特許第6019817号(P6019817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019817
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ボンディング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20161020BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20161020BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
   B23K26/00 H
   B23K26/064 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-147083(P2012-147083)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-11312(P2014-11312A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄次
(72)【発明者】
【氏名】安吉 裕之
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−088321(JP,A)
【文献】 特開2012−104693(JP,A)
【文献】 特開平7−193100(JP,A)
【文献】 特開平4−230050(JP,A)
【文献】 特開2009−182162(JP,A)
【文献】 特開2010−129890(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0268571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60−21/607
B23K26/00
B23K26/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される基板ステージと、レーザ光を発振するレーザ発振器と、電子部品を保持して基板に接合するボンディングヘッドと、上記レーザ発振器から発振されたレーザ光を上記ボンディングヘッドに導光する導光手段と、上記ボンディングヘッドに設けられ、レーザ光を透過させるツールベースと、上記ツールベースに設けられる電子部品の吸引通路とを備え、上記ツールベースを透過させたレーザ光により電子部品を加熱して基板に接合するようにしたボンディング装置において、
上記導光手段は、それぞれ異なった導光経路を有する複数のレーザ光を上記ボンディングヘッドに導光して上記ツールベースを透過させるようにし、
上記電子部品の吸引通路は、上記各レーザ光の照射方向と交差する区間を有するとともに、当該交差する区間を上記各レーザ光の導光経路の間に配置されることを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
上記導光手段は、上記各レーザ光を導光して上記ツールベースの端面にマトリックス状のパターンで配列された複数の照射スポットを形成することを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
上記導光手段によってボンディングヘッドに導光される各レーザ光は、それぞれビームプロファイルがガウシアンモードであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボンディング装置。
【請求項4】
上記ツールベースは、上層側となる第1透過部材と下層側となる第2透過部材とを積層して構成されており、上記吸引通路は、第2透過部材に形成される軸方向孔と、該軸方向孔と連通するとともに第1透過部材と第2透過部材の当接面における少なくとも一方に形成された溝とによって構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のボンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボンディング装置に関し、より詳しくは、レーザ光により半導体チップを加熱して基板に接合するようにしたボンディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボンディングヘッドに保持したボンディングツールをレーザ光で加熱し、該ボンディングツールによって半導体を加熱して基板に接合するようにしたボンディング装置は公知である(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来のボンディング装置においては、ボンディングヘッドのハウジングに形成されたツール吸引通路からハウジング内に負圧を供給するようになっており、ハウジング内に供給された負圧はボンディングツールの貫通孔にも作用するので、ボンディングツールの下面に半導体チップを吸着保持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−129890号公報
【特許文献2】特開2009−182162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のボンディング装置により接合作業を行う際には、バンプに液体のフラックス等を付着させて用いている。しかしながら、このように半導体チップの接合時にフラックス等を用いると、次のような問題が生じていた。すなわち、半導体チップを加熱してバンプが溶融される際にフラックス等が熱によって蒸散し、該蒸散したフラックス等が上記ボンディングツールの貫通孔を介してハウジング内に吸引されて、該ハウジングの内面に付着したものである。そのため、ボンディング装置によって半導体チップのボンディング作業を繰り返すうちに、ハウジング内の集光レンズやレーザ光を透過させる透過部材の表面にフラックス等が付着してレーザ光の透過を遮るようになり、したがって、レーザ光によってボンディングツールを加熱する際の加熱効率が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、基板が載置される基板ステージと、レーザ光を発振するレーザ発振器と、電子部品を保持して基板に接合するボンディングヘッドと、上記レーザ発振器から発振されたレーザ光を上記ボンディングヘッドに導光する導光手段と、上記ボンディングヘッドに設けられ、レーザ光を透過させるツールベースと、上記ツールベースに設けられる電子部品の吸引通路とを備え、上記ツールベースを透過させたレーザ光により電子部品を加熱して基板に接合するようにしたボンディング装置において、
上記導光手段は、それぞれ異なった導光経路を有する複数のレーザ光を上記ボンディングヘッドに導光して上記ツールベースを透過させるようにし、上記電子部品の吸引通路は、上記各レーザ光の照射方向と交差する区間を有するとともに、当該交差する区間を上記各レーザ光の導光経路の間に配置されることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した本発明は、上記請求項1の構成において、上記導光手段は、上記各レーザ光を導光して上記ツールベースの端面にマトリックス状のパターンで配列された複数の照射スポットを形成することを特徴とするものである。
また、請求項3に記載した本発明は、上記請求項1又は請求項2の構成において、上記導光手段によってボンディングヘッドに導光される各レーザ光は、それぞれビームプロファイルがガウシアンモードであることを特徴とするものである。
さらに、請求項4に記載した本発明は、上記請求項1から請求項3の構成のいずれかにおいて、上記ツールベースは、上層側となる第1透過部材と下層側となる第2透過部材とを積層して構成されており、上記吸引通路は、第2透過部材に形成される軸方向孔と、該軸方向孔と連通するとともに第1透過部材と第2透過部材の当接面における少なくとも一方に形成された溝とによって構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の構成によれば、ボンディング装置によりボンディング作業の際にフラックス等を使用した場合において、該フラックス等が蒸散して吸引通路に吸い込まれると、フラックス等は吸引通路に付着することになる。しかしながら、吸引通路は設置領域が少なく、しかもレーザ光の導光経路の間に位置している。そのため、従来と比較して、蒸散したフラックス等によってレーザ光の加熱効率が低下するのを防止することができる。また、フラックス等によって汚染される領域を限定できるので、ボンディング装置のメンテナンス性を向上させることができる。
また、請求項2の構成によれば、照射スポットがマトリックス状に配列されるので、上記吸引通路の配置が容易となる。
また、請求項3の発明によれば、照射スポットのビームプロファイルがガウシアンモードとなっているので、吸引通路には相対的に強度の低いレーザ光が照射されることになり、レーザ光の透過率の低下を抑制することができる。
さらに、請求項4の発明によれば、吸引通路の製作が容易であり、第1透過部材と第2透過部材を分離することにより、フラックス等が溜まる吸引通路を容易に清掃することができる。そのため、吸引通路のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す構成図。
図2図1のII―II線に沿う要部の断面図。
図3図1のIII―III線に沿う要部の断面図。
図4図3のIV―IV線に沿うレーザ光のプロファイルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1おいて1は基板2に半導体チップ3を接合するボンディング装置1である。このボンディング装置1は、上記基板2を支持して水平面内でX−Y方向に移動させる基板ステージ4と、上記基板ステージ4の上方側に配置されたボンディングヘッド5と、このボンディングヘッド5を昇降させる昇降加圧機構6と、レーザ光Lを発振するレーザ発振器7と、レーザ発振器7から発振されたレーザ光Lを上記ボンディングヘッド5内へ導光する導光手段8とを備えている。
【0009】
後に詳述するが、ボンディングヘッド5は筒状のハウジング5Aを備えており、このハウジング5Aの下端部に二層の透過部材11、12からなるツールベース13が水平に固定されている。そして、このツールベース13の下面にボンディングツール14を着脱自在に吸着保持すると同時に、該ボンディングツール14の下面に半導体チップ3を着脱自在に吸着保持できるようになっている。
上記ハウジング5Aの側面上部には、導光手段8の一端が水平方向となるように接続されており、この導光手段8の他端はレーザ発振器7に接続されている。
上記レーザ発振器7から発振されたレーザ光Lは、導光手段8を介してハウジング5Aの軸心に向けて水平に照射されるとともに、集光レンズ15によって所要の大きさに集光されるようになっている。そして、水平方向に照射されたレーザ光Lは、ハウジング5A内の上方中央部に配置された反射ミラー16により鉛直下方に反射され、ツールベース13を透過してボンディングツール14に照射されて該ボンディングツール14を加熱するようになっている。これにより、ボンディングツール14に保持された半導体チップ3も加熱されるようになっている。
【0010】
上記基板ステージ4、昇降加圧機構6及びレーザ発振器7の作動は図示しない制御装置によって制御されるようになっている。制御装置がレーザ発振器7を作動させるとレーザ発振器7からレーザ光Lが発振され、該レーザ光Lは導光手段8を介してボンディングヘッド5に導光されてからボンディングツール14に照射されてこれを加熱するようになっている。上記レーザ発振器7としては、半導体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、或いはその他のレーザを用いることができる。
【0011】
しかして、本実施例は、レーザ発振器7、導光手段8及びツールベース13とその周辺を以下のように構成することにより、レーザ光Lによりボンディングツール14を加熱する際の加熱効率の低下を防止したことが特徴である。
図1ないし図2に示すように、本実施例の導光手段8は、同一外径をした36本の光ファイバー21の束から構成されており、各光ファイバー21毎の異なる導光経路を経由した各レーザ光Lがボンディングヘッド5に導光されるようになっている。本実施例のレーザ発振器7は、それぞれ独立して制御される36個のレーザ発振器7’から構成されるとともにそれらに対応する各光ファイバー21に接続されている。そして、36本の光ファイバー21の一端(導光手段8の一端)は、円筒状のケーシング22内に保持されるとともに、該ケーシング22を介して上記ハウジング5Aの側面に水平状態で連結されている。上記集光レンズ15はケーシング22内に保持されている。
図2に示すように、導光手段8を構成する36本の光ファイバー21は、縦横に等間隔で各々6本ずつ配置されたマトリックス状で束ねられており、その状態でケーシング22内に保持されている。そのため、レーザ発振器7からレーザ光Lが発振されると、導光手段8の各光ファイバー21を介してレーザ光Lは、マトリックス状となってツールベース13を透過してボンディングツール14に照射されるようになっている(図3参照)。そして、この図3に示すように、ボンディングツール14に対する各レーザ光Lの照射スポットもマトリックス状となる。
【0012】
また、本実施例においては、各レーザ光Lの強度分布(ビームプロファイル)は、ガウシアンモードとなっている(図3図4のS1〜S6参照)。このガウシアンモードにおいては、照射スポットにおけるレーザ光Lは、その光軸の箇所が最も強度が高くなり、光軸の周辺は強度が低下するようになっている(図4参照)。つまり、隣り合う各レーザ光Lは、それら間の箇所において強度が弱くなっている。そして、この特徴を利用して、本実施例においては、隣り合う列のレーザ光Lの間の位置にチップ吸引通路23を設けている。
【0013】
次に、ツールベース13と周辺の構成について説明すると、本実施例のツールベース13は、サファイヤからなる透過部材11を上層とし、石英ガラスからなる透過部材12を下層とした積層構造となっている。
積層状態の両透過部材11、12はハウジング5Aの下端の内周部に嵌着されている。透過部材12の下面は、環状の取付部材24によってハウジング5Aの下端面と略同じ高さに水平に支持されている。他方、積層状態における透過部材11の上面は、ハウジング5A内に嵌着された環状ストッパ25によって押圧されて水平に支持されている。これにより、ツールベース13を構成する両透過部材11、12は、ハウジング5A内の下部に水平に支持されるとともに、透過部材11の下面と透過部材12の上面は気密を保持した状態で接触している。
【0014】
本実施例においては、ハウジング5A、ストッパ25及びツールベース13にわたってツール吸引通路26が形成されるとともに、ハウジング5A、両透過部材11、12及びボンディングツール14にわたってチップ吸引通路23が形成されている。ツール吸引通路26に負圧源27から導管28を介して負圧が供給されると、ツールベース13の下面(透過部材12の下面)にボンディングツール14を吸着保持できるようになっている。また、チップ吸引通路23に導管31を介して負圧源32から負圧が供給されると、ツールベース13に保持された状態のボンディングツール14の下面に半導体チップ3を吸着保持できるようになっている。
【0015】
正方形をしたボンディングツール14の四隅に合せて、上下の透過部材11、12にわたって4箇所の貫通孔13Aが穿設されており、これら各貫通孔13Aの上端は、上記ストッパ25の下面に形成された溝25Aに連通させている。ストッパ25の溝25Aは、該ストッパ25とハウジング5Aとにわたって形成されたL字形の連通孔25Bを介して上記導管28の一端に接続されている。上記4箇所の貫通孔13A、ストッパ25の溝25Aと連通孔25Bとによってツール吸引通路26が構成されている。
導管28の他端は負圧源27に接続されており、該負圧源27は制御装置によって作動を制御されるようになっている。ボンディング装置1によるボンディング作業が行われる際には制御装置によって負圧源27が作動されている。そのため、ボンディング作業中においては、ツール吸引通路26に負圧が供給されるので、ボンディングツール14はツールベース13の下面(透過部材12の下面)に吸着保持されるようになっている。
【0016】
次に、図1及び図3を基にチップ吸引通路23について説明する。下層の透過部材12の中心には、上下方向の貫通孔12Aが穿設されており、さらにこの貫通孔12Aの上端から連続して透過部材12の上面にはハウジング5Aの内面まで到達する直線状の溝12Bが形成されている。溝12Bの外方端の位置に合せてハウジング5Aには水平方向の貫通孔5Bが穿設されており、該貫通孔5Bに導管31の一端が接続されている。
直線状の溝12Bは、前述した光ファイバー21の照射スポットの隣り合う2列の間に位置するように、上記透過部材12の上面に形成されている(図3参照)。上記直線状の溝12Bの全域は、透過部材11の下面によって覆われているので、直線状の溝12Bの内部空間は、中心から外方へ伸びる水平方向孔として形成される。そして、透過部材12に形成された軸方向孔12Aと上記溝12Bの内部空間とによってツールベース13内に接続通路29が形成されている。つまり、この接続通路29は、上記チップ吸引通路23において、各光ファイバー21から照射される各レーザ光Lの照射方向と交差する区間となっている。
一方、ボンディングツール14の中心には上下方向の貫通孔14Aが穿設されており、ツールベース13の下面にボンディングツール14が吸着保持されると、ボンディングツール14の貫通孔14Aとツールベース13の貫通孔12Aが連通するようになっている(図1の状態)。本実施例においては、ボンディングツール14の軸方向孔14A、接続通路29及びハウジング5Aの貫通孔5Bによってチップ吸引通路23が構成されている。
ハウジング5Aの貫通孔5Bには導管31の一端が接続されており、該導管31の他端は負圧源32に接続されている。この負圧源32は、制御装置によって作動を制御されるようになっており、所要時に制御装置が負圧源32からチップ吸引通路23に負圧を供給することにより、ボンディングツール14の下面に半導体チップ3を吸着保持できるようになっている。
【0017】
以上の構成において、ボンディング作業の開始時において制御装置は負圧源27からツール吸引通路26に負圧を供給するので、ボンディングツール14はツールベース13の下面に吸着保持されている。そして、制御装置により負圧源32からチップ吸引通路23に負圧が供給されるので、半導体チップ3はボンディングツール14の下面に吸着保持されている。
この後、制御装置は、基板ステージ4を作動させて、ボンディングツール14に保持した半導体チップ3と基板2とを位置合わせした状態において、上記昇降加圧機構6によりボンディングヘッド5を下降させる。これにより、ボンディングツール14に吸着保持された半導体チップ3は基板2に当接して押圧される。この時点から制御装置がレーザ発振器7を作動させることでレーザ発振器7(7’)からレーザ光Lが発振される。すると、複数の光ファイバー21からなる導光手段8を介して複数のレーザ光Lがハウジング5Aへ導光され、集光レンズ15で集光されてから反射ミラー16によって鉛直下方へ方向転換されてからツールベース13に照射される。前述したように、複数の光ファイバー21はマトリックス状に束ねられているので、各光ファイバー21からツールベース13にレーザ光Lが照射されると、それらのレーザ光Lの照射スポットもマトリックス状となる(図2図3参照)。
なお、図3に示されるように、ツールベース13の貫通孔12Aによって、レーザ光Lが散乱することを防止するため、この貫通孔12Aの周囲には照射スポットは形成していない。したがって、図2における中心部の4つの光ファイバー21に接続されるレーザ発振器7’はレーザ光Lを発振しないように制御される。
【0018】
ここで、負圧が供給されている接続通路29における直線状の溝12Bは、隣り合う2列のレーザ光Lの中間に配置されており、しかも図4に示すように、レーザ光Lの強度のプロファイルはガウシアンモードとなっている。そのため、ツールベース13に溝12Bが形成されているにも拘らず、溝12Bによるレーザ光Lの熱の損失を最小限度に抑制することができる。
そして、レーザ光Lが二層の透過部材11、12からなるツールベース13を透過してボンディングツール14に照射されると、該ボンディングツール14がレーザ光Lによって加熱されて、半導体チップ3及びその下面の複数箇所に配置されたバンプ35(図1)が加熱される。半導体チップ3の裏面には予めフラックスを塗布させている。なお、フラックスは基板2の半導体チップ3がボンディングされる位置に塗布されても良い。
【0019】
上記バンプ35が溶融する際には、それに付着したフラックス等の一部が蒸散して、半導体チップ3の周辺に漂ってから上記チップ吸引通路23内に負圧によって吸引される。このように、チップ吸引通路23内に吸引されたフラックス等はチップ吸引通路23を構成する接続通路29(貫通孔12Aや溝12Bとそれを閉鎖した箇所の透過部材11の下面)にも付着することになる。しかしながら、本実施例のレーザ光Lは図4に示すようにガウシアンモードとなっており、しかも溝12Bは隣り合うレーザ光Lの照射スポットの間に形成されている。そのため、溝12B内やその隣接上層の透過部材11の下面にフラックス等が付着して固化したとしても、レーザ光Lの熱効率が低下するのを防止することができる。そのため、ボンディングツール14によって半導体チップ3を効率的に加熱して該半導体チップ3を基板2に確実に接合することができる。
このようにしてボンディング作業が終了したら、制御装置からの指令により負圧源32からチップ吸引通路23への負圧の供給が停止されるので、ボンディングツール14による半導体チップ3の保持状態が解除される。その後、昇降加圧機構6によりボンディングヘッド5が上昇され、次回のボンディングに移行するようになっている。
【0020】
以上のように、本実施例においては、フラックス等が蒸散してチップ吸引通路23内に付着して固化したとしても、チップ吸引通路23の要部となる接続通路29の設置領域が少なく、かつレーザ光Lの照射スポットの間に位置している。そのため、従来と比較して、蒸散したフラックス等によってレーザ光Lの加熱効率が低下するのを防止することができる。また、フラックス等によって汚染される領域(接続通路29)を限定できるので、ボンディング装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
また、本実施例においては、レーザ光Lの照射スポットがマトリックス状に配列されるので、上記接続通路29の配置が容易となる。
また、レーザ光Lの照射スポットのビームプロファイルはガウシアンモードとなっているので、上記接続通路29には相対的に強度の低いレーザ光Lが照射されることになり、レーザ光Lの透過率の低下を抑制してレーザ光Lの加熱効率の低下を防止できる。
さらに、本実施例においては、ツールベース13を二層の透過部材11,12を積層させて構成しているので、上記接続通路29を容易に製作することができる。しかも、両透過部材11、12を分離することにより、フラックス等が付着した状態の接続通路29内を容易に清掃することができる。そのため、接続通路29のメンテナンス性が良好である。
【0021】
なお、上記実施例では、レーザ光Lによりボンディングツール14を加熱し、この加熱されたボンディングツール14によって半導体チップ3を加熱するようにしているが、ボンディングツール14を省略してツールベース13に半導体チップ3を吸着保持し、この半導体チップ3をレーザ光Lによって直接加熱するようにしてもよい。
この場合には、負圧源27からツール吸引通路26への負圧の供給を停止させる一方、チップ吸引通路23に負圧源32から負圧を供給することで、ツールベース13の下面(透過部材12の下面)に直接半導体チップ3を吸着保持すればよい。つまり、この場合には、ツールベース13がボンディングツール14として作用することになる。
このように上記実施例のボンディング装置1は、ツールベース13を透過させたレーザ光Lにより、ボンディングツール14を介して半導体チップ3を加熱したり、ツールベース13に吸着保持した半導体チップ3を直接加熱したりすることができるが、それぞれ専用機として構成することができることは勿論である。
【0022】
なお、上記実施例においては、下層の透過部材12の上面に溝12Bを形成していたが、上層の透過部材11の下面に上記溝12Bに対応する箇所に直線状の溝を形成しても良い。
また、上記実施例においては、ツールベース13を上層の透過部材11と下層の透過部材12を積層して構成していたが、単一の透過部材によりツールベース13を構成して、該単一の透過部材の内部に上記貫通孔12Aと溝12Bの内部空間に相当するL字状の接続通路29を形成するようにしても良い。
さらに、単一のレーザ発振器7からレーザ光Lを発振させて、該レーザ光Lを基にしてビームスプリッター等により複数のレーザ光を生成するようにしても良い。
また、本件発明は、上述したフラックスの他にもボンディング時の加熱によって蒸散する性質の接合材、接合補助材、例えば樹脂製接着剤による汚染に対しても効果を奏することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0023】
1‥ボンディング装置 2‥基板
3‥半導体チップ 4‥基板ステージ
5‥ボンディングヘッド 5A‥ハウジング
5B‥貫通孔 7‥レーザ発振器
8‥導光手段 13 ツールベース
14‥ボンディングツール 23‥チップ吸引通路
29‥接続通路 L レーザ光
図1
図2
図3
図4