【実施例1】
【0026】
実施例1に係る故障診断システムでは、1又は複数の画像形成装置と通信可能に接続された故障箇所判定装置が、画像形成装置から種々の情報を収集して、当該画像形成装置における画質異常の原因となる故障箇所を判定する。
図1には、実施例1に係る故障箇所判定装置の機能ブロックの例を示してある。
本例の故障箇所判定装置は、画像読取部11、画像欠陥特徴量検出部12、画像欠陥時系列保存部13、画像欠陥時系列特性判別部14、画像形成装置状態情報収集部15、故障箇所判定部16、故障診断情報通知部17、を有する。
【0027】
画像読取部11は、画像形成装置の中間生成画像又は出力画像を読み取って電子データ化する。図
11の画像形成装置には、画像読取部11の例として、画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kの下流側で中間転写ベルト115に転写された重畳トナー画像を中間生成画像として読み取る中間生成画像読取部11aと、定着器134によって用紙Pに定着された定着トナー像を出力画像として読み取る出力画像読取部11bを設けてある。
【0028】
ここで、中間生成画像読取部11aとしては、画質補正制御を目的として感光体ドラム又は中間転写ベルトに近接して配置された密着型のイメージセンサが知られているので、これを利用してもよい。また、出力画像読取部11bとしては、用紙Pに定着された定着トナー像を読み取って出力画像の画像欠陥の有無を検査する印刷検査装置が知られているので、これを利用してもよい。
なお、画像読取部11として、中間生成画像読取部11aと出力画像読取部11bの双方を設ける必要は無く、いずれか一方を設けるだけでも構わない。以下では、画像読取部11として、画像形成装置の出力画像を読み取って電子データ化する出力画像読取部11bを設けた構成を例にして説明する。
【0029】
ここで、画像形成装置の故障診断に用いる画像データは、予め定められたタイミングで実施する動作確認に用いるテストパターンや、業務として出力される原稿データである。
図2には、テストパターンの一例を示してある。図示のテストパターンは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に各色の中間調(50%カバレッジ)の領域を並べたパターン画像である。このようなCMYK各色の中間調の画像を出力することで、色抜け・色抜けを含む点状の欠陥や、線・筋状の欠陥を、色毎に検出することが可能となる。
【0030】
画像欠陥特徴量検出部12は、画像読取部11によって得られた読取画像の電子データに基づき、予め定められたタイミングで、画像欠陥(ユーザが画質トラブルと認識する前の軽微な画像欠陥を含む)の特徴量を検出する。
画像欠陥の特徴量としては、例えば、画像欠陥が線・筋状の欠陥(黒線・筋、色線・筋、白抜け線・筋)であれば、線・筋状欠陥の位置、線幅、明度差等の各特性値を特徴量として検出する。複数の線・筋状欠陥が検出された場合は、線幅が大きい方から順に規定数(例えば上位8箇所)の線・筋状欠陥について特徴量を検出する。また、例えば、画像欠陥が点状の欠陥(黒点、色点、白点)であれば、点状欠陥のコントラスト、形状係数、位置、サイズ等の各特性値を特徴量として検出する。複数の点状欠陥が検出された場合は、サイズが大きい方から順に規定数(例えば上位8箇所)の点状欠陥について特徴量を検出する。
【0031】
図3(a)には、線・筋状欠陥の特徴量の例を示して有り、
図3(b)には、点状欠陥の特徴量の例を示してある。
図3(a)の例では、2箇所の線・筋状欠陥について、X座標、線幅、筋80%幅(ピークからの濃度が80%の範囲の幅)、筋ΔL*最大幅(明度差の最大値)、筋ΔL*平均値(明度差の平均値)の各特性値が線・筋状欠陥の特徴量として検出されている。また、
図3(b)の例では、8箇所の点状欠陥について、コントラスト、形状係数、X座標、Y座標、Xサイズ、Yサイズの各特性値が点状欠陥の特徴量として検出されている。
【0032】
画像欠陥時系列保存部13は、画像欠陥特徴量検出部12によって検出された画像欠陥の特徴量を予め定められた長さの期間について記憶する。本例では、画像欠陥の特徴量に画像欠陥の種別(線・筋状欠陥や点状欠陥の別)及び時間情報を付して時系列に保持しており、画像欠陥時系列特性判別部14からのデータ要求に応じて該当する画像欠陥の特徴量の時系列データを出力する。
【0033】
画像欠陥時系列特性判別部14は、故障箇所判定部16による故障箇所判定の対象となる画像欠陥について画像欠陥時系列保存部13にデータ要求し、画像欠陥時系列保存部13から該当する画像欠陥の特徴量の時系列データを取得し、これを画像欠陥の特性値毎に時系列化する。
【0034】
すなわち、線・筋状欠陥についての故障箇所判定では、対象となる線・筋状欠陥の位置及び明度差等に基づいて画像欠陥の特徴量の時系列データを取得し、位置、線幅、明度差等の特性値毎に時系列化する。また、点状欠陥についての故障箇所判定では、対象となる点状欠陥の位置及びコントラスト等に基づいて画像欠陥の特徴量の時系列データを取得し、コントラスト、形状係数、位置、サイズ等の特性値毎に時系列化する。具体的には、例えば、X座標150mm近傍に発生する線・筋状欠陥について故障箇所判定する場合には、X座標が150mm±αの線・筋状欠陥の特徴量の時系列データを抽出し、位置、線幅、明度差等の特性値毎に時系列化する。
【0035】
次に、画像欠陥時系列特性判別部14は、画像欠陥の特性値毎の時系列データから、故障箇所判定部16による故障箇所判定に必要な画像欠陥の時系列特性を判別する。
線・筋状欠陥の時系列特性としては、線・筋状欠陥の発生位置が一定か不定かを示す発生位置特性、線・筋状欠陥が突発型か成長型かを示す成長特性、が判別される。
線・筋状欠陥の発生位置特性は、例えば、
図4(a)に示すように、線・筋状欠陥の位置の時系列データについて標準偏差を算出し、当該標準偏差が予め定めた閾値を超える場合に不定と判別し、閾値以下の場合に一定と判別する。
線・筋状欠陥の成長特性は、例えば、
図4(b)及び(c)に示すように、線・筋状欠陥の線幅又は明度差の時系列データの一次近似式の勾配を算出し、当該勾配が予め定められた閾値を超える場合に突発型と判別し、閾値以下の場合に成長型と判別する。なお、線・筋状欠陥の線幅及び明度差の両方について時系列データの一次近似式の勾配が閾値を超える場合に突発型と判別してもよい。
【0036】
ここで、発生位置特性が一定の線・筋状欠陥としては、感光体ドラム/中間転写ベルト/定着器ロール等の傷や異物付着・表面変質、感光体ドラムや中間転写ベルトのクリーナーブレードの欠け等が知られている。一方、発生位置特性が不定の線・筋状欠陥としては、コロトロン帯電系への異物付着、現像機への異物混入、マグロール上現像剤層形成不良等が知られている。
また、成長特性が突発型の線・筋状欠陥としては、電子回路基板系の不良、感光体ドラム/中間転写ベルト/定着器ロール等の傷等が知られている。一方、成長特性が成長型の線・筋状欠陥としては、帯電系の汚れ、感光体ドラムへの異物(化学物質)付着、中間転写ベルトのクリーナーブレードの欠け、定着器ロールへの異物付着等が知られている。
このように、線・筋状欠陥の時系列特性(発生位置特性、成長特性)に応じて故障箇所の絞り込みを行なえるため、これを故障箇所判定に利用することで、故障箇所判定の精度を向上させることが可能となる。
【0037】
点状欠陥の時系列特性としては、点状欠陥の発生位置が一定か不定かを示す発生位置特性、点状欠陥が突発型か成長型かを示す成長特性、点状欠陥が孤立か凝集かを示す発生状態特性、が判別される。
点状欠陥の発生位置特性は、例えば、類似の点状欠陥群について主走査方向の位置の平均値の標準偏差を算出し、当該標準偏差が予め定めた閾値を超える場合に不定と判別し、閾値以下の場合に一定と判別する。
点状欠陥の成長特性は、例えば、類似の点状欠陥群についてサイズの和の時系列データの一次近似式の勾配を算出し、当該勾配が予め定められた閾値を超える場合に突発型と判別し、閾値以下の場合に成長型と判別する。
点状欠陥の発生状態特性は、例えば、類似の点状欠陥群について位置の相互距離平均を算出し、当該相互距離平均が予め定められた閾値を超える場合に孤立と判別し、閾値以下の場合に凝集と判別する。
【0038】
ここで、発生位置特性が一定の点状欠陥としては、感光体ドラム/転写ロール/中間転写ベルト/定着器ロール等の傷や異物付着等が知られている。一方、発生位置特性が不定の点状欠陥としては、現像器内トナー凝集、現像器からのトナーこぼれ、低湿度環境下での転写抜け等が知られている。
また、成長特性が突発型の点状欠陥としては、感光体ドラム/転写ロール/中間転写ベルト/定着器ロール等の傷等が知られている。一方、成長特性が成長型の点状欠陥としては、現像器内トナー凝集、現像器からのトナーこぼれ等が知られている。
また、発生状態特性が凝集の点状欠陥としては、現像器内トナー凝集、現像器からのトナーこぼれ、低湿度環境下での転写抜け等が知られている。
このように、点状欠陥の時系列特性(発生位置特性、成長特性、発生状態特性)に応じて故障箇所の絞り込みを行なえるため、これを故障箇所判定に利用することで、故障箇所判定の精度を向上させることが可能となる。
【0039】
画像形成装置状態情報収集部15は、故障箇所判定部16による故障箇所判定の実施時又は予め定められたタイミング(例えば、1日毎)で、画像形成装置から装置状態情報を収集する。装置状態情報には、故障箇所判定部16による故障箇所判定に使用する各種の画像形成パラメータ情報、環境情報、ジョブ履歴情報、交換部品使用情報、操作情報等が含まれる。
【0040】
ここで、画像形成パラメータ情報は、感光体電位、感光体帯電電流、半導体レーザ光量、現像器濃度、一次転写電流、二次転写電流、定着器ヒートロール温度、プロコンパッチ濃度といった、画像形成処理の制御に使用する種々のパラメータの検出値を含む情報であり、装置の各部に設けられたセンサにより、画像形成プロセスの実行に際して随時検出できるようにしてある。本例では、画像形成パラメータの値として、そのパラメータに該当する部位で計測された計測値を検出するが、例えば、その部位を制御する際の目標となる目標値を検出してもよく、或いは計測値と目標値との差分などの他の種別の値を検出してもよい。
【0041】
また、環境情報は、画像形成装置の内部の温度や湿度等の情報である。
また、ジョブ履歴情報は、画像形成装置で実行された画像形成ジョブ(1又は複数枚の画像形成処理を連続的に実行する処理単位)の履歴情報である。
また、交換部品使用情報は、画像形成装置の交換部品(保守等による交換対象の部品)の使用状況(交換されてからの経過日数など)を示す情報である。
また、操作情報は、画像形成装置に対するユーザ操作の内容を示す情報である。
【0042】
故障箇所判定部16は、画像形成装置のユーザやリモートセンター等からの故障箇所判定の指示に応じて、故障診断エンジンを利用して、画像形成装置で発生した画像欠陥の原因となる故障箇所を判定する故障箇所判定を行う。
【0043】
故障診断エンジンは、故障箇所判定の対象となる画像形成装置における画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報に基づいて、故障箇所の判定を行う。本例では、故障診断エンジンとして、ベイジアンネットワーク推論エンジンを用いる。ベイジアンネットワーク推論エンジンでは、画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報を証拠情報とし、画像形成に関わる部位毎の故障確率を推論する。なお、ニューラルネットワーク、デシジョンツリー等の他の方式の故障診断エンジンを用いてもよい。
【0044】
図5には、従来方式に係る点状欠陥の故障箇所判定に用いるベイジアンネットワークの例を示してある。ネットワークの左端のノード(二重線のノード)は、画像欠陥の種別を示す欠陥種別ノードであり、本例では、点状欠陥の一種である「黒点・色点」が設定される。ネットワークの中央付近のノード(単線白抜きのノード)は、画像欠陥の原因となる故障箇所を示す故障箇所ノードであり、本例では、故障箇所の大分類a1〜a2、中分類b1〜b5、小分類c1〜10の故障箇所ノードがある。ネットワークの周辺部分のノード(斜線パターンのノード)は、各種の証拠情報が設定される証拠情報ノードである。
【0045】
図6には、実施例1に係る点状欠陥の故障箇所判定に用いるベイジアンネットワークの例を示してある。
図6のベイジアンネットワークでは、従来方式のベイジアンネットワーク(
図5)に、点状欠陥の時系列特性(発生位置特性、成長特性、発生状態特性)が設定される証拠情報ノードを追加してある。
故障箇所判定部16における点状欠陥の故障箇所判定では、証拠情報ノードに各種の情報を設定した後、ベイジアンネットワーク推論エンジンにより周辺確率を演算することにより、故障箇所ノードの確率を算出し、確率が最も高い故障箇所ノード(又は上位から複数の故障箇所ノード)を選び出すことで、画像欠陥の原因となった故障箇所(又はその候補)を判定する。
【0046】
実施例1では、故障箇所判定のための証拠情報が従来方式に比べて追加されるため、故障箇所判定の精度が向上する。なお、重複する内容の証拠情報ノードが多くても、各証拠情報は分布を持っており、故障箇所判定の際に全ての証拠情報が必ずしも得られるわけではないことや、証拠情報にノイズが含まれる場合もあることから、証拠情報が増える方が故障箇所判定の精度を向上させることができる。
【0047】
故障診断情報通知部17は、故障箇所判定の指示を行なった画像形成装置のユーザやリモートセンター等へ、故障箇所判定部16による故障箇所判定の結果を示す故障診断情報を通知し、故障診断情報を画面表示させる。なお、故障診断情報の画面表示の際に、故障箇所に対応する処置情報を併せて画面表示させてもよい。
【0048】
図7には、実施例1に係る故障箇所判定の処理フローの例を示してある。
まず、画像読取部11が、予め定められたタイミングで実施される動作確認の際のテストパターンの出力画像を読み取って、読取画像を電子データ化し(ステップS11)、画像欠陥特徴量検出部12が、画像読取部11によって得られた読取画像の電子データに基づいて、読取画像における画像欠陥の特徴量を検出し(ステップS12)、画像欠陥時系列保存部13が、画像欠陥特徴量検出部12によって検出された画像欠陥の特徴量を時系列データとして保存する(ステップS13)。
その後、故障箇所判定の指示の有無を判定し(ステップS13)、故障箇所判定の指示がなければステップS11に戻り、故障箇所判定の指示があれば以下の処理(ステップS15〜S18)を実施する。
【0049】
故障箇所判定の指示があった場合、画像欠陥時系列特性判別部14が、画像欠陥時系列保存部13から画像欠陥の特徴量の時系列データを取得し、当該時系列データに基づいて画像欠陥の時系列特性を判別し(ステップS15)、また、画像形成装置状態情報収集部15が、画像形成装置から装置状態情報を収集する(ステップS16)。
その後、故障箇所判定部16が、故障箇所判定の対象となる画像形成装置における画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報に基づいて、故障箇所の判定を行い(ステップS17)、故障診断情報通知部17が、故障箇所判定の指示を行なった画像形成装置のユーザやリモートセンター等へ、故障箇所判定部16による故障箇所判定の結果を示す故障診断情報を通知して画面表示させる(ステップS18)。
【0050】
以上のように、実施例1に係る故障箇所判定装置では、画像読取部11が、画像形成装置による出力画像(又は中間生成画像)を読み取り、画像欠陥特徴量検出部12が、読取画像の電子データに基づいて読取画像における画像欠陥の特徴量を検出し、画像欠陥時系列保存部13が、検出された画像欠陥の特徴量を時系列データとして保存する。そして、故障箇所判定の指示に応じて、画像欠陥時系列特性判別部14が、画像欠陥の特徴量の時系列データに基づいて、画像欠陥の時系列特性を判別し、また、画像形成装置状態情報収集部15が、画像形成装置から装置状態情報を収集して、故障箇所判定部16が、画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報に基づいて、故障箇所判定を行い、故障診断情報通知部17が、故障箇所判定の結果を通知するようにした。
【0051】
すなわち、実施例1では、画像欠陥の時系列特性(発生位置特性や成長特性など)から当該画像欠陥の原因となる故障箇所を或る程度絞り込めることに着目し、画像欠陥の時系列特性を判別して故障箇所判定に利用する構成とすることで、故障箇所判定の精度の向上を実現している。
【実施例2】
【0052】
実施例1に係る故障診断システムでは、1又は複数の画像形成装置と通信可能に接続された故障箇所判定装置が、画像形成装置から種々の情報を収集して、当該画像形成装置における画質異常の原因となる故障箇所を判定する。
図8には、実施例2に係る故障箇所判定装置の機能ブロックの例を示してある。
実施例2に係る故障箇所判定装置は、画像読取部11、画像欠陥特徴量検出部12、画像欠陥時系列保存部13、画像欠陥時系列特性判別部14、画像形成装置状態情報収集部15、装置状態情報時系列保存部21、装置状態情報統計特徴量算出部22、時系列情報解析部23、故障箇所判定部16、故障診断情報通知部17、を有する。
ここで、画像読取部11、画像欠陥特徴量検出部12、画像欠陥時系列保存部13、画像欠陥時系列特性判別部14、画像形成装置状態情報収集部15、故障診断情報通知部17は、実施例1に係る故障箇所判定装置と同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
装置状態情報時系列保存部21は、画像形成装置状態情報収集部15により収集される状態情報を予め定められた長さの期間について記憶する。本例では、画像形成パラメータ情報に時間情報を付して時系列に保持する。
【0054】
装置状態情報統計特徴量算出部22は、装置状態情報時系列保存部21に保持されている状態情報のうち、画像形成パラメータ情報(画像形成処理の制御に使用する種々のパラメータの情報)の時系列データに基づいて、画像形成パラメータの統計特徴量を算出する。ここで、画像形成パラメータの統計特徴量は、例えば、画像形成パラメータ毎の統計値(予め定められた単位の平均値や標準偏差など)の変化点や、画像形成パラメータ間の関係性の変化点などである。すなわち、統計特徴量は、画像形成パラメータの変動傾向の変化点を表す。
【0055】
時系列情報解析部23は、装置状態情報統計特徴量算出部22によって算出された画像形成パラメータの統計特徴量に基づいて、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータを特定する。
具体的には、例えば、画像欠陥の成長特性を判別する根拠となった時系列データ(線・筋状欠陥の線幅及び明度差の時系列データ、又は、点状欠陥群のサイズの和の時系列データ)と、各画像形成パラメータ毎の統計値(予め定められた単位の平均値や標準偏差など)の相関係数を算出し、相関係数が高い画像形成パラメータを相関が高い画像形成パラメータとする。
また、当該時系列データの変動傾向の変化点を算出し、これを画像形成パラメータの統計特徴量(画像形成パラメータの変動傾向の変化点)と比較して、これらの差分が予め定められた基準値未満となる画像形成パラメータを、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータとしても良い。
【0056】
故障箇所判定部16は、画像形成装置のユーザやリモートセンター等からの故障箇所判定の指示に応じて、故障診断エンジン(本例では、ベイジアンネットワーク推論エンジン)を利用して、画像形成装置で発生した画像欠陥の原因となる故障箇所を判定する故障箇所判定を行う。
【0057】
図9には、実施例2に係る点状欠陥の故障箇所判定に用いるベイジアンネットワークの例を示してある。
図9のベイジアンネットワークでは、実施例1のベイジアンネットワーク(
図6)に、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータが設定される証拠情報ノード(破線のノード)を追加してある。
例えば、帯電電位変化の証拠情報ノードは、帯電電位の制御に関わる帯電ロールに対応するノードc10に関連付けられ、また、トナー濃度変化の証拠情報ノードは、トナー濃度の制御に関わる現像器のノードb3に関連付けられる。
実施例2では、故障箇所判定のための証拠情報が実施例1に比べて追加されるため、故障箇所判定の精度が更に向上する。
【0058】
図10には、実施例2に係る故障箇所判定の処理フローの例を示してある。
まず、画像読取部11が、予め定められたタイミングで実施される動作確認の際のテストパターンの出力画像を読み取って、読取画像を電子データ化し(ステップS31)、画像欠陥特徴量検出部12が、画像読取部11によって得られた読取画像の電子データに基づいて、読取画像における画像欠陥の特徴量を検出し(ステップS32)、画像欠陥時系列保存部13が、画像欠陥特徴量検出部12によって検出された画像欠陥の特徴量を時系列データとして保存する(ステップS33)。
また、画像形成装置状態情報収集部15が、画像形成装置から装置状態情報を収集し(ステップS34)、装置状態情報時系列保存手段21が、画像形成装置状態情報収集部15によって収集された装置状態情報を時系列データとして保存する(ステップS35)。
その後、故障箇所判定の指示の有無を判定し(ステップS36)、故障箇所判定の指示がなければステップS31、S34に戻り、故障箇所判定の指示があれば以下の処理(ステップS37〜S40)を実施する。
【0059】
故障箇所判定の指示があった場合、画像欠陥時系列保存部13から画像欠陥の特徴量の時系列データを取得し、当該時系列データに基づいて画像欠陥の時系列特性を判別し(ステップS37)、また、装置状態情報統計特徴量算出部22が、装置状態情報時系列保存部21に保持されている画像形成パラメータ情報の時系列データに基づいて、画像形成パラメータの統計特徴量を算出する(ステップS38)。
次に、時系列情報解析部23が、装置状態情報統計特徴量算出部22によって算出された画像形成パラメータの統計特徴量に基づいて、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータを特定する(ステップS39)。
その後、故障箇所判定部16が、故障箇所判定の対象となる画像形成装置における画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータに基づいて、故障箇所の判定を行い(ステップS40)、故障診断情報通知部17が、故障箇所判定の指示を行なった画像形成装置のユーザやリモートセンター等へ、故障箇所判定部16による故障箇所判定の結果を示す故障診断情報を通知して画面表示させる(ステップS41)。
【0060】
以上のように、実施例
2に係る故障箇所判定装置では、画像読取部11が、画像形成装置による出力画像(又は中間生成画像)を読み取り、画像欠陥特徴量検出部12が、読取画像の電子データに基づいて読取画像における画像欠陥の特徴量を検出し、画像欠陥時系列保存部13が、検出された画像欠陥の特徴量を時系列データとして保存する。また、画像形成装置状態情報収集部15が、画像形成装置から装置状態情報を収集し、装置状態情報時系列保存部21が、収集された装置状態情報を時系列データとして保存する。そして、故障箇所判定の指示に応じて、画像欠陥時系列特性判別部14が、画像欠陥の特徴量の時系列データに基づいて、画像欠陥の時系列特性を判別し、また、装置状態情報統計特徴量算出部22が、画像形成パラメータの統計特徴量を算出し、時系列情報解析部23が、画像形成パラメータの統計特徴量に基づいて画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータを特定する。その後、故障箇所判定部16が、故障箇所判定の対象となる画像形成装置における画像欠陥の特徴量、時系列特性、装置状態情報、画像欠陥の成長特性との相関が高い画像形成パラメータに基づいて、故障箇所の判定を行い、故障診断情報通知部17が、故障箇所判定の結果を通知するようにした。
【0061】
すなわち、実施例2では、画像欠陥の時系列特性との相関が高い画像形成パラメータを特定し、これを故障箇所判定に利用する構成とすることで、故障箇所判定の精度の更なる向上を実現している。
【0062】
ここで、実施例1,2の故障診断システムにおける故障箇所判定装置は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となるRAM(Random Access Memory)や基本的な制御プログラムなどを記録したROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、各種のプログラムやデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、各種の情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F、といったハードウェア資源を備えたコンピュータにより実現されている。
【0063】
すなわち、本発明に係るプログラムを補助記憶装置等から読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る故障箇所判定装置の機能をコンピュータ上に実現している。
なお、実施例1では、本発明に係る検出手段の機能を画像欠陥特徴量検出部12により実現し、本発明に係る判別手段の機能を画像欠陥時系列特性判別部14により実現し、本発明に係る判定手段の機能を故障箇所判定部16により実現している。
また、実施例2では、更に、本発明に係る算出手段の機能を装置状態情報統計特徴量算出部22により実現し、本発明に係る特定手段の機能を時系列情報解析部23により実現している。
【0064】
ここで、本発明に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、画像形成装置のコンピュータに設定される。
なお、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、各機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
【0065】
また、実施例1,2の故障診断システムでは、1又は複数の画像形成装置と通信可能に接続された故障箇所判定装置が、画像形成装置から種々の情報を収集して、当該画像形成装置における画質異常の原因となる故障箇所を判定するが、画像形成装置に上記の各機能部11〜17(及び21〜23)を設け、画像形成装置自身が故障箇所の判定を行うように構成してもよい。