特許第6019856号(P6019856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019856
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】端部位置判定装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20161020BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B65H7/14
   G03G21/00 370
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-157741(P2012-157741)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-19516(P2014-19516A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】野本 大貴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩介
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−233441(JP,A)
【文献】 特開2012−086921(JP,A)
【文献】 特開2009−012906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00 − 7/20
B65H 43/00 − 43/08
G03G 15/00、15/36、21/00
G03G 21/02、21/14、21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に複数の検出素子が配列され被搬送媒体の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段からの出力を予め定められた第1の閾値と比較することにより前記被搬送媒体の基準となる位置を決定する基準位置決定手段と、
前記基準位置決定手段によって決定された基準位置から、前記被搬送媒体の領域外に予め定められた第1の距離だけ離間した非前記被搬送媒体側の基準領域の面積と、前記被搬送媒体の内側に前記第1の距離よりも短い予め定められた第2の距離だけ離間した前記被搬送媒体側の基準領域の面積とに基づいて、前記被搬送媒体の端部を判定するための第2の閾値を算出する閾値算出手段と、
前記閾値算出手段によって算出された第2の閾値と前記検出手段の出力を比較することにより、前記被搬送媒体の端部位置を判定する端部位置判定手段とを備えたことを特徴とする端部位置判定装置。
【請求項2】
前記閾値算出手段は、非前記被搬送媒体側の基準領域の面積と、前記被搬送媒体の内側に前記第1の距離よりも短い予め定められた第2の距離だけ離間した前記被搬送媒体側の基準領域の面積との平均値に基づいて、前記被搬送媒体の端部を判定するための第2の閾値を算出することを特徴とする請求項1に記載の端部位置判定装置。
【請求項3】
前記検出手段からの出力に対して移動平均処理を施す平均処理手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の端部位置判定装置。
【請求項4】
前記基準位置決定手段は、前記被搬送媒体毎に第1の閾値を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の端部位置判定装置。
【請求項5】
被搬送媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段へ前記被搬送媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記被搬送媒体の搬送方向と交差する方向の端部位置を判定する請求項1乃至4のいずれかに記載された端部位置判定装置と、
前記端部位置判定装置の判定結果に基づいて前記画像形成手段の画像形成位置又は前記搬送手段の被搬送媒体の搬送位置を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端部位置判定装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置に用いられる端部位置判定装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2、特許文献3等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、発光部から照射される光を受光素子列からなる受光部で受光することで、搬送方向に直交する方向の用紙位置を用紙位置検出手段によって検出するにあたり、発光部の発光量及び用紙端部を判定する受光部出力の閾値を用紙種類に対応して有するテーブルを備えたものである。
【0004】
特許文献2は、発光部から照射される光を受光素子列からなる受光部で受光することで、搬送方向に直交する方向の用紙位置を用紙位置検出手段によって検出するにあたり、用紙端部を判定する受光部出力の閾値と用紙種類を対応させたテーブルを備えたものである。
【0005】
特許文献3は、被搬送媒体の搬送方向に交差する方向へ等間隔に複数並べられ、被搬送媒体の測定をする複数の測定手段の測定結果を記録するとともに、平均処理手段によって移動平均処理する一方、平均処理手段の結果を記録する平均処理記録手段に記録された結果に基づいて閾値決定手段によって閾値を決定し、平均処理記録手段の結果と閾値決定手段で決定された閾値により被搬送媒体の端部位置を位置判定手段によって判定するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−3734号公報
【特許文献2】特開2007−3736号公報
【特許文献3】特開2008−233441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、被搬送媒体の端部位置の判定精度を向上させることが可能な端部位置判定装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に複数の検出素子が配列され被搬送媒体の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段からの出力を予め定められた第1の閾値と比較することにより前記被搬送媒体の基準となる位置を決定する基準位置決定手段と、
前記基準位置決定手段によって決定された基準位置から、前記被搬送媒体の領域外に予め定められた第1の距離だけ離間した非前記被搬送媒体側の基準領域の面積と、前記被搬送媒体の内側に前記第1の距離よりも短い予め定められた第2の距離だけ離間した前記被搬送媒体側の基準領域の面積とに基づいて、前記被搬送媒体の端部を判定するための第2の閾値を算出する閾値算出手段と、
前記閾値算出手段によって算出された第2の閾値と前記検出手段の出力を比較することにより、前記被搬送媒体の端部位置を判定する端部位置判定手段とを備えたことを特徴とする端部位置判定装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記閾値算出手段は、非前記被搬送媒体側の基準領域の面積と、前記被搬送媒体の内側に前記第1の距離よりも短い予め定められた第2の距離だけ離間した前記被搬送媒体側の基準領域の面積との平均値に基づいて、前記被搬送媒体の端部を判定するための第2の閾値を算出することを特徴とする請求項1に記載の端部位置判定装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記検出手段からの出力に対して移動平均処理を施す平均処理手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の端部位置判定装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記基準位置決定手段は、前記被搬送媒体毎に第1の閾値を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の端部位置判定装置である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、被搬送媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段へ前記被搬送媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記被搬送媒体の搬送方向と交差する方向の端部位置を判定する請求項1乃至4のいずれかに記載された端部位置判定装置と、
前記端部位置判定装置の判定結果に基づいて前記画像形成手段の画像形成位置又は前記搬送手段の被搬送媒体の搬送位置を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、被搬送媒体の端部位置の判定精度を向上させることができる。
請求項2に記載された発明によれば、被搬送媒体の端部位置の判定精度をより一層向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、被搬送媒体の端部位置の判定精度をより一層向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、被搬送媒体の種類にかかわらず端部位置の判定精度を向上させることができる。
【0016】
請求項5に記載された発明によれば、被搬送媒体に形成される画像に位置ずれが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置を適用した画像形成装置を示す構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置を適用した他の画像形成装置を示す構成図である。
図3】CISセンサの使用状態を示す斜視構成図である。
図4】CISセンサの使用状態を示す平面構成図である。
図5】CISセンサの動作を示す断面構成、波形図及びグラフである。
図6】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置を適用した画像形成装置を示すブロック図である。
図7】CISセンサの配置を示す斜視構成図である。
図8】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示すフローチャートである。
図9】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示すグラフである。
図10】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示すグラフである。
図11】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示すグラフである。
図12】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示す説明図である。
図13】この発明の実施の形態1に係る端部位置判定装置の動作を示す説明図である。
図14】従来の端部位置判定装置の動作を示す説明図である。
図15】実験に用いたプレプリント用紙を示す説明図である。
図16】実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る端部位置判定装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はモノクロ画像形成装置の全体の概要を示し、図2はフルカラー画像形成装置の全体の概要を示している。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
図1に示す画像形成装置1aは、原稿の画像情報を読み取る画像読取部2と、画像読取部2において読み取られた原稿の画像情報又は外部から送られてくる画像情報(信号)に基づいて画像を形成する画像形成部3と、被搬送媒体を収納する媒体収納部4と、媒体収納部4に収納された被搬送媒体を画像形成部3へと搬送する媒体搬送部5と、画像形成部3から画像が転写され定着された被搬送媒体を排出する媒体排出部6とを備えるように構成されている。
【0021】
また、画像形成部3の上流側には、画像形成部3へ被搬送媒体を搬送するタイミングを調整するレジストロール7が配置されており、当該レジストロール7の被搬送媒体の搬送方向に沿った上流側に、端部位置判定装置の一部を構成するエッジセンサ8が配置されている。
【0022】
一方、図2に示すフルカラー画像形成装置1bは、原稿の画像情報を読み取る画像読取部2と、画像読取部2において読み取られた原稿の画像情報又は外部から送られてくる画像情報(信号)に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する画像形成部3Y、3M、3C、3Kと、これらの画像形成部3Y、3M、3C、3Kで形成された画像を重ね合わせた状態で一次転写し二次転写位置まで搬送する中間転写ベルト9と、被搬送媒体を収納する媒体収納部4と、媒体収納部4に収納された被搬送媒体を中間転写ベルト9の二次転写位置へと搬送する媒体搬送部5と、中間転写ベルト9から画像が一括して二次転写され定着された被搬送媒体を排出する媒体排出部6とを備えるように構成されている。
【0023】
また、この画像形成装置1bでは、中間転写ベルト9の二次転写位置へ被搬送媒体を搬送するタイミングを調整するレジストロール7の被搬送媒体の搬送方向に沿った下流側に、端部位置判定装置の一部を構成するエッジセンサ8が配置されている。
【0024】
なお、上記画像形成装置1a、1bは、いずれも画像を形成すべき被搬送媒体の一例としての用紙の種類や、プリント枚数などを指定する図示しないユーザインタフェース部を備えている。
【0025】
被搬送媒体の一例としては、普通紙やコート紙等の厚紙、あるいはOHPシート等以外にも、例えば、普通紙などに予め任意の色の枠や模様などが印刷された所謂プレプリント用紙が使用される場合がある。このプレプリント用紙は、普通紙等と異なり、予め枠や模様などが印刷されているため、周囲のエッジ部分を含めて一部の色や画像濃度が他の領域と異なるものである。
【0026】
<端部位置判定装置の構成>
端部位置判定装置10は、図3に示されるように、被検出媒体の一例としての記録用紙Pが搬送される搬送経路において、記録用紙Pの搬送方向と交差する方向の一端部に配置される検出手段としてのエッジセンサであるCIS(Contact Image Sensor)センサ8を備えている。CISセンサ8は、記録用紙Pの搬送方向と交差する方向に沿った一端部に配置され、記録用紙Pに対して光を照射するLED等からなる複数の発光素子11と、同じく記録用紙Pの搬送方向と交差する方向に沿って配置され、複数の発光素子11によって光が照射された記録用紙Pからの反射光を受光するCCD等からなる検出素子としての複数の受光素子12を備えている。また、CISセンサ8は、記録用紙Pからの反射光を受光素子12へと結像させるロッドレンズアレイ13を備えている。なお、発光素子11は、記録用紙Pの搬送方向と交差する方向に沿った検出領域にわたって光を照射可能なものであれば、単一の発光素子からなるものであっても良い。
【0027】
また、記録用紙Pを介してCISセンサ8と対向する位置には、図4に示すように、CISセンサ8の発光素子11からの光を反射する鏡面等からなる反射部材14が、CISセンサ8よりも大きく、且つ図1等に示されるように、記録用紙Pの搬送方向に沿った端部が下方に位置するように傾斜した状態で配置されている。
【0028】
上記CISセンサ8は、図5に示されるように、クロック信号(CLK)によって駆動され、トリガ信号(Trig)を基準として各受光素子12からの出力信号(Out)がアナログ信号として時系列的に出力される。CISセンサ8の出力信号(Out)は、記録用紙Pからの反射光の有無、及び反射光の強度によって決定される。なお、CISセンサ8の出力信号は、記録用紙Pの端部を検出する以前に、予め一様な強度の光を受光した場合に、各受光素子11の出力値が等しくなるよう所謂シェーディング補正が施される。
【0029】
上記CISセンサ8の各受光素子12の出力信号は、図6に示すように、画像処理部100に入力され、当該画像処理部100では予め定められた種々の処理が施される。画像処理部100では、CISセンサ8からの出力信号に対して移動平均処理を行い、図5(c)に示されるような移動平均データを得る。移動平均の処理は、例えば、注目画素とその前後に位置する2画素を含む5画素について平均化する処理を、注目画素を1画素ずつ移動させて行うものである。
【0030】
図6は画像形成装置1a、1bの各機能部を示すブロック図である。
【0031】
画像処理部100は、CISセンサ8の検出結果に基づいて、画像処理や演算処理等の動作を行い、記録用紙Pの端部位置を判定する端部位置判定装置として機能するものである。画像処理部100は、基準位置決定手段、閾値算出手段、端部位置判定手段としての機能を備えている。そして、記録用紙Pの端部位置の判定結果である端部位置情報を得ると、当該端部位置情報を制御部101へ出力する。
【0032】
制御部101は、画像処理部100からの端部位置情報に基づいて、記録用紙Pのサイズ毎に予め定められている端部の基準位置と、端部位置判定装置10で判定された端部位置との差分を算出し、この基準位置と実際に判定された端部位置との差分を相殺する補正量を求める。そして、制御部101は、求められた補正量の補正処理を行うように、媒体搬送部5又は画像形成部3の少なくとも一方に指示を与える。
【0033】
データ記憶部102は、画像処理部100や制御部101で使用されるデータを予め記憶している。
【0034】
媒体搬送部5は、制御部101からの指示に従い、画像形成部3よりも上流側の位置において、記録用紙Pを搬送方向と交差する方向に移動させて、記録用紙Pの端部位置に制御部101が求めた補正量を反映させる。記録用紙Pを搬送方向と交差する方向に移動する手段としては、公知のものを用いることができる。
【0035】
画像形成部3は、制御部101からの指示に従い、トナー像を形成するための静電潜像の書き出し位置を変更して、画像の書き出し位置に制御部101が求めた補正量を反映させる。画像の書き出し位置を変更する手段としても、公知のものを用いることができる。
【0036】
図7は画像形成装置のレジストロールの近傍を示す模式図である。
【0037】
レジストロール7は、画像形成部3で形成される画像と同期をとって記録用紙Pを画像形成部3へと搬送するものである。記録用紙Pの端部を検出するCISセンサ8は、例えば、レジストロール7の記録用紙Pの搬送方向に沿った上流側において、記録用紙Pの搬送方向と交差する方向に沿った一端部に配置される。
【0038】
CISセンサ8の配置は、制御部101が行う補正動作によって異なる。制御部101が求めた補正量について画像形成部3が像書き出し位置を変化させて補正する構成では、図1に示すように、像書き出しの開始前に記録用紙Pの端部が検出できる位置に配置され、具体的には、レジストロール7よりも記録用紙Pの搬送方向に沿った上流側に位置する。
【0039】
一方、制御部101が求めた補正量について媒体搬送部5が記録用紙Pの端部位置を移動させて補正する構成では、レジストロール7より用紙搬送方向下流側に位置する。両方に対応する場合は、それぞれの位置にCISセンサ8を重複して配置しても良い。
【0040】
また、CISセンサ8は、図7に示されるように、記録用紙Pの片側の端部位置を検出すべく、当該記録用紙Pの搬送路の一方の側に片寄って配置されている。そして、1つのCISセンサ8で用紙サイズの大小に対応できるように、用紙搬送方向と交差する方向に所定の大きさの検出幅を有している。このようなCISセンサ8としては、この実施の形態においては、用紙搬送方向と交差する方向の長さが100mm、1216画素の最大測定幅を有し、その最大幅内で300dpiの分解能を有するものを用いている。CISセンサ8は、用紙サイズの大小に対応するために上述した最大検出幅を有しているが、記録用紙Pの端部位置の検出時には、CISセンサ8の最大測定幅のうち、後述する方法で特定される記録用紙Pの端部通過位置を中心とした10mm、256画素の測定幅で測定を行う。
【0041】
<画像形成装置の全体の動作>
この実施の形態に係る端部位置判定装置を適用した画像形成装置は、次のようにして、被搬送媒体の端部位置を判定しつつ画像形成を行う。
【0042】
画像形成動作の開始信号がユーザインタフェース部から出力されると、制御部101は、図6に示されるように、媒体搬送部5及び画像形成部3などを起動する。
【0043】
媒体搬送部5が起動されると、媒体収容部4からユーザインタフェース部からの指令に従って指定されたサイズ及び種類の記録用紙Pが給紙され、媒体搬送部5を介して画像形成部3へと搬送される。その際、記録用紙Pの端部位置がエッジセンサとしてのCISセンサ8によって検出される。CISセンサ8からの検出信号は、図6に示されるように画像処理部100へ入力され、画像処理部100によって記録用紙Pの端部位置が判定される。
【0044】
図8は、端部位置判定装置の判定動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、まず、被搬送媒体が普通紙である場合の端部位置の判定動作について説明し、その後、被搬送媒体がプレプリント用紙である場合について説明する。
【0045】
画像形成装置1a、1bでは、記録用紙Pの端部位置の判定動作を行う際に、まず、画像処理部100が、CISセンサ8によって、検出範囲の一例である検出領域の設定を行う(ステップ101)。端部位置の判定対象となる記録用紙Pのサイズは、予めユーザインタフェース部での操作内容から特定されるので、当該記録用紙Pの端部が通過する位置も判定される。そのため、画像処理部100は、CISセンサ8における最大測定幅から、端部通過位置に対応する所定幅(端部通過位置を中心にして256画素分、10mm程度の測定幅)を検出領域として、CISセンサ8による検出領域を設定する。つまり、画像処理部101は、CISセンサ8による検出領域の設定を行う設定手段として機能するものである。
【0046】
そして、画像処理部100は、CISセンサ8の検出領域を設定した後、レジユニットが有する図示しない用紙通過センサによる信号出力があると、これを開始トリガにして、図5(b)に示されるように、CISセンサ8が記録用紙Pの端部の検出を開始する。
【0047】
その際、CISセンサ8の出力信号は、図9に示すように、検出領域内で評価開始画素位置から評価終了画素位置までの間に位置する評価領域201を設定して処理され、設定された評価領域201を1画素ずつ一方向(図示例では右方向)に移動させながら、CISセンサ8の検出値の移動平均を求める演算処理が実行される(ステップ102)。この移動平均を求める演算処理は、例えば、評価開始画素位置から評価終了画素位置までの16画素の検出値を平均処理し、この平均処理値を評価開始画素位置に位置する画素の検出値とすることによって行う。以下、1画素ずつ移動させていくことによって、検出領域すべての移動平均値が求められる。
【0048】
図9はCISセンサ8の検出値の移動平均を求める演算処理を実行した結果を示すグラフである。
【0049】
次に、画像処理部100は、予め記憶された所定の閾値である第1の閾値と移動平均データとを比較し、評価領域201の移動平均データが第1の閾値Th1を初めて下回る領域である基準画素202を抽出する(ステップ103)。なお、画像処理部100は、記録用紙Pの種類に応じて所定の閾値である第1の閾値を決定するように構成されている。
【0050】
その後、画像処理部100は、図10に示されるように、基準画素202を抽出すると、当該基準画素202から予め定められた第1の距離L1に対応した画素数(例えば、60画素)だけ記録用紙Pの外側に移動した位置の抽出領域を非用紙側の基準領域203として決定するとともに、基準画素202から予め定められた第2の距離L2に対応した画素数(例えば、40画素)だけ記録用紙Pの内側に移動した位置の抽出領域を用紙側の基準領域204として決定する。
【0051】
そして、画像処理部100は、非用紙側の基準領域203の面積S1と用紙側の基準領域204の面積S2の平均値を演算し、平均エッジ検出値205とする(ステップ104)。
【0052】
その際、用紙側の第2の距離L2は、非用紙側の第1の距離L1よりも短く設定されており、用紙側の基準領域204は、非用紙側の基準領域203に対して、基準画素201から被搬送媒体の内側に近い領域が選択される。これは、非用紙側の基準領域203は、基準画素202から被搬送媒体の外側に離れた領域である方が、記録用紙Pの端部から確実に記録用紙Pが存在しない非用紙側の領域を選択することができる。これに対して、用紙側の基準領域204は、基準画素201から記録用紙Pの内側に近い領域である方が、記録用紙Pが用紙の端部に枠や図柄等が予めプリントされているプレプリント用紙である場合でも、記録用紙Pの端部の枠や図柄等に応じた反射光量を計測できる端部領域を選択することが可能であるためである。
【0053】
次に、画像処理部100は、平均エッジ検出値205にレジスタ値を加算することにより第2の閾値Th2を算出する(ステップ105)。ここで、レジスタ値は、平均エッジ検出値205を補正する値であり、初期値は、「0」に設定されている。
【0054】
次に、画像処理部100は、図10に示されるように、検出領域内で評価領域を1画素ずつ移動させながら検出値の移動平均を求める(ステップ106)。そして、画像処理部100は、評価領域のうち第2の閾値(Th2)に最も近い当該第2の閾値(Th2)を上回る抽出領域206と当該第2の閾値を下回る抽出領域207とを抽出する(ステップ107)。
【0055】
最後に、抽出された2つの第2の閾値(Th2)を上回る抽出領域206と当該第2の閾値(Th2)を下回る抽出領域207の移動平均値M、N及び抽出領域の第2の閾値(Th2)近傍の当該第2の閾値(Th2)を上回る抽出領域206の左端の画素位置GAから記録用紙Pのエッジ位置を算出して、算出された画素位置を記録用紙Pの端部であると判定して画像処理部100に設けられた図示しないレジスタに格納する(ステップ108)。
【0056】
更に説明すると、図12に示されるように、記録用紙Pのエッジ位置は、次式によって求められる。
記録用紙Pのエッジ位置=GA+(GB−GA)・{(M−Th2)/(M−N)}
【0057】
なお、CISセンサ8として解像度の高いものを使用した場合には、上述した演算は必ずしも必要ではなく、第2の閾値Th2と等しいか又は第2の閾値Th2を下回る抽出領域207の画素位置を記録用紙Pの端部と判定しても良い。
【0058】
次に、被搬送媒体がプレプリント用紙Pである場合の端部位置の判定動作について説明する。ここでは、図13に示されるように、記録用紙Pの搬送方向と交差する方向の端部に用紙の搬送方向に沿って予め定められた幅で帯状に着色されたプレプリント部P’を有するプレプリント用紙を用いるものとする。
【0059】
このプレプリント用紙Pの端部位置の判定については、図10及び図13に示すように、基準画素202から予め定められた第1の距離L1に対応した画素数(例えば、60画素)だけ記録用紙Pの外側に移動した位置の抽出領域が非用紙側の基準領域203として決定するとともに、基準画素から予め定められた第2の距離L2に対応した画素数(例えば、40画素)だけ記録用紙Pの内側に移動した位置の抽出領域が用紙側の基準領域204として決定される。
【0060】
その際、非用紙側の基準領域203は、第1の距離L1を相対的に大きな値に設定することにより、確実に記録用紙が存在しない領域を選択することができる。一方、用紙側の基準領域204は、第2の距離L1を相対的に小さな値に設定することにより、記録用紙Pの端部に帯状のプレプリント部P’が存在する場合、当該プレプリント部P’が存在する端部領域を選択することができる。
【0061】
そのため、平均エッジ検出値を求める際に、記録用紙Pが存在しない領域とプレプリント用紙Pのプレプリント部P’が存在する端部領域を選択することができ、プレプリント用紙Pの端部を判定する際の精度を向上させることができる。
【0062】
これに対して、用紙側の基準領域204として、第2の距離L1を相対的に大きな値に設定した場合には、図14に示されるように、プレプリント用紙Pの端部とは濃度が異なる領域が用紙側の基準領域204として選択されてしまい、プレプリント用紙Pの端部を誤って検出してしまう虞れがある。
【0063】
実験例
そこで、本発明者らは、本発明の効果を確認するため、図15に示されるように、テスト用紙Pの端部に黒色に着色した帯状画像からなるプレプリント部P’を形成し、当該帯状画像の幅を1mm、2mm、3mm、4mm、8mmと変化させた場合に、用紙Pの端部の検出位置がどのようにずれるかを確認する実験を行った。
【0064】
図16は上記実験の結果を示すものである。
【0065】
この図16から明らかなように、本発明を適用した場合には、エッジ検出の位置ずれ量を約0.15mm以下に抑えることができるのに対して、従来技術の場合には、帯状画像の幅が3mmを超えると、約0.4mm程度のエッジ検出の位置ずれが発生することが判る。
【符号の説明】
【0066】
3:画像形成部、5:媒体搬送部、8:CISセンサ、100:画像処理部、101:制御部。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16