(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の入出力端子対に供給される交流電力を交流−直流変換して第2の入出力端子対へ出力し、前記第2の入出力端子対に供給される直流電力を直流−交流変換して前記第1の入出力端子対へ出力する双方向電力変換装置であって、
前記第1の入出力端子対間に接続された容量素子と、
前記第2の入出力端子対間に直列に接続された第1及び第2のスイッチング素子であって、その間のノードが前記第1の入出力端子対の一方に電気的に接続された当該第1及び第2のスイッチング素子と、
前記第2の入出力端子対間に直列に接続された第3及び第4のスイッチング素子であって、その間のノードが前記第1の入出力端子対の他方に電気的に接続された当該第3及び第4のスイッチング素子と、
前記第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ並列に接続された第1〜第4の整流素子と、
前記第1及び第2のスイッチング素子の間のノードと前記容量素子との間、及び、前記第3及び第4のスイッチング素子の間のノードと前記容量素子との間のうちの少なくとも何れか一方に接続されたインダクタ素子と、
前記第1〜第4のスイッチング素子をスイッチング制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記交流−直流変換時のスイッチング周波数よりも前記直流−交流変換時のスイッチング周波数を高くする、
双方向電力変換装置。
第1のシステム入出力端子対に供給される交流電力によって第2のシステム入出力端子対に接続される蓄電装置を充電すると共に、前記蓄電装置に蓄えられた直流電力を前記第1のシステム入出力端子対へ放電する充放電システムであって、
請求項1に記載の双方向電力変換装置であって、第1の入出力端子対が前記第1のシステム入出力端子対に電気的に接続された当該双方向電力変換装置と、
前記双方向電力変換装置の第2の入出力端子対に接続された第1の入出力端子対と、第2の入出力端子対とを有し、充電時には、該第1の入出力端子対に供給される直流電力を交流電力に変換して該交流電力を該第2の入出力端子対へ出力し、放電時には、該第2の入出力端子対に供給される交流電力を直流電力に変換して該直流電力を該第1の入出力端子対へ出力する第1の電力変換部と、
前記第1の電力変換部の第2の入出力端子対間に接続された一次側コイルを有するトランスと、
前記トランスの二次側コイルに接続された第1の入出力端子対と、前記第2のシステム入出力端子対に電気的に接続された第2の入出力端子対とを有し、充電時には、該第1の入出力端子対に供給される交流電力を直流電力に変換して該直流電力を該第2の入出力端子対へ出力し、放電時には、該第2の入出力端子対に供給される直流電力を交流電力に変換して該交流電力を該第1の入出力端子対へ出力する第2の電力変換部と、
を備える、充放電システム。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮した車両として、電気自動車やハイブリッド車などの電動車両が実用化されている。電気自動車では、車両外部の電源(例えば、電源コンセント)から車載のバッテリを充電可能になっている。例えば、自宅や共用施設などに設けられた電源コンセントと車両に設けられた充電口とを充電ケーブルで接続することにより充電を行う。一方、ハイブリッド車でも、同様に、車両外部の電源から車載のバッテリを充電可能にしたプラグインハイブリッド車が実用化されている。
【0003】
近年、車載のバッテリを、車載機器だけでなく、他の電気機器に給電する移動用、災害用又は非常用の電源として利用することが期待されており、車載のバッテリに蓄えられた電力を車両の充電口、充電ケーブルを介して放電可能にすることが要望されている。すなわち、充電と放電との双方化が可能な充放電システムを車両に搭載することが要望されている。特許文献1には、この種の充放電システムとして双方向コンバータが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示の双方向コンバータ1は、AC/DC変換部(双方向電力変換装置)2AとDC/DC変換部2Bとを含む交流/直流変換部2を備えている。AC/DC変換部2Aは、コンデンサC1と、スイッチング素子SW21〜SW24及び整流素子によって構成されたフルブリッジ型回路と、このフルブリッジ型回路とコンデンサC1との接続ライン上に挿入された一対のインダクタ24L1,24L2と、コンデンサ25Cとを備えている。一方、DC/DC変換部2Bは、フルブリッジ型のスイッチング素子SW31〜SW34及び整流素子によって構成されたDC/AC変換部と、トランス22と、フルブリッジ型のスイッチング素子SW41〜SW44及び整流素子によって構成されたAC/DC変換部と、コンデンサ26Cとを備えている。この双方向コンバータ1では、バッテリ充電時(交流−直流変換時)には、AC/DC変換部2AがPFC機能を有する同期整流回路として機能し、DC/AC変換部SW31〜SW34がインバータ回路として機能し、AC/DC変換部SW41〜SW44が整流回路として機能する。一方、バッテリ放電時(直流−交流変換時)には、AC/DC変換部SW41〜SW44がインバータ回路として機能し、DC/AC変換部SW31〜SW34が整流回路として機能し、AC/DC変換部2Aがインバータ回路として機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のAC/DC変換部(双方向電力変換装置)2Aでは、バッテリ充電時(交流−直流変換時)、力率改善のためにコンデンサC1のキャパシタンスを小さくする必要がある。
【0007】
一方、バッテリ放電時(直流−交流変換時)、インダクタ24L1,24L2とコンデンサC1とがLCフィルタとして機能し、スイッチング素子SW21〜SW24(インバータ回路)のスイッチング周波数のリップル電圧を低減する。一般に、LCフィルタの遮断周波数は、スイッチング素子SW21〜SW24のスイッチング周波数の1/10倍に設定され、スイッチング周波数のリップル電圧は1/100倍(−40dB)まで低減される。LCフィルタの遮断周波数はfc=1/2π√LCであるので、上記したようにバッテリ充電時の力率改善のためにコンデンサC1のキャパシタンスを小さくすると、バッテリ放電時に適切なLCフィルタの遮断周波数を得るために、インダクタ24L1,24L2のインダクタンスを大きくする必要がある。その結果、インダクタ24L1,24L2が大きくなり、装置の大型化を招いてしまう。
【0008】
この点に関し、装置の小型化のために、すなわち、インダクタ24L1,24L2のインダクタンスを小さくするために、スイッチング素子SW21〜SW24のスイッチング周波数を高くし、LCフィルタの遮断周波数を高くすることが考えられる。しかしながら、スイッチング周波数を高くすると、バッテリ放電時のみならず、スイッチング周波数を高くする必要性がないバッテリ充電時にも、スイッチング素子SW21〜SW24のスイッチング損失が増加してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、小型化とスイッチング損失低減との両立が可能な双方向電力変換装置、及び、充放電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の双方向電力変換装置は、第1の入出力端子対に供給される交流電力を交流−直流変換して第2の入出力端子対へ出力し、前記第2の入出力端子対に供給される直流電力を直流−交流変換して前記第1の入出力端子対へ出力する双方向電力変換装置であって、(a)第1の入出力端子対間に接続された容量素子と、(b)第2の入出力端子対間に直列に接続された第1及び第2のスイッチング素子であって、その間のノードが第1の入出力端子対の一方に電気的に接続された当該第1及び第2のスイッチング素子と、(c)第2の入出力端子対間に直列に接続された第3及び第4のスイッチング素子であって、その間のノードが第1の入出力端子対の他方に電気的に接続された当該第3及び第4のスイッチング素子と、(d)第1〜第4のスイッチング素子にそれぞれ並列に接続された第1〜第4の整流素子と、(e)第1及び第2のスイッチング素子の間のノードと容量素子との間、及び、第3及び第4のスイッチング素子の間のノードと容量素子との間のうちの少なくとも何れか一方に接続されたインダクタ素子と、(f)第1〜第4のスイッチング素子をスイッチング制御する制御部とを備え、(g)制御部は、交流−直流変換時のスイッチング周波数よりも直流−交流変換時のスイッチング周波数を高くする。
【0011】
また、本発明の充放電システムは、第1のシステム入出力端子対に供給される交流電力によって第2のシステム入出力端子対に接続される蓄電装置を充電すると共に、蓄電装置に蓄えられた直流電力を第1のシステム入出力端子対へ放電する充放電システムであって、上記した双方向電力変換装置であって、第1の入出力端子対が第1のシステム入出力端子対に電気的に接続された当該双方向電力変換装置と、双方向電力変換装置の第2の入出力端子対に接続された第1の入出力端子対と、第2の入出力端子対とを有し、充電時には、該第1の入出力端子対に供給される直流電力を交流電力に変換して該交流電力を該第2の入出力端子対へ出力し、放電時には、該第2の入出力端子対に供給される交流電力を直流電力に変換して該直流電力を該第1の入出力端子対へ出力する第1の電力変換部と、第1の電力変換部の第2の入出力端子対間に接続された一次側コイルを有するトランスと、トランスの二次側コイルに接続された第1の入出力端子対と、第2のシステム入出力端子対に電気的に接続された第2の入出力端子対とを有し、充電時には、該第1の入出力端子対に供給される交流電力を直流電力に変換して該直流電力を該第2の入出力端子対へ出力し、放電時には、該第2の入出力端子対に供給される直流電力を交流電力に変換して該交流電力を該第1の入出力端子対へ出力する第2の電力変換部とを備える。
【0012】
この双方向電力変換装置及び充放電システムによれば、制御部によって、交流−直流変換時のスイッチング周波数よりも直流−交流変換時のスイッチング周波数を高くするので、交流−直流変換時の力率改善のために容量素子の容量値を小さくしても、直流−交流変換時、容量素子とインダクタ素子とで構成されるLCフィルタの遮断周波数を、第1〜第4のスイッチング素子のスイッチング周波数に相関して高めることができ、インダクタ素子のインダクタンスを小さくすることができる。その結果、インダクタを小さくすることができ、装置の小型化が可能となる。
【0013】
一方、スイッチング周波数を高くする必要性がない交流−直流変換時には、直流−交流変換時よりもスイッチング周波数が低いので、第1〜第4のスイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化とスイッチング損失低減との両立が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る充放電システム及び双方向電力変換装置を示す回路図である。
図1に示す充放電システム1は、例えば、電気自動車やプラグインハイブリッド車両などの電動車両に搭載され、車載バッテリの充放電を行うものであり、第1のシステム入出力端子対T1,T2が車両の充電口であり、第2のシステム入出力端子対T3,T4がバッテリ2に接続される。なお、バッテリ充電の際には、車両外部の電源(例えば、自宅や共用施設などに設けられた電源コンセント)が、充電ケーブル等を介して第1のシステム入出力端子対T1,T2に接続され、バッテリ放電の際には、第1のシステム入出力端子対T1,T2に交流電力が生成されることとなる。
【0018】
この充放電システム1は、ノイズフィルタ10と、AC/DC変換部(双方向電力変換装置)20と、コンデンサ25と、DC/AC変換部(第1の電力変換部)30と、トランス40と、AC/DC変換部(第2の電力変換部)50と、コンデンサ55と、制御部60とを備えている。
【0019】
ノイズフィルタ10は、第1のシステム入出力端子対T1,T2に供給される商用交流電力のノイズを除去するためのものである。ノイズが除去された交流電力は、AC/DC変換部20の第1の入出力端子対20T1,20T2へ供給される。
【0020】
AC/DC変換部(双方向電力変換装置)20は、バッテリ充電時(交流−直流変換時)にはPFC機能を有する整流回路として機能し、バッテリ放電時(直流−交流変換時)にはインバータ回路として機能する。AC/DC変換部20は、コンデンサ(容量素子)21と、インダクタ(インダクタ素子)22a,22bと、第1〜第4のn型トランジスタ(スイッチング素子)23a〜23d及び第1〜第4のダイオード(整流素子)24a〜24dを含むフルブリッジ回路とによって構成されている。なお、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dとしては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-SemiconductorField Effect Transistor)等の大電力用トランジスタを用いることができる。本実施形態では、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dとしてIGBTを用いた場合を例示する。
【0021】
AC/DC変換部20の第1の入出力端子対20T1,20T2間にはコンデンサ21が接続されている。また、第1の入出力端子対の一方20T1は、インダクタ22aを介して、第1のトランジスタ23aのエミッタ及び第2のトランジスタ23bのコレクタに接続されており、第1の入出力端子対の他方20T2は、インダクタ22bを介して、第3のトランジスタ23cのエミッタ及び第4のトランジスタ23dのコレクタに接続されている。
【0022】
第1のトランジスタ23aのコレクタは第2の入出力端子対の一方20T3に接続されており、第1のトランジスタ23aのエミッタは第2のトランジスタ23bのコレクタに接続されている。第2のトランジスタ23bのエミッタは第2の入出力端子対の他方20T4に接続されている。同様に、第3のトランジスタ23cのコレクタは第2の入出力端子対の一方20T3に接続されており、第3のトランジスタ23cのエミッタは第4のトランジスタ23dのコレクタに接続されている。第4のトランジスタ23dのエミッタは第2の入出力端子対の他方20T4に接続されている。
【0023】
また、第1〜第4のダイオード24a〜24dのアノードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのエミッタに接続されており、第1〜第4のダイオード24a〜24dのカソードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのコレクタに接続されている。
【0024】
このAC/DC変換部20の第2の入出力端子対20T3,20T4間には、コンデンサ25が電気的に接続されている。また、AC/DC変換部20の第2の入出力端子対20T3,20T4は、それぞれDC/AC変換部30の第1の入出力端子対30T1,30T2に接続されている。
【0025】
AC/DC変換部30は、バッテリ充電時にはインバータ回路として機能し、バッテリ放電時には整流回路として機能する。AC/DC変換部30は、第1〜第4のn型トランジスタ(スイッチング素子)31a〜31dと、第1〜第4のダイオード(整流素子)32a〜32dとを含むフルブリッジ回路によって構成されている。なお、第1〜第4のトランジスタ31a〜31dとしては、IGBTやMOSFET等の大電力用トランジスタを用いることができる。本実施形態では、第1〜第4のトランジスタ31a〜31dとしてIGBTを用いた場合を例示する。
【0026】
第1のトランジスタ31aのコレクタは第1の入出力端子対の一方30T1に接続されており、第1のトランジスタ31aのエミッタは第2のトランジスタ31bのコレクタに接続されている。第2のトランジスタ31bのエミッタは第1の入出力端子対の他方30T2に接続されている。同様に、第3のトランジスタ31cのコレクタは第1の入出力端子対の一方30T1に接続されており、第3のトランジスタ31cのエミッタは第4のトランジスタ31dのコレクタに接続されている。第4のトランジスタ31dのエミッタは第1の入出力端子対の他方30T2に接続されている。
【0027】
第1のトランジスタ31aのエミッタ及び第2のトランジスタ31bのコレクタはトランス40の1次側コイルの一方の端子に接続されており、第3のトランジスタ31cのエミッタ及び第4のトランジスタ31dのコレクタはトランス40の1次側コイルの他方の端子に接続されている。
【0028】
また、第1〜第4のダイオード32a〜32dのアノードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ31a〜31dのエミッタに接続されており、第1〜第4のダイオード32a〜32dのカソードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ31a〜31dのコレクタに接続されている。
【0029】
ここで、車両に搭載される電気機器の接地電位はフローティング電位であり、車両外部の電源と車載バッテリ2とを絶縁する必要がある。トランス40は、車両外部の電源と車載バッテリ2とを絶縁するためのものである。トランス40の二次側コイルは、AC/DC変換部50の第1の入出力端子対50T1,50T2に接続されている。
【0030】
AC/DC変換部50は、バッテリ充電時には整流回路として機能し、バッテリ放電時にはインバータ回路として機能する。AC/DC変換部50は、第1〜第4のn型トランジスタ(スイッチング素子)51a〜51d及び第1〜第4のダイオード(整流素子)52a〜52dを含むフルブリッジ回路によって構成されている。なお、第1〜第4のトランジスタ51a〜51dとしては、IGBTやMOSFET等の大電力用トランジスタを用いることができる。本実施形態では、第1〜第4のトランジスタ51a〜51dとしてIGBTを用いた場合を例示する。
【0031】
AC/DC変換部50の第1の入出力端子対の一方50T1は、第1のトランジスタ51aのエミッタ及び第2のトランジスタ51bのコレクタに接続されており、第1の入出力端子対の他方50T2は、第3のトランジスタ51cのエミッタ及び第4のトランジスタ51dのコレクタに接続されている。
【0032】
第1のトランジスタ51aのコレクタは第2の入出力端子対の一方50T3に接続されており、第1のトランジスタ51aのエミッタは第2のトランジスタ51bのコレクタに接続されている。第2のトランジスタ51bのエミッタは第2の入出力端子対の他方50T4に接続されている。同様に、第3のトランジスタ51cのコレクタは第2の入出力端子対の一方50T3に接続されており、第3のトランジスタ51cのエミッタは第4のトランジスタ51dのコレクタに接続されている。第4のトランジスタ51dのエミッタは第2の入出力端子対の他方50T4に接続されている。
【0033】
また、第1〜第4のダイオード52a〜52dのアノードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ51a〜51dのエミッタに接続されており、第1〜第4のダイオード52a〜52dのカソードは、それぞれ第1〜第4のトランジスタ51a〜51dのコレクタに接続されている。
【0034】
このAC/DC変換部50の第2の入出力端子対50T3,50T4間には、コンデンサ55が電気的に接続されている。また、AC/DC変換部50の第2の入出力端子対50T3,50T4は、それぞれ第2のシステム入出力端子対T3,T4に接続されている。
【0035】
また、AC/DC変換部20の第1〜第4のトランジスタ23a〜23d、DC/AC変換部30の第1〜第4のトランジスタ31a〜31d、及び、AC/DC変換部50の第1〜第4のトランジスタ51a〜51d各々のゲートは、制御部60に接続されている。制御部60は、これらのトランジスタにおけるコレクタ−エミッタ間の導通状態をスイッチング制御する制御電圧(又は制御電流)を生成する。
【0036】
また、制御部60は、バッテリ充電時(交流−直流変換時)とバッテリ放電時(直流−交流変換時)とで、AC/DC変換部(双方向電力変換装置)20の第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング周波数を変更する。具体的には、制御部60は、バッテリ充電時のスイッチング周波数よりもバッテリ放電時のスイッチング周波数を高くする。例えば、バッテリ充電時のスイッチング周波数を20kHzとし、バッテリ放電時のスイッチング周波数を50kHzとする。
【0037】
次に、本実施形態の充放電システム1の動作を説明する。
(バッテリ充電時)
【0038】
まず、バッテリ充電時、制御部60によって生成された制御電圧が、AC/DC変換部20の第2及び第4のトランジスタ23b,23dのゲート、及び、DC/AC変換部30の第1〜第4のトランジスタ31a〜31dのゲートに供給される。このとき、制御部60は、AC/DC変換部20の第2及び第4のトランジスタ23b,23dのスイッチング周波数を例えば20kHzに設定する。
【0039】
すると、AC/DC変換部20は、例えば、第1及び第3のトランジスタ23a,23cをオフ状態とし、交流電圧の半周期ごとに第2のトランジスタ23bと第4のトランジスタ23dとを交互にスイッチング制御することによって、第1の入出力端子対20T1,20T2に供給される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を第2の入出力端子対20T3,20T4へ出力する。
【0040】
このとき、第2のトランジスタ23bをオン状態とし、第4のトランジスタ23dをオフ状態とする半周期では、交流電圧の位相と交流電流の位相とを合わせるように、第2のトランジスタ23bをPWM制御する。同様に、第2のトランジスタ23bをオフ状態とし、第4のトランジスタ23dをオン状態とする半周期では、交流電圧の位相と交流電流の位相とを合わせるように、第4のトランジスタ23dをPWM制御する。これにより、AC/DC変換部20は、PFC機能を有する整流回路として機能することとなる。
【0041】
次に、DC/AC変換部30は、インバータとして機能することによって、具体的には、第1及び第4のトランジスタ31a,31dと第2及び第3のトランジスタ31b,31cとを交互にスイッチング制御することによって、第1の入出力端子対30T1,30T2に供給される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を第2の入出力端子対30T3,30T4へ出力する。
【0042】
次に、AC/DC変換部50は、第1〜第4のトランジスタ51a〜51dをオフ状態とし、第1〜第4のダイオード52a〜52dによって、第1の入出力端子対50T1,50T2に供給される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を第2の入出力端子対50T3,50T4へ出力する。
(バッテリ放電時)
【0043】
一方、バッテリ放電時、制御部60によって生成された制御電圧が、AC/DC変換部20の第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのゲート、及び、AC/DC変換部50の第1〜第4のトランジスタ51a〜51dのゲートに供給される。このとき、制御部60は、AC/DC変換部20の第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング周波数を例えば50kHzに設定する。
【0044】
すると、AC/DC変換部50は、インバータとして機能することによって、具体的には、第1及び第4のトランジスタ51a,51dと第2及び第3のトランジスタ51b,51cとを交互にスイッチング制御することによって、第2の入出力端子対50T3,50T4に供給される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を第1の入出力端子対50T1,50T2へ出力する。
【0045】
次に、DC/AC変換部30は、第1〜第4のトランジスタ31a〜31dをオフ状態とし、第1〜第4のダイオード32a〜32dによって、第2の入出力端子対30T3,30T4に供給される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を第1の入出力端子対30T1,30T2へ出力する。
【0046】
次に、AC/DC変換部20は、インバータとして機能することによって、具体的には、第1及び第4のトランジスタ23a,23dと第2及び第3のトランジスタ23b,23cとを交互にスイッチング制御することによって、第2の入出力端子対20T3,20T4に供給される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を第1の入出力端子対20T1,20T2へ出力する。
【0047】
ここで、AC/DC変換部(双方向電力変換装置)20では、バッテリ充電時(交流−直流変換時)、力率改善のためにコンデンサ21のキャパシタンスを小さくする必要がある。
【0048】
一方、バッテリ放電時(直流−交流変換時)、インダクタ22a,22bとコンデンサ21とがLCフィルタとして機能し、第1〜第4のトランジスタ23a〜23d(インバータ回路)のスイッチング周波数のリップル電圧を低減する。一般に、
図2に示すように、LCフィルタの遮断周波数fcは、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング周波数fswの1/10倍に設定され、スイッチング周波数fswのリップル電圧は1/100倍(−40dB)まで低減される。LCフィルタの遮断周波数はfc=1/2π√LCであるので、上記したようにバッテリ充電時の力率改善のためにコンデンサ21のキャパシタンスを小さくすると、バッテリ放電時に適切なLCフィルタの遮断周波数を得るために、インダクタ22a,22bのインダクタンスを大きくする必要がある。その結果、インダクタ22a,22bが大きくなり、装置の大型化を招いてしまう。
【0049】
この点に関し、装置の小型化のために、すなわち、インダクタ22a,22bのインダクタンスを小さくするために、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング周波数を高くし、LCフィルタの遮断周波数を高くすることが考えられる。しかしながら、スイッチング周波数を高くすると、バッテリ放電時のみならず、スイッチング周波数を高くする必要性がないバッテリ充電時にも、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング損失が増加してしまう。
【0050】
しかしながら、本実施形態のAC/DC変換部(双方向電力変換装置)20及び充放電システム1によれば、制御部60によって、バッテリ充電時(交流−直流変換時)のスイッチング周波数よりもバッテリ放電時(直流−交流変換時)のスイッチング周波数を高くするので、バッテリ充電時の力率改善のためにコンデンサ21のキャパシタンスを小さくしても、バッテリ放電時、コンデンサ21とインダクタ22a,22bとで構成されるLCフィルタの遮断周波数を、第1〜第4のトランジスタ23a〜23dのスイッチング周波数に相関して高めることができ、インダクタ22a,22bのインダクタンスを小さくすることができる。その結果、インダクタ22a,22bを小さくすることができ、装置の小型化が可能となる。
【0051】
例えば、バッテリ充電時の力率改善のためにコンデンサ21のキャパシタンスを1μFとする場合を考える。バッテリ充電時とバッテリ放電時とのスイッチング周波数を同じ20kHzとし、バッテリ放電時のLCフィルタの遮断周波数を2kHzとすると、インダクタ22a,22bのインダクタンスは合計6.3mHとなる。その結果、インダクタ22a,22bのサイズはかなり大きくなってしまう。
【0052】
一方、バッテリ放電時のスイッチング周波数を50kHzとし、LCフィルタの遮断周波数を5kHzとすると、インダクタ22a,22bのインダクタンスを2/5倍に小さくすることできる。その結果、インダクタ22a,22bのサイズを小さくすることができる。
【0053】
一方、スイッチング周波数を高くする必要性がないバッテリ充電時には、バッテリ放電時よりもスイッチング周波数が低いので、第1〜第4のトランジスタ23a〜23bのスイッチング損失を低減することができる。
【0054】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、第1及び第2のスイッチング素子23a,23bの間のノードと容量素子21の一方の端子との間にインダクタ素子22aを備え、かつ、第3及び第4のスイッチング素子23c,23dの間のノードと容量素子21の他方の端子との間にインダクタ素子22bを備える形態を例示したが、インダクタ素子22a,22bの何れか一方を備える形態であってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、車両外部の電源と車両の充電口とを充電ケーブルで接続することにより車載バッテリの充電を行う手法を例示したが、本発明の特徴はこの手法に限定されない。例えば、近年、充電ケーブルを用いない非接触充電手法が注目されている。本発明の充放電システムは、このような非接触充電手法にも適用可能である。この場合、トランスの二次側を車両に搭載し、一次側を車両外部に設ければよい。
【0056】
また、本実施形態では、車載バッテリ等の充放電を行う大電力系の充放電システムを例示したが、携帯端末等のバッテリの充放電を行う小電力系の充放電システムや、系統電源(商用電源)との連携を行うPCSに接続されるバッテリの充放電を行う充放電システム等の様々なものにも適用可能である。