(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019660
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 80/30 20160101AFI20161020BHJP
【FI】
F03D80/30
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-72584(P2012-72584)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-204473(P2013-204473A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】青木 悟
(72)【発明者】
【氏名】染川 和矢
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−216087(JP,A)
【文献】
特開2005−273328(JP,A)
【文献】
特開2005−155509(JP,A)
【文献】
特開2002−317750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車タワーの風車により回転駆動される風力発電機の出力を調整するための電力調整装置を前記風車タワー内のコンクリート基礎上に備えた風力発電装置において、
前記電力調整装置の筐体と、該筐体を載せて前記コンクリート基礎に固定するためのベースの間に絶縁体を挿入し、前記筐体と前記コンクリート基礎とを絶縁するとともに、
前記電力調整装置の接地用導体を一点でのみ、電力調整装置外の接地母線に接続したことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記電力調整装置が、前記風力発電機の交流電力を一旦、直流電力に変換するためのコンバータ、及び、該直流電力を一定周波数の交流電力に逆変換するためのインバータを含む周波数変換装置であることを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に係り、特に、周波数変換装置を備えた風力発電装置に用いるのに好適な、落雷時に周波数変換装置内の機器の損傷を防止することが可能な風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(風車タワーの全体構成)及び
図2(周波数変換装置の回路構成)に例示する如く、風車タワー10の風車12により回転駆動される風力発電機14の交流電力を一旦、直流電力に変換するためのコンバータ22、及び、該直流電力を一定周波数の交流電力に逆変換するためのインバータ24を含む周波数変換装置(コンバータ22とインバータ24が背中合わせに接続される構成になっているので、BTB(Back to Back)盤とも呼ばれる)20を備えた風力発電装置が知られている(特許文献1参照)。
図2において、26は励磁回路、28は連系変圧器である。
【0003】
前記BTB盤20は、通常、
図1に例示したように、風車タワー10内の1階に設置されており、
図3及び
図4(
図3の要部拡大図)に例示する如く、コンクリート基礎30にアンカーボルト32で固定されたチャンネルベース34にボルト36及びナット38で固定されているが、風車12に落雷した場合、雷電流は風車タワー10を通して大地に流れる。その際、状況によっては、BTB盤20内のコンバータ22、インバータ24や基板が焼損することがあった。
図3において、39は、例えばBTB盤20上に設置されたリアクトルボックスである。
【0004】
そこで、前記BTB盤20は、盤用接地として接地線を接地極に接続して、落雷時に大地電位と同レベルになるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−155509号公報(段落0025、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、BTB盤20は、
図1に例示した如く、風車タワー10内の1階コンクリート基礎30上に設置されているため、BTB盤20自体がコンクリート基礎30を介して大地に接地されている状態となっている。この場合、雷電流が大地に流れる際に、BTB盤20の接地線とBTB盤20の間にループ回路が構成され、BTB盤20内を雷電流がループ状に通過して、状況によっては誘導電流によりコンバータ22、インバータ24や基板等の機器が損傷している可能性があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、風車に落雷した場合に、雷電流によるBTB盤等の風力発電装置の電力調整装置内機器の損傷を無くすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、風車タワーの風車により回転駆動される風力発電機の出力を調整するための電力調整装置を前記風車タワー内のコンクリート基礎上に備えた風力発電装置において、前記電力調整装置の筐体と
、該筐体を載せて前記コンクリート基礎に固定するためのベースの間に絶縁体を挿入し、前記筐体と前記コンクリート基礎とを絶縁するとともに、前記電力調整装置の接地用導体を一点でのみ、電力調整装置外の接地母線に接続することにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
ここで、前記電力調整装置は、前記風力発電機の交流電力を一旦、直流電力に変換するためのコンバータ、及び、該直流電力を一定周波数の交流電力に逆変換するためのインバータを含む周波数変換装置(BTB盤)であることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、雷電流が大地に流れる際に、電力調整装置(例えばBTB盤)の接地線と電力調整装置の間にループ回路が構成されることがなく、電力調整装置内を雷電流がループ状に通過することが無い。従って、落雷時の雷電流の電力調整装置内通過による電力調整装置内機器の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】風車タワー内のBTB盤の設置状態を示す正面図
【
図5】本発明の実施形態におけるBTB盤の接地状態の要部を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態は、本発明をBTB盤20の保護に適用したもので、
図5、
図6(
図5のVI部拡大図)、
図7(
図5のVII−VII線に沿う水平断面図)及び
図8(
図7のVIII−VIII線に沿う横断面図)に要部を示す如く、BTB盤20の筐体21とチャンネルベース34の間に絶縁体(ここでは絶縁ゴム40と絶縁スリーブ42)を挿入し、BTB盤20の接地用導体(ここでは接地銅板44)を一点でのみ、例えば屋内配線用ビニール絶縁電線(IV線)52で、BTB盤20外の接地母線(ここでは風車共通接地母線50)に接地したものである。
【0014】
具体的には、まず、BTB盤20の筐体21とチャンネルベース34の間に絶縁体、例えば厚さ10mmの絶縁ゴム40を敷く。
【0015】
次いで、BTB盤の筐体21、絶縁ゴム40及びチャンネルベース34の間に、例えばセラミックス製の絶縁スリーブ42を挿入する。
【0016】
次いで、BTB盤20の筐体21とチャンネルベース34をボルト36及びナット38で固定する。
【0017】
次いで、BTB盤20内に設けられた接地銅板44とBTB盤20外の風車共通接地母線50を、IV線52等で接続する。
【0018】
このようにして、BTB盤20の筐体21とチャンネルベース34間に絶縁ゴム40及び絶縁スリーブ42を取り付けて、盤内接地端子一点でのみBTB盤20を接地することにより、落雷時の雷電流の盤内通過を阻止して、盤内機器の損傷を防ぐことができる。
【0019】
なお、前記実施形態においては、本発明がBTB盤20内を落雷時の雷電流が通過するのを防止するようにされていたが、BTB盤以外の変換装置や、送電線に流れる無効電信を低減させるための無効電力補償装置、電力を貯蔵するための二次電池等、他の電力調整装置に対しても、本発明を同様に適用して、その損傷を無くすことが可能である。
【0020】
又、ベースもチャンネルベース34に限定されず、電力調整装置外の接地母線も風車共通接地母線50に限定されず、接地用導体も接地銅板44に限定されず、電力調整装置外の接地母線も風車共通接地母線50に限定されず、接地用導体と接地母線の接続もIV線52に限定されない。
【符号の説明】
【0021】
10…風車タワー
12…風車
14…風力発電機
20…BTB盤(周波数変換装置)
22…コンバータ
24…インバータ
40…絶縁ゴム
42…絶縁スリーブ
44…接地銅板
50…風車共通接地母線
52…屋内配線用ビニール絶縁電線(IV線)