(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記壁特定部は、前記3次元情報の複数の対象点に基づいて仮曲面を生成し、該仮曲面を面方向に延長し、延長した仮曲面と等しい位置、または、それより近くにのみ対象点が存在する場合、該仮曲面を前記壁として特定することを特徴とする請求項1に記載のマッチング支援装置。
前記壁特定部は、前記3次元情報と前記3次元モデル情報とが対応付けられた結果、前記3次元モデル情報に前記壁として登録されている位置に存在する前記3次元情報の対象点群を壁として特定することを特徴とする請求項1または2に記載のマッチング支援装置。
前記壁特定部は、鉛直上方に位置する面を天井と判定し、該天井と連結している面を壁として特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッチング支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、先行文献1の技術では、操作者は、複雑に設置された装置と設計段階の3次元モデルとを対応付けるといった煩雑な作業を強いられることとなる。また、2段階目の詳細な位置合わせにおいては、実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報とがほぼ等しい場合にしか位置合わせすることができないので、建物構造の設計図には反映されていない装置や配管が存在すると、やはり、パターンマッチングできないといった問題があった。また、不整合が起こりにくい建物構造部と建物設計図とのパターンマッチングに限定した場合でも、内装物が多いために、壁の計測像が分断されたり、構造部の露出が少なくなったりして、従来手法ではマッチングできないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、3次元情報の特定態様を工夫することで、実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能なマッチング支援装置、マッチング支援方法、および、そのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のマッチング支援装置は、建物における、少なくとも壁の位置情報が整合しており、内装物の位置情報の不整合を許容する3次元モデルを示す3次元モデル情報を保持するモデル保持部と、建物内の任意の1または複数の点から放射状に複数の対象点の距離を測定する光学式測距部と、複数の対象点の距離と方向とに基づいて対象点の3次元情報を生成する3次元情報生成部と、3次元情報に基づいて、内装物によって遮蔽され、1または複数の部分のみ距離が測定された壁を特定する壁特定部と、壁と3次元モデルとのパターンマッチングを行い、3次元情報と3次元モデル情報とを対応付ける3次元情報特定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
壁特定部は、3次元情報の複数の対象点に基づいて仮曲面を生成し、仮曲面を面方向に延長し、延長した仮曲面と等しい位置、または、それより近くにのみ対象点が存在する場合、仮曲面を壁として特定してもよい。
【0010】
壁特定部は、3次元情報と3次元モデル情報とが対応付けられた結果、3次元モデル情報に壁として登録されている位置に存在する3次元情報の対象点群を壁として特定してもよい。
【0011】
壁特定部は、鉛直上方に位置する面を天井と判定し、天井と連結している面を壁として特定してもよい。
【0012】
壁特定部は、壁の前面に重畳する別体の内壁の厚みを反映してもよい。
【0013】
光学式測距部は、レーザレーダであり、壁特定部は、レーザレーダの反射光の強度が等しい対象点群を連続する壁として特定してもよい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のマッチング支援方法は、
マッチング支援装置が、建物における、少なくとも壁の位置情報が整合しており、内装物の位置情報の不整合を許容する3次元モデルを示す3次元モデル情報を保持しておき、建物内の任意の1または複数の点から放射状に複数の対象点の距離を測定し、複数の対象点の距離と方向とに基づいて対象点の3次元情報を生成し、3次元情報に基づいて、内装物によって遮蔽され、1または複数の部分のみ距離が測定された壁を特定し、壁と3次元モデルとのパターンマッチングを行い、3次元情報と3次元モデル情報とを対応付けることを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、コンピュータを、建物における、少なくとも壁の位置情報が整合しており、内装物の位置情報の不整合を許容する3次元モデルを示す3次元モデル情報を保持するモデル保持部と、建物内の任意の1または複数の点から放射状に複数の対象点の距離を測定する光学式測距部と、複数の対象点の距離と方向とに基づいて対象点の3次元情報を生成する3次元情報生成部と、3次元情報に基づいて、内装物によって遮蔽され、1または複数の部分のみ距離が測定された壁を特定する壁特定部と、壁と3次元モデルとのパターンマッチングを行い、3次元情報と3次元モデル情報とを対応付ける3次元情報特定部と、して機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、3次元情報の特定態様を工夫することで、実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態の目的を説明するための説明図である。
図1(a)に示すように建物10内に既設の装置12や配管14がある状態で、任意の装置を新設する場合、建物10内を実測した3次元情報と、
図1(b)に示すような設計段階の3次元モデル情報(ここでは説明の便宜上2次元の図で示している。)とを対応付け、既設の装置12や配管14の位置等、詳細な寸法関係を把握することがある。しかし、
図1(a)に示すように、建物10内においては、装置12や配管14が複雑に設置されており、建物設計図には反映されていない装置12や配管14が存在すると、3次元情報と3次元モデル情報とをパターンマッチングできなかった。また、プラントのように装置12、配管14、制御盤、機材等の内装物が密に配置されている建物10では、壁16の露出が少なく、建物構造と建物設計図との概略的な対応付け(回転や水平変位等)さえ困難であった。
【0020】
これは、建物10内に装置12や配管14等の様々な内装物を含む大規模のプラントにおいて、実測した3次元情報をすべて均一に判断しようとしたり、また、最初から内装物を詳細にパターンマッチングしようとして、操作者の判断が必要となることが原因と考えられる。そこで、本実施形態では、3次元情報と3次元モデル情報とのパターンマッチングを行う際、内装物を一旦無視して、建物10の壁(内壁面)16を特定し、壁16を通じて、3次元情報と3次元モデル情報との回転や水平変位のパターンマッチングを行い、その後で、内装物のパターンマッチングを実行する。かかる壁16を通じたパターンマッチングにおいては、壁16の特定と、特定された壁16に基づく回転や水平変位のパターンマッチングとを繰り返すことで、3次元情報と3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能となる。
【0021】
このようにして対応付けられた3次元情報と3次元モデル情報とは以下のように利用される。例えば、任意の装置の新設時における配置検討、実測した3次元情報に基づいて3次元モデル情報の修正および更新、経年劣化等により3次元位置がずれてしまった装置12の特定等である。ただし、ここで挙げたものは、一利用例に過ぎず、様々な用途に利用することが可能である。
【0022】
以下、上述した3次元情報と3次元モデル情報との迅速かつ的確な対応付けを実現するためのマッチング支援装置100について具体的な構成を述べ、その後、フローチャートに基づいてマッチング支援方法の処理の流れを説明する。
【0023】
(マッチング支援装置100)
図2は、マッチング支援装置100の概略的な構成を示した機能ブロック図である。マッチング支援装置100は、光学式測距部110と、3次元情報生成部112と、モデル保持部114と、データバッファ116と、中央制御部118とを含んで構成される。
【0024】
光学式測距部110は、建物10内の任意の1または複数の点から放射状に複数の対象点の距離を測定する。ここで、対象点は、光学式測距部110から見通せる位置にある対象物(内装物や壁16等)の表面の点であり、対象物の外形を表すことができる。
【0025】
例えば、光学式測距部110としてレーザレーダを用いる場合、レーザレーダのレーザ光を水平方向に投射、鉛直方向にスイープし、その投射光に対する対象物での反射光に基づいて距離を導出する。このような鉛直方向へのスイープ動作を、鉛直軸を中心にした円周方向に実施することで(水平360度)、建物10内の見通せる範囲に存在する全ての対象物の距離を導出することができる。本実施形態では、光学式測距部110としてレーザレーダを例に挙げて説明する。
【0026】
ただし、光学式測距部110は、レーザレーダに限定されず、可視カメラや赤外線等、既存の様々な測距手段を用いることができる。例えば、仮に、光学式測距部110としてカメラを用いる場合、複数のカメラで撮像された撮像画像中の対象物(対象点)のそれぞれの位置(画角)を用い、3点測位法により対象物の距離を導出することができる。
【0027】
また、本実施形態では対象物のうち、特に壁16を特定することを目的としているので、建物10内で壁16の露出が少ない場合、必要に応じて、位置が異なる複数の点で同時に、または、位置を異ならせて複数回、対象点の距離を測定し、その測定結果を統合(オーバーラップ)させる。いずれにしても、壁16の距離を測定できる位置に光学式測距部110を設置する。
【0028】
図3は、測定結果の統合を説明するための説明図である。ここでは、位置が異なる2つの点から2つの領域18a、18bの対象点を同時に測距し、その測定結果を統合している。ただし、領域18aと領域18bとを単に統合すると、対象点の位置、配列方向および相対比率がずれてしまい、高精度に距離を導出することができなくなる。そこで、測定結果の統合を行う場合、
図3に示すように対象物に物理的なマーク150を複数配置し、両領域18a、18bで、マーク150の位置を合わせて位置ずれを補正するとともに、複数のマーク150間の距離を合わせて配列方向および相対比率を補正する。また、このような簡易な補正に代えて、後述するICP(Iterative Closest Points)等のパターンマッチング手法を用いていずれか一方の測定結果を補正するとしてもよい。
【0029】
図2に戻って、3次元情報生成部112は、光学式測距部110の測定結果を参照し、複数の対象点の距離と、光学式測距部110に対する対象点の相対的方向とに基づいて、各対象点の3次元位置を導出し、その3次元位置(3次元座標)を纏めて全ての対象点の3次元情報を生成する。
【0030】
モデル保持部114は、ROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、建物10の構造物としての壁16の配置を含む3次元モデルを示す3次元モデル情報を保持する。かかる3次元モデルは、内装物の位置情報の整合を問わない(内装物の位置情報の不整合を許容する)が、少なくとも壁16の位置情報が整合している。
【0031】
データバッファ116は、SRAM、DRAM等で構成され、3次元情報生成部112が生成した3次元情報を一時的に保持する。
【0032】
中央制御部118は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、プログラム等が格納されたROMやメモリ、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、マッチング支援装置100全体を管理および制御する。また、本実施形態において、中央制御部118は、3次元情報取得部130、グループ化部132、壁特定部134、3次元情報特定部136としても機能する。
【0033】
3次元情報取得部130は、3次元情報生成部112から3次元情報を取得し、データバッファ116に保持させる。
【0034】
グループ化部132は、3次元情報中の複数の対象点をそれぞれグループ化する。
【0035】
図4は、グループ化部132の動作を説明するための説明図である。
図4における複数の点は、
図4中白抜き矢印で示した方向からレーザ光を当てた場合の対象点152である。グループ化部132は、データバッファ116から3次元情報を読み出し、3次元情報に含まれる対象点152同士を比較して対象点152間の距離が所定の距離範囲に含まれ、また、それらの法線ベクトルの差が所定の範囲内に収まるか否か判定する。そして、所定の距離範囲に含まれ、かつ、法線ベクトルの差が所定の範囲内に収まる(滑らかに連結する)対象点152同士を1の対象物とする。
【0036】
例えば、装置12における領域22aで示される複数の対象点152は、対象点152同士の距離が所定の距離範囲に含まれ、かつ、それらの法線ベクトルの差が所定の範囲内に収まるので、その対象点群が1の対象物を示すこととなる。ただし、領域22aの対象点群と領域22bおよび領域22cの対象点群とは、法線ベクトルは等しいものの、対象点152同士の距離が異なり、不連続となるので、それぞれ独立した曲面に属すると判断される。また、面同士が直角に交わる境界では、対象点152同士の距離が所定の距離範囲に含まれるものの、法線ベクトルが不連続となるので、やはり独立した曲面に属すると判定されることとなる。こうして、建物10内における同一曲面に属する1または複数の対象物がそれぞれ独立して特定される。
【0037】
ただし、トタン(亜鉛鉄板)のように断面が波形状で形成されている場合、厳密には法線ベクトルが周期的に変動し、隣接する対象物同士の法線ベクトルが必ずしも所定の範囲内に収まるとは限らない。しかし、かかる対象物は、滑らかに波打っているだけなので、全体的な判断を行い、法線ベクトルを平滑化して平面とみなすこともできる。
【0038】
また、同一の対象物(曲面)として特定された対象点152の総数が所定の数より少ない場合、すなわち、その対象点152により同一の対象物が構成されることの確からしさが低い場合、一致度を評価する評価関数の重み付けを変えて一致度を意図的に下げてもよい。
【0039】
壁特定部134は、グループ化部132がグループ化した対象物のうち、建物10の壁(内壁面)16、特に、内装物に覆われ(遮蔽され)、1または複数の部分のみ距離が測定可能な壁16を特定する。ここで、壁16は、対象点群を構成する面のうち、建物10の最外にある面によって定義される。
【0040】
図5は、壁特定部134の動作を説明するための説明図である。
図5は、
図1(b)の建物10の中央付近に光学式測距部110を設置した場合における3次元情報生成部112が生成した3次元情報を示している。すなわち、
図5において実線で示した部分が対象点152の集まり(対象点群)である。ここでは、装置12等の内装物によって壁16の一部しか対応する対象点152を抽出できていないのが理解できる。
【0041】
壁特定部134は、
図5のような3次元情報の複数の対象点152に基づいて、建物10の最外の面を仮曲面とし、仮曲面を面方向に延長し、延長した仮曲面と等しい位置、または、それより近くにのみ対象点152が存在する場合、その仮曲面を壁16として特定する。
【0042】
かかる仮曲面の延長は、以下のように行う。すなわち、仮曲面が鉛直平面であれば、その平面を鉛直方向および水平方向に連続的に広げる。また、仮曲面が1次または複数次の曲面であれば、その曲率を維持した状態で連続的に広げる。しかし、仮曲面が球に近い曲率である場合、曲率を下げた曲面を接線方向に延長させてもよい。また、延長した仮曲面と等しい位置、または、それより近くにのみ対象点152が存在するとは、延長された仮曲面で分けられる建物10内の空間の一方(光学式測距部110側)にのみ対象点152が存在する場合をいう。
【0043】
例えば、
図5における対象点群160を仮曲面とすると、延長された仮曲面は
図5に一点鎖線で示した面162で表すことができる。このとき、3次元情報生成部112で生成された3次元情報に含まれる全ての対象点152は、面162で分けられる空間の一方(
図5では、面162の左側)にのみ存在し、他方(
図5では、面162の右側)には存在しない。したがって、仮曲面とした対象点群160を壁16として特定することができる。
【0044】
一方、
図5における対象点群164を仮曲面とすると、延長された仮曲面は
図5に一点鎖線で示した面166で表すことができる。このとき、面166で分けられる空間の一方(
図5では、面166の上側)に対象点152が存在するが、それと同様に、他方(
図5では、面166の下側)にも対象点群168のように対象点152が存在する。したがって、仮曲面とした対象点群164は、この時点では、壁16として特定することができない。
【0045】
ここでは、延長された仮曲面で分けられる空間の一方(光学式測距部110側)にのみ対象点152が存在する場合を壁16として特定しているが、延長された仮曲面で空間を厳密に分けず、適当な誤差範囲を設け、その誤差範囲程度、他方に変位している対象点152が存在していても、壁16として特定してもよい。また、対象点152の3次元位置の変動が大きい場合、低周波数通過フィルタ等により平滑化して採用してもよい。
【0046】
また、壁特定部134は、レーザレーダを通じた距離および法線ベクトルのみならず、それに加えて、または、代えて、レーザレーダの反射光の強度が等しい対象点群を連続する壁16として特定することもできる。かかる構成により、壁16の特定精度をより高くすることが可能となる。
【0047】
また、壁特定部134は、鉛直上方に位置する面を天井と判定し、上記の判定に加え、天井と連結している面を壁16として特定する。これは、建物10内の内装物の占有領域が天井にまで達することが少なく、壁16よりも天井の方が光学式測距部110との間に内装物が含まれる可能性が低くなり、特定し易いからである。したがって、天井と所定の角度(例えば直角)を有して連結している面を全て壁16とみなすことで、壁16の特定精度を高めることができる。
【0048】
ところで、設計段階の3次元モデル情報に対して、壁16の前面に断熱部材や緩衝部材として内壁を設ける場合がある。この場合、光学式測距部110は、壁16自体ではなく、壁16を覆う内壁までの距離を測定してしまうので、その分(例えば、5cm)、壁16が内側に存在すると判定してしまう。そこで、壁特定部134は、壁16の前面に重畳する別体の内壁の厚みを反映し、その分を考慮して実測した3次元情報より外側に壁16を特定する。また、壁特定部134が3次元情報より外側に壁16を特定する代わりに、後述する3次元情報特定部136により、壁16が内側に厚みを増していると仮定して3次元情報と3次元モデル情報とのパターンマッチングを行ってもよい。
【0049】
また、ここでは、閉鎖的な建物10を想定して壁16を特定しているが、例えば、建物10の壁16に屋外を視認可能な窓が設けられている場合、壁16より外側に対象点152が検出されるおそれがある。この場合、壁16より外側に存在する対象物での反射光の光強度が低くなったり、無限遠への投射で反射光が返ってこなかったりするので、そもそも光学式測距部110に検出されることはなく、問題は生じにくい。また、たとえ、検出可能な光強度で反射光が返ってきたとしても、後段の3次元情報特定部136によって、その対象点152は建物10内の対象点152ではないとし除外されることとなる。
【0050】
3次元情報特定部136は、3次元情報のうちの特に壁16と3次元モデルとのパターンマッチングを行い、3次元情報と3次元モデル情報とを対応付ける。
【0051】
図6は、3次元情報特定部136の動作を説明するための説明図である。
図6(a)のように、まだ、3次元情報中の対象点群において特定された壁16が少ない場合、3次元情報特定部136は、まず、
図6(a)に示す3次元情報と
図6(b)に示す3次元モデル情報との重心(図心、中心)を合わせ、一方を(ここでは3次元情報を)水平面上で回転させてパターンマッチングを遂行する。そして、一致度(相関性)が最大となる方向を特定したら、その位置から、例えばICPによるパターンマッチングを遂行する。そして、ICPにより姿勢候補を複数取り出し、そのうち最も一致度の高い姿勢候補を対応付けする。
【0052】
ここで、3次元情報特定部136は、対象点152と3次元モデルとのパターンマッチングにおいて、いずれか一方を基準とし、他方の位置や姿勢を変更することとなるが、いずれを基準とするかは限定されない。
【0053】
なお、ICPは、3次元モデル情報の位置や姿勢を、対象点152と3次元モデル情報とを特定するためのそれぞれの対応点間の距離の合計(ノルム)が閾値以下になるまで共役勾配法等を利用して反復的に更新する手法である。ICPは、対象点152と3次元モデル情報との点群同士のパターンマッチングを目的としているので、対象点152が重なること等による対象点152の部分的な欠落に強く、ロバスト性に優れている。したがって、壁16を内装物が覆い、一部しか検出できない状態であったとしても、的確に壁16を抽出することができ、比較的高精度に3次元情報と3次元モデル情報とを対応付けることが可能となる。
【0054】
具体的に、3次元情報と3次元モデル情報との一致度の評価は、3次元情報の各対象点152に最近接する点を建物設計図の点群から取り出し、その距離の差分を蓄積して行う。ここで、差分の蓄積としては、2乗和(L1ノルム)をとったり、差の絶対値の和(L2ノルム)をとることができる。最終的に最も一致度が高くなった姿勢において、対象点群と建物設計図の点群とがパターンマッチングしたとみなす。パターンマッチングの成否には、L1ノルムやL2ノルムの他に、パターンマッチングに寄与した点数などが考慮される。かかる演算処理は、後述するフローチャートにおいて詳細に説明する。
【0055】
3次元情報と3次元モデル情報とが対応付けられると、壁特定部134は、3次元情報と3次元モデル情報とが対応付けられた結果、3次元モデル情報に壁16として登録されている位置に存在する3次元情報の対象点群を壁16として特定する。そして、3次元情報特定部136は、壁16の特定量が多くなった3次元情報と3次元モデル情報とを対応付ける。
【0056】
図7は、壁特定部134の動作を説明するための説明図である。
図7(a)の3次元モデル情報には、壁16が破線のように登録されている。上記のように、3次元情報と3次元モデル情報とが対応付けられた結果、
図7(a)の3次元モデル情報における破線の位置に存在する、
図7(b)の3次元情報において一点鎖線で囲んだ対象点群を新たに壁16として特定する。こうして、壁16の特定とパターンマッチングとが繰り返される。
【0057】
このように、壁16の特定とパターンマッチングとを繰り返すことで、一致度を高め、3次元情報と3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能となる。
【0058】
(マッチング支援方法)
続いて、上記マッチング支援装置100を用いて、実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報とを対応付けるパターンマッチング方法について詳述する。ここで、モデル保持部114は、建物10における、少なくとも壁16の位置情報が整合しており、内装物の位置情報の不整合を許容する3次元モデルを示す3次元モデル情報を保持している。
【0059】
図8は、マッチング支援方法の処理の流れを示したフローチャートである。まず、光学式測距部110は、建物10内の任意の1または複数の点から放射状に複数の対象点152の距離を測定し(S200)、3次元情報生成部112は、複数の対象点152の距離と方向とに基づいて全ての対象点152の3次元情報を生成する(S202)。
【0060】
続いて、壁特定部134は、3次元情報の複数の対象点152に基づいて、建物10の任意の面を仮曲面とし、仮曲面を面方向に延長し、延長した仮曲面と等しい位置、または、それより近くにのみ対象点152が存在する場合に、その仮曲面を壁16として特定する(S204)。このとき、壁特定部134は、レーザレーダを通じた距離および法線ベクトルのみならず、レーザレーダの反射光の強度が等しい対象点群を連続する壁16として特定してもよい。また、壁特定部134は、鉛直上方に位置する面を天井と判定し、上記の判定に加え、天井と連結している面を壁16として特定してもよい。さらに、建物10に内壁が用いられている場合、壁特定部134は、壁16の前面に重畳する別体の内壁の厚みを反映し、その分を考慮して、実測した3次元情報より外側に壁16を特定してもよい。
【0061】
次に、3次元情報特定部136は、壁16と3次元モデルとのパターンマッチングを行い、3次元情報と3次元モデル情報とを対応付ける(S206)。ここではパターンマッチングとしてICPが用いられる。
【0062】
図9は、ICPによるパターンマッチングの処理の流れを示したフローチャートである。
図9を用いて3次元情報生成部112によるICPの処理の流れを説明する。3次元情報生成部112から取得された3次元情報には、対象点152の3次元座標が示されている。対象点152の数は、建物10や対象物の大きさと、パターンマッチングの要求精度に応じて決定される。ICPエンジンは、ICPの繰り返し処理を行う前に、3次元情報の対象点152に、装置12や配管14等の明らかな内装物があれば、それを除外する(S250)。
【0063】
ICPエンジンは、3次元モデル情報の初期姿勢を用意し、それに回転や水平変位などの姿勢変更処理を施す(S252)。姿勢変更処理は3次元情報側に対して施すことも可能であり、3次元モデル情報側に対して施すことも可能である。例えば、点数の少ないほうを動かして、計算処理を少なくしてもよい。続いて、姿勢変更処理後の対象点152と3次元モデル情報との間でそれぞれ対応する点(ペアリング)を求め(S254)、対応点間の距離合計(ノルム)を計算する(S256)。このノルムが小さいほうが形状の一致度合いが高いといえる。続いて、一致度合いが高かった姿勢を取り出して評価し(S258)、一致度がICPにおける閾値以下(ノルムが閾値以上)である間(S260におけるNO)、それを初期姿勢に置き換えて、上記処理を繰り返す。このように、一致度が閾値を超える(ノルムが閾値以下になる)まで(S260におけるYES)、共役勾配法等を利用して反復的に更新し、パターンマッチングを遂行する。ノルムの取り方(メトリック)としては、上述したL1ノルムやL2ノルム等があり、用途に応じて適した取り方を採用する。
【0064】
こうして導出された位置および姿勢によって実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報との対応付けがなされる。
【0065】
図8に戻って、3次元情報特定部136は、3次元モデル情報において壁16として登録されている部位と、3次元情報で壁16として特定されている部位との一致度が所定の値(例えば90%)に達しているか否か、すなわち、3次元情報と3次元モデル情報との対応付けが十分になされているか否か判定し(S208)、一致度が所定の値に達していないと判断されれば(S208におけるNO)、ステップS204からの処理を繰り返す。このとき、壁特定部134は、3次元情報と3次元モデル情報とが対応付けられた結果、3次元モデル情報に壁16として登録されている位置に存在する3次元情報の対象点群を壁16として特定する。
【0066】
一致度が所定の値に達していれば(S208におけるYES)、当該マッチング支援方法を終了する。
【0067】
このように、姿勢を変更しつつ、壁16の特定とパターンマッチングとを繰り返すことで、3次元情報と3次元モデル情報との一致度を高めることができる。このとき、一致度が高まるに連れて、対応する3次元モデル情報が見つからない対象点152も生じてくる。このような対象点152については、マッチング支援方法の各処理から除外する。
【0068】
また、最も一致度が高くなる姿勢(回転角、水平変位量)をもって3次元情報と3次元モデル情報とを対応付けできたとしても、初期姿勢のとりかたによって、本来収束すべきではない、異なる対応付けに収束することもある。したがって、複数の初期姿勢から繰り返して導出し、導出結果のなかから最も一致度が高かったものを本実施形態の導出結果とするとよい。こうして、3次元情報と3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能となる。
【0069】
また、コンピュータによってマッチング支援装置100として機能するプログラムや、当該プログラムを記憶した記憶媒体も提供される。さらに、当該プログラムは、記憶媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【0070】
以上、説明したマッチング支援装置100やマッチング支援方法では、実測した3次元情報と設計段階の3次元モデル情報とを迅速かつ的確に対応付けることが可能となる。また、パターンマッチングとしてICPを用いているので、壁16を内装物が覆い、一部しか検出できない状態であったとしても、連続している壁16を抽出することができる。さらに、本実施形態では、最初に壁16の特定を目的として処理が行われるので、内装物の多少や配置態様に拘わらず、適切に壁16を抽出することができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
なお、本明細書のマッチング支援方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。