特許第6019839号(P6019839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019839
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】入力装置及び紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20161020BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G06F3/02 310Z
   G07D9/00 461Z
【請求項の数】13
【全頁数】65
(21)【出願番号】特願2012-153411(P2012-153411)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-16767(P2014-16767A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】小堀 英樹
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−040439(JP,A)
【文献】 実開平03−104223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーを加熱するための発熱素子と、
上記発熱素子を発熱させて上記複数の操作キーを加熱することにより上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする加熱処理部と、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサと
を具え、
上記加熱処理部は、
上記複数の温度センサを介して上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ検出する
入力装置。
【請求項2】
上記加熱処理部は、
上記複数の温度センサを介して検出した上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ、当該操作面の温度を変化させるために予め選定された目標温度と比較する
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
上記加熱処理部は、
上記複数の温度センサを介して検出した上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ上記目標温度と比較して得られる比較結果に応じて、上記発熱素子の発熱量を変更する
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
上記加熱処理部は、
上記複数の温度センサを介して検出した上記複数の操作キーの上記操作面の温度が上記目標温度よりも低いほど、上記発熱素子の発熱量を増加させるように変更する
請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
上記加熱処理部は、
上記発熱素子を発熱させて上記複数の操作キーを加熱することにより、当該複数の操作キーの上記操作面の少なくとも一部の温度を変化させる
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
上記複数の操作キーを冷却するための冷却素子と、
上記冷却素子を冷却させて上記複数の操作キーを冷却する冷却処理部と
を具える請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
上記認証用文字列の入力者が本装置と対峙したか否かを検出するためのセンサ
を具え、
上記加熱処理部は、
上記センサを介して上記入力者が上記本装置と対峙したことが検出された時点から、上記入力者が上記本装置から離れたことが検出された時点までの間の任意のタイミングで上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
請求項1に記載の入力装置。
【請求項8】
上記加熱処理部は、
上記センサを介して上記入力者が上記本装置と対峙したことが検出されたとき、上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする温度変化部と、
上記認証用文字列の入力者が本装置と対峙したか否かを検出するためのセンサと
を具え、
上記温度変化部は、
上記センサを介して上記入力者が上記本装置から離れたことが検出されたとき、上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
入力装置。
【請求項10】
認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする温度変化部と
を具え、
上記温度変化部は、
力者により、上記認証用文字列の入力が必要な処理項目が選択されたとき、上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
入力装置。
【請求項11】
認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする温度変化部と
を具え、
上記温度変化部は、
力者により上記複数の操作キーが押下操作されて上記認証用文字列が入力されたとき、上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
入力装置。
【請求項12】
認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする温度変化部と
を具え、
上記温度変化部は、
上記複数の操作キーを加熱するための発熱素子と、上記複数の操作キーを冷却するための冷却素子と、上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサとを有し、当該複数の温度センサを介して検出した上記複数の操作キーの上記操作面の温度に応じて上記発熱素子と上記冷却素子とを使い分けて、上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させる
入力装置。
【請求項13】
紙葉類の特定の取扱に必要な認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、
上記複数の操作キーを加熱するための発熱素子と、
上記発熱素子を発熱させて上記複数の操作キーを加熱することにより上記複数の操作キーの上記操作面の温度を変化させてほぼ等しくする加熱処理部と、
上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサと
を具え、
上記加熱処理部は、
上記複数の温度センサを介して上記複数の操作キーの上記操作面の温度をそれぞれ検出する
紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力装置及び紙葉類取扱装置に関し、例えば、認証用文字列の入力用に押下操作可能な複数の操作キーを有する入力部が設けられた現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現金自動預払機を利用する顧客には、個人認証用として所定桁の数字でなる認証用文字列(以下、これを暗証番号とも呼ぶ)が割り当てられている。
【0003】
そして現金自動預払機は、出金時、顧客に入力部の複数の操作キーを、当該操作キーの操作面に手の指先を接触させるようにして順に押下操作させて暗証番号を入力させ、当該入力された暗証番号に基づき顧客が認証されると、現金を出金している。
【0004】
ただし、顧客の認証に用いられる暗証番号は、第三者により不正に取得されると、その第三者により、顧客に成り済まして現金が不正に引き出されるような犯罪に悪用される可能性がある。
【0005】
そして最近では、顧客が現金自動預払機を利用して現金を出金するために暗証番号を入力する際、第三者が実際に、その顧客の暗証番号を不正に取得しようとした種々の手口が確認されている。
【0006】
このため従来、この種の現金自動預払機としては、このような暗証番号の不正な取得の手口に対処して、当該暗証番号の不正な取得を防止し得るように構成されたものがある。
【0007】
ここで、すでに確認されている暗証番号の不正な取得の手口には、例えば、現金自動預払機の入力部に、その外観形状や操作キーの配列を似せて形成された偽の入力部を被せるように取り付け、顧客に当該偽の入力部を現金自動預払機の入力部であると思わせて操作させ、暗証番号を不正に取得しようとするものがある。
【0008】
そして、このような暗証番号の不正な取得の手口に対処すべく構成された現金自動預払機は、入力部が偽の入力部によって覆われることに着目して、出金時、暗証番号を入力させる前に、入力部の所定の操作キーを発光させて顧客に押下操作させるように促す。
【0009】
すなわち、現金自動預払機は、入力部が偽の入力部によって覆われていないと、顧客に、発光している操作キーを確認させて指示通りに押下操作させることができる。
【0010】
これに対し現金自動預払機は、入力部が偽の入力部によって覆われていると、顧客に、発光している操作キーを確認させることができず指示通りに押下操作させることができなくなる。
【0011】
よって係る構成の現金自動預払機は、出金時、顧客により、発光している操作キーが押下操作された場合のみ引き続き暗証番号の入力を促し、当該操作キーが押下操作されなければ、暗証番号を入力しないように指示する。
【0012】
このようにして係る構成の現金自動預払機は、入力部に偽の入力部が被せるように取り付けられても、顧客の暗証番号が不正に取得されることを防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
ところで、近年、米国カリフォルニア大学のKeaton Moweryらの研究チームにより、操作キーの操作面に手の指先が接触すると、当該操作面の温度が指先の接触によって変化するため、顧客により複数の操作キーが押下操作されて暗証番号が入力されたとき、図23に示すようにサーモグラフィを用いて複数の操作キーの操作面の温度を検出すれば、その検出結果をもとに、押下操作された操作キーと、その押下操作の順番とを解析して暗証番号を特定し得ることが報告された(非特許文献1参照)。
【0014】
すなわち、現金自動預払機において顧客により複数の操作キーが押下操作されて暗証番号が入力されたときに、サーモグラフィを用いて複数の操作キーの操作面の温度を検出することは、第三者が顧客の暗証番号を不正に取得するための新たな手口になり得ることが報告された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2011−100383公報(第6頁、第7頁、図6
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Keaton Mowery、Sarah Meiklejohn、Stefan Savage「Heat of the Moment:Characterizing the Efficacy of Thermal Camera-Based Attacks」、インターネット〈URL:http://static.usenix.org/events/woot11/tech/final_files/Mowery.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、このような米国カリフォルニア大学のKeaton Moweryらの研究チームによる報告があるにも関わらず、第三者によりサーモグラフィが用いられて暗証番号が不正に取得されるような場合を想定して、暗証番号の不正な取得を防止するように構成された現金自動預払機は未だ存在していないという問題があった。
【0018】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、サーモグラフィを用いる認証用文字列の不正な取得を防止し得る入力装置及び紙葉類取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる課題を解決するため本発明においては、認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、複数の操作キーを加熱するための発熱素子と、発熱素子を発熱させて複数の操作キーを加熱することにより複数の操作キーの操作面の温度を変化させてほぼ等しくする加熱処理部、複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサとを設け、加熱処理部が複数の温度センサを介して複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出した。
【0020】
従って本発明では、複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出して、手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇させ、認証用文字列の入力のために複数の操作キーが、その操作面に手の指先を接触させて押下操作された際に、サーモグラフィで当該複数の操作キーの操作面の温度が検出されたとしても、操作面の温度では押下操作された操作キーを判別し得なくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させて押下操作可能な複数の操作キーと、複数の操作キーを加熱するための発熱素子と、発熱素子を発熱させて複数の操作キーを加熱することにより複数の操作キーの操作面の温度を変化させてほぼ等しくする加熱処理部、複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサとを設け、加熱処理部が複数の温度センサを介して複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出したことにより、複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出して、手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇させ、認証用文字列の入力のために複数の操作キーが、その操作面に手の指先を接触させて押下操作された際に、サーモグラフィで当該複数の操作キーの操作面の温度が検出されたとしても、操作面の温度では押下操作された操作キーを判別し得なくすることができ、かくしてサーモグラフィを用いる認証用文字列の不正な取得を防止し得る入力装置及び紙葉類取扱装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
図2】第1の実施の形態による現金自動預払機の内部構成を示す略線的側面図である。
図3】第1の実施の形態による入力部の外観構成を示す略線的上面図である。
図4】第1の実施の形態による入力部の内部構成を示す略線的断面図である。
図5】第1の実施の形態による温度変化部の構成を示すブロック図である。
図6】複数の番号入力用操作キーの加熱による操作面の温度の変化の説明に供する略線図である。
図7】第1暗証番号入力処理手順(1)を示すフローチャートである。
図8】第1暗証番号入力処理手順(2)を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
図10】第2の実施の形態による現金自動預払機の内部構成を示す略線的側面図である。
図11】第2の実施の形態による入力部の内部構成を示す略線的断面図である。
図12】第2の実施の形態による温度変化部の構成を示すブロック図である。
図13】第2暗証番号入力処理手順(1)を示すフローチャートである。
図14】第2暗証番号入力処理手順(2)を示すフローチャートである。
図15】第2暗証番号入力処理手順(3)を示すフローチャートである。
図16】他の実施の形態による番号入力用操作キーの構成を示す略線的上面図である。
図17】他の実施の形態による第3暗証番号入力処理手順(1)を示すフローチャートである。
図18】他の実施の形態による第3暗証番号入力処理手順(2)を示すフローチャートである。
図19】他の実施の形態による第3暗証番号入力処理手順(3)を示すフローチャートである。
図20】他の実施の形態による入力部の内部構成を示す略線的断面図である。
図21】他の実施の形態による複数の番号入力用操作キーの加熱(1)の説明に供する略線的上面図である。
図22】他の実施の形態による複数の番号入力用操作キーの加熱(2)の説明に供する略線的上面図である。
図23】サーモグラフィを用いた複数の操作キーに対する操作面の温度の検出の説明に供する略線的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)第1の実施の形態
(2)第2の実施の形態
(3)他の実施の形態
【0024】
(1)第1の実施の形態
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1において、1は全体として本発明を適用し、例えば、屋内に設置され、現金としての紙幣を扱う現金自動預払機の外観構成を示す。かかる現金自動預払機1は、略箱型の筐体(以下、これを預払機筐体とも呼ぶ)2を有している。
【0025】
因みに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す左の方向を、預払機左方向とも呼び、当該預払機左方向とは逆の方向を、預払機右方向とも呼ぶ。
【0026】
そして、以下の説明では、預払機左方向及び預払機右方向を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて預払機左右方向とも呼ぶ。
【0027】
また、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す上の方向を、預払機上方向とも呼び、当該預払機上方向とは逆の方向を、預払機下方向とも呼ぶ。
【0028】
そして、以下の説明では、預払機上方向及び預払機下方向を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて預払機上下方向とも呼ぶ。
【0029】
さらに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す手前の方向を、預払機前方向とも呼び、当該預払機前方向とは逆の方向を、預払機後方向とも呼ぶ。
【0030】
そして、以下の説明では、預払機前方向及び預払機後方向を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて預払機前後方向とも呼ぶ。
【0031】
預払機筐体2の前上端部には、前面2Aよりも後面2B側に凹むように略L字状に形成されたフロントパネル3が設けられている。
【0032】
フロントパネル3において預払機上方向に向く上向パネル3Aには、例えば、中央後端部に、開閉可能なシャッタを有する紙幣投入取出部5が設けられている。
【0033】
またフロントパネル3において上向パネル3Aには、例えば、中央前端部に、押下操作可能な複数の操作キーを有する入力部6が、これら複数の操作キーの操作面をそれぞれ預払機上方向に向けて配置されている。
【0034】
ここで、入力部6は、例えば、PCI(Payment Card Industry)の規格に準じて形成されたピンパッドであり、操作キーを押下操作させて数字や、入力内容の確定及び訂正、また取引の取消等のように種々の情報を入力させることができる。
【0035】
一方、フロントパネル3において預払機前方向に向く前向パネル3Bには、例えば、中央部に種々の内容の取引手順案内画像を適宜切り換えて表示するための液晶ディスプレイのような表示部7が配置されている。
【0036】
またフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、表示部7の左下に、取引の際にキャッシュカードやクレジットカード等の種々のカードを挿入及び排出するためのカード挿入排出口8が設けられている。
【0037】
因みに、預払機筐体2の上端部内には、カード挿入排出口8に挿入されたカードから、これに予め記録されている例えば、顧客の口座番号を読み取るカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0038】
さらにフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、表示部7の右下に、取引の際に通帳を挿入し、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口9が設けられている。
【0039】
因みに、預払機筐体2の上端部内には、通帳挿入排出口9に挿入された通帳や、予め装填されている取引明細書に取引内容等を印刷する印刷処理部(図示せず)が設けられている。
【0040】
さらにまたフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、表示部7の上に、複数の微細な孔部3BXが所定パターンで穿設されている。
【0041】
そして預払機筐体2の上端部内の前寄りには、スピーカが前向パネル3Bの複数の孔部3BXと対向させて配置されている。
【0042】
これにより現金自動預払機1は、顧客が取引のために現金自動預払機1の入力部6と対峙した場合、スピーカから放音される音声を前向パネル3Bの複数の孔部3BXを介して前面2A側に出力して聴かせることができる。
【0043】
これに加えて預払機筐体2は、前面2Aの中央部の所定位置(すなわち、入力部6の下側)に窓部2AXが設けられている。
【0044】
そして預払機筐体2の下端部内の前寄りには、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙した(すなわち、顧客が前面2Aに対し所定距離内まで近づいた)か否かを検出するための近接センサが窓部2AXと対向させて配置されている。
【0045】
これにより現金自動預払機1は、近接センサを介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したか、また顧客が現金自動預払機1の前から離れたかを検出することができる。
【0046】
ところで、現金自動預払機1は、例えば、金融機関に設置された図示しない認証装置に、図示しない所定のネットワークを介して接続されている。
【0047】
因みに、認証装置は、例えば、取引用の口座を開設した複数の顧客それぞれの氏名や口座番号、当該顧客に個人認証用として割り当てられた所定桁の数字でなる認証用文字列(以下、これを暗証番号とも呼ぶ)等からなる顧客情報を記憶保持している。
【0048】
現金自動預払機1は、係る構成のもと、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙すると、表示部7に取引手順案内画像を表示すると共に、その際の顧客の対応(すなわち、カードの挿入や入力部6の複数の操作キーに対する押下操作等)に応じて、表示部7に表示する取引手順案内画像を順次切り換える。
【0049】
このようにして現金自動預払機1は、表示部7に順次切り換えて表示する取引手順案内画像によって、顧客に所望の取引(紙幣の出金や入金)の手順を案内する。
【0050】
これにより現金自動預払機1は、顧客に、その手順の案内に従いカード挿入排出口8や通帳挿入排出口9にカードや通帳を挿入させると共に、入力部6を介して暗証番号を適宜入力させて、認証装置に、その暗証番号に基づき顧客を認証させる。
【0051】
そして現金自動預払機1は、顧客に紙幣投入取出部5から出金用の紙幣を取り出させ、また紙幣投入取出部5に入金用の紙幣を投入させた後、カード挿入排出口8や通帳挿入排出口9から排出したカードや、通帳又は取引明細書を受け取らせる。このようにして現金自動預払機1は、顧客の所望する紙幣の出金や入金の取引を行うことができる。
【0052】
(1−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、図2を用いて、現金自動預払機1の内部構成について説明する。図2に示すように、現金自動預払機1の預払機筐体2内には、当該現金自動預払機1全体を統括制御すると共に、各種処理を実行する例えば、マイクロコンピュータ構成の主制御部20が収納されている。
【0053】
また預払機筐体2内には、上述したようにカード処理部(図示せず)及び印刷処理部(図示せず)が収納されると共に、上述した認証装置(図示せず)と通信するためのネットワークインタフェース21も収納されている。
【0054】
さらに預払機筐体2内には、上述したように上向パネル3Aの中央前端部に入力部6が、複数の操作キーの操作面を外部に露出させて配置されると共に、前向パネル3Bの中央部に表示部7が、その表示画面を外部に露出させて配置されている。
【0055】
さらにまた預払機筐体2内には、上述したように上端部の前寄りにスピーカ22が収納されると共に、下端部の前寄りに例えば、赤外線の発光素子及び受光素子を有する赤外線センサでなる上述の近接センサ23が収納されている。
【0056】
この場合、近接センサ23は、発光素子から発射した赤外線を前面2Aの窓部2AXを介して預払機筐体2の前側に出力し、当該前面2Aに対し所定距離内に近接した顧客の体により赤外線が反射されたときにのみ、その反射した赤外線を受光素子で受光するように構成されている。
【0057】
そして近接センサ23は、センサ出力信号のレベルを、発光素子から発射した赤外線が預払機筐体2の前面2Aに近接した顧客の体で反射して受光素子で受光している間は、例えば、論理「H」レベルに立ち上げる。
【0058】
また近接センサ23は、センサ出力信号のレベルを、発光素子から発射した赤外線が何ら反射しないために受光素子で受光していない間は、例えば、論理「L」レベルに立ち下げる。
【0059】
よって近接センサ23は、センサ出力信号のレベルにより、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したか、また顧客が現金自動預払機1の前から離れたかを検出可能にしている。
【0060】
これに加えて預払機筐体2内には、下端部に出金処理及び入金処理等の際に紙幣を処理する紙幣処理ユニット25も収納されている。
【0061】
そして主制御部20には、これらネットワークインタフェース21、入力部6、表示部7、スピーカ22、近接センサ23、カード処理部、印刷処理部及び紙幣処理ユニット25がそれぞれ接続されている。
【0062】
ここで、紙幣処理ユニット25内には、上向パネル3Aに対向させて上述の紙幣投入取出部5が配置されると共に、当該紙幣投入取出部5の後斜下に鑑別部26が配置され、紙幣投入取出部5及び鑑別部26の後側に一時保留部27が配置されている。
【0063】
また紙幣処理ユニット25内には、紙幣投入取出部5、鑑別部26及び一時保留部27の下側に出金用及び入金用の複数の紙幣を金種別に収納する(すなわち、それぞれ特定の1金種の紙幣のみを収納する)ための複数の紙幣収納庫30乃至33が配置されている。
【0064】
さらに紙幣処理ユニット25内には、例えば、複数の紙幣収納庫30乃至33の後側に、これら複数の紙幣収納庫30乃至33に紙幣を補充し、また当該複数の紙幣収納庫30乃至33から紙幣を回収するための補充回収庫34が着脱可能に装填されている。
【0065】
因みに、補充回収庫34には、例えば、複数の紙幣収納庫30乃至33に対する補充回収用の複数の紙幣を収納する紙幣収納部と共に、破損している紙幣や折れ曲がっている紙幣等のような異常な紙幣を収納するための紙幣収納部が設けられている。
【0066】
なお、以下の説明では、破損している紙幣や折れ曲がっている紙幣等のような異常な紙幣を、特に正常な紙幣とは区別して適宜、リジェクト紙幣とも呼ぶ。
【0067】
また、以下の説明では、補充回収庫34においてリジェクト紙幣を収納する紙幣収納部を、特にリジェクト収納部とも呼ぶ。
【0068】
さらに紙幣処理ユニット25内には、紙幣投入取出部5、鑑別部26、一時保留部27、複数の紙幣収納庫30乃至33及び補充回収庫34の間に、搬送ガイドやローラ等の複数種類の搬送路形成部品を有する紙幣搬送部が配置されている。
【0069】
そして紙幣搬送部は、複数種類の搬送路形成部品により、紙幣投入取出部5、鑑別部26、一時保留部27、複数の紙幣収納庫30乃至33及び補充回収庫34の間で紙幣を、搬送先を適宜切り換えて搬送するための搬送路35を形成している。
【0070】
主制御部20は、係る構成のもと、内部のメモリに予め記憶されている第1取引案内処理プログラムに従ってネットワークインタフェース21、入力部6、表示部7、スピーカ22及び近接センサ23を制御して、顧客に取引の手順を案内する第1取引案内処理を実行する。
【0071】
また主制御部20は、第1取引案内処理の実行中に、顧客により所望の取引として出金や入金が要望されると、内部のメモリに予め記憶されている出金処理プログラムや入金処理プログラムに従って紙幣処理ユニット25を制御して紙幣の出金処理や入金処理も実行する。
【0072】
主制御部20は、例えば、取引業務の開始やメンテナンスの完了に応じて外部から作業者により起動が指示されると、これに応じて起動して第1取引案内処理プログラムに従い第1取引案内処理を開始する。
【0073】
主制御部20は、第1取引案内処理の開始直後は、顧客を待ち受ける待受モードになり、表示部7を消灯したまま、近接センサ23を動作させる。
【0074】
これにより主制御部20は、近接センサ23から与えられるセンサ出力信号のレベルに基づき、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したか否かを検出する。
【0075】
そして主制御部20は、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいていないことを検出している間は、表示部7を消灯したまま、顧客の来訪(すなわち、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙すること)を待ち受ける。
【0076】
この状態で主制御部20は、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことを検出すると、待受モードから案内モードに移行する。
【0077】
そして主制御部20は、このように待受モードから案内モードに移行すると、内部のメモリに予め記憶している受付音声データをスピーカ22に送出する。
【0078】
これにより主制御部20は、スピーカ22を介して受付音声データに基づく例えば、「いらっしゃいませ」というような受付音声を出力して、顧客への対応を開始したことを通知する。
【0079】
次いで、主制御部20は、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、カード及び通帳の挿入を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0080】
因みに、以下の説明では、カード及び通帳の挿入を促すための取引手順案内画像を、カード挿入案内画像とも呼び、当該カード挿入案内画像の取引手順案内画像データを、カード挿入案内画像データとも呼ぶ。
【0081】
これにより主制御部20は、表示部7にカード挿入案内画像データに基づき例えば、「カードを挿入してください。また通帳をお持ちの場合は、その通帳も合わせて挿入してください」というような案内文を有するカード挿入案内画像を表示して顧客にカード及び通帳の挿入を促す。
【0082】
その結果、主制御部20は、顧客により、例えば、少なくともカード挿入排出口8にカードが挿入されると、カード処理部により、そのカードから顧客の口座番号を読み取る。
【0083】
また主制御部20は、このときカード挿入案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、取引項目の選択を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0084】
因みに、以下の説明では、取引項目の選択を促すための取引手順案内画像を、項目選択案内画像とも呼び、当該項目選択案内画像の取引手順案内画像データを、項目選択案内画像データとも呼ぶ。
【0085】
これにより主制御部20は、表示部7に対しカード挿入案内画像に換えて、項目選択案内画像データに基づき例えば、「出金の場合は「1」のキーを、また入金の場合は「2」のキーを押して取引項目を選択してください」というような案内文を有する項目選択案内画像を表示して顧客に取引項目の選択を促す。
【0086】
ここで、主制御部20は、顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて取引項目として紙幣の出金が選択されると、項目選択案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、暗証番号の入力を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0087】
因みに、以下の説明では、暗証番号の入力を促すための取引手順案内画像を、暗証番号入力案内画像とも呼び、当該暗証番号入力案内画像の取引手順案内画像データを、暗証番号入力案内画像データとも呼ぶ。
【0088】
これにより主制御部20は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて、暗証番号入力案内画像データに基づき例えば、「数字キーにより暗証番号を入力してください」というような案内文を有する暗証番号入力案内画像を表示して顧客に暗証番号の入力を促す。
【0089】
その結果、主制御部20は、顧客により入力部6の複数の操作キーが、操作面に手の指先を接触させるようにして順に押下操作されて所定桁の暗証番号が入力されると、その暗証番号と、すでにカードから読み取っていた口座番号とを格納して顧客に対する認証処理の実行を依頼するための認証処理依頼データを生成する。
【0090】
そして主制御部20は、その認証処理依頼データをネットワークインタフェース21からネットワークを介して認証装置に送信して顧客に対する認証処理を実行するように依頼する。
【0091】
この際、認証装置は、現金自動預払機1から送信された認証処理依頼データを受信して、当該認証処理依頼データから口座番号及び暗証番号を取り出す。
【0092】
また認証装置は、複数の顧客情報の中から、その認証処理依頼データから取り出した口座番号と同一の口座番号を含む顧客情報(すなわち、このとき現金自動預払機1に取引を要求した顧客の顧客情報)を特定する。
【0093】
そして認証装置は、その特定した顧客情報に含まれる暗証番号と、認証処理依頼データから取り出した暗証番号とに基づいて認証処理を実行して、当該特定した顧客情報に含まれる暗証番号と、認証処理依頼データから取り出した暗証番号とを比較する。
【0094】
その結果、認証装置は、特定した顧客情報に含まれる暗証番号と、認証処理依頼データから取り出した暗証番号とが一致すると、現金自動預払機1に取引を要求した顧客を認証して、当該顧客を認証したことを、ネットワークを介して現金自動預払機1に通知する。
【0095】
因みに、認証装置は、例えば、顧客により暗証番号が誤って入力されたため、特定した顧客情報に含まれる暗証番号と、認証処理依頼データから取り出した暗証番号とが一致しないと、現金自動預払機1に対し取引を要求した顧客を認証し得ないことを、ネットワークを介して現金自動預払機1に通知する。
【0096】
そして主制御部20は、認証装置から顧客を認証し得なかったことが通知されると、暗証番号入力案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、暗証番号の再入力を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0097】
因みに、以下の説明では、暗証番号の再入力を促すための取引手順案内画像を、番号再入力案内画像とも呼び、当該番号再入力案内画像の取引手順案内画像データを、番号再入力案内画像データとも呼ぶ。
【0098】
これにより主制御部20は、表示部7に対し暗証番号入力案内画像に換えて、番号再入力案内画像データに基づき例えば、「数字キーにより暗証番号を入力し直してください」というような案内文を有する番号再入力案内画像を表示して顧客に暗証番号の再入力を促す。
【0099】
その結果、主制御部20は、顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて所定桁の暗証番号が再入力されると、その再入力された暗証番号と共に、口座番号を格納して顧客に対する認証処理を再度実行するように依頼する認証処理再依頼データを生成する。
【0100】
そして主制御部20は、その認証処理再依頼データをネットワークインタフェース21からネットワークを介して認証装置に送信して顧客に対する認証処理を再度実行するように依頼する。
【0101】
この際、認証装置は、現金自動預払機1から送信された認証処理再依頼データを受信して、当該認証処理再依頼データから口座番号及び暗証番号を取り出す。
【0102】
そして認証装置は、上述と同様に顧客に対する認証処理を再度実行して、当該顧客を認証すると、その旨を、ネットワークを介して現金自動預払機1に通知する。
【0103】
このようにして主制御部20は、認証装置から顧客を認証したことが通知されると、暗証番号入力案内画像データ(又は、番号再入力案内画像データ)に換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、出金の金額の指定を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0104】
因みに、以下の説明では、出金の金額の指定を促すための取引手順案内画像を、金額指定案内画像とも呼び、当該金額指定案内画像の取引手順案内画像データを、金額指定案内画像データとも呼ぶ。
【0105】
これにより主制御部20は、表示部7に対し暗証番号入力案内画像(又は、番号再入力案内画像)に換えて、金額指定案内画像データに基づき例えば、「操作キーにより出金する金額を指定してください」というような案内文を有する金額指定案内画像を表示して顧客に出金の金額の指定を促す。
【0106】
そして主制御部20は、顧客により入力部6の複数の操作キーが押下操作されて出金の金額が指定されると、金額入力案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、紙幣の出金処理中であることを通知するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0107】
因みに、以下の説明では、紙幣の出金処理中であることを通知するための取引手順案内画像を、出金処理中案内画像とも呼び、当該出金処理中案内画像の取引手順案内画像データを、出金処理中案内画像データとも呼ぶ。
【0108】
これにより主制御部20は、表示部7に対し金額指定案内画像に換えて、出金処理中案内画像データに基づき例えば、「紙幣を用意しておりますので、そのままお待ちください」というような案内文を有する出金処理中案内画像を表示して顧客に出金用の紙幣が用意できるまで現金自動預払機1の前で待つように通知する。
【0109】
また主制御部20は、この際、顧客による出金の金額の指定に応じて、表示部7に出金処理中案内画像を表示したまま、出金処理プログラムに従って紙幣処理ユニット25を制御して出金処理を開始する。
【0110】
ここで、主制御部20は、出金処理を開始すると、紙幣収納庫30乃至33の内部から、顧客により指定された金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して鑑別部26へ搬送して、当該鑑別部26において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0111】
その結果、主制御部20は、鑑別部26から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、搬送路35を介して紙幣投入取出部5へ搬送する。
【0112】
ただし、主制御部20は、この際、鑑別部26から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路35を介して補充回収庫34へ搬送してリジェクト収納部に収納し、その後の出金処理には用いないようにする。
【0113】
そして主制御部20は、紙幣投入取出部5に、顧客により指定された金額分の紙幣を搬送し終えると、例えば、印刷処理部により通帳又は取引明細書に取引内容等を印刷させる。
【0114】
そのうえで主制御部20は、紙幣投入取出部5のシャッタを開くと共に、カード挿入排出口8からカードを排出し、通帳挿入排出口9から取引内容が印刷された通帳又は取引明細書を排出する。
【0115】
また主制御部20は、出金処理中案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、紙幣を受け取るように促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0116】
因みに、以下の説明では、紙幣を受け取るように促すための取引手順案内画像を、紙幣受取案内画像とも呼び、当該紙幣受取案内画像の取引手順案内画像データを、紙幣受取案内画像データとも呼ぶ。
【0117】
よって主制御部20は、表示部7に対し出金処理中案内画像に換えて、紙幣受取案内画像データに基づき例えば、「紙幣取出口から紙幣を取り出してください。またカード、通帳もお取りください」というような案内文を有する紙幣受取案内画像を表示する。
【0118】
これにより主制御部20は、顧客に紙幣投入取出部5から、指定された金額分の紙幣を取り出させるようにして受け取らせると共に、カード挿入排出口8や通帳挿入排出口9からカードや、通帳又は取引明細書を引き抜かせるようにして受け渡す。
【0119】
そして主制御部20は、顧客により紙幣投入取出部5から出金用の紙幣が取り出されると、当該紙幣投入取出部5のシャッタを閉じて出金処理を終了する。
【0120】
そのうえで主制御部20は、近接センサ23を介して顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、表示部7を消灯して案内モードから待受モードに移行する。
【0121】
このようにして主制御部20は、第1取引案内処理の実行中に、現金自動預払機1の前に立った顧客により所望する取引として紙幣の出金が選択されると、その第1取引案内処理を実行しながら紙幣の出金処理も実行して顧客に、指定された金額の紙幣を渡すことができる。
【0122】
ところで、主制御部20は、上述のように表示部7に項目選択案内画像を表示した際、顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて取引項目として紙幣の入金が選択されると、入金処理プログラムに従って紙幣処理ユニット25を制御して入金処理を開始することにより、紙幣投入取出部5のシャッタを開く。
【0123】
また主制御部20は、このとき項目選択案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、入金の紙幣の投入を促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0124】
因みに、以下の説明では、入金の紙幣の投入を促すための取引手順案内画像を、紙幣投入案内画像とも呼び、当該紙幣投入案内画像の取引手順案内画像データを、紙幣投入案内画像データとも呼ぶ。
【0125】
これにより主制御部20は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて、紙幣投入案内画像データに基づき例えば、「紙幣投入口に入金する紙幣を投入した後、「ENTER」キーを押してください」というような案内文を有する紙幣投入案内画像を表示して顧客に紙幣投入取出部5に対する入金用の紙幣の投入を促す。
【0126】
そして主制御部20は、顧客により紙幣投入取出部5に入金用の紙幣が投入された後、入力部6の操作キーが押下操作されて紙幣の投入の完了が通知されると、紙幣投入取出部5のシャッタを閉じる。
【0127】
また主制御部20は、このとき紙幣投入案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、紙幣の計数中であることを通知するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0128】
因みに、以下の説明では、紙幣の計数中であることを通知するための取引手順案内画像を、計数中案内画像とも呼び、当該計数中案内画像の取引手順案内画像データを、計数中案内画像データとも呼ぶ。
【0129】
これにより主制御部20は、表示部7に対し紙幣投入案内画像に換えて、計数中案内画像データに基づき例えば、「紙幣を数えておりますので、そのままお待ちください」というような案内文を有する計数中案内画像を表示して顧客に紙幣の計数が完了するまで現金自動預払機1の前で待つように通知する。
【0130】
また主制御部20は、このとき表示部7に計数中案内画像を表示しながら、紙幣投入取出部5から、これに投入された1又は複数の紙幣を、1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して鑑別部26へ搬送して、当該鑑別部26において、その紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0131】
その結果、主制御部20は、鑑別部26から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、搬送路35を介して一時保留部27へ搬送して一時的に保持させることにより、当該紙幣の入金を保留する。
【0132】
また主制御部20は、鑑別部26から破損や折れ等により異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路35を介して紙幣投入取出部5へ搬送する。
【0133】
このようにして主制御部20は、例えば、紙幣投入取出部5に投入された入金用の紙幣を鑑別部26に鑑別させている間、当該鑑別部26により正常である鑑別された紙幣の総額を、入金の金額として計数している。
【0134】
そして主制御部20は、鑑別部26において、紙幣投入取出部5内に投入された入金用の紙幣が全て鑑別されたとき、その鑑別された紙幣の中にリジェクト紙幣(すなわち、異常なために入金用の紙幣としては計数せずに紙幣投入取出部5へ搬送していた紙幣)が存在すると、紙幣投入取出部5のシャッタを開く。
【0135】
また主制御部20は、このとき計数中案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、計数し得なかった紙幣(すなわち、リジェクト紙幣)の返却を通知するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0136】
因みに、以下の説明では、計数し得なかった紙幣の返却を通知するための取引手順案内画像を、紙幣返却案内画像とも呼び、当該紙幣返却案内画像の取引手順案内画像データを、紙幣返却案内画像データとも呼ぶ。
【0137】
よって主制御部20は、表示部7に対し計数中案内画像に換えて、紙幣返却案内画像データに基づき例えば、「数えられなかった紙幣を返却しますので、お取りください」というような案内文を有する紙幣返却案内画像を表示する。
【0138】
これにより主制御部20は、顧客に紙幣投入取出部5から計数し得なかった紙幣(すなわち、リジェクト紙幣)を取り出させるようにして返却した後、当該紙幣投入取出部5のシャッタを閉じる。
【0139】
ところで、主制御部20は、紙幣投入取出部5内に投入された入金用の紙幣が全て鑑別されたとき、その鑑別された紙幣の中にリジェクト紙幣が存在しないと、計数した入金の金額(すなわち、正常であると鑑別された紙幣の総額)を提示するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを生成する。
【0140】
そして主制御部20は、計数中案内画像データに換えて、その計数した入金の金額を提示するために生成した取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0141】
因みに、以下の説明では、計数した入金の金額を提示するための取引手順案内画像を、入金金額案内画像とも呼び、当該入金金額案内画像の取引手順案内画像データを、入金金額案内画像データとも呼ぶ。
【0142】
これにより主制御部20は、表示部7に対し計数中案内画像に換えて、入金金額案内画像データに基づき例えば、「入金の金額は○○です。入金してもよろしければ「ENTER」キーを押してください。また入金を取り消す場合は「CANCEL」キーを押してください」というような案内文を有する入金金額案内画像を表示して顧客に入金の金額を提示して確認させると共に、その金額の紙幣を入金するか否かを問い合わせる。
【0143】
これに対し主制御部20は、入金用の紙幣の中にリジェクト紙幣が存在した場合は、例えば、入金用の紙幣の鑑別が終了したタイミングではなく、計数しなかった紙幣(すなわち、リジェクト紙幣)を顧客に返却して紙幣投入取出部5のシャッタを閉じると、入金金額案内画像データを生成する。
【0144】
そして主制御部20は、紙幣返却案内画像データに換えて、その入金金額案内画像データを表示部7に送出する。
【0145】
これにより主制御部20は、表示部7に対し紙幣返却案内画像に換えて入金金額案内画像を表示して、顧客に入金の金額を提示して確認させると共に、その金額の紙幣を入金するか否かを問い合わせる。
【0146】
そして主制御部20は、入金金額案内画像を介して入金の金額を確認した顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて紙幣の入金が指示されると、例えば、印刷処理部により通帳又は取引明細書に取引内容等を印刷させる。
【0147】
そのうえで主制御部20は、カード挿入排出口8からカードを排出し、通帳挿入排出口9から取引内容が印刷された通帳又は取引明細書を排出する。
【0148】
また主制御部20は、入金金額案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、紙幣の入金が終了したことを通知するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0149】
因みに、以下の説明では、紙幣の入金が終了したことを通知するための取引手順案内画像を、入金終了案内画像とも呼び、当該入金終了案内画像の取引手順案内画像データを、入金終了案内画像データとも呼ぶ。
【0150】
よって主制御部20は、表示部7に対し入金金額案内画像に換えて、入金終了案内画像データに基づき例えば、「入金が終了しました。カード、通帳をお取りください」というような案内文を有する入金終了案内画像を表示する。
【0151】
これにより主制御部20は、カード挿入排出口8や通帳挿入排出口9からカードや、通帳又は取引明細書を引き抜かせるようにして受け渡す。
【0152】
そして主制御部20は、近接センサ23を介して顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、表示部7を消灯して案内モードから待受モードに移行する。
【0153】
また主制御部20は、この際、顧客により紙幣の入金が指示されると、通帳又は取引明細書に対する取引内容等の印刷や取引手順案内画像の表示と並行して、一時保留部27から一時的に保持していた紙幣(すなわち、入金用の正常な紙幣)を、1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して鑑別部26へ搬送して、当該鑑別部26において再び、その紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0154】
そして主制御部20は、鑑別部26から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、搬送路35を介して当該紙幣の金種に応じた紙幣収納庫30乃至33へ搬送して収納する。
【0155】
ただし、主制御部20は、この際、鑑別部26から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路35を介して補充回収庫34へ搬送してリジェクト収納部に収納する。
【0156】
このようにして主制御部20は、一時保留部27に一時的に保持していた全ての紙幣(すなわち、入金を保留していた紙幣)の紙幣収納庫30乃至33や補充回収庫34のリジェクト収納部への収納が完了すると、入金処理を終了する。
【0157】
そして主制御部20は、このようにして入金処理が終了し、また顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、案内モードから待受モードに移行する。
【0158】
ところで、主制御部20は、入金金額案内画像を介して入金の金額を確認した顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて入金の取消が指示されると、一時保留部27から一時的に保持していた紙幣(すなわち、入金を保留していた紙幣)を、1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して紙幣投入取出部5へ搬送して、当該紙幣投入取出部5のシャッタを開く。
【0159】
また主制御部20は、このときカード挿入排出口8や通帳挿入排出口9からカードや通帳を排出すると共に、入金金額案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、入金の取消による紙幣の返却を通知するための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0160】
因みに、以下の説明では、入金の取消による紙幣の返却を通知するための取引手順案内画像を、入金取消案内画像とも呼び、当該入金取消案内画像の取引手順案内画像データを、入金取消案内画像データとも呼ぶ。
【0161】
これにより主制御部20は、表示部7に対し入金金額案内画像に換えて、入金取消案内画像データに基づき例えば、「入金の取消により紙幣を返却しますので、お取りください。またカード、通帳もお取りください」というような案内文を有する入金取消案内画像を表示する。
【0162】
よって主制御部20は、顧客に紙幣投入取出部5から入金用の紙幣を取り出させるようにして返却した後、当該紙幣投入取出部5のシャッタを閉じて入金処理を終了する。
【0163】
また主制御部20は、カード挿入排出口8や通帳挿入排出口9からカードや、通帳又は取引明細書を引き抜かせるようにして受け渡す。
【0164】
そして主制御部20は、近接センサ23を介して顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、表示部7を消灯して案内モードから待受モードに移行する。
【0165】
このようにして主制御部20は、第1取引案内処理の実行中に、現金自動預払機1の前に立った顧客により所望する取引として紙幣の入金が選択されると、その第1取引案内処理を実行しながら紙幣の入金処理も実行して顧客の紙幣を入金することができる。
【0166】
なお、現金自動預払機1は、金融機関に設置された図示しない顧客管理装置ともネットワークを介して接続されている。
【0167】
よって主制御部20は、第1取引案内処理を実行した場合、カードから読み取った口座番号を用いて、ネットワークインタフェース21及びネットワークを順次介して顧客管理装置と適宜通信している。
【0168】
そして主制御部20は、顧客管理装置から顧客の口座における紙幣の出金後や入金後の残高の通知を受けて通帳や取引明細書に取引内容等を印刷している。
【0169】
このようにして主制御部20は、例えば、取引業務の終了やメンテナンスの実施に応じて外部から作業者により動作の停止が指示されるまで、第1取引案内処理を実行しながら、顧客が訪れる毎に出金処理や入金処理も実行して顧客の所望する取引を実現することができる。
【0170】
因みに、主制御部20は、紙幣の補充処理時や回収処理時、内部のメモリに予め記録されている補充処理プログラムや回収処理プログラムに従って紙幣処理ユニット25を制御している。
【0171】
これにより主制御部20は、紙幣の補充処理時、補充回収庫34の紙幣収納部から紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して鑑別部26へ搬送して、当該鑑別部26において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0172】
その結果、主制御部20は、鑑別部26から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、搬送路35を介して、その金種に応じた紙幣収納庫30乃至33へ搬送して収納する。
【0173】
ただし、主制御部20は、この際、鑑別部26から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路35を介して補充回収庫34へ戻すように搬送してリジェクト収納部に収納する。
【0174】
主制御部20は、このようにして紙幣処理ユニット25において複数の紙幣収納庫30乃至33に出金処理に用いる紙幣を補充することができる。
【0175】
また主制御部20は、紙幣の回収処理時、紙幣収納庫30乃至33から紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路35を介して鑑別部26へ搬送して、当該鑑別部26において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
【0176】
その結果、主制御部20は、鑑別部26から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、搬送路35を介して補充回収庫34へ搬送して紙幣収納部に収納する。
【0177】
ただし、主制御部20は、この際、鑑別部26から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路35を介して補充回収庫34へ搬送してリジェクト収納部に収納する。
【0178】
主制御部20は、このようにして紙幣処理ユニット25において複数の紙幣収納庫30乃至33から紙幣を回収することができる。
【0179】
(1−3)入力部の外観構成及び内部構成
次いで、図3及び図4を用いて、暗証番号の入力に用いられる入力部6の外観構成と共に内部構成について説明する。
【0180】
因みに、図3は、入力部6を真上から見た場合の構成を示している。また、図4は、入力部6の内部を1つの操作キー40の配置部分について見た場合の構成を示している。
【0181】
図3及び図4に示すように、入力部6に設けられた複数の操作キー40は、それぞれ例えば、アルミニウムのような熱伝導率が比較的高い金属材によって、先端部よりも根元部が一回り太い段付四角柱状に形成されている。
【0182】
この場合、複数の操作キー40は、それぞれ先端部の四角形状の端面40Aが、顧客に手の指先を接触させるようにして押下操作させるための、当該操作キー40の操作面40Aになる。
【0183】
また複数の操作キー40は、手の指先の大きさが異なる複数の顧客の何れもが押下操作し易いように、操作面40Aの広さが、例えば、一般的な大人の男性の手の第2指の指先の大きさよりも広く選定されている。
【0184】
そして複数の操作キー40の操作面40Aには、それぞれ入力可能な情報を表す文字や文字列(すなわち、数字を表す「0」乃至「9」及び「00」や、記号を表す「.」、入力内容の確定を表す「ENTER」、入力内容の取消を表す「CLEAR」、取引の取消を表す「CANCEL」等)が描画されている。
【0185】
これにより複数の操作キー40は、操作面40Aに描画された文字や文字列により、当該操作キー40を介して入力可能な情報を顧客に認識させることができる。
【0186】
また入力部6は、例えば、略角形の本体ケース41を有している。本体ケース41は、ケース上端に四角形状の開口部が形成されている。
【0187】
そして本体ケース41のケース上端には、例えば、当該本体ケース41のケース上端よりも一回り大きい略四角形状のキー保持板42が、当該キー保持板42の中央部を固着するようにして取り付けられている。
【0188】
これにより本体ケース41は、キー保持板42の前後左右の縁部(以下、これらをまとめて保持板縁部とも呼ぶ)をケース上端の周囲(すなわち、前後左右)に張り出させるようにして、当該キー保持板42の中央部によりケース上端の開口部が閉塞されている。
【0189】
ところで、キー保持板42は、例えば、中央部の四角形の領域42Aが複数の操作キー40の配置用として、上側に突出するように縁部よりも1段高い凸状に加工されている。因みに、以下の説明では、キー保持板42の中央部の凸状の領域42Aを、キー配置領域42Aとも呼ぶ。
【0190】
またキー保持板42は、キー配置領域42Aの上面に、操作キー40の先端部の太さとほぼ等しい大きさを有する四角形状の複数のキー挿入孔部42AXがマトリクス状に穿設されている。
【0191】
そしてキー保持板42は、キー配置領域42Aの複数のキー挿入孔部42AXに、それぞれ操作キー40の先端部が下側から挿入され、当該操作キー40の操作面40Aを預払機上方向へ向けてキー配置領域42Aの上面から突出させている。
【0192】
すなわち、キー保持板42は、複数の操作キー40において複数のキー挿入孔部42AXよりも太い根元部をキー配置領域42Aの下側に位置させることで、当該複数のキー挿入孔部42AXに複数の操作キー40が上側へは抜け出ないように挿入されている。
【0193】
これによりキー保持板42は、キー配置領域42Aに複数のキー挿入孔部42AXを介して複数の操作キー40がマトリクス状に配置され、当該複数のキー挿入孔部42AXにより複数の操作キー40を上下動可能に保持している。
【0194】
因みに、以下の説明では、キー保持板42のキー配置領域42Aに配置された複数の操作キー40において預払機下方向へ向いた根元部の端面40Bを、それぞれキー下面40Bとも呼ぶ。
【0195】
また本体ケース41は、底面41Aに例えば、半導体素子のような表面実装部品が実装される多層配線基板43が配置されている。
【0196】
ここで、多層配線基板43の一面には、表面実装部品として、上述の主制御部20の制御のもと、複数の操作キー40の押下操作に応じた入力処理を実行する例えば、マイクロコンピュータ構成の入力処理部44が実装されている。
【0197】
因みに、以下の説明では、表面実装部品として入力処理部44が実装された多層配線基板43を、入力用配線基板43とも呼ぶ。
【0198】
また入力用配線基板43の一面には、複数の操作キー40のキー下面40Bの中央部と対向する位置に、それぞれ導電性の金属箔でなる固定接点45Aが配置されている。
【0199】
さらに入力用配線基板43の一面には、複数の操作キー40のキー下面40Bの中央部と対向する位置に、それぞれ表面実装部品として、導電性金属箔により弾性を有する椀状に形成されたダイアフラム45Bが、固定接点45Aを覆うように実装されている。
【0200】
そして入力用配線基板43は、一面及び他面等に導電線が所定パターンで形成されている。これにより入力用配線基板43において複数の固定接点45A及び複数のダイアフラム45Bは、それぞれ入力処理部44と導電線を介して電気的に接続されている。
【0201】
このようにして入力用配線基板43の一面には、複数の操作キー40のキー下面40Bの中央部と対向する位置にそれぞれ一組の固定接点45A及びダイアフラム45Bによって形成されたスイッチ45が設けられている。
【0202】
また本体ケース41内には、複数の操作キー40と入力用配線基板43との間に略格子状の操作連動部46が配置されている。
【0203】
操作連動部46は、格子状に組み合わせられた梁状の複数の支持部46Aの交差部分に、それぞれ上端部が下端部よりも一回り太い略段付四角柱状の押子46Bが設けられている。
【0204】
そして操作連動部46は、複数の押子46Bをそれぞれ操作キー40のキー下面40Bと、当該操作キー40の真下のスイッチ45との間に位置させている。
【0205】
ここで、操作連動部46は、ゴムのような弾性材により一体成形(すなわち、複数の支持部46Aと複数の押子46Bとが一体に形成)されている。
【0206】
これにより操作連動部46は、複数の支持部46Aにより複数の押子46Bを個別に上下動可能に支持している。
【0207】
また操作連動部46において複数の押子46Bは、それぞれ例えば、上端部の太さが操作キー40の根元部の太さとほぼ等しい太さに選定されると共に、下端部の太さがスイッチ45のダイアフラム45Bの直径よりも僅かに太く選定されている。
【0208】
さらに操作連動部46において複数の押子46Bは、それぞれ上端面46BXの中央部に基板配置用凹部46BYが形成されている。
【0209】
そして操作連動部46は、複数の押子46Bの上端面46BXの縁部を、それぞれ対応する操作キー40のキー下面40Bの縁部に当接させている。
【0210】
これにより操作連動部46は、複数の押子46Bにより、それぞれ対応する操作キー40を下から支えている。
【0211】
ここで、操作連動部46は、複数の操作キー40に押し下げるような外力が何ら加えられていない場合、例えば、複数の支持部46Aを水平にして複数の押子46Bを支持している。
【0212】
また操作連動部46は、複数の押子46Bの上下の長さが、それぞれ対応する操作キー40に押し下げるような外力が何ら加えられていない場合、当該操作キー40の段差部をキー保持板42のキー配置領域42Aの下面に当接又は近接させ、かつスイッチ45のダイアフラム45Bを何ら変形させずに当該ダイアフラム45Bの頂上部分に押子46Bの下端面46BZを当接又は近接させるような所定長さに選定されている。
【0213】
因みに、複数の操作キー40は、当該操作キー40に押し下げるような外力が何ら加えられていない場合に段差部をキー保持板42のキー配置領域42Aの下面に当接又は近接させるような位置が、情報の入力用に押下操作が開始されるときの基準位置になる。
【0214】
よって、以下の説明では、このように操作キー40に押し下げるような外力が何ら加えられていない場合に段差部をキー保持板42のキー配置領域42Aの下面に当接又は近接させるような当該操作キー40の位置を、操作基準位置とも呼ぶ。
【0215】
従って操作連動部46は、操作キー40の操作面40Aに下方向に押すような外力が加えられて当該操作キー40が操作基準位置から押し下げられると、その押し下げに連動して、対応する押子46Bを下降させてダイアフラム45Bに押し付ける。
【0216】
これにより操作連動部46は、ダイアフラム45Bを押子46Bの押し付けによって変形させて、当該変形させたダイアフラム45Bを固定接点45Aに機械的及び電気的に接続させてスイッチ45をオン状態にすることができる。
【0217】
また操作連動部46は、このように押し下げられていた操作キー40の操作面40Aから外力が取り除かれると、ダイアフラム45Bが自身の復元力によって形状を復元させるようにして、対応する押子46Bを上昇させる。
【0218】
これにより操作連動部46は、ダイアフラム45Bを固定接点45Aから離隔させてスイッチ45をオフ状態にすると共に、押子46Bの上昇によって操作キー40を押し上げて押下操作前の操作基準位置まで戻すことができる。
【0219】
ところで、入力部6は、キー保持板42の保持板縁部を当該入力部6に対する預払機筐体2の上向パネル3Aへの取付用に、本体ケース41のケース上端の周囲に張り出させている。
【0220】
また預払機筐体2は、上向パネル3Aの中央前端部に例えば、入力部6のキー保持板42のキー配置領域42Aに対応する四角形状の開口部3AXが形成されている。
【0221】
これにより入力部6は、キー保持板42のキー配置領域42Aが預払機筐体2の上向パネル3Aの開口部3AXに下側から挿入された状態で保持板縁部を上向パネル3Aの内面に固着するようにして当該上向パネル3Aに取り付けられている。
【0222】
すなわち、入力部6は、預払機筐体2の上向パネル3Aに対し、キー保持板42のキー配置領域42Aと共に複数の操作キー40の操作面40Aを当該上向パネル3Aの開口部3AXを介して外部に露出させるようにして取り付けられている。
【0223】
よって入力部6は、このように預払機筐体2の上向パネル3Aに取り付けられた状態では、顧客に操作基準位置の複数の操作キー40をそれぞれ、操作面40Aに手の指先を接触させるようにして押下操作させることができる。
【0224】
そして入力部6は、顧客により操作キー40が押下操作されると、これに応じて、その押下操作された操作キー40に対応する(すなわち、真下の)スイッチ45をオン状態にすることができる。
【0225】
また入力部6は、顧客により押下操作された操作キー40の操作面40Aから手の指先が離されると、これに応じて当該操作キー40を操作基準位置に戻すことができると共に、対応するスイッチ45をオフ状態にすることができる。
【0226】
ここで、入力部6において入力処理部44は、例えば、内部のメモリに予め複数の操作キー40に対応する複数のスイッチ45の配置位置と、当該操作キー40に割り当てられている入力可能な情報とを対応付けたデータテーブルを記憶している。
【0227】
よって入力処理部44は、顧客により操作キー40が押下操作されると、その操作キー40の押下操作によってオン状態になったスイッチ45の配置位置を検出する。
【0228】
また入力処理部44は、そのオン状態になったスイッチ45について検出した配置位置と、メモリ内のデータテーブルとに基づき、このとき押下操作された操作キー40に割り当てられている入力可能な情報を判別する。
【0229】
そして入力処理部44は、その判別した情報を主制御部20に通知する。このようにして入力処理部44は、顧客に複数の操作キー40を押下操作させて暗証番号(また、他の情報)を入力させることができる。
【0230】
ところで、複数の操作キー40は、現金自動預払機1の使用環境(すなわち、現金自動預払機1の周囲の温度や湿度、空気の流れの有無等であり、以下、これを預払機使用環境とも呼ぶ)によって各々の操作面40Aの温度がほぼ一様に変化する。
【0231】
また現金自動預払機1が設置される屋内については、例えば、空調設備によって預払機使用環境が調整されており、特に当該現金自動預払機1の周囲の温度となる室温が、顧客にとって快適なように体温よりも低い温度に適宜調整されている。
【0232】
このため複数の操作キー40は、現金自動預払機1が屋内に設置されている場合、預払機使用環境に応じて各々の操作面40Aの温度が一様に、当該操作キー40を押下操作する顧客の手の指先の温度(すなわち、体温)よりも低い温度まで低下している。
【0233】
そして複数の操作キー40は、このように操作面40Aの温度と顧客の手の指先の温度とが異なると、押下操作された場合に操作面40Aにおいて少なくとも手の指先の接触部分が、当該指先の接触前や被接触部分とは異なる温度に変化する。
【0234】
すなわち、入力部6では、複数の操作キー40の何れかが押下操作されると、押下操作された操作キー40の操作面40Aの温度と、押下操作されていない操作キー40の操作面40Aの温度とに差が生じることになる。
【0235】
このため、入力部6は、係る構成に加えて例えば、操作連動部46の複数の押子46Bのうち暗証番号の入力(すなわち、「0」乃至「9」の数字の入力)に利用可能な複数の操作キー40に接触している複数の押子46Bのみ、それぞれ基板配置用凹部46BY内の中央部に、表面実装部品が実装される配線基板50が配置されている。
【0236】
因みに、以下の説明では、複数の操作キー40のうち、暗証番号の入力に利用可能な操作キー40(すなわち、「0」乃至「9」までの数字の入力が可能な10個の操作キー40)を、特に番号入力用操作キー40とも呼ぶ。
【0237】
また、以下の説明では、操作連動部46の複数の押子46Bのうち複数の番号入力用操作キー40にそれぞれ接触している押子46B(すなわち、10個の番号入力用操作キー40を下から支えている10箇所の押子46Bを、特に番号入力用押子46Bとも呼ぶ。
【0238】
そして複数の配線基板50は、それぞれ一面の中央部に表面実装部品として例えば、端子間の抵抗に電流を流して発熱させる抵抗発熱体でなる発熱素子51A乃至51Jが実装され、当該発熱素子51A乃至51Jの表面を、対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bの中央部に接触させている。
【0239】
因みに、以下の説明では、発熱素子51A乃至51Jが実装された複数の配線基板50を、それぞれ発熱用配線基板50とも呼ぶ。
【0240】
また複数の発熱用配線基板50は、それぞれ例えば、一面の縁部の所定位置に表面実装部品としてコネクタ(以下、これを発熱基板側コネクタとも呼ぶ)52が実装されている。
【0241】
さらに複数の発熱用配線基板50は、それぞれ一面に導電線(図示せず)が所定パターンで形成されている。
【0242】
これにより複数の発熱用配線基板50では、それぞれ発熱素子51A乃至51Jが発熱基板側コネクタ52と導電線を介して電気的に接続されている。
【0243】
また操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bは、それぞれ基板配置用凹部46BYの底面の所定位置から段差部までに亘るケーブル挿入孔部46BWが穿設されている。
【0244】
さらに入力用配線基板43の一面には、例えば、操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bのケーブル挿入孔部46BWと対向する位置に、それぞれ表面実装部品としてコネクタ(以下、これを入力基板側コネクタとも呼ぶ)53が実装されている。
【0245】
さらにまた入力用配線基板43の一面には、表面実装部品として、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱する例えば、マイクロコンピュータ構成の加熱処理部54が実装されている。
【0246】
そして入力用配線基板43において加熱処理部54は、入力基板側コネクタ53と導電線を介して電気的に接続されている。
【0247】
そのうえで複数の入力基板側コネクタ53には、それぞれフラットケーブルのような接続ケーブル55の一端部が機械的及び電気的に接続されている。
【0248】
また複数の接続ケーブル55の他端部は、それぞれ一端部が接続された入力基板側コネクタ53の真上に位置する番号入力用押子46Bのケーブル挿入孔部46BWに通された後、当該番号入力用押子46Bの基板配置用凹部46BY内で発熱用配線基板50の発熱基板側コネクタ52に機械的及び電気的に接続されている。
【0249】
これにより入力部6において加熱処理部54は、複数の入力基板側コネクタ53、複数の接続ケーブル55及び複数の発熱基板側コネクタ52を順次介して複数の発熱素子51A乃至51Jに電気的に接続されている。
【0250】
そして入力部6において加熱処理部54は、顧客により暗証番号が入力される際、主制御部20の制御のもと、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱することにより、当該複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40A全体の温度を上昇させてほぼ等しくしている。
【0251】
これにより加熱処理部54は、顧客により複数の番号入力用操作キー40の何れかが順に押下操作されて暗証番号が入力されても、この際、押下操作された番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が、押下操作されなかった番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度と異なるように変化することを防止することができる。
【0252】
よって加熱処理部54は、顧客により暗証番号入力された際、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が検出されたとしても、その検出した温度からは、暗証番号の入力用に押下操作された番号入力用操作キー40や、当該番号入力用操作キー40の押下操作の順番を特定し得なくすることができる。
【0253】
(1−4)温度変化部の構成
次いで、図5を用いて、顧客により複数の番号入力用操作キー40が押下操作されて暗証番号が入力される際、入力部6において複数の発熱素子51A乃至51Jを介して複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を変化させてほぼ等しくするための、複数の発熱素子51A乃至51J及び加熱処理部54からなる温度変化部60の構成について具体的に説明する。
【0254】
この場合、加熱処理部54には、電流値設定回路61と、デジタルアナログ変換回路62とが設けられている。
【0255】
また加熱処理部54には、主制御部20の制御のもと、加熱処理部54全体を統括制御する制御部(以下、これを温度制御部とも呼ぶ)63も設けられている。
【0256】
そして温度制御部63は、例えば、内部のメモリに予め記憶されている第1温度変化処理プログラムに従い、電流値設定回路61及びデジタルアナログ変換回路62と共に、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を上昇させるための第1温度変化処理を実行する。
【0257】
ただし、入力部6では、複数の発熱素子51A乃至51Jを介して複数の番号入力用操作キー40を加熱して操作面40Aの温度を上昇させる際の、当該操作面40Aの目標温度が予め選定されている。
【0258】
係る目標温度は、上述のように複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度と、顧客の手の指先の温度とに差があると、押下操作された番号入力用操作キー40の操作面40Aにおいて少なくとも手の指先の接触部分の温度が変化することから、例えば、手の指先の温度とほぼ等しい所定温度に選定されている。
【0259】
すなわち、目標温度は、番号入力用操作キー40の操作面40Aに手の指先が接触しても、当該操作面40Aの温度をほとんど変化させないように、又は手の指先の接触部分の温度が変化しても、その温度の変化を速やかに変化前の状態に戻すようにして打ち消すことができるように、手の指先の温度(例えば、体温)とほぼ等しい所定温度(例えば、34℃乃至36℃程度)に選定されている。
【0260】
また複数の発熱素子51A乃至51Jは、それぞれ発熱制御電流の供給に応じて発熱し、当該供給される発熱制御電流の電流値の大きさによって発熱量を変化させ得るように形成されている。
【0261】
このため入力部6では、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を目標温度まで上昇させるように、当該複数の番号入力用操作キー40の加熱用として複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する発熱制御電流の電流値(以下、これを規定電流値とも呼ぶ)が、その目標温度に応じて予め選定されている。
【0262】
そして加熱処理部54の電流値設定回路61は、その目標温度に応じて選定された規定電流値を予め保持している。
【0263】
加熱処理部54において温度制御部63は、係る構成のもと、第1温度変化処理を実行すると、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されることを待ち受ける。
【0264】
そして温度制御部63は、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されると、これに応じて電流値設定回路61及びデジタルアナログ変換回路62を動作させる。
【0265】
この際、電流値設定回路61は、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値を、予め保持している規定電流値に初期設定する。
【0266】
これにより電流値設定回路61は、その初期設定した規定電流値をもとに、当該規定電流値に応じたレベルの発熱制御データを生成して、当該生成した発熱制御データをデジタルアナログ変換回路62に送出する。
【0267】
またデジタルアナログ変換回路62は、電流値設定回路61から与えられた発熱制御データをデジタルアナログ変換処理することにより、規定電流値の発熱制御電流を生成して、当該生成した発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する。
【0268】
これにより温度制御部63は、規定電流値の発熱制御電流により複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱する。
【0269】
そして温度制御部63は、この後、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されると、これに応じて電流値設定回路61及びデジタルアナログ変換回路62の動作を停止させる。
【0270】
よって温度制御部63は、複数の発熱素子51A乃至51Jに対する規定電流値の発熱制御電流の供給を停止して複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱を停止させることにより、複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了する。
【0271】
このようにして温度制御部63は、主制御部20によって複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されてから終了が指示されるまでの間、複数の発熱素子51A乃至51Jを、規定電流値の発熱制御電流を供給し続けて発熱させる。
【0272】
これにより温度制御部63は、主制御部20によって複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されてから終了が指示されるまでの間、複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱によって複数の番号入力用操作キー40を加熱して、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40A全体を目標温度まで上昇させている。
【0273】
ところで、第三者が、仮にサーモグラフィを用いて顧客の暗証番号を不正に取得しようとすると、例えば、顧客が暗証番号を入力している間に、その顧客の肩ごしにサーモグラフィを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出することが考えられる。
【0274】
また第三者が、仮にサーモグラフィを用いて顧客の暗証番号を不正に取得しようとすると、例えば、暗証番号を入力した顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れた直後に、サーモグラフィを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出することも考えられる。
【0275】
このため、主制御部20は、顧客により暗証番号の入力が開始されるまでに複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇するように、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40を加熱させて、暗証番号が入力されても、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度をほとんど変化させないようにする必要がある。
【0276】
また主制御部20は、暗証番号の入力用に押下操作された番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が手の指先の接触により目標温度から僅かに変化した場合は、その温度の変化を速やかに変化前の状態に戻すようにして打ち消すように、温度制御部63に対し暗証番号の入力前から入力後にも複数の番号入力用操作キー40を継続して加熱させる必要がある。
【0277】
このため主制御部20は、例えば、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことを検出すると、その直後に温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始を指示している。
【0278】
そして主制御部20は、このように温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始を指示した後、上述したように顧客に取引の手順を案内しながら、カード挿入排出口8にカード(また、通帳挿入排出口9に通帳)を挿入させている。
【0279】
また主制御部20は、顧客に取引の手順を案内しながら、入力部6を介して取引項目を選択させるようにして、その取引項目として紙幣の出金が選択されると、引き続き顧客に複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させている。
【0280】
すなわち、主制御部20は、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させてから、顧客に取引の手順を確認させながらカード(また通帳)を挿入させ、また取引項目を選択させるような手順を踏ませている。
【0281】
これにより主制御部20は、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させてから、顧客により暗証番号の入力が開始されるまでに、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40A全体を目標温度まで上昇させるための加熱時間を確保している。
【0282】
また主制御部20は、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を指示している。
【0283】
すなわち、主制御部20は、顧客が紙幣の出金用に現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙してから、その顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れるまでの間は、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40を継続して加熱させている。
【0284】
よって図6に示すように、複数の番号入力用操作キー40は、加熱が開始されるまでの間、操作面40Aの温度が目標温度よりも低い、預払機使用環境に応じた所定温度まで低下している。
【0285】
この状態で主制御部20は、時点t1に顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙すると、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始を指示して複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させることで、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させる。
【0286】
従って複数の番号入力用操作キー40は、その時点t1から複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱によって加熱されて操作面40Aの温度が上昇する。
【0287】
そして複数の番号入力用操作キー40は、顧客により所望の取引として出金が選択されると、そのまま加熱されることにより、暗証番号が入力される直前の時点t2には操作面40A全体が手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇する。
【0288】
また複数の番号入力用操作キー40は、このように時点t2に操作面40A全体が目標温度まで上昇しても、さらに継続して加熱されることにより、その時点t2以降は自然に放熱する熱量と加熱される熱量とがつりあい、操作面40A全体が手の指先の温度とほぼ等しい目標温度のままになる。
【0289】
そして主制御部20は、このように複数の番号入力用操作キー40の操作面40A全体が目標温度まで上昇しても、当該複数の番号入力用操作キー40を加熱させたまま顧客に押下操作させて暗証番号を入力させる。
【0290】
よって主制御部20は、顧客により複数の番号入力用操作キー40が押下操作されて暗証番号が入力されても、これら複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を目標温度からほとんど変化させないようにすることができる。
【0291】
また主制御部20は、顧客による暗証番号の入力以降も、その顧客が現金自動預払機1の前から離れるまでは、番号入力用操作キー40を加熱させることで、暗証番号の入力の際に操作面40Aの温度が、仮に手の指先の接触により目標温度から僅かに変化したとしても、その温度の変化を速やかに変化前の状態に戻すようにして打ち消すことができる。
【0292】
そして主制御部20は、暗証番号の入力後の時点t3に顧客が現金自動預払機1の前から離れると、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を指示して複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱を停止させ、当該複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了させる。
【0293】
これにより複数の番号入力用操作キー40は、加熱が停止された時点t3以降は自然に放熱して操作面40Aの温度が目標温度から徐々に低下し、時点t4には当該操作面40Aの温度が再び目標温度よりも低い預払機使用環境に応じた所定温度まで低下する。
【0294】
そして複数の番号入力用操作キー40は、時点t4から、再び加熱が開始されるまでの間、操作面40Aの温度が、預払機使用環境に応じた所定温度のままほぼ一定になる。
【0295】
このようにして主制御部20は、紙幣の出金時、温度制御部63により複数の番号入力用操作キー40を加熱させて操作面40Aの温度を手の指先とほぼ等しい温度にした状態で、顧客に対し当該複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させている。
【0296】
ところで、主制御部20は、顧客により所望の取引として紙幣の出金が選択された場合は、その顧客を認証するために暗証番号を入力させるものの、所望の取引として紙幣の入金が選択された場合は、暗証番号を特には入力させていない。
【0297】
また主制御部20は、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことを検出した時点では、その顧客が、所望する取引として紙幣の出金及び入金の何れを選択するのかは判らない。
【0298】
しかしながら、主制御部20は、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことを検出すると、顧客により紙幣の出金が選択される可能性を考慮して、上述のように温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させて操作面40Aの温度を目標温度まで上昇させるための加熱時間を確保している。
【0299】
ただし、主制御部20は、このようにして温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させても、その顧客によって紙幣の入金が選択されると、その時点に温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を指示して、当該複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了させている。
【0300】
これにより主制御部20は、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことに応じて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始させても、その顧客によって紙幣の入金が選択された場合には、その後に複数の番号入力用操作キー40を無駄に加熱して消費電力が増大することを防止している。
【0301】
(1−5)第1暗証番号入力処理手順
次いで、図7(A)及び(B)並びに図8(A)及び(B)に示すフローチャートを用いて、主制御部20が実行する第1取引案内処理手順RT1及び温度制御部63が実行する第1温度変化処理手順RT2からなる第1暗証番号入力処理手順について説明する。
【0302】
主制御部20は、例えば、外部から作業者により取引業務の開始やメンテナンスの完了に応じて起動が指示されて起動すると、内部のメモリに予め記憶されている第1取引案内処理プログラムに従い図7(A)及び図8(A)に示す第1取引案内処理手順RT1を開始する。
【0303】
主制御部20は、係る第1取引案内処理手順RT1を開始すると、ステップSP1において近接センサ23から与えられるセンサ出力信号のレベルに基づき、顧客が入力部6と対峙したか否かを判別する。
【0304】
このステップSP1において否定結果が得られると、このことは出金や入金の取引を所望する顧客が未だ訪れてはいないことを表している。ステップSP1において主制御部20は、係る否定結果を得ると、ステップSP2に移る。
【0305】
そしてステップSP2において主制御部20は、外部から動作の停止が指示されたか否かを判別する。このステップSP2において否定結果が得られると、このことは例えば、取引業務中であり、また現金自動預払機1に対するメンテナンスも必要ないために外部から動作の停止が指示されてはいないことを表している。ステップSP2において主制御部20は、係る否定結果を得ると、ステップSP1に戻る。
【0306】
これにより主制御部20は、ステップSP1及びステップSP2の何れかにおいて肯定結果を得るまでの間、当該ステップSP1及びステップSP2の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0307】
このようにして主制御部20は、出金や入金の取引を所望する顧客が現金自動預払機1の前に訪れること、また外部から動作の停止が指示されることを待ち受ける。
【0308】
そしてステップSP1において肯定結果が得られると、このことは出金や入金の取引を所望する顧客が訪れたこと(すなわち、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したこと)を表している。ステップSP1において主制御部20は、係る肯定結果を得ると、ステップSP3に移る。
【0309】
ステップSP3において主制御部20は、スピーカ22から受付音声を出力して、次のステップSP4に移る。
【0310】
ステップSP4において主制御部20は、入力部6の温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始を指示して、次のステップSP5に移る。
【0311】
ここで、温度制御部63は、例えば、主制御部20から起動が指示されて起動すると、内部のメモリに予め記憶されている第1温度変化処理プログラムに従い図7(B)及び図8(B)に示す第1温度変化処理手順RT2を開始している。
【0312】
温度制御部63は、係る第1温度変化処理手順RT2を開始すると、ステップSP21において主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されたか否かを判別する。
【0313】
このステップSP21において否定結果が得られると、このことは出金や入金の取引を所望する顧客が未だ訪れてはいないために、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されていないことを表している。ステップSP21において温度制御部63は、係る否定結果を得ると、ステップSP22に移る。
【0314】
そしてステップSP22において温度制御部63は、例えば、主制御部20から動作の停止が指示されたか否かを判別する。
【0315】
このステップSP22において否定結果が得られると、このことは主制御部20が取引案内処理の実行中であり、顧客が来訪すれば温度制御部63に対し、複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始を指示する可能性があるために未だ動作の停止を指示していないことを表している。ステップSP22において温度制御部63は、係る否定結果を得ると、ステップSP21に戻る。
【0316】
これにより温度制御部63は、この後、ステップSP21及びステップSP22の何れかにおいて肯定結果を得るまでの間、当該ステップSP21及びステップSP22の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0317】
このようにして温度制御部63は、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されること、また動作の停止が指示されることを待ち受ける。
【0318】
そしてステップSP21において肯定結果が得られると、このことは顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したために、主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されたことを表している。ステップSP21において温度制御部63は、係る肯定結果を得ると、ステップSP23に移る。
【0319】
ステップSP23において温度制御部63は、複数の発熱素子51A乃至51Jに規定電流値の発熱制御電流を供給して発熱させることにより、当該複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱によって複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始して、次のステップSP24に移る。
【0320】
この際、ステップSP5において主制御部20は、表示部7にカード挿入案内画像を表示することにより、当該カード挿入案内画像により顧客にカード及び通帳の挿入を促して、次のステップSP6に移る。
【0321】
よってステップSP6において主制御部20は、顧客により、少なくともカード挿入排出口8にカードが挿入されることを待ち受ける。
【0322】
そしてステップSP6において主制御部20は、顧客によりカード挿入排出口8にのみカードが挿入され、又はカード挿入排出口8にカードが挿入されると共に通帳挿入排出口9に通帳も挿入されると、次のステップSP7に移る。
【0323】
ステップSP7において主制御部20は、表示部7に対しカード挿入案内画像に換えて項目選択案内画像を表示することにより、その項目選択案内画像により顧客に取引項目の選択を促して、次のステップSP8に移る。
【0324】
よってステップSP8において主制御部20は、顧客により入力部6において特定の操作キー40が押下操作されて取引項目が選択されることを待ち受ける。
【0325】
そしてステップSP8において主制御部20は、顧客により入力部6を介して取引項目が選択されると、次のステップSP9に移る。
【0326】
ステップSP9において主制御部20は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されたか否かを判別する。
【0327】
このステップSP9において肯定結果が得られると、このことは、このとき顧客が暗証番号の入力が必要な紙幣の出金のために訪れていたことを表している。
【0328】
ステップSP9において主制御部20は、係る肯定結果を得ると、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱を継続させたまま、次のステップSP10に移る。
【0329】
ステップSP10において主制御部20は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて暗証番号入力案内画像を表示することにより、当該暗証番号入力案内画像により顧客に暗証番号の入力を促して、次のステップSP11に移る。
【0330】
ステップSP11において主制御部20は、顧客により入力部6において複数の番号入力用操作キー40の何れかが順に押下操作されて暗証番号が入力されることを待ち受ける。
【0331】
そしてステップSP11において主制御部20は、顧客により入力部6において加熱した状態の複数の番号入力用操作キー40の何れかが順に押下操作されて暗証番号が入力されると、次のステップSP12に移る。
【0332】
これによりステップSP12において主制御部20は、上述したように認証装置に認証処理を実行するように依頼した後、表示部7に対し暗証番号入力案内画像に換えて紙幣の出金処理に応じた金額指定案内画像や出金処理中案内画像等の取引手順案内画像を順次表示する。
【0333】
そして主制御部20は、顧客に出金の紙幣を受け取らせると共に、カードや、通帳又は取引明細書を受け取らせると、次のステップSP13に移る。
【0334】
ステップSP13において主制御部20は、顧客が現金自動預払機1の前から離れることを待ち受ける。
【0335】
そしてステップSP13において主制御部20は、近接センサ23から与えられるセンサ出力信号のレベルに基づき、顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、次のステップSP14に移る。
【0336】
よってステップSP14において主制御部20は、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を指示して、次のステップSP2に移る。
【0337】
ここで、ステップSP23において複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始していた温度制御部63は、次のステップSP24において主制御部20から複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されることを待ち受けている。
【0338】
そしてステップSP24において温度制御部63は、主制御部20から、出金用の紙幣を受け取った顧客が現金自動預払機1の前から離れたことで、複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されると、次のステップSP25に移る。
【0339】
よってステップSP25において温度制御部63は、複数の発熱素子51A乃至51Jに対する規定電流値の発熱制御電流の供給を停止して、当該複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱を停止させる。
【0340】
これにより温度制御部63は、複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了して、次のステップSP22に移る。
【0341】
ところで、上述のステップSP9において否定結果が得られると、このことは、このとき顧客が暗証番号の入力が必要のない紙幣の入金のために訪れていたことを表している。ステップSP9において主制御部20は、係る否定結果を得ると、ステップSP15に移る。
【0342】
そしてステップSP15において主制御部20は、この際の取引に暗証番号の入力は必要ないため、温度制御部63に複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を指示して、次のステップSP16に移る。
【0343】
このときステップSP24において温度制御部63は、この際の取引に暗証番号の入力は必要ないことで主制御部20から指示された複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了を受け付けて、次のステップSP25に移る。
【0344】
よってステップSP25において温度制御部63は、上述と同様に複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了して、次のステップSP22に移る。
【0345】
またステップSP16において主制御部20は、この場合、上述したように表示部7に対し項目選択案内画像に換えて紙幣の入金処理に応じた紙幣投入案内画像や計数中案内画像等の取引手順案内画像を順次表示する。
【0346】
そして主制御部20は、紙幣の入金が終了して顧客にカードや、通帳又は取引明細書を受け取らせると、次のステップSP17に移る。
【0347】
これによりステップSP17において主制御部20は、顧客が現金自動預払機1の前から離れることを待ち受け、近接センサ23から与えられるセンサ出力信号のレベルに基づき、顧客が現金自動預払機1の前から離れたことを検出すると、ステップSP2に移る。
【0348】
そして主制御部20は、ステップSP2において再び否定結果を得ると、ステップSP1に戻る。このようにして主制御部20は、この後、ステップSP2において肯定結果を得るまでの間、顧客が取引のために訪れる毎にステップSP1乃至ステップSP17の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0349】
また温度制御部63は、ステップSP25の処理を実行した後、ステップSP22に移って再び否定結果を得ると、ステップSP21に戻る。
【0350】
よって温度制御部63は、この後、ステップSP22において肯定結果を得るまでの間、顧客が取引のために訪れる毎に主制御部20の指示に応じてステップSP21乃至ステップSP25の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0351】
このようにして主制御部20及び温度制御部63は、顧客が出金の取引のために訪れる毎に、複数の番号入力用操作キー40を加熱して各々の操作面40A全体を手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇させた状態で、当該複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させることができる。
【0352】
ところで、上述したステップSP2において肯定結果が得られると、このことは外部から作業者により取引業務の終了やメンテナンスの実施に応じて動作の停止が指示されたことを表している。
【0353】
ステップSP2において主制御部20は、係る肯定結果を得ると、例えば、温度制御部63に動作の停止を指示した後、次のステップSP18に移って第1取引案内処理手順RT1を収納する。
【0354】
また上述したステップSP22において肯定結果が得られると、このことは主制御部20から自身の動作の停止に応じて温度制御部63も動作を停止させるように指示されたことを表している。
【0355】
ステップSP22において温度制御部63は、係る肯定結果を得ると、次のステップSP26に移って第1温度変化処理手順RT2を終了する。
【0356】
このようにして主制御部20及び温度制御部63は、第1取引案内処理手順RT1及び第1温度変化処理手順RT2からなる第1暗証番号入力処理手順を全て終了する。
【0357】
(1−6)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機1では、暗証番号の入力に用いられる押下操作可能な番号入力用操作キー40を有する入力部6に、当該複数の番号入力用操作キー40を加熱するための複数の発熱素子51A乃至51Jを設けるようにした。
【0358】
そして現金自動預払機1は、顧客により暗証番号が入力される際、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱することにより、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40A全体をそれぞれ手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇させる。
【0359】
従って現金自動預払機1は、顧客により暗証番号の入力用に複数の番号入力用操作キー40が順に押下操作されても、手の指先が接触した操作面40Aの温度をほとんど変化させずに、手の指先が接触していない操作面40Aの温度と等しくすることができる。
【0360】
よって現金自動預払機1は、顧客により暗証番号の入力用に複数の番号入力用操作キー40が順に押下操作された際に、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が検出されたとしても、その検出した操作面40Aの温度では、押下操作された番号入力用操作キー40を判別し得なくすることができる。
【0361】
以上の構成によれば、現金自動預払機1は、暗証番号の入力に用いられる押下操作可能な番号入力用操作キー40を有する入力部6に複数の発熱素子51A乃至51Jを設け、顧客により暗証番号が入力される際、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱して、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度をそれぞれ手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇させるようにした。
【0362】
これにより現金自動預払機1は、顧客により暗証番号の入力用に複数の番号入力用操作キー40が順に押下操作された際に、第三者によりサーモグラフィが用いられて例えば、顧客の肩ごしに複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が検出されたとしても、その検出した操作面40Aの温度では、押下操作された番号入力用操作キー40を判別し得なくすることができる。よって現金自動預払機1は、サーモグラフィを用いる暗証番号の不正な取得を防止することができる。
【0363】
また現金自動預払機1は、近接センサ23を介して、顧客が当該現金自動預払機1に近づいて入力部6と対峙したことを検出すると、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するようにした。
【0364】
そして現金自動預払機1は、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始してから、表示部7に表示する取引手順案内画像を介して顧客に取引手順を確認させながら、カードを挿入させ、次いで取引項目を選択させた後、暗証番号を入力させるようにした。
【0365】
従って現金自動預払機1は、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始してから暗証番号を入力させるまでに、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を目標温度まで上昇可能な加熱時間を確保することができる。
【0366】
すなわち、現金自動預払機1は、紙幣の出金のために訪れた顧客を暗証番号の入力前に、複数の番号入力用操作キー40の加熱のために無駄に待たせることなく、取引に必要な手順を順に踏ませながら、その間に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を目標温度まで上昇させることができる。
【0367】
さらに現金自動預払機1は、顧客により暗証番号が入力される際に複数の番号入力用操作キー40を加熱して、近接センサ23を介して、出金用の紙幣を受け取った顧客が当該現金自動預払機1の前から離れたことを検出するまでのように暗証番号の入力後もある程度の時間、当該複数の番号入力用操作キー40を継続して加熱するようにした。
【0368】
従って現金自動預払機1は、顧客により複数の番号入力用操作キー40が順に押下操作されて暗証番号が入力された際に、当該押下操作された番号入力用操作キー40の操作面40Aにおいて仮に手の指先の接触部分の温度が僅かに変化したとしても、その温度の変化を速やかに変化前の状態に戻すようにして打ち消すことができる。
【0369】
そして現金自動預払機1は、係る構成により、例えば、暗証番号を入力した顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れた直後に、第三者がサーモグラフィを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出するような場合、その検出した操作面40Aの温度では押下操作された番号入力用操作キー40をほぼ確実に判別し得なくして暗証番号の不正な取得を防止することができる。
【0370】
さらに現金自動預払機1は、顧客が入力部6と対峙したことに応じて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するものの、その後、顧客により取引項目として暗証番号の入力を必要としない紙幣の入金が選択されると、その時点に複数の番号入力用操作キー40の加熱を終了するようにした。
【0371】
従って現金自動預払機1は、顧客が入力部6と対峙したことに応じて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始しても、その顧客によって紙幣の入金が選択された場合には、その後に複数の番号入力用操作キー40を無駄に加熱して消費電力が増大することを防止することができる。
【0372】
(2)第2の実施の形態
(2−1)現金自動預払機の外観構成
図1との対応部分に同一符号を付した図9は、第2の実施の形態による現金自動預払機70を示す。第2の実施の形態による現金自動預払機70は、例えば、預払機筐体2の一部を建物の外壁に埋め込むようにして街頭に設置されている。
【0373】
すなわち、第2の実施の形態による現金自動預払機70は、屋内に比べて周囲の温度の変化が大きい街頭に設置されている。
【0374】
このため第2の実施の形態による現金自動預払機70には、後述するように、第1の実施の形態による入力部6とは内部構成の異なる入力部71が設けられている。
【0375】
ただし、第2の実施の形態による現金自動預払機70は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と同様の外観構成を有している。よって第2の実施の形態による現金自動預払機70の外観構成については、説明を省略する。
【0376】
(2−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、図2との対応部分に同一符号を付した図10を用いて、第2の実施の形態による現金自動預払機70の内部構成について説明する。
【0377】
図10に示すように、現金自動預払機70は、第1の実施の形態による入力部6とは異なる入力部71が設けられた構成と、第1の実施の形態による主制御部20とは一部異なる処理を実行する主制御部72が設けられた構成とを除いて、第1の実施の形態による現金自動預払機1と同様の内部構成を有している。
【0378】
この場合、主制御部72は、紙幣を出金及び入金する際、紙幣処理ユニット25を制御することにより、第1の実施の形態で上述した出金処理及び入金処理と同様な出金処理及び入金処理を実行している。
【0379】
また主制御部72は、紙幣を補充及び回収する際、紙幣処理ユニット25を制御することにより、第1の実施の形態で上述した補充処理及び回収処理と同様な補充処理及び回収処理を実行している。
【0380】
ただし、主制御部72は、動作中に、内部のメモリに予め記憶されている第2取引案内処理プログラムに従ってネットワークインタフェース21、入力部71、表示部7、スピーカ22及び近接センサ23を制御することにより、第1の実施の形態で上述した第1取引案内処理と一部異なる第2取引案内処理を実行している。
【0381】
すなわち、主制御部72は、第2取引案内処理の実行中、第1取引案内処理と同様に、顧客が訪れる毎に取引の手順を同一の順番で案内している。
【0382】
また主制御部72は、第2取引案内処理の実行中、第1取引案内処理と同様に、顧客が訪れる毎に、入力部71を制御して複数の番号入力用操作キー40を加熱させている。
【0383】
ただし、複数の番号入力用操作キー40は、現金自動預払機70の周囲の温度である外気温が真冬の冷え込み等によって比較的低い場合、加熱前には操作面40Aの温度が、その影響を受けて一様に比較的低くなる。
【0384】
そして入力部71では、例えば、複数の番号入力用操作キー40を加熱するために、複数の発熱素子51A乃至51Jを、一定の電流値の発熱制御電流を供給し続けて発熱させると、加熱開始時点の操作面40Aの温度が目標温度に比して低いほど、加熱の開始から操作面40Aの温度を目標温度へ上昇させるまでの加熱時間が長くなる。
【0385】
このため主制御部72は、第2取引案内処理の実行中、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されると、第1取引案内処理とは一部異なる処理として、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇しているか確認し、そのうえで暗証番号を入力させている。
【0386】
実際に主制御部72は、表示部7に取引項目案内画像を表示し、顧客により入力部6の操作キーが押下操作されて取引項目として紙幣の出金が選択されると、入力部71に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aにおける温度の変化の状況(以下、これを温度変化状況とも呼ぶ)を問い合わせる。
【0387】
入力部71は、後述するように主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあると、これら複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出する。
【0388】
そして入力部71は、複数の番号入力用操作キー40の全てにおいて操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していると、主制御部72に操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していることを通知する。
【0389】
また主制御部72は、入力部71から複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したこと通知されると、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、表示部7に項目選択案内画像データに換えて暗証番号入力案内画像データを送出する。
【0390】
これにより主制御部72は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて暗証番号入力案内画像を表示して顧客に暗証番号の入力を促す。
【0391】
ただし、入力部71は、主制御部72からの温度変化状況の問い合わせに応じて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出した結果、当該複数の番号入力用操作キー40の少なくとも1個以上において操作面40Aの温度が目標温度よりも低いと、主制御部72に操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことを通知する。
【0392】
そして主制御部72は、入力部71から複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことが通知されると、項目選択案内画像データに換えて、内部のメモリに予め記憶している複数の取引手順案内画像データのうち例えば、現金自動預払機70の前(すなわち、入力部71の前)で待機するように促すための取引手順案内画像の取引手順案内画像データを表示部7に送出する。
【0393】
因みに、以下の説明では、現金自動預払機70の前で待機するように促すための取引手順案内画像を、待機案内画像とも呼び、当該待機案内画像の取引手順案内画像データを、待機案内画像データとも呼ぶ。
【0394】
これにより主制御部72は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて、待機案内画像データに基づき例えば、「しばらくそのままでお待ちください」というような案内文を有する待機案内画像を表示して顧客に現金自動預払機70の前で待機するように促す。
【0395】
また主制御部72は、入力部71から複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことが通知されると、その時点から所定時間(例えば、数[msec]程度の時間)後に、再び入力部71に対し温度変化状況を問い合わせる。
【0396】
よって入力部71は、主制御部72から再び、温度変化状況の問い合わせがあると、上述と同様に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出する。
【0397】
そして入力部71は、その検出結果に応じて、主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないこと、又は当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していることを通知する。
【0398】
また主制御部72は、入力部71に再び温度変化状況を問い合わせた結果、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことが通知されると、表示部7に対する待機案内画像の表示を継続する。
【0399】
そして主制御部72は、入力部71から複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことが通知された時点から所定時間後に、再度、入力部71に対し温度変化状況を問い合わせる。
【0400】
このようにして主制御部72は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択された時点の入力部71に対する温度変化状況の問い合わせで、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないことが通知されると、その後、入力部71から当該操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したことが通知されるまで、入力部71に対して定期的に温度変化状況を問い合わせる。
【0401】
また入力部71は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあると、その都度、上述と同様に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出して、その検出結果に応じて主制御部72に返答する。
【0402】
そして主制御部72は、入力部71に対する何度目かの温度変化状況の問い合わせで、当該入力部71から複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したことが通知されると、表示部7に待機案内画像データに換えて暗証番号入力案内画像データを送出する。
【0403】
これにより主制御部72は、表示部7に対し待機案内画像に換えて暗証番号入力案内画像を表示して顧客に暗証番号の入力を促す。
【0404】
このようにして主制御部72は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択された場合、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が全て目標温度まで上昇してから、これら複数の番号入力用操作キー40を、操作面40Aに手の指先を接触させるようにして順に押下操作させて暗証番号を入力させている。
【0405】
これにより主制御部72は、複数の番号入力用操作キー40を加熱して操作面40Aの温度が目標温度まで上昇するのに比較的時間を要する場合でも、操作面40Aの温度が目標温度よりも低いまま暗証番号の入力用に複数の番号入力用操作キー40が押下操作されて、当該操作面40Aの温度に手の指先の接触による著しい変化が生じることを防止している。
【0406】
また主制御部72は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されたときに複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないと、入力部71に対し格段的に短い周期で温度変化状況を問い合わせている。
【0407】
よって主制御部72は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したときに、直ちに入力部71に対し当該操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したことを検出させて通知させると共に、その通知に応じて表示部7に対する表示を待機案内画像から暗証番号入力案内画へ切り換えることができる。
【0408】
このように主制御部72は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されたときに複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないと、顧客を待機させるものの、その待機の時間を、入力部71に最初に温度変化状況を問い合わせたときから、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度へ上昇するまでの時間とほぼ等しくすることができる。
【0409】
言い換えると、主制御部72は、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇したにも関わらず、その後も顧客に暗証番号を入力させずに無駄に待機させることを回避することができる。
【0410】
(2−3)入力部の外観構成及び内部構成
入力部71は、上述したように第1の実施の形態による入力部6(図3)とは内部構成のみが異なり、当該第1の実施の形態による入力部6と同様の外観構成を有している。
【0411】
よって第2の実施の形態による入力部71の外観構成については、図3について上述した第1の実施の形態による入力部6の外観構成を参照することとし、説明を省略する。
【0412】
従って、以下には、図4との対応部分に同一符号を付した図11を用いて入力部71の内部構成について説明する。
【0413】
図11に示すように、入力部71において操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bは、それぞれ基板配置用凹部46BY内の中央部に発熱用配線基板75が配置されている。
【0414】
そして複数の発熱用配線基板75は、それぞれ一面の中央部に発熱素子51A乃至51Jが実装され、当該発熱素子51A乃至51Jの表面を、対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bの中央部に接触させている。
【0415】
また複数の発熱用配線基板75は、それぞれ一面の例えば、縁部の所定位置に表面実装部品として、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出するためのサーミスタでなる温度センサ76A乃至76Jが実装されている。
【0416】
さらに複数の発熱用配線基板75は、それぞれ例えば、一面の縁部の所定位置に発熱基板側コネクタ52が実装されている。
【0417】
そして複数の発熱用配線基板75は、それぞれ一面に導電線(図示せず)が所定パターンで形成されている。
【0418】
これにより複数の発熱用配線基板75では、それぞれ発熱素子51A乃至51Jが発熱基板側コネクタ52と導電線を介して電気的に接続されると共に、温度センサ76A乃至76Jも発熱基板側コネクタ52と導電線を介して電気的に接続されている。
【0419】
また入力用配線基板77の一面には、表面実装部品として、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱する例えば、マイクロコンピュータ構成の加熱処理部78が実装されている。
【0420】
そして入力用配線基板77において加熱処理部78は、当該入力用配線基板77に所定パターンで形成された導電線(図示せず)を介して入力基板側コネクタ53と電気的に接続されている。
【0421】
因みに、入力用配線基板77は、第1の実施の形態による入力部6の加熱処理部54とは回路構成の異なる加熱処理部78が実装された点を除いて、第1の実施の形態による入力部6の入力用配線基板43と同様に構成されている。
【0422】
さらに複数の入力基板側コネクタ53は、第1の実施の形態による入力部6の場合と同様に、それぞれ接続ケーブル55を介して、対応する発熱用配線基板75の発熱基板側コネクタ52と機械的及び電気的に接続されている。
【0423】
これにより入力部71において加熱処理部78は、複数の入力基板側コネクタ53、複数の接続ケーブル55及び複数の発熱基板側コネクタ52を順次介して複数の発熱素子51A乃至51J及び複数の温度センサ76A乃至76Jに電気的に接続されている。
【0424】
そして入力部71において加熱処理部78は、顧客により暗証番号が入力される際、主制御部72の制御のもと、複数の発熱素子51A乃至51Jに対し規定電流値の発熱制御電流を供給して発熱させることにより複数の番号入力用操作キー40を加熱する。
【0425】
また加熱処理部78は、複数の番号入力用操作キー40の加熱中、上述したように主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあると、その都度、複数の温度センサ76A乃至76Jを介して複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出する。
【0426】
そして加熱処理部78は、その検出結果に基づき、主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していないこと、又は当該複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇していることを通知する。
【0427】
ただし、加熱処理部78は、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出した際、当該検出した温度が目標温度よりも低いと、複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する発熱制御電流の電流値を規定電流値よりも大きくする。
【0428】
これにより加熱処理部78は、複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大させて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aに対する温度の上昇を加速させる。
【0429】
よって加熱処理部78は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が一様に比較的低い場合でも、当該複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度を目標温度まで極力短い時間で上昇させている。
【0430】
また加熱処理部78は、複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する発熱制御電流の電流値を規定電流値よりも大きくした場合、複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇すると、当該複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する発熱制御電流の電流値をもとの規定電流値に戻す。
【0431】
これにより加熱処理部78は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度を目標温度のままほぼ一定にして、手の指先の温度との差が著しく増大することを防止している。
【0432】
従って加熱処理部78は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40Aの温度が目標温度まで上昇すると、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、当該複数の番号入力用操作キー40を、目標温度の操作面40Aに手の指先を接触させるようにして押下操作させて暗証番号を入力させることができる。
【0433】
よって加熱処理部78は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、顧客により複数の番号入力用操作キー40の何れかが順に押下操作されて暗証番号が入力されても、この際、押下操作された番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が、押下操作されなかった番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度と異なるように変化することを防止することができる。
【0434】
このため加熱処理部78は、顧客により暗証番号が入力された際、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度が検出されたとしても、暗証番号の入力用に押下操作された番号入力用操作キー40や、当該番号入力用操作キー40の押下操作の順番を特定し得なくすることができる。
【0435】
(2−4)温度変化部の構成
次いで、図12を用いて、顧客により複数の番号入力用操作キー40が押下操作されて暗証番号が入力される際、入力部71において複数の発熱素子51A乃至51Jを介して複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を変化させてほぼ等しくするための、複数の発熱素子51A乃至51J、加熱処理部78及び複数の温度センサ76A乃至76Jからなる温度変化部79の構成について具体的に説明する。
【0436】
この場合、加熱処理部78には、複数の温度センサ76A乃至76Jに対応させて(すなわち、複数の番号入力用操作キー40に対応させて)、当該複数の温度センサ76A乃至76Jの個数と同数のアナログデジタル変換回路80A乃至80Jが設けられている。
【0437】
また加熱処理部78には、複数の温度センサ76A乃至76Jの温度検出信号に基づいて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの実際の温度(以下,これを操作面実温度とも呼ぶ)を検出し、当該検出した操作面実温度を目標温度と比較する温度検出比較回路81も設けられている。
【0438】
さらに加熱処理部78には、温度検出比較回路81により操作面実温度を検出し比較する処理(以下、これを温度検出比較処理とも呼ぶ)に用いられる温度情報を保持する温度情報保持部82も設けられている。
【0439】
さらに加熱処理部78には、複数の発熱素子51A乃至51Jに対応させて(すなわち、複数の番号入力用操作キー40に対応させて)、当該複数の発熱素子51A乃至51Jの個数と同数の電流値設定回路83A乃至83J及びデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jも設けられている。
【0440】
さらにまた加熱処理部78には、主制御部72の制御のもと、加熱処理部78全体を統括制御する温度制御部85も設けられている。
【0441】
そして温度制御部85は、例えば、内部のメモリに予め記憶されている第2温度変化処理プログラムに従い、複数の電流値設定回路83A乃至83J及び複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84J等の各ブロックを制御することにより第2温度変化処理を実行する。
【0442】
ここで、複数の温度センサ76A乃至76Jは、例えば、入力部71が動作している間、温度を検出して、当該検出した温度に応じた電流値の温度検出信号を出力している。
【0443】
この場合、複数の温度センサ76A乃至76Jは、図11からも明らかなように、それぞれ温度の検出精度が現金自動預払機70の周囲の温度の影響を受けて低下しないように、番号入力用操作キー40のキー下面40Bによって閉塞される番号入力用押子46Bの基板配置用凹部46BY内に配置されている。
【0444】
しかしながら、複数の温度センサ76A乃至76Jは、それぞれ対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bから離隔されており、当該番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を直接は検出していない。
【0445】
このため温度情報保持部82は、温度情報として例えば、温度センサ76A乃至76J毎に、当該温度センサ76A乃至76Jの検出した温度をもとに、対応する番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出するためのデータテーブルを予め保持している。また温度情報保持部82は、温度情報として、目標温度を示す目標温度情報も予め保持している。
【0446】
因みに、以下の説明では、温度センサ76A乃至76Jの検出した温度をもとに、対応する番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出するためのデータテーブルを、温度検出テーブルとも呼ぶ。
【0447】
なお、温度センサ76A乃至76J毎の温度検出テーブルは、温度センサ76A乃至76Jの検出した種々の温度と、対応する番号入力用操作キー40の操作面実温度とを対応付けるようにして生成されている。
【0448】
これに加えて入力部71では、例えば、番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度よりも低い場合に生じると想定される、当該操作面実温度及び目標温度の温度差が複数の範囲(以下、これらをそれぞれ温度差範囲とも呼ぶ)に区分されている。
【0449】
また入力部71では、その温度差範囲毎に、当該温度差範囲内の温度差に応じて、発熱素子51A乃至51Jの発熱用の、規定電流値とは異なる電流値(以下、これを可変電流値とも呼ぶ)が予め選定されている。
【0450】
因みに、温度差範囲毎の可変電流値は、例えば、当該温度差範囲内の温度差が大きいほど、発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増加させ得るように大きな値に選定されている。
【0451】
そして複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、規定電流値を予め保持すると共に、複数の温度差範囲及び複数の可変電流値を対応付けて予め保持している。
【0452】
加熱処理部78において温度制御部85は、係る構成のもと、第2温度変化処理を実行すると、主制御部72から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されることを待ち受ける。
【0453】
そして温度制御部85は、主制御部72から複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始が指示されると、これに応じて複数の電流値設定回路83A乃至83J及びデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jを動作させる。
【0454】
この際、複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、それぞれ対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値を、予め保持している規定電流値に初期設定する。
【0455】
これにより複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、初期設定した規定電流値をもとに、その規定電流値に応じたレベルの発熱制御データを生成して、当該生成した発熱制御データを、対応するデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jに送出する。
【0456】
また複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jは、対応する電流値設定回路83A乃至83Jから与えられた発熱制御データをデジタルアナログ変換処理することにより、規定電流値の発熱制御電流を生成して、当該生成した発熱制御電流を対応する発熱素子51A乃至51Jに供給する。
【0457】
これにより温度制御部85は、複数の発熱素子51A乃至51Jをそれぞれ規定電流値の発熱制御電流によって発熱させると共に、当該複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱によって複数の番号入力用操作キー40を加熱する。
【0458】
そして温度制御部85は、主制御部72から、複数の番号入力用操作キー40の加熱中に温度変化状況の問い合わせがあると、その都度、複数のアナログデジタル変換回路80A乃至80J、温度検出比較回路81及び温度情報保持部82を追加で動作させる。
【0459】
複数のアナログデジタル変換回路80A乃至80Jは、温度変化状況の問い合わせに応じて動作すると、それぞれ対応する温度センサ76A乃至76Jから出力された温度検出信号を取り込んでアナログデジタル変換処理することにより、当該温度センサ76A乃至76Jによって検出された温度に応じたレベルの検出温度データを生成する。
【0460】
また温度検出比較回路81は、温度変化状況の問い合わせに応じて動作すると、複数の番号入力用操作キー40それぞれに対する温度検出比較処理を時分割で実行するようにして、当該温度検出比較処理を実行する毎に、複数のアナログデジタル変換回路80A乃至80Jのうちの1個から検出温度データを順に取り込む。
【0461】
温度検出比較回路81は、温度検出比較処理を実行して何れか1個のアナログデジタル変換回路80A乃至80Jから検出温度データを取り込むと、その検出温度データと、温度情報保持部82が保持している、対応する温度検出テーブルとに基づき、番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出する。
【0462】
また温度検出比較回路81は、その検出した操作面実温度を、温度情報保持部82が目標温度情報として保持している目標温度と比較する。
【0463】
その結果、温度検出比較回路81は、操作面実温度が目標温度よりも低いと、番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度の上昇を加速させる必要があるため、目標温度から操作面温度を減算するようにして温度差(すなわち、操作面実温度と目標温度との温度差)を検出する。
【0464】
そして温度検出比較回路81は、その検出した温度差を示す温度差データを、対応する電流値設定回路83A乃至83Jに送出すると共に、温度制御部85にも送出する。
【0465】
ただし、温度検出比較回路81は、操作面実温度と目標温度とを比較した結果、当該操作面実温度が目標温度以上であると、番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度の上昇を加速させる必要はないため、温度差として0℃を示す温度差データを生成して、対応する電流値設定回路83A乃至83Jに送出すると共に、温度制御部85にも送出する。
【0466】
このようにして温度検出比較回路81は、温度検出比較処理を順次実行する毎に、対応する1個のアナログデジタル変換回路80A乃至80Jから検出温度データを取り込んで温度差データを生成して、対応する1個の電流値設定回路83A乃至83Jに送出すると共に、温度制御部85に送出する。
【0467】
複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、温度変化状況の問い合わせに応じて動作している温度検出比較回路81から温度差データが与えられると、その温度差データに基づき、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値を適宜設定し直す。
【0468】
すなわち、電流値設定回路83A乃至83Jは、温度差データが示す温度差が0℃よりも大きいと、その温度差が含まれる温度差範囲を特定して、当該特定した温度差範囲に対応する可変電流値を検出する。
【0469】
そして複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、この際、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値が、初期設定していた規定電流値であると、当該設定電流値を、規定電流値に換えて、このとき検出した可変電流値に設定し直す。
【0470】
また複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、この際、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値が、すでに設定し直していた可変電流値であると、当該すでに設定し直していた可変電流値と、このとき検出した可変電流値とを比較する。
【0471】
その結果、複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、すでに設定し直していた可変電流値と、このとき検出した可変電流値とが異なると、設定電流値を、当該すでに設定し直していた可変電流値に換えて、このとき検出した可変電流値を設定し直す。
【0472】
これに対し複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、すでに設定し直していた可変電流値と、このとき検出した可変電流値とが同一であると、設定電流値を、当該すでに設定し直していた可変電流値のままにして設定の変更は行わない。
【0473】
また複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、温度検出比較回路81から与えられた温度差データが示す温度差が0℃であり、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値がすでに設定し直していた可変電流値であると、当該設定電流値を、すでに設定し直していた可変電流値に換えて、規定電流値に設定し直す。
【0474】
さらに複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、温度検出比較回路81から与えられた温度差データが示す温度差が0℃であり、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値が初期設定していた規定電流値であると、当該設定電流値を、初期設定していた規定電流値のままにして設定の変更は行わない。
【0475】
このようにして複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値を設定し直した場合は、設定変更後の可変電流値又は規定電流値に応じたレベルの発熱制御データを生成する。
【0476】
また複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させるための発熱制御電流の設定電流値を設定変更していない場合は、その設定変更していない可変電流値又は規定電流値に応じたレベルの発熱制御データを生成する。
【0477】
そして複数の電流値設定回路83A乃至83Jは、このようにして生成し発熱制御データを、対応するデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jに送出する。
【0478】
よって複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jは、この際、対応する電流値設定回路83A乃至83Jから与えられた発熱制御データを上述と同様にデジタルアナログ変換処理することにより、可変電流値又は規定電流値の発熱制御電流を生成する。
【0479】
そして複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jは、可変電流値又は規定電流値の発熱制御電流を、対応する発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱させて複数の番号入力用操作キー40を加熱させる。
【0480】
このようにして温度制御部85は、複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jから可変電流値の発熱制御電流を、対応する発熱素子51A乃至51Jに供給した場合、規定電流値の発熱制御電流を供給する場合に比して発熱量を増大させて、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度の上昇を加速させることができる。
【0481】
また温度制御部85は、この際、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度に比して低いほど、複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jから可変電流値の大きい発熱制御電流を、対応する発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱量を大幅に増大させることで、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度の上昇を大幅に加速させることができる。
【0482】
これに対し温度制御部85は、複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jから規定電流値の発熱制御電流を、対応する発熱素子51A乃至51Jに供給した場合に、複数の番号入力用操作キー40において操作面実温度がすでに目標温度まで上昇していると、当該操作面実温度を目標温度のままほぼ一定にすることができる。
【0483】
また温度制御部85は、複数のデジタルアナログ変換回路84A乃至84Jから規定電流値の発熱制御電流を、対応する発熱素子51A乃至51Jに供給した場合に、複数の番号入力用操作キー40において操作面実温度が目標温度を僅かに上回っていると、当該操作面実温度を目標温度に収束させることができる。
【0484】
ところで、温度制御部85は、温度変化状況の問い合わせに応じて動作させた温度検出比較回路81から例えば、複数の番号入力用操作キー40分の温度差データが与えられると、これら温度差データに基づいて、少なくとも1個以上の番号入力用操作キー40において操作面実温度が目標温度よりも低いかを判別する。
【0485】
その結果、温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40の少なくとも1個以上において操作面実温度が目標温度よりも低いと、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していないことを通知する。
【0486】
また温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40の全てにおいて操作面実温度が目標温度まで上昇していると、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していることを通知する。
【0487】
このようにして温度制御部85は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面実温度に応じて、当該複数の番号入力用操作キー40を加熱するための複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を適宜変更して、操作面実温度を目標温度まで上昇させるための加熱に要する時間を極力短くすることができる。
【0488】
また温度制御部85は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、当該主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度の変化の状況を通知して把握させることができる。
【0489】
(2−5)第2暗証番号入力処理手順
次いで、図7(A)及び(B)並びに図8(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図13(A)及び(B)乃至図15(A)及び(B)に示すフローチャートを用いて、主制御部72が実行する第2取引案内処理手順RT3及び温度制御部85が実行する第2温度変化処理手順RT4からなる第2暗証番号入力処理手順について説明する。
【0490】
主制御部72は、例えば、外部から作業者により取引業務の開始やメンテナンスの完了に応じて起動が指示されて起動すると、内部のメモリに予め記憶されている第2取引案内処理プログラムに従い図13(A)乃至図15(A)に示す第2取引案内処理手順RT3を開始する。
【0491】
主制御部72は、係る第2取引案内処理手順RT3を開始すると、ステップSP1乃至ステップSP9の処理を順次実行する。
【0492】
そしてステップSP9において主制御部72は、顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されたことで、肯定結果を得ると、次のステップSP31に移る。
【0493】
ステップSP31において主制御部72は、温度制御部85に複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aにおける温度変化状況を問い合わせて、次のステップSP32に移る。
【0494】
ここで、温度制御部85は、例えば、主制御部72から起動が指示されて起動すると、内部のメモリに予め記憶されている第2温度変化処理プログラムに従い図13(B)乃至図15(B)に示す第2温度変化処理手順RT4を開始している。
【0495】
温度制御部85は、係る第2温度変化処理手順RT4を開始すると、ステップSP21乃至ステップSP23の処理を順次実行して、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始した後、ステップSP41に移る。
【0496】
ステップSP41において温度制御部85は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあったか否かを判別する。
【0497】
このステップSP41において否定結果が得られると、このことは、例えば、取引のために訪れた顧客により未だ取引項目が選択されていないことを表している。ステップSP41において温度制御部85は、係る否定結果を得ると、ステップSP24に移る。そしてステップSP24において温度制御部85は、否定結果を得ると、ステップSP41に戻る。
【0498】
これにより温度制御部85は、この後、ステップSP41及びステップSP24の何れかにおいて肯定結果を得るまでの間、当該ステップSP41及びステップSP24の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0499】
このようにして温度制御部85は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあること、また当該主制御部72から複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されることを待ち受ける。
【0500】
そしてステップSP41において肯定結果が得られると、このことは取引のために訪れた顧客により取引項目として紙幣の出金が選択されたため、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあったことを表している。ステップSP41において温度制御部85は、係る肯定結果を得ると、次のステップSP42に移る。
【0501】
ステップSP42において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面実温度を検出すると共に、当該検出した操作面実温度を目標温度と比較して、次のステップSP43に移る。
【0502】
ステップSP43において温度制御部85は、操作面実温度と目標温度との比較結果に応じて、番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度よりも低い場合は、規定電流値よりも大きい可変電流値の発熱制御電流で、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させる。
【0503】
また温度制御部85は、操作面実温度と目標温度との比較結果に応じて、番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度以上の場合は、規定電流値の発熱制御電流で、対応する発熱素子51A乃至51Jを発熱させて、次のステップSP44に移る。
【0504】
ステップSP44において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40分の操作面実温度と目標温度との比較結果に応じて、少なくとも1個以上の番号入力用操作キー40において操作面実温度が目標温度よりも低いか否かを判別する。
【0505】
このステップSP44において肯定結果が得られると、このことは複数の番号入力用操作キー40の中に未だ操作面実温度が目標温度まで上昇していないものがあることを表している。ステップSP44において温度制御部85は、係る肯定結果を得ると、次のステップSP45に移る。
【0506】
これによりステップSP45において温度制御部85は、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していないことを通知した後、ステップSP41に戻る。
【0507】
またステップSP44において否定結果が得られると、このことは複数の番号入力用操作キー40の全てにおいて操作面実温度が目標温度まで上昇していることを表している。ステップSP44において温度制御部85は、係る否定結果を得ると、ステップSP46に移る。
【0508】
これによりステップSP46において温度制御部85は、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していることを通知した後、ステップSP41に戻る。
【0509】
このようにして温度制御部85は、この後、主制御部72により複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されるまでの間は、当該主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、ステップSP41乃至ステップSP46の処理を循環的に繰り返し実行して、主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したか否かを通知する。
【0510】
そしてステップSP24において温度制御部85は、主制御部72により複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されて肯定結果を得ると、次のステップSP25の処理を実行した後、ステップSP22に移る。
【0511】
またステップSP22において温度制御部85は、例えば、主制御部72により動作を停止させるように指示されて肯定結果を得ると、次のステップSP47に移って第2温度変化処理手順RT4を終了する。
【0512】
ところで、上述のステップSP32において主制御部72は、温度制御部85から温度変化状況の問い合わせに応じた通知を受ける。
【0513】
そして主制御部72は、その通知が複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したことの通知であるか否かを判別する。
【0514】
このステップSP32において否定結果が得られると、このことは、未だ少なくとも1個以上の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇していないため、この状態で顧客に暗証番号を入力させると、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が検出された場合に暗証番号が不正に取得される可能性があることを表している。ステップSP32において主制御部72は、係る否定結果を得ると、ステップSP33に移る。
【0515】
よってステップSP33において主制御部72は、表示部7に対し項目選択案内画像に換えて待機案内画像を表示することにより、その待機案内画像により顧客に現金自動預払機70の前で待機するように促して、暗証番号は未だ入力させずに、ステップSP31に戻る。
【0516】
これにより主制御部72は、この後、ステップSP32で肯定結果を得るまでの間は、ステップSP31乃至ステップSP33の処理を循環的に繰り返し実行する。
【0517】
このようにして主制御部72は、温度制御部85に温度変化状況を定期的に問い合わせるようにして、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度の上昇を加速させながら、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇することを待ち受ける。
【0518】
そしてステップSP32において肯定結果が得られると、このことは、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したため、この状態で顧客に暗証番号を入力させると、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が検出されても、暗証番号の不正な取得を防止し得ることを表している。ステップSP32において主制御部72は、係る肯定結果を得ると、次のステップSP10に移る。
【0519】
これによりステップSP10において主制御部72は、表示部7に対し待機案内画像(又は項目選択案内画像)に換えて暗証番号入力案内画像を表示して、その暗証番号入力案内画像により顧客に暗証番号の入力を促して、次のステップSP11に移る。
【0520】
そしてステップSP11において主制御部72は、顧客に複数の番号入力用操作キー40を、操作面実温度が目標温度まで上昇した操作面40Aに手の指先を接触させるようにして押下操作させて暗証番号を入力させた後、ステップSP12乃至ステップSP14の処理を順次実行して、次のステップSP2に移る。
【0521】
またステップSP2において主制御部72は、外部から動作の停止が指示されて肯定結果を得ると、次のステップSP34に移って第2取引案内処理手順RT3を収納する。
【0522】
このようにして主制御部72及び温度制御部85は、第2取引案内処理手順RT3及び第2温度変化処理手順RT4からなる第2暗証番号入力処理手順を全て終了する。
【0523】
(2−6)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機70では、暗証番号の入力に用いられる押下操作可能な番号入力用操作キー40を有する入力部71に、複数の発熱素子51A乃至51Jを当該複数の番号入力用操作キー40のキー下面40Bに接触させて設けるようにした。
【0524】
また現金自動預払機70は、入力部71に複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出するための複数の温度センサ76A乃至76Jを設けるようにした。
【0525】
そして現金自動預払機70は、顧客が取引のために訪れて入力部71と対峙すると、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始する。
【0526】
また現金自動預払機70は、このように複数の番号入力用操作キー40を加熱している状態で、顧客により所望の取引として暗証番号の入力が必要な紙幣の出金が選択されると、複数の温度センサ76A乃至76Jを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出するようにして、当該検出した操作面実温度が手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇したか否かを確認する。
【0527】
その結果、現金自動預払機70は、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇していないと、顧客に暗証番号を入力させないように待機させる。
【0528】
そして現金自動預払機70は、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したことを確認すると、顧客に当該複数の番号入力用操作キー40を、操作面実温度が目標温度まで上昇した操作面40Aに手の指先を接触させるようにして押下操作させて暗証番号を入力させる。
【0529】
従って現金自動預払機70は、顧客に操作面実温度が目標温度よりも低い複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させてしまい、操作面40Aにおいて手の指先の接触部分の温度が変化することをほぼ確実に防止することができる。
【0530】
以上の構成によれば、現金自動預払機70は、暗証番号の入力に用いられる押下操作可能な番号入力用操作キー40を有する入力部71に複数の発熱素子51A乃至51Jと共に複数の温度センサ76A乃至76Jを設け、顧客が入力部71と対峙すると、複数の発熱素子51A乃至51Jを発熱させて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始し、顧客により所望の取引として紙幣の出金が選択されたときには、複数の温度センサ76A乃至76Jを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出するようにして、当該検出した操作面実温度が手の指先の温度とほぼ等しい目標温度まで上昇したことを確認したうえで、顧客に当該複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させるようにした。
【0531】
これにより現金自動預払機70は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができると共に、これに加えて顧客に操作面実温度が目標温度よりも低い複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させてしまい、操作面40Aにおいて手の指先の接触部分の温度が変化することをほぼ確実に防止することができる。
【0532】
また現金自動預払機70は、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したか否かを確認した際に、当該操作面実温度が目標温度よりも低いと、複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大させて複数の番号入力用操作キー40を加熱するようにした。
【0533】
従って現金自動預払機70は、目標温度と加熱前の複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度との温度差が比較的大きい場合でも、操作面実温度を目標温度まで上昇させるための当該複数の番号入力用操作キー40の加熱時間を極力短くすることができる。
【0534】
さらに現金自動預払機70は、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したか否かを確認した結果、当該操作面実温度が目標温度よりも低いために複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大させて複数の番号入力用操作キー40を加熱しても、操作面実温度が目標温度まで上昇したときには、複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大前に戻して複数の番号入力用操作キー40を加熱するようにした。
【0535】
従って現金自動預払機70は、操作面実温度が目標温度よりも低いために複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大させて複数の番号入力用操作キー40を加熱した場合、当該操作面実温度が目標温度まで上昇した後も、複数の発熱素子51A乃至51Jの増大させていた発熱量によって複数の番号入力用操作キー40を加熱し続けて、操作実温度が目標温度よりも著しく高くなることを防止することができる。
【0536】
すなわち、現金自動預払機70は、操作面実温度が目標温度よりも低いために複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を増大させて複数の番号入力用操作キー40を加熱していても、顧客に当該複数の番号入力用操作キー40を押下操作させて暗証番号を入力させる際には、操作面実温度が手の指先の温度とほぼ等しい目標温度よりも著しく高いために操作面40Aにおいて手の指先の接触部分の温度が変化することを防止することができる。
【0537】
(3)他の実施の形態
(3−1)他の実施の形態1
なお上述した第1の実施の形態においては、顧客が入力部6と対峙したことに応じて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始して操作面実温度を目標温度まで上昇させるようにした場合について述べた。
【0538】
しかしながら本発明は、これに限らず、入力部6において操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bそれぞれの基板配置用凹部46BY内の中央部に、複数の番号入力用操作キー40を手の指先の温度よりも低い所定温度まで冷却するための例えば、ペルチェ素子のような冷却素子が実装された配線基板を配置するようにして、当該冷却素子の表面を、対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bに接触させる。
【0539】
そして本発明は、暗証番号が入力される際、複数の冷却素子を介して複数の番号入力用操作キー40を冷却するようにしても良い。
【0540】
また本発明は、複数の冷却素子による複数の番号入力用操作キー40の冷却を、例えば、顧客が入力部6と対峙したことを検出した時点や、顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れたことを検出した時点、暗証番号の入力直後等のように、当該顧客が入力部6と対峙したことを検出した時点から顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れたことを検出した時点までの間の種々のタイミングで開始するようにしても良い。
【0541】
本発明は、係る構成によれば、顧客が暗証番号の入力用の複数の番号入力用操作キー40を押下操作したことで、操作面40Aにおいて手の指先の接触部分の温度が上昇するように変化しても、当該接触部分の温度を速やかに下げることができる。
【0542】
よって本発明は、係る構成によれば、例えば、顧客が出金用の紙幣を受け取って現金自動預払機1の前から離れた直後に、第三者がサーモグラフィを用いて複数の番号入力用操作キー40の操作面40Aの温度を検出しても、その検出した温度からでは暗証番号を不正に取得し得ないようにすることができる。
【0543】
ところで、本発明は、係る構成の場合、例えば、図16(A)乃至(C)に示すように、番号入力用操作キー87乃至89の操作面87A乃至89Aに複数の溝部や微細な孔部を所定パターンで形成するようにしても良い。
【0544】
本発明は、このような番号入力用操作キー87乃至89を用いることで、当該番号入力用操作キー87乃至89の操作面87A乃至89Aの面積を、平坦な場合よりも大きくして放熱効率を向上させ、当該操作面87A乃至89Aの温度を低下させ易くすることができる。
【0545】
(3−2)他の実施の形態2
また上述した第2の実施の形態においては、温度制御部85が主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出して目標温度と比較し、その比較結果に応じて規定電流値又は可変電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱量を適宜変更するようにした場合について述べた。
【0546】
しかしながら本発明は、これに限らず、温度制御部85が主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、その主制御部72への返答用に、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を検出して目標温度と比較するものの、規定電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給し続けるようにして発熱量を変更しないようにしても良い。
【0547】
ここで、係る構成を、図13(A)及び(B)乃至図15(A)及び(B)との対応部分に同一符号を付した図17(A)及び(B)乃至図19(A)及び(B)に示すフローチャートを用いて、主制御部72が実行する第2取引案内処理手順RT3及び温度制御部85が実行する第3温度変化処理手順RT5からなる第3暗証番号入力処理手順として説明する。
【0548】
すなわち、温度制御部85は、例えば、主制御部72から起動が指示されて起動すると、内部のメモリに予め記憶されている第3温度変化処理プログラムに従い図17(B)乃至図19(B)に示す第3温度変化処理手順RT5を開始する。
【0549】
温度制御部85は、係る第3温度変化処理手順RT5を開始すると、ステップSP21乃至ステップSP23の処理を順次実行して、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始した後、ステップSP41に移る。
【0550】
ステップSP41において温度制御部85は、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあったことで、肯定結果を得ると、次のステップSP42に移る。
【0551】
そしてステップSP42において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40各々の操作面実温度を検出すると共に、当該検出した操作面実温度を目標温度と比較すると、次のステップSP44に移る。
【0552】
これによりステップSP44において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40分の操作面実温度と目標温度との比較結果に応じて、少なくとも1個以上の番号入力用操作キー40において操作面実温度が目標温度よりも低いか否かを判別する。
【0553】
そしてステップSP44において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40の中に未だ操作面実温度が目標温度まで上昇していないものがあるために肯定結果を得ると、次のステップSP45に移る。
【0554】
よってステップSP45において温度制御部85は、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していないことを通知した後、ステップSP41に戻る。
【0555】
またステップSP44において温度制御部85は、複数の番号入力用操作キー40の全てにおいて操作面実温度が目標温度まで上昇しているために否定結果を得ると、ステップSP46に移る。
【0556】
よってステップSP46において温度制御部85は、主制御部72に操作面実温度が目標温度まで上昇していることを通知した後、ステップSP41に戻る。
【0557】
このようにして温度制御部85は、この後、主制御部72により複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されるまでの間は、当該主制御部72から温度変化状況の問い合わせがある毎に、ステップSP41、ステップSP42、ステップSP44乃至ステップSP46の処理を循環的に繰り返し実行して、主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したか否かを通知する。
【0558】
そしてステップSP24において温度制御部85は、主制御部72により複数の番号入力用操作キー40の加熱の終了が指示されて肯定結果を得ると、次のステップSP25の処理を実行した後、ステップSP22に移る。
【0559】
またステップSP22において温度制御部85は、例えば、主制御部72から動作を停止させるように指示されて肯定結果を得ると、次のステップSP51に移って第3温度変化処理手順RT5を終了する。
【0560】
本発明は、係る構成によれば、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度より低い場合でも、加熱処理部78において複数の発熱素子51A乃至51Jに供給する発熱制御電流の電流値を変更しないため、処理負荷を低減させることができる。
【0561】
ところで、本発明は、温度制御部85が、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始すると、定期的に操作面実温度を検出して目標温度と比較し、その比較結果に応じて規定電流値又は可変電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱量を適宜変更するようにしても良い。
【0562】
そして本発明は、温度制御部85が、主制御部72から温度変化状況の問い合わせがあったときには、その直前に得ていた操作面実温度と目標温度との比較結果に応じて、主制御部72に複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度まで上昇したか否かを通知するようにしても良い。
【0563】
本発明は、係る構成によれば、温度制御部85が、複数の番号入力用操作キー40の加熱の開始直後から操作面実温度を監視するようにして複数の発熱素子51A乃至51Jの発熱量を適宜変更するため、当該複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度を目標温度まで上昇させるための加熱時間を大幅に短縮することができる。
【0564】
(3−3)他の実施の形態3
さらに上述した第2の実施の形態においては、温度制御部85が、複数の可変電流値を用意しておき、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度よりも低いと、操作面実温度と目標温度との温度差に応じた可変電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱量を変更するようにした場合について述べた。
【0565】
しかしながら本発明は、これに限らず、温度制御部85が、規定電流値よりも大きい可変電流値を1つだけ用意しておき、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度が目標温度よりも低い場合に、操作面実温度と目標温度との温度差に関わらずに当該1の可変電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱量を変更するようにしても良い。
【0566】
本発明は、係る構成によれば、温度制御部85が、操作面実温度と目標温度との温度差に応じて可変電流値を使い分ける必要がないため、複数の番号入力用操作キー40の加熱の際の処理負荷を低減させることができる。
【0567】
(3−4)他の実施の形態4
さらに上述した第2の実施の形態においては、入力部71において発熱用配線基板75に実装された温度センサ76A乃至76Jを、対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bから離隔させて配置するようにした場合について述べた。
【0568】
しかしながら本発明は、これに限らず、入力部71において発熱用配線基板75に実装された温度センサ76A乃至76Jを、対応する番号入力用操作キー40のキー下面40Bに接触させて配置するようにしても良い。
【0569】
本発明は、係る構成によれば、複数の温度センサ76A乃至76Jにより、複数の番号入力用操作キー40近傍の空間の温度ではなく、当該複数の番号入力用操作キー40の表面の温度を直接検出することができる。
【0570】
よって本発明は、係る構成によれば、上述した第2の実施の形態の場合よりも、複数の温度センサ76A乃至76Jの検出精度に与える、現金自動預払機70の周囲の温度の影響を低減して、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度の検出精度を向上させることができる。
【0571】
ところで、本発明は、図11との対応部分に同一符号を付した図20に示すように、入力部90において発熱用配線基板91の一面の中央部に発熱素子51A乃至51Jを実装する。
【0572】
また本発明は、発熱用配線基板91の一面の縁部に温度センサ76A乃至76Jを実装するものの、当該温度センサ76A乃至76J及び発熱素子51A乃至51J間の距離を、発熱素子51A乃至51Jの表面及び番号入力用操作キー92の操作面92A間の距離と等しくする。
【0573】
さらに本発明は、番号入力用操作キー92のキー下面92Bに、発熱素子51A乃至51Jの表面及び番号入力用操作キー92の操作面92A間の距離と等しい幅を有する凸部92BXを設ける。
【0574】
そして本発明は、番号入力用操作キー92のキー下面92Bの凸部92BXを発熱素子51A乃至51Jと温度センサ76A乃至76Jとの間に介在させて、当該凸部92BXに発熱素子51A乃至51J及び温度センサ76A乃至76Jを接触させる。
【0575】
本発明は、係る構成によれば、発熱素子51A乃至51Jと温度センサ76A乃至76Jとの間に番号入力用操作キー92のキー下面92Bの凸部92BXが接触した状態で介在し、また温度センサ76A乃至76J及び発熱素子51A乃至51J間の距離と、発熱素子51A乃至51Jの表面及び番号入力用操作キー92の操作面92A間の距離とが等しいことにより、温度センサ76A乃至76Jにより番号入力用操作キー92の凸部92BXに対する接触部分の温度を操作面実温度として検出することができる。
【0576】
よって本発明は、係る構成によれば、加熱処理部78において操作面実温度を検出するための処理が不要になり、また操作面実温度の検出に用いる温度検出テーブルも不要になるため、処理負荷及び回路規模を低減することができる。
【0577】
(3−5)他の実施の形態5
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、暗証番号が入力される際、複数の番号入力用操作キー40を加熱して、当該複数の番号入力用操作キー40各々の操作面40A全体の温度を目標温度まで上昇させるようにした場合について述べた。
【0578】
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、複数の番号入力用操作キーを、熱伝導率の比較的低いステンレスで形成し、又は比較的小さい発熱素子を用いる。
【0579】
そして本発明は、暗証番号が入力される際、複数の番号入力用操作キーを加熱することにより、当該複数の番号入力用操作キーの操作面の一部の温度を目標温度まで上昇させるようにして、これら複数の番号入力用操作キーの操作面の温度をほぼ等しく変化させるようにしても良い。
【0580】
例えば、本発明は、図3との対応部分に同一符号を付した図21に示すように、入力部95にステンレスの複数の番号入力用操作キー96を配置する。
【0581】
また本発明は、入力部95において、上述した第1及び第2の実施の形態の場合の複数の発熱素子51A乃至51Jと同一の大きさを有し、又は当該複数の発熱素子51A乃至51Jの大きさよりも小さい複数の発熱素子(図示せず)を、複数の番号入力用操作キー96のキー下面の中央部に接触させて配置する。
【0582】
そして本発明は、暗証番号が入力される際、複数の番号入力用操作キー96を加熱して、当該複数の番号入力用操作キー96各々の操作面96Aにおいて中央部分(図中の斜線部分)のみを目標温度まで上昇させるようにして、これら複数の番号入力用操作キー96の操作面96Aの温度をほぼ等しく変化させるようにしても良い。
【0583】
また本発明は、図3との対応部分に同一符号を付した図22に示すように、入力部97にステンレスの複数の番号入力用操作キー96を配置する。
【0584】
また本発明は、入力部97において、上述した第1及び第2の実施の形態の場合の複数の発熱素子51A乃至51Jの大きさや形状とは異なる大きさや形状を有する複数の発熱素子(図示せず)を、複数の番号入力用操作キー96のキー下面の中央部、又は当該中央部からずらして接触させて配置する。
【0585】
そして本発明は、暗証番号が入力される際、複数の番号入力用操作キー96を加熱して、当該複数の番号入力用操作キー96各々の操作面96Aにおいて中央や当該中央からずれた所定形状の部分(図中の斜線部分)のみを目標温度まで上昇させるようにして、これら複数の番号入力用操作キー96の操作面96Aの温度をほぼ等しく変化させるようにしても良い。
【0586】
本発明は、このような構成によれば、暗証番号が入力される際、複数の番号入力用操作キー96の操作面96Aの温度がそれぞれ、あたかも押下操作による手の指先の接触によって部分的に変化したように偽装することができる。
【0587】
よって本発明は、係る構成によれば、暗証番号が入力される際、第三者によりサーモグラフィが用いられて複数の番号入力用操作キー96の操作面96Aの温度が検出されても、その検出した温度からでは、暗証番号の入力のために実際に押下操作された番号入力用操作キー96を特定し得なくすることができる。
【0588】
従って本発明は、係る構成によっても、第三者による暗証番号の不正な取得をほぼ確実に防止することができる。
【0589】
(3−6)他の実施の形態6
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、主制御部20、72が近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1に近づいて入力部6、71と対峙したことを検出して、スピーカ22を介して受付音声を出力した後、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するようにした場合について述べた。
【0590】
しかしながら本発明は、これに限らず、主制御部20、72が近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1、70に近づいて入力部6、71と対峙したことを検出したときや、顧客によりカードが挿入されたとき、顧客により取引項目か選択されたとき、顧客により暗証番号が入力された直後、顧客に出金用の紙幣を受け取らせるとき、さらには主制御部20、72が近接センサ23を介して、出金用の紙幣を受け取った顧客が現金自動預払機1、70の前から離れたことを検出したとき等のように、この他種々のタイミングで、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するようにしても良い。
【0591】
また本発明は、例えば、温度制御部63、85を、近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1、70に近づいて入力部6、71と対峙したことや、当該近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1、70の前から離れたことを検出し得るように構成する。
【0592】
そして本発明は、温度制御部63、85が近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1、70に近づいて入力部6、71と対峙したことを検出し、又は近接センサ23を介して、顧客が現金自動預払機1、70の前から離れたことを検出して、その検出に応じて複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するようにしても良い。
【0593】
(3−7)他の実施の形態7
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するとき、複数の発熱素子51A乃至51Jに規定電流値の発熱制御電流を供給して発熱させるようにした場合について述べた。
【0594】
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、複数の番号入力用操作キー40の操作面実温度に応じて、予め発熱制御電流の複数の電流値を、当該操作面実温度が低いほど大きい値となるように選定しておく。
【0595】
そして本発明は、例えば、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するとき、操作面実温度(すなわち、複数の番号入力用操作キー40を加熱する直前の操作面実温度)を検出して、複数の電流値のうち、当該検出した操作面実温度に対応する電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱させるようにしても良い。
【0596】
また本発明は、例えば、現金自動預払機1、70の周囲の温度に応じて、予め発熱制御電流の複数の電流値を、当該周囲の温度が低いほど大きい値となるように選定しておく。
【0597】
そして本発明は、例えば、複数の番号入力用操作キー40の加熱を開始するとき、現金自動預払機1、70の周囲の温度を検出して、複数の電流値のうち、当該検出した周囲の温度に対応する電流値の発熱制御電流を複数の発熱素子51A乃至51Jに供給して発熱させるようにしても良い。
【0598】
本発明は、係る構成によれば、例えば、複数の番号入力用操作キー40を加熱した場合、当該複数の番号入力用操作キー40の加熱直前の操作面40Aの温度によらず、ほぼ等しい加熱時間で操作面実温度を目標温度まで上昇させることができる。
【0599】
(3−8)他の実施の形態8
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、複数の発熱素子51A乃至51Jを、当該複数の発熱素子51A乃至51Jの表面を複数の番号入力用操作キー40のキー下面40Bに接触させて配置するようにした場合について述べた。
【0600】
しかしながら本発明は、これに限らず、操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bにおいて基板配置用凹部46BYの深さを、上述した第1及び第2の実施の形態の場合よりも深くして、複数の発熱素子51A乃至51Jの表面を複数の番号入力用操作キー40のキー下面40Bから離隔させて、当該複数の発熱素子51A乃至51Jを配置するようにしても良い。
【0601】
また本発明は、操作連動部46の複数の番号入力用押子46Bにおいて基板配置用凹部46BYの底に発熱用配線基板50、75を埋設することで、複数の発熱素子51A乃至51Jの表面を複数の番号入力用操作キー40のキー下面40Bから離隔させて、当該複数の発熱素子51A乃至51Jを配置するようにしても良い。
【0602】
さらに本発明は、複数の番号入力用操作キー40のキー下面40Bから離隔させた複数の発熱素子51A乃至51Jの表面と共に発熱用配線基板50、75の一面を絶縁シートで被覆して保護するようにしても良い。
【0603】
(3−9)他の実施の形態9
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、現金自動預払機1、70の主制御部20、72が、内部のメモリに予め記憶された第1及び第2取引案内処理プログラムに従い、図7(A)及び図8(A)、図13(A)乃至図15(A)、図17(A)乃至図19(A)について上述した第1及び第2取引案内処理手順RT1、RT3を実行するようにした場合について述べた。
【0604】
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、入力部6、71の温度制御部63、85が、内部のメモリに予め記憶された第1乃至第3温度変化処理プログラムに従い、図7(B)及び図8(B)、図13(B)乃至図15(B)、図17(B)乃至図19(B)について上述した第1乃至第3温度変化処理手順RT2、RT4、RT5を実行するようにした場合について述べた。
【0605】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動預払機1、70が第1及び第2取引案内処理プログラムの記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体によって当該第1及び第2取引案内処理プログラムをインストールするようにしても良い。
【0606】
また本発明は、入力部6、71が第1乃至第3温度変化処理プログラムの記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体によって当該第1乃至第3温度変化処理プログラムをインストールするようにしても良い。
【0607】
そして主制御部20、72や温度制御部63、85が、そのインストールした第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムに従って第1及び第2取引案内処理手順RT1、RT3や第1乃至第3温度変化処理手順RT2、RT4、RT5を実行するようにしても良い。
【0608】
また現金自動預払機1、70や入力部6、71は、ローカルエリアネットワークやインターネット、デジタル衛星放送等の有線及び無線通信媒体を利用して外部から第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムをインストールするようにしても良い。
【0609】
そして第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムを現金自動預払機1、70や入力部6、71にインストールして実行可能な状態にするためのコンピュータ読取可能な記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスクのようなパッケージメディアで実現しても良い。
【0610】
また第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムを現金自動預払機1、70や入力部6、71にインストールして実行可能な状態にするためのコンピュータ読取可能な記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)のようなパッケージメディアで実現しても良い。
【0611】
さらに第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムを現金自動預払機1、70や入力部6、71にインストールして実行可能な状態にするためのコンピュータ読取可能な記憶媒体としては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)等のパッケージメディアで実現しても良い。
【0612】
さらに、係るコンピュータ読取可能な記憶媒体としては、パッケージメディアのみならず、各種プログラムが一時的もしくは永続的に記憶される半導体メモリや磁気ディスク等で実現しても良い。
【0613】
また、これらコンピュータ読取可能な記憶媒体に第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムを記憶する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、デジタル衛星放送等の有線及び無線通信媒体を利用するようにしても良い。
【0614】
さらにコンピュータ読取可能な記憶媒体には、ルータやモデム等の各種通信インタフェースを介して第1及び第2取引案内処理プログラムや第1乃至第3温度変化処理プログラムを記憶するようにしても良い。
【0615】
(3−10)他の実施の形態10
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明による入力装置を、図1乃至図22について上述した現金としての紙幣を扱う現金自動預払機1、70に設けられた入力部6、71に適用するようにした場合について述べた。
【0616】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金として紙幣及び硬貨を扱う現金自動預払機に設けられ、暗証番号の入力用に押下操作可能な操作キーを有する入力部や、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)に設けられ、暗証番号の入力用に押下操作可能な操作キーを有する入力部、入出管理装置に設けられ、暗証番号の入力用に押下操作可能な操作キーを有する入力部、カードの差込口と、暗証番号の入力用に押下操作可能な操作キーを有するカード処理端末等のように、この他種々の構成の入力装置に広く適用することができる。
【0617】
(3−11)他の実施の形態11
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明による紙葉類取扱装置を、図1乃至図22について上述した現金としての紙幣を扱う現金自動預払機1、70に適用するようにした場合について述べた。
【0618】
しかしながら本発明は、これに限らず、現金として紙幣及び硬貨を扱う現金自動預払機や、現金自動支払機等のように、暗証番号の入力用に押下操作可能な操作キーを有する入力部が設けられた、この他種々の紙葉類取扱装置に広く適用することができる。
【0619】
(3−12)他の実施の形態12
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、それぞれ操作面に手の指先を接触させるようにして押下操作可能な複数の操作キーを介して入力される認証用文字列として、図1乃至図22について上述した所定桁の数字である暗証番号を適用するようにした場合について述べた。
【0620】
しかしながら本発明は、これに限らず、個人認証用として数字や記号、アルファベット、仮名等の複数の文字を組み合わせて形成された認証用文字列のように、この他種々の認証用文字列を広く適用することができる。
【0621】
(3−13)他の実施の形態13
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、認証用文字列の入力用に、それぞれ操作面に手の指先を接触させるようにして押下操作可能な複数の操作キーとして、図1乃至図22について上述したアルミニウムやステンレスによって形成された番号入力用操作キー40、87、88、89、92、96を適用するようにした場合について述べた。
【0622】
しかしながら本発明は、これに限らず、樹脂材によって円形や楕円形等の形状に形成された操作キーや、アルミニウム及びステンレス以外の金属によって円形や楕円形等の形状に形成された操作キー等のように、この他種々の形状及び材質の操作キーを広く適用することができる。
【0623】
(3−14)他の実施の形態14
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、認証用文字列が入力される際、複数の操作キーの操作面の温度を変化させてほぼ等しくする温度変化部として、図1乃至図22について上述した温度変化部60、79を適用するようにした場合について述べた。
【0624】
しかしながら本発明は、これに限らず、一部の処理をソフトウェアによって実行する温度変化部を広く適用することができる。
【0625】
また本発明は、これに限らず、複数の発熱素子51A乃至51Jに換えて、複数の番号入力用操作キー40、87、88、89、92、96の操作面実温度を体温よりも下げるための又は体温より高い操作面実温度を体温程度まで下げるための複数の冷却素子が設けられた温度変化部を適用することもできる。
【0626】
さらに本発明は、これに限らず、複数の番号入力用操作キー40、87、88、89、92、96について体温より低い操作面実温度を体温程度まで上げるための複数の発熱素子51A乃至51Jと、体温より高い操作面実温度を体温程度まで下げるための複数の冷却素子とが設けられ、例えば、これら複数の番号入力用操作キー40、87、88、89、92、96の加熱開始直前の操作面実温度に応じて、複数の発熱素子51A乃至51Jと複数の冷却素子とを使い分けるような温度変化部等のように、この他種々の構成の温度変化部を適用することもできる。
【0627】
(3−15)他の実施の形態15
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、複数の操作キーをそれぞれ加熱するための複数の発熱素子として、図1乃至図22について上述した抵抗発熱体でなる発熱素子51A乃至51Jを適用するようにした場合について述べた。
【0628】
しかしながら本発明は、これに限らず、複数の操作キーを加熱して操作面実温度を体温程度まで上げることができれば、赤外線ヒータや熱電素子等のように、この他種々の構成の発熱素子を広く適用することができる。
【0629】
(3−16)他の実施の形態16
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、認証用文字列が入力される際、複数の発熱素子を発熱させて複数の操作キーを加熱する加熱処理部として、図1乃至図22について上述した加熱処理部54、78を適用するようにした場合について述べた。
【0630】
しかしながら本発明は、これに限らず、一部の処理をソフトウェアによって実行する加熱処理部のように、この他種々の構成の加熱処理部を広く適用することができる。
【0631】
(3−17)他の実施の形態17
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、複数の操作キーの操作面の温度をそれぞれ検出するための複数の温度センサとして、図1乃至図22について上述したサーミスタでなる温度センサ76A乃至76Jを適用するようにした場合について述べた。
【0632】
しかしながら本発明は、これに限らず、白金センサや熱電対等のように、この他種々の構成の温度センサを広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0633】
本発明は、現金自動預払機や入出管理装置等に設けられる入力装置と、現金自動預払機や現金自動支払機等の紙葉類取扱装置とに利用することができる。
【符号の説明】
【0634】
1、70……現金自動預払機、6、71、90、95、97……入力部、20、72……主制御部、40、87、88、89、92、96……番号入力用操作キー、40A、87A、88A、89A、92A、96A……操作面、51A乃至51J……発熱素子、54、78……加熱処理部、60、79……温度変化部、61、83A乃至83J……電流値設定回路、62、84A乃至84J……デジタルアナログ変換回路、63、85……温度制御部、76A乃至76J……温度センサ、80A乃至80J……アナログデジタル変換回路、81……温度検出比較回路、82……温度情報保持部、RT1……第1取引案内処理手順、RT2……第1温度変化処理手順、RT3……第2取引案内処理手順、RT4……第2温度変化処理手順、RT5……第3温度変化処理手順。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23