(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示される構成のように、電磁波遮蔽壁と軸部材との隙間を小さくしても、電磁波が空気中を伝わる、いわゆる空気伝搬を防止するのは難しい。
【0006】
本発明では、回転機械で生じる電磁波を測定する電磁波測定装置において、該回転機械に連結された別の回転機械で発生する電磁波の固体伝搬及び空気伝搬の両方をより確実に抑制可能な構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る回転機械の電磁波測定装置は、第1の回転機械と、第2の回転機械と、前記第1の回転機械と前記第2の回転機械とを、駆動力を伝達可能に接続する接続部と、前記接続部に設けられ、前記第2の回転機械で発生した電磁波が前記接続部を介して前記第1の回転機械に固体伝搬するのを抑制する絶縁部材と、前記第1の回転機械が収容される第1電波遮蔽室と、前記接続部のうち少なくとも前記第1の回転機械側が収容される第2電波遮蔽室とを備え、前記絶縁部材は、前記第1電波遮蔽室の外方に位置する(第1の構成)。
【0008】
これにより、第2の回転機械で発生した電磁波が、接続部に設けられた絶縁部材によって、第1の回転機械に伝搬するのを防止できる。すなわち、接続部材に設けられた絶縁部材によって、第2の回転機械で生じた電磁波が接続部材を固体伝搬するのを防止できる。
【0009】
また、第2の回転機械で発生した電磁波は、前記接続部のうち少なくとも前記第1の回転機械側を収容する第2電波遮蔽室によって、第1の回転機械へ空気伝搬するのを抑制される。しかも、第1の回転機械は、第1電波遮蔽室内に位置し、前記絶縁部材は第1遮蔽室の外方に位置する。よって、第2電波遮蔽室及び第1電波遮蔽室により、第2の回転機械で生じた電磁波が第1の回転機械に空気伝搬するのを抑制することができる。
【0010】
したがって、上述の構成により、第2の回転機械で生じた電磁波が、第1の回転機械に対し、固体伝搬及び空気伝搬するのを抑制することができる。よって、第1の回転機械で生じる電磁波を、外部の電磁波の影響を受けることなく、より精度良く測定することができる。
【0011】
前記第1の構成において、前記第1電波遮蔽室を形成する第1遮蔽カバーと、前記第2電波遮蔽室を形成する第2遮蔽カバーとをさらに備え、前記第1遮蔽カバー及び前記第2遮蔽カバーは、互いに電気的に接続されるとともに、接地されるのが好ましい(第2の構成)。
【0012】
これにより、第1遮蔽カバー及び第2遮蔽カバーの電位をゼロにすることができる。したがって、第1遮蔽カバー及び第2遮蔽カバーによって、電磁波の空気伝搬をより確実に防止できる。
【0013】
前記第2の構成において、前記第1遮蔽カバーの下方に配置されたベースをさらに備え、前記ベースは、前記第1遮蔽カバー及び前記第2遮蔽カバーに対してそれぞれ電気的に接続されるとともに、接地されるのが好ましい(第3の構成)。
【0014】
これにより、第1遮蔽カバー、第2遮蔽カバー及びベースは、いずれも同電位で且つ電位がゼロになるため、電磁波の空気伝搬をより確実に抑制できる。
【0015】
前記第2または第3の構成において、前記第2遮蔽カバーは、前記第1遮蔽カバー内に配置されるのが好ましい(第4の構成)。これにより、第2の回転機械で生じた電磁波が、第1の回転機械に空気伝搬するのをより確実に防止できる。すなわち、第2の回転機械で生じた電磁波は、第1遮蔽カバー及び第2遮蔽カバーによって、空気伝搬が抑制される。よって、第1の回転機械から生じた電磁波を測定する際に、外部からの電磁波の影響が及ぶのを防止できる。
【0016】
前記第4の構成において、前記第2遮蔽カバーは、前記第1遮蔽カバーの側壁に接続され、該側壁とともに前記第2電波遮蔽室を形成するのが好ましい(第5の構成)。
【0017】
これにより、第1遮蔽カバーの側壁を利用して、第2遮蔽カバー内に第2電波遮蔽室を形成することができる。したがって、第2遮蔽カバーの側壁が一部不要になるため、第2遮蔽カバーの製造コストの低減を図れる。
【0018】
前記第2から第5の構成のうちいずれか一つの構成において、前記第2遮蔽カバーの一部を構成する取付台をさらに備え、前記取付台には、前記第1の回転機械の出力軸が貫通する貫通孔が形成され、前記第1の回転機械は、前記貫通孔よりも大きな外形を有する金属製のケーシングを備え、前記ケーシングが前記貫通孔を覆うように、前記取付台に固定されるのが好ましい(第6の構成)。
【0019】
これにより、第2遮蔽カバーの一部を構成する取付台に取り付けられた第1の回転機械のケーシングによって、該第1の回転機械の出力軸と取付台に設けられた貫通孔との隙間を覆うことができる。よって、第1の回転機械の出力軸と取付台との隙間から、該第1の回転機械側に電磁波が漏れ出すのを防止できる。したがって、第2の回転機械で生じた電磁波が、第1の回転機械の周辺に空気伝搬するのをより確実に防止できる。
【0020】
前記第6の構成において、前記第2遮蔽カバーには、前記取付台が位置付けられる切欠き部が形成され、前記切欠き部の周縁部分には、前記第2遮蔽カバーの厚み方向に延びるフランジ部が形成され、前記フランジ部は、前記第2遮蔽カバーの厚み方向に前記取付台の位置を変更した状態で前記取付台と接続可能に構成されているのが好ましい(第7の構成)。
【0021】
これにより、第1の回転機械の出力軸の長さが異なる場合でも、取付台を移動させることにより、第1の回転機械を取付台に取り付けることができる。また、上述の構成により、取付台の位置を変更した場合でも該取付台とフランジ部との隙間を低減できるため、電磁波が第1の回転機械の周辺に空気伝搬するのをより確実に防止できる。
【0022】
前記第2または第3の構成において、前記第2遮蔽カバーは、前記第1遮蔽カバーに隣接して配置されるのが好ましい(第8の構成)。これにより、第2の回転機械で生じた電磁波が第1遮蔽カバーに空気伝搬するのを、第2遮蔽カバーによってより確実に防止できる。
【0023】
前記第8の構成において、前記第1の回転機械は、前記第1遮蔽カバーの内面に固定されるのが好ましい(第9の構成)。こうすることで、第1の回転機を取り付けるための部品を設ける必要がないため、その分、部品点数の削減を図れる。
【0024】
前記第1から第9の構成のうちいずれか一つの構成において、前記第2電波遮蔽室は、前記第2の回転機械側に位置する側壁が前記接続部における前記絶縁部材の上方または該絶縁部材よりも前記第1の回転機械側に位置するように、前記接続部に対して形成されるのが好ましい(第10の構成)。
【0025】
第2電波遮蔽室の側壁は、接続部における絶縁部材の上方または該絶縁部材よりも第1の回転機械側に位置するため、前記接続部における接続部材よりも第2の回転機械側の部分から、第2電波遮蔽室の内部に電磁波が空気伝搬するのを抑制できる。これにより、第1の回転機械に電磁波が空気伝搬するのをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態に係る回転機械の電磁波測定装置によれば、第1の回転機械と第2の回転機械とを接続する接続部に絶縁部材を設ける。そして、電磁波の測定対象である第1の回転機械が収容される第1電波遮蔽室とは別に、接続部における少なくとも第1の回転機械側を収容する第2電波遮蔽室を設ける。絶縁部材は、第1電波遮蔽室の外方に配置する。これにより、第2の回転機械で生じた電磁波が、第1遮蔽カバー内に固体伝搬及び空気伝搬するのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0029】
<実施形態1>
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るモータ用電磁波測定装置1(回転機械の電磁波測定装置)の概略構成を示す図である。モータ用電磁波測定装置1は、電磁波の測定対象であるモータ2(第1の回転機械)と、モータ2の回転負荷としての発電機3(第2の回転機械)と、モータ2及び発電機3を接続する接続部10と、モータ2を覆う第1遮蔽カバー20とを備える。すなわち、モータ用電磁波測定装置1は、発電機3を回転負荷として、モータ2を回転させた状態で、該モータ2から生じる電磁波を測定するための装置である。なお、
図1及び
図2に示すように、モータ2、発電機3及び接続部10は、ベース6上に配置されている。
【0030】
モータ2は、例えば、電気自動車またはハイブリッド車などに搭載される電動モータである。モータ2は、図示しない回転子及び固定子と、該回転子及び固定子を覆う金属製の有底円筒状のケーシング2aとを有する。このケーシング2aは、モータ2が取り付けられる後述の取付台15に形成された貫通孔15aの径よりも大きな外径を有する。すなわち、ケーシング2aによって、取付台15の貫通孔15aは塞がれる。
【0031】
モータ2は、出力軸2aが接続部10に接続されている。モータ2の構成は、一般的なモータの構成と同様なので、詳しい説明を省略する。なお、モータ2は、電気自動車またはハイブリッド車などに搭載される電動モータに限らず、他の用途のモータであってもよい。
【0032】
発電機3は、モータ2の回転を電気エネルギーに変換することにより、モータ2の回転負荷となる。発電機3は、出力軸3aが接続部10に接続されている。これにより、発電機3は、接続部10を介してモータ2と回転可能に接続されている。発電機3の構成は、一般的な発電機の構成と同様なので、詳しい説明を省略する。
【0033】
接続部10は、モータ2と発電機3とを回転可能に接続するように、複数の軸を有する。具体的には、
図1及び
図2に示すように、接続部10は、第1中間軸11と、第2中間軸12と、第3中間軸13と、第2中間軸12と第3中間軸13との間に配置される絶縁部材14とを有する。
【0034】
第1中間軸11、第2中間軸12及び第3中間軸13は、それぞれ、金属製の部材からなる。絶縁部材14は、第2中間軸12と第3中間軸13との間に挟み込まれる。すなわち、第2中間軸12と第3中間軸13とは、間に絶縁部材14を挟み込んだ状態で、互いに連結される。これにより、第2中間軸12と第3中間軸13とは軸絶縁される。
【0035】
図1及び
図2に示すように、第1中間軸11は、モータ2の出力軸2aに接続されている。また、第1中間軸11は、軸受4によって回転可能に支持されている。第2中間軸12は、第1中間軸11と第3中間軸13とを接続する。この第2中間軸12は、後述する第1遮蔽カバー20の側壁20bを貫通している。第3中間軸13は、発電機3の出力軸3bに接続されている。また、第3中間軸13は、軸受5によって回転可能に支持されている。
【0036】
なお、各軸は、カップリングボルトによって各軸のカップリング同士を結合することにより、接続される。カップリング及びカップリングボルトの構成は、一般的な構成と同様なので、詳しい説明を省略する。
【0037】
以上の構成により、第1中間軸11、第2中間軸12及び第3中間軸13によって、モータ2と発電機3とを回転可能に接続することができる。
【0038】
なお、
図1及び
図2に示すように、軸受4は、第1遮蔽カバー20の内方に配置される一方、軸受5は、第1遮蔽カバー20の外方に配置される。すなわち、軸受4,5は、第1遮蔽カバー20の側壁20bを挟んで配置される。これにより、接続部10の第2中間軸12を、第1遮蔽カバー20を貫通した状態で、すなわち第1遮蔽カバー20の内外で、軸受4,5によって支持することができる。したがって、第2中間軸12が第1遮蔽カバー20の側壁20bに対して大きく振動するのを防止できる。よって、モータ2を高速(例えば約20000rpm)で回転させることが可能になる。
【0039】
ベース6は、上述のとおり、モータ2、発電機3及び接続部10を積載している。すなわち、ベース6は、モータ2、発電機3及び接続部10を積載可能な大きさに形成されている。また、ベース6は、金属製の板部材によって、例えば平面視で矩形状に形成されている。ベース6は、金属製の定盤7上に固定されている。
【0040】
ベース6上には、発電機3、軸受4,5が固定されている。また、ベース6上には、モータ2が取り付けられる取付台15が、ベース6の高さ方向に延びるように固定されている。この取付台15は、金属製の平板状の部材であり、軸受4とベース6との間に配置される固定板16に対して固体されている。
【0041】
取付台15には、モータ2の出力軸2bが貫通する貫通孔15aが形成されている。モータ2は、その出力軸2bが取付台15の貫通孔15aを貫通した状態で、ケーシング2aが該取付台15に固定される。上述のように、モータ2のケーシング2aは、取付台15の貫通孔15aを覆うような大きさに形成されているため、ケーシング2aを取付台15に取り付けることにより、貫通孔15aをケーシング2aによって塞ぐことができる。
【0042】
特に図示しないが、モータ2のケーシング2aは、取付台15に対してボルト等によって固定される。すなわち、モータ2のケーシング2aは、取付台15に対して電気的に接続されている。
【0043】
第1遮蔽カバー20は、モータ2、第1中間軸11、軸受4及び第2中間軸12の一部を覆うように配置される。第1遮蔽カバー20は、下側の一面が開口した直方体の箱状に形成されている。具体的には、第1遮蔽カバー20は、天面20aと、4つの側壁20b〜20eとを有する。
【0044】
第1遮蔽カバー20は、下側の一面が開口した直方体の箱状に形成された鉄製の外板21と、外板21の内面上に形成された吸収部材22とを有する。吸収部材22は、例えばフェライトからなる。これにより、第1遮蔽カバー20内の電磁波は、該第1遮蔽カバー20の内面に設けられた吸収部材22によって吸収される。
【0045】
第1遮蔽カバー20は、
図2に示すように、上面視で、側壁20bがベース6を横切るように、該ベース6に対して配置される。詳しくは、第1遮蔽カバー20は、第2中間軸12が側壁20bを貫通するように配置される。第1遮蔽カバー20の側壁20bは、ベース6に対して電気的に接続されている。
【0046】
また、第1遮蔽カバー20は、中間軸12が貫通する側壁20b以外の側壁、すなわち、側壁20c〜20eが、定盤7上に位置付けられるように、配置される。
【0047】
第1遮蔽カバー20の内部には、第2遮蔽カバー30が配置される。第1遮蔽カバー20内で且つ第2遮蔽カバー30の外方には、第1電波遮蔽室25が形成される。一方、第2遮蔽カバー30内には、第2電波遮蔽室35が形成される。この第2電波遮蔽室35は、第1遮蔽カバー20における第2中間軸12が貫通する側壁20bと、該側壁20bに接続された概略箱状の第2遮蔽カバー30とによって形成される。すなわち、第2遮蔽カバー30は、第1遮蔽カバー20の側壁20bから第1電波遮蔽室25内に向かって突出していて、内部に第2電波遮蔽室35を形成するように側壁20bに接続されている。第2遮蔽カバー30は、第1遮蔽カバー20の側壁20bからモータ2が取り付けられる取付台15の位置まで突出するような大きさに形成されている。
【0048】
図1及び
図2に示すように、第2遮蔽カバー30は、天面30aと、3つの側壁30b〜30dとを有する。すなわち、第2遮蔽カバー30は、3つの側壁30b〜30dが、第1遮蔽カバー20の側壁20bに対して、内部に第2電波遮蔽室35を形成するように配置される。
【0049】
第2遮蔽カバー30は、第1遮蔽カバー20と同様、鉄製の外板31と、外板31の内面上に形成された吸収部材32とを有する。第2遮蔽カバー30は、外板31が、第1遮蔽カバー20の外板21に接続されている。これにより、第2遮蔽カバー30と第1遮蔽カバー20とを電気的に接続することができる。本実施形態では、第1遮蔽カバー20が接地されている。
【0050】
第2遮蔽カバー30は、
図2に示すように、側壁30bがベース6上に位置するように配置される。また、第2遮蔽カバー30の側壁30bには、モータ2が取り付けられる取付台15を配置可能な切欠き部30eが形成されている。すなわち、第2遮蔽カバー30は、この切欠き部30e内に取付台15が位置付けられるように、第1遮蔽カバー20の側壁20bに取り付けられている。なお、第2遮蔽カバー30の側壁30bの切欠き部30eの周縁部と、取付台15とは、隙間が生じないようにボルト等によって連結されている。
【0051】
また、
図2に示すように、第2遮蔽カバー30は、側壁30c,30dが定盤7上に位置するように配置される。
【0052】
以上の構成により、第1遮蔽カバー20内で、モータ2以外の構成部品は、第2遮蔽カバー30及び取付台15によって覆われる。すなわち、第1遮蔽カバー20内の第1電波遮蔽室25には、モータ2のみが露出している。なお、第1電波遮蔽室25には、モータ2から生じる電磁波を測定するための電磁波測定器8が配置されている。
【0053】
ここで、既述のとおり、取付台15に形成されている貫通孔15aは、モータ2のケーシング2aによって覆われている。よって、第2遮蔽カバー30及び取付台15によって形成される第2電波遮蔽室35は、第1電波遮蔽室25に対して閉塞された空間である。
【0054】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、発電機3及び軸受5は、第3遮蔽カバー40によって覆われている。この第3遮蔽カバー40も、第1遮蔽カバー20及び第2遮蔽カバー30と同様、鉄製の外板41と、外板41の内面上に形成された吸収部材42とを有する。また、第3遮蔽カバー40内には、第3電波遮蔽室45が形成される。第3遮蔽カバー40は、第1遮蔽カバー20に電気的に接続されていてもよいし、単独で接地されていてもよい。発電機3を上述の第3遮蔽カバー40によって覆うことにより、発電機3から生じた電磁波がモータ2に空気伝搬するのをより確実に防止できる。
【0055】
(実施形態1の効果)
この実施形態では、第1電波遮蔽室25を形成する第1遮蔽カバー20内に、第1遮蔽カバー20の側壁20b、第2遮蔽カバー30及び取付台15によって、第2電波遮蔽室35を形成する。これにより、外部からの電磁波を第2電波遮蔽室35によって遮蔽することができ、モータ2から生じた電磁波のみを電磁波測定器8によって測定することができる。
【0056】
すなわち、発電機3から生じた電磁波は、第1遮蔽カバー20の側壁20bと第2中間軸12との間から空気伝搬された場合でも、第2電波遮蔽室35内で吸収される。第2電波遮蔽室35は、第2遮蔽カバー30、取付台15及びモータ2のケーシング2aによって、第1電波遮蔽室25に対して閉塞されている。そのため、第2電波遮蔽室35内の電磁波が第1電波遮蔽室25内に漏れ出すのを防止できる。これにより、第1電波遮蔽室25内に、発電機3で生じた電磁波が空気伝搬するのを防止できる。
【0057】
また、発電機3で生じた電磁波は、第2中間軸12と第3中間軸13との間に配置された絶縁部材14によって、固体伝搬が防止される。そして、絶縁部材14は、第1遮蔽カバー20の外方に位置するため、接続部10において絶縁部材14よりも発電機3側の部分から生じる電磁波の空気伝搬を、第1遮蔽カバー20によって抑制できる。さらに、第1遮蔽カバー20の側壁20bは、接続部10における絶縁部材14よりもモータ2側に位置するため、第2電波遮蔽室35の内部に電磁波が空気伝搬するのを防止できる。なお、本実施形態では、絶縁部材14を第1遮蔽カバー20の外方に配置しているが、絶縁部材14は、第1電波遮蔽室25の外方に配置されていればよい。
【0058】
したがって、第2電波遮蔽室25内のモータ2から生じた電磁波を、外部の電磁波の影響を受けることなく、より精度良く計測することができる。
【0059】
しかも、第1遮蔽カバー20、第2遮蔽カバー30、取付台15及びベース6は、いずれも金属製であり、互いに電気的に接続されている。そして、第1遮蔽カバー20が接地されているため、該第1遮蔽カバー20、第2遮蔽カバー30、取付台15及びベース6をゼロ電位にすることができ、第1電波遮蔽室25内での電磁波の伝搬をより確実に防止できる。
【0060】
また、第1遮蔽カバー20の側壁20bに第2遮蔽カバー30を接続して、該側壁20bを第2電波遮蔽室35の側壁として利用することにより、第2遮蔽カバー30の側壁の一部が不要になる。これにより、第2遮蔽カバー30の製造コストの低減を図れる。
【0061】
<実施形態2>
図3に、実施形態2に係るモータ用電磁波測定装置50の概略構成を示す。この実施形態では、カバーの構成等が実施形態1とは異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態において、モータ2、第1中間軸11、第2中間軸12、第3中間軸13及び発電機3が接続された軸系は、実施形態1と同様である。
【0062】
図3に示すように、モータ2を覆うように第1遮蔽カバー60が配置されている。また、モータ2の出力軸2b、第1中間軸11及び第2中間軸12の一部を覆うように第2遮蔽カバー70が配置されている。すなわち、第1遮蔽カバー60と第2遮蔽カバー70とは、隣り合うように配置されている。また、第1遮蔽カバー60と第2遮蔽カバー70とは電気的に接続されている。なお、第1遮蔽カバー60と第2遮蔽カバー70とは連結されていてもよいし、連結されることなく隣接して配置されていてもよい。
【0063】
第1遮蔽カバー60及び第2遮蔽カバー70は、それぞれ下面が開口した箱状に形成されている。すなわち、第1遮蔽カバー60及び第2遮蔽カバー70は、それぞれ、天面60a,70aと、4つの側壁とを有する。第1遮蔽カバー60によって、第1電波遮蔽室25が形成される。第2遮蔽カバー70によって第2電波遮蔽室35が形成される。なお、
図3では、第1遮蔽カバー60における4つの側壁のうち、側壁60b,60cのみを示し、第2遮蔽カバー70における4つの側壁のうち、側壁70b,70cのみを示す。
【0064】
第1遮蔽カバー60は、側壁60bがベース6を横切るように配置される。第2遮蔽カバー70は、側壁70b,70cがベース6を横切るように配置される。第2遮蔽カバー70の側壁70bには、第2中間軸12が貫通している。一方、第1遮蔽カバー60の側壁60b及び第2遮蔽カバー70の側壁70cには、モータ2の出力軸2bが貫通している。
【0065】
また、第1遮蔽カバー60及び第2遮蔽カバー70は、実施形態1の第1遮蔽カバー20及び第2遮蔽カバー30と同様、それぞれ、外板61,71と、吸収部材62,72とを有する。モータ2は、ケーシング2aが第1遮蔽カバー60の側壁60bの外板61の内面に取り付けられることにより、該第1遮蔽カバー60に固定されている。よって、この実施形態では、実施形態1の取付台15が不要になる。これにより、モータ用電磁波測定装置1の製造コストの低減を図れる。
【0066】
第1遮蔽カバー60の側壁60b及び第2遮蔽カバー70の側壁70cには、ケーシング2aの外径よりも小さい直径を有する貫通孔(図示省略)が形成されている。これにより、モータ2のケーシング2aによって、第1遮蔽カバー60の側壁60b及び第2遮蔽カバー70の側壁70cにそれぞれ形成された貫通孔を塞ぐことができる。したがって、モータ2のケーシング2aによって、第1電波遮蔽室25に対して第2電波遮蔽室35を閉塞させることができる。
【0067】
なお、発電機3を覆う第3遮蔽カバー40は、第2遮蔽カバー70に電気的に接続されていてもよいし、単独で接地されていてもよい。
【0068】
(実施形態2の効果)
この実施形態では、モータ2を覆う第1遮蔽カバー60に隣接し且つ接続部10のモータ2側を覆うように第2遮蔽カバー70を配置する。これにより、発電機3から生じた電磁波が第1電波遮蔽室25へ空気伝搬するのを、第2遮蔽カバー70内の第2電波遮蔽室35によって、抑制することができる。また、接続部10から第1電波遮蔽室25への電磁波の空気伝搬も、第2電波遮蔽室35によって抑制することができる。これにより、外部の電磁波の空気伝搬により、モータ2の電磁波測定が影響を受けるのをより確実に防止できる。
【0069】
また、モータ2を第1遮蔽カバー60の内面に取り付けることにより、モータ2を取り付けるための部材が不要になるため、その分、モータ用電磁波測定装置1の製造コストの低減を図れる。
【0070】
<実施形態3>
図4に、実施形態3に係るモータ用電磁波測定装置100の第2遮蔽カバー110の構成を拡大して示す。この実施形態では、第2遮蔽カバー110と取付台15との接続構造が、実施形態1とは異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0071】
図4に示すように、第2遮蔽カバー110の側壁110bに取付台15に対応して形成された切欠き部110cの周縁部には、外板31から延びるフランジ部110dが形成されている。このフランジ部110dは、取付台15の位置がモータ2の出力軸2bの軸方向に変化した場合でも取付台15と連結可能なように、出力軸2bの軸方向に延びている。すなわち、フランジ部110dは、
図4に示すように、第2遮蔽カバー110の厚み方向に延びている。
【0072】
また、特に図示しないが、フランジ部110dには、第2遮蔽カバー110の厚み方向に長いスリット穴が複数個所、設けられている。これらのスリット穴内に挿入されたボルトは、取付台15の上部に対して固定される。
【0073】
取付台15は、固定板16に対してスライド移動可能に取り付けられている。例えば、取付台15は、固定板16上をスライド移動可能なスライダに固定される。なお、取付台15と固定板16との接続構造は、他の構造であってもよい。例えば、固定板16に複数の取付穴を設けておいて、取付穴に対する取付板15の固定位置を変更することにより、固定板16に対する取付板15の位置を変更してもよい。また、取付台15と固定板16とを接続した状態で、ベース6に対して取付台15及び固定板16を移動させてもよい。
【0074】
(実施形態3の効果)
この実施形態では、第2遮蔽カバー110における取付台15との接続部分に、第2遮蔽カバー110の厚み方向に延びるスリット穴を有するフランジ部110dを設ける。これにより、例えばモータ2のサイズ等に応じて取付台15の位置を出力軸2aの軸方向に変更する場合でも、取付台15と第2遮蔽カバー110のフランジ部110dとを接続することができる。よって、上述の構成により、取付台15の位置を変更した場合でも、取付台15と第2遮蔽カバー110とをほとんど隙間なく接続することが可能になる。
【0075】
したがって、本実施形態の構成を有するモータ用電磁波測定装置100では、様々なサイズのモータ2の電磁波を、より精度良く測定することができる。
【0076】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0077】
前記各実施形態では、モータ2として、取付台15にケーシング2aを固定するタイプのモータを用いている。しかしながら、ケーシングに脚が付いたタイプのモータを用いてもよい。この場合、実施形態1,3の構成では、第2遮蔽カバー30,110の側壁30b,110bに、切欠き部を設ける代わりに、モータの出力軸が貫通する貫通孔を設ける。モータは、脚によってベース上に固定する。一方、実施形態2の構成では、モータをベース上に脚によって固定する。
【0078】
前記各実施形態では、第1遮蔽カバー20が接地されている。しかしながら、第1遮蔽カバー20と電気的に接続された第2遮蔽カバー30、または、ベース6が接地されていてもよい。
【0079】
前記各実施形態では、モータ2が位置する第1電波遮蔽室25とは別に、第2電波遮蔽室35を、第1電波遮蔽室25に対して発電機3側に設けている。しかしながら、電波遮蔽室は3つ以上であってもよい。また、第1電波遮蔽室25を形成する第1遮蔽カバー20,60、第2電波遮蔽室35を形成する第2遮蔽カバー30,70は、それぞれ、上述の実施形態以外の形状及び配置であってもよい。
【0080】
前記各実施形態では、第1電波遮蔽室25内でモータ2の電磁波を測定する。しかしながら、発電機などのように電磁波を生じる他の回転機械の電磁波を測定してもよい。なお、発電機から生じる電磁波を測定する場合には、モータ等によって発電機を回転させる必要がある。すなわち、前記各実施形態の構成に対し、モータ及び発電機の配置が逆になる。
【0081】
前記各実施形態では、第2中間軸12と第3中間軸13との間に絶縁部材14を設けているが、第1電波遮蔽室25の外方で且つ接続部10を電磁波が固体伝搬するのを防止可能な位置であれば、絶縁部材14を接続部10のどこに配置してもよい。すなわち、絶縁部材14を、第1中間軸11と第2中間軸12との間に配置してもよい。また、第1中間軸11、第2中間軸12及び第3中間軸13のいずれかを樹脂等の絶縁材料によって構成してもよい。
【0082】
前記各実施形態では、第2電波遮蔽室35を構成する側壁(実施形態1では側壁20b、実施形態2では側壁70b)は、接続部10において、絶縁部材14よりもモータ2側に位置付けられている。しかしながら、前記側壁を絶縁部材14上に位置付けてもよい。これにより、電磁波の固体伝搬及び空気伝搬を、前記側壁及び絶縁部材14によって、より確実に抑制できる。なお、第1中間軸11、第2中間軸12及び第3中間軸13のいずれかを絶縁材料によって構成する場合には、絶縁材料によって構成される軸上に前記側壁を位置付ければよい。
【0083】
前記各実施形態では、発電機3及び軸受5を、第3遮蔽カバー40によって覆っている。しかしながら、第3遮蔽カバー40によって発電機3のみを覆ってもよい。また、発電機3及び軸受5を遮蔽カバーによって覆わなくてもよい。