(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯電手段よりも前記電子写真感光体の駆動方向下流側であって且つ前記転写手段よりも前記電子写真感光体の駆動方向上流側の領域において、前記電子写真感光体の外周表面を除電する除電手段を有しない請求項8に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0024】
[電子写真感光体]
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体を備え、導電性基体上に、単層型の感光層を有する正帯電有機感光体(以下、「単層型感光体」と称することがある)である。
そして、単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含んで構成され、且つ正帯電時の半減露光量が0.18μJ/cm
2以下、負帯電時の半減露光量が前記正帯電時の半減露光量の2倍以上12倍以下である。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
【0025】
ここで、従来から、電子写真感光体としては、製造コスト、画質安定性の観点から、単層型感光体が望ましく用いられている。
一方で、単層型感光体は、その単層型の感光層内に、電荷発生材料と正孔輸送材料と電子輸送材料とを含有する構成のため、積層型の感光層を有する有機感光体ほどの感度が得られず、更なる高感度化が求められている。
しかしながら、単層型感光体を高感度化させた場合、感光体の前サイクルの画像履歴が次サイクルに現れるゴーストという現象が生じることがあった。尚、ゴーストが生じる理由は以下のごとく推察される。即ち、ゴーストは(1)露光による履歴と、(2)転写による履歴(つまり転写時に感光体上にトナー像が存在しない非露光部は、トナー像が現像されている露光部に比べて転写ストレスが強くなり、画像履歴が生じる)とにより発生するものと考えられる。特に、感光層内に電子輸送材料および正孔輸送材料の両方を含む単層型感光体は転写ストレスを受けやすく、上記の(2)転写による履歴は積層型の感光体と比べて大きいと考えられる。単層型感光体では低感度であるほど、露光により発生し感光層中に残留する電荷が多く、つまり前記の(1)露光による履歴が大きいことから、前記(1)と(2)との相殺によりゴーストの発生が抑制されていたものと考えられるが、単層型感光体をより高感度化した場合には、露光により発生し感光層中に残留する電荷が少なくなり、その結果前記(1)露光による履歴が軽減されて、前記(1)と(2)とのバランスが崩れ、ゴーストが生じていたものと推察される。
【0026】
これに対して、本実施形態に係る電子写真感光体では、正帯電時の半減露光量が0.18μJ/cm
2以下、負帯電時の半減露光量が前記正帯電時の半減露光量の2倍以上12倍以下に調整されていることにより、正帯電の際の高感度化とゴースト発生の抑制とが両立される。
この理由は定かではないが以下のごとく推察される。即ち、正帯電時の半減露光量が0.18μJ/cm
2以下と正帯電の際の高感度化が実現された感光体であっても、負帯電時の半減露光量と正帯電時の半減露光量との比が上記範囲に調整することで、転写ストレス(負帯電)と関係していると思われる負帯電時の感度を正帯電時に比べてより低下させる方向に調整し、(1)露光による履歴と(2)転写による履歴とのバランスを取ることにより、ゴーストの発生が抑制されるものと推定される。
【0027】
尚、製造コストの観点から除電工程を有さない画像形成装置がある。具体的にこの画像形成装置では、電子写真感光体の駆動方向において、帯電手段よりも下流側であって且つ転写手段よりも上流側の領域に、該電子写真感光体の外周表面を除電する除電手段を有しない。この画像形成装置では、感光体の前サイクルの画像履歴の消去が除電手段によって行われないためゴーストの発生がさらに顕著になりやすいが、上記本実施形態に係る電子写真感光体を用いることにより、該ゴースト発生が効果的に抑制される。
【0028】
また、帯電手段として電子写真感光体の表面に対し非接触で帯電を行う帯電器(例えばコロトロンやスコロトロン等)を備える画像形成装置がある。帯電手段においては、接触式の帯電器(例えば帯電ロールを感光体表面に直接接触させて帯電する帯電器等)の方が感光体の前サイクルの画像履歴を消去する性能が高いため、接触式の帯電器に比べ非接触式の帯電器ではゴーストの発生がさらに顕著になりやすいが、上記本実施形態に係る電子写真感光体を用いることにより、該ゴースト発生が効果的に抑制される。
【0029】
・正帯電時の半減露光量
本実施形態に係る電子写真感光体では、前記単層型の感光層における正帯電時の半減露光量が0.18μJ/cm
2以下であり、より望ましくは0.14μJ/cm
2以下、更に望ましくは0.11μJ/cm
2以下である。
正帯電時の半減露光量が上記範囲であることは、つまり正帯電の際の感度が高いことを表す。正帯電時の半減露光量が上記範囲を超える場合には、正帯電の際の感度がより低くなって形成される画像における画質の低下が生じ、特に画像の濃度が低下する。
【0030】
・負帯電時の半減露光量と正帯電時の半減露光量との比
本実施形態に係る電子写真感光体では、前記単層型の感光層における負帯電時の半減露光量が正帯電時の半減露光量の2倍以上12倍以下であり、より望ましくは4倍以上10倍以下、更に望ましくは5倍以上9倍以下である。
負帯電時の半減露光量の正帯電時の半減露光量に対する比が上記下限値未満であるとネガゴーストが生じ、一方上記上限値を超えるとポジゴーストが生じる。
【0031】
尚、ネガゴーストとは、例えば白の背景中に黒字を出力し、続けて全面にハーフトーンを出力すると、ハーフトーン上に黒字部分の履歴が感光体ピッチで薄く出現するとの現象であり、一方ポジゴーストとは、例えば白の背景中に黒字を出力し、続けて全面にハーフトーンを出力すると、ハーフトーン上に黒字部分の履歴が感光体ピッチで濃く出現するとの現象である。
【0032】
・正帯電時の半減露光量および負帯電時の半減露光量の測定方法
図面を参照して、正帯電時の半減露光量および負帯電時の半減露光量の測定方法について説明する。
図4は、感光体の表面電位の測定装置を側面から見た構成図であり、
図5は、
図4に示した装置のI−I線における模式断面図である。
図4および
図5に示すごとく、測定の対象となる感光体31は、測定装置400のハウジング32内に設置され、感光体31の外周部には、ハウジング32の底部に固定された環状の取り付け部材33を介して、帯電装置34、電位測定装置35並びに除電装置37が設置されている。なお、露光装置26は、ハウジング32の外部に設置されている。
ここで、感光体31はその一端が支持部38に支持され、その後、支持部39が設置されたスライド台44を、
図4中の矢印Aの方向に移動させることにより、感光体31の他端が支持部39によって支持される。一方の支持部38は回転モータ45に連動して、感光体31を
図5中の矢印Bの方向に回転し得る構造となっており、回転数は任意に設定される。また、感光体31を構成する導電性基体は、支持部38を介して電流測定装置43に接続されている。
また、支持部38および39並びに回転モータ45は、感光体31の軸方向に往復移動する自動ステージ42上に設置されており、これによって取り付け部材33に取り付けられた帯電装置34、電位測定装置35並びに除電装置37に対して、感光体31をその軸方向に移動し得る。
また、帯電装置34、電位測定装置35並びに除電装置37のそれぞれは、感光体31の直径が異なる場合でも、感光体31の表面と間隔をもって配置されるよう、感光体31表面の法線方向に進退し得る取り付け部材33に取り付けられている。更に、帯電装置34、電位測定装置35並びに除電装置37のそれぞれは、感光体31の周方向において位置を自由に調節し得るよう取り付け部材33に取り付けられている。
【0033】
以下、上記測定装置400の各構成要素について説明する。
帯電装置34は、感光体31を帯電させるものであり、感光体31の軸方向における実効帯電幅が50mmのスコロトロンを使用する。
電位測定装置35は、感光体31回転方向の帯電装置34の下流側に設置され、帯電後の感光体31の表面電位を測定するものである。電位測定装置35は、電位測定プローブと表面電位計とで構成され、電位測定プローブとしてModel555P−1(トレック社製)が、表面電位計としてModel334(トレック社製)がそれぞれ使用される。
除電装置37は、帯電装置34により帯電した感光体31の表面に光を照射し、感光体31表面の残留電荷を除電するためのものである。除電装置37の光源としてハロゲンランプが使用され、波長600nm以上の光のみを透過する赤フィルターを通して感光体31の表面に光源からの光を照射する。
電流測定装置43は、帯電時に感光体31に流れる電流を測定するものであり、感光体31に接続され且つアースに接続されている。電流測定装置43として、ケースレー社製、Model614電流計が使用される。
露光装置26は、帯電装置34により帯電された感光体31の表面に光を照射するものである。光源としてのハロゲンランプと、ハロゲンランプから感光体31に照射する光の波長を調整する波長調整装置と、露光光源であるハロゲンランプから感光体31までの光路における光の光量を調整する露光量調整装置と、光の照射範囲を限定するスリットと、ハロゲンランプから感光体31に照射する光を一部分岐するハーフミラーと、ハロゲンランプから照射した光を感光体に集光するレンズと、を有して構成される。また、ハーフミラーにより分岐された光の光パワーを測定する光パワーメータを有しており、あらかじめ調査してある感光体31の露光面での光パワーとハーフミラーで分岐した光のパワーの関係を用いて、ハーフミラーで分岐した光のパワーから、感光体31表面に照射される光のパワーを換算し得る構成となっている。なお、波長調整装置は、780nmの波長調整用フィルタを備え、波長780nmの光を感光体表面に照射する。
ここで、電位測定装置35並びに除電装置37の配置は、帯電装置34の位置を基準(0°)とし、感光体31の回転方向の下流側を「+」の角度で表すと、露光装置26が90°、電位測定装置35が120°、除電装置37が270°の角度で配置される。
【0034】
上記構成を有する測定装置400を用いて、感光体31の表面電位を測定する。
まず、測定装置400内の温度を20℃、湿度を40%に設定し、感光体31を上記測定装置400の支持部38および39に取り付け、感光体31を自動ステージ42により移動させ、感光体31の一端から122mmの位置(感光体31の軸方向の中央位置)を、帯電装置34、露光装置26、電位測定装置35、並びに除電装置37の位置に合わせる。除電装置37の光量を175mJ/m
2に設定し、感光体31を回転モータ45により回転数66.7rpmで回転させた状態で、帯電装置34におけるスコロトロンのワイヤーの電流を150μAに設定し、露光装置で光照射しない状態で、感光体表面電位が+800Vとなるようスコロトロンのグリッド電圧を調整する。次に、露光装置で光照射を行い、感光体表面電位が+400Vとなる露光量が、正帯電時の半減露光量である。
【0035】
また、負帯電時の半減露光量は、上記正帯電時の半減露光量の測定方法において、感光体を帯電させる量を「+800V」から「−800V」に変更し、また、光照射した時の感光体表面電位を「+400V」から「―400V」に変更する以外は、上記に記載の方法により測定が行われる。
尚、本明細書に記載の値は上記方法により測定されたものである。
【0036】
・達成方法
正帯電時の半減露光量を前述の範囲に制御する方法としては、例えば、前記単層型の感光層中に含有させる電荷発生材料、正孔輸送材料および電子輸送材料の種類および量を調整する方法、前記単層型感光層の膜厚を調整する方法、等が挙げられる。
例えば、電荷発生材料の含有量を増やすほど正帯電時の半減露光量が低下する傾向にあり、電子輸送材料の含有量を増やすほど正帯電時の半減露光量が低下する傾向にあり、また単層型感光層の膜厚を厚くするほど正帯電時の半減露光量が低下する傾向にある。
【0037】
また、負帯電時の半減露光量の正帯電時の半減露光量に対する比を前述の範囲に制御するには、上記の方法等により調整された正帯電時の半減露光量に対し、負帯電時の半減露光量を調整する方法が挙げられる。負帯電時の半減露光量は、例えば前記単層型の感光層中に含有させる電荷発生材料、正孔輸送材料および電子輸送材料の種類および量を調整する方法、前記単層型感光層の膜厚を調整する方法、等が挙げられる。
例えば、電荷発生材料の含有量を増やすほど負帯電時の半減露光量が上昇する傾向にあり、電子輸送材料の含有量を増やすほど負帯電時の半減露光量が低下する傾向にあり、また単層型感光層の膜厚を厚くするほど負帯電時の半減露光量が低下する傾向にある。
負帯電時の半減露光量の正帯電時の半減露光量に対する比は、上記の各組成物の種類や量のバランスを調整することで制御される。
【0038】
尚、特に正帯電時の半減露光量および負帯電時の半減露光量の正帯電時の半減露光量に対する比を前述の範囲に制御する観点から、本実施形態において単層型感光層に含有される電荷発生材料の量は、結着樹脂の含有量に対して3質量%以上12質量%以下であることがよく、より望ましくは5質量%以上10質量%以下、更に望ましくは6質量%以上8質量%以下である。
【0039】
次いで、図面を参照しつつ、本実施形態に係る電子写真感光体の構成について詳細に説明する。
【0040】
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体10は、例えば、導電性支持体4を備え、導電性支持体4上に、下引層1、単層型の感光層2、及び保護層3がこの順で設けられて構成されている。
なお、下引層1、及び保護層3は、必要に応じて、設けられる層である。
【0041】
以下、電子写真感光体10の各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。
【0042】
(導電性基体)
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
【0043】
導電性基体として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
【0044】
(下引層)
下引層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
【0045】
下引層は、例えば、結着樹脂と、必要に応じてその他添加物とを含んで構成される。
下引層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
【0046】
下引層には、シリコン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物等の金属化合物等を含有してもよい。
【0047】
金属化合物と結着樹脂との比率は、特に制限されず、目的とする電子写真感光体特性を得られる範囲で設定される。
【0048】
下引層には、表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等が挙げられる。なお、表面粗さ調整のために下引層を形成後、その表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
【0049】
ここで、下引層の構成として、結着樹脂と導電性粒子とを少なくとも含有する構成が挙げられる。なお、導電性粒子は、例えば体積抵抗率が10
7Ω・cm未満の導電性を有するものがよい。
【0050】
導電性粒子としては、例えば、金属粒子(アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの粒子)、導電性金属酸化物粒子(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの粒子)、導電性物質粒子(カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末の粒子)等が挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物粒子が好適である。導電性粒子は、2種以上混合して用いてもよい。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0051】
下引層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた下引層形成用塗布液が使用される。
また、下引層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0052】
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0053】
下引層の膜厚は、15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。
【0054】
ここで、図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど点から好適である。
【0055】
中間層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた中間層形成用塗布液が使用される。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0056】
なお、中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こすことがある。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定することがよい。また、この場合の中間層を下引層として使用してもよい。
【0057】
(単層型の感光層)
単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0058】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
これらの結着樹脂の中でも、特に、感光層の成膜性の観点から、例えば、粘度平均分子量50000以上80000以下のポリカーボネート樹脂がよい。
【0059】
−電荷発生材料−
電荷発生材料としては、従来公知の電荷発生材料が用いられ、例えばヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、チタニルフタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、ケイ素フタロシアニン顔料等が挙げられる。
中でもヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
電荷発生材料としては、これら顔料を単独で用いてもよいが、必要に応じて併用してもよい。そして、電荷発生材料としては、感光体の正帯電時の高感度化の観点からV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
【0060】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、特に制限はないが、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、従来のV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものであり、より優れた分散性が得られる観点から望ましい。このように、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせることにより、顔料粒子の結晶配列が好適に制御された微細なヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料となり、電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
【0061】
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが望ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましく、一方、BET比表面積が45m
2/g以上であることが望ましく、50m
2/g以上であることがより望ましく、55m
2/g以上120m
2/g以下であることが特に望ましい。平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m
2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される傾向があり、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
【0062】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、より望ましくは0.3μm以下である。かかる最大粒径が上記範囲を超えると、黒点が発生しやすい傾向にある。
【0063】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、感光体が蛍光灯などに暴露されたことに起因する濃度ムラを抑制する観点から、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m
2/g以上であることが望ましい。
【0064】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.3゜,16.0゜,24.9゜,及び28.0゜に回折ピークを有するV型であることが望ましい。
【0065】
一方、クロロガリウムフタロシアニン顔料としては、特に制限はないが、電子写真感光体材料として優れた感度が得られる、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.4°,16.6°,25.5°,及び28.3°に回折ピークを有するものが挙げられる。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同じである。
【0066】
電荷発生材料の含有量は、前述の通り、結着樹脂の含有量に対して3質量%以上12質量%以下がよい。
【0067】
−正孔輸送材料−
正孔輸送材料としては、従来公知の正孔輸送材料が用いられ、中でも下記一般式(1)で表される正孔輸送材料が好適に用いられる。
但し、本実施形態に用い得る正孔輸送材料は下記一般式(1)に限定されるものではなく、他の正孔輸送材料を用いてもよい。これら他の正孔輸送材料については後述する。
【0069】
一般式(1)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、各々独立に、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは、各々独立に、0又は1を示す。
【0070】
一般式(1)中、R
1〜R
6が示す低級アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で、炭素数1以上4以下のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が望ましい。
【0071】
一般式(1)中、R
1〜R
6が示すアルコキシ基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0072】
一般式(1)中、R
1〜R
6が示すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0073】
一般式(1)中、R
1〜R
6が示すフェニル基としては、例えば、未置換のフェニル基;p−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基等の低級アルキル基置換のフェニル基;、p−メトキシフェニル基等の低級アルコキシ基置換のフェニル基;、p−クロロフェニル基等のハロゲン原子置換のフェニル基等が挙げられる。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R
1〜R
6が示す低級アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0074】
一般式(1)で表される正孔輸送材料として、高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、m及びnが1を示す正孔輸送材料がよく、特に、R
1〜R
6が各々独立に、水素原子、低級アルキル基、又はアルコキシ基を示し、m及びnが1を示す正孔輸送材料が望ましい。
【0075】
以下、一般式(1)で表される正孔輸送材料の例示化合物を示すがこれに限定されるわけではない。
【0080】
なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−OPh:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
【0081】
正孔輸送材料の含有量は、例えば、結着樹脂に対して10質量%以上98質量%以下がよく、望ましくは60質量%以上95質量%以下、より望ましくは70質量%以上90質量%以下である。
【0082】
−電子輸送材料−
電子輸送材料としては、従来公知の電子輸送材料が用いられ、中でも下記一般式(2)で表される電子輸送材料が好適に用いられる。
但し、本実施形態に用い得る電子輸送材料は下記一般式(2)に限定されるものではなく、他の電子輸送材料を用いてもよい。これら他の電子輸送材料については後述する。
【0084】
一般式(2)中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、及びR
17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を示す。R
18は、アルキル基を示す。
【0085】
一般式(2)中、R
11〜R
17が示すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0086】
一般式(2)中、R
11〜R
17が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で、炭素数1以上4以下(望ましくは1以上3以下)のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0087】
一般式(2)中、R
11〜R
17が示すアルコキシ基としては、例えば、炭素数1以上4以下(望ましくは1以上3以下)のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0088】
一般式(2)中、R
11〜R
17が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニル基が望ましい。
【0089】
一般式(2)で表される電子輸送材料として、高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、特に、R
11〜R
17が各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し、R
18が直鎖状で炭素数5以上10以下のアルキル基を示す電子輸送材料が望ましい。
【0090】
以下、一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物を示すがこれに限定されるわけではない。
【0092】
電子輸送材料の含有量は、例えば、結着樹脂に対して10質量%以上70質量%以下がよく、望ましくは15質量%以上60質量%以下、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。
【0093】
−その他電荷輸送材料−
前述の通り、正孔輸送材料及び電子輸送材料としては、前記一般式(1)で表される正孔輸送材料および前記一般式(2)で表される電子輸送材料以外にも、他の電荷輸送材料(他の正孔輸送材料、他の電子輸送材料)を用いてもよい。
【0094】
他の電荷輸送材料としては、例えば、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物;、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの他の電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
他の電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(B−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および下記構造式(B−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
【0097】
構造式(B−1)中、R
B1は、水素原子またはメチル基を示す。n11は1または2を示す。Ar
B1およびAr
B2は各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C
6H
4−C(R
B3)=C(R
B4)(R
B5)、または−C
6H
4−CH=CH−CH=C(R
B6)(R
B7)を示し、R
B3乃至R
B7はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。
【0099】
(構造式(a−2)中、R
B8およびR
B8’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。R
B9、R
B9’、R
B10、およびR
B10’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R
B11)=C(R
B12)(R
B13)、または−CH=CH−CH=C(R
B14)(R
B15)を示し、R
B11乃至R
B15は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。m12、m13、n12およびn13は各々独立に0以上2以下の整数を示す。)
【0100】
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C
6H
4−CH=CH−CH=C(R
B6)(R
B7)」を有するトリアリールアミン誘導体、および「−CH=CH−CH=C(R
B14)(R
B15)」を有するベンジジン誘導体が望ましい。
【0101】
−正孔輸送材料と電子輸送材料との比率−
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が望ましく、より望ましくは60/40以上80/20以下である。
なお、本比率は、正孔輸送材料や電子輸送材料を2種以上併用した場合、その合計での比率である。
【0102】
−その他添加剤−
単層型の感光層には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
【0103】
−単層型の感光層の形成−
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
【0104】
感光層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0105】
感光層形成用塗布液を導電性基体上や下引層上等に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0106】
単層型の感光層の膜厚は、望ましくは5μm以上60μm以下、より望ましくは10μm以上50μm以下の範囲に設定される。
【0107】
(保護層)
保護層は、感光層の機械的強度を向上させ、電子写真感光体の表面の磨耗、傷などへの耐性をさらに改善したりするために必要に応じて設けられる層である。
保護層としては、周知の保護層が挙げられるが、反応性電荷輸送材料の重合膜(架橋膜)、硬化性樹脂中に電荷輸送材料を含む樹脂硬化膜、導電性材料を結着樹脂中に含有させて形成された膜等があるが、電荷輸送材料を使用した膜が望ましい。
【0108】
保護層の厚みは、例えば、望ましくは3μm以上40μm以下、より望ましくは5μm以上35μm以下、さらに望ましくは5μm以上15μm以下の範囲に設定される。
【0109】
[画像形成装置・プロセスカートリッジ]
図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、
図2に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(被転写媒体の一例)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(トナー除去手段の一例)とを備える。そして、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60が設けられている。
【0110】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0111】
−帯電装置−
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。
尚、帯電装置においては、接触型帯電器の方が感光体の前サイクルの画像履歴を消去する性能が高いため、接触型帯電器に比べ非接触方式の帯電器ではゴーストの発生がさらに顕著になりやすい傾向がある。
【0112】
−露光装置−
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
【0113】
−現像装置−
現像装置40は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置された現像ロール41が備えられた構成が挙げられる。現像装置40としては、2成分現像剤により現像する装置であれば、特に制限はなく、周知の構成が採用される。
【0114】
ここで、現像装置40に使用される現像剤は、トナーからなる一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤であってもよい。
【0115】
−転写装置−
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0116】
−クリーニング装置−
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシ73と、を含んで構成されている。また、クリーニングブラシ73には、例えば、固形状の潤滑剤74が接触して配置されている。
【0117】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印Aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
【0118】
帯電装置20によって表面が負に帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に潜像が形成される。
【0119】
電子写真感光体10における潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40(現像ロール41)により、潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0120】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印Aに方向にさらに回転すると、転写装置50によりトナー像は記録紙Pに転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0121】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置60でトナー像が定着される。
【0122】
なお、本実施形態に係る画像形成装置101は、例えば、
図3に示すように、筐体11内に、電子写真感光体10、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、及びクリーニング装置70を一体に収容させたプロセスカートリッジ101Aを備えた形態であってもよい。このプロセスカートリッジ101Aは、複数の部材を一体的に収容し、画像形成装置101に脱着させるものである。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えてえればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
【0123】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、転写装置50よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置20よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体10の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
尚、電子写真感光体の回転駆動方向において、転写装置50よりも下流側で帯電装置20よりも上流側の領域に、上記の第1除電装置や第2除電装置を有しない態様では、感光体の前サイクルの画像履歴の消去が除電手段によって行われないためゴーストの発生がさらに顕著になりやすい傾向がある。
【0124】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限れず、周知の構成、例えば、電子写真感光体10に形成したトナー像を中間転写体に転写した後、記録紙Pに転写する中間転写方式の画像形成装置を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0125】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例3及び4は、本発明に対する参考例として示すものである。
【0126】
<実施例1>
電荷発生材料としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料 3質量部と、結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)47質量部と、表1に示す電子輸送材料(1) 13質量部と、後述の化合物1で示される正孔輸送材料18質量部、後述の化合物2で示される正孔輸送材料19質量部、溶剤としてテトラヒドロフラン250質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散し、感光層形成用塗布液を得た。
この感光層形成用塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ245mmのアルミニウム基材上に塗布し、140℃、30分の乾燥硬化を行い、厚さ30μmの単層型の感光層を形成した。
以上の工程を経て、電子写真感光体を作製した。
【0127】
<実施例2〜9、比較例1〜9>
表1に従って、電子輸送材料、正孔輸送材料、結着樹脂、電荷発生材料の種類及び量、並びに単層型感光層の膜厚を変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。なお、表1中の「部」は質量部を示している。
【0128】
<評価>
各例で得られた電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0129】
−正帯電時の半減露光量、負帯電時の半減露光量の測定−
前述の方法により、感光層における正帯電時の半減露光量および負帯電時の半減露光量を測定し、正帯電時の半減露光量と負帯電時の半減露光量との比([負]/[正]比)を求めた。
【0130】
−ゴースト評価−
ゴースト評価を以下の方法により行った。brother社製HL−5340Dの露光光路に、透過率50%のNDフィルターを取り付け、この改造機に電子写真感光体を搭載し、20℃/40%の環境でゴースト画像を確認した。ゴースト評価用の画像として15mm角の四角パターンを感光体1周分任意の数だけ印字した後、次のサイクルで全面ハーフトーン画像を印字し、ハーフトーン画像上に浮き出たゴースト画像を以下の基準で評価した。
○:ゴーストの発生なし
ポジゴースト:ポジゴーストの発生あり
ネガゴースト:ネガゴーストの発生あり
【0131】
−濃度評価−
画像における濃度評価を以下の方法により行った。brother社製HL−5340Dの露光光路に、透過率50%のNDフィルターを取り付け、この改造機に電子写真感光体を搭載し、20℃/40%の環境でベタ画像を出力し、濃度をX−rite社製の濃度測定器X−rite04Aにより測定して判定した。
○:濃度十分で問題なし
×:濃度低下で問題あり
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、感光体の正帯電時の高感度化が図られて、優れた画像濃度が得られ、且つゴースト評価も良好な結果が得られたことがわかる。
【0135】
以下、表1中の略称の詳細について示す。
−電子・正孔輸送材料−
・電子輸送材料(1): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:C
7H
15である化合物
・電子輸送材料(2): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:C
8H
17である化合物
・電子輸送材料(3): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:C
5H
11である化合物
・電子輸送材料(4): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:n−C
4H
9である化合物
・電子輸送材料(5): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:n−C
11H
23である化合物
・電子輸送材料(6): 一般式(2)においてR
11乃至R
17:H、R
18:2−エチルヘキシル基である化合物
・電子輸送材料(7): 下記の構造(X)で示される化合物
・化合物1: 下記構造式で示される正孔輸送材料
・化合物2: 下記構造式で示される正孔輸送材料(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン)
【0136】
−結着樹脂−
・PCZ: ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)
【0137】
−電荷発生材料−
・HOGaPC(V型): Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=60m
2/g)
・ClGaPC: Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=780nm、平均粒径=0.15μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=56m
2/g)
・H
2PC(x型): 無金属フタロシアニン(フタロシアニン骨格の中心に2個の水素原子が配位したフタロシアニン)
【0138】
【化12】