(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機能実行装置は、無線ネットワークの親局として機能する親局状態と、前記無線ネットワークの子局として機能する子局状態と、前記親局状態及び前記子局状態とは異なるデバイス状態と、を含む複数の状態のうちのいずれかの状態で選択的に動作可能であり、
前記第2種のインターフェイスは、前記親局状態及び前記子局状態のどちらかの状態で動作している前記機能実行装置が、前記通信処理を実行するためのインターフェイスである、請求項1から4のいずれか一項に記載の機能実行装置。
前記機能実行装置が現在属している特定の無線ネットワークにおいて、前記機能実行装置が前記親局状態で動作している場合に、前記変更処理は、前記特定の無線ネットワークにおいて、前記子局状態で動作している子局機器の数が、所定値未満であるのか否かを判断する機器数判断処理を含み、
前記変更部は、
前記子局機器の数が、前記所定値未満であると判断される場合に、前記変更処理を継続して実行し、
前記子局機器の数が、前記所定値以上であると判断される場合に、前記変更処理を継続して実行しない、請求項5に記載の機能実行装置。
前記状態判断部は、前記印刷機能を実行するための消耗品の残量、前記印刷機能を実行するための印刷媒体の残量、及び、前記印刷機能を実行するためのハードウェアの状態、のうちの少なくとも1つを用いて、前記機能実行装置の状態が、前記非エラー状態であるのか、前記エラー状態であるのか、を判断する、請求項1から6のいずれか一項に記載の機能実行装置。
前記受信部は、前記携帯端末が現在属している無線ネットワークと、前記機能実行装置が現在属している無線ネットワークと、が同一である場合に、前記携帯端末から、前記第1種のインターフェイスを介して、前記第3の情報を受信する、請求項8から10のいずれか一項に記載の機能実行装置。
前記機能実行装置は、無線ネットワークの親局として機能する親局状態と、前記無線ネットワークの子局として機能する子局状態と、前記親局状態及び前記子局状態とは異なるデバイス状態と、を含む複数の状態のうちのいずれかの状態で選択的に動作可能であり、
前記第2種のインターフェイスは、前記親局状態及び前記子局状態のどちらかの状態で動作している前記機能実行装置が、前記通信処理を実行するためのインターフェイスである、請求項8から11のいずれか一項に記載の機能実行装置。
前記機能実行装置が現在属している特定の無線ネットワークにおいて、前記機能実行装置が前記親局状態で動作している場合に、前記変更処理は、前記特定の無線ネットワークにおいて、前記子局状態で動作している子局機器の数が、所定値未満であるのか否かを判断する機器数判断処理を含み、
前記変更部は、
前記子局機器の数が、前記所定値未満であると判断される場合に、前記変更処理を継続して実行し、
前記子局機器の数が、前記所定値以上であると判断される場合に、前記変更処理を継続して実行しない、請求項12に記載の機能実行装置。
前記状態判断部は、前記スキャン機能を実行するためのハードウェアの状態を用いて、前記機能実行装置の状態が、前記非エラー状態であるのか、前記エラー状態であるのか、を判断する、請求項8から13のいずれか一項に記載の機能実行装置。
前記変更処理を継続して実行しないことは、前記機能実行装置と無線通信を実行するための無線設定を送信しないことを含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の機能実行装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(通信システム2の構成)
図1に示すように、通信システム2は、多機能機(以下では「MFP」(Multi-Function Peripheralの略)と呼ぶ)10と、携帯端末50と、アクセスポイント(以下では「AP」と呼ぶ)6と、PC8と、を備える。MFP10と携帯端末50とは、近距離無線通信を実行可能である。近距離無線通信は、NFC方式に従った無線通信である。本実施例では、ISO/IEC21481又はISO/IEC18092の国際標準規格に基づいて、NFC方式の無線通信が実行される。
【0024】
また、PC8とMFP10と携帯端末50とは、それぞれ、後述のWi−Fi Directの方式(以下では「WFD方式」と呼ぶ)に従った無線通信を実行可能である。WFD方式では、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n等)に基づいて、無線通信が実行される。NFC方式とWFD方式とは、無線通信方式(即ち無線通信の規格)が異なる。また、WFD方式の無線通信の通信速度は、NFC方式の無線通信の通信速度よりも速い。
【0025】
例えば、MFP10は、WFD方式に従って、携帯端末50との接続(以下では「WFD接続」と呼ぶ)を確立することによって、WFDネットワークを構築することができる。同様に、MFP10は、PC8とのWFD接続を確立することによって、WFDネットワークを構築することができる。
【0026】
PC8とMFP10と携帯端末50とは、さらに、WFD方式に従った無線通信とは異なる通常Wi−Fiに従った無線通信を実行可能である。一般的に言うと、通常Wi−Fiに従った無線通信とは、AP6が利用される無線通信であり、WFD方式に従った無線通信とは、AP6が利用されない無線通信である。例えば、MFP10は、通常Wi−Fiに従って、AP6との接続(以下では「通常Wi−Fi接続」と呼ぶ)を確立することによって、通常Wi−Fiネットワークに属することができる。MFP10は、AP6を介して、通常Wi−Fiネットワークに属している他のデバイス(例えばPC8、携帯端末50)と無線通信を実行することができる。また、NFC方式と通常Wi−Fiとは、無線通信方式(即ち無線通信の規格)が異なる。また、通常Wi−Fiの無線通信の通信速度は、NFC方式の無線通信の通信速度よりも速い。
【0027】
(WFD)
WFDは、Wi−Fi Allianceによって策定された規格である。WFDは、Wi−Fi Allianceによって作成された「Wi−Fi Peer−to−Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている。
【0028】
上述したように、PC8とMFP10と携帯端末50とは、それぞれ、WFD方式に従った無線通信を実行可能である。以下では、WFD方式に従った無線通信を実行可能な機器のことを「WFD対応機器」と呼ぶ。WFD規格では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
【0029】
G/O状態の機器とクライアント状態の機器とによって、WFDネットワークが構成される。WFDネットワークでは、G/O状態の機器が1個しか存在し得ないが、クライアント状態の機器が1個以上存在し得る。G/O状態の機器は、1個以上のクライアント状態の機器を管理する。具体的に言うと、G/O状態の機器は、1個以上のクライアント状態の機器のそれぞれの識別情報(即ちMACアドレス)が記述された管理リストを生成する。G/O状態の機器は、クライアント状態の機器がWFDネットワークに新たに属すると、当該機器の識別情報を管理リストに追加し、クライアント状態の機器がWFDネットワークから離脱すると、当該機器の識別情報を管理リストから消去する。
【0030】
G/O状態の機器は、管理リストに登録されている機器、即ち、クライアント状態の機器(即ちWFDネットワークに属している機器)との間で、目的データ(例えば、OSI参照モデルのネットワーク層の情報を含むデータ(印刷データ、スキャンデータ等))の無線通信を実行可能である。しかしながら、G/O状態の機器は、管理リストに登録されていない未登録機器との間で、当該未登録機器がWFDネットワークに参加するためのデータ(例えば、ネットワーク層の情報を含まないデータ(Probe Request信号、Probe Response信号等の物理層のデータ)の無線通信を実行可能であるが、上記の目的データの無線通信を実行不可能である。例えば、G/O状態のMFP10は、管理リストに登録されている携帯端末50(即ち、クライアント状態の携帯端末50)から印刷データを無線で受信可能であるが、管理リストに登録されていない機器から印刷データを無線で受信不可能である。
【0031】
また、G/O状態の機器は、複数個のクライアント状態の機器の間の目的データ(印刷データ、スキャンデータ等)の無線通信を中継可能である。例えば、クライアント状態の携帯端末50がクライアント状態の他のプリンタに印刷データを無線で送信すべき場合には、携帯端末50は、まず、印刷データをG/O状態のMFP10に無線で送信する。この場合、MFP10は、携帯端末50から印刷データを無線で受信して、上記の他のプリンタに印刷データを無線で送信する。即ち、G/O状態の機器は、通常Wi−FiネットワークのAPの機能を実行可能である。
【0032】
なお、WFDネットワークに属していないWFD対応機器(即ち、管理リストに登録されていない機器)が、デバイス状態の機器である。デバイス状態の機器は、WFDネットワークに参加するためのデータ(Probe Request信号、Probe Response信号等の物理層のデータ等)の無線通信を実行可能であるが、WFDネットワークを介して目的データ(印刷データ、スキャンデータ等)の無線通信を実行不可能である。
【0033】
なお、以下では、WFD方式に従った無線通信を実行不可能であるが、通常Wi−Fiに従った無線通信を実行可能である機器のことを、「WFD非対応機器」と呼ぶ。「WFD非対応機器」は、「レガシー機器」と呼ぶこともできる。WFD非対応機器は、G/O状態として動作することができない。G/O状態の機器は、WFD非対応機器の識別情報を、管理リストに記述することができる。
【0034】
(MFP10の構成)
MFP10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線LANインターフェイス(以下では、インターフェイスのことを「I/F」と記載する)20と、NFCI/F22と、制御部30と、を備える。操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
【0035】
無線LANI/F20は、制御部30が、WFD方式に従った無線通信と、通常Wi−Fiに従った無線通信と、を実行するためのインターフェイスである。無線LANI/F20は、物理的には1個のインターフェイスである。但し、無線LANI/F20には、WFD方式に従った無線通信で利用されるMACアドレス(以下では「WFD用MACアドレス」と呼ぶ)と、通常Wi−Fiに従った無線通信で利用されるMACアドレス(以下では「通常Wi−Fi用MACアドレス」と呼ぶ)と、の両方が割り当てられる。より詳細には、無線LANI/F20には、通常Wi−Fi用MACアドレスが、予め割り当てられている。制御部30は、通常Wi−Fi用MACアドレスを用いて、WFD用MACアドレスを生成して、WFD用MACアドレスを無線LANI/F20に割り当てる。WFD用MACアドレスは、通常Wi−Fi用MACアドレスとは異なる。従って、制御部30は、無線LANI/F20を介して、WFD方式に従った無線通信と通常Wi−Fiに従った無線通信との両方を同時的に実行し得る。この結果、MFP10が、WFDネットワークに属していると共に、通常Wi−Fiネットワークに属している状況が成立し得る。なお、変形例では、WFD方式に従った無線通信を実行するためのインターフェイスと、通常Wi−Fiに従った無線通信とを実行するためのインターフェイスと、が物理的に異なるチップによって構成されていてもよい。
【0036】
なお、G/O状態の機器は、クライアント状態のWFD対応機器の識別情報のみならず、WFD非対応機器の識別情報も、管理リストに記述することができる。即ち、G/O状態の機器は、WFD非対応機器ともWFD接続を確立することができる。一般的に言うと、WFD接続とは、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線接続である。また、WFDネットワークとは、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線ネットワークである。同様に、通常Wi−Fi接続とは、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線接続である。また、通常Wi−Fiネットワークとは、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線ネットワークである。
【0037】
なお、ユーザは、操作部12を操作することによって、無線LANI/F20の設定を、WFD方式に従った無線通信を実行可能な設定(以下では「WFDI/F設定がONである」と表現する)と、WFD方式に従った無線通信を実行不可能な設定(以下では「WFDI/F設定がOFFである」と表現する)と、の間で変更することができる。制御部30は、ユーザによって設定されたWFDI/F設定を示す値(ON又はOFF)を、メモリ34に格納する。
【0038】
NFCI/F22は、制御部30が、NFC方式の無線通信を実行するためのインターフェイスである。W−FiI/F20とNFCI/F22とは、物理的に異なるチップによって構成されている。
【0039】
なお、無線LANI/F20を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が11〜600Mbps)は、NFCI/F22を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が106〜424kbps)よりも速い。さらに、無線LANI/F20を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、2.4GHz帯、5.0GHz帯)は、NFCI/F22を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、13.56MHz帯)とは異なる。また、MFP10と携帯端末50との距離がおよそ10cm以下である場合に、制御部30は、NFCI/F22を介して、携帯端末50とNFC方式の無線通信を実行可能である。一方において、MFP10と携帯端末50との距離が、10cm以下である場合でも、10cm以上である場合(例えば、最大で約100m)でも、制御部30は、無線LANI/F20を介して、WFD方式に従った無線通信、及び、通常Wi−Fiに従った無線通信を、携帯端末50と実行可能である。即ち、MFP10が、無線LANI/F20を介して、通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離は、MFP10が、NFCI/F22を介して、通信先の機器と無線通信を実行可能な最大の距離よりも大きい。
【0040】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。CPU32がプログラムに従って処理を実行することによって、各部40〜47の機能が実現される。
【0041】
メモリ34は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ34は、CPU32によって実行される上記のプログラムを格納する。MFP10がWFDネットワークに現在属している場合に、メモリ34は、WFDネットワークに現在属していることを示す情報と、当該WFDネットワークを介して目的データ(例えば、印刷データ、スキャンデータ)の通信を実行するための無線設定(認証方式、暗号化方式、パスワード、無線ネットワークのSSID(Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)を含む)と、を格納する。また、MFP10が通常Wi−Fiネットワークに現在属している場合に、通常Wi−Fiネットワークに現在属していることを示す情報と、当該通常Wi−Fiネットワークを介して目的データの通信を実行するための無線設定と、を格納する。なお、SSIDは、無線ネットワークを識別するための識別子であり、BSSIDは、無線ネットワークを構築するアクセスポイント(即ち、WFDネットワークの場合には、G/O状態の機器)の固有の識別子(例えばMACアドレス)である。
【0042】
メモリ34は、さらに、WFDI/F設定を示す値(ON又はOFF)を格納する。なお、制御部30は、メモリ34内のWFDI/F設定がOFFである状態では、WFD方式に従った各処理(例えば、MFP10を後述の自発G/Oモードに設定する処理、G/Oネゴシエーション等)を実行することができない。WFDI/F設定がONである状態では、メモリ34は、さらに、WFD方式に関するMFP10の現在の状態(G/O状態、クライアント状態、及び、デバイス状態のいずれかの状態)を示す値を格納する。
【0043】
なお、ユーザは、操作部12を操作することによって、MFP10を自発G/Oモードに設定することができる。自発G/Oモードは、G/O状態で動作することをMFP10に維持させるモードである。メモリ34は、さらに、MFP10が自発G/Oモードに設定されているのか否かを示す値を格納する。なお、デバイス状態のWFD対応機器は、デバイス状態の他のWFD対応機器とのWFD接続を確立する際に、通常、G/O状態及びクライアント状態のうちのどちらの状態で動作すべきであるのかを選択的に決定するためのG/Oネゴシエーションを実行する。MFP10が自発G/Oモードに設定されている場合には、MFP10は、G/Oネゴシエーションを実行せずに、G/O状態で動作することを維持する。
【0044】
メモリ34は、さらに、SFL(Secure Function Lock)情報36を格納する。SFL情報36は、携帯端末50を含む複数個の端末装置のそれぞれについて、当該端末装置のID(例えばID50)と、当該端末装置が印刷機能を利用可能であるのか否かを示す情報(OK又はNG)と、当該端末装置がスキャン機能を利用可能であるのか否かを示す情報(OK又はNG)と、が対応付けられているID−機能情報を含む。なお、SFL情報36は、さらに、パブリックの端末装置(即ち、ID−機能情報内にIDが登録されていない端末装置)を示す情報と、当該端末装置が印刷機能を利用不可能であることを示す情報(NG)と、当該端末装置がスキャン機能を利用不可能であることを示す情報(NG)と、が対応付けられているパブリック情報を含む。MFP10のユーザは、操作部12を操作することによって、SFL情報36をMFP10に入力する。これにより、格納制御部44は、ユーザによって入力されるSFL情報36を、メモリ34に格納する。
【0045】
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、例えば、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等である。携帯端末50は、無線LANI/F(即ちWFD及び通常Wi−Fi用のインターフェイス)と、NFCI/Fと、を備える。従って、携帯端末50は、無線LANを利用して、MFP10と無線通信を実行可能であると共に、NFCI/Fを利用して、MFP10と無線通信を実行可能である。PC8は、MFP10に機能(例えば印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのアプリケーションプログラムを備える。なお、アプリケーションプログラムは、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末50にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50にインストールされてもよい。
【0046】
(PC8の構成)
PC8は、無線LAN(即ちWFD及び通常Wi−Fi用のインターフェイス)を備えるが、NFCI/Fを備えていない。従って、PC8は、無線LANを利用して、MFP10と通信を実行可能であるが、NFC方式の無線通信を実行不可能である。携帯端末50は、MFP10に機能(例えば印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのドライバプログラムを備える。なお、ドライバプログラムは、通常、MFP10と共に出荷されるメディアからPC8にインストールされる。ただし、変形例では、ドライバプログラムは、MFP10のベンダによって提供されるサーバからPC8にインストールされてもよい。
【0047】
(AP6の構成)
AP6は、WFD方式のG/O状態の機器ではなく、無線アクセスポイント又は無線LANルータと呼ばれる通常のAPである。AP6は、複数個の機器と通常Wi−Fi接続を確立することができる。これにより、AP6と複数個の機器とを含む通常Wi−Fiネットワークが構築される。AP6は、通常Wi−Fiネットワークに属している複数個の機器のうちの1個の機器からデータを受信して、複数個の機器のうちの他の1個の機器に当該データを送信する。即ち、AP6は、通常Wi−Fiネットワークに属する一対の機器の間の通信を中継する。
【0048】
(MFP10が実行する処理)
図2を参照して、MFP10が実行する処理について説明する。制御部30は、MFP10が電源ONにされると、
図2の処理を実行する。MFP10が電源ONにされている間、NFCI/F22は、NFC方式の無線通信を実行可能なデバイスを検出する状態となっている。
【0049】
携帯端末50のユーザは、アプリケーションプログラムを起動させる。次いで、ユーザは、MFP10に機能(印刷機能又はスキャン機能)を実行させるための指示を、携帯端末50に入力する。この場合、携帯端末50は、NFC情報を生成する。詳しくは後述するが、携帯端末50は、NFC情報をMFP10に送信した後に、MFP10からNG情報を受信する場合に、NFC情報を再び生成して送信し得る。1回目のNFC情報は、通常リクエストを示す情報と、ユーザによって入力された機能(印刷機能又はスキャン機能)を示す情報と、携帯端末50のID「ID50」と、を少なくとも含む。2回目のNFC情報は、通常リクエストを示す情報の代わりに、再リクエストを示す情報を含む。また、2回目のNFC情報は、ユーザによって入力された機能(印刷機能又はスキャン機能)を示す情報と、携帯端末50のID「ID50」と、を少なくとも含む。なお、ユーザによって入力された機能が印刷機能である場合(即ち、2回目のNFC情報が、印刷機能を示す情報を含む場合)には、2回目のNFC情報は、さらに、印刷データのデータサイズを示すサイズ情報を含む。
【0050】
また、携帯端末50が無線ネットワークに現在属している場合には、NFC情報は、さらに、当該無線ネットワークのSSID及びBSSIDを含む。なお、携帯端末50が無線ネットワークに現在属している場合とは、携帯端末50と他のデバイス(例えばAP6、MFP10)との間で、WFD接続と通常Wi−Fi接続との少なくとも一方の無線接続が確立されている場合である。
【0051】
携帯端末50のユーザは、携帯端末50をMFP10に近づけることができる。これにより、携帯端末50とMFP10との間の距離が、互いに電波が届く距離(例えば10cm)より小さくなると、NFCI/F22は、MFP10から検出電波を受信して、応答電波をMFP10に送信する。その後、制御部30は、MFP10と携帯端末50との間にNFC通信セッションが確立させるための通信を、NFCI/F22を介して、携帯端末50と実行する。携帯端末50は、NFC通信セッションが確立されると、生成済みのNFC情報を、MFP10に送信する。
【0052】
S10では、受信部40は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信することを監視している。NFC情報が受信される場合(S10でYES)には、S12において、受信部40は、NFC情報を解析して、NFC情報が、通常リクエストを示す情報を含むのか、再リクエストを示す情報を含むのか、を判断する。NFC情報が、通常リクエストを示す情報を含むと判断される場合には、S14の通常リクエスト処理に進む。NFC情報が、再リクエストを示す情報を含むと判断される場合には、S16の再リクエスト処理に進む。
【0053】
(通常リクエスト処理;
図3)
図3を参照して、
図2のS14で実行される通常リクエスト処理の内容を説明する。S40において、制御部30は、NFC情報を解析して、NFC情報が、印刷機能を示す情報を含むのか、スキャン機能を示す情報を含むのか、を判断する。NFC情報が、印刷機能を示す情報を含むと判断される場合には、S42に進む。NFC情報が、スキャン機能を示す情報を含むと判断される場合には、S48に進む。
【0054】
S42では、利用判断部45は、携帯端末50が印刷機能を利用可能であるのか否かを判断する。具体的に言うと、利用判断部45は、まず、NFC情報を解析して、NFC情報に含まれる端末ID「ID50」を特定する。次いで、利用判断部45は、メモリ34内のSFL情報36のID−機能情報を参照して、端末ID「ID50」に対応付けられている印刷機能が、OKであるのか、NGであるのかを判断する。利用判断部45は、印刷機能がOKである場合に、S42でYESと判断してS44に進み、印刷機能がNGである場合に、S42でNOと判断してS46に進む。なお、利用判断部45は、端末ID「ID50」がID−機能情報に登録されていない場合には、SFL情報36のパブリック情報(印刷機能=NG、スキャン機能=NG)を参照して、S42でNOと判断する。
【0055】
S44では、状態判断部41は、MFP10の状態が、印刷可能状態(即ち非エラー状態)であるのか、印刷不可能状態(即ちエラー状態)であるのか、を判断する。具体的に言うと、状態判断部41は、印刷実行部16に搭載されている消耗品の残量をチェックして、消耗品の残量がゼロである場合に、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する(S44でNO)。なお、例えば、印刷実行部16がインクジェット方式の印刷機構である場合には、上記の消耗品は、インクカートリッジ内のインクである。また、例えば、印刷実行部16がレーザ方式の印刷機構である場合には、上記の消耗品は、トナーカートリッジ内のトナーである。
【0056】
また、状態判断部41は、印刷実行部16によって利用される印刷媒体の残量(即ち、給紙トレイ内の印刷媒体の残量)をチェックして、印刷媒体の残量がゼロである場合に、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する(S44でNO)。
【0057】
次いで、状態判断部41は、印刷機能を実行するためのハードウェアの状態をチェックして、ハードウェアにトラブルがある場合に、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する(S44でNO)。例えば、印刷実行部16内の印刷媒体の搬送機構において、印刷媒体が詰まっている場合(即ち紙ジャムの場合)には、状態判断部41は、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、印刷実行部16内の印刷媒体の搬送機構である。また、例えば、メモリ34内の空き容量が極めて少ない場合、即ち、メモリ34内の空き容量が所定値未満である場合には、印刷データを処理することができないために、状態判断部41は、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、メモリ34である。また、例えば、MFP10の筐体を構成する複数個の部材のうち、印刷実行時に閉じられている必要があるカバー部材が開かれている場合(以下では「カバーオープン」と呼ぶ)には、状態判断部41は、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、上記のカバー部材である。
【0058】
状態判断部41は、消耗品の残量、印刷媒体の残量、及び、ハードウェアの状態のいずれかに起因して、MFP10の状態が印刷不可能状態であると判断する場合(S44でNO)には、S46に進む。一方において、状態判断部41は、消耗品の残量、印刷媒体の残量、及び、ハードウェアの状態のいずれも問題がなければ、MFP10の状態が印刷可能状態であると判断する(S44でYES)。このように、本実施例では、MFP10は、MFP10の状態が、非エラー状態であるのか、エラー状態であるのか、を適切に判断することができる。S44でYESの場合には、
図3の通常リクエスト処理は、「通常END」として終了する。
【0059】
S46では、送信部46は、NFCI/F22を介して、SFLに起因するNG理由を含む印刷NG情報を携帯端末50に送信する。例えば、S42でNOの場合には、NG理由は、携帯端末50が印刷機能を利用不可能であることを示す。また、S44でNOの場合には、NG理由は、MFP10の状態がエラー状態であることを示す。この場合、NG理由は、MFP10の状態がエラー状態である具体的な理由(例えば、消耗品の残量がゼロ、印刷媒体の残量がゼロ、印刷媒体が詰まっている(紙ジャム)、メモリ34の空き容量が少ない、カバーオープン等)を示す。このように、本実施例では、MFP10は、MFP10の状態が印刷不可能状態(即ちエラー状態)であること、及び、エラーの理由を、携帯端末50に適切に通知することができる。S46が終了した場合には、
図3の通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。
【0060】
S48では、利用判断部45は、携帯端末50がスキャン機能を利用可能であるのか否かを判断する。具体的に言うと、S42と同様に、利用判断部45は、メモリ34内のSFL情報36を参照して、端末ID「ID50」に対応付けられているスキャン機能が、OKであるのか、NGであるのかを判断する。利用判断部45は、スキャン機能がOKである場合に、S48でYESと判断してS52に進み、スキャン機能がNGである場合に、S48でNOと判断してS50に進む。なお、利用判断部45は、端末ID「ID50」がID−機能情報に登録されていない場合には、SFL情報36のパブリック情報(印刷機能=NG、スキャン機能=NG)を参照して、S48でNOと判断する。
【0061】
S50では、送信部46は、NFCI/F22を介して、SFLに起因するNG理由を含むスキャンNG情報を携帯端末50に送信する。NG理由は、携帯端末50がスキャン機能を利用不可能であることを示す。S50が終了した場合には、
図3の通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。
【0062】
S52では、状態判断部41は、MFP10の状態が、スキャン可能状態(即ち非エラー状態)であるのか、スキャン不可能状態(即ちエラー状態)であるのか、を判断する。具体的に言うと、状態判断部41は、スキャン機能を実行するためのハードウェアの状態をチェックして、ハードウェアにトラブルがある場合に、MFP10の状態がスキャン不可能状態であると判断する(S52でNO)。例えば、スキャン実行部18内の自動原稿搬送装置において、原稿が詰まっている場合には、状態判断部41は、MFP10の状態がスキャン不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、スキャン実行部18内の自動原稿搬送装置である。また、例えば、メモリ34内の空き容量が極めて少ない場合、即ち、メモリ34内の空き容量が所定値未満である場合には、スキャンデータを処理することができないために、状態判断部41は、MFP10の状態がスキャン不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、メモリ34である。また、例えば、MFP10の筐体を構成する複数個の部材のうち、スキャン実行時に閉じられている必要があるカバー部材が開かれている場合(即ちカバーオープンの場合)には、状態判断部41は、MFP10の状態がスキャン不可能状態であると判断する。この場合、上記のハードウェアは、上記のカバー部材である。
【0063】
状態判断部41は、MFP10の状態がスキャン不可能状態であると判断する場合(S52でNO)には、S54に進む。一方において、状態判断部41は、ハードウェアの状態に問題がなければ、MFP10の状態がスキャン可能状態であると判断する(S52でYES)。このように、本実施例では、MFP10は、MFP10の状態が、非エラー状態であるのか、エラー状態であるのか、を適切に判断することができる。S52でYESの場合には、
図3の通常リクエスト処理は、「通常END」として終了する。
【0064】
S54では、送信部46は、MFP10が無線ネットワークに現在属しているのか否かを判断する。具体的には、送信部46は、WFDネットワークに現在属していることを示す情報と、通常Wi−Fiネットワークに現在属していることを示す情報と、のうちの少なくとも一方がメモリ34内に格納されている場合に、MFP10が無線ネットワークに現在属していると判断して(S54でYES)、S56に進む。一方において、送信部46は、WFDネットワークに現在属していることを示す情報と、通常Wi−Fiネットワークに現在属していることを示す情報と、のいずれもメモリ34内に格納されていない場合に、MFP10が無線ネットワークに現在属していないと判断して(S54でNO)、S60に進む。
【0065】
S56では、送信部46は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属しているのか否かを判断する。具体的には、送信部46は、まず、NFC情報を解析して、NFC情報が、SSID及びBSSIDを含むのか否かを判断する。NFC情報がSSID及びBSSIDを含まない場合には、携帯端末50が無線ネットワークに現在属していない。このために、送信部46は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していないと判断して(S56でNO)、S60に進む。
【0066】
NFC情報がSSID及びBSSIDを含む場合には、送信部46は、さらに、NFC情報内のSSID(即ち、携帯端末50が属している無線ネットワーク(通常Wi−Fiネットワーク又はWFDネットワーク)のSSID)と、メモリ34内の無線設定に含まれるSSID(即ち、MFP10が属している無線ネットワーク(通常Wi−Fiネットワーク又はWFDネットワーク)のSSID)と、が一致するのか否かを判断する。2つのSSIDが一致しない場合には、送信部46は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していないと判断して(S56でNO)、S60に進む。
【0067】
2つのSSIDが一致する場合には、送信部46は、さらに、NFC情報内のBSSID(即ち、携帯端末50が属している無線ネットワークのBSSID)と、メモリ34内の無線設定に含まれるBSSID(即ち、MFP10が属している無線ネットワークのBSSID)と、が一致するのか否かを判断する。2つのBSSIDが一致しない場合には、送信部46は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していないと判断して(S56でNO)、S60に進む。
【0068】
2つのBSSIDが一致する場合には、送信部46は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していると判断して(S56でYES)、S58に進む。上述したように、本実施例では、S56において、SSIDの一致判断と、BSSIDの一致判断と、の両方が実行される。例えば、1個のAPが、複数個のSSIDを利用することによって、複数個の無線ネットワークを構築する可能性がある。そのため、BSSIDが一致し、SSIDが一致しない場合には、MFP10と携帯端末50とが、同一のAPによって構築された異なる無線ネットワークに属している可能性がある。本実施例では、SSIDの一致判断と、BSSIDの一致判断と、の両方を実行することによって、MFP10と携帯端末50とが同一の無線ネットワークに属しているのか否かを、より適切に判断することができる。なお、変形例では、S56において、SSIDの一致判断を実行するが、BSSIDの一致判断を実行しなくてもよい。
【0069】
S58及びS60では、送信部46は、NFCI/F22を介して、NG理由を含むスキャンNG情報を携帯端末50に送信する。NG理由は、MFP10の状態がエラー状態である具体的な理由(例えば、原稿が詰まっている、メモリ34の空き容量が少ない、カバーオープン等)を示す。このように、本実施例では、MFP10は、MFP10の状態がスキャン不可能状態(即ちエラー状態)であること、及び、エラーの理由を、携帯端末50に適切に通知することができる。
【0070】
なお、S58で送信されるスキャンNG情報は、さらに、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していることを示す情報(以下では「NW一致情報」と呼ぶ)を含む。一方において、S60で送信されるスキャンNG情報は、さらに、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していないことを示す情報(以下では「NW不一致情報」と呼ぶ)を含む。S58及びS60が終了した場合には、
図3の通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。なお、
図3の通常リクエスト処理(
図2のS14)が終了する場合には、
図2のS18に進む。
【0071】
携帯端末50は、MFP10から印刷NG情報(
図3のS46参照)を受信すると、以下の各処理を実行する。携帯端末50は、まず、印刷NG情報を解析して、NG理由を特定する。例えば、NG理由が、携帯端末50が印刷機能を利用不可能であることを示す場合(
図3のS42でNOの場合)には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)をMFP10に送信せずに、ユーザが印刷機能を利用不可能であることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。また、例えば、NG理由が、メモリ34の空き容量が少ないことを示す場合には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報をMFP10に送信せずに、MFP10のメモリ34内の空き容量が不足していることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。
【0072】
一方において、NG理由が、他の理由(例えば、消耗品の残量がゼロ、印刷媒体の残量がゼロ、印刷媒体が詰まっている(紙ジャム)、カバーオープン等)を示す場合には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報と、印刷機能を示す情報と、端末ID「ID50」と、印刷データのデータサイズを示すサイズ情報と、を少なくとも含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)を生成して、当該NFC情報をMFP10に送信する。
【0073】
また、携帯端末50は、MFP10からスキャンNG情報(
図3のS50、S58、S60参照)を受信すると、以下の各処理を実行する。携帯端末50は、まず、スキャンNG情報を解析して、NG理由を特定する。例えば、NG理由が、携帯端末50がスキャン機能を利用不可能であることを示す場合(
図3のS50)には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)をMFP10に送信せずに、ユーザがスキャン機能を利用不可能であることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。また、例えば、NG理由が、メモリ34の空き容量が少ないことを示す場合には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報をMFP10に送信せずに、MFP10のメモリ34内の空き容量が不足していることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。
【0074】
一方において、NG理由が、他の理由(例えば、原稿が詰まっている、カバーオープン等)を示す場合には、携帯端末50は、さらに、スキャンNG情報を解析して、スキャンNG情報が、NW一致情報を含むのか(
図3のS58)、NW不一致情報を含むのか(
図3のS60)、を判断する。スキャンNG情報がNW不一致情報を含む場合には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)をMFP10に送信せずに、NG理由に起因するエラー状態であることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。一方において、スキャンNG情報がNW一致情報を含む場合には、携帯端末50は、再リクエストを示す情報を含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)を生成して、当該NFC情報をMFP10に送信する。
【0075】
上述したように、携帯端末50は、印刷NG情報又はスキャンNG情報の内容に応じて、2回目のNFC情報をMFP10に送信し得る。なお、印刷NG情報又はスキャンNG情報内のNG理由が、携帯端末50が印刷機能又はスキャン機能を利用不可能であることを示す場合、又は、メモリ34の空き容量が少ないことを示す場合には、MFP10は、携帯端末50からのリクエストに応じて、印刷機能又はスキャン機能を実行することができない。従って、このような場合には、携帯端末50は、2回目のNFC情報をMFP10に送信しない。これにより、MFP10は、2回目のNFC情報を受信せずに済むために、様々な処理(例えば、後述の再リクエスト処理、後述の変更処理等(
図2のS16、S20等))を実行せずに済む。従って、MFP10の処理負荷を低減することができる。
【0076】
なお、後で詳しく述べるが、後述の変更処理(
図2のS20参照)では、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していない場合には、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属している状態(以下では「NW一致状態」と呼ぶ)が一時的に形成され得る(
図5のS118参照)。そして、印刷機能では、通信処理(即ち印刷データの送信)が実行された後に、印刷処理が実行される。従って、MFP10が印刷不可能なエラー状態である場合に、後述の変更処理によって一時的なNW一致状態が形成されると、MFP10は、当該一時的なNW一致状態を利用して、通信処理(即ち印刷データの送信)を先に実行しておき、当該一時的なNW一致状態が解消された後(即ち
図2のS30でWFDI/FがOFFされた後)に、後述の印刷監視スレッドで印刷処理を実行することができる。一方において、スキャン機能では、スキャン処理が実行された後に、通信処理(即ちスキャンデータの送信)が実行される。従って、MFP10がスキャン不可能なエラー状態である場合には、MFP10は、エラー状態が解除されない限り、通信処理を実行することができない。このために、MFP10がスキャン不可能なエラー状態である場合には、仮に、後述の変更処理によって一時的なNW一致状態が形成されても、MFP10は、当該一時的なNW一致状態を利用して、通信処理を実行することができない。
【0077】
上記の実情に鑑みて、携帯端末50は、スキャンNG情報がNW一致情報を含む場合、即ち、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属しているために、後述の変更処理によって一時的なNW一致状態が形成される必要がない場合には、2回目のNFC情報をMFP10に送信する。ただし、携帯端末50は、スキャンNG情報がNW不一致情報を含む場合、即ち、後述の変更処理によって一時的なNW一致状態が形成される必要がある場合に、2回目のNFC情報をMFP10に送信しない。これにより、MFP10は、2回目のNFC情報を受信せずに済むために、様々な処理(例えば、後述の再リクエスト処理、後述の変更処理等(
図2のS16、S20等))を実行せずに済む。従って、MFP10の処理負荷を低減することができる。
【0078】
(再リクエスト処理;
図4)
図4を参照して、
図2のS16で実行される再リクエスト処理の内容を説明する。S70において、制御部30は、NFC情報(上記の2回目のNFC情報)を解析して、NFC情報が、印刷機能を示す情報を含むのか、スキャン機能を示す情報を含むのか、を判断する。NFC情報が、印刷機能を示す情報を含むと判断される場合には、S72に進む。NFC情報が、スキャン機能を示す情報を含むと判断される場合には、S76に進む。
【0079】
S72では、サイズ判断部47は、メモリ34内の空き容量が、印刷データのデータサイズ以上であるのか否かを判断する。上述したように、S70で印刷機能と判断される場合には、NFC情報は、印刷データのデータサイズを示すサイズ情報を含む。S72では、サイズ判断部47は、NFC情報を解析して、サイズ情報を特定する。次いで、サイズ判断部47は、メモリ34内の空き容量が、サイズ情報によって示される印刷データのデータサイズ以上であるのか否かを判断する。
【0080】
メモリ34内の空き容量が、印刷データのデータサイズ以上であると判断される場合(S72でYES)には、
図4の再リクエスト処理は、「通常END」として終了する。一方において、メモリ34内の空き容量が、印刷データのデータサイズ未満であると判断される場合(S72でNO)には、S74に進む。
【0081】
S74では、送信部46は、NFCI/F22を介して、NG理由を含む印刷NG情報を携帯端末50に送信する。NG理由は、メモリ34内の空き容量が、印刷データのデータサイズ未満であることを示す。S74が終了した場合には、
図4の再リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。なお、この場合、携帯端末50は、さらなるNFC情報をMFP10に送信せずに、MFP10のメモリ34内の空き容量が不足していることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。
【0082】
なお、S70でスキャン機能と判断される場合には、S76において、機能実行部43は、スキャン監視スレッドを起動する。後で詳しく説明するが、スキャン監視スレッドでは、MFP10の状態が、エラー状態から非エラー状態に変化する場合に、機能実行部43は、原稿のスキャンを実行してスキャンデータを生成するスキャン処理と、無線LANI/F20を介して、当該スキャンデータを携帯端末50に送信する通信処理と、を含むスキャン機能を実行する。
【0083】
図2のS14の通常リクエスト処理、又は、S16の再リクエスト処理が終了する場合には、S18において、変更部42は、S14又はS16の処理が「通常END」として終了したのか否かを判断する。変更部42は、S14又はS16の処理が「通常END」として終了した場合には、S18でYESと判断して、S20の変更処理を実行する。一方において、変更部42は、S14又はS16の処理が「エラーEND」として終了した場合には、S18でNOと判断して、S20の変更処理を実行せずに(さらには、S22以降の処理も実行せずに)、S10に戻る。
【0084】
(変更処理;
図5)
図5を参照して、
図2のS20で実行される変更処理の内容を説明する。変更処理は、MFP10が携帯端末50と通信を実行するためのインターフェイスを、NFCI/F22から無線LANI/F20に変更するための処理である。
【0085】
S100では、変更部42は、MFP10が無線ネットワークに現在属しているのか否かを判断する。S100は、
図3のS54と同様である。変更部42は、MFP10が無線ネットワークに現在属していると判断する場合(S100でYES)に、S102に進み、MFP10が無線ネットワークに現在属していないと判断する場合(S100でNO)に、S104に進む。
【0086】
S102では、変更部42は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属しているのか否かを判断する。S102は、
図3のS56と同様である。変更部42は、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していると判断する場合(S102でYES)に、S120に進み、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属していないと判断する場合(S102でNO)に、S104に進む。
【0087】
図3のS56で述べたように、S104では、変更部42は、携帯端末50が現在属している無線ネットワークのSSID及びBSSIDを用いて、判断を実行する。従って、変更部42は、NFC情報に含まれるSSID及びBSSIDを用いて、変更処理を適切に実行することができる。
【0088】
S120では、変更部42は、NFCI/F22を介して、設定変更不要を示す情報を携帯端末50に送信する。これにより、携帯端末50は、携帯端末50の現在の無線設定を変更する必要がないこと、即ち、携帯端末50が現在属している無線ネットワーク(通常Wi−Fiネットワーク、又は、WFDネットワーク)を利用し続ければよいこと、を知ることができる。
【0089】
なお、
図4のS76を経て実行される変更処理では、変更部42は、S100及びS102でYESと判断して、S120を必ず実行する。
図4のS76は、
図3のS54及びS56でYESと判断された場合(即ち、MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属している場合)にのみ実行されるからである。S120が終了する場合には、
図5の変更処理は、「通常END」として終了する。
【0090】
S104では、変更部42は、メモリ34内のWFDI/F設定が、ONであるのか、OFFであるのか、を判断する。変更部42は、WFDI/F設定がONである場合(S104でYES)に、S106に進み、WFDI/F設定がOFFである場合(S104でNO)に、S108に進む。
【0091】
S108では、変更部42は、MFP10のユーザから指示を受けずに、メモリ34内のWFDI/F設定を、OFFからONに変更する。これにより、制御部30は、WFD方式に従った各処理(後述のS114〜S118の処理等)を実行することができるようになる。S108が終了すると、S114に進む。
【0092】
なお、S106が実行される段階では、WFDI/F設定がONであるために、MFP10は、WFD方式の3つの状態(G/O状態、クライアント状態、及び、デバイス状態)のうちのいずれか1つの状態で動作している。従って、メモリ34は、WFD方式に関するMFP10の状態(G/O状態、クライアント状態、又は、デバイス状態)を示す値(以下では「状態値」と呼ぶ)を格納している。
【0093】
S106では、変更部42は、MFP10がクライアント状態として動作しているのか否かを判断する。具体的に言うと、変更部42は、メモリ34内の状態値が、クライアント状態を示す値であるのか否かを判断する。変更部42は、状態値が、クライアント状態を示す値である場合(S106でYES)に、変更処理を継続して実行せずに、変更処理を「エラーEND」として終了する。一方において、変更部42は、状態値が、G/O状態又はデバイス状態を示す値である場合(S106でNO)に、S110に進む(即ち、変更処理を継続して実行する)。
【0094】
S110では、変更部42は、MFP10がG/O状態として動作しているのか否かを判断する。具体的に言うと、変更部42は、メモリ34内の状態値が、G/O状態を示す値であるのか否かを判断する。変更部42は、状態値が、G/O状態を示す値である場合(S110でYES)に、S112に進み、状態値が、デバイス状態を示す値である場合(S110でNO)に、S114に進む。
【0095】
S112では、変更部42は、MFP10がG/O状態として動作しているWFDネットワークに含まれるMFP10以外の機器の個数が、予め決められている最大クライアント数未満であるのか否かを判断する。具体的に言うと、変更部42は、メモリ34内の管理リストに登録されている機器(即ちクライアント状態の機器)の識別情報の個数が、最大クライアント数以上である場合に、S112でNOと判断して、変更処理を継続して実行せずに、変更処理を「エラーEND」として終了する。一方において、変更部42は、上記の個数が、最大クライアント数未満である場合に、S112でYESと判断して、S116に進む(即ち、変更処理を継続して実行する)。
【0096】
S114では、変更部42は、MFP10を自発G/Oモードに設定する。自発G/Oモードは、G/O状態で動作することをMFP10に維持させるモードである。従って、S114の段階ではWFD接続が確立されていないが、MFP10は、G/O状態に設定されている(即ち、メモリ34内の状態値は、G/O状態を示す値である)。MFP10がG/O状態に設定される場合には、変更部42は、WFDネットワークで利用されるべき無線設定(SSID、BSSID、認証方式、暗号化方式、パスワード等)を準備する。なお、認証方式及び暗号化方式は、予め決められている。また、変更部42は、パスワードを生成する。なお、SSIDは、変更部42によって生成されてもよいし、予め決められていてもよい。BSSIDは、MFP10のWFD用MACアドレスである。変更部42は、S114で生成された無線設定を、メモリ34に記憶させる。なお、この段階では、メモリ34内の管理リストには、クライアント状態の機器の識別情報が記述されていない。
【0097】
次いで、S116では、変更部42は、NFCI/F22を介して、メモリ34内の無線設定を携帯端末50に送信する。なお、S114を経て実行されるS116では、上記のメモリ34内の無線設定は、S114で生成された無線設定である。また、S112でYESを経て実行されるS116では、上記のメモリ34内の無線設定は、MFP10がG/O状態として動作することが過去に決定された際に生成された無線設定である。これにより、携帯端末50は、MFP10と同じ無線設定を利用することができる。
【0098】
次いで、S118では、変更部42は、携帯端末50とのWFD接続を確立する。具体的に言うと、変更部42は、無線LANI/F20を介して、特定の無線通信を携帯端末50と実行する。上記の特定の無線通信は、Authentication Request、Authentication Response、Association Request、Association Response、及び、4way handshakeを含む。上記の特定の無線通信の過程で、SSIDの認証、認証方式及び暗号化方式の認証、パスワードの認証等の様々な認証処理が実行される。全ての認証が成功した場合に、MFP10と携帯端末50との間にWFD接続が確立される。
【0099】
なお、仮に、MFP10と携帯端末50との両方がデバイス状態である場合には、MFP10と携帯端末50との間にWFD接続が確立される際に、MFP10と携帯端末50との一方をG/Oとして決定すると共に、MFP10と携帯端末50との他方をクライアントとして決定するためのG/Oネゴシエーションが実行される。ただし、S118が実行される段階では、MFP10がG/O状態であることが確定しているために、変更部42は、G/Oネゴシエーションを実行せずに、携帯端末50とのWFD接続を確立する。
【0100】
MFP10と携帯端末50との間にWFD接続が確立されると、変更部42は、さらに、携帯端末50のMACアドレスを管理リストに追加する。なお、変更部42は、S118の上記の特定の無線通信の過程で、携帯端末50のMACアドレスを取得する。MFP10と携帯端末50との間にWFD接続が確立されると、G/O状態のMFP10は、クライアント状態の携帯端末50との間で、目的データ(印刷データ、スキャンデータ等)の通信を実行することができるようになる。なお、目的データは、OSI参照モデルの物理層よりも上位層であるネットワーク層のデータを含む。従って、G/O状態のMFP10は、クライアント状態の携帯端末50との間で、ネットワーク層の無線通信を実行することができる。S118が終了する場合には、
図5の変更処理は、「通常END」として終了する。
【0101】
(
図2のMFP処理の続き)
図2のS20の変更処理(
図5)が終了する場合には、S22において、送信部46は、S20の変更処理が「通常END」として終了したのか否かを判断する。送信部46は、S20の変更処理が「通常END」として終了した場合には、S22でYESと判断して、S26に進む。一方において、送信部46は、S20の変更処理が「エラーEND」として終了した場合には、S22でNOと判断して、S24に進む。
【0102】
S24では、送信部46は、NFCI/F22を介して、通信NG情報を携帯端末50に送信する。通信NG情報は、目的データの無線通信を実行不可能であることを示すNG理由を含む。なお、携帯端末50は、通信NG情報を受信する場合に、再リクエストを示す情報を含むNFC情報(上記の2回目のNFC情報)をMFP10に送信せずに、目的データの無線通信を実行不可能であることを示す画面を、携帯端末50の表示部に表示させる。
【0103】
次いで、S26では、機能実行部43は、通信処理を含む機能実行処理を実行する。S10で受信されたNFC情報が、印刷機能を示す情報を含む場合には、S26において、機能実行部43は、まず、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、印刷データを受信するための通信処理を実行する。次いで、機能実行部43は、印刷データに従った印刷処理を実行する。即ち、機能実行部43は、印刷データに対する各種処理(色変換処理、ハーフトーン処理等)を実行して、処理済みデータを生成し、次いで、処理済みデータを印刷実行部16に供給する。これにより、印刷実行部16は、処理済みデータに従って、印刷媒体に画像を印刷する。
【0104】
また、S10で受信されたNFC情報が、スキャン機能を示す情報を含む場合には、S26において、機能実行部43は、まず、スキャン処理を実行する。即ち、機能実行部43は、スキャン実行部18にセットされた原稿のスキャンを、スキャン実行部18に実行させる。機能実行部43は、スキャンによって得られる原画像データを取得して、原画像データに対する各種処理(補正処理等)を実行して、スキャンデータを生成する。次いで、機能実行部43は、無線LANI/F20を介して、スキャンデータを携帯端末50に送信するための通信処理を実行する。
【0105】
なお、
図4のS72でYESを経て実行されるS26では、機能実行部43は、印刷データを受信するための通信処理を実行して、印刷データをメモリ34に格納させるが、印刷処理を実行しない。この場合、機能実行部43は、印刷監視スレッドを起動する。また、
図4のS76が実行された場合(即ち、スキャン監視スレッドが起動された場合)には、機能実行部43は、S26の処理をスキップする。
【0106】
次いで、S28では、変更部42は、S20の変更処理において、
図5のS108の処理(WFDI/F設定をOFFからONに変更する処理)が実行されたのか否かを判断する。変更部42は、S108の処理が実行された場合(S28でYES)に、S30において、WFDI/F設定をONからOFFに変更する。これにより、変更部42は、ユーザの指示を受けずに、WFDI/F設定をONに変更した場合に、変更前のWFDI/F設定(即ちOFF)に戻すことができる。この場合、
図5のS118で確立されたWFD接続が切断され、WFDネットワークが消滅する。
【0107】
なお、変更部42は、S108の処理が実行されなかった場合(S28でNO)に、S30をスキップする。S28でNOの場合、又は、S30が終了した場合には、S10に戻る。
【0108】
(印刷監視スレッド)
上述したように、
図2のS26において、印刷監視スレッドが起動され得る。印刷監視スレッドでは、機能実行部43は、MFP10の状態が、印刷不可能状態から印刷可能状態に変化することを監視する。機能実行部43は、MFP10のユーザが、MFP10が印刷不可能状態になった原因を取り除いた場合(例えば、カバー部材を閉じた場合、印刷媒体の搬送路に詰まっている印刷媒体が除去された場合、消耗品又は印刷媒体が補充された場合等)に、MFP10の状態が印刷可能状態に変化したと判断する。機能実行部43は、MFP10の状態が印刷可能状態に変化したと判断する場合に、メモリ34内の印刷データに従った印刷処理を実行する。
【0109】
(スキャン監視スレッド)
上述したように、
図4のS76において、スキャン監視スレッドが起動され得る。スキャン監視スレッドでは、機能実行部43は、MFP10の状態が、スキャン不可能状態からスキャン可能状態に変化することを監視する。機能実行部43は、MFP10のユーザが、MFP10がスキャン不可能状態になった原因を取り除いた場合(例えば、カバー部材が閉じられた場合、自動原稿搬送装置に詰まっている原稿が除去された場合等)に、MFP10の状態がスキャン可能状態に変化したと判断する。機能実行部43は、MFP10の状態がスキャン可能状態に変化したと判断する場合に、スキャンデータを生成するためのスキャン処理を実行する。次いで、機能実行部43は、無線LANI/F20を介して、スキャンデータを携帯端末50に送信するための通信処理を実行する。
【0110】
続いて、
図6〜
図13を参照して、MFP10及び携帯端末50によって実現される具体的なケースを説明する。
図6〜
図13の各ケースは、MFP10が
図2〜
図5の各処理を実行することによって実現される。
【0111】
(ケースA;
図6)
ケースAでは、MFP10の状態が非エラー状態(即ち、印刷可能状態及びスキャン可能状態)であり、かつ、SFL情報36において、端末ID「ID50」に印刷機能「OK」及びスキャン機能「OK」が対応付けられている。
【0112】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。NFC情報は、通常リクエストを示す情報を含む。例えば、NFC情報が、印刷機能を示す情報を含む場合(以下では「印刷のケース」と呼ぶ)には、MFP10は、
図3のS42でYESと判断し、S44でYESと判断する。また、例えば、NFC情報が、スキャン機能を示す情報を含む場合(以下では「スキャンのケース」と呼ぶ)には、MFP10は、
図3のS48でYESと判断し、S52でYESと判断する。印刷のケースでもスキャンのケースでも、通常リクエスト処理は、「通常END」として終了する。
【0113】
次いで、MFP10は、
図2のS20の変更処理を実行する。これにより、MFP10と携帯端末50との間で、通信に利用されるべきインターフェイスを、NFCI/Fから無線LANI/Fに変更するための通信(
図5のS116〜S120;以下では「I/F変更のための通信」と呼ぶ)が実行される。なお、I/F変更のための通信では、NFCI/F22を介した通信が実行されることもあるし(
図5のS116、S120)、無線LANI/F20を介した通信が実行されることもある(
図5のS118)。このために、
図6の変更処理の左側には、「NFC」と「無線LAN」の両方が記述されている。
【0114】
印刷のケースでは、MFP10は、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、印刷データを受信するための通信処理を実行し(S26)、次いで、印刷データに従った印刷処理を実行する(S26)。これにより、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、印刷機能を実行することができる。
【0115】
また、スキャンのケースでは、MFP10は、スキャンデータを生成するためのスキャン処理を実行し(S26)、次いで、無線LANI/F20を介して、携帯端末50にスキャンデータを送信する通信処理を実行する(S26)。これにより、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、スキャン機能を実行することができる。
【0116】
(ケースX1;
図7)
図7〜
図10のケースX1〜X4は、IF変更のための通信の一例を示す。ケースX1では、MFP10及び携帯端末50が、NFC情報の通信が実行される際に、既に、同一の無線ネットワーク(WFDネットワーク又は通常Wi−Fiネットワーク)に属している。
【0117】
MFP10は、
図5のS100でYESと判断し、S102でYESと判断する。このために、S120において、MFP10は、NFCI/F22を介して、設定変更不要を示す情報を携帯端末50に送信する。この場合、MFP10は、既存の無線ネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50と目的データ(印刷データ又はスキャンデータ)の通信を実行する(
図2のS26)。
【0118】
(ケースX2;
図8)
ケースX2では、MFP10及びPC8がWFDネットワークを構築しており、かつ、MFP10がG/O状態で動作している。なお、携帯端末50は、上記のWFDネットワークに属していない。
【0119】
MFP10は、
図5のS100でYESと判断し、S102でNOと判断し、S104でYESと判断し、S106でNOと判断し、S110でYESと判断し、S112でYESと判断する。このために、S116において、MFP10は、携帯端末50が上記のWFDネットワークに参加するための無線設定(即ち、MFP10がG/Oになる際に生成した無線設定)を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。次いで、S118において、MFP10は、無線LANI/F20を介して、携帯端末50とWFD接続を確立する。
【0120】
これにより、携帯端末50は、MFP10及びPC8が属している上記のWFDネットワークに新たに参加することができる。この場合、MFP10は、上記のWFDネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50と目的データ(印刷データ又はスキャンデータ)の通信を実行する(
図2のS26)。
【0121】
(ケースX3;
図9)
ケースX3では、MFP10が無線ネットワークに属しておらず、かつ、MFP10がデバイス状態で動作している(即ち、WFDI/F設定がONである)。なお、携帯端末50も、無線ネットワークに属していない。
【0122】
MFP10は、
図5のS100でNOと判断し、S104でYESと判断し、S106でNOと判断し、S110でNOと判断する。このために、S114において、MFP10は、自発G/Oモードに設定される。この際に、MFP10は、新たに構築されるWFDネットワークで利用されるべき無線設定を生成する。次いで、S116において、MFP10は、携帯端末50がWFDネットワークに参加するための無線設定(即ち、S114でMFP10が生成した無線設定)を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。次いで、S118において、MFP10は、無線LANI/F20を介して、携帯端末50とWFD接続を確立する。
【0123】
これにより、MFP10と携帯端末50とを含む新たなWFDネットワークが構築される。この場合、MFP10は、上記のWFDネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50と目的データ(印刷データ又はスキャンデータ)の通信を実行する(
図2のS26)。
【0124】
(ケースX4;
図10)
ケースX4では、MFP10が無線ネットワークに属しておらず、かつ、MFP10のWFDI/F設定がOFFである。なお、携帯端末50も、無線ネットワークに属していない。
【0125】
MFP10は、
図5のS100でNOと判断し、S104でNOと判断する。このために、S108において、MFP10は、WFDI/F設定をOFFからONに変更する。次いで、S114において、MFP10は、自発G/Oモードに設定される。この際に、MFP10は、新たに構築されるWFDネットワークで利用されるべき無線設定を生成する。次いで、S116において、MFP10は、携帯端末50がWFDネットワークに参加するための無線設定(即ち、S114でMFP10が生成した無線設定)を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。次いで、S118において、MFP10は、無線LANI/F20を介して、携帯端末50とWFD接続を確立する。
【0126】
これにより、MFP10と携帯端末50とを含む新たなWFDネットワークが構築される。この場合、MFP10は、上記のWFDネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50と目的データ(印刷データ又はスキャンデータ)の通信を実行する(
図2のS26)。
【0127】
次いで、MFP10は、
図2のS28でYESと判断し、S30において、WFDI/F設定をONからOFFに変更する。これにより、上記のWFDネットワークが消滅する。G/Oが存在しなくなるからである。即ち、上記のWFDネットワークは、
図2のS26の通信処理のために一時的に構築される無線ネットワークである。
【0128】
(ケースB;
図11)
ケースBでは、MFP10の状態が非エラー状態(即ち、印刷可能状態及びスキャン可能状態)であり、かつ、SFL情報36において、端末ID「ID50」に印刷機能「OK」が対応付けられており、端末ID「ID50」にスキャン機能「NG」が対応付けられている。
【0129】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。NFC情報は、通常リクエストを示す情報と、印刷機能を示す情報と、を含む。この場合、
図6のケースAと同様に、MFP10は、変更処理を実行し(
図2のS20)、印刷データを受信するための通信処理を実行し(S26)、次いで、印刷データに従った印刷処理を実行する(S26)。これにより、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、印刷機能を実行することができる。
【0130】
次いで、MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。NFC情報は、通常リクエストを示す情報と、スキャン機能を示す情報と、を含む。この場合、MFP10は、
図3のS48でNOと判断し、S50において、NFCI/F22を介して、スキャンNG情報を携帯端末50に送信する。
【0131】
従って、通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でNOと判断し、S20の変更処理を実行しない。また、携帯端末50は、SFLに起因するNG理由を含むスキャンNG情報を受信するために、再リクエストを示す情報を含むNFC情報をMFP10に送信しない。
【0132】
(ケースC;
図12)
ケースCでは、MFP10の状態がエラー状態(即ち、カバーオープンに起因する印刷不可能状態)であり、かつ、SFL情報36において、端末ID「ID50」に印刷機能「OK」が対応付けられている。
【0133】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。NFC情報は、通常リクエストを示す情報と、印刷機能を示す情報と、を含む。MFP10は、
図3のS42でYESと判断し、S44でNOと判断する。この場合、S46において、MFP10は、カバーオープンを示すNG理由を含む印刷NG情報を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。
【0134】
従って、通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でNOと判断し、S20の変更処理を実行しない。一方において、携帯端末50は、MFP10から印刷NG情報を受信すると、再リクエストを示す情報と、印刷機能を示す情報と、印刷データのデータサイズを示すサイズ情報と、を少なくとも含むNFC情報を、MFP10に送信する。
【0135】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。メモリ34の空き容量が、印刷データのデータサイズ以上である場合である場合には、MFP10は、
図4のS72でYESと判断する。
【0136】
従って、再リクエスト処理は、「通常END」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でYESと判断し、S20の変更処理を実行し、印刷データを受信するための通信処理を実行する(S26)。MFP10は、印刷データをメモリ34に格納して、印刷監視スレッドを起動する(S26)。MFP10の状態が、印刷不可能状態から印刷可能状態に変化する場合に、印刷監視スレッドにおいて、MFP10は、印刷データに従った印刷処理を実行する。これにより、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、印刷機能を実行することができる。
【0137】
一方において、メモリ34の空き容量が、印刷データのデータサイズ未満である場合である場合には、MFP10は、
図4のS72でNOと判断する。この場合、S74において、MFP10は、メモリ34の空き容量不足を示すNG理由を含む印刷NG情報を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。
【0138】
従って、再リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でNOと判断し、S20の変更処理を実行しない。また、携帯端末50は、メモリ34の空き容量不足を示すNG理由を含む印刷NG情報を受信するために、再リクエストを示す情報を含むNFC情報をMFP10に送信しない。
【0139】
(ケースD;
図13)
ケースDでは、MFP10の状態がエラー状態(即ち、カバーオープンに起因するスキャン不可能状態)であり、かつ、SFL情報36において、端末ID「ID50」にスキャン機能「OK」が対応付けられている。なお、MFP10及び携帯端末50は、WFD又は通常Wi−Fiの同一の無線ネットワークに属している。
【0140】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。NFC情報は、通常リクエストを示す情報と、スキャン機能を示す情報と、を含む。MFP10は、
図3のS48でYESと判断し、S52でNOと判断する。MFP10及び携帯端末50は、NFC情報の通信が実行される際に、既に、同一の無線ネットワークに属している。従って、MFP10は、S54でYESと判断し、S56でYESと判断する。この場合、S58において、MFP10は、カバーオープンを示すNG理由と、NW一致情報と、を含むスキャンNG情報を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信する。
【0141】
従って、通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でNOと判断し、S20の変更処理を実行しない。一方において、携帯端末50は、MFP10からスキャンNG情報を受信すると、再リクエストを示す情報と、スキャン機能を示す情報と、を少なくとも含むNFC情報を、MFP10に送信する。
【0142】
MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報を受信する(
図2のS10でYES)。この場合、
図4のS76において、MFP10は、スキャン監視スレッドを起動する。
【0143】
従って、再リクエスト処理は、「通常END」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でYESと判断し、S20の変更処理を実行する。ただし、S20の変更処理では、MFP10は、
図5のS102でYESと判断する。MFP10及び携帯端末50が同一の無線ネットワークに属しているからである。このために、S120において、MFP10は、NFCI/F22を介して、設定変更不要を示す情報を携帯端末50に送信する。なお、この場合、MFP10は、
図2のS26の処理をスキップする。
【0144】
MFP10の状態が、スキャン不可能状態からスキャン可能状態に変化する場合に、スキャン監視スレッドにおいて、MFP10は、スキャン処理を実行し、次いで、スキャンデータを送信するための通信処理を実行する。これにより、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、スキャン機能を実行することができる。
【0145】
なお、具体的なケースとして図示していないが、携帯端末50からMFP10に送信されるNFC情報に含まれる端末ID「ID50」が、SFL情報36(即ちID−機能情報)内に登録されていない場合には、MFP10は、
図3のS42又はS48でNOと判断して、SFLに起因するNG理由を含む印刷NG情報又はスキャンNG情報を携帯端末50に送信する。この場合、通常リクエスト処理は、「エラーEND」として終了する。これにより、MFP10は、
図2のS18でNOと判断し、S20の変更処理を実行しない。また、携帯端末50は、SFLに起因するNG理由を含む印刷NG情報又はスキャンNG情報を受信するために、再リクエストを示す情報を含むNFC情報をMFP10に送信しない。
【0146】
(本実施例の効果)
上述したように、MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報が受信される場合に、MFP10の状態が、非エラー状態であるのか、エラー状態であるのか、を判断する(
図3のS44、S52)。
図6のケースAに示されるように、MFP10は、MFP10の状態が非エラー状態であると判断される場合に、
図2のS20の変更処理を実行して、無線LANI/F20を介して、目的データ(印刷データ又はスキャンデータ)を携帯端末50と適切に実行することができる。この結果、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、印刷機能又はスキャン機能を適切に実行することができる。一方において、
図12,13のケースC,Dに示されるように、MFP10は、MFP10の状態がエラー状態であると判断される場合に、
図2のS20の変更処理を実行しない。これにより、MFP10の状態がエラー状態であるにも関わらず、変更処理が実行されるという事象が発生するのを抑制することができる。これにより、MFP10の処理負荷を低減させることができる。このように、MFP10は、MFP10の状態に関する判断結果に応じて、適切な動作を実行することができる。
【0147】
また、MFP10は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFC情報が受信される場合に、携帯端末50が機能を利用可能であるのか否かを判断する(
図3のS42、S48)。
図11のケースBに示されるように、NFC情報が印刷機能を示す情報を含み、かつ、携帯端末50が印刷機能を利用可能であると判断される場合(
図3のS42でYES)に、MFP10は、
図2のS20の変更処理を実行して、無線LANI/F20を介して、印刷データを携帯端末50と適切に実行することができる。この結果、MFP10は、携帯端末50からの指示に従って、印刷機能を適切に実行することができる。一方において、NFC情報がスキャン機能を示す情報を含み、かつ、携帯端末50がスキャン機能を利用不可能であると判断される場合(
図3のS48でNO)に、MFP10は、
図2のS20の変更処理を実行しない。これにより、携帯端末50がスキャン機能を利用不可能であるにも関わらず、変更処理が実行されるという事象が発生するのを抑制することができる。これにより、MFP10の処理負荷を低減させることができる。このように、MFP10は、携帯端末50による機能の利用に関する判断結果に応じて、適切な動作を実行することができる。
【0148】
(対応関係)
MFP10が、「機能実行装置」の一例である。NFCI/F22、無線LANI/F20が、それぞれ、「第1種のインターフェイス」、「第2種のインターフェイス」の一例である。また、
図11のケースBでは、「印刷機能」、「スキャン機能」が、それぞれ、「第1の機能」、「第2の機能」の一例である。通常リクエストを示す情報を含むNFC情報が、「第1の情報」の一例である。このNFC情報に含まれるSSID及びBSSIDが、「関係情報」の一例である。また、再リクエストを示す情報と印刷機能を示す情報とを含むNFC情報、再リクエストを示す情報とスキャン機能を示す情報とを含むNFC情報が、それぞれ、「第2の情報」、「第3の情報」の一例である。また、SFL情報36(即ちID−機能情報とパブリック情報)が、「許可情報」の一例である。印刷NG情報及びスキャンNG情報が、「不可能情報」の一例である。G/O状態、クライアント状態が、それぞれ、「親局状態」、「子局状態」の一例である。
図5のS112が、「機器数判断処理」の一例である。
【0149】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0150】
(変形例1)「機能実行装置」は、印刷機能及びスキャン機能を実行可能な多機能機に限られず、印刷機能及びスキャン機能のうちの印刷機能のみを実行可能なプリンタであってもよいし、印刷機能及びスキャン機能のうちのスキャン機能のみを実行可能なスキャナであってもよい。また、「機能実行装置」は、印刷機能及びスキャン機能とは異なる機能(例えば、画像の表示機能、データの演算機能)を実行する装置(例えば、PC、サーバ、携帯電話、スマートフォン等)であってもよい。
【0151】
(変形例2)「特定の機能」は、
図6のケースAのように、「印刷機能」又は「スキャン機能」であってもよいし、印刷機能及びスキャン機能とは異なる機能であってもよい。例えば、上記の異なる機能が画像の表示機能である場合には、上記の画像を表わす画像データが、「目的データ」の一例である。また、例えば、上記の異なる機能がデータの演算機能である場合には、演算対象の上記のデータが、「目的データ」の一例である。
【0152】
(変形例3)「第1種のインターフェイス」と「第2種のインターフェイス」との組合せは、NFCI/Fと無線LANI/Fとの組合せに限られない。例えば、「第2種のインターフェイス」として無線LANI/Fが採用される場合に、「第1種のインターフェイス」は、赤外線通信を実行するためのインターフェイスであってもよいし、Bluetooth(登録商標)を実行するためのインターフェイスであってもよいし、Transfer Jetを実行するためのインターフェイスであってもよい。また、「第1種のインターフェイス」としてNFCI/Fが採用される場合に、「第2種のインターフェイス」は、有線通信を実行するためのインターフェイスであってもよいし、Bluetooth(登録商標)を実行するためのインターフェイスであってもよい。一般的に言うと、第2種のインターフェイスを介した通信の通信速度が、第1種のインターフェイスを介した通信の通信速度よりも速ければよい。
【0153】
(変形例4)「第1種のインターフェイス」と「第2種のインターフェイス」とは、上記の実施例のように、物理的に2個のインターフェイス(即ち別体の2個のICチップ)であってもよいし、物理的に1個のインターフェイス(即ち1個のICチップで2種類の通信が実現される)であってもよい。
【0154】
(変形例5)「変更処理」は、
図5の各処理に限られず、携帯端末と通信するためのインターフェイスを、第1種のインターフェイスから第2種のインターフェイスに変更するためのあらゆる処理を含む。例えば、以下の各処理を例示することができる。
【0155】
(変形例5−1)例えば、
図5のS106でYESの場合(即ち、MFP10がクライアント状態である場合)に、変更部42は、MFP10の状態を、クライアント状態からデバイス状態に変更させ(即ち、WFDネットワークからMFP10を離脱させ)、次いで、S114(自発G/Oモード)に進んでもよい(「変更処理」の一例)。
【0156】
(変形例5−2)例えば、
図5のS106でYESの場合(即ち、MFP10がクライアント状態である場合)に、変更部42は、MFP10が現在属しているWFDネットワークで利用されている無線設定(即ち、MFP10とは異なるG/O機器によって生成された無線設定)を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信してもよい(「変更処理」の一例)。これにより、携帯端末50は、上記のG/O機器とWFD接続を確立することができる(即ち、上記のWFDネットワークに参加することができる)。従って、機能実行部43は、上記のG/O機器を介して、目的データの通信処理を携帯端末50と実行することができる。
【0157】
(変形例5−3)例えば、
図5のS100でYESの場合(即ち、MFP10が無線ネットワークに現在属している場合)であり、かつ、MFP10が属している無線ネットワークが、AP6によって構成されている通常Wi−Fiネットワークである場合に、変更部42は、当該通常Wi−Fiネットワークで利用されている無線設定(即ち、AP6によって生成された無線設定)を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信してもよい(「変更処理」の一例)。これにより、携帯端末50は、AP6と通常Wi−Fi接続を確立することができる(即ち、上記の通常Wi−Fiネットワークに参加することができる)。従って、機能実行部43は、AP6を介して、目的データの通信処理を携帯端末50と実行することができる。
【0158】
(変形例5−4)例えば、NFC情報は、携帯端末50が現在属している無線ネットワーク(WFDネットワーク又は通常Wi−Fiネットワーク)で利用されている無線設定を含んでいてもよい。例えば、
図5のS100でNOの場合(即ち、MFP10が無線ネットワークに現在属していない場合)、又は、S102でNOの場合(即ち、MFP10及び携帯端末50が同一ネットワークに属していない場合)に、変更部42は、NFC情報内の無線設定を用いて、携帯端末50が現在属している無線ネットワークに新たに参加してもよい(「変更処理」の一例)。この場合、機能実行部43は、新たに参加した無線ネットワークを利用して、目的データの通信処理を携帯端末50と実行することができる。
【0159】
(変形例5−5)例えば、NFC情報は、携帯端末50が現在属している有線ネットワークで利用されている携帯端末50のIPアドレスを含んでいてもよい。例えば、「第2種のインターフェイス」として、有線通信を実行するためのインターフェイスが採用されている場合に、変更部42は、有線通信を実行することを示す情報を、NFCI/F22を介して、携帯端末50に送信してもよい。この場合、機能実行部43は、有線ネットワークを介して、目的データの通信処理を携帯端末50と実行することができる。
【0160】
(変形例6)
図3の通常リクエスト処理は、S40で「印刷機能」と判断された後に、S42をスキップして、S44に進むように構成されていてもよい。また、
図3の通常リクエスト処理は、S40で「スキャン機能」と判断された後に、S48及びS50をスキップして、S52に進むように構成されていてもよい。即ち、制御部30は、状態判断部41を備えるが、利用判断部45を備えていなくてもよい。
【0161】
(変形例7)
図3の通常リクエスト処理は、S42でYESの場合に、S44をスキップして、「通常END」に進むように構成されていてもよい。また、S48でYESの場合に、S52〜S60をスキップして、「通常END」に進むように構成されていてもよい。即ち、制御部30は、利用判断部45を備えるが、状態判断部41を備えていなくてもよい。
【0162】
(変形例8)「許可情報」は、SFL情報36に限られず、携帯端末が特定の機能を利用可能であるのか否かを示すあらゆる情報を含む。例えば、以下の各情報を例示することができる。
【0163】
(変形例8−1)メモリ34は、ユーザIDと、印刷機能が「OK」であるのか「NG」であるのかを示す情報と、スキャン機能が「OK」であるのか「NG」であるのかを示す情報と、が対応付けられているユーザ−機能情報を格納していてもよい。NFC情報は、携帯端末50の端末IDの代わりに、携帯端末50のユーザのユーザIDを含んでいてもよい。利用判断部45は、NFC情報内のユーザIDと、ユーザ−機能情報と、を用いて、携帯端末50のユーザが、特定の機能を利用可能であるのか否かを判断してもよい。本変形例では、ユーザ−機能情報が、「許可情報」の一例である。
【0164】
(変形例8−2)メモリ34は、上記のユーザ−機能情報と、端末−ユーザ情報と、を格納していてもよい。端末−ユーザ情報は、端末IDと、ユーザIDと、が対応付けられている情報であってもよい。NFC情報は、携帯端末50の端末IDを含んでいてもよい。利用判断部45は、NFC情報内の端末IDと、端末−ユーザ情報と、を用いて、ユーザIDを特定し、次いで、特定済みのユーザIDと、ユーザ−機能情報と、を用いて、携帯端末50のユーザが、特定の機能を利用可能であるのか否かを判断してもよい。本変形例では、ユーザ−機能情報と端末−ユーザ情報との組合せが、「許可情報」の一例である。
【0165】
(変形例8−3)メモリ34は、端末IDと、機能のOK又はNGと、が対応付けられているSFL情報36を格納していなくてもよい。ユーザは、操作部12を操作して、MFP10のSFL機能が、有効であるのか、無効であるのか、を指定可能であってもよい。そして、メモリ34は、SFL機能=有効が指定された場合に、有効情報を格納し、SFL機能=無効が指定された場合に、無効情報を格納してもよい。この場合、利用判断部45は、携帯端末50から端末IDを受信しても受信しなくても、メモリ34に無効情報が格納されている場合に、携帯端末50が全ての機能(即ち、印刷機能、スキャン機能)を利用可能であると判断し、メモリ34に有効情報が格納されている場合に、携帯端末50がいずれの機能も利用不可能であると判断してもよい。本変形例では、有効情報、無効情報が、「許可情報」の一例である。
【0166】
(変形例9)上記の実施例では、受信部40は、1回のNFC方式の無線通信を携帯端末50と実行することによって、機能(印刷機能又はスキャン機能)を示す情報と、携帯端末50が現在属している無線ネットワークに関係する関係情報(SSID、BSSID)と、を含むNFC情報を受信する。これに代えて、受信部40は、NFC方式の無線通信を携帯端末50と実行することによって、機能を示す情報を含むNFC情報を受信し、その後、NFC方式の無線通信を携帯端末50と再び実行することによって、関係情報を含むNFC情報を受信してもよい。即ち、「機能の実行要求」と「関係情報」とを含む「第1の情報」は、上記の実施例のように、1回のNFC方式の無線通信で受信される情報であってもよいし、本変形例のように、複数回のNFC方式の無線通信で受信される情報であってもよい。
【0167】
(変形例10)上記の実施例では、受信部40は、1回のNFC方式の無線通信を携帯端末50と実行することによって、再リクエストを示す情報と、印刷データのデータサイズを示すサイズ情報と、を含むNFC情報を受信する。これに代えて、受信部40は、NFC方式の無線通信を携帯端末50と実行することによって、再リクエストを示す情報を含むNFC情報を受信し、その後、NFC方式の無線通信を携帯端末50と再び実行することによって、サイズ情報を含むNFC情報を受信してもよい。即ち、「第2の情報」は、上記の実施例のように、1回のNFC方式の無線通信で受信される情報であってもよいし、本変形例のように、複数回のNFC方式の無線通信で受信される情報であってもよい。
【0168】
(変形例11)上記の実施例では、状態判断部41は、消耗品の残量、印刷媒体の残量、及び、ハードウェアの状態という3つの判断基準の全てを用いて、MFP10が印刷可能状態であるのか否かを判断する(
図3のS44)。これに代えて、状態判断部41は、上記の3つの判断基準のうちの1つの判断基準のみを用いて、判断を実行してもよいし、上記の3つの判断基準のうちの2つの判断基準のみを用いて、判断を実行してもよい。即ち、状態判断部41は、上記の3つの判断基準のうちの少なくとも1つの判断基準を用いて、判断を実行すればよい。
【0169】
(変形例12)上記の各実施例では、各部40〜47がソフトウェアによって実現されるが、各部40〜47のうちの少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0170】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。