特許第6019848号(P6019848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019848プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019848
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/22 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   G06F17/22 617
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-155851(P2012-155851)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-16959(P2014-16959A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬太
(72)【発明者】
【氏名】相撲 寿永
(72)【発明者】
【氏名】宮下 功
(72)【発明者】
【氏名】村松 千織
【審査官】 川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−020686(JP,A)
【文献】 特開2004−252583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20 − 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断し、
前記文字の文字コードに選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶し、
出力要求を受け付けた場合、前記記憶部の記憶内容に基づき前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する
処理を実行させるプログラム。
【請求項2】
選択用文字コードが付加されていると判断した場合に、前記選択用文字コード、前記文字の前記入力文字列中の位置、前記異体字の画像及び前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
出力要求を受け付け、かつ前記コンピュータが異体字に対応していないと判断した場合、前記位置を参照して前記標準字体のコードを前記記憶部に記憶した前記異体字の画像に変換する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
出力要求を受け付け、かつ前記コンピュータが異体字に対応していると判断した場合、前記位置を参照して前記標準字体のコードに選択用文字コードを付加する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
出力要求を受け付け、かつ字体が異なっても良いと判断した場合、前記標準字体のコードを前記位置に係る選択用文字コードを付加することなく出力する
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断する判断部と、
前記文字の文字コードに異体字を特定する選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶する記憶処理部と、
出力要求を受け付けた場合に、前記記憶部の記憶内容に基づき前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する付加部と
を備える情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを用いた情報処理方法において、
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断し、
前記文字の文字コードに選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶し、
出力要求を受け付けた場合に、前記記憶部の記憶内容に基づき、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する
処理を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータにより情報処理を行うプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標準の字体である標準字体とは異なる異体字に対する処理を行う文書データ処理装置が存在する(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば、Unicodeにおいては、異体字を扱う方法として、標準字体の後に異体字セレクタ(variation selector)を付加した結合文字により異体字を表現する方式が知られており、異体字シーケンス(IVS;Ideographic Variation Sequence)と呼ばれる処理により、異体字を扱っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−134347号公報
【特許文献2】特開平10−334095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータにより異体字を扱うことは異体字セレクタを用いたIVSにより可能であるものの、全てのシステムが異体字セレクタに対応した状況には至っていない。このため、従来の文書データ処理装置では、ユーザ操作により異体字が入力可能な場合であっても、予め文字を入力するユーザ自身が異体字を使用するか否かの判断を行う必要がある。また異体字セレクタによる異体字処理に対応していない既存のシステムを、異体字セレクタによる異体字処理に対応させるのも困難であった。
【0005】
1つの側面では、本発明は、異体字に対応することが可能なプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様のプログラムは、コンピュータに、異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断し、前記文字の文字コードに選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶し、出力要求を受け付けた場合、前記記憶部の記憶内容に基づき前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、異体字に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システムの概要を示す説明図である。
図2】パーソナルコンピュータのハードウェア群を示すブロック図である。
図3】サーバコンピュータのハードウェア群を示すブロック図である。
図4】データ入力画面のイメージを示す説明図である。
図5】文字入力の際のイメージを示す説明図である。
図6】定義ファイルの記憶内容を示す説明図である。
図7】コードファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
図8】文書DBのレコードレイアウトを示す説明図である。
図9】対応テーブルのレコードレイアウトを示す説明図である。
図10】登録処理の手順を示すフローチャートである。
図11】登録情報の出力処理手順を示すフローチャートである。
図12】登録情報の出力処理手順を示すフローチャートである。
図13】登録処理の手順を示すフローチャートである。
図14】登録処理の手順を示すフローチャートである。
図15】上述した形態のサーバコンピュータの動作を示す機能ブロック図である。
図16】実施の形態3に係るサーバコンピュータのハードウェア群を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は情報処理システムの概要を示す説明図である。情報処理システムはインターネット、LAN(Local Area Network)及び公衆電話網等の通信網Nを介して相互に接続される情報処理装置1及び情報処理装置2等を含む。情報処理装置1はサーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等である。以下では情報処理装置1をサーバコンピュータ1という。情報処理装置2は、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、ブックリーダ、またはゲーム機等である。以下では情報処理装置2をパーソナルコンピュータ2であるものとして説明する。
【0010】
サーバコンピュータ1はパーソナルコンピュータ2から入力される文字情報を記憶する。本実施形態においてはパーソナルコンピュータ2にて入力したユーザの氏名及び住所等を、サーバコンピュータ1にて記憶する例を挙げて説明するが、これに限るものではない。文字情報を含むものであれば良く、例えば文書ファイルまたは表計算ファイル等であっても良い。漢字には標準字体と、標準字体とは字体が異なる異体字とが存在する。例えば葛飾区の「葛」の漢字は標準字体である。標準字体には文字の文字コードとして、標準字体コードが付加される。本実施形態では「葛」の標準字体コードを845Bとする。なお本実施形態では文字の一例として漢字を挙げるが、仮名等の他の文字であっても良い。
【0011】
異体字は例えば図1に示すように「葛」中の「人」の記載を「ヒ」としたものが存在する。本実施形態では文章中に異体字を記載することができないため、標準字体「葛」の異体字を便宜上「喝」であるものとして説明する。異体字は、文字コードとして、標準字体コードと、選択用文字コード(以下、異体字コードという)との組み合わせで表現される。例えば異体字「喝」は「845B DB40 DD00」となる。845B以外の「DB40 DD00」が異体字コードとなる。葛のその他の異体字が存在する場合、標準字体コード「845B」に異なる異体字コード「DB40 DD01」が付加され、文字コードは「845B DB40 DD01」となる。
【0012】
パーソナルコンピュータ2から「東京都喝飾区」と住所を入力する。パーソナルコンピュータ2はサーバコンピュータ1へ住所を送信する。サーバコンピュータ1は文字列中の漢字の文字コードに異体字コードが付加されているか否かを判断する。サーバコンピュータ1は異体字コードが含まれている場合、異体字コードを削除して標準字体コードを記憶する。図1のように、標準字体コード「845B(葛)」が記憶される。サーバコンピュータ1は異体字コード「DB40 DD00」及び当該漢字の文字列中の位置を記憶する。図1の例では4文字目と位置が記憶されている。またサーバコンピュータ1は異体字「喝」の画像データを記憶する。
【0013】
パーソナルコンピュータ2から住所の出力要求があった場合、サーバコンピュータ1は住所「東京都葛飾区」を読み出す。サーバコンピュータ1は記憶した位置「4文字目」の標準字体コード及び記憶した異体字コードを参照し、4文字目に「喝」を出力する。サーバコンピュータ1はパーソナルコンピュータ2へ「東京都喝飾区」の文字を出力する。この場合「喝」の文字には標準字体コード及び異体字コードが付加されている。一方、異体字に対応していないパーソナルコンピュータ2に対しては、記憶した画像データを読み出す。サーバコンピュータ1は位置「4文字目」に「喝」の画像データを出力する。サーバコンピュータ1はパーソナルコンピュータ2へ「東京都喝(喝は画像データ)飾区」を出力する。以下詳細を説明する。
【0014】
図2はパーソナルコンピュータ2のハードウェア群を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ2は制御部としてのCPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、入力部23、表示部24、記憶部25、及び通信部26等を含む。CPU21は、バス27を介してハードウェア各部と接続されている。CPU21は記憶部25に記憶された制御プログラム25Pに従いハードウェア各部を制御する。RAM22は例えばSRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)、フラッシュメモリ等である。RAM22は、記憶部としても機能し、CPU21による各種プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0015】
入力部23はマウス、キーボード、またはタッチパネル等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報をCPU21へ出力する。表示部24は液晶ディスプレイまたは有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、CPU21の指示に従い各種情報を表示する。通信部26は無線LANカードまたは通信アンテナ等であり、通信網Nを介してサーバコンピュータ1等との間で情報の送受信を行う。記憶部25は例えば、ハードディスクまたは大容量フラッシュメモリ等であり、制御プログラム25P等を格納する。
【0016】
図3はサーバコンピュータ1のハードウェア群を示すブロック図である。サーバコンピュータ1は制御部としてのCPU11、RAM12、入力部13、表示部14、記憶部15、及び通信部16等を含む。CPU11は、バス17を介してハードウェア各部と接続されている。CPU11は記憶部15に記憶された制御プログラム15Pに従いハードウェア各部を制御する。RAM12は例えばSRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。RAM12は、記憶部としても機能し、CPU11による各種プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0017】
入力部13はマウスまたはキーボード等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報をCPU11へ出力する。表示部14は液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等であり、CPU11の指示に従い各種情報を表示する。通信部16は有線または無線LANカード等であり、通信網Nを介してパーソナルコンピュータ2等との間で情報の送受信を行う。
【0018】
記憶部15は例えば、ハードディスクまたは大容量フラッシュメモリ等であり、制御プログラム15Pを格納する。記憶部15はこの他、定義ファイル151、コードファイル152、文書DB153及び対応テーブル154等を記憶している。
【0019】
図4はデータ入力画面のイメージを示す説明図である。ユーザはパーソナルコンピュータ2の入力部23から表示部24に表示されたデータ入力画面に会社名等を入力する。CPU21は、サーバコンピュータ1から送信されたデータ入力画面を表示部24に表示する。データ入力画面には、会社名入力欄、氏名入力欄、住所入力欄、及び電話番号入力欄が表示される。CPU21は、入力部23から入力された漢字を含む文字列を受け付ける。図4の例では会社名入力欄に「ABC(株)」と入力されている。また住所入力欄には「東京都喝飾区」と入力されている。
【0020】
図5は文字入力の際のイメージを示す説明図である。CPU21は、入力部23から「かつしか」の文字入力を受け付け、かつ、変換命令を受け付けた場合、記憶部25に記憶したかな・漢字変換プログラムに従い、候補を表示する。パーソナルコンピュータ2が異体字に対応している場合、図5のように、標準字体及び異体字の双方を含む候補が表示される。図5の例では、標準字体の葛飾と異体字の喝飾のいずれかを選択することができる。
【0021】
図4において、ユーザは全ての項目に情報を入力した場合、送信ボタンをクリックする。CPU21は、入力された情報(以下、登録情報という)を特定するための固有の識別情報(以下、IDという)、及び、登録情報をサーバコンピュータ1へ、通信部26を介して送信する。サーバコンピュータ1のCPU11は、ID及び登録情報を、通信部16を介して受信する。
【0022】
図6は定義ファイル151の記憶内容を示す説明図である。定義ファイル151には、登録情報の各項目についての定義が規定されている。登録情報中の項目「name」は項目「氏名」に対応し、形式は文字列であると定義されている。登録情報中の項目「company」は項目「会社名」に対応し、形式は文字列であると定義されている。登録情報中の項目「address」は項目「住所」に対応し、形式は文字列であると定義されている。登録情報中の項目「tel」は項目「電話番号」に対応し、形式は数列であると定義されている。またIDの形式は数列と定義されている。CPU11は、定義ファイル151を参照し、ID及び登録情報をコードファイル152及び文書DB153に情報を記憶する。
【0023】
図7はコードファイル152のレコードレイアウトを示す説明図である。コードファイル152はIDフィールド、異体字コードフィールド、位置フィールド及び画像データフィールド等を含む。IDフィールドには、パーソナルコンピュータ2から送信された登録情報を特定するためのIDが記憶されている。異体字コードフィールドには、登録情報中の異体字の異体字コードが、IDに対応づけて記憶されている。位置フィールドには、IDに対応づけて文字列中の異体字の位置が記憶されている。本実施形態では項目「住所」の「4番目の文字」と記憶されている。位置はこれに限るものではなく、例えば登録対象が文書の場合、ページ数、行及び列を位置として記憶しても良い。
【0024】
画像データフィールドには、IDに対応づけて、異体字の画像が記憶されている。CPU11は、登録情報中に異体字が存在するか否かを判断する。CPU11は、異体字が存在すると判断した場合、異体字コード及び位置を抽出する。CPU11は、異体字コード及び位置を、IDに対応づけて第1記憶部であるコードファイル152に記憶する。CPU11は、制御プログラム15Pに従い、異体字をJPEG(Joint Photographic Experts Group)またはGIF(Graphics Interchange Format)等の形式により、画像に変換する。CPU11は、変換後の画像をコードファイル152に記憶する。図7の例では、異体字の「喝」が画像として記憶されている。
【0025】
図8は文書DB153のレコードレイアウトを示す説明図である。文書DB153はIDフィールド、氏名フィールド、会社名フィールド、住所フィールド、及び電話番号フィールド等を含む。第2記憶部である文書DB153は、異体字を記憶しない。異体字が存在する場合には、異体字を標準字体に代えた上で、文書DB153に記憶する。氏名フィールドには、IDに対応づけて登録情報中の氏名が記憶される。会社名フィールドには、IDに対応づけて登録情報中の会社名が記憶される。住所フィールドには、IDに対応づけて住所が記憶される。電話番号フィールドには電話番号がIDに対応づけて記憶されている。
【0026】
CPU11は、登録情報中に異体字が存在すると判断した場合、異体字コードを削除し、異体字コードに代えて標準字体コードを文書DB153に記憶する。図8の例では、住所フィールドには異体字「喝」ではなく、標準字体である「葛」が記憶されている。なお、本実施形態で述べたファイル及びDBのレコードレイアウトは一例でありこれに限るものではない。またコードファイル152及び文書DB153を記憶部15に記憶する例を挙げたが、これに限るものではない。RAM12に記憶するほか、他の図示しないDBに記憶しても良い。
【0027】
サーバコンピュータ1のCPU11は、パーソナルコンピュータ2からIDに対応する登録情報の出力要求を受け付ける。CPU11は、IDを参照し、文書DB153から、登録情報をRAM12に読み出す。パーソナルコンピュータ2には異体字に対応しているものと、対応していないものとが存在する。異体字の対応または非対応により以下の処理を行う。CPU11は、出力先のパーソナルコンピュータ2が異体字に対応していると判断した場合、IDがコードファイル152に記憶されているか否かを判断する。
【0028】
CPU11は、記憶されていると判断した場合、コードファイル152に記憶された位置及び異体字コードを読み出す。CPU11は、読み出した位置を参照し、異体字コードをRAM12に読み出した標準字体コードに付加する。これにより、異体字へ変換される。CPU11は、IDと、変換後の標準字体コード及び異体字コードで表現される異体字を含む登録情報とをパーソナルコンピュータ2へ出力する。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に異体字を含む登録情報を表示する。
【0029】
CPU11は、出力先のパーソナルコンピュータ2が異体字に対応していないと判断した場合、IDがコードファイル152に記憶されているか否かを判断する。CPU11は、記憶されていると判断した場合、コードファイル152に記憶された位置及び異体字の画像を読み出す。CPU11は、読み出した位置を参照し、RAM12に読み出した当該位置の標準字体を削除し、画像に変換する。これにより、異体字の画像へ変換される。CPU11は、IDと、変換後の画像で表現される異体字を含む登録情報とをパーソナルコンピュータ2へ出力する。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に異体字の画像を含む登録情報を表示する。
【0030】
CPU11は、出力先のパーソナルコンピュータ2が異体字に対応しておらず、かつ、字体の変更を許容していると判断した場合、変換することなく、RAM12に読み出したID及び登録情報をパーソナルコンピュータ2へ出力する。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に変更された標準字体を含む登録情報を表示する。なお、異体字に対応しているか否かは、パーソナルコンピュータ2にインストールされたOSまたはかな・漢字変換ソフトウェア等の種類またはバージョンにより判断すればよい。
【0031】
またパーソナルコンピュータ2の識別情報に対応づけて各パーソナルコンピュータ2が、異体字に対応しているか、異体字に対応していないか、異体字に対応しておらず、かつ字体の変更を許容するかの情報を予め記憶部15に記憶しておいても良い。本実施形態では記憶部15に各パーソナルコンピュータ2の異体字への対応状況を記憶している例を挙げて説明する。その他、対応状況に関する情報をパーソナルコンピュータ2から毎回受信するようにしても良い。
【0032】
図9は対応テーブル154のレコードレイアウトを示す説明図である。対応テーブル154はPCIDフィールド及び対応状況フィールド等を含む。PCIDフィールドには、パーソナルコンピュータ2を特定するための固有の識別情報(以下、PCIDという)が記憶されている。PCIDは例えば、コンピュータ名、ユーザ名、またはMAC(Media Access Control)アドレス等を用いればよい。対応状況フィールドにはPCIDに対応づけてパーソナルコンピュータ2の異体字の対応状況に関する情報が記憶されている。「異体字対応」はパーソナルコンピュータ2が異体字の入力及び表示が可能であることを示している。
【0033】
「異体字非対応」はパーソナルコンピュータ2が異体字の入力及び表示に対応していないことを示す。この場合、CPU21は画像により異体字を表示する。「字体の変更許容」はパーソナルコンピュータ2が異体字に代えて標準字体の表示を許容することを示す。
【0034】
以上のハードウェア群において各種処理内容を、フローチャートを用いて説明する。図10は登録処理の手順を示すフローチャートである。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、サーバコンピュータ1からデータ入力画面を受信する。CPU21は、入力部23を介して入力された、登録情報を受け付ける。CPU21は、受け付けた登録情報及びIDをサーバコンピュータ1へ送信する。サーバコンピュータ1のCPU11は、ID及び登録情報を受信する(ステップS101)。
【0035】
CPU11は、異体字コードが付加されているか否かを判断する(ステップS102)。具体的には、登録情報各項目中の文字列の漢字の文字コードに異体字コードが付加されているか否かを判断する。CPU11は、異体字コードが付加されていないと判断した場合(ステップS102でNO)、ステップS107へ移行する。CPU11は、字体を変更することなく、登録情報をIDに対応づけて文書DB153に記憶する(ステップS107)。
【0036】
CPU11は、漢字の文字コードに異体字コードが付加されていると判断した場合(ステップS102でYES)、ステップS103へ移行する。CPU11は、異体字コードが付加されている異体字を画像に変換する(ステップS103)。CPU11は、IDに対応づけて異体字の位置、異体字コード及び画像をコードファイル152に記憶する(ステップS104)。上述した例では位置は、項目住所の最初から4文字目と記憶される。なお、画像に変換する処理及び画像を記憶する処理は必ずしも行う必要は無い。
【0037】
CPU11は、異体字に付加された標準字体コード及び異体字コードの内、異体字コードを削除する(ステップS105)。CPU11は、IDに対応づけて異体字コードを削除して標準字体コードに変更した登録情報を文書DB153に記憶する(ステップS106)。なお、他の異体字が文章中に含まれている場合、同様の処理を行えばよい。
【0038】
図11及び図12は登録情報の出力処理手順を示すフローチャートである。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、PCID、ID及び出力要求を、通信部26を介してサーバコンピュータ1へ送信する。サーバコンピュータ1のCPU11は、PCID、ID及び出力要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS111)。CPU11は、PCID、ID及び出力要求を受け付けていないと判断した場合(ステップS111でNO)、受け付けるまで待機する。CPU11は、PCID、ID及び出力要求を受け付けたと判断した場合(ステップS111でYES)、ステップS112へ処理を移行させる。
【0039】
CPU11は、パーソナルコンピュータ2が字体の変更を許容しているか否かを判断する(ステップS112)。具体的にはCPU11は、対応テーブル154を参照し、PCIDに対応する対応状況に基づき判断する。CPU11は、字体の変更を許容していると判断した場合(ステップS112でYES)、ステップS113へ移行する。なおステップS112の判断では、パーソナルコンピュータ2が異体字に対応しておらず、かつ、字体の変更を許容しているか否かを判断させるようにしても良い。
【0040】
CPU11は、IDに対応する登録情報を文書DB153から読み出す(ステップS113)。CPU11は、登録情報を、通信部16を介して、パーソナルコンピュータ2へ出力する(ステップS114)。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に登録情報を表示する。上述した例では、入力時に「東京都葛飾区」または「東京都喝飾区」のいずれかが入力された場合でも、標準字体「葛」が表示される。
【0041】
CPU11は、字体の変更が許容されていないと判断した場合(ステップS112でNO)、処理をステップS115へ移行させる。CPU11は、コードファイル152を参照し、IDに対応する異体字コードが記憶されているか否かを判断する(ステップS115)。CPU11は、異体字コードが記憶されていないと判断した場合(ステップS115でNO)、処理をステップS116へ移行させる。CPU11は、IDに対応する登録情報を文書DB153から読み出す(ステップS116)。CPU11は、登録情報を、通信部16を介して、パーソナルコンピュータ2へ出力する(ステップS117)。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に登録情報を表示する。この場合、登録時に異体字が存在しなかったことから、標準字体が表示される。
【0042】
CPU11は、異体字コードが記憶されていると判断した場合(ステップS115でYES)、処理をステップS118へ移行させる。CPU11は、PCID及び対応テーブル154を参照し、異体字に対応しているか否かを判断する(ステップS118)。CPU11は、異体字に対応していると判断した場合(ステップS118でYES)、処理をステップS119へ移行させる。CPU11は、IDに対応する登録情報を文書DB153から読み出す(ステップS119)。
【0043】
CPU11は、IDに対応する位置及び異体字コードをコードファイル152から読み出す(ステップS121)。CPU11は、位置を参照し、標準字体コードに異体字コードを付加する(ステップS122)。具体的には、位置に基づき文章中の標準字体コードを抽出する。CPU11は、抽出した標準字体コードに異体字コードを付加する。CPU11は、異体字コードが付加された登録情報を、通信部16を介して、パーソナルコンピュータ2へ出力する(ステップS123)。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に登録情報を表示する。上述の例では異体字に変換されていることから「東京都喝飾区」と表示される。
【0044】
CPU11は、異体字に対応していないと判断した場合(ステップS118でNO)、処理をステップS124へ移行させる。CPU11は、IDに対応する登録情報を文書DB153から読み出す(ステップS124)。CPU11は、IDに対応する位置及び画像をコードファイル152から読み出す(ステップS125)。CPU11は、位置を参照し、標準字体コードを削除すると共に、画像に変換する(ステップS126)。具体的には、CPU11は、位置に基づき文章中の標準字体コードを削除する。
【0045】
CPU11は、当該位置に画像を挿入する。CPU11は、画像が付加された登録情報を、通信部16を介して、パーソナルコンピュータ2へ出力する(ステップS127)。パーソナルコンピュータ2のCPU21は、表示部24に登録情報を表示する。上述の例では異体字に変換されていることから「東京都」と「喝」の画像と「飾区」とが表示される。これにより、サーバコンピュータ1の文書DB153が異体字に対応していない場合でも、異体字を利用可能なパーソナルコンピュータ2との間で、異体字に関するデータを取り扱うことが可能となる。
【0046】
実施の形態2
実施の形態2はパーソナルコンピュータ2で画像変換を行う形態に関する。図13及び図14は登録処理の手順を示すフローチャートである。CPU21は、表示部24にサーバコンピュータ1から送信されたデータ入力画面を表示する(ステップS131)。CPU21は、入力部23を介して登録情報を受け付ける(ステップS132)。CPU21は、登録情報にIDを付加する(ステップS133)。CPU21は、登録情報の文字の漢字の文字コードに異体字コードが付加されているか否かを判断する(ステップS134)。CPU11は、異体字コードが付加されていると判断した場合(ステップS134でYES)、ステップS135へ移行する。
【0047】
CPU21は、異体字を抽出し、異体字を画像に変換する(ステップS135)。CPU21は、抽出した異体字の位置をRAM22に記憶する。CPU21は、ID、登録情報、画像及び位置をサーバコンピュータ1へ送信する(ステップS136)。CPU21は、異体字コードが付加されていないと判断した場合(ステップS134でNO)、ステップS137へ移行する。CPU21は、ID及び登録情報をサーバコンピュータ1へ送信する(ステップS137)。サーバコンピュータ1のCPU11はID、及び登録情報を受信する。または、サーバコンピュータ1のCPU11は、ID、登録情報、画像及び位置を受信する。
【0048】
CPU11は、登録情報に異体字コードが付加されているか否かを判断する(ステップS138)。CPU11は、異体字コードが付加されていないと判断した場合(ステップS138でNO)、処理をステップS143へ移行させる。CPU11は、IDに対応づけて登録情報を文書DB153に記憶する(ステップS143)。CPU11は、異体字コードが付加されていると判断した場合(ステップS138でYES)、ステップS139へ移行する。CPU11は、IDに対応づけて異体字の位置、異体字コード及び受信した画像をコードファイル152に記憶する(ステップS139)。
【0049】
CPU11は、異体字に付加された標準字体コード及び異体字コードの内、異体字コードを削除する(ステップS141)。CPU11は、IDに対応づけて異体字コードを削除して標準字体コードに変更した登録情報を文書DB153に記憶する(ステップS142)。なお、他の異体字が文章中に含まれている場合、同様の処理を行えばよい。これによりパーソナルコンピュータ2側で画像変換を行う場合であっても同様に異体字を活用した文字の入出力が可能となる。
【0050】
本実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
実施の形態3
図15は上述した形態のサーバコンピュータ1の動作を示す機能ブロック図である。CPU11が制御プログラム15Pを実行することにより、サーバコンピュータ1は以下のように動作する。判断部101は標準字体とは字体が異なる異体字を特定する異体字コードが、文字列中の漢字の文字コードに付加されているか否かを判断する。記憶処理部102は、異体字コードが付加されていると判断した場合に、前記異体字コード、前記漢字の文字列中の位置及び前記異体字コードを削除した標準字体のコードを記憶部15に記憶する。付加部103は出力要求を受け付けた場合に、前記位置を参照して前記標準字体のコードに異体字コードを付加する。
【0052】
図16は実施の形態3に係るサーバコンピュータ1のハードウェア群を示すブロック図である。サーバコンピュータ1を動作させるためのプログラムは、ディスクドライブ等の読み取り部10AにCD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)ディスク、メモリーカード、またはUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体1Aを読み取らせて記憶部15に記憶しても良い。また当該プログラムを記憶したフラッシュメモリ等の半導体メモリ1Bをサーバコンピュータ1内に実装しても良い。さらに、当該プログラムは、インターネット等の通信網Nを介して接続される他のサーバコンピュータ(図示せず)からダウンロードすることも可能である。以下に、その内容を説明する。
【0053】
図16に示すサーバコンピュータ1は、上述した各種ソフトウェア処理を実行するプログラムを、可搬型記録媒体1Aまたは半導体メモリ1Bから読み取り、或いは、通信網Nを介して他のサーバコンピュータ(図示せず)からダウンロードする。当該プログラムは、制御プログラム15Pとしてインストールされ、RAM12にロードして実行される。これにより、上述したサーバコンピュータ1として機能する。
【0054】
本実施の形態3は以上の如きであり、その他は実施の形態1及び2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
以上の実施の形態1乃至3を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)
コンピュータに、
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断し、
前記文字の文字コードに選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶し、
出力要求を受け付けた場合、前記記憶部の記憶内容に基づき前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する
処理を実行させるプログラム。
【0057】
(付記2)
選択用文字コードが付加されていると判断した場合に、前記選択用文字コード、前記文字の前記入力文字列中の位置、前記異体字の画像及び前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶する
付記1に記載のプログラム。
【0058】
(付記3)
出力要求を受け付け、かつ異体字に対応していないと判断した場合、前記位置を参照して前記標準字体のコードを前記記憶部に記憶した前記異体字の画像に変換する
付記2に記載のプログラム。
【0059】
(付記4)
出力要求を受け付け、かつ異体字に対応していると判断した場合、前記位置を参照して前記標準字体のコードに選択用文字コードを付加する
付記3に記載のプログラム。
【0060】
(付記5)
出力要求を受け付け、かつ字体が異なっても良いと判断した場合、前記標準字体のコードを前記位置に係る選択用文字コードを付加することなく出力する
付記4に記載のプログラム。
【0061】
(付記6)
選択用文字コードが付加されていると判断した場合に、前記選択用文字コード及び前記文字の文字列中の位置を第1記憶部に記憶し、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを第2記憶部に記憶し、
出力要求を受け付けた場合に、前記第2記憶部から標準字体のコードを読み出し、前記第1記憶部に記憶した前記選択用文字コードを読み出し、前記第1記憶部に記憶した前記位置を参照して、前記標準字体のコードに選択用文字コードを付加する
処理を実行させる付記1から付記5のいずれか一つに記載のプログラム。
【0062】
(付記7)
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断する判断部と、
前記文字の文字コードに異体字を特定する選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶する記憶処理部と、
出力要求を受け付けた場合に、前記記憶部の記憶内容に基づき前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する付加部と
を備える情報処理装置。
【0063】
(付記8)
コンピュータを用いた情報処理方法において、
異体字を特定する選択用文字コードが、入力文字列中の文字の文字コードに付加されているかを判断し、
前記文字の文字コードに選択用文字コードが付加されている場合に、前記選択用文字コードと、前記文字の前記入力文字列中の位置と、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードを記憶部に記憶し、
出力要求を受け付けた場合に、前記記憶部の記憶内容に基づき、前記選択用文字コードを削除した標準字体のコードに対応する選択用文字コードを付加する
処理を含む情報処理方法。
【符号の説明】
【0064】
1 サーバコンピュータ
1A 可搬型記録媒体
1B 半導体メモリ
2 パーソナルコンピュータ
10A 読み取り部
11 CPU
12 RAM
13 入力部
14 表示部
15 記憶部
15P 制御プログラム
16 通信部
21 CPU
22 RAM
23 入力部
24 表示部
25 記憶部
25P 制御プログラム
26 通信部
101 判断部
102 記憶処理部
103 付加部
151 定義ファイル
152 コードファイル
153 文書DB
154 対応テーブル
N 通信網
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