特許第6019908号(P6019908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6019908タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019908
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20161020BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20161020BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C08L15/00
   C08L71/02
   C08K3/36
   C08K5/54
   C08K3/04
   B60C1/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-175978(P2012-175978)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-34620(P2014-34620A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三原 諭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】築島 新
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/031686(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/090819(WO,A1)
【文献】 特開2011−241401(JP,A)
【文献】 特開2008−208309(JP,A)
【文献】 特開2011−057965(JP,A)
【文献】 特開2011−173986(JP,A)
【文献】 国際公開第01/083566(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/145073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08K 3/00−13/08
C08C 19/00−19/44
C08G 18/00−18/87
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基と反応可能な基で変性された芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを30質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対して、シリカ20〜120質量部、シランカップリング剤0.5〜15質量部、CTAB比表面積が30〜150m/gのカーボンブラック5〜100質量部、ブロックドイソシアネート基を有する環状分子、該環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子および該直鎖状分子から前記環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両端に配置される封鎖基を有するポリロタキサン化合物1〜30質量部を配合することを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記イソシアネート基と反応可能な基が、水酸基またはカルボキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記環状分子がシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記直鎖状分子がポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、破断強度を高め、ウェット性能を著しく改善したタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ関連技術分野においては、タイヤに対する本質的な要求特性として、制動性能の更なる向上が継続的に求められている。とくに、湿潤路面での高い制駆動性(ウェット性能)の改善が強く求められている。この目的を達成するために、例えば下記特許文献1および2は、シリカをタイヤ用ゴム組成物に配合することを開示している。一方、下記非特許文献1は、ウェット性能改善のために凝着摩擦に着目した研究を掲載している。また、下記特許文献3は、ゴム物性により凝着摩擦力を適正に制御する技術を開示している。
しかしながら、当業界においてウェット性能のさらなる改善の要求は高く、従来技術のタイヤ用ゴム組成物よりもさらにウェット性能を向上させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州公開特許第0501227A1号明細書
【特許文献2】特開平7−48476号公報
【特許文献3】特許第4326194号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本ゴム協会誌、第74巻、第11号(2001年)、第443頁、「シリカ配合およびカーボン配合SBRの摩擦機構に関する研究 第2報 ぬれ面との摩擦」、網野直也、内山吉隆、岩井智昭著
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、破断強度を高め、ウェット性能を著しく改善したタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の変性基を有する芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに、シリカの特定量、シランカップリング剤の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、特定ポリロタキサン化合物の特定量を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
【0007】
1.イソシアネート基と反応可能な基で変性された芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを30質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対して、シリカ20〜120質量部、シランカップリング剤0.5〜15質量部、CTAB比表面積が30〜150m/gのカーボンブラック5〜120質量部、ブロックドイソシアネート基を有する環状分子、該環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子および該直鎖状分子から前記環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両端に配置される封鎖基を有するポリロタキサン化合物1〜30質量部を配合することを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
2.前記イソシアネート基と反応可能な基が、水酸基またはカルボキシル基であることを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
3.前記環状分子がシクロデキストリンであることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記直鎖状分子がポリエチレングリコールであることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の変性基を有する芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに、シリカの特定量、シランカップリング剤の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、特定ポリロタキサン化合物の特定量を配合したので、破断強度を高め、ウェット性能を著しく改善したタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを必須成分として含むものであって、該芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、イソシアネート基と反応可能な基で変性されてなる。
芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、α−メチル−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられ、中でもSBRが好ましい。
また、イソシアネート基と反応可能な基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミン基等が挙げられ、中でも破断強度を高めるという観点から水酸基、カルボキシル基が好ましい。
イソシアネート基と反応可能な基で変性された芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは公知であり、市販品を適宜利用することができる。例えば、水酸基で変性されたSBRとしては、旭化成(株)製商品名E581が挙げられる。カルボキシル基で変性されたSBRは特開2011−173986号公報により開示され公知であり、例えば下記のようにして得られる。
S-SBR(LANXESS社製品ゴムブナ VSL 5025-0)45kgをシクロヘキサン275kg中に溶解させた80℃の溶液中に、3-メルカプトプロピオン酸288gおよびジラウロイルパーオキシド23gを加えた後、この温度を保ちながら2時間攪拌する。これに、安定剤(LANXESS社製品Vulkanox 4020)230gおよびモービル社製品モービルゾルK 17.12kgを添加した後、溶媒を水蒸気蒸留によって除去する。減圧下に70℃で乾燥した後、鉱油(H&R社製品Vivatec500)を37.5phrの割合で加え、油展カルボキシル基変性S-SBRを得る。
また、本発明で使用されるジエン系ゴムは、前記芳香族ビニル−共役ジエン系ゴム以外にも、タイヤ用ゴム組成物に配合することができる任意のゴムを併用することができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられ、中でも破断強度を高めるという観点からBRが好ましい。
なお、本発明で使用されるジエン系ゴムの全体を100質量部としたときに、芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは30質量部以上を使用するのが好ましい。
【0010】
(シリカ)
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からタイヤ用ゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカのCTAB比表面積(JIS K6217−3)は、40〜250m/gであるのが好ましい。
【0011】
(シランカップリング剤)
本発明で使用されるシランカップリング剤としては、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであればよいが、中でも硫黄含有シランカップリング剤が好ましい。具体的には、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、下記式(1)で表される化合物、および/または、下記式(2)で表される繰り返し単位および下記式(3)で表される繰り返し単位を有する共重合物などのメルカプト系シランカップリング剤が挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
(式(1)中、R21は、炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。R22は、炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。R23は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。R24は炭素数1〜30のアルキレン基を表す。lは1〜2の整数を表し、mは1〜2の整数を表し、nは0〜1の整数を表し、l、mおよびnはl+m+n=3の関係式を満たす。lが2である場合の複数あるR21はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、mが2である場合の複数あるR22はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0014】
【化2】
【0015】
(式(2)および(3)中、R31およびR41は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
32およびR42は、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R32が末端である場合、R32は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。R42が末端である場合、R42は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基を表す。
33およびR43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルキニル基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、または、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基であって末端に水酸基もしくはカルボキシル基を有するもの、を表す。
32およびR33は、R32とR33とで環を形成していてもよい。
42およびR43は、R42とR43とで環を形成していてもよい。
34は、炭素数1〜13のアルキル基を表す。
複数あるR31、R32、R33、R34、R41、R42およびR43はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお共重合体の繰り返し単位中、式(2)で表される繰り返し単位は、10〜90%を占めるのが好ましい。)
【0016】
(カーボンブラック)
本発明で使用されるカーボンブラックは、本発明の効果の観点から、CTAB比表面積が30〜150m/gであることが必要であり、80〜130m/gであることが好ましい。CTAB比表面積は、JIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
【0017】
(ポリロタキサン化合物)
本発明で使用されるポリロタキサン化合物は、ブロックドイソシアネート基を有する環状分子、該環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子および該直鎖状分子から前記環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両端に配置される封鎖基を有する。このようなポリロタキサン化合物およびその製造方法は公知であり、例えば国際公開第WO2009/031686号パンフレット、特開2011−241401号公報等に開示されている。
【0018】
前記環状分子としては、その開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接される分子であり、活性基を有するのであれば、特に限定されない。
活性基として、−OH、−SH、−NH、−COOH、−SOHおよびPOHからなる群から選ばれる基由来であるのがよい。
環状分子として、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンからなる群から選択されるのがよい。α−シクロデキストリンなどの−OH基の一部を、他の基、例えば上述の基に置換してもよい。なお、環状分子は、上述の活性基以外の基を有してもよい。
【0019】
活性基以外の基の例として、アセチル基、プロピオニル基、ヘキサノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、1,2-ジヒドロキシプロピル基、シクロヘキシル基、ブチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、フェニル基、ポリカプロラクトン基、アルコキシシラン基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはシンナモイル基、ポリマー鎖(ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基など)、もしくはこれらの誘導体が挙げられる。また、上記活性基が直接環状分子に結合されても、活性基以外の基を介して環状分子に結合されてもよい。
【0020】
また、環状分子は、ブロックドイソシアネート基を有する。ブロックドイソシアネート基は、イソシアネート基が保護基によって保護されている形態を指し、保護基としてはε−カプロラクタム、1,2−ピラゾール、ブタノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジイソプロピルアミン、3,5−ジメチルピラゾール、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、N,N’−ジフェニルホルムアミジン等が挙げられる。好ましくはε−カプロラクタム、3,5−ジメチルピラゾールまたはブタノンオキシムであるのがよく、より好ましくはε−カプロラクタムまたは3,5−ジメチルピラゾールであるのがよい。
ブロックドイソシアネート基を有する環状分子は、例えば環状分子としてシクロデキストリン類を用いた場合、少なくとも一つのイソシアネート基を保護基により保護された多官能イソシアネート化合物をシクロデキストリン類のアルコール性水酸基と縮合ないしは置換等の反応により結合させて得ることができる。
【0021】
前記直鎖状分子としては、環状分子の開口部に串刺し状に包接され得るものであれば、特に限定されない。
例えば、直鎖状分子として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等および/またはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等;およびこれらの誘導体または変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、並びにこれらの誘導体からなる群から選ばれるのがよい。例えばポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールおよびポリビニルメチルエーテルからなる群から選ばれるのがよい。特にポリエチレングリコールであるのがよい。
【0022】
直鎖状分子は、その重量平均分子量が3,000以上、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000であるのがよい。
【0023】
環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量を1とした場合、前記環状分子が0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.4の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのがよい。
なお、環状分子の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子の厚さとにより、決定することができる。例えば、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、環状分子がα−シクロデキストリン分子の場合、最大包接量は、実験的に求められている(Macromolecules 1993, 26, 5698-5703参照)。
【0024】
封鎖基は、擬ポリロタキサンの両端に配置され、環状分子が脱離しないように作用する基であれば、特に限定されない。
例えば、封鎖基として、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つまたは複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つまたは複数存在してもよい。)、およびステロイド類からなる群から選ばれるのがよい。なお、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、およびピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはアダマンタン基類またはトリチル基類であるのがよい。
【0025】
上記のようなポリロタキサン化合物は、市販されているものを利用することができ、例えばアドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製の商品名セルムエラストマーS1000、セルムエラストマーM1000等が挙げられる。
【0026】
(充填剤)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えば無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
【0027】
(タイヤ用ゴム組成物の配合割合)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカ20〜120質量部、シランカップリング剤0.5〜15質量部、CTAB比表面積が70〜150m/gのカーボンブラック5〜100質量部、ポリロタキサン化合物1〜30質量部を配合してなることを特徴とする。
シリカが20質量部未満であると、充分な補強性およびウェット性能が得られない。逆に120質量部を超えると、加工性が悪化する。
シランカップリング剤が0.5質量部未満では配合量が少な過ぎてシランカップリング剤の添加に基づく効果を発揮することができない。逆に15質量部を超えると、余分なシランカップリング剤同士の縮合を引き起こし、物性および加工性が悪化し、好ましくない。
カーボンブラックが5質量部未満では、加工性が悪化し、逆に100質量部を超えると破断物性やウェット性能が悪化する。
ポリロタキサン化合物が1質量部未満では、配合量が少な過ぎてポリロタキサン化合物の添加に基づく効果を発揮することができない。逆に30質量部を超えると、破断強度が低下し、ウェット性能を改善することができない。
【0028】
シリカのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、20〜110質量部である。
シランカップリング剤のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜12質量部である。
カーボンブラックのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、10〜60質量部である。
ポリロタキサン化合物のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2〜20質量部である。
【0029】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。また本発明のタイヤ用ゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに使用することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、とくにトレッド(とくにキャップトレッド)に有用である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0031】
標準例、実施例1〜4および比較例1〜6
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫促進剤および硫黄を加えてオープンロールにて混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
【0032】
破断強度および破断伸び:JIS K6251に基づき、100℃にて測定した。結果は、標準例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど破断強度および破断伸びに優れることを示す。
ウェット性能(ウェットスキッド):ブリティッシュスタンダードポータブルスキッドテスター(スタンレイ・ロンドン社製)を用いて、湿潤路面の条件下で、ASTM E−303−83の方法に準拠して測定した。該測定により、湿潤路面でのグリップ特性(駆動性脳、制動性能および操縦性能)を評価できる。結果は、標準例1の値を100とし、指数表示した。数値が大きい程、ウェット性能に優れることを意味する。
結果を表1に併せて示す。
【0033】
【表1】
【0034】
*1:SBR−1(旭化成(株)製E581、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*2:末端未変性SBR−2(ランクセス社製Buna VSL5025−HM−1、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*3:BR(日本ゼオン(株)製Nipol 1220)
*4:ポリロタキサン化合物−1(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製セルムエラストマーS1000、環状分子としてブロックドイソシアネート基を有するシクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、封鎖基としてアダマンタン基を有する)
*5:ポリロタキサン化合物−2(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製セルムエラストマーM1000、環状分子としてブロックドイソシアネート基を有するシクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、封鎖基としてアダマンタン基を有する)
*6:ポリエチレングリコール(ライオン(株)製PEG#600)
*7:シリカ(ローディア社製Zeosil 1165MP、CTAB比表面積=155m/g)
*8:シランカップリング剤(エボニックデグッサジャパン(株)製Si69)
*9:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト6、CTAB比表面積=90m/g)
*10:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*11:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*12:老化防止剤(フレキシス社製6PPD)
*13:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エクストラクト4号S)
*14:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*15:加硫促進剤−1(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*16:加硫促進剤−2(三新化学工業(株)製サンセラーD−G)
【0035】
上記の表から明らかなように、実施例1〜4で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、特定の変性基を有する芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに、シリカの特定量、シランカップリング剤の特定量、特定のカーボンブラックの特定量、特定ポリロタキサン化合物の特定量を配合したので、従来の代表的な標準例1に比べて、破断強度が向上し、ウェット性能が著しく改善されている。
これに対し、比較例1は、末端未変性SBRを配合したので、破断強度およびウェット性能の向上が確認されなかった。
比較例2は、比較例1の組成物に対してポリロタキサン化合物を増量したものの、やはり破断強度およびウェット性能の向上が確認されなかった。
比較例3は、ポリロタキサン化合物の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、破断強度およびウェット性能の向上が確認されなかった。
比較例4は、ポリロタキサン化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、破断強度およびウェット性能が悪化した。
比較例5は、ポリロタキサン化合物を配合せず、その替わりに直鎖状分子であるポリエチレングリコールを配合しただけであるので、破断強度およびウェット性能が悪化した。
比較例6は、比較例5の組成物に対してポリエチレングリコールを増量したものの、やはり破断強度およびウェット性能が悪化した。