特許第6019720号(P6019720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019720
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】車両の空調制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/24 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   B60H1/24 661C
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-105433(P2012-105433)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-233823(P2013-233823A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋ヶ谷 英樹
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 堅祐
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−323717(JP,A)
【文献】 特開平10−258631(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02080651(EP,A1)
【文献】 特開2008−290494(JP,A)
【文献】 特開2001−171335(JP,A)
【文献】 特開2008−049876(JP,A)
【文献】 特開2004−058821(JP,A)
【文献】 米国特許第06209331(US,B1)
【文献】 特開2007−038793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/24
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内への送風空気を通過させてヒータコアによって加温する加温部、前記送風空気のうちの前記加温部内を通過させる前記送風空気の量と前記加温部外を通過させる前記送風空気の量との割合を調整する送風空気通過量調整部、及び前記ヒータコアを加温する加温源とを有する空調装置と、操作されて前記送風空気の温度が設定される設定温度設定部とを有する車両の空調制御装置であって、
車室外の外気温度を検出する外気温度検出部と、
前記設定温度設定部によって設定された設定温度を基に前記加温源を駆動する加温源駆動部と、
予め設定された基準温度と前記設定温度設定部によって設定された設定温度との差分が小さいほど前記ヒータコアの温度が高くなるようにかつ前記外気温度検出部が検出した外気温度が低いほど前記ヒータコアの温度が高くなるように前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量を変更する駆動量変更部と、
前記駆動量変更部が前記加温源の駆動量を変更した際には前記加温部内を通過させる前記送風空気の量が前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量よりも少なくなるように前記送風空気通過量調整部を駆動した後、前記設定温度設定部が操作されて前記設定温度が上昇する側に変更されたときには前記加温部内を通過させる前記送風空気の量が前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量よりも少ない量から前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量となるように前記送風空気通過量調整部を駆動する空気量調整駆動部と、
を有することを特徴とする車両の空調制御装置。
【請求項2】
前記駆動量変更部は、予め設定された基準温度と前記設定温度設定部によって設定された設定温度との差分が小さいほど前記ヒータコアの温度が高くなり前記外気温度検出部が検出した外気温度が低いほど前記ヒータコアの温度が高くなる値を前記設定温度設定部によって設定された設定温度に加算することによって前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量の変更を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の空調制御装置。
【請求項3】
操作されて前記駆動量変更部による前記加温源の駆動を抑制する抑制部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の空調制御装置。
【請求項4】
車室内の湿度を検出する湿度検出部をさらに有し、
前記駆動量変更部は、前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量を、前記湿度検出部が検出した湿度が高いほど前記ヒータコアの温度が高くなるように変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の空調制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、車室内の快適性を確保するために空調装置が設けられている。このような空調装置では、乗員が所望する車室内の快適性をできるだけ早く得られることや乗員による空調装置の操作を減らすことが商品性向上等のために求められる。
特許文献1には、このような従来技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の技術では、車の走行条件(室内温度、外気温度、日射、車速等)に対応させて設定温度を記憶する設定温度学習記憶手段を備えている。これによって、乗員は、車の走行条件が変動しても設定温度の変更操作を行うことなく、好みに合った温度条件の下で車両を運転できる。具体的には、この技術は、温度設定器から設定温度を受信し、この設定温度が室内空調基準温度のときに設定温度学習記憶手段に記憶されている設定温度Ts’を取り出し、乗員による設定温度の変更なく、室内の快適性が得られるというものである。
【0004】
しかし、燃費を重視したエンジン駆動車両の空調装置の暖房は、エンジン駆動効率向上によって余熱が低下している。また、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に代表される電動車両の空調装置は、PTC(Positive Temperature Coefficient)等の電気式暖房装置を設けるのが一般的である。そのため、このような電動車両の空調装置では、暖房源(エンジン、PTC、及びヒートポンプ等)に十分な熱量を常時確保することは、燃費の観点から難しい。このようなことから、電動車両では、暖房源に十分な熱量を常時確保することを前提とした空調制御でなく、現在必要な熱量を算出して最小限の駆動量で暖房源を動作させることで燃費向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−276718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような最小限の駆動量で暖房源を駆動させる方法では、乗員から暖房性能の向上(すなわち、設定温度上昇)が要求されたときに、目標とする送風温度を実現するために暖房源の駆動率を高める必要がある。
しかし、これでは、暖房源が熱量を確保して目標とする送風温度を実現するまでに時間を要することになる。
【0007】
特に、燃費向上を重視した車両では、エアミックスダンパ(又はエアミックスドアともいう。)を常にMAXHOT側に位置させた状態で暖房源を最小限の駆動量で駆動させている。ここで、MAXHOTの位置は、空調装置内に取り込まれた全ての空気を暖房源によって加温される加温部内を通過させるときのエアミックスダンパの位置、すなわち最大開度の位置である。そして、このようなMAXHOTの位置にエアミックスダンパを駆動させてしまうと、エアミックスダンパの開度に頼らずに暖房源の駆動率を高めることだけで目標とする送風温度を実現する必要がある。そのために、暖房源の駆動率を高めても目標とする送風温度を実現するまでに時間を要することになる。そして、このような送風温度の上昇の遅れは、乗員に不快感を与える恐れがある。
本発明の目的は、乗員から送風温度の上昇要求がなされたときから早期に送風温度を上昇させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、(1)本発明の一態様は、車室内への送風空気を通過させてヒータコアによって加温する加温部、前記送風空気のうちの前記加温部内を通過させる前記送風空気の量と前記加温部外を通過させる前記送風空気の量との割合を調整する送風空気通過量調整部、及び前記ヒータコアを加温する加温源とを有する空調装置と、操作されて前記送風空気の温度が設定される設定温度設定部とを有する車両の空調制御装置であって、車室外の外気温度を検出する外気温度検出部と、前記設定温度設定部によって設定された設定温度を基に前記加温源を駆動する加温源駆動部と、予め設定された基準温度と前記設定温度設定部によって設定された設定温度との差分が小さいほど前記ヒータコアの温度が高くなるようにかつ前記外気温度検出部が検出した外気温度が低いほど前記ヒータコアの温度が高くなるように前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量を変更する駆動量変更部と、前記駆動量変更部が前記加温源の駆動量を変更した際には前記加温部内を通過させる前記送風空気の量が前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量よりも少なくなるように前記送風空気通過量調整部を駆動した後、前記設定温度設定部が操作されて前記設定温度が上昇する側に変更されたときには前記加温部内を通過させる前記送風空気の量が前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量よりも少ない量から前記加温部内を通過させることができる前記送風空気の最大量となるように前記送風空気通過量調整部を駆動する空気量調整駆動部と、を有することを特徴とする車両の空調制御装置を提供する。
【0009】
(2)本発明の一態様では、前記駆動量変更部は、予め設定された基準温度と前記設定温度設定部によって設定された設定温度との差分が小さいほど前記ヒータコアの温度が高くなり前記外気温度検出部が検出した外気温度が低いほど前記ヒータコアの温度が高くなる値を前記設定温度設定部によって設定された設定温度に加算することによって前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量の変更を行うことが好ましい。
【0010】
(3)本発明の一態様では、操作されて前記駆動量変更部による前記加温源の駆動を抑制する抑制部をさらに有することが好ましい。
【0011】
(4)本発明の一態様では、車室内の湿度を検出する湿度検出部をさらに有し、前記駆動量変更部は、前記加温源駆動部による前記加温源の駆動量を、前記湿度検出部が検出した湿度が高いほど前記ヒータコアの温度が高くなるように変更することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
(1)の態様の発明によれば、送風空気の一部を加温部に通さない状態でも加温源の駆動量の変更によって送風空気を設定温度に応じた温度にできる。そして、(1)の態様の発明では、設定温度設定部が操作されて設定温度が変更され送風空気の温度を上昇させることが必要になったときに、加温部内を通過させる送風空気の量を最大量となるように変更することで、送風空気の温度を、変更された設定温度に応じた温度まで早期に上昇させることができる。
【0013】
また、(1)の態様の発明によれば、駆動量変更部によって、乗員による設定温度の変更可能性を設定温度と基準温度との差分から推定して加温源を駆動できるので、不必要に加温源を駆動させることを防止できる。
【0014】
さらに、(1)の態様の発明によれば、駆動量変更部によって、外気温度を基に加温源を駆動するので、加温源が昇温しにくい低い外気温度にあるような場合にも早期に加温部を昇温でき、送風空気の温度を早期に変更後の設定温度に応じた温度にできる。
【0015】
(2)の態様の発明によれば、予め設定された基準温度と前記設定温度設定部によって設定された設定温度との差分及び外気温度に応じた値を設定温度に加算するだけといった簡単な処理によって、加温源駆動部による加温源の駆動量の変更ができる。
【0016】
(3)の態様の発明によれば、乗員が抑制部を操作することによって、乗員は、加温源の駆動に起因して燃費や電費が意に反して悪化してしまうのを防止できる。
【0017】
(4)の態様の発明によれば、乗員による車室内の除湿を行う可能性を湿度を基に推定して、必要に応じて加温源を駆動させて加温部を昇温させることができる。これによって、(4)の態様の発明では、乗員が除湿操作を行ったことに対応し即座に車室内を除湿できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態における車両の構成例を示す図である。
図2】制御コントローラの構成例を示すブロック図である。
図3】暖房源制御部の構成例を示すブロック図である。
図4】制御コントローラによる処理の一例を示すフローチャートである。
図5】暖房源制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図6】外気温度及び設定温度偏差を変数とする制御関数f2(x)によって算出される第1設定温度加算値の一例を示す図である。
図7】湿度を変数とする制御関数f3(x)によって算出される第2設定温度加算値の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態における暖房源制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図9】ECOスイッチがオンのときに算出される第1設定温度加算値の一例を示す図である。
図10】ECOスイッチがオンのときに算出される第2設定温度加算値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、ハイブリッド車両等が搭載する車両用空調システムを挙げている。
【0020】
(構成)
図1は、車両1における車両用空調システム10の構成例を示す図である。
図1に示すように、車両用空調システム10は、エアコンユニット20、及び制御コントローラ60を有している。
【0021】
エアコンユニット20には、空気(すなわち、空調風)の流路が形成されている。そして、そのような流路形状に対応して、切換ドア21、ブロワファン(空調用ファン)22、エバポレータコア23、加温(加熱)部24、エアミックスドア(A/Mドア、又はA/Mダンパ)27、及びモード切換ドア28,29が配置されている。そして、エアコンユニット20には、切換ドア21及びモード切換ドア28,29に対応して、外気導入口31、内気導入口32、及び吹出し口33,34,35が設けられている。
【0022】
切換ドア21は、外気導入口31及び内気導入口32を開閉する。車両用空調システム10では、空気の導入モードとして、内気を導入する内気循環モードと外気を導入する外気導入モードとが選択可能となっている。切換ドア21は、その選択された導入モードに応じて開閉動作する。そして、エアコンユニット20には、外気導入口31及び内気導入口32とエバポレータコア23との間にブロワファン(すなわち、空調用ファン)22が配設されている。
【0023】
ブロワファン22は、ブロワファンモータ30によって回転駆動される。これにより、車内又は車外の空気がエアコンユニット20に導入されてエバポレータコア23に送られる。
エバポレータコア23は、不図示のコンプレッサ及びコンデンサによって圧縮されて高温、高圧とされ液化された冷媒と、当該エバポレータコア23を通過する空気との間で熱交換を行う。これによって、エバポレータコア23は、当該エバポレータコア23を通過する空気を冷却及び除湿する。また、コンプレッサの作動が選択的に行われることで、エバポレータコア23が冷却又は除湿を行わない際には、空気がエバポレータコア23を単に通過することになる。そして、エアコンユニット20には、このエバポレータコア23の下流側に、エアミックスドア27及び加温部24が配置されている。
【0024】
加温部24は、当該加温部24内を通過する空気を加温(又は加熱)する。この加温部24は、ヒータコア25及びPTCヒータコア26によって構成されている。
ヒータコア25は、熱媒体流路41によってヒートポンプ42及び内燃機関型エンジン(以下、単にエンジンという。)43と繋がっており、ヒータコア25は、熱媒体流路41によってヒートポンプ42においてはコンプレッサ(図示せず)により高温、高圧化された冷媒等の熱媒体を循環させ、エンジン43においては圧送ポンプ(図示せず)により冷却水等の熱媒体を循環させている。なお、熱媒体流路41は、ヒートポンプ42用の熱媒体を循環させるためのものと、エンジン43用の熱媒体を循環させるためのものとを個々に設けることが望ましい。ヒータコア25は、このようなヒートポンプ42及びエンジン43において加熱された熱媒体が循環されることによって、当該ヒータコア25を通過する空気を加温する。
【0025】
ここで、熱媒体流路41は、実際には、ヒートポンプ42用及びエンジン43用にそれぞれ専用に設けられている。
PTCヒータコア26は、電流を流すことで発熱する素子を有するPTCヒータを備えたヒータコアであり、補助ヒータとして機能し、通過する空気を電気エネルギーによって加温する。ここで、PTCヒータは、車両の走行用バッテリの電力が駆動源とされて駆動される。
【0026】
ここで、以上の構成において、ヒートポンプ42、エンジン43、及びPTCヒータは、加温部24を加温する暖房源(又は加温源、後述の図2に示す暖房源44)を構成する。
エアミックスドア27は、以上のような加温部24内を通過する空気の流量と加温部24をバイパスする空気の流量との割合を調整する。すなわち、エアミックスドア27は、図1に示すように下方向に回転されて、空気の流れの上流側に対して加温部24を閉塞するように位置されると、すなわちCool側に位置されると、加温部24内を通過する空気の流量を少なくし、その一方で、加温部24をバイパスする空気の流量を多くする。その反対に、エアミックスドア27は、図1において上方向に回転されて、上流側に対して加温部24を開放するように位置されると、すなわちHot側に位置されると、加温部24内を通過する空気の流量を多くし、その一方で、加温部24をバイパスする空気の流量を少なくする。そして、エアミックスドア27は、MAXHOTに位置されたとき、エアコンユニット20内に取り込まれた全ての空気を加温部24内を通過させる。
【0027】
このようにエアミックスドア27の開度(すなわち、回転角度)が適宜調整されることによって、当該エアミックスドア27及び加温部24の下流側で生成される、加温部24内を通過する空気と加温部24をバイパスする空気とが混合された空調風は、所定の温度に調整される。そして、このエアミックスドア27の開度は、不図示のアクチュエータ(後述の図2に示すA/Mドアアクチュエータ45)によって制御される。
エアコンユニット20では、このようにエアミックスドア27の開度によって温度が調整された空調風が吹出し口33,34,35に導かれる。
【0028】
吹出し口33,34,35は、エアコンユニット20において温度調整された空気を車室内に供給するためのものである。この吹出し口33,34,35は、例えば、車両のフロントウインドガラスへ向けて開口されたデフロスタ吹出し口、車室内の乗員へ向けて開口されたベント吹出し口、前席に着座した乗員の足元へ向けて開口された前席足元吹出し口等である。この吹出し口33,34,35は、モード切換ドア28,29により選択的に開閉される。
【0029】
また、以上の切換ドア21、ブロワファン22、エアミックスドア27、モード切換ドア28,29等の制御可能な駆動部は、制御コントローラ60によって制御される。
また、車両1は、各種センサ等を搭載している。本実施形態では、車両1は、少なくとも、設定温度設定部71、外気温度センサ72、湿度センサ73、及びECOスイッチ74を搭載している。
【0030】
設定温度設定部71は、乗員が操作できるようにエアコンの操作パネルに配置されて、エアコンの設定温度の設定がなされる操作部である。設定温度設定部71は、入力された設定温度の情報を制御コントローラ60に出力する。
外気温度センサ72は、車両1の外気温度を検出する。そして、外気温度センサ72は、検出値を制御コントローラ60に出力する。
湿度センサ73は、車室内の湿度を検出する。そして、湿度センサ73は、検出値を制御コントローラ60に出力する。
【0031】
ECOスイッチ74は、乗員によって操作されるスイッチであって、暖房や冷房の作動や風量を抑制して燃費向上を図るためのスイッチである。そして、ECOスイッチ74は、ECOスイッチ74の操作情報(すなわち、オン又はオフの情報)を制御コントローラ60に出力する。
【0032】
制御コントローラ60は、車両において各種の制御を行う。
この制御コントローラ60は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えるECU(Electronic Control Unit)において構成されている。そのために、例えば、制御コントローラ60は、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0033】
例えば、制御コントローラ60は、エンジン43についての制御を行うエンジン制御部(例えば、ECM:Engine Control Module)と、空調制御を行うエアコンECU(Electronic Control Unit)とを含んで構成されている。
図2は、本実施形態における制御コントローラ60の具体的な構成例を示す図である。
図2に示すように、制御コントローラ60は、暖房源制御部80及びエアミックスドア制御部(以下、A/Mドア制御部という。)61を有している。
【0034】
暖房源制御部80には、設定温度設定部71、外気温度センサ72、湿気センサ73、及びECOスイッチ74からの検出値や各種の情報が入力される。そして、暖房源制御部80には、これら検出値や各種の情報を基に、暖房源44を駆動するための暖房源設定温度を算出する。ここで、暖房源44は、前述のように、ヒートポンプ42、エンジン43、及びPTCヒータを含んで構成されている。
【0035】
図3は、この暖房源制御部80の具体的な構成例を示す図である。
図3に示すように、暖房源制御部80は、設定温度偏差算出部81、第1設定温度加算値算出部82、第2設定温度加算値算出部83、及び暖房源設定温度算出部84を有している。
また、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27の開度を制御する。具体的には、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27の開度を調整するエアミックスドアアクチュエータ(以下、A/Mドアアクチュエータという。)45の駆動を制御する。
【0036】
図4及び図5は、以上のような暖房源制御部80及びA/Mドア制御部61が行う制御を実現する処理の一例のフローチャートを示す。ここで、図4には、暖房源制御部80及びA/Mドア制御部61における処理手順を示す。また、図5には、図4のステップS1の具体的な処理内容であり、暖房源制御部80における処理手順を示す。以下に、図4及び図5に示す処理手順に沿って、暖房源制御部80及びA/Mドア制御部61における処理内容を具体的に説明する。
【0037】
図4に示すように、先ずステップS1では、暖房源制御部80は、暖房源設定温度算出処理を行う。
図5に示すように、暖房源設定温度算出処理では、先ずステップS21において、暖房源制御部80は、設定温度及び外気温度を取得する。
【0038】
次に、ステップS22では、設定温度偏差算出部81は、設定温度偏差を算出する。具体的には、設定温度偏差算出部81は、下記(1)式に示すような制御関数f1(x)を用いて設定温度偏差を算出する。
設定温度偏差=制御関数f1(x)=f1(設定温度、快適設定温度)
設定温度偏差=設定温度−快適設定温度
・・・(1)
【0039】
ここで、設定温度は、設定温度設定部71が操作されて乗員によって入力された温度である。また、快適設定温度は、全温度状態で快適として適合する温度(すなわち、基準温度)である。例えば、快適設定温度は、25℃である。また、例えば、快適設定温度は、車両メーカ毎又は仕向地によって異なる。
【0040】
次に、ステップS23では、第1設定温度加算値算出部82は、前記ステップS21で取得した外気温度及び前記ステップS22で設定した設定温度偏差を基に、第1設定温度加算値を算出する。具体的には、第1設定温度加算値算出部82は、下記(2)式に示すような制御関数f2(x)を用いて第1設定温度加算値を算出する。
第1設定温度加算値=制御関数f2(x)=f2(外気温度、設定温度偏差)
・・・(2)
ここで、図6には、外気温度及び設定温度偏差を変数とする制御関数f2(x)によって算出される第1設定温度加算値の一例を示す。
【0041】
図6に示すように、変数となる設定温度偏差の絶対値が小さいほど、すなわち設定温度偏差が0に近づくほど、第1設定温度加算値は大きくなる。また、変数となる外気温度が低いほど第1設定温度加算値は大きくなる。例えば、この例では、第1設定温度加算値は、設定温度偏差及び外気温度に応じて0から+4.0の範囲で変化する。
【0042】
次に、ステップS24では、暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有しているか(例えば、湿度センサの検出値が入力されたか)否かを判定する。暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有していると判定すると、ステップS25に進む。また、暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有していないと判定すると、ステップS27に進む。
ステップS25では、暖房源制御部80は湿度を取得する。
【0043】
次に、ステップS26では、第2設定温度加算値算出部83は、前記ステップS25で取得した湿度を基に、第2設定温度加算値を算出する。具体的には、第2設定温度加算値算出部83は、下記(3)式に示すような制御関数f3(x)を用いて第2設定温度加算値を算出する。
第2設定温度加算値=制御関数f3(x)=f3(湿度)
・・・(3)
そして、第2設定温度加算値算出部83は、ステップS27に進む。
【0044】
ここで、図7には、湿度を変数とする制御関数f3(x)によって算出される第2設定温度加算値の一例を示す。
図7に示すように、変数となる湿気が高いほど第2設定温度加算値は大きくなる。例えば、この例では、第2設定温度加算値は、設定温度偏差及び外気温度に応じて0から+1.0の範囲で変化する。
【0045】
ステップS27では、暖房源設定温度算出部84は、設定温度、前記ステップS23で算出した第1設定温度加算値、及び前記ステップS26で算出した第2設定温度加算値を基に、暖房源設定温度を算出する。具体的には、暖房源設定温度算出部84は、下記(4)式に示すような制御関数f4(x)を用いて暖房源設定温度を算出する。
暖房源設定温度=制御関数f4(x)=f4(設定温度、第1設定温度加算値、第2設定温度加算値)
暖房源設定温度=設定温度+第1設定温度加算値+第2設定温度加算値
・・・(4)
ここで、設定温度は、設定温度設定部71が操作されて乗員によって入力された温度である。
【0046】
そして、暖房源設定温度算出部84は、当該図5に示す処理を終了する(図4に示すステップS1を終了してステップS2に進む)。
図4に示すステップS2では、制御コントローラ60(例えば、A/Mドア制御部61)は、前記ステップS1の処理によって暖房源設定温度が算出されたか否かを判定する。
暖房源制御部80は、前記ステップS1の処理によって暖房源設定温度が算出されたと判定すると、ステップS3に進む。また、暖房源制御部80は、前記ステップS1の処理によって暖房源設定温度が算出されていないと判定すると、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0047】
ステップS3では、暖房源制御部80は、前記ステップS1で算出した暖房源設定温度を基に、暖房源44を駆動する。具体的には、暖房源制御部80は、加温部24の温度、すなわち、加温部24を通過する空気の温度が前記ステップS1で算出した暖房源設定温度になるように暖房源44を駆動する。
【0048】
次に、ステップS4では、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27をMAXHOTの位置(すなわち、加温部24内を通過させる空気量を最大にする最大開度)からCool側に移動させる。ここで、A/Mドア制御部61は、暖房源44の温度上昇に合わせてCool側の位置にエアミックスドア27を移動させる。
【0049】
次に、ステップS5では、制御コントローラ60(例えば、A/Mドア制御部61)は、設定温度設定部71が乗員に操作されて設定温度が変更されたか否かを判定する。制御コントローラ60は、設定温度設定部71が乗員に操作されて設定温度が変更されたと判定すると、ステップS6に進む。また、制御コントローラ60は、設定温度設定部71が乗員に操作されて設定温度が変更されていないと判定すると、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0050】
ステップS6では、制御コントローラ60(例えば、A/Mドア制御部61)は、設定温度を高くする変更(上昇側への設定温度の変更)がなされたか否かを判定する。制御コントローラ60は、設定温度を高くする変更がなされたと判定すると、ステップS7に進む。また、制御コントローラ60は、設定温度を低くする変更がなされたと判定すると、ステップS8に進む。
【0051】
ステップS7では、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27をHot側に移動させる(図1では上方向に回転させる)。そして、制御コントローラ60は、当該図4に示す処理を終了する(当該図4のステップS1から再び処理を開始する)。
ステップS8では、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27をCool側に移動させる(図1では下方向に回転させる)。すなわち、A/Mドア制御部61は、エアミックスドア27を、前記ステップS3で移動させた位置よりもさらにCool側に移動させる。そして、制御コントローラ60は、当該図4に示す処理を終了する(当該図4のステップS1から再び処理を開始する)。
【0052】
(動作、作用等)
次に、車両用空調システム10における動作、及びその作用等について説明する。
(1)設定温度の変更前の動作、作用等
車両用空調システム10は、暖房源設定温度算出処理によって、設定温度、外気温度、及び湿度を基に暖房源設定温度を算出する(前記ステップS1、図5)。そして、車両用空調システム10は、暖房源設定温度を算出すると、算出した暖房源設定温度を基に(加温部24の温度が暖房源設定温度になるように)暖房源44を駆動するとともに、暖房源44の温度上昇に合わせてCool側の位置にエアミックスドア27を移動させる(前記ステップS2乃至前記ステップS4)。
【0053】
ここで、暖房源設定温度を算出するために用いた設定温度、外気温度、及び湿度は、乗員が設定温度を高くする可能性、すなわち、乗員が現在の車室内の温度を高くする可能性を示す指標となり得る。
【0054】
すなわち、設定温度が快適設定温度よりも高く設定されていれば、既に設定温度が標準値以上であるため、乗員が設定温度を高くする可能性は低いと予測できる。また、設定温度が快適設定温度よりも低く設定されていれば、乗員が暑がりである又は燃費を重視していると考えられるために、乗員が設定温度を高くする可能性は低いと予測できる。また、外気温度が低ければ、乗員が設定温度を高くする可能性は高いと予測できる。また、湿度が高ければ、フロントガラスの曇り晴らしのために高めの吹き出し温度が必要となるため、設定温度を高くする可能性は高いと予測できる。
【0055】
このようなことから、車両用空調システム10は、設定温度、外気温度、及び湿度を基に乗員が現在の車室内の温度を高くする可能性が高いことを予測し、設定温度、外気温度、及び湿度を用いて算出した暖房源設定温度を基に、暖房源44を駆動するとともにエアミックスドア27をCool側に移動させている。
【0056】
そして、車両用空調システム10は、このように暖房源44を駆動するとともにエアミックスドア27をCool側に移動させることで、エアミックスドア27をCool側に移動させたために送風空気の一部が加温部24内を通過しないことによって本来ならば車室内に送風された送風空気が設定温度に応じた温度にならないような場合でも、暖房源設定温度を基に暖房源44を駆動することによって、送風空気を設定温度に応じた温度にすることを可能にしている。
【0057】
よって、移動後のエアミックスドア27のCool側の位置(すなわち、エアミックスドア27の開度)について言及すると、その位置は、暖房源設定温度を基に暖房源44が駆動されている最中の車室内に送風される送風空気の温度を設定温度相当にすることができるようなCool側の位置(すなわち、エアミックスドア27の開度)となる。
【0058】
また、車両用空調システム10は、前述のように設定温度、外気温度、及び湿度を用いて算出した暖房源設定温度を基に暖房源44を駆動することによって、無駄なく送風温度を上昇させることができ、燃費悪化を防ぐことができる。
また、このとき、車両用空調システム10は、外気温度が低いほど、第1設定温度加算値を大きくし(図6)、暖房源設定温度を高くしている(前記(4)式)。これによって、車両用空調システム10は、外気温度が低いために暖房源44が昇温しにくい場合でも、暖房源設定温度を高めに設定することで、早期に所望の送風温度に上昇させることができる。
【0059】
さらに、車両用空調システム10は、湿度が高いほど、第2設定温度加算値を大きくし(図7)、暖房源設定温度を高くしている(前記(4)式)。これによって、車両用空調システム10は、乗員が除湿のために設定温度を高くした場合にその乗員の除湿要求に即座に対応し車室内を除湿できる。
【0060】
(2)設定温度の変更後の動作、作用等
その後、車両用空調システム10は、設定温度設定部71が乗員に操作されて設定温度を低くする変更がなされると(変更後の設定温度<変更前の設定温度)、エアミックスドア27をさらにCool側に移動させる(前記ステップS5、前記ステップS6、前記ステップS8)。一方、車両用空調システム10は、設定温度設定部71が乗員に操作されて設定温度を高くする変更がなされると(変更後の設定温度>変更前の設定温度)、エアミックスドア27をHot側に移動させる(前記ステップS5乃至前記ステップS7)。
【0061】
これによって、車両用空調システム10は、設定温度設定部71が乗員に操作され設定温度が変更されて送風空気の温度を上昇させなければならなくなったときに、エアミックスドア27をHot側に即座に移動させることで、送風空気の温度を早期に上昇させることができる。このように、車両用空調システム10は、乗員が暖房性能の向上を要求した場合にエアミックスドア27をHot側に即座に移動させることによって、暖房源44の駆動率の増加に頼ることなく送風温度を上昇させることができる。これによって、車両用空調システム10は、即暖性を確保して車室内の快適性を早期に得ることができる。
【0062】
また、車両用空調システム10は、前述のようにCool側又はHot側にエアミックスドア27を移動させた後(例えば、その移動から予め設定された時間経過後)、再び図4に示す処理手順に従って、暖房源設定温度算出処理によって、設定温度、外気温度、及び湿度を基に暖房源設定温度を算出する(前記ステップS1、図5)。そして、車両用空調システム10は、暖房源設定温度を算出すると、算出した暖房源設定温度を基に(加温部24の温度が暖房源設定温度になるように)暖房源44を駆動するとともに、暖房源44の温度上昇に合わせてCool側の位置にエアミックスドア27を移動させる(前記ステップS2乃至前記ステップS4)。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、前述の第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
第2の実施形態では、ECOスイッチ74のオン及びオフに応じて第1設定温度加算値及び第2設定温度加算値を変更する処理を行っている。
図8は、そのような第2の実施形態における処理(具体的には暖房源設定温度算出処理)の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図8に示すように、この処理では、第1の実施形態における図5の処理に対して、前記ステップS22の処理の後にステップS41乃至ステップS46が追加されている。以下に、これら処理内容を説明する。
ステップS41では、暖房源制御部80は、ECOスイッチ74がオンになっているか否かを判定する。暖房源制御部80は、ECOスイッチ74がオンになっていると判定すると、ステップS42に進む。また、暖房源制御部80は、ECOスイッチ74がオフになっていると判定すると、前記ステップS23に進む。
【0065】
ステップS42では、第1設定温度加算値算出部82は、前記ステップS23の処理と同様に外気温度及び設定温度偏差を基に第1設定温度加算値を算出するものの、当該ステップS23の処理とは異なる基準で第1設定温度加算値を算出する。具体的には、第1設定温度加算値算出部82は、前記ステップS23の処理で算出される値よりも小さい値の第1設定温度加算値を算出する。
【0066】
ここで、図9には、このステップS42の処理において算出される第1設定温度加算値の一例を示す。
図9に示すように、設定温度偏差の絶対値が小さいほど、すなわち設定温度偏差が0に近づくほど、第1設定温度加算値は大きくなる。また、外気温度が低いほど第1設定温度加算値は大きくなる。しかし、図9に示すように、このステップS42の処理において算出される第1設定温度加算値は、前記ステップS23の処理において算出される第1設定温度加算値よりも小さい値である。例えば、この例では、第1設定温度加算値は、設定温度偏差及び外気温度に応じて0から+1.0の範囲で変化する。
【0067】
次に、ステップS43では、前記ステップS24の処理と同様に、暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有しているか否かを判定する。暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有していると判定すると、ステップS44に進む。また、暖房源制御部80は、自車両が湿度センサを有していないと判定すると、ステップS46に進む。
ステップS44では、前記ステップS25と同様に、暖房源制御部80は湿度を取得する。
【0068】
次に、ステップS45では、第2設定温度加算値算出部83は、前記ステップS26の処理と同様に湿度を基に第2設定温度加算値を算出するものの、当該ステップS26の処理とは異なる基準で第2設定温度加算値を算出する。具体的には、第2設定温度加算値算出部83は、前記ステップS26の処理で算出される値よりも小さい値の第2設定温度加算値を算出する。
【0069】
ここで、図10には、このステップS45の処理において算出される第2設定温度加算値の一例を示す。
図10に示すように、湿気が高いほど第2設定温度加算値は大きくなる。しかし、図10に示すように、このステップS45の処理において算出される第2設定温度加算値は、前記ステップS26の処理において算出される第2設定温度加算値よりも小さい値である。例えば、この例では、第2設定温度加算値は、設定温度偏差及び外気温度に応じて0から+0.5の範囲で変化する。
【0070】
以上のような構成によって、第2の実施形態における車両用空調システム10は、特に、ECOスイッチ74がオンされている場合、第1及び第2設定温度加算値を低めに設定して暖房源設定温度を低めに設定する。これによって、ECOスイッチ74がオンされている場合、ECOスイッチ74がオフされている場合と比較して、暖房源44の駆動が抑制される。
【0071】
これによって、第2の実施形態では、車両用空調システム10における即暖性能及び燃費のどれを優先するかを乗員が選択可能になり、乗員の意図した動作が可能になる。
以上の実施形態の説明では、エアコンユニット20は、例えば、空調装置を構成する。また、外気温度センサ72は、例えば、外気温度検出部を構成する。また、暖房源制御部80は、例えば、加温源駆動部及び駆動量変更部を構成する。また、エアミックスドア27は、例えば、送風空気通過量調整部を構成する。また、A/Mドア制御部61は、例えば、空気量調整駆動部を構成する。また、ECOスイッチ74は、例えば、抑制部を構成する。また、湿度センサ73は、例えば、湿度検出部を構成する。
【0072】
(本実施形態の変形例)
本実施形態では、具体的な数式(前記(1)式〜(4)式)やテーブル(図6図7図9図10)を用いて暖房源設定温度を算出し、その算出した暖房源設定温度を基に暖房源44を駆動している。しかし、本実施形態は、これに限定されない。すなわち、本実施形態では、暖房源制御部80による暖房源44の駆動量を、予め設定された基準温度と設定温度との差分が小さいほど加温部24の温度が高くなるようにかつ外気温度が低いほど加温部24の温度が高くなるように変更する構成であれば良い。
【0073】
また、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0074】
1 車両、10 車両用空調システム、20 エアコンユニット、24 加温部、25 ヒータコア、26 PTCヒータコア、27 A/Mドア、44 暖房源、60 制御コントローラ、61 A/Mドア制御部、71 設定温度設定部、72 外気温度センサ、73 湿度センサ、74 ECOスイッチ、80 暖房源制御部、81 設定温度偏差算出部、82 第1設定温度加算値算出部、83 第2設定温度加算値算出部、84 暖房源設定温度算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10