(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間転写ユニットは、記録シートを前記中間転写ベルトと前記2次転写ローラとの間に向けて案内するシートガイド部材を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記中間転写ユニットは、記録シートが前記中間転写ベルトから離れるときの剥離放電を抑制する導電部材を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中間転写ベルトや2次転写ローラも長期の使用によって性能が低下するため、プロセスカートリッジなどと同様に交換することができる構成が望まれる。しかしながら、従来の構成では、本体ケースから中間転写ベルトを取り外して新品に交換し、さらに、カバーから2次転写ローラを取り外して新品に交換する必要があるので、容易に交換することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、中間転写ベルトや2次転写ローラの交換とジャム処理の両方を容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、開口を有する装置本体と、装置本体内に配置されて現像剤像を担持する像担持体と、中間転写ユニットを備える。
中間転写ユニットは、少なくとも第1ローラと第2ローラの間に架け渡され、像担持体から転写された現像剤像を記録シートに転写する中間転写ベルトと、第1ローラとの間で中間転写ベルトを挟むように配置された2次転写ローラとを一体的に有し、開口を通して装置本体に対して着脱可能に構成されている。
2次転写ローラは、中間転写ベルトに接触する接触位置と、中間転写ベルトから離間する離間位置との間を移動可能に構成されている。
【0007】
この構成によれば、中間転写ベルトと2次転写ローラを装置本体に対して一体的に着脱することができるので、中間転写ベルトや2次転写ローラを個別に交換する構成と比較して、中間転写ベルトや2次転写ローラの交換を容易に行うことができる。また、中間転写ベルトと2次転写ローラとの間に用紙などが詰まった場合には、2次転写ローラを中間転写ベルトから離間させることができるので、ジャム処理を容易に行うことができる。
【0008】
前記した画像形成装置は、装置本体に対し、開口を覆う閉位置と開口を露出させる開位置との間を移動可能に設けられたカバーを備える構成とすることができる。
この場合、2次転写ローラは、カバーが閉位置から開位置へ移動するのに連動して接触位置から離間位置へ移動するように構成することができる。
【0009】
これによれば、カバーを開くことで同時に2次転写ローラを中間転写ベルトから離間させることができるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0010】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットまたはカバーは、少なくともカバーが閉位置のときに2次転写ローラを第1ローラに向けて付勢する第1付勢部材を有する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、中間転写ユニットが第1付勢部材を有する構成では、第1付勢部材が中間転写ユニットと別に設けられる構成と比較して、第1付勢部材と2次転写ローラとの位置精度を向上させることができるので、接触位置にある2次転写ローラを第1ローラに向けて精度良く付勢することができる。また、カバーが第1付勢部材を有する構成では、カバーを開くことで2次転写ローラと中間転写ベルトとの圧接を解除することができるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0012】
前記した画像形成装置において、第1付勢部材は、カバーが開位置のときに2次転写ローラの付勢を解除するように中間転写ユニットに設けることができる。
この場合、カバーは、閉位置のときに、第1付勢部材が2次転写ローラを付勢するように第1付勢部材を押圧する押圧部を有する構成とすることができる。
【0013】
これによれば、カバーを閉じることで2次転写ローラを中間転写ベルトに圧接させることができるので、ジャム処理後の操作性を向上させることができる。
【0014】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットは、2次転写ローラを接触位置と離間位置との間で移動可能に支持するローラガイド部材を有する構成とすることができる。
ローラガイド部材は、中間転写ユニットが装置本体に装着された状態で、第1ローラ側とは反対側の端部が第1ローラ側の端部よりも下方に位置するように構成することができる。
この場合、2次転写ローラは、ローラガイド部材に沿って自重で離間位置に移動可能に構成することができる。
【0015】
これによれば、カバーを開くとき(またはカバーを開いた後)に、2次転写ローラを中間転写ベルトから自動的に離間させることができるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。また、ローラガイド部材以外の、2次転写ローラを離間させるための機構が省略可能となるので、中間転写ユニットや画像形成装置の構成の簡略化や小型化などを図ることができる。
【0016】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットは、2次転写ローラを離間位置に向けて付勢する第2付勢部材を有する構成とすることができる。
この場合、カバーが閉位置のとき、第2付勢部材の付勢力は、第1付勢部材の付勢力よりも小さい。
【0017】
これによれば、カバーが開位置のときには、2次転写ローラを中間転写ベルトから確実に離間させることができるので、ジャム処理を容易に行うことができる。なお、カバーが閉位置のとき、第2付勢部材の付勢力は、第1付勢部材の付勢力よりも小さいため、第2付勢部材が第1付勢部材による2次転写ローラと中間転写ベルトとの圧接を妨げることはない。
【0018】
前記した画像形成装置において、第1付勢部材は、中間転写ユニットに設けることができる。
この場合、カバーは、少なくとも、閉位置から開位置へ移動するときに接触位置にある2次転写ローラを離間位置に移動させるローラ移動機構を有する構成とすることができる。
一例として、第1付勢部材が、2次転写ローラを常時付勢するように設けられる場合、ローラ移動機構は、カバーを閉位置から開位置へ移動するときに、2次転写ローラに係合して接触位置にある2次転写ローラを離間位置に移動させる係合部を含む構成とすることができる。
【0019】
これによれば、カバーを開くことで2次転写ローラを中間転写ベルトから離間させることができるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0020】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットは、2次転写ローラを接触位置と離間位置との間で移動可能に支持するローラガイド部材を有する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、ローラガイド部材によって2次転写ローラをスムーズに移動させることができる。
【0022】
前記した画像形成装置において、ローラガイド部材は、接触位置にある2次転写ローラの回転軸と第1ローラの回転軸を結ぶ方向に対して平行に延びている構成とすることができる。
【0023】
これによれば、2次転写ローラの回転軸を第1ローラの回転軸に対して近接離間する方向に沿って平行移動させることができるので、2次転写ローラをよりスムーズに移動させることができる。また、第1付勢部材により接触位置にある2次転写ローラを第1ローラに向けて精度良く付勢することができる。
【0024】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットは、記録シートを中間転写ベルトと2次転写ローラとの間に向けて案内するシートガイド部材を有する構成とすることができる。
【0025】
これによれば、シートガイド部材が中間転写ユニットとは別に設けられる構成と比較して、中間転写ベルトと2次転写ローラとの間のニップ部分と、シートガイド部材との位置精度を向上させることができる。これにより、中間転写ベルトと2次転写ローラとの間へ記録シートを精度良く案内することができる。
【0026】
前記した画像形成装置において、中間転写ユニットは、記録シートが中間転写ベルトから離れるときの剥離放電を抑制する導電部材を有する構成とすることができる。
【0027】
これによれば、導電部材が中間転写ユニットとは別に設けられる構成と比較して、中間転写ベルトと2次転写ローラの間から搬出される記録シートと、導電部材との位置精度を向上させることができる。これにより、剥離放電を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、中間転写ベルトや2次転写ローラの交換とジャム処理の両方を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を説明した後、本発明の特徴部分(主に中間転写ユニット7)の詳細な構成について説明する。また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、
図1における上下方向を「上下」とする。
【0031】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体2と、カバーの一例としてのリアカバー21と、用紙Sを供給する給紙部3と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部4とを主に備えている。本体筐体2は、後部に設けられた開口2Aと、上部に設けられた排紙トレイ22を有している。
【0032】
リアカバー21は、開口2Aを開閉するカバーであり、本体筐体2の後部に設けられている。より詳細に、このリアカバー21は、下部の回動軸21Aを中心として上部を回動させることで、本体筐体2に対し、開口2Aを覆う閉位置(
図1参照)と、開口2Aを露出させる開位置(
図3参照)との間を移動可能に設けられている。
【0033】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、記録シートとの一例としての用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを画像形成部4に供給する供給機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、供給機構32によって1枚ずつ分離されて画像形成部4に供給される。
【0034】
画像形成部4は、露光ユニット5と、4つのプロセスユニット6と、中間転写ユニット7と、定着ユニット8とを主に備えて構成されている。
【0035】
露光ユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源やポリゴンミラー、複数のレンズ、複数の反射鏡などを有している。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりして、各感光体ドラム61の表面で高速走査される(鎖線参照)。
【0036】
プロセスユニット6は、本体筐体2内の給紙トレイ31と露光ユニット5との間に前後に並んで配置されており、それぞれ、像担持体の一例としての感光体ドラム61と、帯電器62と、現像装置63とを主に有している。現像装置63は、符号を省略して示す現像ローラや供給ローラ、層厚規制ブレード、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部などを備えている。
【0037】
中間転写ユニット7は、本体筐体2内の給紙トレイ31とプロセスユニット6との間に配置され、第1ローラ71と、第2ローラ72と、中間転写ベルト73と、4つの1次転写ローラ74と、2次転写ローラ75とを主に有している。中間転写ベルト73は、第1ローラ71と第2ローラ72の間に架け渡され、上側の面が4つの感光体ドラム61と対向配置されている。また、1次転写ローラ74は、感光体ドラム61との間で中間転写ベルト73を挟むようにして感光体ドラム61と対向配置され、2次転写ローラ75は、第1ローラ71との間で中間転写ベルト73を挟むようにして第1ローラ71と対向配置されている。
【0038】
定着ユニット8は、本体筐体2内の2次転写ローラ75の上方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に有している。
【0039】
このような画像形成部4では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光ユニット5からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム61の表面に現像装置63からトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム61上にトナー像(現像剤像)が担持される。
【0040】
各感光体ドラム61上に担持されたトナー像は、各感光体ドラム61から中間転写ベルト73上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙部3から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間を搬送されることで、中間転写ベルト73上のトナー像が用紙Sに転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着された後、本体筐体2内から排紙トレイ22上に排出される。
【0041】
<中間転写ユニットの詳細構成>
図2(a)に示すように、中間転写ユニット7は、前記した中間転写ベルト73や2次転写ローラ75などのほか、さらに、フレーム部材70と、第1付勢部材の一例としての左右一対のコイルバネ76(一方のみ図示)と、第2付勢部材の一例としてのトーションバネ77と、シートガイド部材78(
図3参照)と、導電部材の一例としての除電針79(
図6参照)を有している。
【0042】
フレーム部材70は、中間転写ベルト73や2次転写ローラ75、バネ76,77などを一体的に支持する部材であり、左右一対のサイドフレーム70Aと、左右のサイドフレーム70Aの前部を連結する連結フレーム70Bとを主に有して構成されている。
図3に示すように、第1ローラ71、第2ローラ72、1次転写ローラ74および2次転写ローラ75は、それぞれ左右のサイドフレーム70Aに対して回転可能に支持されている。
【0043】
フレーム部材70は、中間転写ベルト73や2次転写ローラ75などを一体的に支持した状態で、リアカバー21が開位置のとき、本体筐体2に対して、略前後方向にスライド移動可能、かつ、開口2Aを通して着脱可能に支持されている。これにより、中間転写ユニット7は、本体筐体2に対して交換可能に構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態において、フレーム部材70(中間転写ユニット7)は、その着脱時に中間転写ベルト73が感光体ドラム61の表面と擦れないように、
図1に示す状態から一旦下方に移動して中間転写ベルト73を感光体ドラム61から離間させた後、前後にスライド移動するように支持されている。
【0044】
図4に示すように、各サイドフレーム70Aの後部には、それぞれローラガイド部材の一例としてのローラガイド部110が設けられている(一方のみ図示)。
【0045】
ローラガイド部110は、主に、2次転写ローラ75を中間転写ベルト73に接触する接触位置((a)参照)と、中間転写ベルト73から離間する離間位置((b)参照)との間で移動可能に支持するガイドである。より詳細に、ローラガイド部110は、中間転写ユニット7が本体筐体2に装着された状態(姿勢)で、サイドフレーム70Aの後部から後斜め下方に向けて延びる上下一対のガイド壁111と、上下のガイド壁111の後端部を連結する後壁112とを主に有する側面視略U形状に形成されている。
【0046】
上下のガイド壁111は、2次転写ローラ75の回転軸75Aを回転可能に支持する軸受部材120を第1ローラ71に近接または離間する方向に移動可能に支持することで、2次転写ローラ75を接触位置と離間位置との間で移動可能に支持している。各ガイド壁111は、サイドフレーム70Aの後部から後斜め下方に向けて延びていることで、その第1ローラ71側とは反対側の端部(後端部)が、第1ローラ71側の端部(前端部)よりも下方に位置している。また、ガイド壁111(詳細には軸受部材120をガイドする面)は、接触位置にある2次転写ローラ75の回転軸75Aの回転中心と第1ローラ71の回転軸71Aの回転中心とを結ぶ方向(鎖線PL参照)に対して略平行に延びている。
【0047】
ローラガイド部110(上下のガイド壁111の間)には、軸受部材120のほかに、押圧部材130が配設されている。押圧部材130は、側面視略T形状をなしており、コイルバネ76の後端を支持する板状の支持部131と、支持部131の後面から略後方に向けて延びる延出部132とを主に有して構成されている。この押圧部材130は、支持部131が上下のガイド壁111の間に配置され、延出部132がローラガイド部110の後壁112に設けられた貫通穴113(
図5参照)に挿入されることで、軸受部材120と同様に、第1ローラ71に近接または離間する方向に移動可能に支持されている。
【0048】
コイルバネ76は、上下のガイド壁111の間であって、押圧部材130の支持部131と軸受部材120との間に配設されている。詳細については後述するが、本実施形態のコイルバネ76は、
図4(a)に示すリアカバー21が閉位置のときには、押し縮められることで2次転写ローラ75を第1ローラ71に向けて付勢し、
図4(b)に示すリアカバー21が開位置のときには、自然長(伸びきった状態)となって2次転写ローラ75の付勢を解除するように中間転写ユニット7に設けられている。
【0049】
なお、以上説明したローラガイド部110、軸受部材120、押圧部材130およびコイルバネ76は、2次転写ローラ75の左右両側に略左右対称となるようにそれぞれ設けられている。また、左右のローラガイド部110は、中間転写ユニット7を本体筐体2に着脱するときに、ユーザによって把持される取っ手としても機能する。
【0050】
図5(a),(b)に示すように、トーションバネ77は、2次転写ローラ75の右端側に1つ設けられている(
図2も参照)。より詳細に、トーションバネ77は、2次転写ローラ75の右側の軸受部材120を常時略後方(図示矢印方向)に向けて付勢することで、2次転写ローラ75を離間位置に向けて付勢するように中間転写ユニット7に設けられている。
図5(a)に示すように、リアカバー21が閉位置のとき、言い換えると、2次転写ローラ75がコイルバネ76によって第1ローラ71(略前方)に向けて付勢されているとき、トーションバネ77は、その付勢力がコイルバネ76の付勢力よりも十分小さくなるように設定されている。
【0051】
図6に示すように、シートガイド部材78は、前後方向に所定の間隔をあけて左右のサイドフレーム70Aの間に架け渡されるように設けられた一対の板状の部材であり、その間を通過する用紙Sを中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間に向けて案内する。このシートガイド部材78は、給紙部3から供給された用紙Sの先端を中間転写ベルト73(第1ローラ71)に向けて搬送するように、言い換えると、用紙Sの先端がまず中間転写ベルト73に当接するように配設されている。
【0052】
これにより、給紙部3から供給されてきた用紙Sの先端は、中間転写ベルト73に当接した後、中間転写ベルト73の回転によって、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間に案内されるようになっている。そして、中間転写ベルト73に貼り付くように搬送される用紙Sと、転写バイアスが印加された2次転写ローラ75との間の電位差によって中間転写ベルト73上のトナーが用紙Sに引き寄せられることで、中間転写ベルト73上のトナー像が用紙S上に転写されることとなる。
【0053】
除電針79は、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75とのニップ部分の下流側に設けられた導電性を有する針状の部材であり、その先端(前端)が、用紙Sの裏面(トナー像が転写された面とは反対側の面)と所定の間隔をあけて対向するように配置されている。この除電針79は、アースに接続されており、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間から搬出される用紙Sに溜まった静電気を逃がすことで、用紙Sが中間転写ベルト73から離れるときの剥離放電を抑制する。
【0054】
<カラープリンタの作用効果>
次に、カラープリンタ1の動作、主にはリアカバー21を開閉するときの動作を説明しながら、本実施形態に係るカラープリンタ1の作用効果について説明する。
【0055】
図4(a)に示すように、リアカバー21が閉位置のとき、コイルバネ76は、2次転写ローラ75を回転可能に支持する軸受部材120と、押圧部材130の支持部131との間で押し縮められているので、元の形状に戻ろうとすることで、軸受部材120を介して接触位置にある2次転写ローラ75を中間転写ベルト73(第1ローラ71)に向けて付勢する。これにより、2次転写ローラ75と中間転写ベルト73が圧接するため、2次転写ローラ75と中間転写ベルト73の間で用紙Sを搬送可能となっている。
【0056】
図4(b)に示すように、リアカバー21を開いていくと、押圧部21Bによる規制が解除されることで、コイルバネ76が元の形状に戻っていき、支持部131(押圧部材130)を後斜め下方に向けて押す。これにより、ローラガイド部110の後壁112からの延出部132の突出量が大きくなっていく。
【0057】
コイルバネ76が伸びきる(自然長になる)と、各ガイド壁111の後端部が前端部よりも下方に位置していることで、2次転写ローラ75が、軸受部材120を介してコイルバネ76および押圧部材130を押し下げながら、自重で後斜め下方へ移動する。言い換えると、2次転写ローラ75は、リアカバー21が閉位置から開位置へ移動するのに連動して、ローラガイド部110に沿って自重で、
図4(a)に示す接触位置から、
図4(b)に示す離間位置へ移動する。
【0058】
ここで、本実施形態においては、フレーム部材70にローラガイド部110が設けられているので、2次転写ローラ75を接触位置から離間位置へスムーズに移動させることができる。特に、本実施形態のローラガイド部110は、ガイド壁111が2次転写ローラ75の回転中心と第1ローラ71の回転中心とを結ぶ方向(鎖線PL)に対して略平行に延びているので、2次転写ローラ75の回転軸75Aを第1ローラ71の回転軸71Aに対して近接離間する方向に沿って平行移動させることができるため、2次転写ローラ75をよりスムーズに移動させることができる。
【0059】
また、中間転写ユニット7は、
図5(a),(b)に示すように、トーションバネ77を有するので、トーションバネ77によって2次転写ローラ75の接触位置から離間位置への移動を補助することができる。これにより、リアカバー21が開位置のときには、2次転写ローラ75を中間転写ベルト73から確実に離間させることができる。
【0060】
リアカバー21を開位置とした後、2次転写ローラ75と中間転写ベルト73との間に用紙Sが詰まっていた場合には、詰まった用紙Sを取り除く(ジャム処理を行う)。本実施形態では、
図4(b)に示すように、2次転写ローラ75を中間転写ベルト73から離間させることができるので、2次転写ローラ75と中間転写ベルト73の圧接が解除されることで、ジャム処理を容易に行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、2次転写ローラ75が、リアカバー21が閉位置から開位置へ移動するのに連動して、ローラガイド部110に沿って自重で接触位置から離間位置へ移動するように構成されているので、リアカバー21を開くことで、これと同時にかつ自動的に2次転写ローラ75を中間転写ベルト73から離間させることができる。これにより、リアカバーを開いた後に2次転写ローラを中間転写ベルトから離間させるための操作を必要とする構成と比較して、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、2次転写ローラ75がローラガイド部110に沿って自重で離間位置に移動可能に構成されているので、基本的には、ローラガイド部110以外の、2次転写ローラ75を離間させるための機構が不要となる。これにより、中間転写ユニット7やカラープリンタ1の構成の簡略化や小型化などを図ることが可能となる。
【0063】
一方、リアカバー21を開位置とした後、中間転写ユニット7を交換する場合には、
図3に示すように、取っ手として機能するローラガイド部110を把持して後方へ引き出すことで、性能が低下した中間転写ユニット7を本体筐体2から取り外し、次いで、新品の中間転写ユニット7を本体筐体2に新たに装着する。本実施形態では、中間転写ベルト73や2次転写ローラ75などを1つのユニットとして本体筐体2に対し一体的に着脱できるので、中間転写ベルトや2次転写ローラを個別に交換する構成と比較して、中間転写ベルト73や2次転写ローラ75などの交換を容易に行うことができる。
【0064】
ジャム処理をした後や新品の中間転写ユニット7を本体筐体2に装着した後は、リアカバー21を閉じていく。そうすると、
図4(b)に示すように、まず、リアカバー21の押圧部21Bが延出部132に当接し、リアカバー21をさらに閉じていくことで、押圧部21Bが延出部132をローラガイド部110内に押し込んでいく。これにより、押圧部材130、コイルバネ76および軸受部材120(2次転写ローラ75)が、ローラガイド部110に沿って前斜め上方へ移動する。
【0065】
そして、
図4(a)に示すように、2次転写ローラ75が中間転写ベルト73に当接して接触位置に到達すると、軸受部材120の位置が規制されるので、リアカバー21をさらに閉じていくことで、コイルバネ76が押圧部材130と軸受部材120との間で押し縮められていく。そして、閉位置に到達したリアカバー21が図示しない公知のロック機構によって閉位置にロックされることで、コイルバネ76が軸受部材120を介して2次転写ローラ75を第1ローラ71に向けて付勢し、これによって、再び2次転写ローラ75と中間転写ベルト73が圧接する。
【0066】
なお、リアカバー21が閉位置のとき、
図5(a)に示すトーションバネ77の付勢力は、左右のコイルバネ76(一方のみ図示)の付勢力よりも十分小さいため、トーションバネ77がコイルバネ76による2次転写ローラ75と中間転写ベルト73との圧接を妨げることはない。
【0067】
本実施形態では、ローラガイド部110が設けられていることで、上記したようなリアカバー21を開位置から閉位置へ移動させるときにも、2次転写ローラ75を離間位置から接触位置へスムーズに移動させることができる。さらに、ガイド壁111が
図4に示す鎖線PLに対して略平行に延びていることで、コイルバネ76によって2次転写ローラ75の回転中心を第1ローラ71の回転中心に向けて付勢することができる。これにより、2次転写ローラ75には、第1ローラ71(中間転写ベルト73)の表面から上下にずれるような力が作用しにくいため、2次転写ローラ75を精度良く付勢することができる。
【0068】
また、本実施形態では、リアカバー21が、閉位置のときに、コイルバネ76が2次転写ローラ75を付勢するように押圧部材130を介してコイルバネ76を押圧する押圧部21Bを有しているので、リアカバー21を閉じることで、同時に2次転写ローラ75を中間転写ベルト73に圧接することができる。これにより、リアカバーを閉じた後に2次転写ローラを中間転写ベルトに圧接するための操作を必要とする構成と比較して、ジャム処理後などの操作性を向上させることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、中間転写ベルト73や2次転写ローラ75を有する中間転写ユニット7がコイルバネ76を一体的に有しているので、コイルバネが別に設けられる構成と比較して、コイルバネ76と2次転写ローラ75との位置精度を向上させることができる。これにより、接触位置にある2次転写ローラ75を中間転写ベルト73(第1ローラ71)に向けて精度良く付勢することができる。
【0070】
また、中間転写ユニット7がシートガイド部材78を一体的に有しているので、シートガイド部材が別に設けられる構成と比較して、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間のニップ部分と、シートガイド部材78との位置精度を向上させることができる。これにより、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間へ用紙Sを精度良く案内することができ、用紙Sへの良好なトナー像の転写が可能となる。
【0071】
また、中間転写ユニット7が除電針79を一体的に有しているので、除電針が別に設けられる構成と比較して、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75の間から搬出される用紙Sと、除電針79の先端との位置精度を向上させることができる。これにより、剥離放電を効果的に抑制することができるので、剥離放電に起因する画質低下を抑えることができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と略同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。また、参照する図面において、
図7は、右側のローラガイド部110の周辺を左右方向内側から見た図であり、
図8は、左側のローラガイド部110の周辺を斜め後ろから見た斜視図である。
【0073】
図7(a),(b)に示すように、本実施形態の中間転写ユニット7は、第1ローラ71と図示しない第2ローラの間に架け渡された中間転写ベルト73と、1次転写ローラ74と、2次転写ローラ75と、フレーム部材70と、第1付勢部材としてのコイルバネ76と、シートガイド部材78と、除電針79とを有している。ちなみに、本実施形態の中間転写ユニット7には、前記した第1実施形態のトーションバネ77のような第2付勢部材は設けられていない。
【0074】
図7および
図8に示すように、フレーム部材70(各サイドフレーム70A)には、それぞれ、上下一対のガイド壁111と、上下のガイド壁111の後端部を連結する後壁114と、上下のガイド壁111および後壁114の左右方向外側の端部を連結する側壁115とを主に有するローラガイド部110が設けられており、上下のガイド壁111の間にそれぞれコイルバネ76と軸受部材220が配設されている。後壁114には、前記した第1実施形態の後壁112のような貫通穴113は設けられておらず、コイルバネ76は、後壁114と軸受部材220との間で、軸受部材220を介して2次転写ローラ75を第1ローラ71に向けて常時付勢するように設けられている。
【0075】
図8(a),(b)に示すように、軸受部材220は、2次転写ローラ75の回転軸75A(
図7参照)を回転可能に支持し、側壁115に設けられた貫通穴116から突出するように配設された軸受部221と、軸受部221の左右方向外側の端部から下方に向けて延びる延出部222と、延出部222の左右方向外側の面の下部から外側に向けて突出する被係合部223とを主に有して構成されている。
【0076】
側壁115の貫通穴116は、第1ローラ71に近接離間する方向に長い長穴となっており、軸受部材220(軸受部221)は、主に貫通穴116に沿って移動することで、2次転写ローラ75を、各図(a)に示す接触位置と、各図(b)に示す離間位置との間で移動可能としている。
【0077】
図7に示すように、本実施形態のリアカバー21は、(a)に実線で示す閉位置から、(b)に示す開位置へ移動するときに、接触位置にある2次転写ローラ75を離間位置に移動させるローラ移動機構(係合部210)を有している。具体的に、係合部210は、リアカバー21が閉位置にあるときのリアカバー21の前側の面のうち、左右方向における軸受部材220の被係合部223と対応する位置に1個所ずつ、前方に向けて突出するように設けられている。この係合部210は、先端に設けられた後斜め上から前斜め下に向けて傾斜する傾斜面211と、傾斜面211の後端部とリアカバー21の前側の面とをつなぐように略水平に延びる規制面212とを主に有している。
【0078】
本実施形態では、コイルバネ76が2次転写ローラ75を常時付勢しているため、
図7(a)に実線で示すリアカバー21が閉位置のとき、2次転写ローラ75は中間転写ベルト73に圧接している。そして、
図7(a)に破線で示すように、リアカバー21を開いていくと、まず、係合部210の傾斜面211が軸受部材220の被係合部223に当接する。
【0079】
リアカバー21をさらに開いていくと、傾斜面211によって被係合部223が略後方へ押され、軸受部221(軸受部材220)がコイルバネ76の付勢力に抗して貫通穴116に沿って後斜め下方へ移動することで、2次転写ローラ75が接触位置から離間位置へ移動する。そして、
図7(b)に示すように、リアカバー21が開位置となったとき、規制面212が被係合部223を介して2次転写ローラ75に係合することで、軸受部材220を介して2次転写ローラ75が離間位置に規制されるため、2次転写ローラ75と中間転写ベルト73(第1ローラ71)との圧接が解除された状態に維持される。
【0080】
このように、本実施形態においても、リアカバー21を開くことで、他の操作をすることなく2次転写ローラ75を中間転写ベルト73から離間させることができるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0081】
一方、ジャム処理後などにリアカバー21を閉じていくと、係合部210と被係合部223との係合が外れたときに、軸受部221(軸受部材220)がコイルバネ76の付勢力によって貫通穴116に沿って前斜め上方へ移動する。これにより、2次転写ローラ75が離間位置から接触位置に移動し、コイルバネ76の付勢力によって再び中間転写ベルト73に圧接する。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0083】
前記実施形態では、コイルバネ76(第1付勢部材)が中間転写ユニット7に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、カバーに設けられていてもよい。このようにカバーが、2次転写ローラを第1ローラに向けて付勢する第1付勢部材を有する構成では、カバーを開くことで2次転写ローラと中間転写ベルトとの圧接を解除する構成を容易に実現できるので、ジャム処理時の操作性を向上させることができる。
【0084】
前記実施形態では、第1付勢部材としてコイルバネ76(圧縮コイルバネ)を例示し、第2付勢部材としてトーションバネ77を例示したが、同様の機能を果たすことができる部材であれば、これらの形式の付勢部材に限定されるものではない。例えば、第1付勢部材は、引張コイルバネなどであってもよいし、第2付勢部材は、スポンジなどの弾性変形可能な部材であってもよい。
【0085】
前記実施形態では、2次転写ローラ75は、リアカバー21(カバー)が閉位置から開位置へ移動するのに連動して接触位置から離間位置へ移動するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2次転写ローラは、カバーが開位置のとき(カバーを開いた後)に、別に設けられたレバーなどを操作することで接触位置から離間位置へ移動するように構成されていてもよい。
【0086】
前記実施形態では、ローラガイド部材としてのローラガイド部110が、中間転写ユニット7のフレーム(フレーム部材70)に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、中間転写ユニットのフレームとは別部品として構成されていてもよい。また、前記実施形態で示したローラガイド部110(ローラガイド部材)の具体的な構成は一例であり、本発明は前記した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、ガイド壁111(軸受部材120をガイドする面)が2次転写ローラ75の回転軸75Aと第1ローラ71の回転軸71Aとを結ぶ方向に対して略平行に延びていたが、これに限定されず、例えば、ガイド面の少なくとも一部が湾曲していてもよい。また、例えば、2次転写ローラが接触位置と離間位置との間を揺動可能に支持されている場合には、ローラガイド部材を設けない構成としてもよい。
【0087】
前記第2実施形態では、ローラ移動機構として係合部210を例示した。このローラ移動機構(係合部210)は、リアカバー21を閉位置から開位置へ移動するときに接触位置にある2次転写ローラを離間位置に移動させるだけの構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ローラ移動機構は、前記第2実施形態の係合部210と、前記第1実施形態の押圧部21Bとを組み合わせた構成とすることができる。この場合、カバーを閉位置から開位置へ移動するときに接触位置にある2次転写ローラを係合部210によって離間位置に移動させることができ、また、カバーを開位置から閉位置へ移動するときに離間位置にある2次転写ローラを押圧部21Bによって接触位置に移動させることができる。
【0088】
前記実施形態では、シートガイド部材78や除電針79(導電部材)が中間転写ユニット7に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、装置本体に設けられていてもよい。また、前記実施形態では、剥離放電を抑制する導電部材として、針状の除電針79を例示したが、同様の機能を果たすことができる部材であれば、その形状などは特に限定されるものではない。シートガイド部材についても同様である。
【0089】
前記実施形態では、カバーとしてリアカバー21を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、中間転写ユニットが装置本体の前部に設けられた開口を通して着脱可能に構成されている場合には、カバーは、フロントカバーであってもよい。また、装置本体に装着された中間転写ユニットの一部が装置本体の外壁の一部を構成する場合には、開口を開閉するためのカバーを設けない構成としてもよい。
【0090】
前記実施形態では、中間転写ベルト73が2つのローラ(第1ローラ71と第2ローラ72)の間に架け渡されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、中間転写ベルトは、3つ以上のローラに架け渡されていてもよい。
【0091】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1(プリンタ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。