特許第6019716号(P6019716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019716コンピュータ装置、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019716
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】コンピュータ装置、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20130101AFI20161020BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20161020BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161020BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20161020BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20161020BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G06F3/0481
   G06F3/0488 130
   G06F3/041 595
   G06F3/042 421
   G06Q50/20 300
   G09B5/02
【請求項の数】16
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-104551(P2012-104551)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-232149(P2013-232149A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】永田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】坂本 早苗
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048042(JP,A)
【文献】 特表2007−526532(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3174897(JP,U)
【文献】 特開2010−261989(JP,A)
【文献】 特開2003−107979(JP,A)
【文献】 特開2012−014237(JP,A)
【文献】 特開2011−175614(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/061584(WO,A2)
【文献】 特開2009−187193(JP,A)
【文献】 特開2009−070007(JP,A)
【文献】 特開2006−350367(JP,A)
【文献】 特開2012−206431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041− 3/0489
G06F 19/00
G06Q 10/00 −10/10
G06Q 30/00 −30/08
G06Q 50/00 −50/20
G06Q 50/26 −99/00
G09B 1/00 − 9/56
G09B 17/00 −19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、
を備え
前記表示制御手段は、前記第1手書きストローク描画画面上に、前記第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画像を表示させると共に、当該前記第1手書きストローク情報に対応する前記電子教材のページ又は単元の内容をサムネイルにて表示させることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、
を備え
前記表示制御手段は、第1表示手段に前記教材画面を表示させ、前記第1表示手段とは異なる第2表示手段に、前記第1手書きストローク描画画面又は前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項3】
電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、
を備え
前記表示制御手段は、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面のそれぞれに対応する異なるウィンドウを用いて、一の表示手段に、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記教材画面上に、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面のそれぞれを表示させるためのアイコン又はサムネイルを表示させ、
前記アイコン又は前記サムネイルが選択された場合に、前記教材画面に表示された電子教材のページ又は単元に対応する、前記第1手書きストローク描画画面又は前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記教材画面上に、複数の前記第2記入者の中から選択された記入者によって記入された手書きストロークを描画した、前記第2手書きストローク描画画面を表示させるためのアイコン又はサムネイルを表示させ、
前記アイコン又は前記サムネイルが選択された場合に、前記選択された記入者によって記入された手書きストロークを描画した前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、第1アプリケーションを用いて前記教材画面を表示させ、前記第1アプリケーションとは異なる第2アプリケーションを用いて前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、一のアプリケーションを用いて、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項8】
前記電子教材の内容に応じて発せられた音声を集音する集音手段を更に備え、
前記記憶制御手段は、前記集音手段によって集音された音声に対応する音声データを、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて更に記憶させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記教材画面上に、録音開始ボタン及び録音停止ボタンを表示させ、
前記記憶制御手段は、前記録音開始ボタンが選択されてから前記録音停止ボタンが選択されるまでの間に前記集音手段によって集音された音声に対応する音声データを記憶させることを特徴とする請求項に記載のコンピュータ装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記教材画面上に再生ボタンを表示させ、
前記再生ボタンが選択された場合に、前記記憶制御手段によって記憶された音声データを再生して、スピーカから音声を出力させる再生制御手段を更に備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のコンピュータ装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のコンピュータ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく光を出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタからの光が照射されるボードと、
前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく画像を表示させるディスプレイと、を備える情報処理システムであって、
前記コンピュータ装置は、
電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段によって関連付けられた、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を提示した教材画面を前記ディスプレイに表示させ、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを、前記プロジェクタにより前記ボードに投影表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
コンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく光を出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタからの光が照射されるボードと、を備える情報処理システムであって、
前記コンピュータ装置は、
電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段によって関連付けられた、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を提示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを、それぞれに対応する異なるウィンドウを用いて、前記プロジェクタにより前記ボードに投影表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
前記第1記入者によって使用され、コード化パターンを読み取って記入情報を生成する電子ペンを更に備え、
前記ボードの表面には、コード化パターンが形成されており、
前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記電子ペンによって生成された、前記ボードの表面に形成されたコード化パターンに関する記入情報を、前記第1手書きストローク情報として受信することを特徴とする請求項12又は13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記ボードは、接触位置を検知し、当該接触位置を示す検知信号を生成し、
前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記ボードによって生成された前記検知信号を、前記第1手書きストローク情報として受信することを特徴とする請求項12又は13に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記第2記入者によって使用され、コード化パターンを読み取って記入情報を生成する電子ペンを更に備え、
前記所定の用紙の表面には、コード化パターンが形成されており、
前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記電子ペンによって生成された、前記所定の用紙の表面に形成されたコード化パターンに関する記入情報を、前記第2手書きストローク情報として受信することを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子教材を用いた教育支援システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。例えば、特許文献1には、アノトペンが、用紙に印刷された所定のドットパターンを読み取って記入情報を生成し、当該記入情報を端末装置に送信することが記載されている。また、特許文献2には、ドットパターンに対向する電子ペンの角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能が記載されている。また、特許文献3には、電子ペンを用いた協働学習システムにおいて、電子ペンによって記入された各解答者の解答内容を描画する技術が記載されている。
【0003】
その他にも、本発明に関連する技術が非特許文献1に記載されている。非特許文献1には、教材を電子化した電子教材に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3872498号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特許第4873374号公報
【非特許文献】
【0005】
【特許文献4】教育出版ホーム>デジタル教科書「デジタル教科書」、[平成24年1月25日検索]、インターネット<URL:http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/info.rbz?ik=1&nd=2292>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子教材を用いた教育支援システムにおいて、電子教材の内容と、先生によって記入された板書と、生徒によって記入された解答や意見等とを、対比しながら学習できれば便宜である。そこで、本発明は、電子教材のページ又は単元に対して、先生によって記入された手書きストロークと、生徒によって記入された手書きストロークとを適切に関連付けることが可能なコンピュータ装置、プログラム及び情報処理システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点では、コンピュータ装置は、電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1手書きストローク描画画面上に、前記第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画像を表示させると共に、当該前記第1手書きストローク情報に対応する前記電子教材のページ又は単元の内容をサムネイルにて表示させる
上記のコンピュータ装置では、受信手段は、電子教材の内容を説明するために第1記入者によって所定のボード(ホワイトボードなど)に記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報を受信すると共に、電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報を受信する。電子教材は、教材を電子化したものであり、例えば電子教科書である。また、第1記入者は例えば先生であり、第2記入者は例えば生徒である。記憶制御手段は、受信手段によって受信された第1手書きストローク情報及び第2手書きストローク情報を、電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる。これにより、電子教材のページ又は単元に対して、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを適切に関連付けることが可能となる。また、電子教材の内容と、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを、対比しながら学習することが可能となる。
【0008】
本発明の他の観点では、コンピュータ装置は、電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、第1表示手段に前記教材画面を表示させ、前記第1表示手段とは異なる第2表示手段に、前記第1手書きストローク描画画面又は前記第2手書きストローク描画画面を表示させる
上記のコンピュータ装置では、受信手段は、電子教材の内容を説明するために第1記入者によって所定のボード(ホワイトボードなど)に記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報を受信すると共に、電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報を受信する。電子教材は、教材を電子化したものであり、例えば電子教科書である。また、第1記入者は例えば先生であり、第2記入者は例えば生徒である。記憶制御手段は、受信手段によって受信された第1手書きストローク情報及び第2手書きストローク情報を、電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる。これにより、電子教材のページ又は単元に対して、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを適切に関連付けることが可能となる。また、電子教材の内容と、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを、対比しながら学習することが可能となる。
【0009】
本発明の他の観点では、コンピュータ装置は、電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段によって関連付けて記憶された、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を表示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面のそれぞれに対応する異なるウィンドウを用いて、一の表示手段に、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させる
上記のコンピュータ装置では、受信手段は、電子教材の内容を説明するために第1記入者によって所定のボード(ホワイトボードなど)に記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報を受信すると共に、電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報を受信する。電子教材は、教材を電子化したものであり、例えば電子教科書である。また、第1記入者は例えば先生であり、第2記入者は例えば生徒である。記憶制御手段は、受信手段によって受信された第1手書きストローク情報及び第2手書きストローク情報を、電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる。これにより、電子教材のページ又は単元に対して、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを適切に関連付けることが可能となる。また、電子教材の内容と、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを、対比しながら学習することが可能となる。
【0010】
上記のコンピュータ装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記教材画面上に、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面のそれぞれを表示させるためのアイコン又はサムネイルを表示させ、前記アイコン又は前記サムネイルが選択された場合に、前記教材画面に表示された電子教材のページ又は単元に対応する、前記第1手書きストローク描画画面又は前記第2手書きストローク描画画面を表示させる。これにより、教材画面に表示された電子教材のページ又は単元に対応する第1手書きストローク描画画面又は第2手書きストローク描画画面を、容易に表示させることができる。
【0011】
上記のコンピュータ装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記教材画面上に、複数の前記第2記入者の中から選択された記入者によって記入された手書きストロークを描画した、前記第2手書きストローク描画画面を表示させるためのアイコン又はサムネイルを表示させ、前記アイコン又は前記サムネイルが選択された場合に、前記選択された記入者によって記入された手書きストロークを描画した前記第2手書きストローク描画画面を表示させる。これにより、選択した記入者によって記入された手書きストロークについての第2手書きストローク描画画面を、速やかに表示させることができる。
【0015】
好適な例では、前記表示制御手段は、第1アプリケーションを用いて前記教材画面を表示させ、前記第1アプリケーションとは異なる第2アプリケーションを用いて前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させる。
【0016】
他の好適な例では、前記表示制御手段は、一のアプリケーションを用いて、前記教材画面、前記第1手書きストローク描画画面及び前記第2手書きストローク描画画面を表示させる。
【0017】
上記のコンピュータ装置の他の一態様では、前記電子教材の内容に応じて発せられた音声を集音する集音手段を更に備え、前記記憶制御手段は、前記集音手段によって集音された音声に対応する音声データを、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて更に記憶させる。この態様によれば、電子教材の内容を説明するために先生が発した音声などを、電子教材のページ又は単元に適切に関連付けることが可能となる。
【0018】
上記のコンピュータ装置において好適には、前記表示制御手段は、前記教材画面上に、録音開始ボタン及び録音停止ボタンを表示させ、前記記憶制御手段は、前記録音開始ボタンが選択されてから前記録音停止ボタンが選択されるまでの間に前記集音手段によって集音された音声に対応する音声データを記憶させる。また、好適には、前記表示制御手段は、前記教材画面上に再生ボタンを表示させ、前記再生ボタンが選択された場合に、前記記憶制御手段によって記憶された音声データを再生して、スピーカから音声を出力させる再生制御手段を更に備える。
【0019】
本発明の他の観点では、プログラムは、上記コンピュータ装置として機能させる。当該プログラムを実行することにより、上記のコンピュータ装置を実現することができる。
【0020】
本発明の更に他の観点では、情報処理システムは、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく光を出射するプロジェクタと、前記プロジェクタからの光が照射されるボードと、前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく画像を表示させるディスプレイと、を備え、前記コンピュータ装置は、電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段によって関連付けられた、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を提示した教材画面を前記ディスプレイに表示させ、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを、前記プロジェクタにより前記ボードに投影表示させる表示制御手段と、を備える。上記の情報処理システムによれば、電子教材の内容と、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを、対比しながら学習することが可能となる。
【0021】
なお、本明細書では、「ボード」には、純粋な意味での「板」だけでなく、「シート」も含まれるものとする(以下同様とする)。
【0022】
本発明の更に他の観点では、情報処理システムは、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信される画像信号に基づく光を出射するプロジェクタと、前記プロジェクタからの光が照射されるボードと、を備え、前記コンピュータ装置は、電子教材の内容を説明するために所定のボードに第1記入者によって記入された、手書きストロークに関する第1手書きストローク情報と、前記電子教材の内容を学習するための所定の用紙に対して第2記入者によって記入された、手書きストロークに関する第2手書きストローク情報とを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1手書きストローク情報及び前記第2手書きストローク情報を、前記電子教材のページ又は単元に関連付けて記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段によって関連付けられた、前記電子教材のページ又は単元、前記第1手書きストローク情報、及び前記第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ又は当該単元の内容を提示した教材画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第1手書きストローク描画画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した第2手書きストローク描画画面とを、それぞれに対応する異なるウィンドウを用いて、前記プロジェクタにより前記ボードに投影表示させる表示制御手段と、を備える。上記の情報処理システムによっても、電子教材の内容と、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを、対比しながら学習することが可能となる。
【0023】
上記の情報処理システムの一態様では、前記第1記入者によって使用され、コード化パターンを読み取って記入情報を生成する電子ペンを更に備え、前記ボードの表面には、コード化パターンが形成されており、前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記電子ペンによって生成された、前記ボードの表面に形成されたコード化パターンに関する記入情報を、前記第1手書きストローク情報として受信する。
【0024】
上記の情報処理システムの他の一態様では、前記ボードは、接触位置を検知し、当該接触位置を示す検知信号を生成し、前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記ボードによって生成された前記検知信号を、前記第1手書きストローク情報として受信する。例えば、当該ボードとしては、感圧式ボードや電磁式ボードを用いることができる。
【0025】
上記の情報処理システムの他の一態様では、前記第2記入者によって使用され、コード化パターンを読み取って記入情報を生成する電子ペンを更に備え、前記所定の用紙の表面には、コード化パターンが形成されており、前記コンピュータ装置の前記受信手段は、前記電子ペンによって生成された、前記所定の用紙の表面に形成されたコード化パターンに関する記入情報を、前記第2手書きストローク情報として受信する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子教材のページ又は単元に対して、先生などによって記入された手書きストロークと、生徒などによって記入された手書きストロークとを適切に関連付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る情報処理システムのシステム構成図である。
図2】本実施形態に係るワークシートの一例を示す。
図3】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
図4】(a)はドットパターンを模式的に示し、(b)はそれに対応する情報の例を示す図である。
図5】電子ペンの構造を示す概略図である。
図6】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
図7】各生徒によって記入された解答のデータを、電子教科書のページ番号に関連付けたデータの一例を示す。
図8】本実施形態に係る電子教科書画面の一例を示す。
図9】本実施形態に係る電子板書画面の一例を示す。
図10】本実施形態に係るワークシート画面の一例を示す。
図11】選択ユーザ表示ボタンが選択された場合に表示されるワークシート画面の一例を示す。
図12】変形例1に係る電子教科書画面を示す。
図13】変形例2に係る板書画面を示す。
図14】変形例3に係る情報処理システムのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
[情報処理システムの構成]
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10のシステム構成図である。図1に示すように、情報処理システム10は、先生及び複数の生徒によって使用される電子ペン1A、1B、…(1)と、複数の生徒それぞれに配布されるワークシート2A、2B、…(2)と、先生によって使用される教科書3と、電子ペン1によって生成された記入情報などに基づいて種々の処理(詳細は後述する)を行うコンピュータ装置4と、コンピュータ装置4によって生成された画像に基づく光を出射するプロジェクタ5と、プロジェクタ5から出射された光が照射されるホワイトボード6と、コンピュータ装置4によって生成された画像を表示する大画面のタッチパネルディスプレイ7と、コンピュータ装置4からの印刷指示(出力命令)に従って印刷を行うプリンタ8とを有する。なお、図1ではコンピュータ装置4がディスプレイを有していないが、コンピュータ装置4がディスプレイを有していても良い。
【0033】
電子ペン1は、アノトペンなどを利用することができ、ドットパターン(コード化パターン)を読み取って記入情報を生成する。電子ペン1は、生成した記入情報を、Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式でコンピュータ装置4に送信する。ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6の表面には、電子ペン1により読み取り可能な、それぞれで座標範囲の異なるユニークなドットパターン(コード化パターン)が形成されている。ワークシート2は、生徒が電子ペン1で意見や解答などを記入するために用いられる。ホワイトボード6は、先生が電子ペン1で板書を記入するために用いられる。
【0034】
コンピュータ装置4は、先生が使用する電子ペン1によって生成された記入情報に基づいて、当該電子ペン1によってホワイトボード6に記入された手書きストローク(板書に相当する)を描画した画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。また、コンピュータ装置4は、生徒が使用する電子ペン1によって生成された記入情報に基づいて、当該電子ペン1によってワークシート2に記入された手書きストローク(意見や解答などに相当する)を描画した画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。更に、コンピュータ装置4は、電子教科書をタッチパネルディスプレイ7に表示させる。
【0035】
[ワークシート]
次に、本実施形態に係るワークシート2について具体的に説明する。ワークシート2は、電子教科書の内容を学習するために用いられ、電子教科書のページ又は単元の内容ごとに用意される。例えば、ワークシート2は、電子教科書のページ又は単元の内容に応じた問題やテーマ等に対する解答や意見等を生徒に記入させるために用いられる。ワークシート2は、予め電子教科書に設定されている場合もあるし、先生によって作成される場合もある。
【0036】
図2は、本実施形態に係るワークシート2の一例を示している。図2に示すように、ワークシート2には、解答や意見などを記入するための記入欄2a、2bと、学年、組及び氏名を記入するための記入欄2cとが設けられている。記入欄2a、2b、2cには、それぞれで座標範囲の異なるユニークなドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。他方で、ワークシート2においては、文字や枠線などは、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
【0037】
なお、ワークシート2は、各生徒に配布するために複数枚用意するが、複数枚のワークシート2に、互いにユニークなドットパターンを印刷しても良いし、電子ペン1が送信するペンIDによって生徒が識別できるため、各ワークシート2の同じ領域に対し同じドットパターンを印刷しても良い。
【0038】
[ドットパターン]
次に、図3及び図4を参照しながら、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。図3は、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に印刷されたドットパターンのドットと、そのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組み合わせにより、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6上の位置座標が決定されるように構成されている。
【0039】
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6上のどの部分から6×6ドットを取っても、ユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがワークシート2、教科書3及びホワイトボード6上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて、対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0040】
[電子ペン]
次に、電子ペン1について図5を用いて説明する。図5は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111、及びバッテリー112を備える。
【0041】
インクカートリッジ104の先端はペン先部103となっており、記入者(先生又は生徒である。以下同様とする。)は、電子ペン1のペン先部103をワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に当接させて、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6にストローク(手書きストローク)を記入したり、電子ペン1のペン先部103をワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に当接させて、タップ(ペン先部103による軽叩)したりする。インクカートリッジ104のインクは、赤外線を吸収する材料(例えばカーボン)を含まないようにする。ここで、電子ペン1のペン先部103がワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。インクカートリッジ104のインクは、赤外線を吸収する材料を含まないので、プロセッサ103によるドットパターンの読取りを阻害しない。
【0042】
バッテリー112は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、記入者が電子ペン1によりワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に手書きストロークを記入したりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0043】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、記入者が電子ペン1によりワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に手書きストロークを記入したりタップしたりすると、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、記入者が記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報PDと、後述するペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置4へ送信する。また、記入者が1つのストロークを記入し終えて電子ペン1をワークシート2、教科書3及びホワイトボード6から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置4へ送信する。
【0044】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103がワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106は、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。したがって、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6に文字や枠線などが印刷されていた場合でも、印刷したインクは赤外域に吸収性を持たないため、プロセッサ108は、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0045】
プロセッサ108は、記入者の記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、記入者が記入するストローク(筆跡)のワークシート2、教科書3及びホワイトボード6上におけるX、Y座標(以後、単に「位置座標」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際、その機能を発揮させる。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6における6×6のドットパターンは、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6内で重複することはないため、記入者が電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がワークシート2、教科書3及びホワイトボード6のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0046】
メモリ109には、各電子ペン1A〜1Dを識別するためのそれぞれのペンID「pen01」〜「pen04」、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置4へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置4への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置4に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置4により手書きストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置4は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。
【0047】
[コンピュータ装置]
次に、コンピュータ装置4について説明する。コンピュータ装置4は、ハードウェアとして、CPU等のプロセッサや、ROMやRAMといったメモリ等で構成されるパーソナルコンピュータである。図6は、コンピュータ装置4の機能ブロック図である。コンピュータ装置4は、機能的には、マイク41、受信手段42、スピーカ43、処理手段44、記憶手段45、インターフェース47、48と、印刷出力手段49を備える。
【0048】
受信手段42は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、処理手段44に伝送する。インターフェース47は、プロジェクタ5に接続されており、処理手段44によって生成された画像信号をプロジェクタ5に送信する。インターフェース48は、タッチパネルディスプレイ7に接続されており、処理手段44によって生成された画像信号をタッチパネルディスプレイ7に送信する。また、インターフェース48は、タッチパネルディスプレイ7に対するタッチに関する情報を、タッチパネルディスプレイ7から受信する。印刷出力手段49は、処理手段44からの印刷指示(出力命令)をプリンタ8に送信する。例えば、印刷出力手段49は、ドットパターンを付したワークシート2を複数印刷させるための印刷指示をプリンタ8に送信する。なお、プリンタ8へのデータ送信方式は、有線式であっても無線式であってもよい。
【0049】
マイク41は、「集音手段」として機能し、音声を集音する。マイク41によって集音された音声に対応する音声データは、処理手段44による制御の元、記憶手段45に記憶される。スピーカ43は、処理手段44による制御の元、記憶手段45に記憶された音声データを再生した音声を出力する。
【0050】
記憶手段45は、ハードディスクやROM、RAMといったメモリによって構成される。記憶手段45は、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6のそれぞれに形成された座標範囲に関する座標定義情報を記憶している。つまり、記憶手段45は、ワークシート2、教科書3及びホワイトボード6と、それらの各々に割り当てられたドットパターンの座標範囲とを対応付けた座標定義情報を記憶している。ドットパターンの座標範囲は、矩形の角の位置座標(Xn,Yn)、高さ(H)、幅(W)によって規定される。
【0051】
また、記憶手段45は、ワークシート2のデータを記憶している。ワークシート2が電子教科書に予め設定されたものである場合には、記憶手段45は、電子教科書に設定されたワークシート2のデータを記憶している。他方で、ワークシート2が先生によって作成されたオリジナルである場合には、記憶手段45は、先生によって作成されたワークシート2のデータを記憶している。例えば、記憶手段45は、電子教科書のページ又は単元ごとに、ワークシート2のデータを記憶している。
【0052】
更に、記憶手段45は、処理手段44の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶し、さらに、処理手段44の指示により、記憶領域を確保して、ペンダウンからペンアップまでの記入情報に含まれる座標属性情報を手書きストローク情報としてペンID毎に記憶する。加えて、記憶手段45は、マイク41によって集音された音声に対応する音声データを記憶する。上記以外にも、記憶手段45は、処理手段44の指示により、プログラムの実行により生成される各種情報を記憶する。
【0053】
処理手段44は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置4の全体の制御を行う。具体的には、処理手段44は、記憶制御手段441、表示制御手段442及び再生制御手段443を有する。記憶制御手段441は、受信手段42によって受信された、電子ペン1によるホワイトボード6及びワークシート2への記入に対応する記入情報に基づいて、先生によって電子ペン1でホワイトボード6に記入された手書きストロークに対応する情報(第1手書きストローク情報)と、生徒によって電子ペン1でワークシート2に記入された手書きストロークに対応する情報(第2手書きストローク情報)とを、電子教科書のページ又は単元に関連付けて記憶手段45に記憶させる。つまり、記憶制御手段441は、電子教科書のページ又は単元に関連付けて、先生によって記入された板書のデータと、生徒によって記入された解答や意見等のデータとを記憶手段45に記憶させる。具体的には、記憶制御手段441は、電子教科書のページ番号ごとに、板書のデータ及び解答や意見等のデータを関連付けて記憶させる、若しくは、電子教科書の単元ごとに、板書のデータ及び解答や意見等のデータを関連付けて記憶させる。前者を採用する場合、記憶制御手段441は、例えば単元の最初のページ番号(単元の最後のページ番号でも良い)ごとに、板書のデータ及び解答や意見等のデータを関連付けて記憶させる。加えて、記憶制御手段441は、マイク41によって集音された音声に対応する音声データを、電子教科書のページ又は単元に関連付けて記憶手段45に記憶させる。つまり、記憶制御手段441は、電子教科書のページ又は単元を説明するために先生によって発せられた音声に対応する音声データを、電子教科書のページ又は単元に関連付けて記憶させる。
【0054】
なお、以下では、説明を分かり易くするために、ページ番号に関連付けて板書のデータ、解答のデータ及び音声データを記憶させる場合を代表例として説明を行う。よって、以下で説明する処理などは、単元に関連付けて板書のデータ、解答のデータ及び音声データを記憶させる場合にも同様に適用される。
【0055】
図7は、各生徒によって記入された解答のデータを、電子教科書のページ番号に関連付けたデータの一例を示している。図7に示すように、各生徒によって記入された解答のデータは階層構造状に記憶手段45に記憶される。具体的には、各生徒によって記入された解答のデータ(ファイル)はページ番号ごとに分けられたフォルダに格納され、各ページ番号のフォルダは科目ごとに分けられたフォルダに格納され、各科目のフォルダはクラスごとに分けられたフォルダに格納され、各クラスのフォルダは学年ごとに分けられたフォルダに格納される。
【0056】
図6に戻って、処理手段44の表示制御手段442について説明する。表示制御手段442は、記憶制御手段441によって関連付けて記憶された、電子教科書のページ番号、第1手書きストローク情報及び第2手書きストローク情報に基づいて、当該ページ番号の内容を表示した画面と、当該第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画面と、当該第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画面とを表示させる。電子教科書の内容を表示した画面は、本発明における「教材画面」に相当し、以下では「電子教科書画面」と呼ぶ。第1手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画面は、本発明における「第1手書きストローク描画画面」に相当し、以下では「板書画面」と呼ぶ。第2手書きストローク情報に対応する手書きストロークを描画した画面は、本発明における「第2手書きストローク描画画面」に相当し、以下では「ワークシート画面」と呼ぶ。
【0057】
具体的には、表示制御手段442は、電子教科書画面についてはタッチパネルディスプレイ7に表示させ、板書画面及びワークシート画面については、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。この場合、表示制御手段442は、電子教科書画面の情報については、インターフェース48を介してタッチパネルディスプレイ7に送信し、板書画面の情報及びワークシート画面の情報については、インターフェース47を介してプロジェクタ5に送信する。なお、プロジェクタ5及びホワイトボード6は本発明における「第1表示手段」の一例に相当し、タッチパネルディスプレイ7は本発明における「第2表示手段」の一例に相当する。
【0058】
また、表示制御手段442は、電子教科書画面と、板書画面及びワークシート画面とで、異なるアプリケーションを用いて表示を行う。具体的には、表示制御手段442は、電子教科書画面については、電子教科書のデータを表示させることを主目的としたアプリケーション(第1アプリケーション)を用いて表示を行い、板書画面及びワークシート画面については、手書きストロークを描画することを主目的としたアプリケーション(第2アプリケーション)を用いて表示を行う。
【0059】
更に、表示制御手段442は、電子教科書画面上に、板書画面を表示させるためのアイコン(以下では「第1アイコン」と呼ぶ。)と、ワークシート画面を表示させるためのアイコン(以下では「第2アイコン」と呼ぶ。)とを表示させる。表示制御手段442は、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上の第1アイコンがタッチされた場合には、当該電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に対応する板書画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。これに対して、表示制御手段442は、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上の第2アイコンがタッチされた場合には、当該電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に対応するワークシート画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。なお、表示制御手段442は、このように第1アイコン又は第2アイコンがタッチされた場合、第2アプリケーションを起動させて、板書画面又はワークシート画面を表示させる。
【0060】
また、表示制御手段442は、電子教科書画面上に、音声の録音を開始するための録音開始ボタンと、音声の録音を停止するための録音停止ボタンと、録音された音声を再生するための再生ボタンとを表示させる。マイク41は、録音開始ボタンが選択された際に音声の集音を開始し、録音停止ボタンが選択された際に音声の集音を停止する。そして、記憶制御手段441は、このように録音開始ボタンが選択されてから録音停止ボタンが選択されるまでの間にマイク41によって集音された音声に対応する音声データを、記憶手段45に記憶させる。他方で、再生ボタンが選択された場合、処理手段44の再生制御手段443は、記憶手段45に記憶された音声データを再生して、スピーカ43から音声を出力させる。
【0061】
更に、表示制御手段442は、電子ペン1による教科書3への記入に対応する記入情報に基づいて、先生によって電子ペン1で教科書3に記入された手書きストロークを、電子教科書画面上に描画させる。つまり、表示制御手段442は、電子教科を示す画像上に、先生によって電子ペン1で教科書3に記入された手書きストロークを描画した画像を表示させる。
【0062】
[表示画面例]
次に、上記した電子教科書画面、板書画面及びワークシート画面の具体例について説明する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る電子教科書画面の一例を示している。図8に示すように、処理手段44の表示制御手段442は、電子教科についての画像201と、板書画面を表示させるための第1アイコン202と、ワークシート画面を表示させるための複数の第2アイコン203と、録音開始ボタン205と、録音停止ボタン206と、再生ボタン207とを、電子教科書画面上に表示させる。表示制御手段442は、第1アプリケーションを用いて、このような電子教科書画面をタッチパネルディスプレイ7に表示させる。
【0064】
第1アイコン202は、電子教科書画面において開かれている電子教科書のページ番号に対応する板書画面を表示させるためのアイコンである。つまり、第1アイコン202は、電子教科書画面に表示されたページ番号の電子教科書の内容を説明するために、先生が電子ペン1でホワイトボード6に記入した手書きストロークを描画した画面を表示させるためのアイコンである。第2アイコン203は、電子教科書画面において開かれている電子教科書のページ番号に対応するワークシート画面を表示させるためのアイコンである。つまり、第2アイコン203は、電子教科書画面に表示されたページ番号の電子教科書の内容を学習するためのワークシート2に、生徒が電子ペン1で記入した手書きストロークを描画した画面を表示させるためのアイコンである。このような第1アイコン202及び第2アイコン203を電子教科書画面に表示させることで、タッチパネルディスプレイ7をタッチすることで、電子教科書画面において開かれている電子教科書のページ番号に対応する板書画面及びワークシート画面を容易に表示させることができる。
【0065】
録音開始ボタン205は、音声の録音を開始するためのボタンであり、録音停止ボタン206は、音声の録音を停止するためのボタンであり、再生ボタン207は、録音された音声を再生するためのボタンである。タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面において、録音開始ボタン205がタッチされた際にマイク41は音声の集音を開始し、録音停止ボタン206がタッチされた際にマイク41は音声の集音を停止する。つまり、マイク41は、録音開始ボタン205がタッチされてから録音停止ボタン206がタッチされるまでの間に、電子教科書のページの内容を説明するために先生によって発せられた音声を集音する。そして、記憶制御手段441は、このようにマイク41によって集音された音声に対応する音声データを、記憶手段45に記憶させる。具体的には、記憶制御手段441は、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けて、音声データを記憶手段45に記憶させる。他方で、再生ボタン207がタッチされた場合、処理手段44の再生制御手段443は、記憶手段45に記憶された音声データを再生して、スピーカ43から音声を出力させる。具体的には、再生制御手段443は、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けて記憶された音声データを再生する。
【0066】
なお、ワークシート2が電子教科書に予め設定されたものである場合には、電子教科書のほうで設定されたアイコンが第2アイコン203として表示される。他方で、ワークシート2が先生によって作成されたオリジナルである場合には、例えば、そのワークシート2のデータに対応するファイルを貼り付けたものが第2アイコン203として表示される。
【0067】
なお、図8では複数の第2アイコン203が表示されているが、複数の第2アイコン203を用いることに限定はされず、1つの第2アイコン203を用いても良い。また、第1アイコン202を用いる代わりに、板書画面を縮小表示させたサムネイルを用いても良いし、第2アイコン203を用いる代わりに、ワークシート画面を縮小表示させたサムネイルを用いても良い。つまり、板書画面に対応するサムネイルがタッチされた場合に板書画面を表示させることとしても良いし、ワークシート画面に対応するサムネイルがタッチされた場合にワークシート画面を表示させることとしても良い。
【0068】
次に、図9を参照して、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上の第1アイコン202がタッチされた場合に表示される板書画面について説明する。処理手段44の表示制御手段442は、電子教科書画面上の第1アイコン202がタッチされた場合に、第2アプリケーションを起動させて、当該電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に対応する板書画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。つまり、表示制御手段442は、電子教科書画面に表示されたページ番号の電子教科書の内容を説明するために先生が電子ペン1でホワイトボード6に記入した手書きストロークを描画した画面を表示させる。表示制御手段442は、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けられた板書のデータが記憶手段45に記憶されていない場合、つまり未だ電子ペン1でホワイトボード6に手書きストロークが記入されていない場合には、図9(a)に示すような板書画面を表示させる。これに対して、表示制御手段442は、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けられた板書のデータが記憶手段45に記憶されている場合には、図9(b)に示すような板書画面を表示させる。つまり、表示制御手段442は、符号250に示すように、先生が電子ペン1でホワイトボード6に記入した手書きストロークを描画した板書画面を表示させる。
【0069】
また、表示制御手段442は、このように板書画面を表示した際に、先生によって電子ペン1でホワイトボード6に手書きストロークが記入された場合に、その記入に対応する記入情報に基づいて、手書きストロークを板書画面上に描画させる。この場合、表示制御手段442は、全ての手書きストロークを画面内に描画しきれない場合には、新たなページを作成して手書きストロークを描画させたり、スクロールバーを有効にして複数ページにわたって手書きストロークを描画させたりする。なお、このように板書画面上に手書きストロークを描画させる場合、ホワイトボード6の領域内の座標値から、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示される領域内の座標値へ座標変換するための座標変換関数を事前に求めておく必要がある。
【0070】
他方で、処理手段44の記憶制御手段441は、上記のようにして先生によって記入された手書きストロークについての手書きストローク情報を、板書のデータとして、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けて記憶手段45に記憶させる。この場合、記憶制御手段441は、電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に関連付けられた板書のデータが既に記憶手段45に記憶されている場合には、新たに記入された手書きストロークについての手書きストローク情報によって、既に記憶されている板書のデータを更新する。
【0071】
次に、図10及び図11を参照して、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上の第2アイコン203がタッチされた場合に表示されるワークシート画面について説明する。処理手段44の表示制御手段442は、電子教科書画面上の第2アイコン203がタッチされた場合に、第2アプリケーションを起動させて、当該電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に対応するワークシート画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。
【0072】
図10は、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上の第2アイコン203がタッチされた場合に表示されるワークシート画面の一例を示している。図10に示すように、表示制御手段442は、タッチされた第2アイコン203に対応するワークシート2のデータを記憶手段45から読み出して、当該ワークシート2を示すワークシート画像271を、ワークシート画面内の表示領域50に表示させる。表示制御手段442は、表示すべきワークシート画像271が表示領域50よりも大きい場合には、横スクロールバー51及び縦スクロールバー52を有効とし、表示領域50をスクロールすることでワークシート画像271の全体を複数回に分けて表示できるようにする。
【0073】
また、表示制御手段442は、ワークシート画面の上部に、機能ボタンとして、選択ユーザ表示ボタン53、比較一覧表示ボタン54、再生表示ボタン56、選択画像出力ボタン57、表示サイズ変更リスト58、縮小表示ボタン59、拡大表示ボタン60、ページ送りボタン61、62、回転表示ボタン63、64、及びユーザコントロール表示ボタン65などを表示し、機能ボタンの選択により、それぞれの処理を実行する。
【0074】
選択ユーザ表示ボタン53は、ユーザ選択リスト69から選択された1つのユーザ名に対応する手書きストローク情報のみを表示させるボタンである。比較一覧表示ボタン54は、複数のユーザ名に対応する手書きストローク情報を同時に並べて一覧表示するためのボタンである。再生表示ボタン56は、手書きストローク情報を1ストロークずつ再生表示するためのボタンである。選択画像出力ボタン57は、任意選択範囲がある場合にその範囲内の手書きストローク情報を、画像データとして出力するためのボタンである。この機能を設けることで、各生徒の記入情報から、参考となる模範解答集などを容易に作成できるようになる。
【0075】
表示サイズ変更リスト58は、現在、表示領域50に表示させる画像の表示サイズを示すリストであり、プルダウンメニューの中から表示サイズを任意に選択し、変更できる。縮小表示ボタン59は、表示領域50に描画する手書きストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で縮小する機能である。拡大表示ボタン60は、表示領域50に描画する手書きストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で拡大する機能である。ページ送りボタン61、62は、ワークシート2のセットが複数枚に及ぶ場合に、異なるページアドレス(用紙ドットパターン)のワークシート2を表示するためのボタンである。回転表示ボタン63、64は、表示領域50に描画する手書きストローク情報を90度ずつ回転させるためのボタンである。このような機能を設けることで、表示上の用紙向きを簡単に変更できる。ユーザコントロール表示ボタン65は、ユーザコントロールリスト68の表示・非表示を切り替える機能である。非表示にすることで、表示領域50を拡大できる。
【0076】
また、図10に示すように、ユーザコントロールリスト68には、ユーザ選択リスト69、色分類ボタン71〜76、名簿順ソートボタン78、色順ソートボタン79、分類グラフ表示ボタン81、リロードボタン82などが表示される。
【0077】
ユーザ選択リスト69は、表示領域50に表示する手書きストローク情報を、ユーザ名で選択するためのリストである。ユーザ選択リスト69は、ユーザ色(分類)情報表示欄691と、ユーザ名表示欄692と、キーワード表示欄693とを備える。表示制御手段442は、電子ペン1から取得して解答データとして記憶手段45に記憶された手書きストローク情報ごとに関連付けられているユーザIDに対応するユーザ名をユーザ名表示欄692に表示し、色分類ボタン71〜76によって選択されたユーザ色(分類)情報をユーザ色(分類)情報表示欄691に表示し、キーワード等の各ユーザの情報をキーワード表示欄693に表示する。ユーザ選択リスト69のユーザ名表示欄692には、表示制御手段442により、記憶手段45に記憶した解答データのユーザIDに対応するユーザ名が表示される。
【0078】
そして、ユーザ選択リスト69から所望のユーザが選択された状態で選択ユーザ表示ボタン53が選択されると、表示制御手段442は、表示領域50に、選択された生徒の手書きストローク情報を表示させる。なお、コンピュータ装置4の操作者は、ユーザ選択リスト69のキーワードの欄に、キーボードなどを用いて直接文字を入力することができ、処理手段44は、入力された文字を個人学習データファイルのキーワード情報として記憶手段45におけるユーザID別の格納領域に記憶させる。
【0079】
色分類ボタン71〜76は、ユーザ選択リスト69に表示されている生徒ごとにユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。ボタン71は赤色に、ボタン72は青色に、ボタン73は黄色に、ボタン74は緑色に、ボタン75は茶色に、ボタン76は白色にユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。コンピュータ装置4の操作者は、ユーザ選択リスト69内の特定のユーザ名を選択し、色分類ボタン71〜76のうち所望のボタンを選択すると、表示制御手段442は、ユーザ選択リスト69内の選択されたユーザ名のユーザ色(分類)情報表示欄691を指定された色で表示する。この機能により、操作者である先生が、表示領域50に表示される生徒の解答内容を見て、その考え方などをカテゴリー分けして色をつけ、見易くすることができる。なお、ユーザ色(分類)情報は、未設定時は、白色に設定しておくとよい。
【0080】
名簿順ソートボタン78は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、名簿番号順に並べ替えるためのボタンである。色順ソートボタン79は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、色分類ボタン71〜76の操作によって付されたユーザ色(分類)情報が同じ生徒同士を連続して配列されるように、ユーザ色(分類)情報順に並べ替えるためのボタンである。分類グラフ表示ボタン81は、色分類ボタン71〜76の操作によって付されたユーザ色情報別のユーザ数を、表示領域50に棒グラフ等で表示するためのボタンである。
【0081】
リロードボタン82は、ユーザ選択リスト69において選択されている生徒の手書きストローク情報を、解答データのファイル保存時の状態まで戻すためのボタンである。この機能により、操作者である先生が、リロードボタン82を選択すると、表示制御手段442は、選択されている生徒に関連付けられているユーザIDに基づいて、前回のファイル保存以降に電子ペン1より受信して記憶手段45のユーザID別の格納領域に記憶した手書きストローク情報をクリアして、前回ファイル保存した時点までの手書きストローク情報を読み出し、表示領域50に表示する。この機能により、個々の生徒が解答をやり直したい場合などに対応できる。
【0082】
図11は、上記した選択ユーザ表示ボタン53が選択された場合に表示されるワークシート画面の一例を示している。図11に示すように、表示制御手段442は、選択ユーザ表示ボタン53が選択された場合に、ユーザ選択リスト69を用いて選択された生徒(図11に示す例では「太郎」)によって電子ペン1でワークシート2に記入された手書きストローク情報(つまり解答データ)を記憶手段45から読み出して、当該手書きストローク情報を示す手書きストローク描画画像272を、ワークシート画面内の表示領域50に表示させる。つまり、表示制御手段442は、ワークシート2を示す画像上に、選択された生徒によって電子ペン1で記入された手書きストロークを描画した画像を、手書きストローク描画画像272として表示させる。
【0083】
[本実施形態による作用効果]
以上説明したように、本実施形態では、電子教科書画面をタッチパネルディスプレイ7に表示させると共に、当該電子教科書画面に表示された電子教科書のページ番号に対応する板書画面及びワークシート画面を、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示させる。これにより、電子教科書の内容と、先生によって記入された板書と、生徒によって記入された解答等とを、対比しながら学習することが可能となる。
【0084】
[変形例]
以下では、上記した実施形態の変形例について説明する。なお、下記の変形例は、任意に組み合わせて実施形態に適用することができる。また、以下では、実施形態と異なる構成について主に説明を行い、実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。つまり、特に説明しない構成要素や処理などについては、実施形態と同様であるものとする。
【0085】
(変形例1)
図12は、変形例1においてタッチパネルディスプレイ7に表示される電子教科書画面を示している。図12に示すように、変形例1では、処理手段44の表示制御手段442は、先生により選択された生徒(図12に示す例では「太郎」)によって記入された解答を含むワークシート画面を表示させるためのアイコン204を、電子教科書画面上に更に表示させる。そして、表示制御手段442は、アイコン204がタッチされた場合、第2アプリケーションを起動させて、選択された生徒によって電子ペン1でワークシート2に記入された手書きストローク情報(つまり解答データ)を記憶手段45から読み出して、当該手書きストローク情報を示す手書きストローク描画画像を、ワークシート画面内の表示領域50に表示させる。
【0086】
このようなアイコン204は、解答のデータのファイルをドラッグ&ドロップ(言い換えるとコピー&ペースト)することで、電子教科書画面上に表示される。つまり、アイコン204は、選択された生徒によって記入された解答のデータを表示させるためのショートカットアイコンに相当する。好ましくは、選択された生徒によって記入された解答のデータのファイルを貼り付けるための領域を、電子教科書画面上に設けておくと良い。
【0087】
以上説明した変形例1によれば、アイコン204を電子教科書画面上に表示させることで、選択した生徒によって記入された解答を速やかに表示させることができる。例えば、模範解答(参照解答)や珍解答などを、別の授業や別の組で容易に参照することが可能となる。
【0088】
なお、上記のようなアイコン204を用いる代わりに、選択された生徒によって記入された解答を縮小表示させたサムネイルを用いても良い。
【0089】
(変形例2)
図13は、変形例2に係る板書画面を示している。図13に示すように、変形例2では、処理手段44の表示制御手段442は、板書画面の領域301には、先生によって電子ペン1でホワイトボード6に記入された手書きストロークを描画した画像301aを表示させ、板書画面の領域302には、電子教科書のサムネイル302aを表示させる。具体的には、表示制御手段442は、記憶制御手段441によって関連付けられた板書のデータと電子教科書のページ番号とに基づいて、当該板書のデータに対応する画像301aと、当該ページ番号の内容を示すサムネイル302aとを表示させる。なお、表示制御手段442は、板書のデータと電子教科書の単元とが関連付けられている場合には、その単元に対応する複数のページの内容を示すサムネイル302aを表示させる。また、表示制御手段442は、電子教科書のサムネイル302aが選択された場合、サムネイル302aを拡大表示させることができる、つまり電子教科書を示す画像を拡大表示させることができる。
【0090】
以上説明した変形例2によれば、板書画面上に電子教科書のサムネイル302aを表示させることで、電子教科書の内容と先生によって記入された板書とを適切に対比することが可能となる。このような変形例2は、後述する変形例3で示すような1つの表示手段のみを用いる構成に適用すると有効である。
【0091】
(変形例3)
図14は、変形例3に係る情報処理システム10aのシステム構成図である。変形例3に係る情報処理システム10aは、タッチパネルディスプレイ7を具備しない点で、実施形態に係る情報処理システム10と構成が異なる。このような変形例3に係る構成では、電子教科書画面、板書画面及びワークシート画面の全てが、プロジェクタ5によりホワイトボード6に投影表示される。具体的には、変形例3に係る構成では、電子教科書画面、板書画面及びワークシート画面のそれぞれに対応する異なるウィンドウを用い、各ウィンドウを切り替えることで、電子教科書画面、板書画面及びワークシート画面が表示される。電子教科書画面、板書画面及びワークシート画面としては、上記した実施形態及び変形例で示した画面(図8乃至図13参照)と同様の画面を用いることができる。
【0092】
なお、図14では、プロジェクタ5を具備するが、タッチパネルディスプレイ7を具備しない情報処理システム10aに対して本発明を適用する例を示したが、本発明は、タッチパネルディスプレイ7を具備するが、プロジェクタ5を具備しないような情報処理システムにも同様に適用することができる。
【0093】
(変形例4)
上記した実施形態では、先生が電子ペン1によりホワイトボード6に板書を記入する構成を示したが、ホワイトボード6に加えて、ドットパターンが形成された手持ちのボード(シート)を用いて、ホワイトボード6及び手持ちのボードの両方に板書を記入できるようにしても良い。この場合には、先生が電子ペン1でホワイトボード6に記入した手書きストロークを描画した画像だけでなく、先生が電子ペン1で手持ちのボードに記入した手書きストロークを描画した画像も、板書画面に表示されることとなる。
【0094】
このような手持ちのボードを用いることで、先生がホワイトボード6から離れた場所にいる場合(例えば生徒の近くにいる場合)にも、板書を記入することができると共に、その板書を適切に表示させることができる。
【0095】
(変形例5)
上記した実施形態では、電子ペン1とドットパターンが形成されたホワイトボード6とを用いて、先生によって記入された板書を電子化する構成を示した。本発明は、このような構成の代わりに、接触された位置を検知可能な電子黒板(電子シート)を用いて、先生によって記入された板書を電子化する構成にも適用することができる。電子黒板としては、感圧式ボードや電磁式ボード(ボードではなくシートでも良い)を用いることができる。感圧式ボードは、所定のペン(スタイラス)により圧力が加わると、ボード中に設けられた電気伝導性の2枚のシートが接触することで電気信号を発生させる。これに対して、電磁式ボードは、ボード表面の直下にワイヤが埋め込まれており、コイルを埋め込んだスタイラスが接触されると、スタイラスとの電磁誘導に基づき接触位置に相当する電気信号を発生させる。コンピュータ装置4は、このように電子黒板によって発生された電気信号を受信し、当該電気信号に基づいて接触位置を検出する。
【0096】
なお、電子黒板には、ホワイトボード6と同様に、板書画面やワークシート画面がプロジェクタ5により投影表示される。
【0097】
(変形例6)
上記では、電子教科書画面と、板書画面及びワークシート画面とを、異なるアプリケーション(第1アプリケーション及び第2アプリケーション)によって表示させる実施形態を示したが、電子教科書画面と、板書画面及びワークシート画面とを、同一のアプリケーションによって表示させることも可能である。
【0098】
上記では、タッチパネルディスプレイ7に表示された電子教科書画面上のアイコンやボタンなどをタッチすることで選択する例を示したが、タッチパネルディスプレイ7にタッチして選択する代わりに、電子ペン1を用いて選択しても良いし、マウスでクリックすることで選択しても良い。
【0099】
また、上記では、電子ペン、ドットパターン(コード化パターン)、記入情報に、アノト方式を用いていたが、アノト方式を用いることに限定はされない。
【符号の説明】
【0100】
1…電子ペン
2…ワークシート
3…教科書
4…コンピュータ装置
5…プロジェクタ
6…ホワイトボード
7…タッチパネルディスプレイ
42…受信手段
44…処理手段
45…記憶手段
47、48…インターフェース
49…印刷出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14