(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019724
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】軸連結機構
(51)【国際特許分類】
F16D 3/68 20060101AFI20161020BHJP
F16D 3/12 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
F16D3/68
F16D3/12 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-107070(P2012-107070)
(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公開番号】特開2013-234712(P2013-234712A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】中川 昇
(72)【発明者】
【氏名】金城 雅也
(72)【発明者】
【氏名】織田 俊也
【審査官】
尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−156968(JP,A)
【文献】
特開2009−014154(JP,A)
【文献】
特開2010−060052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構であって、軸心に対して径方向に離れて一方の回転軸に設けられる一方の軸方向突出体と、軸心に対して径方向に離れて他方の回転軸に設けられる他方の軸方向突出体と、一方及び他方の回転軸間に配されると共に一方の回転軸の回転を一方及び他方の軸方向突出体を介して他方の回転軸に伝達するべく、軸心周りの方向において一方及び他方の軸方向突出体の夫々に接触する回転伝達体とを具備しており、この回転伝達体は、一方及び他方の回転軸間に配される一対の回転伝達部材と、この一対の回転伝達部材間に配されている中間介在部材とを具備しており、一対の回転伝達部材の夫々は、軸方向において一方及び他方の回転軸間に配される第一の環状基部と、この第一の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に第一の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第一の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第二の貫通孔に区画する第一の区画部とを具備しており、中間介在部材は、軸方向において一対の回転伝達部材間に配される第二の環状基部と、この第二の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に一対の回転伝達部材の第一の区画部間に配されており、且つ第二の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第三の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第四の貫通孔に区画する第二の区画部とを具備しており、この第二の区画部は、一対の回転伝達部材の第一の区画部の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ第一の区画部の軸心周りの方向における幅よりも大きな幅を有しており、第一及び第三の貫通孔に配されている一方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二及び第四の貫通孔に配されている他方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における他方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第一の区画部の軸心周りの方向における幅は、第二の区画部の軸心周りの方向における幅に対して軸心から径方向外側に向かうに連れて漸減している軸連結機構。
【請求項2】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構であって、軸心に対して径方向に離れて一方の回転軸に設けられる一方の軸方向突出体と、軸心に対して径方向に離れて他方の回転軸に設けられる他方の軸方向突出体と、一方及び他方の回転軸間に配されると共に一方の回転軸の回転を一方及び他方の軸方向突出体を介して他方の回転軸に伝達するべく、軸心周りの方向において一方及び他方の軸方向突出体の夫々に接触する回転伝達体とを具備しており、この回転伝達体は、一方及び他方の回転軸間に配される一対の回転伝達部材と、この一対の回転伝達部材間に配されている中間介在部材とを具備しており、一対の回転伝達部材の夫々は、軸方向において一方及び他方の回転軸間に配される第一の環状基部と、この第一の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に第一の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第一の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第二の貫通孔に区画する第一の区画部とを具備しており、中間介在部材は、軸方向において一対の回転伝達部材間に配される第二の環状基部と、この第二の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に一対の回転伝達部材の第一の区画部間に配されており、且つ第二の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第三の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第四の貫通孔に区画する第二の区画部とを具備しており、この第二の区画部は、一対の回転伝達部材の第一の区画部の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ第一の区画部の軸心周りの方向における幅よりも大きな幅を有しており、第一及び第三の貫通孔に配されている一方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二及び第四の貫通孔に配されている他方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における他方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二の区画部の軸心周りの方向における幅は、第一の区画部の軸心周りの方向における幅に対して軸心から径方向外側に向かうに連れて漸増している軸連結機構。
【請求項3】
第一の区画部の中央の幅は、第二の区画部の中央の幅と等しい請求項1又は2に記載の軸連結機構。
【請求項4】
一方及び他方の軸方向突出体の夫々は半割円形状であり、一対の回転伝達部材の第一の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、一対の回転伝達部材の第二の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における他方の側面及び他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、中間介在部材の第三の貫通孔は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、中間介在部材の第四の貫通孔は、他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、第二の環状基部の内周縁は、第三の貫通孔を貫通した一方の軸方向突出体の円弧面及び第四の貫通孔を貫通した他方の軸方向突出体の円弧面の夫々に接触するようになっている請求項1から3のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項5】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構であって、軸心に対して径方向に離れて一方の回転軸に設けられる一方の軸方向突出体と、軸心に対して径方向に離れて他方の回転軸に設けられる他方の軸方向突出体と、一方及び他方の回転軸間に配されると共に一方の回転軸の回転を一方及び他方の軸方向突出体を介して他方の回転軸に伝達するべく、軸心周りの方向において一方及び他方の軸方向突出体の夫々に接触する回転伝達体とを具備しており、この回転伝達体は、一方及び他方の回転軸間に配される一対の回転伝達部材と、この一対の回転伝達部材間に配されている中間介在部材とを具備しており、一対の回転伝達部材の夫々は、軸方向において一方及び他方の回転軸間に配される第一の環状基部と、この第一の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に第一の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第一の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第二の貫通孔に区画する第一の区画部とを具備しており、中間介在部材は、軸方向において一対の回転伝達部材間に配される第二の環状基部と、この第二の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に一対の回転伝達部材の第一の区画部間に配されており、且つ第二の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第三の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第四の貫通孔に区画する第二の区画部とを具備しており、この第二の区画部は、一対の回転伝達部材の第一の区画部の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ第一の区画部の軸心周りの方向における幅よりも大きな幅を有しており、第一及び第三の貫通孔に配されている一方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二及び第四の貫通孔に配されている他方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における他方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、一方及び他方の軸方向突出体の夫々は半割円形状であり、一対の回転伝達部材の第一の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、一対の回転伝達部材の第二の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における他方の側面及び他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、中間介在部材の第三の貫通孔は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、中間介在部材の第四の貫通孔は、他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、第二の環状基部の内周縁は、第三の貫通孔を貫通した一方の軸方向突出体の円弧面及び第四の貫通孔を貫通した他方の軸方向突出体の円弧面の夫々に接触するようになっている軸連結機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の軸連結機構に用いられる回転伝達体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式パワーステアリング装置における電動モータ等の回転源側の回転軸と自動車のステアリング軸等の作動側の回転軸との連結に適した軸連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動式パワーステアリング装置は、手動操作されるステアリングホイール(ハンドル)の回転に基づく回転力に電動モータの出力回転軸の回転に基づく回転力を付加してステアリングホイールの手動による操舵を容易に行い得るようにするものであって、斯かる電動式パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール側のステアリング軸と電動モータの出力回転軸側の回転軸とを軸連結機構(カップリング)を介して連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−274395号公報
【特許文献2】特開2003−95118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯かる電動式パワーステアリング装置において、剛性の軸連結機構を介してステアリング軸と回転軸とを連結する場合、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動が軸連結機構、ウオームギヤ機構及びステアリング軸を介してステアリングホイールに伝達されて運転者に不快な操舵感を生じさせる虞がある上に、ウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動が生じる虞があり、これを回避するために軸連結機構に弾性体を介在させることが提案されているが、衝撃、振動の低減を重視して斯かる弾性体をより柔軟なものにすると、柔軟な弾性体はクリープ変形が生じ易いために、弾性体への繰り返し荷重による弾性体の永久的な変形で軸連結機構にガタが生じて、これによってもまた運転者の操舵感覚が不快なものとなる虞がある一方、耐久性を重視して弾性体を硬質なものにすると、前記と逆にガタのない点で操舵感覚は良くなるが、上述の通りステアリングホイールに伝達された衝撃、振動で操舵感覚が不快なものとなる上に、ウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動を低減することができない。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長期の使用によっても一方の回転軸と他方の回転軸との間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動のステアリングホイールへの伝達及びウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動を低減でき、運転者の操舵感覚の向上を図り得て、早期の劣化を回避できる軸連結機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する本発明の軸連結機構は、軸心に対して径方向に離れて一方の回転軸に設けられる一方の軸方向突出体と、軸心に対して径方向に離れて他方の回転軸に設けられる他方の軸方向突出体と、一方及び他方の回転軸間に配されると共に一方の回転軸の回転を一方及び他方の軸方向突出体を介して他方の回転軸に伝達するべく、軸心周りの方向において一方及び他方の軸方向突出体の夫々に接触する回転伝達体とを具備しており、この回転伝達体は、一方及び他方の回転軸間に配される一対の回転伝達部材と、この一対の回転伝達部材間に配されている中間介在部材とを具備しており、一対の回転伝達部材の夫々は、軸方向において一方及び他方の回転軸間に配される第一の環状基部と、この第一の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に第一の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第一の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第二の貫通孔に区画する第一の区画部とを具備しており、中間介在部材は、軸方向において一対の回転伝達部材間に配される第二の環状基部と、この第二の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に一対の回転伝達部材の第一の区画部間に配されており、且つ第二の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第三の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第四の貫通孔に区画する第二の区画部とを具備しており、この第二の区画部は、一対の回転伝達部材の第一の区画部の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ第一の区画部の軸心周りの方向における幅よりも大きな幅を有しており、第一及び第三の貫通孔に配されている一方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二及び第四の貫通孔を貫通に配されている他方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における他方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有している。
【0007】
本発明の軸連結機構によれば、特に、一対の回転伝達部材の夫々は、軸方向において一方及び他方の回転軸間に配される第一の環状基部と、この第一の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に第一の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第一の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第二の貫通孔に区画する第一の区画部とを具備しており、中間介在部材は、軸方向において一対の回転伝達部材間に配される第二の環状基部と、この第二の環状基部の内周縁に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に一対の回転伝達部材の第一の区画部間に配されており、且つ第二の環状基部の内周縁で規定されている貫通孔を一方の軸方向突出体が貫通する第三の貫通孔及び他方の軸方向突出体が貫通する第四の貫通孔に区画する第二の区画部とを具備しており、第二の区画部は、一対の回転伝達部材の第一の区画部の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ第一の区画部の軸心周りの方向における幅よりも大きな幅を有しており、第一及び第三の貫通孔に配されている一方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しており、第二及び第四の貫通孔に配されている他方の軸方向突出体は、第二の区画部の軸心周りの方向における他方の側面に接触する軸心周りの方向における側面を有しているために、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動やウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する振動等によって生じる一方及び他方の回転軸のうちの一方の微小回転においては中間介在部材の弾性変形を生じさせることで当該微小回転を一方及び他方の回転軸のうちの他方に伝達させることがない一方、ステアリングの操作及び当該操作に基づく電動モータの出力回転軸の回転によって生じる一方及び他方の回転軸のうちの一方の一定以上の回転においては一方及び他方の軸方向突出体の夫々の軸心周りの方向における側面を一対の回転伝達部材の第一の区画部の軸心周りの方向における一方及び他方の側面に接触させることで当該一定以上の回転を一方及び他方の回転軸のうちの他方に伝達させることができ、而して、長期の使用によっても一方の回転軸と他方の回転軸との間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動のステアリングホイールへの伝達及びウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動を低減でき、運転者の操舵感覚の向上を図り得て、早期の劣化を回避できる。
【0008】
本発明の軸連結機構では、第一の区画部の軸心周りの方向における幅は、第二の区画部の軸心周りの方向における幅に対して軸心から径方向外側に向かうに連れて漸減していてもよく、また、第二の区画部の軸心周りの方向における幅は、第一の区画部の軸心周りの方向における幅に対して軸心から径方向外側に向かうに連れて漸増していてもよく、斯かる軸連結機構においては、第一の区画部の中央の幅は、第二の区画部の中央の幅と等しくてもよく、このような軸連結機構によれば、一方及び他方の軸方向突出体の相対回転に基づく第二の区画部の弾性変形を径方向において均等に生じさせ得る。
【0009】
本発明の軸連結機構の好ましい例では、一方及び他方の軸方向突出体の夫々は半割円形状であり、一対の回転伝達部材の第一の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、一対の回転伝達部材の第二の貫通孔の夫々は、第一の区画部の軸心周りの方向における他方の側面及び他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径よりも大きな曲率半径を有した第一の環状基部の円弧状の内周縁によって規定されており、中間介在部材の第三の貫通孔は、第二の区画部の軸心周りの方向における一方の側面及び一方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、中間介在部材の第四の貫通孔は、他方の軸方向突出体の円弧面の曲率半径と等しい曲率半径を有した第二の環状基部の円弧状の内周面によって規定されており、第二の環状基部の内周縁は、第三の貫通孔を貫通した一方の軸方向突出体の円弧面及び第四の貫通孔を貫通した他方の軸方向突出体の円弧面の夫々に接触するようになっている。
【0010】
本発明において、一対の回転伝達部材は、好ましくは、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質の樹脂から形成されるが、その他の剛性を呈する硬質の樹脂から形成されていてもよく、中間介在部材は、ウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から形成されているとよい。
【0011】
本発明の軸連結機構は、電動式パワーステアリング装置用のものであってもよく、この場合、一方の軸方向突出体は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、他方の軸方向突出体は、自動車のステアリング軸にウオームギヤ機構を介して連結されるようになっていてもよく、また、車輪のバンプおよびリバウンドに伴うキャンバー角や対地トレッドの変化を抑制して操縦安定性能を高めるべく、車両のサスペンション装置のアッパーリンクおよびロアリンクを伸縮制御する伸縮アクチュエータであって、例えば自動車のサスペンションのナックルと車体とを連結する伸縮アクチュエータとしてのトーコントロールアクチュエータに用いられてもよく、この場合、一方の軸方向突出体は、車体側に位置するトーコントロールアクチュエータのブラシ付きのモータの回転軸に連結された減速機の出力部材である回転軸に設けられるようになっており、他方の軸方向突出体は、ナックル側に位置するトーコントロールアクチュエータの送りねじ機構の入力部材である回転軸に連結されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期の使用によっても一方の回転軸と他方の回転軸との間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動のステアリングホイールへの伝達及びウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動を低減でき、運転者の操舵感覚の向上を図り得て、早期の劣化を回避できる軸連結機構を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の一部破断正面説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すII−II線矢視断面説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すIII−III線矢視断面説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す例の主に軸方向突出体の軸方向における端面説明図である。
【
図5】
図5の(a)及び(b)は、
図1に示す例の一方の回転伝達部材の説明図である。
【
図6】
図6の(a)及び(b)は、
図1に示す例の中間介在部材の説明図である。
【
図7】
図7の(a)及び(b)は、
図1に示す例の他方の回転伝達部材の説明図である。
【
図8】
図8は、他の形態の軸方向突出体の軸方向における端面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0015】
図1から
図7において、電動式パワーステアリング装置の電動モータ側の回転軸2の回転を及びウォーム軸側の回転軸3の軸心Oの周りのR方向の回転を相互に伝達するように回転軸2及び3の間に配されて当該回転軸2及び3を相互に連結する本例の電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構1は、軸心Oに対して径方向に離れて回転軸2に設けられる軸方向突出体4と、軸心Oに対して径方向に離れて回転軸3に設けられる軸方向突出体5と、回転軸2及び3間に配されると共に回転軸2のR方向の回転を軸方向突出体4及び5を介して回転軸3に伝達するべく軸心周りの方向において軸方向突出体4及び5の夫々に接触する回転伝達体6とを具備している。
【0016】
軸方向としてのA方向に伸びた回転軸2の端面11にA方向に突出して一体的に形成されていると共に剛性であって半割円形状である軸方向突出体4は、特に
図4に示すように、回転軸2の軸心Oと同心の曲率中心をもった円弧面12と、円弧面12の軸心周りの方向における両縁に連接していると共に区画部66の軸心周りの方向における側面69に接触する軸心周りの方向における剛性回転伝達面としての平坦な側面13と、円弧面12及び側面13の夫々のA方向における一方縁に連接していると共に回転軸3の端面21に対して隙間16をもって対面している先端面14とを具備している。軸方向突出体4は、本例では、軸方向突出体4のA方向における回転軸2側の端部15で回転軸2の端面11に一体形成されているが、これに代えて、キー、ねじ等を介して連結されてもよい。
【0017】
A方向に伸びた回転軸3の端面21にA方向に突出して一体的に形成されている半割円形状の軸方向突出体5は、特に
図4に示すように、回転軸3の軸心Oと同心である曲率中心をもった円弧面22と、側面13に対して径方向の間隔をもって対面して配されて区画部66の軸心周りの方向における側面70に接触すると共に円弧面22の軸心周りの方向における両縁に連接している軸心周りの方向における剛性回転伝達面としての平坦な側面23と、円弧面22及び側面23の夫々のA方向における一方縁に連結していると共に回転軸2の端面11に対して隙間26をもって対面している先端面24とを具備している。軸方向突出体4は、本例では軸方向突出体5のA方向における回転軸3側の端部25で回転軸3の端面21に一体形成されているが、これに代えて、キー、ねじ等を介して連結されてもよい。
【0018】
互いに同形状である軸方向突出体4及び5において、
図2に示すように、軸方向突出体4は径方向において一方側に、軸方向突出体5は径方向において他方側に夫々位置する。
【0019】
回転伝達体6は、A方向において回転軸2及び3間に配される一対の回転伝達部材31及び32と、A方向において回転伝達部材31及び32間に配されている中間介在部材33とを具備している。
【0020】
ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等から一体に形成されている剛性の回転伝達部材31は、特に
図5の(a)及び(b)に示すように、A方向において回転軸2及び3間に配される円環状の環状基部41と、環状基部41の内周縁42に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に内周縁42で規定されている貫通孔43を軸方向突出体4が貫通する貫通孔44及び軸方向突出体5が貫通する貫通孔45に区画する区画部46とを具備している。
【0021】
区画部46は、径方向に伸びていると共にその両端部47及び48で環状基部41の内周縁42に一体的に連結されている。区画部46の軸心周りの方向における一方の剛性回転伝達面としての側面49は、両端部47及び48の夫々において環状基部41の円弧状の内周縁42に連接しており、当該内周縁42と協働して半割円形状の貫通孔44を規定している。区画部46の軸心周りの方向における他方の剛性回転伝達面としての側面50は、両端部47及び48の夫々において環状基部41の円弧状の内周縁42に連接しており、当該内周縁42と協働して半割円形状の貫通孔45を規定している。
【0022】
内周縁42は、軸方向突出体4の円弧面12の曲率半径よりも大きな曲率半径を有しており、環状基部41は、貫通孔44を貫通した軸方向突出体4の円弧面12に対して径方向の隙間35をもって配されている。内周縁42は、軸方向突出体5の円弧面22の曲率半径よりも大きな曲率半径を有しており、環状基部41は、貫通孔45を貫通した軸方向突出体5の円弧面22に対して径方向の隙間36をもって配されている。貫通孔44及び45は、軸心Oを対称中心として互いに対称に配設されている。
【0023】
区画部46の軸心周りの方向における幅D1は、軸心Oから径方向外側に向かうに連れて漸減しており、区画部46の中央における側面49の部位は、軸方向突出体4の側面13に接触しており、区画部46の両端部47及び48側における側面49の部位の夫々は、軸方向突出体4の側面13から離反しており、区画部46の中央における側面50の部位は、軸方向突出体5の側面23に接触しており、区画部46の両端部47及び48側における側面50の部位の夫々は、軸方向突出体5の側面23から離反している。
【0024】
回転伝達部材31と同様にポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等から一体に形成されている剛性の回転伝達部材32は、特に
図7の(a)及び(b)に示すように、A方向において回転軸2及び3間に配される円環状の環状基部51と、環状基部51の内周縁52に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に内周縁52で規定されている貫通孔53を軸方向突出体4が貫通する貫通孔54及び軸方向突出体5が貫通する貫通孔55に区画する区画部56とを具備している。
【0025】
区画部56は、径方向に伸びていると共にその両端部57及び58で環状基部51の内周縁52に一体的に連結されている。区画部56の軸心周りの方向における一方の剛性回転伝達面としての側面59は、両端部57及び58の夫々において環状基部51の円弧状の内周縁52に連接しており、当該内周縁52と協働して半割円形状の貫通孔54を規定している。区画部56の軸心周りの方向における他方の剛性回転伝達面としての側面60は、両端部57及び58の夫々において環状基部51の円弧状の内周縁52に連接しており、当該内周縁52と協働して半割円形状の貫通孔55を規定している。
【0026】
内周縁52は、軸方向突出体4の円弧面12の曲率半径よりも大きな曲率半径を有しており、環状基部51は、貫通孔54を貫通した軸方向突出体4の円弧面12に対して径方向の隙間37をもって配されている。内周縁52は、軸方向突出体5の円弧面22の曲率半径よりも大きな曲率半径を有しており、環状基部51は、貫通孔55を貫通した軸方向突出体5の円弧面22に対して径方向の隙間38をもって配されている。貫通孔54及び55は、軸心Oを対称中心として互いに対称に配設されている。
【0027】
区画部56の軸心周りの方向における幅D1は、軸心Oから径方向外側に向かうに連れて漸減しており、区画部56の中央における側面59の部位は、軸方向突出体4の側面13に接触しており、区画部56の両端部57及び58側における側面59の部位の夫々は、軸方向突出体4の側面13から離反しており、区画部56の中央における側面60の部位は、軸方向突出体5の側面23に接触しており、区画部56の両端部57及び58側における側面60の部位の夫々は、軸方向突出体5の側面23から離反している。
【0028】
斯かる回転伝達部材31及び32は夫々互いに同様に形成されており、中間介在部材33を間にして、環状基部41と環状基部51とが、そして、区画部46と区画部56とが夫々A方向において互いに対面するようにして同心に配されている。
【0029】
回転伝達部材31及び32よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であってウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から一体形成されている中間介在部材33は、特に
図6の(a)及び(b)に示すように、A方向において回転伝達部材31及び32間に配される円環状の環状基部61と、環状基部61の内周縁62に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に区画部46及び56間に配されており、且つ環状基部61の内周縁62で規定されている貫通孔63を軸方向突出体4が貫通する貫通孔64及び軸方向突出体5が貫通する貫通孔65に区画する区画部66とを具備している。
【0030】
環状基部61は、回転伝達部材31及び32の環状基部41及び51の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、環状基部41及び51の径方向における幅D3よりも大きな径方向における幅D4を有している。内周縁62は、軸方向突出体4の円弧面12の曲率半径と等しい曲率半径を有しており、貫通孔64を貫通した軸方向突出体4の円弧面12の全周にぴったりと接触するように配されている。内周縁62は、軸方向突出体5の円弧面22の曲率半径と等しい曲率半径を有しており、貫通孔55を貫通した軸方向突出体5の円弧面22の全周にぴったりと接触するように配されている。
【0031】
区画部66は、回転伝達部材31及び32の区画部46及び56の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、径方向に伸びていると共にその両方の端部67及び68で環状基部61の内周縁62に一体的に連結されている。弾性を有する区画部66の軸心周りの方向における一方の弾性回転伝達面としての平坦な側面69は、両端部67及び68の夫々において環状基部61の円弧状の内周縁62に連接しており、当該内周縁62と協働して半割円形状の貫通孔64を規定している。区画部66の軸心周りの方向における他方の弾性回転伝達面としての平坦な側面70は、両端部67及び68の夫々において環状基部61の円弧状の内周縁62に連接しており、当該内周縁62と協働して半割円形状の貫通孔65を規定している。貫通孔64を規定している側面69及び内周縁62は、軸方向突出体4に対して相補的な形状をもっており、貫通孔65を規定している側面70及び内周縁62は、軸方向突出体5に対して相補的な形状をもっている。貫通孔64及び65は、軸心Oを対称中心として互いに対称に配設されている。軸方向突出体4は、貫通孔64において中間介在部材33に嵌合し、軸方向突出体5は、貫通孔65において中間介在部材33に嵌合するようになっている。
【0032】
区画部66は、区画部46及び56の軸心周りの方向における幅D1よりも大きな幅D2を有している。区画部66の幅D2は、軸心Oから端部67及び68の夫々までにおいて一定である。尚、区画部46、56及び66の夫々の中央の幅は互いに等しい。区画部66の側面69は、その全面において軸方向突出体4の側面13にぴったりと接触しており、区画部66の側面70は、その全面において軸方向突出体5の側面23にぴったりと接触している。
【0033】
回転軸2及び3の一定以下のR方向の相対回転では、軸方向突出体4のR方向の側面13は、R方向において対面する中間介在部材33の区画部66のR方向の側面69に接触している一方、R方向において対面する回転伝達部材31及び32の区画部46及び56の側面49及び59に夫々非接触となっており、軸方向突出体5のR方向の側面23は、R方向において対面する中間介在部材33の区画部66のR方向の側面70に接触している一方、R方向において対面する回転伝達部材31及び32の区画部46及び56の側面50及び60に夫々非接触となっている。
【0034】
以上の軸連結機構1では、運転者によるステアリングホイールの手動操作において、ステアリングホイールに加えられるトルクを検出するトルク検出器からの検出信号により制御される電動モータが作動されると、回転軸2がR方向に回転されて軸方向突出体4が同方向に回転されて、軸方向突出体4による区画部66のR方向の弾性変形後における側面69並びに側面49及び59への側面13の接触に基づく軸方向突出体4による区画部46、56及び66のR方向への押圧を介して軸方向突出体4のR方向の回転が軸方向突出体5の側面22に剛性的に伝達されて、これにより、ステアリングホイールの手動操作を補助するようになっている。
【0035】
軸連結機構1では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されないで回転軸2がR方向に回転されない状態又はステアリングホイールが運転者により手動操作されて回転軸2がR方向に回転される状態のいずれの状態においても、回転軸2に対する回転軸3のR方向の相対回転が微小なものである場合には、側面69及び70が容易に圧縮変形する結果、斯かる回転軸2の微小なR方向の回転は、回転軸3には殆ど伝達されず、而して、回転軸2に連結された電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動の回転軸3を介してのステアリングホイールへの伝達を低減できる上に、回転軸3に連結されたウォームギヤ(ウォーム軸)と当該ウォームギヤに噛み合うと共にステアリング軸に連結されたウォームホイールとの間のバックラッシュに起因する振動を中間介在部材33の弾性圧縮変形で吸収できてウォームギヤとウォームホイールとにおける歯打ち等の異音の発生をなくし得、運転者の操舵感覚の向上を図り得る。また、軸連結機構1では、区画部66の一定以上の圧縮変形後、側面49への側面13の接触及び側面50への側面23の接触が生じて区画部66のそれ以上の弾性圧縮変形を抑止できる結果、区画部66のクリープによるへたりを防止でき、而して、回転軸2及び3間にR方向についてのガタが生じ難いことになる。
【0036】
また、軸連結機構1では、上述の電動モータのブラシ振動、ウォームギヤとウォームホイールとのバックラッシュに起因する振動等に基づく回転軸2及び3の相互間のA方向に交差する方向の微小な振動は、弾性の環状基部61の内周縁62が軸方向突出体4及び5の円弧面12及び22の夫々にぴったりと接触している環状基部61の弾性変形によって吸収され、加えて、回転軸2及び3の相互間のA方向に交差する方向の位置ずれが一定以上になると、軸方向突出体4の円弧面12及び/又は軸方向突出体5の円弧面22が剛性の環状基部41及び51の内周縁42及び52の夫々に接触して、A方向に交差する方向の一定以上の位置ずれが抑止される。
【0037】
本例の軸連結機構1によれば、軸心Oに対して径方向に離れて回転軸2に設けられる軸方向突出体4と、軸心Oに対して径方向に離れて回転軸3に設けられる軸方向突出体5と、回転軸2及び3間に配されると共に、回転軸2のR方向の回転を軸方向突出体4及び5を介して回転軸3に伝達するべく、軸心周りの方向において軸方向突出体4及び5の夫々に接触する回転伝達体6とを具備しており、回転伝達体6は、回転軸2及び3間に配される一対の回転伝達部材31及び32と、回転伝達部材31及び32間に配されている中間介在部材33とを具備しており、回転伝達部材31及び32の夫々は、A方向において回転軸2及び3間に配される環状基部41及び51と、環状基部41及び51の内周縁42及び52に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に環状基部41及び51の内周縁42及び52で規定されている貫通孔43及び53を軸方向突出体4が貫通する貫通孔44及び54と軸方向突出体5が貫通する貫通孔45及び55とに区画する区画部46及び56とを具備しており、中間介在部材33は、A方向において回転伝達部材31及び32間に配される環状基部61と、環状基部61の内周縁62に径方向に伸びて一体的に形成されていると共に回転伝達部材31及び32の区画部46及び56間に配されており、且つ環状基部61の内周縁62で規定されている貫通孔63を軸方向突出体4が貫通する貫通孔64及び軸方向突出体5が貫通する貫通孔65に区画する区画部66とを具備しており、区画部66は、回転伝達部材31及び32の区画部46及び56の夫々の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ区画部46及び56の軸心周りの方向における幅D1よりも大きな幅D2を有しており、貫通孔44、54及び64を貫通して当該貫通孔44、54及び64に配された軸方向突出体4は、区画部66の軸心周りの方向における側面69に接触する軸心周りの方向における側面13を有しており、貫通孔45、55及び65を貫通して当該貫通孔45、55及び65に配された軸方向突出体5は、区画部66の軸心周りの方向における側面70に接触する軸心周りの方向における側面23を有しているために、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動やウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する振動等によって生じる回転軸2及び3のうちの一方のR方向の微小回転においては中間介在部材33の弾性変形を生じさせることで当該微小回転を回転軸2及び3のうちの他方に伝達させることがない一方、ステアリングの操作及び当該操作に基づく電動モータの出力回転軸の回転によって生じる回転軸2及び3のうちの一方の一定以上の回転においては軸方向突出体4及び5の夫々の軸心周りの方向における側面13及び23を一対の回転伝達部材31及び32の区画部46及び56の軸心周りの方向における側面49及び59並びに側面50及び60に接触させることで当該一定以上の回転を回転軸2及び3のうちの他方に伝達させることができ、而して、長期の使用によっても回転軸2と回転軸3との間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動のステアリングホイールへの伝達及びウオームギヤ機構のバックラッシュに起因する歯打ち等の異音、振動を低減でき、運転者の操舵感覚の向上を図り得て、早期の劣化を回避できる。
【0038】
軸方向突出体4及び5には、例えば
図8及び
図9に示すように、径方向であって区画部46、56及び66の長手方向に交差する方向に伸びたスリット71及び72が夫々形成されていてもよい。
【0039】
尚、区画部46及び56の軸心周りの方向における幅D1は、本例では軸心Oから径方向外側に向かうに連れて漸減しているが、例えば一定幅であってもよく、斯かる場合には、区画部66の軸心周りの方向における幅D2は、例えば
図10に示すように、区画部46及び56の軸心周りの方向における前記一定幅に対して軸心から径方向外側に向かうに連れて漸増しており、軸方向突出体4及び5は、前述のように幅が漸増している区画部66の軸心周りの方向の側面69及び70に対して相補的な形状の側面13及び23を具備していてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 軸連結機構
2、3 回転軸
4、5 軸方向突出体
6 回転伝達体
31,32 回転伝達部材
33 中間介在部材