特許第6019929号(P6019929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019929
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】移動式駐車設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20161020BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20161020BHJP
   H02J 50/00 20160101ALI20161020BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161020BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20161020BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20161020BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   E04H6/42 Z
   E04H6/18 601H
   H02J50/00
   H02J7/00 P
   H01M10/46
   B60L11/18 C
   B60M7/00 X
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-185729(P2012-185729)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-43698(P2014-43698A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−097814(JP,A)
【文献】 特開平09−215211(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2330262(EP,A2)
【文献】 特開2013−055803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00−6/42
H02J 7/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動車両が載置された車両支持部材を移動することで前記移動車両を格納スペースに格納する移動式駐車設備であって、
前記格納スペースの床面に設けられ、前記移動車両の底面に設けられた受電コイルに非接触給電を行う給電コイルと、
前記受電コイルに対峙しかつ前記受電コイルよりも大きい部位が磁界透過性である前記車両支持部材と、
前記車両支持部材の下側に設けられ、前記車両支持部材と共に前記格納スペースに移動させられると共に前記給電コイル上方の規定位置で前記車両支持部材が停止するように規制し、前記給電コイルに符合する部位が磁界透過性である規制部材と、
前記車両支持部材と前記規制部材との水平方向の相対的な位置関係を可変する可変手段と、
前記受電コイルと前記給電コイルとが対向するように前記可変手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする移動式駐車設備。
【請求項2】
前記可変手段は、雌ねじ部と前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部とを有し、前記車両支持部材及び前記規制部材の一方に前記雌ねじ部が固定され、他方に前記雄ねじ部が回転自在に固定されるねじ機構と、前記ねじ機構を回転駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の移動式駐車設備。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両支持部材及び前記規制部材を前記格納スペースに移動させる前に位置補正エリアに移動させ、前記位置補正エリアに設けられた前記駆動手段に前記ねじ機構を回転駆動させることを特徴とする請求項2に記載の移動式駐車設備。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両支持部材に移動車両が載置される前に、前記車両支持部材と前記規制部材との水平方向の相対的な位置関係を初期状態に戻すように前記可変手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動式駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会を実現すべく、動力発生源としてエンジンに代えて又はエンジンとともにモータを備える移動車両が多くなっている。エンジンに代えてモータを備える代表的な移動車両としては電気自動車(EV:Electric Vehicle)が挙げられ、エンジンとともにモータを備える移動車両としてはハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)が挙げられる。このような移動車両は、モータを駆動する電力を供給する再充電が可能な蓄電池(例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池)を備えており、外部の電源装置から供給される電力によって蓄電池の充電が可能に構成されている。
【0003】
現在実用化されつつある電気自動車やハイブリッド自動車(正確には、プラグイン・ハイブリッド自動車)において、蓄電池を充電するための電力は、電源装置と移動車両とを接続する着脱可能な給電線を介して伝送されるのが殆どである。例えば、下記特許文献1には、移動式のパレットを用いて移動車両を格納する移動式駐車設備において、移動車両に接続される着脱可能な給電線を介して電力を伝送する技術が開示されている。このような技術に対して、近年においては、下記特許文献2に開示されるような給電コイル及び受電コイルを用いて非接触で電力を伝送する技術を活用して移動車両に電力を給電し、蓄電池を充電する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−256038号公報
【特許文献2】特開2009−225551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された技術では、移動車両への給電のために給電線の着脱を必要とするので、給電時に複雑な自動装置あるいは人手による給電線の着脱作業が必要になる。また、上記特許文献1に開示された技術では、パレットに給電線を設ける必要があるので、パレットへの配線が増加し移動式駐車設備の設置や保守に手間を要するという問題があった。また、上記特許文献2に開示された技術では、給電コイルと受電コイルとの相対的な位置関係がずれてしまうと電力を効率的に伝送できないので、移動式駐車装置に適用した場合に、移動車両の入庫時におけるパレット上の停車位置のばらつきが原因で効率的な非接触給電を行えないという問題が発生する。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、以下の特徴を有する移動式駐車設備を提供する。
(1)移動車両への給電に際して給電線の着脱を必要としない。
(2)パレットへの配線が増えない。
(3)移動車両の入庫時に停車位置がばらついても効率的な非接触給電を実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、移動車両が載置された車両支持部材を移動することで移動車両を格納スペースに格納する移動式駐車設備であって、格納スペースの床面に設けられ、移動車両の底面に設けられた受電コイルに非接触給電を行う給電コイルと、受電コイルに対峙しかつ受電コイルよりも大きい部位が磁界透過性である車両支持部材と、車両支持部材の下側に設けられ、車両支持部材と共に格納スペースに移動させられると共に給電コイル上方の規定位置で停止するように規制し、給電コイルに符合する部位が磁界透過性である規制部材と、車両支持部材と規制部材との水平方向の相対的な位置関係を可変する可変手段と、受電コイルと給電コイルとが対向するように可変手段を制御する制御手段とを具備する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、可変手段は、雌ねじ部と雌ねじ部に螺合する雄ねじ部とを有し、車両支持部材及び規制部材の一方に雌ねじ部が固定され、他方に雄ねじ部が回転自在に固定されるねじ機構と、ねじ機構を回転駆動する駆動手段とを備える、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、制御手段は、車両支持部材及び規制部材を格納スペースに移動させる前に位置補正エリアに移動させ、位置補正エリアに設けられた駆動手段にねじ機構を回転駆動させる、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、制御手段は、車両支持部材に移動車両が載置される前に、車両支持部材と規制部材との水平方向の相対的な位置関係を初期状態に戻すように可変手段を制御する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動車両へ非接触給電するので、移動車両への給電に際して給電線の着脱を必要としない。また、本発明によれば、パレットに給電線を設けることに起因するパレットへの配線の増加を防止することができる。また、本発明によれば、車両支持部材と規制部材との水平方向の相対的な位置関係を可変することによって、移動車両の受電コイルと格納スペースの給電コイルとが対向するように給電コイル上方における車両支持部材の位置を調整するので、入庫時に車両支持部材上における移動車両の停車位置がばらついても効率的な非接触給電を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る機械式駐車場(移動式駐車設備)の全体構成を示す概念図である。
図2】本発明の一実施形態のパレット2及びボールねじ機構3を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態の位置補正エリアHを示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態の格納スペースSを示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る機械式駐車場(移動式駐車設備)は、図1〜4に示すように、車両格納棚1、パレット2、ボールねじ機構3、モータ4、受電コイル検出部5、給電コイル6、制御装置7及び操作装置8によって構成されている。なお、モータ4は、本実施形態における駆動手段である。また、受電コイル検出部5及び制御装置7は、本実施形態における制御手段を構成するものである。
【0014】
車両格納棚1は、図1に示すように、前後左右及び上下に各々3つ並ぶ複数(合計27個)のスペースを備える。これら複数のスペースのうち、1つのスペースが入庫エリアE(例えば図1(b)の右上に位置するスペース)に割り当てられ、入庫エリアEに隣接する1つのスペースが位置補正エリアHに割り当てられ、残り25個のスペースが格納スペースSに割り当てられている。入庫エリアEは、入庫口が設けられ、入庫口から進入した移動車両Mが停車するスペースである。
【0015】
位置補正エリアHは、入庫エリアEに隣接して設けられ、入庫してパレット2上に載置された移動車両Mの位置調整を行うスペースである。格納スペースSは、パレット2によって搬送された移動車両Mを格納するスペースである。こられスペースのうち一部にはパレット2が収納されている。このような車両格納棚1は、説明の都合上スペースの数を27個に特定したものであり、実際にはスペースの数はさらに多くても少なくてもよく、スペースの配置も直方体状以外の任意でよい。
【0016】
パレット2は、移動車両を搭載するための車両支持部材21と、車両支持部材21の下側に配置された規制部材22とによって構成されている。車両支持部材21は、金属製の長方形状板であると共に車両格納棚1の各スペース(入庫エリアE、位置補正エリアH及び格納スペースS)の大きさよりも若干小さく形成されている。ここで「若干小さく」というのは、後述するように車両支持部材21の規制部材22に対する相対位置を可変手段(ボールねじ機構3及びモータ4)により最大限動かした場合にも、車両支持部材21が各スペースの内部に収まるようにするためである。また、この車両支持部材21には、中央部に開口21aが形成されている。この開口21aは、図2に示すように、移動車両Mの底面に設けられた受電コイルJに対峙する位置に設けられると共に受電コイルJよりも大きめである。
【0017】
このような開口21aは、給電コイル6から放出する磁界を遮らないことを主目的として車両支持部材21に設けられたものである。また、「受電コイルJよりも大きめ」というのは、移動車両Mがパレット2上に載置されるときに位置ずれが生じても、磁界が開口21a内を通過し、受電コイルJへの非接触給電が効率よく行われるようにするためである。このような車両支持部材21については、例えば車両支持部材21の機械的強度を補強する目的で、上記磁界を遮らない樹脂等の磁界透過性材料を開口21aに充填してもよい。また、車両支持部材21における一対の短辺の側部には、後述するボールねじ機構3の雌ねじ部31が短辺に沿って設けられている。
【0018】
一方、規制部材22は、車両格納棚1の各スペース(入庫エリアE、位置補正エリアH及び格納スペースS)に収まるサイズの金属製の長方形状板であり、車両支持部材21の下側において車両支持部材21と重ね合わされて配置されている。また、この規制部材22には、中央部に開口22aが形成されている。この開口22aは、後述する格納スペースSの床面s1に設けられた給電コイル6に符合する位置に設けられると共に給電コイル6よりも若干大きめである。すなわち、規制部材22は、給電コイル6に符合する部位が磁界透過性である。ここで、「若干大きめ」というのは、非接触給電を行う時に、給電コイル6が放出する磁界が遮られずに開口22aを通過し、効率よく給電を行うためである。
【0019】
開口22aは、給電コイル6から放出する磁界を遮らないことを主目的として規制部材22に設けられたものである。このような規制部材22については、車両支持部材21と同様に、規制部材22の機械的強度を補強する目的で、上記磁界を遮らない樹脂等の磁界透過性材料を開口21aに充填してもよい。また、規制部材22における一対の短辺の側部には、後述するボールねじ機構3の雄ねじ部32が短辺に沿って軸受により回転自在に固定されている。
【0020】
このような車両支持部材21及び規制部材22は、ボールねじ機構3の雌ねじ部31に雄ねじ部32が螺合することによって連結されている。また、車両支持部材21及び規制部材22は、ともに制御装置7によって制御されるパレット搬送機構(図示略)の動力に基づいて前後及び左右の水平方向及び垂直方向に移動し、車両格納棚1の各スペース(入庫エリアE、位置補正エリアH及び格納スペースS)のいずれかで停止する。規制部材22は、格納スペースSへの移動に際して、格納スペースSの壁等に当接することで、給電コイル6上方の規定位置で停止するように規制する。また、規制部材22は、入庫エリアEもしくは位置補正エリアHへの移動に際して、エリアの壁等に当接することで、パレット2がエリア内の規定位置で停止するように規制する。
【0021】
ボールねじ機構3は、適切に狭いピッチのねじを使用することにより、パレット2が前後および左右の水平方向及び垂直方向に移動するときに、ボールねじ機構3の軸方向(本実施例ではパレット2の短辺に沿った方向)に力が加わっても雄ねじ部32が回転せず、車両支持部材21と規制部材22との相対位置が位置補正エリアHにおける位置調整以外のタイミングで想定外に変化することを防止できる。
【0022】
ここで、車両支持部材21の上には図示するように移動車両Mが搭載される。本機械式駐車場が給電対象とする移動車両Mは、エンジンとモータとによって駆動されるハイブリッド自動車、またはモータで駆動される電気自動車、つまり受電コイルJが給電コイル6から非接触で受電した電力を蓄電池に充電すると共に、当該蓄電池に充電した電力を走行用モータの動力源として利用する車両であり、受電コイルJ、受電回路及び蓄電池等を備えずにエンジンのみによって駆動される通常自動車Rは対象外である。
【0023】
上記受電コイルJは、所定のコイル径を有するヘリカルコイルであり、コイル軸が垂直方向となるように移動車両Mの底部に設けられている。このような受電コイルJは、両端が受電回路(図示略)の入力端に接続されており、後述する給電コイル6と電磁気的に結合することによって交流電力を非接触で受電する。また、上記受電回路は、受電コイルJと受電側共振回路を構成する共振用コンデンサを備え、受電コイルJから供給された交流電力を直流電力に変換して蓄電池に供給する一種の整流回路である。なお、受電回路の共振用コンデンサの静電容量は、上記給電側共振回路の共振周波数と受電側共振回路の共振周波数とが同一周波数になるように設定されている。
【0024】
ボールねじ機構3は、図2に示すように、雌ねじ溝が形成された雌ねじ部31と、当該雌ねじ部31に螺合する雄ねじ溝が周面に形成された棒状の雄ねじ部32とからなる。雌ねじ部31は、車両支持部材21における一対の短辺の側部において短辺に沿って設けられている。一方、雄ねじ部32は、規制部材22における一対の短辺の側部に、辺に沿って軸受によって回転自在に固定されている。
【0025】
このボールねじ機構3は、車両支持部材21及び規制部材22が位置補正エリアHに移動した際、図示しないギア等を介して雄ねじ部32がモータ4に連結され、モータ4によって回転駆動されることにより雄ねじ部32が回転すると、当該雄ねじ部32の回転に伴って、雌ねじ部31が固定された車両支持部材21を規制部材22に対して幅方向に移動させる。つまり、ボールねじ機構3は、車両支持部材21と規制部材22との幅方向の相対的な位置関係を可変するものである。また、車両支持部材21及び規制部材22が位置補正エリアH以外に位置しているときは、雄ねじ部32とモータ4の連結は解除され、パレット2はモータ4に拘束されずに移動可能である。例えば、雄ねじ部32の端面と、それと向かい合う、モータ4から図示しないギア等を介して駆動される軸の端面とを摩擦係数の大きい材料で形成した平面としておき、車両支持部材21及び規制部材22が位置補正エリアHに移動した際に、軸の端面を雄ねじ部32の端面に押しつけることにより雄ねじ部32をモータ4に連結する(モータ4が回転すると雄ねじ部32も回転する)ような構造である。
【0026】
モータ4は、図3に示すように、位置補正エリアHに設けられ、図示しないギア等を介して雄ねじ部32に連結され、制御装置7から供給されるモータ駆動信号に基づいて回転することにより雄ねじ部32を回転駆動する電動モータである。
また、ボールねじ機構3の減速比が大きくモータ4のトルクが大きい場合には、ギア等を介さずにモータ4の回転軸を雄ねじ部32と連結してもよい。
【0027】
受電コイル検出部5は、図3に示すように、位置補正エリアH(例えば床面h1)に設けられ、パレット2上に載置された移動車両Mの受電コイルJの位置を検出するものである。例えば、受電コイル検出部5は、予め規定の位置にマーク等が設けられた受電コイルJを撮像する撮像装置や、予め受電コイルJに設けられたLED(light emitting diode)等の発光部の光を検出する光センサである。このような受電コイル検出部5は、撮像された画像や光の検出結果等の検出データを制御装置7に出力する。制御装置7は、受電コイル検出部5から入力される検出データに基づいてパレット2上における移動車両Mの受電コイルJの位置を判断する。
【0028】
給電コイル6は、所定のコイル径を有するヘリカルコイルであり、コイル軸を上下方向(垂直方向)とした姿勢、かつ、規制部材22の開口22aに対峙するように格納スペースSの床面s1上に露出した状態あるいはプラスチック等の非磁性材料によってモールドされた状態で設置されている。このような給電コイル6は、受電コイルJと略同一のコイル径を有し、両端が給電回路(図示略)の出力端に接続されており、上記給電回路から高周波電力が供給されることにより磁界を発生することによって移動車両Mに対して非接触で給電を行う。また、上記給電回路は、給電コイル6と給電側共振回路を構成する共振用コンデンサを備え、入力された直流電力を交流電力(高周波電力)に変換して給電コイル6に供給する一種のインバータである。
【0029】
制御装置7は、本機械式駐車場を全体的に統括制御する制御装置であり、給電回路(図示略)を含む各種制御対象と電気的に接続されると共に操作装置8とも電気的に接続されている。この制御装置7は、例えば内部の不揮発性記憶装置に記憶された制御プログラムと操作装置8から入力される操作指示情報とに基づいて各種制御対象を統括制御する。
【0030】
操作装置8は、本機械式駐車場を管理・操作する管理者が操作指示を手動入力するためのものであり、例えば複数のハードウエアキーが備えられた操作盤あるいはタッチパネルである。管理者の操作によって操作装置8に手動入力された操作指示は、操作指示情報として操作装置8から制御装置7に伝送される。操作装置8には、例えば入庫エリアEの移動車両Mの格納を指示するための操作ボタン(入庫指示ボタン)が設けられており、制御装置7は、この操作ボタンが操作されると、入庫エリアEのパレット2上に載置された移動車両Mの移動を開始する。
【0031】
次に、このように構成された本機械式駐車場の動作について図5をも参照して詳しく説明する。
本機械式駐車場において、制御装置7は、パレット2を入庫エリアEに移動させる前に、位置補正エリアHに移動させる(図5(a)参照)。そして、制御装置7は、モータ4に雄ねじ部32を回転駆動させることによって、車両支持部材21と規制部材22との幅方向の相対的な位置関係を初期状態(ずれていない状態)に戻し(図5(b)参照)、その後、入庫エリアEにパレット2を移動させる(図5(c)参照)。
【0032】
本機械式駐車場に移動車両Mを駐車させる場合、当該移動車両Mは、例えば運転手による運転によって、入庫口が設けられた入庫エリアEのパレット2上に載置される(図5(d)参照)。そして、管理者が、本機械式駐車場の操作装置8の入庫指示ボタンを操作することによって入庫指示を制御装置7に入力する。この入庫に際して、管理者は、運転手から移動車両Mの蓄電池の充電要求を受け付けた場合には、入庫指示ボタンに加えて充電指示ボタンを操作することにより、充電指示を制御装置7に入力する。
【0033】
本機械式駐車場の制御装置7は、入庫指示及び充電指示が操作装置8から入力されると、入庫エリアEの移動車両Mをパレット2とともに位置補正エリアHに移動させる(図5(e)参照)。続いて、制御装置7は、位置補正エリアHに設けられた受電コイル検出部5から入力される検出データに基づいてパレット2上における移動車両Mの受電コイルJの位置を判断しつつ、モータ4に雄ねじ部32を回転駆動させることによって、移動車両Mが載置されている車両支持部材21を規制部材22に対して幅方向に移動させて、格納スペースSにおいて受電コイルJが給電コイル6に対向するように移動車両Mの位置を調整する(図5(f)参照)。つまり、受電コイルJと給電コイル6とのパレット2の幅方向における位置ずれを是正する。なお、受電コイルJと給電コイル6とのパレット2の長さ方向の位置ずれについては、入庫エリアEで運転手が移動車両Mをパレット2上に載置するときに非接触給電に支障の生じない位置ずれの範囲内で停車すればよい。制御装置7は、移動車両Mの位置調整が完了すると、移動車両Mをパレット2とともに格納スペースSに移動させる(図5(g)参照)。
【0034】
図5に示す例では、入庫エリアEでパレット2に載置された移動車両Mは、規制部材22に対して図中で左にずれているが(図5(d)参照)、以上述べた手順により、格納スペースSにおける位置調整後には規制部材22に対して図中で真上に位置しており(図5(f)参照)、移動車両Mを載置したままパレット2が格納スペースSに移動し、規制部材22が給電コイル6の直上で停止したとき、移動車両Mも給電コイル6の直上に位置しており、受電コイルJが給電コイル6の直上、すなわちもっとも効率よく非接触給電可能な位置にある(図5(g)参照)。
なお、以上の説明および図では、給電コイル6は格納スペースSの中央に、受電コイルJは移動車両Mの中央に位置しているものとしたが、中央以外の位置にあっても、適切に各部材の構造を変化させれば、本発明は適用可能である。
【0035】
そして、本機械式駐車場の制御装置7は、移動車両Mの格納スペースSへの移動が完了すると、給電回路に交流電力の給電コイル6への給電を開始させる。一方、移動車両Mは、蓄電池の充電状態を監視しながら受電回路を制御することにより、蓄電池を適切に充電する。移動車両Mは、このような充電の結果、蓄電池がフル充電状態になると、この旨を示す充電完了信号を、図示しない無線通信部によって出力する。一方、本機械式駐車場の制御装置7は、充電完了信号を受信すると、給電回路に給電コイル6への給電を終了させる。
【0036】
このような本実施形態によれば、移動車両Mへ非接触給電するので、移動車両Mへの給電に際して給電線の着脱を必要としない。また、本実施形態によれば、パレット2に給電線を設けることに起因するパレット2への配線の増加を防止することができる。また、本実施形態によれば、車両支持部材21と規制部材22との幅方向の相対的な位置関係を可変することによって、移動車両Mの受電コイルJと格納スペースSの給電コイル6とが対向するように給電コイル6上方における車両支持部材21の位置を調整するので、入庫時に車両支持部材21上における移動車両Mの停車位置がばらついても効率的な非接触給電を実現できる。また、本実施形態によれば、毎回、パレット2を入庫エリアEに移動させる前に、車両支持部材21と規制部材22との幅方向の相対的な位置関係を初期状態に戻すことによって、車両支持部材21と規制部材22との相対的な位置関係が大幅にずれた状態になってしまうことを防止できる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
【0038】
(1)本実施形態では、可変手段としてボールねじ機構3及びモータ4を用いたが本発明はこれに限定されない。例えば、ボールねじ機構3の代わりに、通常のねじを使用してもよい。また、ボールねじ機構3及びモータ4の代わりに油圧シリンダやジャッキ等を可変手段として用いて、車両支持部材21と規制部材22との相対的な位置関係を可変するようにしてもよい。また、駆動手段として、電動モータであるモータ4の代わりに油圧モータやエアモータ等を用いるようにしてもよい。
【0039】
(2)本実施形態では、車両支持部材21を規制部材22に対して幅方向に移動させるために、車両支持部材21における一対の短辺の側部に雌ねじ部31を固定し、規制部材22における一対の短辺の側部に雄ねじ部32を固定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両支持部材21を規制部材22に対して長さ方向に移動させる場合には、車両支持部材21における一対の長辺の側部に雌ねじ部31を固定し、規制部材22における一対の長辺の側部に雄ねじ部32を固定するようにしてもよい。
【0040】
また、車両支持部材21および規制部材22の短辺もしくは長辺に沿っていれば、雌ねじ部31および雄ねじ部32は側部ではなくもっと中央寄りにあってもよいし、中央に一本だけ設けてもよい。
【0041】
また、車両支持部材21を規制部材22に対して長さ方向及び幅方向に移動させる場合には、車両支持部材21と規制部材22との間に中間部材を設け、車両支持部材21における長辺の側部に長さ方向移動用の雌ねじ部を固定し、中間部材における長辺の側部に長さ方向移動用の雄ねじ部を固定するとともに、中間部材における短辺の側部に幅方向移動用の雌ねじ部を固定し、規制部材22における短辺の側部に幅方向移動用の雄ねじ部を固定することによって、車両支持部材21と規制部材22との水平方向の相対的な位置関係を長辺方向・短辺方向いずれにも可変とするようにしてもよい。この場合、モータ4は長さ方向移動用と、幅方向移動用と2台(2組)設ける。車両支持部材21と中間部材の間に幅方向移動用のボールねじ機構が、中間部材と規制部材22の間に長さ方向移動用のボールねじ機構があってもよい。長辺方向・短辺方向いずれの位置ずれも是正することが可能となるので、運転手が入庫エリアEで移動車両Mをパレット2上に載置するときに位置ずれを気にせず停車可能となる。
【0042】
また、雌ねじ部31及び雄ねじ部32は、取り付けられる場所が逆であってもよい。つまり、雌ねじ部31が規制部材22に固定され、雄ねじ部32が車両支持部材21に固定されていてもよい。
【0043】
本実施形態では、位置補正エリアHにおいてモータ4が雄ねじ部32と同軸上に配置されているが、規制部材22に支持された、平面歯車や傘歯車の組み合わせにより、モータ4と雄ねじ部32が同軸上にない、もしくは軸の方向が異なるようにすることができる。
【0044】
(3)本実施形態では、受電コイル検出部5として、撮像装置や光センサを用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば、位置補正エリアHの床面h1に給電コイルを設置し、該給電コイルから移動車両Mの受電コイルJに給電させると共に移動車両Mに受電量を計算させ、制御装置7は、移動車両Mから無線通信等によって受信した受電量データに基づいて可変手段を制御するようにしてもよい。給電回路から給電コイル6に供給される給電量を計算し、受電量を給電量で除して得られる給電効率に基づいて可変手段を制御するようにしてもよい。
【0045】
(4)本実施形態において、車両支持部材21は、板状部材であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両支持部材21は、移動車両Mの載置が可能であれば、タイヤもしくは車輪が載るレールを組んで構成されるものであってもよい。また、規制部材22についても、給電コイル6上方の規定位置で停止するように規制することが可能であれば板状部材に限定されない。
【0046】
(5)上記実施形態では、車両格納棚1の全ての格納スペースSに給電コイル6を設け、全ての格納スペースSでの給電が可能となるようにしたが、本発明はこれに限定されない。格納スペースSの一部に給電コイル6を設け、運転手が充電要求をした移動車両Mについては、入庫エリアEから給電コイル6を備えた格納スペースSに選択的に移動させて充電させればよい。また、位置補正エリアHは複数あってもよいし、同じスペース(エリア)において、位置補正エリアHと、給電コイル6を備えた格納スペースSの両方の機能を有するものがあってもよい。
【0047】
(6)上記実施形態では、給電効率を高めるために金属製のパレット2に開口21a、22aを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えばパレットを剛性の高い樹脂材つまり剛性を有しかつ透磁率の高い材料で形成することにより、開口を設けることなく給電効率を高めることが可能である。
(7)上記実施形態では、非接触給電する方法として磁界共鳴方式を採用したが、電磁誘導方式を採用するようにしてもよい。
(8)給電コイル6や受電コイルJはヘリカルコイルに限定されない。給電コイル6と受電コイルJの間で非接触給電が可能であればソレノイド状など任意の形式や形状のコイルでよく、また両コイルの形式、形状、大きさが異なってもよい。
なお、上記実施形態において、給電コイル6および受電コイルJとして、前後と左右で特性が異なるものを使用し、パレット2の長辺方向(移動車両Mの前後方向)に給電コイル6と受電コイルJの相対位置が変化しても非接触給電の効率が低下しにくいように配置することにより、入庫時の運転手による前後方向の位置ずれの是正時に、許容範囲が広くなり運転手の負担が軽減される。
(9)複数の格納スペースSがそれぞれ異なった形式、形状、大きさの給電コイル6を有し、複数の移動車両Mがそれぞれ異なった形式、形状、大きさの受電コイルJを有してよい。この場合、特定の給電コイル6と特定の受電コイルJの間で非接触給電が可能であってもよい。たとえば、給電コイル6aと受電コイルJa、給電コイル6bと受電コイルJb、給電コイル6cと受電コイルJcの組み合わせでは非接触給電が可能だが、それ以外の組み合わせでは非接触給電が不可能というような場合である。
【符号の説明】
【0048】
1…車両格納棚、2…パレット、3…ボールねじ機構、4…モータ、5…受電コイル検出部、6…給電コイル、7…制御装置、8…操作装置、21…車両支持部材、22…規制部材、21a…開口、22a…開口、E…入庫エリア、H…位置補正エリア、S…格納スペース、M…移動車両、J…受電コイル、h1…床面、s1…床面




図1
図2
図3
図4
図5