離が近い他の交点CPと、を結んだ直線をガラス繊維束の辺として特定する。
【0100】
次に、検査装置202は、特定されたガラス繊維束の辺と辺との間の領域のうち、隣接する領域より幅が大きい領域を、ガラス繊維束の領域Gとして検出する。検査装置202は、例えば、辺と辺との間の領域の幅Cと幅Dとのうち、より大きい幅Cの領域をガラス繊維束の領域Gとして検出する。
【0101】
図6に検出されたガラス繊維束の領域Gを示す。検査装置202は、検出されたガラス繊維束の領域Gを示す情報を設計支援装置203に出力する。ガラス繊維束の領域Gを示す情報は、例えば、各交点CPの座標値と各交点CPがガラス繊維束のどの辺の上の点であるかを示す情報である。これにより、設計支援装置203は、実際に使用される絶縁層のガラス繊維束の領域Gの位置情報を取得することができる。
【0102】
また、検査装置202は、X線や赤外線などによる成分分析により、絶縁層内のガラス繊維束の領域Gを検出してもよい。
図7に成分分析により検出されたガラス繊維束の領域Gを示す。そして、検査装置202は、ガラス繊維束の領域Gを示す情報を設計支援装置203に出力してもよい。これにより、設計支援装置203は、実際に使用される絶縁層のガラス繊維束の領域Gの位置情報を取得することができる。
【0103】
(設計支援装置203による位置変換例)
次に、
図8〜
図16を用いて、設計支援装置203が差動配線の信号線の位置情報を変換する場合の具体例について説明する。設計支援装置203は、例えば、1つの絶縁層の上に配線される差動配線の信号線の位置を決定することができる。また、設計支援装置203は、2つの絶縁層の間に配線される差動配線の信号線の位置を決定することができる。
【0104】
まず、
図8および
図9を用いて、
図4において説明した設計支援装置203が1つの絶縁層の上に配線される差動配線の信号線の線幅と間隔とを変更せずに位置を決定する場合の具体例について説明する。
【0105】
図8および
図9は、設計支援装置203による作動配線の信号線の線幅と間隔とを変更しない場合の位置変換例を示す説明図である。
図8の例では、信号線L1と信号線L2との位置情報によれば、信号線L1はガラス繊維束の領域Gに包含されているが、信号線L2はガラス繊維束の領域Gからはみ出している。
【0106】
ここで、信号線L1と信号線L2とが差動配線の信号線である。そのため、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができるか否かを判定する。
【0107】
設計支援装置203は、例えば、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11の右辺から、Y軸に並行かつ信号線L1に近いガラス繊維束の左辺までの長さXを算出する。次に、設計支援装置203は、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21の左辺から、Y軸に並行かつ信号線L2に近いガラス繊維束の左辺までの長さYを算出する。そして、設計支援装置203は、XがY以上の場合、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を変換することができると判定する。
【0108】
図8の例では、設計支援装置203は、「X=5」かつ「Y=2」であるため、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、位置情報を変換することができると判定する。次に、設計支援装置203は、信号線L2をガラス繊維束の領域Gに包含させることができる信号線L2の座標値の変動量として、「Y=2」を採用する。設計支援装置203は、信号線L2の座標値の変動量として、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21の中心線から、Y軸に並行かつ信号線L2に近いガラス繊維束の中心線までの長さを採用してもよい。
【0109】
そして、設計支援装置203は、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11の位置情報と、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21の位置情報と、のX座標値に変動量「Y=2」を加算する。これにより、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0110】
図9に示すように、設計支援装置203は、例えば、部分信号線L11に含まれる点P11の座標値(38,0)のX座標値に「2」を加算して(40,0)に変換し、点P12の座標値(43,0)のX座標値に「2」を加算して(45,0)に変換する。また、設計支援装置203は、例えば、部分信号線L11に含まれる点P13の座標値(43,80)のX座標値に「2」を加算して(45,80)に変換し、点P16の座標値(38,75)のX座標値に「2」を加算して(40,75)に変換する。
【0111】
また、設計支援装置203は、例えば、部分信号線L21に含まれる点P21の座標値(38,0)のX座標値に「2」を加算して(40,0)に変換し、点P22の座標値(43,0)のX座標値に「2」を加算して(45,0)に変換する。また、設計支援装置203は、例えば、部分信号線L21に含まれる点P23の座標値(43,80)のX座標値に「2」を加算して(45,80)に変換し、点P26の座標値(38,75)のX座標値に「2」を加算して(40,75)に変換する。
【0112】
これにより、設計支援装置203は、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる。製造装置204は、設計支援装置203により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成して、信号線L1と信号線L2とをガラス繊維束の領域G上に配線することができる。そして、製造装置204は、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減し、かつ、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。
【0113】
次に、
図10〜
図12を用いて、
図4において説明した設計支援装置203が1つの絶縁層の上に配線される差動配線の信号線の線幅と間隔とを変更して位置を決定する場合の具体例について説明する。
【0114】
図10〜
図12は、設計支援装置203による作動配線の信号線の線幅と間隔とを変更する場合の位置変換例を示す説明図である。
図10の例では、信号線L1と信号線L2との位置情報によれば、信号線L1はガラス繊維束の領域Gに包含されているが、信号線L2はガラス繊維束の領域Gからはみ出している。
【0115】
ここで、信号線L1と信号線L2とが差動配線の信号線である。そのため、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の線幅W1と間隔S1とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができるか否かを判定する。
【0116】
設計支援装置203は、例えば、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11の右辺から、Y軸に並行かつ信号線L1に近いガラス繊維束の左辺までの長さXを算出する。次に、設計支援装置203は、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21の左辺から、Y軸に並行かつ信号線L2に近いガラス繊維束の左辺までの長さYを算出する。そして、設計支援装置203は、XがY以上の場合、信号線L1と信号線L2の線幅W1と間隔S1とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を変換することができると判定する。
【0117】
図10の例では、設計支援装置203は、「X=2」かつ「Y=4」であるため、信号線L1と信号線L2の線幅W1と間隔S1とを変更せずには、位置情報を変換することができないと判定する。そのため、設計支援装置203は、変更後の信号線の線幅と間隔とを算出する。
【0118】
まず、設計支援装置203は、信号線をガラス繊維束の領域Gに包含できるように、信号線の間隔を決定する。次に、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との間隔の変更の前後において、差動インピーダンスを一定にすることができる信号線の線幅を算出する。設計支援装置203は、例えば、差動インピーダンスの算出式を用いて、信号線の間隔を決定された間隔に変更した場合に、差動インピーダンスが100[Ω]になる信号線の線幅を算出する。
【0119】
図11に示すように、1つの絶縁層の上に差動配線を配線する場合、差動インピーダンスZdiffの算出式は、下記式(1)になる。
【0121】
ここで、Sは、
図11に示した信号線の間隔である。Hは、
図11に示した絶縁層の高さである。Z0は、信号線単独のインピーダンスである。インピーダンスZ0の算出式は、下記式(2)になる。
【0123】
ここで、Wは、
図11に示した信号線の線幅である。Tは、
図11に示した信号線の高さである。εrは、
図11に示した絶縁層の誘電率である。設計支援装置203は、上記式(1)および式(2)を用いて、変更後の線幅と間隔とを算出すると、
図12の処理に移行する。
【0124】
図12に示すように、設計支援装置203は、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11と、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21と、の各々の線幅W1と間隔S1とを、算出した線幅W2と間隔S2に変更する。そして、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。
【0125】
ここで、設計支援装置203は、信号線の間隔を並行なガラス繊維束の辺同士の間隔「E=10」に決定し、信号線の線幅「14」を算出したとする。この場合、設計支援装置203は、例えば、信号線L1の頂点P12の座標値をガラス繊維束の右辺上の座標値(70,0)に変換し、頂点P13の座標値をガラス繊維束の右辺上の座標値(68,67)に変換する。
【0126】
次に、設計支援装置203は、信号線L1の線幅W2が算出した線幅「14」になるように、頂点P11の座標値を頂点P12のX座標値から「14」を減算した(56,0)に変換する。そして、設計支援装置203は、信号線L1の線幅W2が算出した線幅「14」になるように、頂点P16の座標値をP13のX座標値から「14」を減算した(56,57)に変換する。
【0127】
次に、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の間隔が決定した間隔「10」になるように、信号線L2の頂点P21の座標値を頂点P12のX座標値に「10」を加算した(80,0)に変換する。そして、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の間隔が決定した間隔「10」になるように、頂点P26の座標値を頂点P13のX座標値に「10」を加算した(80,80)に変換する。
【0128】
次に、設計支援装置203は、信号線L2の線幅W2が算出した線幅「14」になるように、頂点P22の座標値を頂点P21のX座標値に「14」を加算した(94,0)に変換する。そして、設計支援装置203は、信号線L2の線幅W2が算出した線幅「14」になるように、頂点P23の座標値を頂点P26のX座標値に「14」を加算した(94,90)に変換する。
【0129】
これにより、設計支援装置203は、差動インピーダンスを一定に保った上で、差動配線の信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる。また、設計支援装置203は、差動インピーダンスを一定に保つために線幅を大きくすることにより、信号線の挿入損失を低減することもできる。
【0130】
製造装置204は、設計支援装置203により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成して、信号線L1と信号線L2とをガラス繊維束の領域G上に配線することができる。そして、製造装置204は、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減し、かつ、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。
【0131】
また、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との間隔S2を、並行なガラス繊維束の中心線同士の間隔に決定してもよい。次に、設計支援装置203は、上記式(1)および式(2)を用いて、信号線L1と信号線L2との線幅W2を算出してもよい。そして、設計支援装置203は、ガラス繊維束の中心線と信号線L1と信号線L2との中心線が重複するように、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換してもよい。
【0132】
次に、
図13〜
図16を用いて、
図4において説明した設計支援装置203が2つの絶縁層の間に配線される差動配線の信号線の位置を決定する場合の具体例について説明する。
【0133】
図13〜
図16は、設計支援装置203による2つの絶縁層の間に配線される作動配線の位置変換例を示す説明図である。
図13の例では、差動配線を挟む2つの絶縁層のうち、上層になる絶縁層内のガラス繊維束の領域Gと、下層になる絶縁層内のガラス繊維束の領域Gとが異なる。この場合、設計支援装置203は、信号線の差動インピーダンスを一定に保つために、差動配線の信号線を、上層のガラス繊維束の領域Gと下層のガラス繊維束の領域Gとの重複領域に包含されるように、信号線の位置情報を重複領域内の位置情報に変換する。
【0134】
図14に示すように、まず、設計支援装置203は、上層と下層のガラス繊維束の領域Gを重ね合わせ、ガラス繊維束の重複領域を特定する。次に、設計支援装置203は、特定された重複領域に信号線が包含されるように、信号線の位置情報を重複領域内の位置情報に変換する。
【0135】
ここで、信号線L1と信号線L2とが差動配線の信号線である。そのため、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができるか否かを判定する。
【0136】
設計支援装置203は、例えば、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11の右辺から、Y軸に並行かつ信号線L1に近い重複領域の右辺までの長さXを算出する。次に、設計支援装置203は、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21の左辺から、Y軸に並行かつ信号線L2に近い重複領域の左辺までの長さYを算出する。そして、設計支援装置203は、XがY以上の場合、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、信号線L1と信号線L2との位置情報を変換することができると判定する。
【0137】
図15の例では、
図8および
図9と同様に、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずに、位置情報を変換することができると判定する。そして、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との位置情報を重複領域内の位置情報に変換する。
【0138】
これにより、設計支援装置203は、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる。製造装置204は、設計支援装置203により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成して、信号線L1と信号線L2とをガラス繊維束の領域G上に配線することができる。そして、製造装置204は、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減し、かつ、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。
【0139】
図16の例では、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2の線幅と間隔とを変更せずには、位置情報を変換することができないと判定する。そのため、設計支援装置203は、変更後の信号線の線幅と間隔とを算出する。
【0140】
まず、設計支援装置203は、信号線をガラス繊維束の重複領域に包含できるように、信号線の間隔を決定する。次に、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との間隔の変更の前後において、差動インピーダンスを一定にすることができる信号線の線幅を算出する。設計支援装置203は、例えば、差動インピーダンスの算出式を用いて、信号線の間隔を決定された間隔に変更した場合に、差動インピーダンスが100[Ω]になる信号線の線幅を算出する。
【0141】
図16に示すように、2つの絶縁層の間に差動配線の信号線を配線する場合、差動インピーダンスZdiffの算出式は、下記式(3)になる。
【0143】
ここで、Sは、
図16に示した信号線の間隔である。Hは、
図16に示した絶縁層の高さである。Z0は、信号線単独のインピーダンスである。インピーダンスZ0の算出式は、下記式(4)になる。
【0145】
ここで、Wは、
図16に示した信号線の線幅である。Tは、
図16に示した信号線の高さである。εrは、
図16に示した絶縁層の誘電率である。h1は、信号線からグランドになる配線層までの高さである。
【0146】
設計支援装置203は、上記式(2)を用いて、変更後の線幅と間隔とを算出すると、
図12と同様に、信号線L1のうちY軸に並行な部分信号線L11と、信号線L2のうちY軸に並行な部分信号線L21と、の各々の線幅と間隔とを、算出した線幅と間隔に変更する。そして、設計支援装置203は、信号線L1と信号線L2との位置情報をガラス繊維束の重複領域内の位置情報に変換する。
【0147】
これにより、設計支援装置203は、差動インピーダンスを一定に保った上で、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、差動配線の信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる。また、設計支援装置203は、差動インピーダンスを一定に保つために線幅を大きくすることにより、製造される信号線の挿入損失を低減することもできる。
【0148】
製造装置204は、設計支援装置203により変換された位置情報に従って信号線L1と信号線L2とを形成して、信号線L1と信号線L2とをガラス繊維束の領域G上に配線することができる。そして、製造装置204は、信号線L1と信号線L2との挿入損失を低減し、かつ、信号線L1と信号線L2との差動インピーダンスを一定に保ち、スキューを低減することができる。
【0149】
(製造装置204による製造例)
次に、
図17〜
図20を用いて、製造装置204による製造例について説明する。
【0150】
図17〜
図20は、製造装置204による製造例を示す説明図である。
図17の例では、製造装置204は、絶縁層になるコア材1704とプリプレグ1702,1706と、配線層になる銅箔1701,1703,1705と、を積層した基板を製造する。まず、製造装置204は、
図18の処理に移行する。
【0151】
図18に示すように、製造装置204は、配線層になる銅箔1705のうち、設計支援装置203により決定された信号線Lの位置から外れた銅箔1705の部分を剥離する。これにより、製造装置204は、設計支援装置203により決定された位置に信号線Lを配線することができる。
【0152】
次に、製造装置204は、絶縁層になるコア材1704とプリプレグ1706とにより、配線された信号線Lを挟んで積層する。ここで、製造装置204は、例えば、2枚のヒータ内蔵の圧力板により、信号線Lを挟んだコア材1704とプリプレグ1706とを、上下から加熱しながら加圧する。これにより、製造装置204は、信号線Lを挟んで、コア材1704とプリプレグ1706とを接合することができる。そして、製造装置204は、
図19の処理に移行する。
【0153】
図19に示すように、製造装置204は、配線層になる銅箔1703をグランドにするために剥離せずに、コア材1704とプリプレグ1702とによりグランドになる銅箔1703を挟んで積層する。ここで、製造装置204は、例えば、2枚のヒータ内蔵の圧力板により、銅箔1703を挟んだコア材1704とプリプレグ1702とを、上下から加熱しながら加圧する。これにより、製造装置204は、コア材1704とプリプレグ1702と銅箔1703とを接合することができる。そして、製造装置204は、
図20の処理に移行する。
【0154】
図20に示すように、製造装置204は、プリプレグ1702に積層された配線層になる銅箔1701のうち、設計支援装置203により決定された信号線Lの位置から外れた銅箔1701の部分を剥離する。これにより、製造装置204は、設計支援装置203により決定された位置に信号線Lを配線することができる。
【0155】
次に、製造装置204は、例えば、2枚のヒータ内蔵の圧力板により、積層したプリプレグ1702と信号線Lとを、上下から加熱しながら加圧する。これにより、製造装置204は、プリプレグ1702と信号線Lとを接合することができる。そして、製造装置204は、設計支援装置203によって変換された位置情報に従って信号線Lが配線された基板を製造することができる。
【0156】
(設計処理)
次に、
図21を用いて、設計装置201による設計処理の詳細な処理手順について説明する。設計処理は、規格上の絶縁層内のガラス繊維の領域に信号線が包含されるように、信号線の位置情報を決定する処理である。
【0157】
図21は、設計装置201による設計処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
図21に示すように、まず、設計装置201は、各層の縦横ガラス繊維束の幅および縦横ガラス繊維束の間隔の規格を設定する(ステップS2101)。
【0158】
次に、設計装置201は、規格上のガラス繊維束群の各ガラス繊維束の辺の交点CPの座標値を算出する(ステップS2102)。そして、設計装置201は、交点CPの座標値から、規格上のガラス繊維束エリアを特定する(ステップS2103)。
【0159】
次に、設計装置201は、規格上のガラス繊維束の領域Gに信号線が包含されるように信号線の位置を決定する(ステップS2104)。そして、設計装置201は、設計処理を終了する。これにより、設計装置201は、絶縁層内のガラス繊維束群が規格通りの位置に存在する場合に、ガラス繊維束の領域Gに包含される信号線の位置情報を生成することができる。
【0160】
(検査処理)
次に、
図22を用いて、検査装置202による検査処理の詳細な処理手順について説明する。検査処理は、実際に使用される絶縁層内のガラス繊維束の領域の位置情報を生成する処理である。
【0161】
図22は、検査装置202による検査処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
図22に示すように、まず、検査装置202は、絶縁層にX線を透過させ、透過したX線の透過量から実際のガラス繊維束群の各ガラス繊維束の辺の交点CPの座標値を算出する(ステップS2201)。
【0162】
次に、検査装置202は、算出した座標値を直線で結び、ガラス繊維束の領域Gを特定する(ステップS2202)。そして、検査装置202は、縦横ガラス繊維束の幅および間隔の規格通りであるか否かを判定する(ステップS2203)。ここで、規格通りである場合(ステップS2203:Yes)、検査装置202は、検査処理を終了する。
【0163】
一方、規格通りでない場合(ステップS2203:No)、検査装置202は、検査対象の絶縁層を他の絶縁層に交換し(ステップS2204)、ステップS2201に戻る。これにより、製造装置204は、検査装置202により規格通りと判定された絶縁層を用いて基板を製造することができる。
【0164】
(設計支援処理)
次に、
図23を用いて、設計支援装置203による設計支援処理の詳細な処理手順について説明する。設計支援処理は、
図8〜
図16に示した処理であり、信号線の位置情報を実際の絶縁層内のガラス繊維束の領域内の位置情報に変換する処理である。
【0165】
図23は、設計支援装置203による設計支援処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
図23に示すように、まず、設計支援装置203は、ガラス繊維束の領域Gから外れた信号線があるか否かを判定する(ステップS2301)。ここで、信号線がない場合(ステップS2301:No)、設計支援装置203は、設計支援処理を終了する。
【0166】
一方、信号線がある場合(ステップS2301:Yes)、設計支援装置203は、ガラス繊維束の領域Gから外れた信号線が差動配線であるか否かを判定する(ステップS2302)。ここで、差動配線でない場合(ステップS2302:No)、設計支援装置203は、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換して(ステップS2303)、設計支援処理を終了する。
【0167】
一方、差動配線である場合(ステップS2302:Yes)、設計支援装置203は、差動配線の間隔を変更するか否かを判定する(ステップS2304)。ここで、間隔を変更しない場合(ステップS2304:No)、設計支援装置203は、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換して(ステップS2305)、設計支援処理を終了する。
【0168】
一方、間隔を変更する場合(ステップS2304:Yes)、設計支援装置203は、差動配線の信号線の間隔をガラス繊維束の間隔に変更する(ステップS2306)。次に、設計支援装置203は、信号線の線幅を、信号線の間隔の変更前後においてインピーダンスを一定に維持することができる線幅に変更する(ステップS2307)。そして、設計支援装置203は、信号線がガラス繊維束の領域Gに包含されるように、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換して(ステップS2308)、設計支援処理を終了する。これにより、製造装置204は、設計支援装置203により決定された信号線の位置に信号線を配線することにより、信号線のインピーダンスの変動が抑制された基板を製造することができる。
【0169】
(製造処理)
次に、
図24を用いて、製造装置204による製造処理の詳細な処理手順について説明する。製造処理は、設計支援装置203によって変換された位置情報に従って基板を製造する処理である。
【0170】
図24は、製造装置204による製造処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
図24に示すように、製造装置204は、設計支援装置203により決定された信号線の位置に信号線を形成する(ステップS2401)。次に、製造装置204は、信号線を挟んで内層を積層して接合する(ステップS2402)。そして、製造装置204は、信号線と表面層を積層して接合し(ステップS2403)、製造処理を終了する。これにより、製造装置204は、基板を製造することができる。
【0171】
以上説明したように、設計支援装置203は、1つの絶縁層に積層される配線層において、ガラス繊維束の領域Gからはみ出したシングルエンド配線の信号線の位置情報を、信号線の線幅を維持したまま、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、設計支援装置203は、信号線のインピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0172】
また、設計支援装置203は、1つの絶縁層に積層される配線層において、ガラス繊維束の領域Gからはみ出した信号線が差動配線である場合、信号線の位置情報を、差動配線の間隔と信号線の線幅とを維持したまま、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、設計支援装置203は、差動配線の差動インピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0173】
また、1つの絶縁層に積層される配線層において、ガラス繊維束の領域Gからはみ出した信号線が差動配線であって、差動配線の間隔を維持したままでは、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができない場合がある。この場合、設計支援装置203は、差動配線の間隔を信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる間隔に変更する。次に、設計支援装置203は、間隔の変更前後において差動配線の差動インピーダンスが一定になるように、信号線の線幅を変更する。これにより、設計支援装置203は、差動配線の差動インピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0174】
また、設計支援装置203は、2つの絶縁層に挟まれる配線層において、ガラス繊維束の重複領域からはみ出したシングルエンド配線の信号線の位置情報を、信号線の線幅を維持したまま、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、設計支援装置203は、信号線のインピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0175】
また、設計支援装置203は、2つの絶縁層に挟まれる配線層において、ガラス繊維束の重複領域からはみ出した信号線が差動配線である場合、信号線の位置情報を、差動配線の間隔と信号線の線幅とを維持したまま、ガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換する。これにより、設計支援装置203は、差動配線の差動インピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0176】
また、2つの絶縁層に挟まれる配線層において、ガラス繊維束の重複領域からはみ出した信号線が差動配線であって、差動配線の間隔を維持したままでは、信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができない場合がある。この場合、設計支援装置203は、差動配線の間隔を信号線の位置情報をガラス繊維束の領域G内の位置情報に変換することができる間隔に変更する。次に、設計支援装置203は、間隔の変更前後において差動配線の差動インピーダンスが一定になるように、信号線の線幅を変更する。これにより、設計支援装置203は、差動配線の差動インピーダンスの変動を抑制することができる信号線の位置を決定することができる。
【0177】
製造装置204は、設計支援装置203によって変換された位置情報に従って、配線層に信号線を配線する。これにより、製造装置204は、信号線のインピーダンスの変動が抑制された基板を製造することができる。
【0178】
なお、本実施の形態で説明した設計支援方法または製造方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本設計支援プログラムまたは本製造プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本設計支援プログラムまたは本製造プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0179】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0180】
(付記1)コンピュータに、
配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される絶縁層内の繊維束群を積層方向に投影した前記繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記繊維束の領域内の位置情報に変換する、
処理を実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
【0181】
(付記2)前記取得する処理は、
前記信号線が差動信号線の一方の信号線である場合、前記差動信号線の他方の信号線の位置情報を取得し、
前記特定する処理は、
前記他方の信号線の位置情報に基づいて、前記他方の信号線のうち、前記一方の信号線の部分信号線と並行な前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定し、
前記変換する処理は、
前記一方の信号線の部分信号線と前記他方の信号線の部分信号線との間隔を維持した状態で、前記一方の信号線の部分信号線について用いられた変換量により、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補に変換し、
前記検出する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補と前記繊維束群の位置情報とに基づいて、前記他方の信号線の部分信号線候補と前記繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記変換する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線について非重複箇所が検出されなかった場合、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補を前記他方の信号線の部分信号線の位置情報に決定することを特徴とする付記1に記載の設計支援プログラム。
【0182】
(付記3)前記変換する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線について非重複箇所が検出された場合、前記一方の信号線の部分信号線および前記他方の信号線の部分信号線に関する差動インピーダンスを維持した状態で、前記一方の信号線の部分信号線の線幅、前記他方の信号線の部分信号線の線幅、および前記間隔が大きくなるように、前記一方の信号線の部分信号線の位置情報と前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を前記繊維束群の領域内の位置情報に変換することを特徴とする付記2に記載の設計支援プログラム。
【0183】
(付記4)コンピュータに、
配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される第1の絶縁層内の第1の繊維束群を積層方向に投影した前記第1の繊維束群の位置情報と、前記配線層に積層される第2の絶縁層内の第2の繊維束群を積層方向に投影した前記第2の繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記第1の繊維束群の位置情報と前記第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記第1または第2の繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記第1の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第1の繊維束の位置情報により特定される領域および前記第2の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第2の繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記第1および第2の繊維束の領域内の位置情報に変換する、
処理を実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
【0184】
(付記5)前記取得する処理は、
前記信号線が差動信号線の一方の信号線である場合、前記差動信号線の他方の信号線の位置情報を取得し、
前記特定する処理は、
前記他方の信号線の位置情報に基づいて、前記他方の信号線のうち、前記一方の信号線の部分信号線と並行な前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を特定し、
前記変換する処理は、
前記一方の信号線の部分信号線と前記他方の信号線の部分信号線との間隔を維持した状態で、前記一方の信号線の部分信号線について用いられた変換量により、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補に変換し、
前記検出する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補と前記第1および第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、前記他方の信号線の部分信号線候補と前記第1または第2の繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記変換する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線について非重複箇所が検出されなかった場合、前記他方の信号線の部分信号線の位置情報候補を前記他方の信号線の部分信号線の位置情報に決定することを特徴とする付記4に記載の設計支援装置。
【0185】
(付記6)前記変換する処理は、
前記他方の信号線の部分信号線について非重複箇所が検出された場合、前記一方の信号線の部分信号線および前記他方の信号線の部分信号線に関する差動インピーダンスを維持した状態で、前記一方の信号線の部分信号線の線幅、前記他方の信号線の部分信号線の線幅、および前記間隔が大きくなるように、前記一方の信号線の部分信号線の位置情報と前記他方の信号線の部分信号線の位置情報を前記第1および第2の繊維束の領域内の位置情報に変換することを特徴とする付記5に記載の設計支援装置。
【0186】
(付記7)コンピュータが、
配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される絶縁層内の繊維束群を積層方向に投影した前記繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記繊維束の領域内の位置情報に変換する、
処理を実行することを特徴とする設計支援方法。
【0187】
(付記8)コンピュータが、
配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される第1の絶縁層内の第1の繊維束群を積層方向に投影した前記第1の繊維束群の位置情報と、前記配線層に積層される第2の絶縁層内の第2の繊維束群を積層方向に投影した前記第2の繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記第1の繊維束群の位置情報と前記第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記第1または第2の繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記第1の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第1の繊維束の位置情報により特定される領域および前記第2の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第2の繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記第1および第2の繊維束の領域内の位置情報に変換する、
処理を実行することを特徴とする設計支援方法。
【0188】
(付記9)配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される絶縁層内の繊維束群を積層方向に投影した前記繊維束群の位置情報と、を取得する取得部と、
前記信号線の位置情報と前記繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出する検出部と、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、前記検出部によって検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定する特定部と、
前記繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、前記特定部によって特定された部分信号線の位置情報を、前記繊維束の領域内の位置情報に変換する変換部と、
を有することを特徴とする設計支援装置。
【0189】
(付記10)配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される第1の絶縁層内の第1の繊維束群を積層方向に投影した前記第1の繊維束群の位置情報と、前記配線層に積層される第2の絶縁層内の第2の繊維束群を積層方向に投影した前記第2の繊維束群の位置情報と、を取得する取得部と、
前記信号線の位置情報と前記第1の繊維束群の位置情報と前記第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記第1または第2の繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出する検出部と、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、前記検出部によって検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定する特定部と、
前記第1の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第1の繊維束の位置情報により特定される領域および前記第2の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第2の繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、前記特定部によって特定された部分信号線の位置情報を、前記第1および第2の繊維束の領域内の位置情報に変換する変換部と、
を有することを特徴とする設計支援装置。
【0190】
(付記11)配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される絶縁層内の繊維束群を積層方向に投影した前記繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記繊維束の領域内の位置情報に変換し、
前記部分信号線の位置情報が変換された変換後の信号線の位置情報に基づいて、前記配線層に前記変換後の信号線を形成し、
前記変換後の信号線が形成された配線層と前記絶縁層とを積層する、
ことを特徴とする製造方法。
【0191】
(付記12)配線層での信号線の位置情報と、前記配線層に積層される第1の絶縁層内の第1の繊維束群を積層方向に投影した前記第1の繊維束群の位置情報と、前記配線層に積層される第2の絶縁層内の第2の繊維束群を積層方向に投影した前記第2の繊維束群の位置情報と、を取得し、
前記信号線の位置情報と前記第1の繊維束群の位置情報と前記第2の繊維束群の位置情報とに基づいて、前記信号線と前記第1または第2の繊維束群との前記積層方向における非重複箇所を検出し、
前記信号線の位置情報に基づいて、前記信号線のうち、検出された非重複箇所を含む部分信号線の位置情報を特定し、
前記第1の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第1の繊維束の位置情報により特定される領域および前記第2の繊維束群のうち前記部分信号線の配線方向に並行な第2の繊維束の位置情報により特定される領域に前記部分信号線が包含されるように、特定された部分信号線の位置情報を、前記第1および第2の繊維束の領域内の位置情報に変換し、
前記部分信号線の位置情報が変換された変換後の信号線の位置情報に基づいて、前記配線層に前記変換後の信号線を形成し、
前記変換後の信号線が形成された配線層を前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層で挟むように積層する、
ことを特徴とする製造方法。