特許第6019711号(P6019711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019711
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   G03G15/08 390Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-100229(P2012-100229)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-228549(P2013-228549A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】千田 成一
(72)【発明者】
【氏名】服部 智章
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼川 将成
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−022394(JP,A)
【文献】 特開2008−176015(JP,A)
【文献】 特開2011−095578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08− 15/095
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ローラが設けられた現像部と、
前記現像部の下方に設けられ、現像剤を収容する現像剤収容部と、
少なくとも前記現像部の底を構成し、前記現像部と前記現像剤収容部とを区画する区画壁と、
前記現像部と前記現像剤収容部とを連通させ、前記現像剤収容部内の現像剤が前記現像部へ移動するのを許容するように構成される供給口と、
前記現像剤収容部に設けられ、回転することで前記現像剤収容部内の現像剤を、前記供給口を通して前記現像部へ供給するように構成される搬送部材と、を備えた現像装置であって、
前記区画壁の前記現像部の底に相当する部分に形成され、前記現像部内の現像剤が前記現像剤収容部内へ落下するのを許容するように構成される戻し口と、
前記現像部に設けられ、前記供給口を介して前記現像部と前記現像剤収容部とが連通している状態で前記戻し口を開放する開放位置と、前記供給口を介して前記現像部と前記現像剤収容部とが連通している状態で前記戻し口を閉鎖する閉鎖位置との間を移動可能に構成された開閉部材と、
前記開閉部材を前記閉鎖位置と前記開放位置とに定期的に移動させるための駆動機構と、を備え
前記開閉部材は、前記閉鎖位置において前記戻し口を塞ぐ本体部と、前記本体部を貫通する孔に挿通されている軸部と、を備え、
前記軸部は、前記孔から外側に突出する第1部分と、前記第1部分が延びる方向と交差する方向に延びる第2部分と、前記第2部分から外側へ延び、前記第1部分と径方向にずれた位置に配置され、前記駆動機構の回転中心に固定されている第3部分とを備える、ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像部が規定された筐体を備え、
前記筐体は、前記開閉部材を挟んで前記供給ローラと反対側に配置された壁を備え、
前記本体部は、前記現像ローラの軸方向から見て三角形状であり、前記戻し口に対向する第1面と、前記供給ローラに対向する第2面と、前記筐体の前記壁に対向する第3面とを備える、ことを特徴とする請求項に記載の現像装置。
【請求項3】
前記開閉部材は、
前記本体部を揺動可能に支持する支持部と、
前記支持部の前記区画壁に沿った方向と直交する方向への移動を規制するストッパと、を備えることを特徴とする請求項または請求項に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像部に設けられ、前記現像ローラに現像剤を供給するように構成される供給部材を備え、
前記供給部材と前記戻し口の間には、壁部が設けられ、
前記壁部の前記供給部材側の面と、前記区画壁の前記現像部側の面とで現像剤が貯留される貯留部を形成していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記搬送部材の回転動作に連動するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記戻し口の縁と前記開閉部材の間には、シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像部と、現像部の下方に設けられた現像剤を収容する現像剤収容部とを備える現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置として、現像ローラが設けられた現像部と、現像部の下方に設けられ、現像剤を収容する現像剤収容部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、上下に並ぶ現像部と現像剤収容部の間には、現像部と現像剤収容部を区画する区画壁と、区画壁の一部を底とする現像部と現像剤収容部を連通させる供給口が設けられている。
【0003】
そして、この現像装置では、現像剤収容部内の現像剤が、現像剤収容部内に設けられている搬送部材によって、供給口を通して現像部へ供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現像剤の帯電にはムラがあり、帯電量の高いものから選択的に現像に使用される。そのため、現像部には、帯電量が低く、現像に使用されなかった現像剤が残る。しかしながら、上述した技術では、現像部内の現像剤が現像剤収容部へ戻されないため、帯電量の低い現像剤が現像部に蓄積されてしまっていた。
【0006】
そこで、本発明は、現像部内の現像剤を現像剤収容部へ戻すことができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の現像装置は、現像ローラが設けられた現像部と、現像部の下方に設けられ、現像剤を収容する現像剤収容部と、少なくとも現像部の底を構成し、現像部と現像剤収容部とを区画する区画壁と、現像部と現像剤収容部とを連通させ、現像剤収容部内の現像剤が現像部へ移動するのを許容するように構成される供給口と、現像剤収容部に設けられ、回転することで現像剤収容部内の現像剤を、供給口を通して現像部へ供給するように構成される搬送部材と、を備えている。
そして、現像装置は、区画壁の現像部の底に相当する部分に形成され、現像部内の現像剤が現像剤収容部内へ落下するのを許容するように構成される戻し口と、現像部に設けられ、供給口を介して現像部と現像剤収容部とが連通している状態で戻し口を開放する開放位置と、供給口を介して現像部と現像剤収容部とが連通している状態で戻し口を閉鎖する閉鎖位置との間を移動可能に構成された開閉部材と、開閉部材を閉鎖位置と開放位置とに定期的に移動させるための駆動部材と、をさらに備えている。
【0008】
このように構成された現像装置によれば、開閉部材が開閉することで、現像部内の現像剤をときどき現像剤収容部へ戻すことができるので、帯電量の少ない現像剤が現像部内に蓄積されるのを低減することができる。そして、現像剤収容部へ戻された現像剤は、搬送部材の回転により撹拌されることで、十分な帯電量を得ることができる。また、開閉部材が移動することで、現像部内の現像剤がほぐされるため、現像剤が一部分に固まってしまうのを低減することができる。
【0009】
そして、前記した現像装置は、現像部に設けられ、現像ローラに現像剤を供給するように構成される供給部材を備えていてもよい。
この場合、供給部材と戻し口の間には、壁部が設けられ、壁部の供給部材側の面と、区画壁の現像部側の面とで現像剤が貯留される貯留部を形成しているのが望ましい。
【0010】
このように構成された現像装置によれば、開閉部材が戻し口を開放しても、貯留部に貯留されている現像剤は、戻し口から落下しない。これにより、開閉部材が戻し口を開放したときに、供給部材周辺の現像剤が急激に減るのを抑制することができる。
【0011】
また、前記した現像装置において、駆動機構は、搬送部材の回転動作に連動するように構成されていることが望ましい。
【0012】
このように構成された現像装置によれば、定期的に開閉部材が移動するので、現像装置内および現像部内の現像剤の流動性が向上する。
【0013】
そして、前記した現像装置において、戻し口の縁と開閉部材の間には、シール部材が設けられているのが望ましい。
【0014】
このように構成された現像装置によれば、開閉部材が戻し口を閉鎖しているときに、戻し口と開閉部材の隙間から現像剤が漏れないので、現像剤を現像部から現像剤収容部へ戻す量を正確に管理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開閉部材が開閉することで、現像部内の現像剤を現像剤収容部へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る現像カートリッジを備えるカラープリンタの概略構成を示す図である。
図2】現像カートリッジを示す図である。
図3】開閉部材を示す斜視図(a)と、開閉部材の右端部を示す拡大図(b)である。
図4】駆動機構を示す図である。
図5】現像カートリッジを示す図であって、開閉部材が戻し口を閉鎖している状態を示す図(a)と、開閉部材が戻し口を開放している状態を示す図(b)である。
図6】変形例に係る現像カートリッジを示す図であって、開閉部材が戻し口を閉鎖している状態を示す図(a)と、開閉部材が戻し口を開放している状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、現像装置の一例としての現像カートリッジ100が備えられているカラープリンタ1の全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0018】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ1使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって手前側を「右側」、紙面に向かって奥側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0019】
<カラープリンタの全体構成>
【0020】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体2と、用紙Pを供給する給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙ローラ9とを主に備えている。
【0021】
装置本体2の上部には、装置本体2から排出された用紙Pが載置される排出トレイ21が設けられている。
【0022】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられ、装置本体2に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Pを画像形成部4の転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0023】
画像形成部4は、4つの感光ドラム41と、図示しない帯電器と、4つの現像カートリッジ100と、4つのLEDユニット50と、転写ユニット60と、定着ユニット70とから主に構成されている。
【0024】
感光ドラム41は、後述する中間転写ベルト63の下方で、中間転写ベルト63に対向して前後方向に並列配置されている。感光ドラム41は、その上部において中間転写ベルト63を介して1次転写ローラ64と接している。
【0025】
現像カートリッジ100は、図2に示すように、現像ローラ42と、供給部材の一例としての供給ローラ43と、層厚規制ブレード44と、搬送部材の一例としてのトナー搬送部材45とを主に備えている。図1に戻り、4つの現像カートリッジ100は、4つの感光ドラム41の前方に配置され、4つの感光ドラム41のそれぞれに対応して設けられている。なお、現像カートリッジ100の詳細構成については後述する。
【0026】
4つのLEDユニット50は、複数の感光ドラム41にそれぞれ対応して設けられている。各LEDユニット50は、対応する感光ドラム41の下方に対向して配置され、画像データに基づいて発光部を明滅させることで、感光ドラム41の表面を露光するようになっている。
【0027】
転写ユニット60は、4つの感光ドラム41と排出トレイ21との間に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光ドラム41と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65と、中間転写ベルト63の前側上方に配置された中間転写ベルト63上のトナーT(現像剤)を除去するクリーニング部66とを備えている。
【0028】
定着ユニット70は、中間転写ベルト63の後側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置され加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを主に備えている。
【0029】
このように構成される画像形成部4では、まず、各感光ドラム41の表面が、帯電器により一様に帯電された後、LEDユニット50により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム41上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像カートリッジ100内のトナーTは、トナー搬送部材45によって撹拌されることで摩擦帯電された後、供給ローラ43を介して現像ローラ42に供給される。
【0030】
現像ローラ42上に担持されたトナーTは、現像ローラ42から感光ドラム41上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光ドラム41上にトナー像が形成される。そして、各感光ドラム41上に形成されたトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ64の作用により中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。
【0031】
中間転写ベルト63に転写されたトナー像は、画像形成部4に供給された用紙Pが中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ65の作用により用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット70に搬送されて、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ9によって装置本体2の外部に排出されて排出トレイ21に蓄積される。
【0032】
<現像カートリッジの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分である現像カートリッジ100の詳細構成について説明する。
【0033】
図2に示すように、現像カートリッジ100は、現像部110と、現像部110の下方に配置され、トナーTを収容する現像剤収容部の一例としてのトナー収容部120とが設けられた筐体101を備えている。
【0034】
また、現像カートリッジ100は、現像部110内に配置された現像ローラ42、供給ローラ43、層厚規制ブレード44および開閉部材200と、トナー収容部120内に配置されたトナー搬送部材45と、筐体101の右側面に配置されたギヤ機構130(図4参照)とを主に備えている。
【0035】
現像カートリッジ100の筐体101には、後壁102から前方へ向けて延びる区画壁103が設けられている。これにより、筐体101内が区画されて、現像部110とトナー収容部120とが形成され、区画壁103が現像部110の底を構成している。
【0036】
現像部110は、後方に開口を有しており、現像ローラ42は、この開口を通して外側に露出するように配置されている。
【0037】
供給ローラ43は、現像ローラ42の前斜め下方でかつ、区画壁103の上方において、現像ローラ42に接触するように配置されている。
【0038】
ここで、区画壁103は、供給ローラ43の下方と前斜め下方に配置されるような屈曲した形状となっており、後壁102から供給ローラ43の下方を通って前斜め上方へ延びたあと、さらに供給ローラ43側に傾いて上斜め上方に延びて、供給ローラ43の前方まで延びる略L字状に形成されている。これにより、供給ローラ43の下側にトナーTが貯留されるようになっている。そして、区画壁103の先端と、区画壁103の先端の延長線上に配置される筐体101の壁107Aとの間が、現像部110とトナー収容部120を連通させる供給口104となっている。この供給口104は、トナー収容部120内のトナーTが現像部110へ移動するのを許容するようになっている。
【0039】
また、区画壁103は、現像部110の底に相当する部分、つまり、後壁102から供給ローラ43の下方まで延びている部分のうち、現像ローラ42の下方に配置されている部分に、上下方向に貫通した戻し口105を有している。この戻し口105は、現像部110内のトナーTがトナー収容部120へ落下するのを許容するようになっている。
【0040】
層厚規制ブレード44は、現像ローラ42の外周面に下方から接触するように設けられている。具体的に、層厚規制ブレード44は、基端部が筐体101の後壁102に支持されており、先端部が現像ローラ42の下方まで延び、現像ローラ42と接触している。そして、この層厚規制ブレード44の現像ローラ42との接触部分は、戻し口105の上方に配置されている。これにより、層厚規制ブレード44で掻き取られたトナーTが、戻し口105周辺に落下するようになっている。
【0041】
開閉部材200は、戻し口105を開閉するための部材であり、戻し口105を開放する開放位置(図5(b)に示す位置)と、戻し口105を閉鎖する閉鎖位置(図5(b)に示す位置)との間を移動可能に構成されている。開閉部材200は、図2および図3(a)に示すように、本体部210、支持部220および軸部230から主に構成されている。
【0042】
本体部210は、開閉部材200のうち、戻し口105の上に配置される部分である。本体部210は、側面視略三角形状に形成されており、戻し口105に対向し、戻し口105と略同じ大きさに形成される第1面211と、供給ローラ43に対向する第2面212と、筐体101の後壁102に対向する第3面213とを有している。
【0043】
支持部220は、本体部210の前方に配置され、本体部210が支持部220に対して揺動可能となるように、本体部210の前側下部(第2面212の下部から前方に突出する部分)を支持している。この支持部220は、筐体101の左右の壁に設けられたストッパ106と区画壁103(詳しくは、後述する区画壁103上に設けられているシール部材150)とに上下方向から挟まれるように配置されている。これにより、支持部220は、上下方向の移動が規制されるとともに、前後方向への移動が許容されている。
【0044】
そして、本体部210および支持部220は、供給ローラ43と戻し口105の間に配置された壁部となっており、本体部210の第2面212と、支持部220の上面と、区画壁103の現像部110側の面とでトナーTが貯留される断面視略U字状の貯留部111を形成している。また、本体部210は、本体部210の第3面213と後壁102の前側の面との間でもトナーTを貯留できるようになっており、このスペースでは、主に貯留部111からあふれたトナーTや層厚規制ブレード44で掻き取られたトナーTを貯留している。
【0045】
軸部230は、本体部210の後側下部に形成された左右方向に貫通する孔に挿通されている軸である。軸部230は、図3(b)に示すように、左右方向に延びるように形成され、左右方向両端部が本体部210の孔から外側に突出する第1部分231と、第1部分231の両端から左右方向と交差する斜め方向に延びる第2部分232と、第2部分232の第1部分231とは反対側の端部から左右方向外側へ延びる第3部分233とを有し、本体部210から露出している部分が略S字状に屈曲している。つまり、第1部分231は、第3部分233に対して第3部分233の径方向にずれた位置に配置されている。
【0046】
そして、軸部230の右端部における第3部分233は、後述するギヤ機構130の開閉部材駆動ギヤ134の回転中心に固定されており、軸部230と開閉部材駆動ギヤ134とで、開閉部材200を閉鎖位置と開放位置とに移動させる駆動機構140を構成している。
【0047】
具体的には、軸部230の第1部分231が、第3部分233に対して最も下方に位置するとき、開閉部材200は、本体部210が最も戻し口105に接近した閉鎖位置に配置されるようになっている。また、軸部230の第1部分231が、第3部分233に対して最も上方に位置するとき、開閉部材200は、本体部210が閉鎖位置に配置されているときよりも上方に配置されて、最も戻し口105から上方に離れた開放位置に配置されるようになっている。そして、開閉部材駆動ギヤ134の回転に伴い第1部分231が第3部分233を中心に旋回することで、開閉部材200が閉鎖位置と開放位置との間を移動するようになっている。なお、具体的な開閉部材200の動作については後述する。
【0048】
そして、図2に示すように、戻し口105の縁と開閉部材200の間には、スポンジ等から形成されたシール部材150が設けられている。シール部材150は、開閉部材200が閉鎖位置に位置するときに、現像部110内のトナーTが、戻し口105の縁と開閉部材200の間からトナー収容部120へ落ちるのを防ぐようになっている。
【0049】
トナー収容部120は、略中空円柱状に形成されており、上部の供給口104を介して現像部110と連通している。そして、トナー収容部120には、トナー搬送部材45が設けられている。
【0050】
トナー搬送部材45は、筐体101に回転可能に支持される回転軸45Aと、回転軸45Aから径方向外側へ延び、可撓性を有するフィルム部材45Bとから主に構成されている。トナー搬送部材45は、フィルム部材45Bが筐体101の内面に摺接しながら回転するようになっている。これにより、トナー収容部120に収容されたトナーTは、トナー搬送部材45が回転することで撹拌されるようになっている。
【0051】
また、トナー収容部120は、前壁107の上部に、前側へ凹んだ凹部108が形成されている。凹部108は、上下方向において、区画壁103よりも下の部分から供給口104の上部にわたって設けられている。これにより、前壁107に摺接して撓みながら回転していたフィルム部材45Bが凹部108に達したときに、先端が開放されてはね上がるため、フィルム部材45B上に載っていたトナーTが供給口104に向けてとばされ、現像部110へ搬送されるようになっている。
【0052】
図4に示すように、ギヤ機構130は、装置本体2側に設けられる図示しないモータから駆動力が伝達される入力ギヤ131と、この入力ギヤ131に直接噛み合う現像ローラ駆動ギヤ132および供給ローラ駆動ギヤ133と、供給ローラ駆動ギヤ133に噛み合う開閉部材駆動ギヤ134と、開閉部材駆動ギヤ134に中間ギヤ135を介して噛み合うトナー搬送部材駆動ギヤ136とを備えて構成されている。ここで、現像ローラ駆動ギヤ132、供給ローラ駆動ギヤ133およびトナー搬送部材駆動ギヤ136は、それぞれ現像ローラ42、供給ローラ43およびトナー搬送部材45の各軸の端部に一体に設けられている。
【0053】
また、開閉部材駆動ギヤ134は、前述したように、開閉部材200の軸部230の端部に一体に設けられている(図3(b)参照)。
そして、このように、開閉部材200を回転させる開閉部材駆動ギヤ134とトナー搬送部材を回転させるトナー搬送部材駆動ギヤ136が連結されていることにより、開閉部材200の開閉動作をトナー搬送部材45の回転動作に連動させることができるようになっている。
【0054】
次に、開閉部材200の動作について説明する。
入力ギヤ131にモータからの駆動力が伝達されると、現像ローラ駆動ギヤ132、供給ローラ駆動ギヤ133、開閉部材駆動ギヤ134およびトナー搬送部材駆動ギヤ136が回転し始める。
【0055】
開閉部材200は、前述したように、軸部230の第1部分231が、第3部分233に対して最も下方に位置するとき、図5(a)に示すように、戻し口105を閉鎖する閉鎖位置に位置する。そして、開閉部材駆動ギヤ134が図示時計回りに回転すると(図4参照)、軸部230の第1部分231が、前斜め上方へ移動し始める。これに伴い、支持部220が前方へ移動しながら、本体部210の後端が上方へ揺動する。これにより、開閉部材200が戻し口105を開放する。また、軸部230の第1部分231が、閉鎖位置において配置される位置から約90度回転した後は、後斜め上方へ移動し始める。これに伴い、支持部220が後方へ移動しながら、本体部210の後端がさらに上方へ揺動する。
【0056】
そして、軸部230の第1部分231が、最も上方に位置するとき(閉鎖位置において配置される位置から約180度回転したとき)、図5(b)に示すように、開閉部材200は、本体部210が、最も上方へ配置された開放位置に位置する。
【0057】
さらに、開閉部材駆動ギヤ134が回転すると、軸部230の第1部分231が、後ろ斜め下方へ移動し始める。これに伴い、支持部220が後方へ移動しながら、本体部210の後端が下方へ揺動する。そして、軸部230の第1部分231が、開放位置において配置される位置から約90度回転した後は、前斜め下方へ移動し始める。これに伴い、支持部220が前方へ移動しながら、本体部210の下端がさらに下方へ揺動し、開閉部材200が閉鎖位置へ移動する。
【0058】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
開閉部材200が開放位置と閉鎖位置とに移動して、戻し口105を開閉することで、現像部110内の第3面213と後壁102との間に貯留されていた帯電量が低く層厚規制ブレード44に掻き取られる等して現像に使用されなかったトナーTをときどきトナー収容部120へ戻すことができる。これにより、現像部110内に帯電量が低いトナーTが蓄積されるのを低減することができる。そして、トナー収容部120へ戻されたトナーTをトナー搬送部材45が回転して撹拌することで、戻されたトナーTの帯電量が低くても、十分帯電させることができる。また、開閉部材200の本体部210が揺動することで、現像部110内(特に供給ローラ43周辺の貯留部111内)のトナーTがほぐされるため、トナーTが一部分に固まってしまうのを低減することができる。
【0059】
そして、開閉部材200が供給ローラ43と戻し口105の間に設けられ、第2面212と区画壁103の供給ローラ43側の面で貯留部111を形成することで、開閉部材200が開放位置へ移動しても、貯留部111に貯留されているトナーTは戻し口105から落下しない。これにより、開閉部材200が戻し口105を開放したときに、供給ローラ43周辺のトナーTが急激に減るのを抑制することができる。
【0060】
また、開閉部材200を開放位置と閉鎖位置とに移動させる駆動機構140が、トナー搬送部材45の回転動作に連動しているので、定期的に開閉部材200が動き、現像部110内のトナーTがトナー収容部120へ戻されるとともに、現像部110内のトナーTがほぐされる。これにより、現像カートリッジ100内および現像部110内のトナーTの流動性が向上する。
【0061】
そして、戻し口105の縁と開閉部材200の間には、シール部材150が設けられているので、閉鎖位置に位置している開閉部材200と戻し口105の隙間からトナーTが漏れるのを低減することができる。これにより、トナーTを現像部110からトナー収容部120へ戻す量を正確に管理することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、開閉部材200は、上下方向に揺動する本体部210と、前後方向に移動する支持部220とを有していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、開閉部材200の本体を1つの部品から構成してもよい。
【0064】
具体的には、図6(a)に示すように、開閉部材300は、側面視略三角形状に形成されている本体部310と、前記実施形態と同様の軸部230とを備えている。本体部310は、左右の側面の前端部に、穴320を有し、この穴に、筐体101の側壁に形成された支持軸109が遊嵌されている。
【0065】
このように構成された開閉部材300は、上下方向および左右方向に移動可能となっているので、軸部230の第1部分231の動作に合わせて移動することができる。つまり、図6(a)に示すように、開閉部材300が戻し口105を閉鎖する閉鎖位置から軸部230が回転して第1部分231が上方へ移動したとき、図6(b)に示すように、開閉部材300が戻し口105を開放する開放位置に移動する。
【符号の説明】
【0066】
42 現像ローラ
45 トナー搬送部材
100 現像カートリッジ
103 区画壁
104 供給口
105 戻し口
110 現像部
111 貯留部
120 トナー収容部
134 開閉部材駆動ギヤ
140 駆動機構
150 シール部材
200 開閉部材
212 第2面
T トナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6