【実施例1】
【0037】
図4は、本発明のファン制御装置を具備した空気調和機の実施例1で、段落[0002]で述べたとおり、室内機22と室外機27で構成され、前記室外機27の圧縮機10、四方弁11から、前記室内機22の室内熱交換器12を通り、前記室外機27の膨張弁26、室外熱交換器13を経て、前記圧縮機10に戻るように配管により環状に連結し、四方弁11の切り替えにより、冷房運転(実線矢印)と暖房運転(点線矢印)のいずれかの運転が行われる。
【0038】
さらに詳しくは、前記圧縮機10の周囲には、圧縮機温度センサ14と吐出側温度センサ15と吸入側温度センサ16を有し、吐出側は、高圧センサ30とオイルセパレータ17と逆止弁18を介して前記四方弁11に連結されている。また、圧縮機10の吸入側とオイルセパレータ17の間に配管で連結されている電磁弁19は、冷媒が所定温度になるまでオイルセパレータ17と圧縮機10の吸入側をバイパスするために開放される。
前記室内機22の室内熱交換器12には、この室内熱交換器12の室内熱交検出温度を検出する室内熱交中間温度センサ23が設けられ、また、前記室内熱交換器12に臨ませてこの室内熱交換器12に風を送るファン25と室内機22の内部の温度を検出する室内温度センサ24が設けられて室内機22を構成している。
前記膨張弁26と室外熱交換器13との間には、ストレーナ38が介在されて連結されている。
前記室外機27の室外熱交換器13には、この室外熱交換器13の内部に熱交出口温度センサ28が設けられ、室外熱交換器13の近傍に外気温度センサ29が設けられている。
前記四方弁11と圧縮機10の吸入側の間には、低圧センサ21とサブアキュムレータ20が設けられている。
なお、以下の例では、前記室内熱交中間温度センサ23は、前記室内熱交換器12の中間位置に取り付けて室内熱交検出温度を検出するものとしたが、必ずしも室内熱交検出温度でなく、前記室内熱交換器の温度であればよい。
【0039】
図5は、本発明によるファン制御装置の一例を示すブロック図であり、各種演算、駆動信号の出力、モードの切り替えなどの制御を行う制御部31と、センサ入力データ、演算データ、操作信号などを入力するための入力部32と、暖房運転の設定ファンモード、この設定ファンモードに対応した温度、ファン回転数などを記憶するRAM33と、操作手順などのプログラム等を記憶するROM34と、前記四方弁11,電磁弁19,膨張弁26その他の室外機の駆動部を制御する室外機制御部35と、室内熱交用ファン25などの室内機22を制御する室内機制御部36とで構成されている。
前記制御部31には、室内熱交中間温度センサ23と、前記室内熱交中間温度センサ23以外の圧縮機温度センサ14、吐出側温度センサ15、吸入側温度センサ16、室内温度センサ24、熱交出口温度センサ28、外気温度センサ29などの各種センサ37とが接続されている。
前記制御部31、入力部32、RAM33、ROM34、室外機制御部35、室内機制御部36からなる制御回路は、前記室内機22と室外機27のいずれに設けてもよい。
【0040】
次に本発明によるファン制御装置の動作を説明する。
本発明は、
図3に示すような暖房運転の設定ファンモードがHiモードとMedモード、Loモードの3段階とした場合について説明するが、これに限られるものではなく、2段階でも、4段階以上でもよい。また、温度設定、ファン回転数も
図3に示す例に限られるものではない。
【0041】
本発明の動作を、まずファン制御装置を具備した空気調和機の全体の動作を示す
図1のフローチャートに基づき詳細に説明する。
ここで、前記室内熱交検出温度に関連してHi、Med、Loの3つの暖房運転モード毎にファンの回転数を異ならせるための高低2つの異なるモード切換え温度TH1とTH2を設定する。このうち高・中位モード切換え温度TH1は、前記室内熱交検出温度の上昇時の第1の切換え温度TH1a(37℃)の方が下降時の第2の切換え温度TH1b(32℃)より所定温度だけ(5℃)高いマージンをもって設定する。同様に、中・低位モード切換え温度TH2は、前記室内熱交検出温度の上昇時の第1の切換え温度TH2a(29℃)の方が下降時の第2の切換え温度TH2b(24℃)より所定温度だけ(5℃)高いマージンをもって設定する。
【0042】
前記高・中位モード切換え温度(TH1)以上の前記Hiモードのときのファンの回転数(1000〜1200rpm)が最も高位に設定され、高・中位モード切換え温度(TH1)未満で、かつ、中・低位モード切換え温度(TH2)以上の前記Medモードのときのファンの回転数(500〜1000rpm)が中位に設定され、中・低位モード切換え温度(TH2)未満の前記Loモードのときのファンの回転数(500rpm未満)が最も低位に設定される。このようにして、ファンの回転数は、モード毎に
1200rpm>Hi≧1000rpm
1000rpm>Med≧500rpm
500rpm>Lo
となる。これらの数値は一例であってこれに限定されるものではない。
【0043】
図1において、
a:T0時にMedモードを選択し運転を開始したものとする(
図6のT0時)。
【0044】
b:運転開始時の設定ファンモードがMedモードの1000rpm>Med≧500rpmであり、前記ファンの回転数を切換える第1の切換え温度TH2a=29℃、下降時に前記ファンの回転数を切換える第2の切換え温度TH2b=24℃であることを確認する。
【0045】
c:室内熱交温度センサ23で室内熱交検出温度THを検出し、制御部31へ送り、RAM33に記憶する。なお、室内熱交中間温度センサ23で検出する温度は、室内熱交換器12の室内熱交中間温度としたが、中間でなくても室内熱交検出温度であればよい。
開始直後の室内熱交中間温度センサ23の室内熱交検出温度が例えば、10℃と低い時は、この状態で噴き出される風は、人体が冷風と感じる温度であり、冷風防止制御が動作して、ファン25は、室温検出可能最低風量の500rpmで運転を開始する。
【0046】
d:室内熱交検出温度TH≧TH1a(Hiモードの上昇時の第1の切換え温度37℃)かどうかを制御部31で判断する。暖房運転開始直後は、例えば、10℃と低い時は、Noであり、eに移行する。
【0047】
e:室内熱交換器12の室内熱交検出温度TH≧TH2a(Medモードの上昇時の第1の切換え温度の29℃)かどうかを制御部31で判断する。暖房運転開始直後は、例えば、10℃と低い時は、Noであり、fに移行する。
【0048】
f:前記eがNoであると、ファン25にLoモード(又は設定温度の低いモード)を制御部31から指示し、m工程に移行する。
【0049】
m:暖房運転を停止するか否かを判断し、Noである場合、c工程に戻り、d、e、f、mの各工程を繰り返す。暖房運転開始により圧縮機10が駆動することで、次第に圧縮機10の回転数が上昇し、冷媒循環量が増えて室内熱交検出温度THも上昇する(
図6のT0〜T1)。
【0050】
e:c、d、e、f、mの各工程を繰り返している間に、室内熱交換器12の室内熱交検出温度THが上昇してTH≧TH2a(Medモードの上昇時の第1の切換え温度29℃)となり、e工程がYesになると、g工程に移行する(
図1のT1時の点a)。
【0051】
g:暖房運転の開始時に設定ファンモードをMedモードに設定しているので、室内熱交検出温度THが上昇時の第1の切換え温度(29℃)を超えると、ファンモードをMedの1000rpm(又は設定風量の低いモード)に制御部31で指示する。すると、
暖房運転直後の風量の増加に冷媒循環量が追いつかない場合には風量が多いため室内熱交検出温度が下降する(
図6のT1〜T2)。
【0052】
h:TH>TH2b+4(TH2b=24℃)かどうか、即ち室内熱交検出温度THが暖房運転開始時におけるハンチング防止温度(例えばTH2b+4=28℃)かどうかを制御部31で判断し、室内熱交検出温度THが設定されたハンチング防止温度(28℃)未満に下降しなければ(
図6のT2(点b)以前であれば)Yesとなり、m工程に移行し、c、d、e、g、h、mの各工程を繰り返し、室内熱交検出温度THが次第に下降する。ここで、+4としたのは、下限温度値の24℃まで下降するのを待たずに、第1の切換え温度の29℃未満になったらできるだけ早くファン回転数のハンチング防止処理を行うためであるが、暖房運転開始直後におけるハンチング防止温度(TH2b+4)は、24℃から29℃までの間で、できるだけ29℃に近いか29℃と同一温度とすることが好ましい。29℃以上に設定してもよい。
【0053】
i:前記hでNo、即ち、室内熱交検出温度THが暖房運転開始直後におけるハンチング防止温度(28℃)未満(
図1のT2(点b))になると、ファン回転数ハンチング防止処理を行う。この処理の詳細は、
図2に基づき後述する。
【0054】
つぎに、暖房運転の開始直後に設定ファンモードをHiモードに設定したときの作用を
図1に基き説明する。
d:暖房運転の開始直後に設定ファンモードをHiモードに設定したものとすると、室内熱交検出温度TH>TH1a(TH1a=37℃)かどうかを制御部31で判断し、Noであれば、e工程に移行し、f、m、c、dの各工程を繰り返し、室内熱交検出温度THが次第に上昇する。室内熱交検出温度THが暖房運転開始時におけるハンチング防止温度(例えばTH1b+4=36℃)を超えると、d工程はYesとなり、j工程に移行する。
【0055】
j:設定ファンモードをHiモードに設定しているので、室内熱交検出温度THが37℃を超えると、ファンモードをHiの1200rpm(又は設定風量の低いモード)に制御部31で指示する。暖房運転直後の風量の増加に冷媒循環量が追いつかない場合には風量が多いため検出温度が下降を開始する。
【0056】
k:TH>TH1b+4(TH1b=32℃)かどうかを制御部31で判断し、室内熱交検出温度THが暖房運転開始直後におけるハンチング防止温度の36℃未満に下降しなければYesとなり、m工程に移行し、c、d、j、k、mの各工程を繰り返し、室内熱交検出温度THが次第に下降する。ここで、+4としたのは、第2の切換え温度の32℃まで下降するのを待たずに、第1の切換え温度の37℃未満になったらすぐにファン回転数ハンチング防止処理を行うためであるが、暖房運転開始時におけるハンチング防止温度(TH1b+4)は、32℃から37℃までの間で、できるだけ37℃に近いか37℃と同一温度とすることが好ましい。37℃以上に設定してもよい。
【0057】
l:前記kでNo、即ち、室内熱交検出温度THが36℃より低くなると、ファン回転数ハンチング防止処理を行う。この処理の詳細は、
図2に基づき後述する。
【0058】
m:暖房運転を停止するかを判断し、Yesであればエンドとなる。
【0059】
図2に基づき
図1における前記i工程を詳細に説明する。
ここで、ΔTHとΔFを次の通り設定する。これらの数値は、一例であり、これに限られるものではない。
ΔTH=TH−THn(現在と一定時間(5秒)前の室内熱交検出温度変化)
ΔF:単位時間(1秒)毎に加減する調整用回転数
ΔTH≧2deg →ΔF=15rpm
2>ΔTH≧1deg →ΔF=10rpm
1>ΔTH≧0deg →ΔF=5rpm
0>ΔTH≧−1deg →ΔF=−10rpm
−1>ΔTH≧−2deg→ΔF=−15rpm
−2>ΔTH →ΔF=−20rpm
【0060】
i−1:
図1の前記h工程でNoであれば(
図6のT2(点b))、ファン回転数の極端なハンチング防止処理として、以下のファン回転数変更処理を開始する。
【0061】
i−2:ある時間T[s]=0時に室内熱交中間温度センサ23で検出した室内熱交検出温度THnをRAM33に記憶する。
【0062】
i−3:THnの検出から所定時間、例えば、5秒間(T[s]≧5)経過するまで待機し、Yesになったら次へ移行する。
【0063】
i−4:5秒後の室内熱交検出温度を、THとしてRAM33に記憶する。
【0064】
i−5:制御部31で温度変化ΔTH=TH−THnを演算してRAM33に記憶する。
【0065】
i−6:制御部31でΔTH≧2degかどうか、即ち、5秒間で2℃以上の大きな温度変化があったかどうかを判断する。
【0066】
i−7:i−6においてΔTH≧2degがYesであって、この工程i−7で監視したファン25の実回転数
が設定された回転数(Medモードでは上限が1000rpm)に達していなければ調整用回転数ΔF=15rpmとし、この値を実回転数に加算してファン回転数を調整し、i−17に移行する。
【0067】
i−17:実回転数に調整用回転数ΔF=15rpmを加算しても実回転数が設定回転数(1000rpm)に到達しなければ、Noとなり、i−2に戻り、i−3、i−4、i−5、i−6、i−7、i−17の各工程を設定された回転数に達するまで繰り返す(
図6のT2(点b)〜T3(点c))。設定された回転数に達すれば、前記m工程に戻るが、実回転数が設定された回転数に達しなくても、
図6のT3(点c)のように、i−6でΔTH≧2degがNoなら(単位時間あたりの温度差が小さくなったら)i−8へ移行する。
【0068】
i−8:制御部31で2>ΔTH≧1degかどうか、即ち、5秒間で2℃未満1℃以上の温度変化があったかどうかを判断する。
【0069】
i−9:i−8において2>ΔTH≧1degがYesであって、ファン25の実回転数が設定された回転数(Medモードでは1000rpm)に達していなければ単位時間毎に加減する調整用回転数としてΔF=10rpmを選択し、直前の回転数に加算する(
図6のT3(点c)〜T4(点d))。
【0070】
i−17:ΔF=10rpmを加減してもファン25の実回転数が設定された回転数に到達しなければ、Noとなり、i−2に戻り、i−3、i−4、i−5、i−6、i−8、i−9、i−17の各工程を設定された回転数に達するまで繰り返す。設定された回転数(1000rpm)に達すれば、前記m工程に戻るが、実回転数が設定された回転数に達しなくても、i−8で2>ΔTH≧1degがNoなら(単位時間あたりの温度変化が小さくなったら)i−10へ移行する。
【0071】
i−10:制御部31で1>ΔTH≧0degかどうかを判断する。
【0072】
i−11:1>ΔTH≧0degがYesなら、ファン25の実回転数が設定された回転数(Medモードでは1000rpm)に達していなければΔF=5rpmを選択し、直前の回転数に加算する(
図6のT4(点d)以降)。
【0073】
i−17:ΔF=5rpmを加減してもファン25の実回転数が設定された回転数に到達しなければ、Noとなり、i−2に戻り、i−3、i−4、i−5、i−6、i−8、i−10、i−11、i−17の各工程を設定された回転数に達するまで繰り返す。設定された回転数に達すれば、前記m工程に戻るが、実回転数が設定された回転数に達しなくても、i−10で1>ΔTH≧0degがNoなら(1秒間あたりの温度変化がさらに小さくなったら)i−12へ移行する。
【0074】
i−12:制御部31で0>ΔTH≧−1degかどうかを判断する。
【0075】
i−13:0>ΔTH≧−1degがYesなら、ファン25の実回転数が設定された回転数(第2の切換え温度500rpm)に達していなければΔF=−10rpmを選択し、直前の回転数に加算する。ΔFがマイナスになると、
図6のT4(点d)以降のように実回転数は、上昇に転ずる。
【0076】
i−17:単位時間毎にΔF=−10rpmを加減してもファン25の実回転数が設定された回転数に到達しなければ、Noとなり、i−2に戻り、i−3、i−4、i−5、i−6、i−8、i−10、i−12、i−13、i−17の各工程を設定された回転数に達するまで繰り返す。設定された回転数に達すれば、前記m工程に戻るが、実回転数が設定された回転数に達しなくても、i−12で0>ΔTH≧−1degがNoなら(1秒間あたりの温度変化が負側に小さくなったら)i−14へ移行する。
【0077】
i−14:制御部31で−1>ΔTH≧−2degかどうかを判断する。
【0078】
i−15:−1>ΔTH≧−2degがYesなら、ファン25の実回転数が設定された回転数(500回転)に達していなければΔF=−15rpmを選択し、上昇のカーブが少し急になる。
【0079】
i−17:ΔF=−15rpmを加減してもファン25の実回転数が設定された回転数に到達しなければ、Noとなり、i−2に戻り、i−3、i−4、i−5、i−6、i−8、i−10、i−12、i−14、i−15、i−17の各工程を設定された回転数に達するまで繰り返す。設定された回転数(第2の切換え温度500回転)に達すれば、前記m工程に戻るが、実回転数が設定された回転数に達しなくても、i−14で−1>ΔTH≧−2degがNoなら(1秒間あたりの温度変化が負側に大きくなったら)i−16へ移行する。
【0080】
i−16:ΔF=−20rpmを選択し、回転数の上昇のカーブがさらに急になる。
【0081】
i−17:i−7、i−9、i−11、i−13、i−15、i−16のいずれかの処理が終了すると、設定された回転数に達したかを判断する。Noであれば、この回転数でi−2に戻り、以上の動作を繰り返すが、
図6のT6(点f)で第1の切換え温度(29℃)に達すると、Yesであり、設定された回転数(1000rpm)に急速に到達し、
図1のm工程に移行する。
【0082】
前記実施例では、Medモードを選択したので、室内熱交中間温度センサ23がハンチング防止温度(28℃)未満になったときに、室内熱交中間温度センサ23の検出温度の変化に応じて設定された調整用回転数を加減して、
図6(b)のT2〜T6時の実線特性線のように、ファン25の回転数を少しずつ減らしたり増やしたりする。そのため、その時点での冷媒循環量に適し、かつ、極力風量の多い状態とし、若干の温度の変化があっても、従来の2点鎖線特性線のような極端な風量変化を生ずることがなく、常にある程度の吹出し温度(冷風と感じない温度)を確保するようにファン25の回転を制御している。
【0083】
前記
図6(a)(b)の実施例では、Medモードを選択した場合について説明したが、前記l工程におけるl−1〜l−17のHiモードを選択した場合(
図6(a)(b)の縦軸の括弧書き数値)の作用についても、前記i工程におけるハンチング防止温度の違い、設定された回転数の違いがあるがその他は同様であり、詳細な説明は省略する。