特許6019904IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

この発明は、スイッチング素子によるパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)により直流を交流に変換して交流電動機に供給するPWMインバータなどの電力変換装置の制御技術

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

PWMインバータにより三相交流電圧を発生させる場合、各相の電圧指令の周波数(以下、一次周波数)に対するキャリア周波数の比率R(比率R=キャリア周波数÷一次周波数と定義する)は9〜10倍以上とする必要がある。比率Rが十分に高くないと電圧ひずみが発生し、交流電動機の駆動制御に支障を来たす虞があるからである。電圧ひずみの発生を抑えるという観点からすると、一次周波数に対するキャリア周波数の比率Rは高ければ高いほど好ましいのであるが、交流電動機に流す電流の大きさとの関係でキャリア周波数には上限が存在する。その理由は以下の通りである。キャリア周波数が高いほど、また、交流電動機に流す電流が大きいほどPWMインバータにおけるスイッチング損失は増加し、スイッチング損失の増加はスイッチング素子の温度上昇として現れる。スイッチング素子の温度が高くなりすぎると、素子の特性が変化したり、スイッチング素子の破損が発生したりするため、スイッチング損失はスイッチング素子の冷却能力等に見合った範囲に収まっていなければならない。つまり、交流電動機に所定の電流を流す際のキャリア周波数の上限は、その交流電動機に三相交流電力を供給するPWMインバータに含まれるスイッチング素子の冷却能力等に応じて定まるのである。以下、スイッチング素子の冷却能力等に応じて定まる上限のことを「電流によるキャリア周波数の上限」と呼ぶ。 交流電動機の設計方法としては、所定の定格速度を設け、定格の負荷条件として、定格速度以下はトルクを一定値とし、定格速度以上は出力を一定値とすることが一般的である。この場合、出力一定の定出力領域ではトルク一定の定トルク領域に比較して交流電動機に流れる電流が小さくなる傾向がある。特に、永久磁石同期電動機においてマグネットトルクのみを使う場合、定出力領域において交流電動機に流れる電流は速度に反比例して減少するため(図9参照)、この傾向が顕著になる。なお、図9に示す例は、交流電動機の一次周波数・電流特性であるが、交流電動機の速度は一次周波数に応じて定まるため、この一次周波数・電流特性は速度・電流特性と等価である。PWMインバータによる駆動制御の対象となる交流電動機が図9に示す速度・電流特性を有している場合には、交流電動機に流れる電流の大きさが速度(一次周波数)に応じて図9に示すように変化することを考慮してキャリア周波数を適切に設定しなければならない。 例えば、図10の「低い設定値」に示すように、キャリア周波数が低くすぎるとfAを上回る一次周波数では比率Rが所定値nを下回る。前述したように、比率Rが所定値nを下回る状態では大きな電圧ひずみが発生し、交流電動機の駆動制御が不能になる虞がある。逆に、図10の「高い設定値」に示すように、キャリア周波数が高すぎると、fB以下の一次周波数ではキャリア周波数が「電流によるキャリア周波数の上限」を上回り、スイッチング損失が増大する。このため、一次周波数がfB以下の領域ではスイッチング損失に起因する発熱量が素子の冷却能力に見合ったものとなるように交流電動機に流す電流を低減させることが必要となり、所定の電流を流すことができなくなってしまう。 本発明は課題に鑑みて為されたものであり、第1の目的は、交流電動機に三相交流電力を供給する電力変換装置の制御を行う際に交流電動機の速度に応じて定まる電流を確実に流せるようにすることであり、第2の目的は、交流電動機に三相交流電力を供給する電力変換装置の制御を行う際に予め定められた最高速度までの全速度範囲に亘って電圧ひずみの発生を確実に抑えることである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

課題を解決するために本発明は、スイッチング素子によるパルス幅変調を用いて直流を三相の交流に変換し交流電動機に供給するPWMインバータなどの電力変換装置の制御を行う制御装置に、PWM変調に使用するキャリアの周波数であるキャリア周波数を一次周波数に応じて設定するキャリア周波数設定部を設ける。そして、スイッチング素子の冷却能力と交流電動機に流れる電流の大きさに応じて定まる上限値を上回らないよう・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明の第1実施形態の制御装置3Aの構成例を示すブロック図である。

【図2】本実施形態における一次周波数と交流電動機1に流れる電流の関係を示す図である。

【図3】本実施形態における一次周波数およびキャリア周波数の関係を示す図である。

【図4】本発明の第2実施形態の制御装置3Bの構成例を示すブロック図である。

【図5】同制御装置3Bのキャリア周波数設定部60Bの動作を説明するための図である。

【図6】本実施形態におけるキャリア周波数のパターンを示す図である。

【図7】交流電動機1へ三相交流電力を供給するPWMインバータ2の制御を行う従来の制御装置3の構成例を示すブロック図である。

【図8】同制御装置3における電圧指令、キャリアおよびPWM指令の関係を示す図である。

【図9】交流電動機の速度・電流特性の一例を示す図である。

【図10】従来技術の問題点を説明するための図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1…交流電動機、2…PWMインバータ、3,3A、3B…制御装置、10…位置・速度検出部、20,20A…モータ制御器、30…電流座標変換部、40…電圧座標変換部、50…キャリア生成部、60,60A,60B…キャリア周波数設定部、70…PWM演算部、80…電流振幅演算部。

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