(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路1の構成例を示した図である。半導体集積回路1は、第1の信号経路21と、キャパシタ10と、第2の信号経路22と、シールド部40とを備えている。
【0009】
第1の信号経路21(以下、「信号経路21」という)は、キャパシタ10の第1の電極11と第1の回路部31との間を伝達する第1の信号が通る導電部である。この第1の信号の具体例として、キャパシタ10の第1の電極11と第2の電極12との間の両端電圧を制御する、キャパシタ10の駆動信号が挙げられる。第1の回路部31は、抵抗素子等の任意の回路要素から構成された回路部であればよい。
【0010】
キャパシタ10は、信号経路21に導電的に接続される第1の電極11(以下、「電極11」という)と、電極11に対向する第2の電極12(以下、「電極12」という)とを有する蓄電部である。
【0011】
第2の信号経路22(以下、「信号経路22」という)は、電極12に導電的に接続され、電極12と第2の回路部32との間を伝達する第2の信号が通る導電部である。第2の回路部32は、抵抗素子等の任意の回路要素から構成された回路部であればよい。
【0012】
シールド部40は、信号経路22よりも低インピーダンスの信号経路21に導電的に接続され、電極12を除いて信号経路22をシールドする導電部である。つまり、シールド部40は、電極12をシールドしないように、信号経路22をシールドする。シールド部40は、信号経路22から放射されるノイズをシールドするものでもよいし、信号経路22に到来するノイズをシールドするものでもよい。また、シールド部40は、電極12だけでなく電極11もシールドしないように、信号経路22をシールドするものでもよい。シールド部40は、信号経路21と直流的に導通しているが、信号経路22と直流的に非導通である。
【0013】
このように、信号経路21に導電的に接続されるシールド部40が信号経路22をシールドするため、導電部23と基板50の少なくとも一方と信号経路22との間に発生する寄生容量Cpが信号経路22とシールド部40との間の寄生容量Cp3に置き換えられ、寄生容量Cp3は、キャパシタ10と並列接続の関係を有するように発生する。これにより、キャパシタ10の電気容量(キャパシタンス)を寄生容量Cp3の分だけ大きくできる。すなわち、寄生容量Cp3がキャパシタ10に対して並列に発生することによって、キャパシタ10の電気容量を大きくすることと同じ効果が得られる。
【0014】
したがって、キャパシタ10に蓄えられた電荷が、導電部23と基板50の少なくとも一方と信号経路22との間に発生した寄生容量Cpに移動することがあっても、キャパシタ10に接続される信号経路22の電圧降下を引き起こす寄生容量Cpの大部分は、キャパシタ10に対して並列に発生した寄生容量Cp3に置き換えられているため、信号経路22の電圧低下を抑制できる。
【0015】
なお、導電部23は、信号経路22の周辺に配置された導電部であり、信号経路21及び信号経路22とは別の導電部である。導電部23は、例えば、グランドなどの固定電位部でもよいし、信号経路21,22を伝達する信号とは別の信号が伝達する信号経路でもよい。
【0016】
また、基板50は、例えば、半導体集積回路1のシリコン基板である。第1の回路部31,信号経路21,キャパシタ10,信号経路22,第2の回路部32及びシールド部40は、キャパシタ10と並列の接続関係を有する寄生容量Cp3が発生するようなマスクレイアウトで、基板50上に形成されるとよい。
【0017】
図2,
図3は、半導体集積回路1の基板50上の回路レイアウト例を示した概略的な断面図である。
図2,
図3において、
図1で例示したキャパシタ10の描画は省略されているが、信号経路22は、キャパシタ10の電極12に導電的に接続された経路である。また、
図2,
図3は、X−Z平面における断面図であるが、信号経路22、導電部23、シールド部40及び基板50は、Y方向に延在するように構成されている。
図2は、シールド部40が無いレイアウトの一例であるレイアウト2を示し、
図3は、シールド部40が有るレイアウトの一例であるレイアウト3を示している。
【0018】
図2には、信号経路22と基板50との間にレイアウト依存で発生した寄生容量Cp1と、信号経路22と導電部23との間にレイアウト依存で発生した寄生容量Cp2とが示されている。
図2の導電部23は、基板50上に、信号経路22と同じ層に配置されている。
【0019】
寄生容量Cp1又はCp2が存在する場合、信号経路22に接続されるキャパシタ10に蓄えられた電荷は、寄生容量Cp1又はCp2との間で再配分されるため、信号経路22の電圧が本来の電圧値に対して低下するおそれがある。
【0020】
一方、
図3は、
図2のレイアウトに対して、信号経路22の長手方向に平行なY方向に並走するように信号経路22に近接して配置されたシールド部40を追加して設けた場合を示している。シールド部40は、キャパシタ10が接続される信号経路22の電圧低下を抑制する点で、基板50と導電部23の少なくとも一方と信号経路22との間に配置されていることが好ましい。シールド部40が基板50と導電部23の少なくとも一方と信号経路22との間に配置されているとは、シールド部40の全部が両者の間に配置されていることに限らず、シールド部40の一部が両者の間に配置されていることを含んでもよい。
【0021】
図3の場合、シールド部40は、信号経路22の周りを囲むように、基板50と導電部23の両方と信号経路22との間に配置されている。シールド部40が信号経路22の周りを囲むように配置されているとは、シールド部40が信号経路22の全部を囲むように配置されていることに限らず、シールド部40が信号経路22の一部を囲むように配置されていることを含んでもよい。
【0022】
シールド部40は、シールド配線41,42,43,44を含んで構成されている。シールド配線41は、信号経路22と基板50との間に配置され、信号経路22が配置された層に対して1段下方の基板50側の層に配置されている。シールド配線42は、信号経路22が基板50に対して積層されているZ方向に対して直交するX方向において、信号経路22を挟んで互いに反対側に配置され、信号経路22と同じ層に配置されている。シールド配線43は、信号経路22に対して基板50側とは反対側の層に配置され、信号経路22が配置された層に対して1段上方の層に配置されている。シールド配線44は、シールド配線41とシールド配線42とを導電的に接続する配線部と、シールド配線42とシールド配線43とを導電的に接続する配線部とを有している。シールド配線44は、コンタクトホール(ビア)でもよい。
【0023】
シールド部40が、基板50と導電部23の少なくとも一方と信号経路22との間に配置されることによって、寄生容量Cp1a及びCp2aが発生するだけでなく、寄生容量Cp3も発生する。寄生容量Cp1aは、シールド部40のシールド配線41と基板50との間に発生するものであり、寄生容量Cp2aは、シールド部40のシールド配線42と導電部23との間に発生するものである。寄生容量Cp3は、シールド部40と信号経路22との間に発生したものである。キャパシタ10の一方の低インピーダンス側の電極に繋がる信号経路に導電的に接続されるシールド部40は、キャパシタ10のもう一方の相対的に高インピーダンス側の電極に繋がる信号経路22をシールドしている。したがって、上述と同様に、寄生容量Cp3は、キャパシタ10に並列に接続されるように発生する。
【0024】
このように、
図2のようなレイアウトに対して
図3のようにシールド部40を配置することによって、
図2の寄生容量Cp1,Cp2を、
図3の寄生容量Cp1a,Cp2a,Cp3に置き換えることができる。寄生容量Cp1a(Cp2a)は、信号経路22と非導通のシールド部40と基板50(導電部23)との間に発生するものであり、寄生容量Cp3は、キャパシタ10に並列的に発生するものである。
【0025】
つまり、寄生容量Cp1a,Cp2aは、比較的低インピーダンスの回路に接続されたシールド部40により駆動され(電荷のチャージ、ディスチャージが行われ)、信号経路22との間で電荷の再分配を起こさない寄生容量であるため、信号経路22の電圧低下が抑えられる。また、寄生容量Cp3は、キャパシタ10に並列に接続されているため、信号経路22の電圧低下が抑えられる。そのため、寄生容量Cp1a,Cp2aが存在しても、信号経路22の電圧低下を抑えることができる。
【0026】
図4,
図5は、信号経路21,22とキャパシタ10の電極11,12との接続例である。
図4,
図5は、半導体集積回路1の構成の一部を概略的な断面図で示しており、各図の左側がZ−X平面における断面図を表し、各図の右側がZ−Y平面における断面図を表す。
図4は、信号経路21に導電的に接続される電極11が下部電極として構成され、信号経路22に導電的に接続される電極12が上部電極として構成されたレイアウト4を示している。
図5は、信号経路21に導電的に接続される電極11が上部電極として構成され、信号経路22に導電的に接続される電極12が下部電極として構成されたレイアウト5を示している。
【0027】
図4において、第1の回路31と電極11とを電気的に接続する信号経路21は、信号配線21a,21bを含んで構成されている。信号配線21aは、キャパシタ10の電極11及び電極12が配置されるキャパシタ層M
N−1に対して1段上方の配線層M
Nに配置された導電部である。信号配線21aは、電極11と電極12が対向するZ方向に対して直交するX方向において、信号配線22aを挟んで互いに反対側に配置され、信号配線22aと同じ層に配置されている。信号配線21bは、信号配線21aと電極11とを積層方向で接続するコンタクトホール等の導電部である。
【0028】
第2の回路32と電極12とを電気的に接続する信号経路22は、信号配線22a,22b,22cを含んで構成されている。信号配線22aは、信号配線21aと同じ配線層M
Nに配置された導電部である。信号配線22bは、信号配線22aと導電的に接続され、信号配線22aが配置される配線層M
Nと異なる配線層M
Xに配置された導電部である。信号配線22bが配置される配線層M
Xは、例えば、信号配線22aが配置される配線層M
Nに対して上方又は下方に位置する配線層である。信号配線22bは、電極11と電極12が対向するZ方向に直交するY方向に延伸するように配線層M
Xに配置されている。信号配線22aと信号配線22bとの間に、トランジスタ、抵抗等の回路用素子が挿入されてもよい。信号配線22cは、信号配線22aと電極12とを積層方向で接続するコンタクトホール等の導電部である。
【0029】
シールド部40は、信号経路21に導電的に接続され、電極12を除いて信号配線22bをZ方向で挟んでシールドするシールド配線40a,40bを有している。シールド配線40aは、信号配線22bが配置される配線層M
Xに対して1段上方の配線層M
X+1に配置された導電部である。シールド配線40aは、Y方向に並走するように信号配線22bに近接して配線層M
X+1に配置されている。シールド配線40bは、信号配線22bが配置される配線層M
Xに対して1段下方の配線層M
X−1に配置された導電部である。シールド配線40bは、Y方向に並走するように信号配線22bに近接して配線層M
X−1に配置されている。
【0030】
このように、信号経路21に導通するシールド配線40a,40bが信号配線22bを挟むように配置されることにより、キャパシタ10と並列の接続関係を有する寄生容量Cp3が、信号配線22bとシールド配線40aとの間に発生するとともに、信号配線22bとシールド配線40bとの間に発生する。したがって、キャパシタ10の電気容量を大きくすることと同じ効果が寄生容量Cp3によって得られるため、例えば信号配線22aと基板50との間に寄生容量が発生しても、信号配線22bの電圧が低下することを抑えることができる。
【0031】
一方、
図5において、第1の回路31と電極11とを接続する信号経路21は、信号配線21d,21eを含んで構成されている。信号配線21dは、キャパシタ10の電極11及び電極12が配置されるキャパシタ層M
N−1に対して1段上方の配線層M
Nに配置された導電部である。信号配線21dは、信号配線22dと同じ層に配置されている。信号配線21eは、信号配線21dと電極11とを積層方向で接続するコンタクトホール等の導電部である。
【0032】
第2の回路32と電極12とを電気的に接続する信号経路22は、信号配線22d,22e,22fを含んで構成されている。信号配線22dは、信号配線21dと同じ配線層M
Nに配置された導電部である。信号配線22dは、X方向において、信号配線21dを挟んで互いに反対側に配置されている。信号配線22eは、信号配線22dと電極12とを積層方向で接続するコンタクトホール等の導電部である。信号配線22fは、信号配線22dと導電的に接続され、信号配線22dが配置される配線層M
Nと異なる配線層M
Xに配置された導電部である。信号配線22fが配置される配線層M
Xは、例えば、信号配線22dが配置される配線層M
Nに対して上方又は下方に位置する配線層である。信号配線22fは、電極11と電極12が対向するZ方向に直交するY方向に延伸するように配線層M
Xに配置されている。信号配線22dと信号配線22fとの間に、トランジスタ、抵抗等の回路用素子が挿入されてもよい。
【0033】
シールド部40は、信号経路21に導電的に接続され、電極12を除いて信号配線22fをZ方向で挟んでシールドするシールド配線40c,40dを有している。シールド配線40cは、信号配線22fが配置される配線層M
Xに対して1段上方の配線層M
X+1に配置された導電部である。シールド配線40cは、Y方向に並走するように信号配線22fに近接して配線層M
X+1に配置されている。シールド配線40dは、信号配線22fが配置される配線層M
Xに対して1段下方の配線層M
X−1に配置された導電部である。シールド配線40dは、Y方向に並走するように信号配線22fに近接して配線層M
X−1に配置されている。
【0034】
このように、信号経路21に導通するシールド配線40c,40dが信号配線22fを挟むように配置されることにより、キャパシタ10と並列の接続関係を有する寄生容量Cp3が、信号配線22fとシールド配線40cとの間に発生するとともに、信号配線22fとシールド配線40dとの間に発生する。したがって、キャパシタ10の電気容量を大きくすることと同じ効果が寄生容量Cp3によって得られるため、例えば信号配線22dと基板50との間に寄生容量が発生しても、信号配線22fの電圧が低下することを抑えることができる。
【0035】
また、
図5において、電極12と基板50との間の寄生容量によって、電極12に導電的に接続される信号経路22の電圧低下を抑えるため、信号経路21に導電的に接続されるシールド配線45を、電極12と基板50との間に配置してもよい。これにより、電極12とシールド配線45との間に発生する寄生容量は、キャパシタ10と並列の接続関係を有するので、信号経路22の電圧低下を抑えることができる。
【0036】
次に、半導体集積回路1を適用可能な所定の機能を有する回路の具体例について説明する。
【0037】
図6は、半導体集積回路1を適用可能な昇圧回路の一例であるクロックブースター6の回路図である。
図7は、クロックブースター6のノードN8に入力される信号を生成する昇圧回路7の回路図である。各図面において、ゲートに丸印を付したトランジスタはPチャネル型MOSFETスイッチを表し、ゲートに丸印を付していないトランジスタはNチャネル型MOSFETスイッチを表し、符号IV*(*:任意の数字)は、インバータを表す。また、GNDは基準電圧(グランド電圧)を表し、VDDは電源電圧を表し、2VDDは電源電圧の2倍の電圧を表す。
【0038】
クロックブースター6の状態は、GND−VDD振幅のクロックがノードN1に入力されると、2つのモードに切り替えられる。ノードN1がGNDのとき、スイッチM0を介して昇圧用キャパシタC0に電荷が蓄えられる充電モードに切り替わり、ノードN1がVDDのとき、スイッチM1を介してノードN5に昇圧電圧を出力する放電モードに切り替わる。このようにモードが切り替わることにより、ノードN5から、GND−2VDDの振幅の電圧が出力される。ノードN5には、例えば、CMOSスイッチなどのオン/オフの切り替えが可能なスイッチ60が接続される。ノードN5から供給される昇圧電圧でスイッチ60がゲート駆動されることにより、スイッチ60のドレイン−ソース間の抵抗値を下げることができる。
【0039】
昇圧電圧(例えば2VDD)をノードN5から出力するとき、出力信号の配線経路72a,72b上のノードN4,N5に上述のような寄生容量Cpがあるならば、昇圧用キャパシタC0と寄生容量Cpとの間で電荷の再配分が発生するため、その昇圧電圧が降下する。配線経路72aは、スイッチM0と昇圧用キャパシタC0とスイッチM1とが接続される経路である。配線経路72bは、スイッチM1とスイッチM2とが接続される経路である。
【0040】
そこで、シールド部40が、昇圧用キャパシタC0を駆動する配線経路71上のノードN3の電圧を用いて、配線経路72a,72bのシールドを行う。配線経路71は、インバータIN2と昇圧用キャパシタC0とが接続される経路である。
【0041】
配線経路71に接続されるシールド40で配線経路72a,72bのシールドが行われると、上述と同様の寄生容量Cp3が新たに発生する。しかしながら、寄生容量Cp3は、昇圧用キャパシタC0と並列に接続されるとともに同じ信号で駆動されるため、昇圧電圧の降下を大きく引き起こす容量ではない。その結果、安定した昇圧が可能となる。これに対し、昇圧回路により昇圧された信号に対してグランドなどの固定電位でシールドを行う場合、電圧降下を引き起こす寄生容量が相対的に多く付加されることにより、昇圧電圧が大きく低下するおそれがある。
【0042】
本実施例では、昇圧回路により昇圧された信号に対し、昇圧に用いるキャパシタの駆動信号もしくはその同相信号が通るような低インピーダンスの信号配線で、シールドを行っている。これにより、昇圧電圧の低下の原因となる寄生容量(例えば、昇圧電圧の配線とその他の配線又は基板との間の寄生容量)は、シールド配線とその他の配線又は基板との間の寄生容量に置き換えられる。そして、昇圧電圧の配線とシールド配線との間の寄生容量は、昇圧に用いるキャパシタと並列に接続されるため、昇圧用のキャパシタ容量が大きくなるのと同じ効果が得られる。
【0043】
このように、昇圧電圧の低下を引き起こす寄生容量を、昇圧電圧の低下を起こさない容量に置き換えることができ、配線の引き回しなどのレイアウトに依存して、昇圧電圧が大きく低下することなく、安定した昇圧電圧を得ることが可能となる。
【0044】
例えば、昇圧用キャパシタC0の充電時と放電時の電荷は互いに等しいことから、
図6において、シールド部40が無い場合、昇圧電圧Vxは、
【0045】
【数1】
で表すことができる。つまり、式(1)に示されるように、寄生容量Cpがあるために、昇圧電圧Vxは、2VDDよりも低下する。
【0046】
これに対し、寄生容量Cp3が配線経路72aと配線経路71との間に発生するようにシールド部40を構成した場合、昇圧電圧Vxは、
【0047】
【数2】
で表すことができる。つまり、式(2)に示されるように、昇圧電圧Vxは、2VDDに等しい(電圧低下していない)。
【0048】
また、寄生容量Cp3が配線経路72bと配線経路71との間に発生するようにシールド部40を構成した場合、昇圧電圧Vxは、
【0049】
【数3】
で表すことができる。つまり、式(3)に示されるように、シールド部40が無い場合に比べて、昇圧電圧Vxの電圧低下量を抑えることができる。
【0050】
図8は、半導体集積回路1を適用可能な離散型回路の一例であるスイッチトキャパシタ回路8の回路図である。スイッチトキャパシタ回路8は、キャパシタに電荷を蓄えて信号を処理する回路であり、出力電圧outputが出力される出力端子に信号配線82を介して互いに共通に接続される電極を有する複数の電荷蓄積用キャパシタC1〜Cnを備えている。各々のキャパシタC1〜Cnは、信号配線82よりも低インピーダンスの信号配線81を介して、バイナリで入力される駆動信号input1〜input(n)で駆動される。これにより、駆動信号input1〜input(n)のそれぞれの入力有無に応じた出力電圧outputが、出力端子から出力される。
【0051】
シールド配線46は、高インピーダンスの信号配線82に対し、それぞれに対応する駆動信号input1〜input(n)の信号配線81でシールドを行う。寄生容量Cp1〜Cpnは、このシールドに伴って、シールド配線46と信号配線82との間に発生する。
【0052】
各シール配線46は、対応するキャパシタC1〜Cn間の容量比に応じたレイアウトで構成されていると好適である。これにより、出力電圧outputの電圧低下を抑えることができる。例えば、寄生容量Cp1〜Cpn間の容量比がキャパシタC1〜Cn間の容量比と等しくなるように(所望の出力電圧精度に収まる程度の容量比を含んでよい)、各シールド配線46の大きさ(例えば、配線長、配線面積)が調整されてもよいし、各シールド配線46と信号配線82との距離が調整されてもよい。
【0053】
例えば、
図8の回路が、キャパシタC1とキャパシタC2で電荷の再配分を行う回路の場合、
C1=C2=100fF, Cp1=10fF、outputの初期電圧=0、
input1から電荷を注入し、出力精度を1%/FS以内とする場合、出力電圧は、
output=(C1+Cp1)/(C1+Cp1+C2+Cp2)*input1
=110fF/(210fF+Cp2)*input
となる。上記設定においては、0.49≦input/output≦0.51に収めればよく、この値に収まるCp2としては5.68fF〜14.49fFに抑えればよいことが分かる。
【0054】
スイッチトキャパシタ回路8は、キャパシタの電荷再配分によって出力電圧を生成するADコンバータやDAコンバータ、スイッチトキャパシタ回路により増幅/積分するアンプ等に適用できる。出力電圧outputが出力される出力端子は、コンパレータやアンプの入力回路などの高インピーダンスの受け回路に接続されるとよい。駆動信号inputが入力される入力端子は、アンプ出力からのフィードバック信号が通るノードなど、比較的低インピーダンスの回路に接続されるとよい。
【0055】
図9は、半導体集積回路1を適用可能な離散型回路の一例である積分器9の回路図である。積分器9は、スイッチトキャパシタとオペアンプ90によるΔΣ変調器の積分器である。
図6に示すようなクロックブースター6によって安定した昇圧電圧を用いることで、
図9内のスイッチのオン/オフ特性を安定させ、レイアウト依存による特性の劣化を避けることが可能である。
【0056】
また、上述の図示と同様に、ハイインピーダンスの信号配線94を信号配線93の信号を用いてシールドし、さらに、信号配線93を信号配線91又は92の信号を用いてシールドすると好適である。また、信号配線95を信号配線96の信号を用いてシールドすると好適である。このようにシールドすることにより、電圧降下(感度低下)を引き起こす寄生容量(例えば、信号配線94又は信号配線94と基板との間の寄生容量)を減らし、SN比の劣化を避けることが可能である。
【0057】
図9において、望ましい寄生容量比は、Cp1:Cp2 =C1:C2である。寄生容量Cp1は、信号経路91に接続されるシールド配線と信号配線93との間の寄生容量である。寄生容量Cp2は、信号経路92に接続されるシールド配線と信号配線93との間の寄生容量である。
【0058】
なお、信号配線91'〜96'のシールドについては、信号配線91〜96のシールドと同様のため、その記載を省略する。
【0059】
以上、半導体集積回路を実施例により説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で、組み合わせ、置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【0060】
例えば、シールド部40は、信号経路22の全部をシールドせずに、信号経路22の一部をシールドするものでもよい。例えば
図3において、シールド部40は、信号経路22に対して上下左右斜めの方向に配置されてもよいし、それらの一部の方向に配置されるものでもよい。また、シールド部40は、信号経路22に対して2段以上上方又は下方の層に配置されてもよい。
【0061】
また、
図4,
図5に例示した構造は、配線層よりも下位に位置するキャパシタを備えるものであるが、配線層よりも上位に位置するMIM構造のキャパシタを備えるものでもよい。
【0062】
また、昇圧回路はクロックブースター以外の他の昇圧方式でもよく、例えば、チャージポンプ方式やブートストラップ方式でもよい。