特許第6019709号(P6019709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019709
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】現像剤収容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   G03G15/08 345
   G03G15/08 362
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-100062(P2012-100062)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-228537(P2013-228537A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】岸 勲朗
【審査官】 下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−019292(JP,A)
【文献】 特開2000−250296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容するように構成される容器本体と、
回転軸と、前記回転軸と共に回転するように構成されたベース部と、前記ベース部に固定されて前記回転軸を中心に旋回するように構成された撹拌部とを有し、前記容器本体内の現像剤を撹拌する撹拌部材と、を備え、
前記容器本体は、前記容器本体を構成する壁が前記ベース部の回転軌跡上に配置される第1状態から当該第1状態よりも容積が大きく、前記壁が前記ベース部の回転軌跡よりも外方に配置される第2状態に変形可能に構成され、伸縮することで前記第1状態と前記第2状態とに変形可能になっており、
前記容器本体を、延びる方向に付勢する付勢部材と、未使用時において、前記付勢部材の付勢力に抗して前記容器本体を縮んだ状態に保持するロック部材と、をさらに備えていることを特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
前記容器本体から露出するように設けられる現像ローラを備え、
前記ロック部材は、前記現像ローラの前記容器本体から露出する部分を被覆しつつ、前記容器本体を縮んだ状態に保持するように構成されたことを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項3】
前記ロック部材による保持は、前記現像剤収容器を画像形成装置本体へ装着する際に、前記ロック部材の一部が前記画像形成装置本体の一部に当たることで解除されることを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記ロック部材による保持は、前記現像剤収容器を、感光体を有するドラムユニットに装着する際に、前記ロック部材の一部が前記ドラムユニットの一部に当たることで解除されることを特徴とする請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項5】
前記容器本体は、外部から現像剤の残量を検知するための検知窓を有し、
前記撹拌部材は、前記検知窓に接触して当該検知窓を清掃するように構成された清掃部材を有していることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の現像剤収容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内の現像剤を撹拌する撹拌部材を備えた現像剤収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤収容器として、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この現像剤収容器は、現像剤を収容する容器本体と、容器本体内に配置された撹拌部材とを備えている。そして、容器本体の容積は、収容されている現像剤の体積よりも大きくなっており、撹拌部材が現像剤を撹拌するためのスペースが確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−186661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、現像剤収容器の大容量化が求められているが、上述した技術では、現像剤収容室内の現像剤を収容するためのスペースを増やすのに加えて、現像剤を撹拌するためのスペースも十分に確保しなければならないため、現像剤収容器が大型化してしまう。このように現像剤収容器が大型化すると、梱包サイズが大きくなり、梱包のためのコストや運搬および保管のためのコストが増加してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、未使用時における梱包サイズを小さくすることができる現像剤収容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の現像剤収容器は、現像剤を収容するように構成される容器本体と、回転軸と、回転軸と共に回転するように構成されたベース部と、ベース部に固定されて回転軸を中心に旋回するように構成された撹拌部とを有し、容器本体内の現像剤を撹拌する撹拌部材と、を備えている。
そして、容器本体は、容器本体を構成する壁がベース部の回転軌跡上に配置される第1状態から当該第1状態よりも容積が大きく、前記壁がベース部の回転軌跡よりも外方に配置される第2状態に変形可能に構成されている。
【0007】
このように構成された現像剤収容器によれば、撹拌部材により現像剤を撹拌するスペースを必要としない未使用時においては、容器本体を第1状態にして小さくすることができる。これにより、未使用時における現像剤収容器の梱包サイズを小さくすることができるので、梱包のためのコストや運搬および保管のためのコストを削減することができる。なお、現像剤収容器の使用時には、第2状態とすることで、撹拌部材により現像剤を撹拌することができる。
【0008】
そして、前記した現像剤収容器において、容器本体は、伸縮することで第1状態と第2状態とに変形可能になっていてもよい。
この場合、現像剤収容器は、容器本体を延びる方向に付勢する付勢部材と、未使用時において、付勢部材の付勢力に抗して容器本体を縮んだ状態に保持するロック部材と、をさらに備えているのが望ましい。
【0009】
このように構成された現像剤収容器によれば、使用時にロック部材を外すだけで、容器本体が第1状態から第2状態へ変形するので、操作性がよい。
【0010】
また、前記したロック部材を備える現像剤収容器は、容器本体から露出するように設けられる現像ローラを備えていてもよい。
この場合、ロック部材は、現像ローラの容器本体から露出する部分を被覆しつつ、容器本体を縮んだ状態に保持するように構成されているのが望ましい。
【0011】
このように構成された現像剤収容器によれば、ロック部材を外さないと現像ローラが露出せず、装置に組み付けることができないので、ロック部材の取り外し忘れを防ぐことができる。
【0012】
そして、前記したロック部材を備える現像剤収容器において、ロック部材による保持は、現像剤収容器を画像形成装置本体へ装着する際に、ロック部材の一部が画像形成装置本体の一部に当たることで解除されてもよい。
【0013】
このように構成された現像剤収容器によれば、画像形成装置本体へ装着するだけでロック部材が外れるので、ユーザがロック部材を外す手間が省ける。
【0014】
また、前記したロック部材を備える現像剤収容器において、ロック部材による保持は、現像剤収容器を、感光体を有するドラムユニットに装着する際に、ロック部材の一部がドラムユニットの一部に当たることで解除されてもよい。
【0015】
このように構成された現像剤収容器によれば、ドラムユニットに装着するだけでロック部材が外れるので、ユーザがロック部材を外す手間が省ける。
【0016】
そして、前記した現像剤収容器において、容器本体は、外部から現像剤の残量を検知するための検知窓を有し、撹拌部材は、検知窓に接触して当該検知窓を清掃するように構成された清掃部材を有していてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容器本体が、第1状態から当該第1状態よりも容積が大きな第2状態に変形可能であるので、現像剤を撹拌するスペースが必要でない未使用時において、容器本体を第1状態にして容積を小さくすることができ、梱包のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る現像カートリッジを備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
図2】容器本体が第2状態となっている現像カートリッジを示す断面図(a)と、現像ローラカバーが装着され、容器本体が第1状態となっている現像カートリッジを示す断面図(b)である。
図3】第1の変形例に係る現像カートリッジのストッパ周辺を示す斜視図であって、ロック状態を示す図(a)と、ロック解除状態を示す図(b)である。
図4】第2の変形例に係る現像カートリッジおよびドラムユニットを示す斜視図である。
図5】第2の変形例に係る現像カートリッジのストッパ周辺を示す斜視図であって、ロック状態を示す図(a)と、ロック解除状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態に係る現像剤収容器の一例としての現像カートリッジ7が着脱されるレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る現像カートリッジ7の詳細な構成について説明する。
【0020】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0021】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、画像形成装置本体の一例としての本体ケーシング2内に、用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0022】
給紙部3は、本体ケーシング2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0023】
露光装置4は、本体ケーシング2内の上部に配置され、図示されないレーザ発光部やポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0024】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体ケーシング2に設けられたフロントカバー2Aを開いたときにできる開口から本体ケーシング2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0025】
ドラムユニット6は、感光体の一例としての感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。
【0026】
現像カートリッジ7は、ドラムユニット6に対して着脱可能となっており、ドラムユニット6に装着された状態、すなわち、プロセスカートリッジ5として本体ケーシング2に対し着脱可能に装着されるように構成されている。この現像カートリッジ7は、現像ローラ18と、供給ローラ19と、層厚規制ブレード14と、現像剤の一例としてのトナーT(図2(a)参照)を収容するトナー収容室15と、撹拌部材の一例としてのアジテータ16とを主に備えている。
【0027】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室15内のトナーTは、アジテータ16によって撹拌されながら、まず供給ローラ19に供給され、次いで供給ローラ19から現像ローラ18に供給される。そして、現像ローラ18の回転に伴って、現像ローラ18と層厚規制ブレード14の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ18上に担持される。
【0028】
現像ローラ18上に担持されたトナーTは、現像ローラ18から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0029】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0030】
<現像カートリッジの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分である現像カートリッジ7の詳細構成について説明する。
【0031】
図2(a)に示すように、現像カートリッジ7は、前記した現像ローラ18、供給ローラ19、層厚規制ブレード14およびアジテータ16を支持する容器本体100を備えている。そして、容器本体100は、下フレーム110と上フレーム120とから構成されている。
【0032】
下フレーム110は、上方が開放したボックス状の容器である。下フレーム110は、後側の壁に、開口部111を有し、現像ローラ18がこの開口部111から露出するように設けられている。そして、下フレーム110は、現像ローラ18の前方において、層厚規制ブレード14と供給ローラ19を支持している。なお、現像ローラ18と開口部111の隙間は、層厚規制ブレード14や現像ローラ18と開口部111の間に設けられた図示しないシール部材などによって塞がれている。
【0033】
また、下フレーム110は、供給ローラ19よりも前方において、左右の側壁に検知窓112を有し、検知窓112の前方でアジテータ16を回転可能に支持している。
【0034】
検知窓112は、外部から現像カートリッジ7内のトナーTの残量を検知するための一対の透明な窓である。具体的に、本体ケーシング2には、一方の検知窓112の外側に配置された図示しない発光部と、他方の検知窓112の外側に配置された図示しない受光部とからなる公知の光センサが設けられている。この光センサは、発光部から照射され、一方の検知窓112、現像カートリッジ7内および他方の検知窓112を通過した光を受光部で検出することで、現像カートリッジ7内のトナーTの残量を検出している。
【0035】
アジテータ16は、回転軸16Aと、ベース部16Bと、撹拌部の一例としてのシート部材16Cと、ワイパー取付部16Dと、清掃部材の一例としてのワイパー16Eとから主に構成されている。
【0036】
回転軸16Aは、現像ローラ18および供給ローラ19の軸方向に沿って延びる軸であり、下フレーム110の左右の側壁に回転可能に支持されている。
【0037】
ベース部16Bは、回転軸16Aから径方向外側にL字状に延びるように形成されており、回転軸16Aと共に回転するように構成されている。また、ベース部16Bは、回転軸16Aとは反対側の先端にシート部材16Cが貼着などによって固定されている。そして、このベース部16Bは、回転したときに、先端が下フレーム110の上端よりも外側を通るような長さで形成されている。
【0038】
シート部材16Cは、アジテータ16の回転によって、回転軸16Aを中心に旋回して、先端がトナー収容室15の底壁などに摺接しながらトナーTを撹拌し、さらに供給ローラ19に向けて搬送する可撓性のシート状部材である。
【0039】
ワイパー取付部16Dは、回転軸16Aの軸方向両端付近にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。このワイパー取付部16Dは、側面から見て、回転軸16Aからベース部16Bの延びる方向とは反対側に延びるように形成されている。また、このワイパー取付部16Dは、回転軸16Aから先端までの距離が、回転軸16Aからベース部16Bの先端までの距離よりも短くなっている。そして、ワイパー取付部16Dには、ワイパー16Eが貼着などによって固定されている。
【0040】
ワイパー16Eは、検知窓112に摺接して検知窓112に付着したトナーTを拭き取って清掃する部材であり、ウレタンゴムなどの可撓性を有する材料から形成されている。
【0041】
このように構成されたアジテータ16は、回転軸16Aに対して、本体ケーシング2内に設けられた図示しないモータから回転駆動力が付与されることで、トナー収容室15内を回転し、シート部材16CによってトナーTを撹拌・搬送するようになっている。
【0042】
上フレーム120は、下フレーム110の上部を塞ぐ蓋である。上フレーム120は、容器本体100を構成する壁の一例としての上壁121と、上壁121の前後および左右の端部から下方へ向けて延びる側壁122と、側壁122の下端から下フレーム110の外側へ延びるフランジ部123とを有している。
【0043】
側壁122は、蛇腹状に折り曲げられ、上下方向に伸縮可能になっている。この側壁122は、蛇腹の弾性力により、縮んだときには伸びる方向に付勢されるようになっている。つまり、側壁122は、側壁122(容器本体100)を伸びる方向に付勢する付勢部材としての機能も備えている。
【0044】
そして、上フレーム120は、フランジ部123が、下フレーム110の上端縁と重なるように、スポンジ130を介して下フレーム110に固定されている。
【0045】
スポンジ130は、上フレーム120と下フレーム110の間で、上フレーム120と下フレーム110に接着されている。このスポンジ130は、空気は通過させるが、トナーTは堰き止めることができるような材料で構成されている。
【0046】
このように構成された容器本体100は、上フレーム120と下フレーム110で囲まれた空間がトナー収容室15となっており、このトナー収容室15にトナーTを収容している。なお、トナー収容室15内に収容されているトナーTは、現像カートリッジ7が未使用(新品)の状態で、上面が下フレーム110の上端付近(上端より下)に位置する程度の量である。
【0047】
そして、容器本体100は、上フレーム120の側壁122が伸縮することで、トナー収容室15の容積が小さい第1状態(図2(b)の状態)と、トナー収容室15の容積が大きい第2状態(図2(a)の状態)とに変形可能になっている。
【0048】
容器本体100は、図2(b)に示すように、上フレーム120の側壁122が縮んでいる第1状態では、上フレーム120の上壁121が、一点鎖線で示すアジテータ16のベース部16Bの回転軌跡上に配置されている。そして、容器本体100は、図2(a)に示すように、上フレーム120の側壁122が伸びている第2状態では、上フレーム120の上壁121が、アジテータ16のベース部16Bの回転軌跡よりも外方に配置されている。つまり、容器本体100が第1状態であるときには、容器本体100内に、アジテータ16がトナーTを撹拌するスペースがなく、容器本体100が第2状態であるときには、容器本体100内に、アジテータ16がトナーTを撹拌するためのスペースが設けられている。
【0049】
このように構成された現像カートリッジ7は、工場から出荷されるときに、容器本体100から露出している現像ローラ18を保護するため、図2(b)に示すように、現像ローラカバー200が取り付けられている。
【0050】
現像ローラカバー200は、樹脂などから形成され、断面視略コ字状になっている。具体的に、現像ローラカバー200は、後側部210と、上側部220と、下側部230とを有している。
【0051】
後側部210は、現像ローラカバー200が現像カートリッジ7に取り付けられたときに、現像カートリッジ7の開口部111を覆うように、開口部111の後方に配置される部分である。この後側部210は、左右方向の大きさが開口部111よりも大きく、上下方向の大きさが第1状態にある現像カートリッジ7の上下方向の大きさと略同じに形成されている。
【0052】
上側部220は、後側部210の上端から前方に向けて延びており、現像ローラカバー200が現像カートリッジ7に取り付けられたときに、上フレーム120の上壁121と重なる位置に配置されるような大きさで、後側部210と一体に形成されている。下側部230は、後側部210の下端から前方に向けて延び、後側部210と一体に形成されている。
【0053】
そして、この上側部220と下側部230は、現像ローラカバー200が現像カートリッジ7に取り付けられたときに、第1状態にある容器本体100を上下から挟みこむようになっている。具体的には、上フレーム120の上壁121と下フレーム110の後側下部を挟み込むようになっている。これにより、現像ローラカバー200は、上フレーム120の側壁122が伸びようとする付勢力に抗して、容器本体100を縮んだ状態に保持できるようになっている。
【0054】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用および効果を得ることができる。
現像カートリッジ7は、アジテータ16でトナーTを撹拌するスペースが設けられていない容積の小さい第1状態からアジテータ16でトナーTを撹拌するスペースが設けられている容積の大きい第2状態に変形可能であり、現像ローラカバー200が取り付けられて容器本体100が第1状態となっている状態で、工場から出荷される。
【0055】
このように、アジテータ16によりトナーTを撹拌するスペースを必要としない未使用時においては、容器本体100を第1状態にして小さくすることができるので、未使用時における現像カートリッジ7の梱包サイズを小さくすることができる。これにより、現像カートリッジ7の梱包のためのコストや運搬および保管のためのコストを削減することができる。
【0056】
そして、現像カートリッジ7をレーザプリンタ1に装着して使用するときに、ユーザが現像ローラカバー200を取り外すと、蛇腹の付勢力によって、上フレーム120の側壁122が伸びるとともに、スポンジ130を通して容器本体100内に空気が入り込み、容器本体100が第2状態に変形する。
【0057】
このように、現像ローラカバー200を取り外すだけで、容器本体100が第1状態から第2状態へ変形するので、現像ローラカバー200を取り外したあとに、手作業で上フレーム120の側壁122を伸ばす場合に比べて、操作性がよい。
【0058】
また、現像ローラカバー200が取り付けられたままの現像カートリッジ7は、レーザプリンタ1に装着して使用することができないので、容器本体100を第1状態に保つための部材を、現像ローラカバー200とすることで、取り外し忘れを防止し、現像カートリッジ7の使用時には、確実に現像カートリッジ7を第2状態とすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0060】
前記実施形態では、容器本体100を第1状態に保つためのロック部材として、ユーザが現像カートリッジ7を使用する前に取り外す現像ローラカバー200を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ロック部材は、ユーザが取り外さなくても、現像カートリッジ7を本体ケーシング2に装着する際に、ロック部材による第1状態への保持が解除されるように構成されていてもよい。
【0061】
具体的には、図3(a),(b)に示すように、容器本体100の下フレーム110に、ロック部材の一例としてのストッパ300(左側のストッパ300のみ図示)が設けられている。
【0062】
ストッパ300は、前後方向に延びる軸部310と、軸部310から上方に向けて延びたあと、左右方向内側へ向けて延びるフック部320と、軸部310から下方に向けて延びたあと、左右方向外側へ向けて容器本体100の外側まで延びる作用部330とを有し、略S字形状になっている。
【0063】
軸部310は、下フレーム110の上面の上方において、下フレーム110に設けられた支持部114に回転可能に支持されている。より詳細には、下フレーム110は、左右の側壁の上端部には、上フレーム120のフランジ部123よりも左右方向外側に延びる延出部113が設けられており、この延出部113の上面に一対の支持部114が設けられている。
【0064】
フック部320は、先端が、側壁122が縮んだ状態の上フレーム120の上壁121に引っかけられることによって、上フレーム120を縮んだ状態に保持するようになっている。
作用部330は、後方に突出する先端部を有し、先端部が、後方に向かうにつれて左右方向内側に先細って行くくさび形に形成され、くさび形の先端部の左右方向外側の角部が面取りされた傾斜面331となっている。
【0065】
一方、現像カートリッジ7が装着される本体ケーシング2には、装着された現像カートリッジ7の左右両側に配置される図示しない側壁から、現像カートリッジ7側に突出するリブ2Bが設けられている。リブ2Bは、前端部が、後方から前方へ向かうにつれて下から上へ傾斜する当接面2Cを有している。
【0066】
そして、現像カートリッジ7を本体ケーシング2に装着すると、作用部330の傾斜面331(一部)が本体ケーシング2のリブ2Bの当接面2C(一部)に当接し、そのまま装着方向へ移動することで、作用部330の先端部が、リブ2Bの当接面2Cに沿ってリブ2Bの下方へ潜り込むように下方へ押し下げられる。これにより、ストッパ300全体が揺動し、フック部320が左右方向外側へ移動して、フック部320と上フレーム120の係合が外れるため、ストッパ300による第1状態への保持が解除される。
【0067】
このように構成することにより、現像カートリッジ7を本体ケーシング2に装着するだけでストッパ300が外れるので、ユーザがストッパ300を外す手間を省くことができる。
【0068】
また、ロック部材は、現像カートリッジ7をドラムユニット6に装着する際に、ロック部材による第1状態への保持が解除されるように構成されていてもよい。
【0069】
具体的には、図4に示すように、ドラムユニット6は、上方に開口を有している箱状の筐体64を有し、この開口を通して装着される現像カートリッジ7を収容可能となっている。そして、筐体64は、現像カートリッジ7の前側に配置される前壁65を有している。
【0070】
ストッパ300は、ドラムユニット6の前壁65の内側において、図5(a),(b)に示すように、下フレーム110の延出部113の上面に設けられた支持部114に揺動可能に支持されている。
【0071】
ストッパ300は、左右方向に延びて支持部114に支持される軸部310と、軸部310から上方に延びたあと前後方向内側へ延び、側壁122が縮んだ状態の上フレーム120の上壁121に引っかけられるフック部320と、軸部310から下方に延びたあと前後方向における容器本体100の外側まで延びる作用部330とを有している。そして、作用部330は、先端部が、下から上、つまり、ドラムユニット6への装着方向の下流側から上流側に向かうにつれて、前後方向外側へ向けて傾斜する傾斜面332を有している。
【0072】
そして、現像カートリッジ7をドラムユニット6に装着すると、作用部330の傾斜面332(一部)が、ドラムユニット6の前壁65(一部)に当接し、そのまま装着方向へ移動することで、作用部330の先端が後側へ移動する。これにより、ストッパ300が揺動して、フック部320と上フレーム120との係合が外れて、ストッパ300による第1状態への保持が解除される。
【0073】
このようにストッパ300のフック部320が、現像カートリッジ7をドラムユニット6へ装着するときに上フレーム120から外れるように構成しても、上記した変形例と同様に、ユーザがストッパ300を外す手間を省くことができる。
【0074】
なお、前記実施形態においては、上フレーム120の側壁122が、蛇腹を縮めたときに生じる弾性力により、容器本体100を伸びる方向に付勢する付勢部材の機能も有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、付勢部材として、上フレーム120の上壁121を上方へ向けて押し上げるように付勢するバネをさらに設けてもよい。
【0075】
また、前記実施形態においては、上フレーム120の側壁122を蛇腹形状にすることによって、容器本体100を伸縮可能にしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上フレームを下フレームに対して上下にスライド移動可能に構成し、上フレームを上下動させることで容器本体100を第1状態と第2状態とに変形可能としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
2B リブ
6 ドラムユニット
7 現像カートリッジ
15 トナー収容室
16 アジテータ
16A 回転軸
16B ベース部
16C シート部材
16E ワイパー
18 現像ローラ
61 感光体ドラム
65 前壁
100 容器本体
110 下フレーム
112 検知窓
120 上フレーム
121 上壁
122 側壁
200 現像ローラカバー
300 ストッパ
330 作用部
331 傾斜面
T トナー
図1
図2
図3
図4
図5