【実施例】
【0026】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。添加剤を除いた油中水型エマルション爆薬組成物の基本組成を100質量部とし、添加剤の割合は外割としている。
【0027】
(
参考例1)
まず、酸化剤として硝酸アンモニウム75.1質量部及び硝酸ナトリウム5.25質量部を、水11.57質量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の酸化剤水溶液を得た。一方、油類として融点80℃の石油系炭化水素からなるワックス2.65質量部と、乳化剤として親水性・親油性バランス(HLB)が4の、ソルビタンモノオレエート(油中水型エマルション用非イオン性界面活性剤)2.64質量部と、添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.01質量部を加温して溶融混合し、可燃剤混合物を得た。
【0028】
次いで、保温可能な容器内にまず可燃剤混合物5.3質量部を入れ、それに酸化剤水溶液91.92質量部を徐々に添加しながら、通常使用されるプロペラ羽根式攪拌機を用いて約600rpmで混合攪拌し、粗エマルション97.22質量部を得た。次いで、攪拌機回転数を約1600rpmに上げて3分間混合攪拌を行い、約85℃の油中水型エマルションを得た。最後に、微小中空粒子としてガラスマイクロバルーン2.79質量部と、前記油中水型エマルションとを縦型混合機を用いて約30rpmで混合することにより、油中水型エマルション爆薬組成物(実施例1)を得た。この実施例1の油中水型エマルション爆薬組成物を、直径30mm、長さ140mmのラミネートクラフト紙で包装し、試験体としてのエマルション爆薬とした。
【0029】
(
参考例2)
添加剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.1質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例2)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0030】
(実施例3)
添加剤としてアスコルビン酸0.1質量部を酸化剤水溶液を得る際に添加し、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃物を得る際に添加した以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例3)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0031】
(実施例4)
添加剤としてアスコルビン酸1.5質量部を酸化剤水溶液を得る際に添加し、ジブチルヒドロキシトルエン5.5質量部を油類と乳化剤とを混合して可燃物を得る際に添加した以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(実施例3)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0032】
(比較例1)
長期保存用の添加剤を添加しない以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例1)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0033】
(比較例2)
長期保存用の添加剤の代わりに、トリフェニルホスファイト0.1質量部を、油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例2)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0034】
(比較例3)
長期保存用の添加剤の代わりに、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート0.1質量部を、油類と乳化剤とを混合して可燃剤混合物を得る際に添加した以外は、
参考例1と同様の条件及び手順で油中水型エマルション爆薬組成物(比較例3)を調製し、
参考例1と同様に試験体(エマルション爆薬)を作製した。
【0035】
各
参考例、実施例及び比較例の組成を表1にまとめる。なお、表1中の数値は質量部である。
【表1】
【0036】
得られた各
参考例、実施例及び比較例について、長期保存後の性能(針入度及び低温起爆感度)を確認した。その結果を表2に示す。なお、針入度及び低温起爆感度は、次のようにして試験した。
【0037】
[針入度]
油中水型エマルション爆薬の硬さを調べるために、針入度を測定した。針入度は、油中水型エマルション爆薬の中心部に133gの針を45mmの高さから自由落下させたときの深さ(mm)である。測定時の各試験体の温度は20℃にする。針入度は初期値からの低下が大きいもの程、油中水型エマルション爆薬の性能が低下していることを示す。
【0038】
[低温起爆感度試験]
油中水型エマルション爆薬を−25℃に調温し、該油中水型エマルション爆薬の一端に、6号電気雷管を取り付け起爆する。完全に爆ごうしたかどうかは、起爆後の残薬の有無により判定する。エマルション構造が壊れると反応性が悪くなり、起爆感度も低下する。そのため、この試験により長期保存後の油中水型エマルション爆薬の起爆感度がわかる。これにより、長期保存の可否の目安となる。なお、判定基準は次の通りである。
◎:完全に爆ごうした ○:半爆であった ×:不爆であった
【0039】
【表2】
【0040】
表2の結果から明らかなように、
参考例1,2及び実施例
3,4は、製造から18ヶ月経過後でも初期値からの針入度の低下量が小さく、且つ良好な低温起爆感度も維持されていた。これに対し、添加剤を添加していない比較例1は、初期値からの針入度の低下量が大きく、すなわち油中水型エマルション爆薬の硬化が著しく早く、且つ起爆感度に関しても
参考例1,2及び実施例
3,4よりも劣化の程度が早かった。なお、
参考例1,2及び実施例
3,4の中では、ジブチルヒドロキシトルエンを単独で添加した
参考例1〜2よりも、ジブチルヒドロキシトルエンとアスコルビン酸を混用した実施例3〜4の方が長期保存性が良好であった。
【0041】
一方、比較例2や比較例3では、針入度及び低温起爆感度共に著しく低下していた。したがって、比較例2や比較例3に用いた添加剤(トリフェニルホスファイトやジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート)では、長期保存が不可能であることが確認された。