(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
信号灯色の切替時に交差点内を走行している車両が当該交差点を通過するのに必要なクリアランス時間を調整することにより、前記信号灯色の切替タイミングを制御する交通信号制御機であって、
前記車両の速度情報と、車種情報又は車長情報とを取得する取得部と、
取得された前記速度情報、及び車種情報又は車長情報に対応して、前記クリアランス時間の全赤時間を決定する時間設定部と、を備え、
前記時間設定部は、前記取得部で取得された速度情報、及び車種情報又は車長情報に基づいて、前記車両が前記交差点を通過する交差点通過時間を算出し、算出した前記交差点通過時間と、予め設定された最短全赤時間とを比較し、時間が長い方を前記全赤時間として決定することを特徴とする交通信号制御機。
前記時間設定部は、前記交差点の流出方向毎に前記車両が前記交差点を通過する方向別通過時間を算出し、これらの方向別通過時間のうち最も長い方向別通過時間を前記交差点通過時間とする請求項1に記載の交通信号制御機。
前記時間設定部は、前記全赤時間が前記最短全赤時間よりも長い場合に、前記最短全赤時間に対して延長した時間分を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算する補正処理を行う請求項1又は2に記載の交通信号制御機。
特定方向への専用車線の車両の有無を感知する車両感知器の感知信号に基づいて、前記特定方向の青矢印灯の表示時間を調整するギャップ感応制御を実行する交通信号制御機であって、
前記車両感知器が前記専用車線の車両を感知したときに、前記車両感知器が次に感知する後続の車両の車種情報又は車長情報を取得する取得部と、
取得された前記車種情報又は車長情報に対応して、前記車両感知器が前記後続の車両を感知するまでの単位延長青時間を決定する時間設定部と、
を備えていることを特徴とする交通信号制御機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記クリアランス時間の制御では、一般的にクリアランス時間のうちの全赤時間は、固定時間として制御されており、基本的に変化することはない。また、クリアランス時間は、停止線への車両の接近速度によって変更されており、車種等の他の交通要素によって変更されることがない。このため、従来のクリアランス時間の制御は、実際の交通状況に応じて柔軟に対応することができていないのが現状である。例えば、トレーラ等を牽引する大型車が交差点内に進入する場合、大型車の車長は乗用車の車長に比べて長いため、大型車及び乗用車の各接近速度が同一であっても、交差点を安全に通過できるクリアランス時間は大型車のほうが乗用車よりも長くなる。このため、従来のクリアランス時間の制御では、大型車が交差点を通過する前にクリアランス時間を打ち切る事態が想定される。
【0006】
また、前記右折感応制御では、右折青矢印灯の表示時間を決定するための延長限度時間(最大延長限度)や単位延長青時間は、時間帯によって変更されるが、車種等の他の交通要素によって変更されることがない。このため、従来の右折感応制御は、実際の交通状況に応じて柔軟に対応することができていないのが現状である。例えば、右折感応制御によって大型車を含む右折待ち車両を処理する場合、大型車は乗用車に比べて車長が長く、加速性能も劣るため、大型車が右折する時間は乗用車が右折する時間に比べて長くなる。このため、従来の右折感応制御では、右折青矢印灯の表示時間を延長しても、その延長限度時間に達することで右折処理量を確保することができない事態が想定される。
本発明は、このような実情に鑑み、車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる交通信号制御機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の交通信号制御機は、信号灯色の切替時に交差点内を走行している車両が当該交差点を通過するのに必要なクリアランス時間を調整することにより、前記信号灯色の切替タイミングを制御する交通信号制御機であって、前記車両の速度情報と、車種情報又は車長情報とを取得する取得部と、取得された前記速度情報、及び車種情報又は車長情報に対応して、前記クリアランス時間の全赤時間を決定する時間設定部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の交通信号制御機によれば、信号灯色の切替時に交差点内を走行する車両の速度情報に加えて、当該車両の車種情報又は車長情報に対応してクリアランス時間の全赤時間を決定するので、交差点内を大型車が走行する場合に、全赤時間を長めに設定することができる。これにより、交差点を通過する車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0009】
(2)前記交通信号制御機は、より具体的には、前記時間設定部は、前記取得部で取得された速度情報、及び車種情報又は車長情報に基づいて、前記車両が前記交差点を通過する交差点通過時間を算出し、算出した前記交差点通過時間に基づいて前記全赤時間を決定する。この場合、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0010】
(3)前記時間設定部は、前記交差点の流出方向毎に前記車両が前記交差点を通過する方向別通過時間を算出し、これらの方向別通過時間のうち最も長い方向別通過時間を前記交差点通過時間とすることが好ましい。
この場合、時間設定部は、交差点の各流出方向に走行する車両の車種を考慮して全赤時間を決定するため、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0011】
(4)前記時間設定部は、前記交差点通過時間と、予め設定された最短全赤時間とを比較し、時間が長い方を前記全赤時間として決定することが好ましい。
この場合、決定された全赤時間は、最短全赤時間よりも短くなることがないので、全赤時間が極端に早く打ち切られるのを防止することができる。
【0012】
(5)前記時間設定部は、前記全赤時間が前記最短全赤時間よりも長い場合に、前記最短全赤時間に対して延長した時間分を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算する補正処理を行うことが好ましい。
この場合、全赤時間の延長時間分を、次現示以降の信号灯色の表示時間から減算することで、信号灯色の切替タイミングを補正することができる。
【0013】
(6)他の観点からみた本発明の交通信号制御機は、信号灯色の切替時に交差点内を走行している車両が当該交差点を通過するのに必要なクリアランス時間を調整することにより、前記信号灯色の切替タイミングを制御する交通信号制御機であって、前記交差点内に車両が存在するか否かを連続的に判定する判定部と、前記判定部により車両が存在すると判定している間は、前記クリアランス時間の全赤時間を継続し、前記判定部により車両が存在しないと判定したときに、前記全赤時間を打ち切る時間設定部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の交通信号制御機によれば、信号灯色の切替時に交差点内を走行する車両が存在する場合は、クリアランス時間の全赤時間を継続し、交差点内を走行する車両が存在しなくなったときに、全赤時間を打ち切るので、交差点内を大型車が走行する場合に、全赤時間を長めに設定することができる。これにより、交差点内を走行する車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0014】
(7)前記時間設定部は、予め設定された最短全赤時間に達するまで、前記判定部の判定結果に関わらず、前記全赤時間を継続することが好ましい。
この場合、全赤時間は、短くても最短全赤時間に達するまで継続されるため、全赤時間が極端に早く打ち切られるのを防止することができる。
【0015】
(8)前記時間設定部は、前記全赤時間を前記最短全赤時間よりも長く継続した場合に、前記最短全赤時間に対して延長した時間分を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算する補正処理を行うことが好ましい。
この場合、全赤時間の延長時間分を、次現示以降の信号灯色の表示時間から減算することで、信号灯色の切替タイミングを補正することができる。
【0016】
(9)他の観点からみた本発明の交通信号制御機は、特定方向への専用車線の車両の有無を感知する車両感知器の感知信号に基づいて、前記特定方向の青矢印灯の表示時間を調整するギャップ感応制御を実行する交通信号制御機であって、前記車両感知器が前記専用車線の車両を感知したときに、当該車両の車種情報又は車長情報を取得する取得部と、取得された前記車種情報又は車長情報に対応して、前記ギャップ感応制御の延長限度時間を決定する時間設定部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の交通信号制御機によれば、特定方向への専用車線の車両の車種情報又は車長情報に対応してギャップ感応制御の延長限度時間を決定するので、大型車が前記特定方向に走行する場合に、延長限度時間を長めに設定することができる。これにより、特定方向への専用車線の車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0017】
(10)前記交通信号制御機は、より具体的には、前記時間設定部は、予め設定された最短延長限度時間に、前記取得部で取得された車種情報又は車長情報に対応して設定された延長時間を加算して求めた要求延長限度時間から、前記延長限度時間を決定する。
この場合、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0018】
(11)前記時間設定部は、複数の前記専用車線毎に、前記最短延長限度時間に前記延長時間を加算した車線別要求時間を求め、これらの車線別要求時間のうち最も長い車線別要求時間を前記要求延長限度時間とすることが好ましい。
この場合、時間設定部は、各専用車線における車両の車種を考慮して延長限度時間を決定するため、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0019】
(12)前記時間設定部は、前記要求延長限度時間と、予め設定された最長延長限度時間とを比較し、時間が短い方を前記延長限度時間として決定することが好ましい。
この場合、決定された延長限度時間は、予め設定された最長延長限度時間よりも長くなることがないので、延長限度時間が極端に長く設定されるのを防止することができる。
【0020】
(13)他の観点からみた本発明の交通信号制御機は、特定方向への専用車線の車両の有無を感知する車両感知器の感知信号に基づいて、前記特定方向の青矢印灯の表示時間を調整するギャップ感応制御を実行する交通信号制御機であって、前記車両感知器が前記専用車線の車両を感知したときに、前記車両感知器が次に感知する後続の車両の車種情報又は車長情報を取得する取得部と、取得された前記車種情報又は車長情報に対応して、前記車両感知器が前記後続の車両を感知するまでの単位延長青時間を決定する時間設定部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の交通信号制御機によれば、車両感知器が感知する後続の車両の車種情報又は車長情報に対応して、その後続の車両が感知されるまでの単位延長青時間を決定するので、後続の車両が大型車の場合に、その大型車が感知されるまでの単位延長青時間を長めに設定することができる。これにより、特定方向への専用車線の車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
[システムの全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通信号制御機を含む交通信号制御システムの道路平面図である。
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御システムは、本発明の交通信号制御機1、信号灯器2、路側センサ3及び中央装置4などを含んでいる。
なお、
図1に示す十字路交差点(以下、単に「交差点」という。)ISの、流入路L1,L3,L5,L7や、流出路L2,L4,L6,L8の車線数等は一例であって、交差点ISの構造は
図1のものに限定されるものではない。
【0024】
交通信号制御機1は、交差点ISに設置された信号灯器2と電力線を介して接続されている。
図1の例では、信号灯器2には、車両灯器として青色、黄色及び赤色の丸灯と、右折青矢印灯、直進青矢印灯及び左折青矢印灯とが含まれている。
交通信号制御機1は、交通管制センター内の中央装置4と電話回線等の通信回線を介して接続され、中央装置4は、自身の管轄エリア内にある複数の交差点ISの交通信号制御機1とローカルエリアネットワーク(LAN)を構成している。
従って、中央装置4は、交通信号制御機1とそれぞれ双方向通信可能であり、交通信号制御機1は他の交差点の同制御機1とも双方向通信可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく、道路上に設置してもよい。
【0025】
中央装置4は、自身の管轄エリアに属する交通信号制御機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する「系統制御」や、この系統制御を道路網に拡張した「広域制御(面制御)」を実行可能である。
すなわち、中央装置4は、所定周期(例えば、1分や1サイクル)ごとに各種の路側センサから取得した計測情報に基づいて、必要な交通情報を当該所定周期ごとに算出し、算出した交通情報に基づいて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する交通感応制御を行うことができる。
【0026】
この交通感応制御には、例えば、MODERATO制御やプロファイル制御等を含む複数種類のものが含まれており、中央装置4は、その交通感応制御の結果の出力である、所定時間ごとの信号灯器2の灯色切り替えタイミング等に関する信号制御指令を、所定周期(例えば、1.0〜2.5分)ごと交通信号制御機1に送信する。
また、中央装置4は、交差点ISでの端末感応制御の許否を含む制御種別情報を、管轄エリア内の各交通信号制御機1に通知している。
【0027】
交通信号制御機1は、中央装置4による交通感応制御の結果の出力である信号制御指令を中央装置4から受信し、この信号制御指令に基づいて信号灯器2に含まれる各信灯色の点灯、消灯及び点滅を制御する。
交通信号制御機1は路側センサ3とも通信回線で繋がっている。路側センサ3は、交差点ISの交通信号制御機1が行う端末感応制御に必要な情報を計測し、その計測情報は、交通信号制御機1に送信される。
【0028】
[車両感知器]
本実施形態では、後述するクリアランス時間の全赤時間を調整するため、路側センサ3は、流入路L1,L3,L5,L7の各車線の停止線に接近する車両5を検出する車両感知器よりなる。
上記車両感知器としては、カメラ映像を画像処理して各車線の車両5の有無を計測するとともに、時系列に得られた画像データから各車両5の存在位置、速度及び車長を計測する画像式の車両感知器3Aを採用することができる。
なお、車両感知器3Aは、車長に替えて車種を計測するものであってもよい。また、車両感知器3Aとしては、車載装置を搭載した車両から位置情報、速度情報及び車長情報又は車種情報を含むプローブ情報を受信する、光ビーコン等の光学式センサや狭域無線通信装置、又はITS無線機を採用することもできる。
【0029】
図2は、上記画像式の車両感知器3Aの説明図である。
図2に示すように、画像式の車両感知器3Aは、流入路L1,L3,L5,L7における停止線から上流側に所定距離(例えば30m)離れた位置までの所定区間を監視範囲とし、その監視範囲内のカメラ映像を画像処理することにより、各直線車線での車両5の有無と、その車両5の速度及び車長とを、ほぼリアルタイムに検出することができる。
【0030】
[交通信号制御機の構成]
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御機1は、制御部101、記憶部102、通信部(取得部)103及び灯器駆動部104を内部に含んでいる。
制御部101は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成され、内部バスを介して記憶部102、通信部103及び灯器駆動部104と接続されている。制御部101はこれらのハードウェア各部の動作を制御する。
【0031】
制御部101は、通常、中央装置4が交通感応制御に基づいて決定した信号制御指令に従って信号灯器2の灯色切り替えタイミングを生成する。また、制御部101は、中央装置4からの制御種別情報が端末感応制御を許可している場合には、自装置で行う端末感応制御(後述の全赤時間設定を含む。)の結果に従って信号灯器2の灯色切り替えタイミングを生成する。
灯器駆動部104は、半導体リレー(図示せず)を備え、制御部101が生成した信号切り替えタイミングに基づいて、信号灯器2の各信号灯に供給する交流電圧(AC100V)又は直流電圧をオン/オフする。
【0032】
通信部103は、中央装置4や路側センサ3との間で有線通信を行う通信インタフェースである。また、通信部103は、信号制御指令や制御種別情報を中央装置4から受信し、これらを自装置の制御部101に送る。
また、通信部103は、自装置が行う端末感応制御に必要な交通情報(本実施形態では、流入路L1,L3,L5,L7の各車線における車両5の検出情報)を路側センサ3から取得し、この計測情報を自装置の制御部101に転送する。
【0033】
記憶部102は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。記憶部102は、通信部103が受信した各種情報(信号制御指令や計測情報等)を一時的に記憶する記憶領域を有するとともに、自装置に設定された端末感応制御を実行するためのコンピュータプログラムの格納領域を有する。
制御部101は、上記コンピュータプログラムを記憶部102から読み出して処理することにより、所定の端末感応制御を行う。制御部101は、上記コンピュータプログラムの機能部分として、クリアランス時間の全赤時間を決定する時間設定部111を含む。
【0034】
[クリアランス時間の全赤時間設定]
本実施形態の交通信号制御機1では、制御部101の時間設定部111は、端末感応制御として、信号灯色の切替時に交差点IS内を走行している車両5の速度及び車種に応じて、クリアランス時間の全赤時間を決定する「全赤時間設定」を行う。
ここで、「クリアランス時間」とは、信号灯色の切替時に交差点内を走行している車両が交差点を通過するのに必要な時間であり、黄色時間と全赤時間とからなる。また、「交差点内」とは、各流入路L1,L3,L5,L7の停止線から、それぞれ対応する流出路L2,L4,L6,L8の横断歩道における幅方向の下流側端までの範囲をいう。
【0035】
図3は、時間設定部111による全赤時間設定の具体例を示す説明図である。また、
図4は、その全赤時間設定の手順を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して、時間設定部111が行う全赤時間設定について説明する。
図3に示す具体例は、通行権を与えている流入路L1,L5について信号灯色を切り替えるときに、流入路L1,L5から交差点IS内に進入した1台の乗用車5A及び1台の大型車5Bが、流出路L4,L8へ向かって、それぞれ流出方向a,bに走行している状態を示している。
【0036】
図4に示すように、時間設定部111は、流入路L1,L5の信号灯器2の黄色時間が終了したとき、つまり全赤時間が開始されたときに、全赤時間設定の処理を開始する(ステップST1)。まず、時間設定部111は、交差点IS内を流出方向a,bに走行している車両が存在しているか否かを判定する(ステップST2)。この判定は、流入路L1,L5に設置された各車両感知器3Aにより計測された車両5の速度に基づいて行われる。
【0037】
具体的には、時間設定部111は、車両感知器3Aにより撮像される車両5の位置から停止線までの距離、及び交差点ISを通過するまでの距離を、予め設定された交差点内距離等から算出し、これらの算出した距離と車両感知器3Aの撮像時刻(感知時刻)における車両5の速度とに基づいて、停止線を通過する時刻、及び交差点ISを通過する時刻を求める。そして、時間設定部111は、これらの時刻に基づいて、黄色時間終了時に車両5が交差点IS内に存在するか否かを判定する。本実施形態では、
図3に示すように、黄色時間終了時に交差点IS内に乗用車5A及び大型車5Bが存在するため、時間設定部111は車両5が存在していると判定する。
【0038】
なお、
図3の具体例では、車両5が交差点ISを直進する場合について説明しているが、車両5が交差点ISを右折又は左折する場合にも、時間設定部111は、その右折又は左折車両5が交差点ISを通過する時刻等を求める。その際、車両5の進行方向は、車両感知器3Aにより短時間(例えば1/10秒)の間隔で連続撮影することにより、車両5の位置、ベクトル情報(進行方向と速度)、及び加速度の推移に基づいて判定することができる。
また、車両5の進行方向は、車両感知器3Aにより撮像された車両5が右折専用車線上に位置していれば、右折と判定し、撮像された車両5が直進車線上に位置していれば、直進と判定することもできる。また、左折と直進とが合体した車線の場合は、車両5の速度が所定速度(例えば20km/h)以上であれば直進と判定し、渋滞していない場合、前記所定速度未満であれば左折と判定することができる。渋滞の判定は、既存の機能として交通管制センターでの判定や、流出部に設置した感知器(通称、先詰まり判定用感知器)の占有率が高くなることにより判定できる。
さらに、車両5の進行方向は、車両感知器3Aにより撮像された車両5の右折ウインカー又は左折ウインカーが点灯しているか否かによって、判定することも可能である。
【0039】
次に、時間設定部111は、流出方向a,b毎に車両5A,5Bが交差点ISを通過する「方向別通過時間CR1,CR2」を算出する(ステップST3)。方向別通過時間CR1,CR2は、車両感知器3Aが計測した各車両5A,5Bの存在位置、速度V1,V2及び車長Lc1,Lc2に基づいて、下記式(1),(2)により算出される。
CR1=(D1+Lc1)/V1 ・・・(1)
CR2=(D2+Lc2)/V2 ・・・(2)
ここで、D1,D2は、各車両5A,5Bの存在位置から交差点ISを通過するまでの距離であり、車両感知器3Aが計測した各車両5A,5Bの存在位置から算出される値である。
本実施形態では、説明の便宜上、V1=V2(例えば9m/秒)かつD1=D2(例えば29m)し、乗用車5Aの車長Lc1を例えば5m、大型車5Bの車長Lc2を例えば10mとする。したがって、流出方向aの方向別通過時間CR1は、上記式(1)よりCR1=(29+5)/9≒3.78秒となり、流出方向bの方向別通過時間CR2は、上記式(1)よりCR1=(29+10)/9≒4.33秒となる。
【0040】
次に、時間設定部111は、流出方向a,b毎に算出した方向別通過時間CR1,CR2のうち最も長い方向別通過時間を、「交差点通過時間CR」として決定する(ステップST4)。本実施形態では、上述のようにV1=V2かつD1=D2であるが、大型車5Bの車長Lc2が乗用車5Aの車長Lc1よりも長い分だけ、流出方向bの方向別通過時間CR2(4.33秒)が、流出方向aの方向別通過時間CR1(3.78秒)よりも長くなる。したがって、時間設定部111は、流出方向bの方向別通過時間CR2を交差点通過時間CRとする。
【0041】
次に、時間設定部111は、交差点通過時間CRと、予め設定された「最短全赤時間Rp」(例えば3秒)とを比較し、時間が長い方を「全赤時間R」として決定する(ステップST5。本実施形態では、交差点通過時間CR(4.33秒)が最短全赤時間Rp(3秒)よりも長いため、交差点通過時間CRが全赤時間Rとして決定される。なお、ステップST2において、交差点IS内に車両が存在していないと判定された場合、全赤時間Rを最短全赤時間Rpとして設定する(ステップST11)。
全赤時間Rは、誤判定を防止するために0.1秒単位で制御するのが好ましい。また、いたずらに全赤時間Rを延長することは信号制御の円滑性という観点から好ましくないため、全赤時間Rは、最短全赤時間Rpの1.5〜2.0倍までを限度とするのが好ましい。
【0042】
次に、時間設定部111は、決定された全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長いか否かを判定する(ステップST6)。決定された全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長い場合、時間設定部111は、最短全赤時間Rpに対して延長した時間分(R−Rp=4.33−3=1.33秒)を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算する補正処理を行う(ステップST7)。例えば、次現示の可変ステップや、次サイクルの同一現示又は複数の可変ステップから、延長した時間分を減算することができる。一方、ステップST6の判定において、決定された全赤時間Rが最短全赤時間Rp以下である場合には、補正処理を行うことなく延長限度時間設定の処理を終了する。
【0043】
以上、本実施形態に係る交通信号制御機1によれば、交差点IS内を走行する車両5の速度及び車長に基づいて、当該車両5が交差点ISを通過する交差点通過時間CRを算出し、算出した交差点通過時間CRに基づいてクリアランス時間の全赤時間Rを決定するので、交差点IS内を大型車が走行する場合に、全赤時間Rを長めに設定することができる。これにより、交差点IS内を走行する車両5の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0044】
また、交差点ISの流出方向a,b毎に算出した車両5の方向別通過時間CR1,CR2をのうち最も長い方向別通過時間を交差点通過時間CRとし、この交差点通過時間CRに基づいて全赤時間Rを決定しているため、交差点ISの各流出方向a,bに走行する車両5の車種を考慮して全赤時間Rを決定することができる。これにより、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0045】
また、交差点通過時間CRと予め設定された最短全赤時間Rpとを比較し、時間が長い方を全赤時間Rとして決定しているため、決定された全赤時間Rは、最短全赤時間Rpよりも短くなることがない。これにより、全赤時間Rが極端に早く打ち切られるのを防止することができる。
また、全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長い場合に、最短全赤時間Rpに対して延長した時間分を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算しているため、信号灯色の切替タイミングを補正することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、交通信号制御機1の制御部101(時間設定部111)が、全赤時間設定を行っているが、中央装置4の制御部が全赤時間設定を行うようにしてもよい。すなわち、中央装置4がそれらの制御処理を実行してクリアランス時間の全赤時間Rを設定し、その設定結果に基づく制御指令を交通信号制御機1に送信するようにしてもよい。
【0047】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は、車両感知器3Aとして画像式を採用しているが、本発明の第2の実施形態は、車両感知器3としてITS無線機を採用している。すなわち、本実施形態では、車両感知器3が、車載装置を搭載した車両(以下、本実施形態では単に「車両」という。)5から受信したプローブ情報に含まれる位置情報、速度情報及び車長情報、及び進行方向情報の履歴情報に基づいて、クリアランス時間の「全赤時間設定」を行うようになっている。本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態の全赤時間設定の手順は、上述した第1の実施形態における
図4に示すフローチャートと同様であるが、ステップST2及びステップST3における具体的な処理手順が第1の実施形態と異なる。以下、このステップST2,ST3の処理手順について説明する。
ステップST2において、時間設定部111は、交差点IS内を流出方向a,bに走行している車両が存在しているか否かを判定する。この判定は、流入路L1,L5に設置された各車両感知器3Aが車両5から受信したプローブ情報に基づいて行われる。
【0049】
具体的には、時間設定部111は、車両感知器3Aが流入路L1,L5を走行する車両5から受信したプローブ情報に含まれる位置情報と、予め備えられた道路地図情報とに基づいて、車両5の走行位置から停止線までの距離、及び交差点ISを通過するまでの距離を算出する。そして、これらの算出した距離と車両感知器3Aがプローブ情報を受信した時刻における車両5の速度情報に基づいて、車両5が停止線を通過する時刻、及び交差点ISを通過する時刻を求める。そして、これらの時刻に基づいて、黄色時間終了時に車両5が交差点IS内に存在するか否かを判定する。本実施形態では、
図3に示すように、黄色時間終了時に交差点IS内に乗用車5A及び大型車5Bが存在するため、時間設定部111は車両5が存在していると判定する。
【0050】
なお、車両5の進行方向は、前記位置情報及び道路地図情報とに基づいて、車両5が右折専用車線及び直進車線のうちのいずれに位置するかを判別することによって、右折及び直進のいずれかを判定することができる。
また、車両5が左折と直進とが合体した車線に位置する場合は、前記速度情報が所定速度(例えば20km/h)以上であれば直進と判定し、渋滞していない場合、前記所定速度未満であれば左折と判定することができる。渋滞の判定は、既存の機能として交通管制センターでの判定や、流出部に設置した感知器(通称、先詰まり判定用感知器)の占有率が高くなることにより判定できる。
【0051】
次に、ステップST3において、時間設定部111は、流出方向a,b毎に車両5A,5Bが交差点ISを通過する「方向別通過時間CR1,CR2」を算出する。方向別通過時間CR1,CR2は、車両感知器3Aが車両5A,5Bから受信した各プローブ情報に含まれる位置情報、速度情報及び車長情報に基づいて、第1の実施形態と同様に上述の式(1),(2)により算出される。
以上、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0052】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る交通信号制御機を含む交通信号制御システムの道路平面図である。本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、車両感知器3、制御部101の構成、及び時間設定部111による全赤時間設定の処理内容が異なる点で第1の実施形態と相違する。なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。本実施形態の制御部101は、クリアランス時間の全赤時間を決定する時間設定部111と、車両感知器3の検出結果に基づいて交差点IS内に車両5が存在するか否かを連続的に判定する判定部112とを含んでいる。
【0053】
図6は、本実施形態の車両感知器の説明図である。本実施形態の車両感知器は、交差点IS内の車両5の有無だけを検出するものであり、交差点IS内の全体を監視範囲とし、その監視範囲内のカメラ映像を画像処理することにより、車両5の有無を計測する画像式の車両感知器3Aを採用することができる。この車両感知器3Aは、例えば、交差点ISに隣接する建物の高所に設置される。なお、本実施形態の車両感知器3Aとしては、交差点IS内の車両5の有無を検出できるものであれば、遠赤外線式車両感知器など他の車両感知器を採用することもできる。
【0054】
図7は、交通信号制御機1の時間設定部111によるクリアランス時間の全赤時間設定の手順を示すフローチャートである。以下、
図6及び
図7を参照して、本実施形態の時間設定部111が行うクリアランス時間の全赤時間設定について説明する。
図6は、本実施形態の全赤時間設定の具体例を示しており、通行権を与えている流入路L1,L5について信号灯色を切り替えるときに、流入路L1,L5から交差点IS内に進入した1台の乗用車5A,及び1台の大型車5Bが、流出路L4,L8へ向かって、それぞれ流出方向a,bに走行している状態を示している。
【0055】
図7に示すように、時間設定部111は、流入路L1,L5の信号灯器2の黄色時間が終了したとき、つまり全赤時間が開始されたときに、全赤時間設定の処理を開始する(ステップST1)。まず、判定部112において、車両感知器3Aが交差点IS内の車両の有無を計測することにより、交差点IS内を流出方向a,bに走行している車両が存在しているか否かを連続的に判定する(ステップST2)。本実施形態では、
図6に示すように、交差点IS内に乗用車5A及び大型車5Bが存在するため、これらの車両5A,5Bが交差点ISを通過するまで、判定部112は車両が存在していると判定し続ける。
一方、判定部112が交差点IS内に車両が存在していない判定した場合、時間設定部111は、予め設定された最短全赤時間Rpを全赤時間Rとして決定し(ステップST11)、後述するステップST5に移行する。
【0056】
ステップST2において、時間設定部111は、判定部112が交差点IS内に車両が存在していると判定している間、全赤時間Rを継続する(ステップST3)。全赤時間Rを継続している間、判定部112は、交差点IS内を流出方向a,bに走行している車両が存在しなくなったか否かを連続的に判定する(ステップST4)する。そして、交差点IS内の車両5A,5Bが交差点ISを通過し、判定部112が交差点IS内に車両5A,5Bが存在しないと判定した場合、時間設定部111において、全赤時間Rが最短全赤時間Rpを経過しているか否かを判定する(ステップST5)。
【0057】
全赤時間Rが最短全赤時間Rpを既に経過している場合、時間設定部111は、全赤時間Rを打ち切る(ステップST6)。一方、全赤時間Rが最短全赤時間Rpを経過していない場合、時間設定部111は、最短全赤時間Rpを経過するまで全赤時間Rを継続し、最短全赤時間Rpを経過したときに全赤時間Rを打ち切る(ステップST6)。これにより、ステップST4の判定結果に関わらず、最短全赤時間Rpに達するまで全赤時間Rを継続することができる。
【0058】
次に、時間設定部111は、全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長く継続されたか否かを判定する(ステップST7)。全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長く継続された場合には、最短全赤時間Rpに対して延長した時間分(R−Rp)を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算する補正処理を行う(ステップST8)。例えば、次現示の可変ステップや、次サイクルの同一現示又は複数の可変ステップから、延長した時間分を減算することができる。一方、ステップST7の判定において、全赤時間Rが最短全赤時間Rpで打ち切られた場合には、時間設定部111は、補正処理を行うことなく全赤時間設定の処理を終了する。
【0059】
以上、本実施形態に係る交通信号制御機1によれば、信号灯色の切替時に信号灯色の切替時に交差点IS内を走行する車両5が存在する場合は、クリアランス時間の全赤時間Rを継続し、交差点IS内を走行する車両5が存在しなくなったときに、全赤時間Rを打ち切るので、交差点IS内を大型車が走行する場合に、全赤時間Rを長めに設定することができる。これにより、交差点IS内を走行する車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
また、本実施形態の全赤時間設定は、信号灯色の切替時に交差点IS内を走行する車両5が存在するか否かによって全赤時間Rの継続・打ち切りを決定しているため、第1の実施形態の全赤時間設定のように、交差点IS内を走行する車両5が当該交差点ISを通過する交差点通過時間CRを予測して全赤時間Rを設定する場合するに比べて、さらに適切に信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0060】
交差点IS内を走行する車両5が存在するか否かに関わらず、予め設定された最短全赤時間Rpに達するまで全赤時間Rは継続されるため、全赤時間が極端に早く打ち切られるのを防止することができる。
また、全赤時間Rが最短全赤時間Rpよりも長く継続された場合に、最短全赤時間Rpに対して延長した時間分を、次現示以降における所定の信号灯色の表示時間から減算しているため、信号灯色の切替タイミングを補正することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、交通信号制御機1の制御部101(時間設定部111)が、全赤時間設定を行っているが、中央装置4の制御部が全赤時間設定を行うようにしてもよい。すなわち、中央装置4がそれらの制御処理を実行してクリアランス時間の全赤時間Rを設定し、その設定結果に基づく制御指令を交通信号制御機1に送信するようにしてもよい。
【0062】
[第4の実施形態]
第3の実施形態は、交差点内の車両存在判定を車両感知器3Aとして画像式を採用しているが、本発明の第4の実施形態は、車両感知器3としてITS無線機を採用している。すなわち、本実施形態では、車両感知器3が、車載装置を搭載した車両(以下、本実施形態では単に「車両」という。)5から受信したプローブ情報に含まれる高精度な位置情報、速度情報に基づいて、クリアランス時間の「全赤時間設定」を行うようになっている。本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
本実施形態の全赤時間設定の手順は、上述した第3の実施形態における
図7に示すフローチャートと同様であるが、ステップST2における具体的な処理手順が第1の実施形態と異なる。以下、このステップST2の処理手順について説明する。
ステップST2において、時間設定部111は、交差点IS内を走行している車両が存在しているか否かを判定する。この判定は、交差点近傍に設置された各車両感知器3Aが車両5から受信したプローブ情報に基づいて行われる。
【0064】
具体的には、時間設定部111は、車両感知器3Aが車両5から受信したプローブ情報に含まれる高精度な位置情報と、予め備えられた交差点内位置情報(交差点の停止線内の緯度経度情報)とに基づいて、赤時間Rにおいて車両5の走行位置が交差点内であるか否かを判断する。この判断を短い周期(例として0.1秒周期)で判断し、常に赤時間の延長の必要性を判断する。すなわち、赤時間R内に交差点内に車両が存在する限り、一定限度まで赤時間Rの延長処理を行う。
以上、本実施形態においても、第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
[第5の実施形態]
図8は、本発明の第5の実施形態に係る交通信号制御機を含む交通信号制御システムの道路平面図である。本実施形態の交通信号制御機1では、制御部101の時間設定部111は、端末感応制御としてギャップ感応制御の代表である右折感応制御を実行する場合においては、その右折感応制御において右折車両の車種に応じて延長限度時間(最大延長限度)を決定する「延長限度時間設定」を行う。ここで、「右折感応制御」とは、右折専用車線(特定方向への専用車線)の右折車両の有無を感知する車両感知器の感知信号に基づいて右折青矢印灯の表示時間を延長等して調整する制御である。また、「延長限度時間」とは、右折青矢印灯を表示する時間の最大値のことである。なお、本実施形態及び後述する第6〜第8の実施形態では、右折感応制御による実施形態を示すが、同様な仕組みで、直進車線や左折車線を特性方向への専用車線とした場合のギャップ感応制御にも適用できる。
【0066】
本実施形態では、右折感応制御の延長限度時間を調整するため、路側センサ3は、流入路L1,L3,L5,L7の右折専用車線を走行する右折車両5を検出する車両感知器よりなる。
上記車両感知器としては、カメラ映像を画像処理して右折専用車線の右折車両5の有無を計測する超音波式の車両感知器3Aと、右折車両5の車種又は車長を計測する画像式の車両感知器3Bとを採用することができる。
【0067】
図9(a)は、前記超音波式の車両感知器3Aの説明図であり、
図9(b)は、前記画像式の車両感知器3Bの説明図である。
図9(a)に示すように、超音波式の車両感知器3Aは、右折専用車線の入口付近の所定箇所に超音波を所定時間おきに照射し、右折車両5からの反射波の受信如何によって右折車両5の有無を検出する。従って、超音波式の車両感知器3Aは、右折専用車線の所定箇所に対する車両通過を短時間でスポット的に監視するものである。
なお、右折専用車線への右折車両5の通過をスポット的に監視する車両感知器5Aとしては、超音波式の他に、赤外線やレーザ光などを用いる光学式センサや、インダクタンス変化で右折車両5を感知するループコイルを採用することもできる。
また、本実施形態の右折車両5の車種(車長)を計測する画像式の車両感知器3Bは、右折車両5の有無を検出する車両感知器3Aを兼用してもよい。この場合、車両感知器3Bは、右折車両5の有無及び車種を計測すればよい。
【0068】
図9(b)に示すように、画像式の車両感知器3Bは、流入路L1,L3,L5,L7における停止線から上流側に所定距離(例えば30m)離れた位置までの所定区間を監視範囲とし、その監視範囲内のカメラ映像を画像処理することにより、右折専用車線の監視範囲内における右折車両5の車種をほぼリアルタイムに検出することができる。車両感知器3Bで計測された車種情報は、交通信号制御機1の通信部(取得部)103が取得し、この車種情報を制御部101に転送するようになっている。
なお、車両感知器3Bは、車種に替えて車長を計測するものであってもよい。また、右折車両の車両5の車種(車長)を計測する車両感知器3Bとしては、車載装置を搭載した車両から車種情報又は車長情報を含むプローブ情報を受信したり、ETC車載機を搭載した車両から車種情報又は車長情報を受信する、光ビーコン等の光学式センサや狭域無線通信装置、又はITS無線機を採用することもできる。
【0069】
図10は、制御部101の時間設定部111による右折感応制御の延長限度時間設定の具体例を示す説明図である。また、
図11は、その延長限度時間設定の手順を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して、時間設定部111が行う延長限度時間設定について説明する。
図10に示す具体例は、流入路L3,L7(
図9参照)の右折方向にのみ通行権を与える第2現示2φについて右折感応制御を実行する際に、その右折感応制御の延長限度時間Teを決定する場合を示している。また、流入路L3,L7の各右折専用車線は、それぞれ2車線(第1,第2右折専用車線)あるものとし、各右折専用車線に車両感知器3A,3Bが設置されているものとする。
【0070】
図11に示すように、時間設定部111は、第1,第2右折専用車線において、車両感知器3Aがギャップ(右折車両を感知している状態から感知しない状態への変化)を検出しているか否かを判定する(ステップSS1)。ギャップを検出した場合、時間設定部111は、そのギャップを検出する直前まで車両感知器3Aが感知していた右折車両について、車両感知器3Bが計測した車種情報を、車両感知器3Bから通信部103を介して取得する(ステップSS2)。次に、時間設定部111は、前記右折車両の車種情報に基づいて、下記式(3),(4)により右折専用車線毎に「車線別要求時間Ta1,Ta2」を算出する(ステップSS3)。
Ta1=Tb+n1 ・・・(3)
Ta2=Tb+n2 ・・・(4)
ここで、Tbは、予め設定された「最短延長限度時間」であり、本実施形態では、例えば10秒に設定されている。また、n1,n2は、右折専用車線毎に右折車両の車種に対応して設定された「延長時間」であり、本実施形態では、例えば2秒に設定されている。
【0071】
延長時間n1,n2は、車両感知器3Bが右折車両の車種を「大型車」と計測するたびに最短延長限度時間Tbに加算される。したがって、
図10に示すように、第1右折専用車線を走行する右折車両5aには大型車が合計2台存在するため、4秒(=2台×2秒)の延長時間が加算される。また、第2右折専用車線を走行する右折車両5bには大型車が合計1台存在するため、2秒(=1台×2秒)の延長時間が加算される。これにより、車線別要求時間Ta1は、上記式(3)よりTa1=10+2+2=14秒となる。また、車線別要求時間Ta2は、上記式(4)よりTa2=10+2=12秒となる。
【0072】
次に、時間設定部111は、右折専用車線毎に算出した車線別要求時間Ta1,Ta2のうち最も長い車線別要求時間を、「要求延長限度時間Ta」として決定する(ステップSS4)。本実施形態では、第1右折専用車線の車線別要求時間Ta1(14秒)が第2右折専用車線の車線別要求時間Ta2(12秒)よりも長いため、第1右折専用車線の車線別要求時間Ta1が要求延長限度時間Taとなる。
【0073】
次に、時間設定部111は、要求延長限度時間Taと、予め設定された「最長延長限度時間Tc」(例えば16秒)とを比較し、時間が短い方を「延長限度時間Te」として決定する(ステップSS5)。本実施形態では、要求延長限度時間Ta(14秒)が最長延長限度時間Tc(16秒)よりも短いため、要求延長限度時間Taが延長限度時間Teとして決定される。
なお、各右折専用車線に右折車両5a,5bが最初から存在しない場合は、予め設定された最短延長限度時間Tbが延長限度時間Teとして設定される。
【0074】
以上、本実施形態に係る交通信号制御機1によれば、右折専用車線の右折車両の車種情報に対応して設定された延長時間n1,n2を、予め設定された最短延長限度時間Tbに加算して求めた要求延長限度時間Taから、右折感応制御の延長限度時間Teを決定するので、右折専用車線の右折車両の車種情報に応じて延長限度時間Teを決定することができる。これにより、大型車が右折する場合に、延長限度時間Teを長めに設定することができるため、右折車両の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0075】
また、複数の右折専用車線毎に求めた車線別要求時間Ta1,Ta2のうち最も長い車線別要求時間を要求延長限度時間Taとし、この要求延長限度時間Taに基づいて延長限度時間Teを決定しているため、各右折専用車線における右折車両の車種を考慮して延長限度時間Teを決定することができる。これにより、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
また、要求延長限度時間Taと予め設定された最長延長限度時間Tcとを比較し、時間が短い方を延長限度時間Teとして決定しているため、決定された延長限度時間Teは、最長延長限度時間Tcよりも長くなることがない。これにより、延長限度時間Teが極端に長く設定されるのを防止することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、交通信号制御機1の制御部101(時間設定部111)が、延長限度時間設定を行っているが、中央装置4の制御部が延長限度時間設定を行うようにしてもよい。すなわち、中央装置4がそれらの制御処理を実行して右折感応制御の延長限度時間Teを設定し、その設定結果に基づく制御指令を交通信号制御機1に送信するようにしてもよい。
【0077】
[第6の実施形態]
第5の実施形態は、車両感知器3Bとして画像式を採用しているが、本発明の第6の実施形態は、車両感知器3としてITS無線機を採用している。すなわち、本実施形態では、車両感知器3が、車載装置を搭載した車両(以下、本実施形態では単に「車両」という。)5から受信したプローブ情報に含まれる車種情報に基づいて、右折感応制御の「延長限度時間設定」を行うようになっている。本実施形態のその他の構成については、第5の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態の延長限度時間設定の手順は、上述した第5の実施形態における
図11に示すフローチャートと同様であるが、ステップSS2及びステップSS3における具体的な処理手順が第5の実施形態と異なる。以下、このステップSS2,SS3の処理手順について説明する。
ステップSS2において、時間設定部111は、ギャップを検出する直前まで車両感知器3Aが感知していた右折車両の車種情報を、車両感知器3Bから取得する。具体的には、車両感知器3Bが前記右折車両からプローブ情報を受信し、そのプローブ情報に含まれる車種情報が、車両感知器3Bから通信部103を介し時間設定部111に転送される。
【0079】
次に、ステップSS3において、時間設定部111は、前記右折車両の車種情報に基づいて、上述の式(3),(4)により右折専用車線毎に「車線別要求時間Ta1,Ta2」を算出する。式(3),(4)の延長時間n1,n2は、車両感知器3Bから取得した右折車両の車種情報が「大型車」であるたびに最短延長限度時間Tbに加算される。
以上、本実施形態においても、第5の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0080】
[第7の実施形態]
図12は、本発明の第7の実施形態に係る交通信号制御機の時間設定部による右折感応制御の具体例を示す説明図である。本実施形態は、第5の実施形態の右折感応制御の変形例を示すものであり、時間設定部111が、右折感応制御において右折車両の車種に応じて単位延長青時間を決定する「単位延長青時間設定」を行う点で第5の実施形態と相違する。ここで「単位延長青時間」とは、車両感知器が車両の通過を検出した場合に、右折青矢印灯の表示を延長する単位時間のことである。なお、本実施形態のその他の構成については、第5の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
図13は、時間設定部111による右折感応制御の単位延長青時間設定の手順を示すフローチャートである。以下、
図12,
図13を参照して、時間設定部111が行う単位延長青時間設定について説明する。
図12に示す具体例は、流入路L3,L7(
図8参照)の右折方向にのみ通行権を与える第2現示2φについて右折感応制御を実行する際に、その右折感応制御の単位延長青時間uGを決定する場合を示している。
【0082】
図13に示すように、時間設定部111は、右折専用車線において、超音波式の車両感知器3Aがギャップ(右折車両を感知している状態から感知しない状態への変化)を検出しているか否かを判定する(ステップSS1)。ギャップを検出した場合、時間設定部111は、前記車両感知器3Aが次に感知する後続の右折車両の有無を、画像式の車両感知器3Bが計測しているか否かを判定する(ステップSS2)。前記後続の右折車両がある場合、時間設定部111は、当該右折車両について、車両感知器3Bが計測した車種情報を、車両感知器3Bから通信部103を介して取得する(ステップSS3)。一方、前記後続の右折車両がない場合、時間設定部111は、後述する第1単位時間uG1を単位延長青時間uGとして決定する(ステップSS5)。
【0083】
次に、時間設定部111は、前記後続の右折車両の車種に基づいて、予め設定された第1〜第3単位時間uG1〜uG3のうちのいずれか一を、単位延長青時間uGとして決定する(ステップSS4)。第1〜第3単位時間uG1〜uG3の値の大小関係は、uG1<uG2<uG3となっている。第1単位時間uG1は、例えば3〜4秒に設定され、前記後続の右折車両の車種が「乗用車」である場合に単位延長青時間uGとして決定される。第2単位時間uG2は、例えば4〜6秒に設定され、前記後続の右折車両の車種が「大型車」である場合に単位延長青時間uGとして決定される。第3単位時間uG3は、第1単位時間uG1の2倍(例えば6〜8秒)に設定され、前記後続の右折車両の車種が「二輪車」である場合に設定される。
右折車両の車種が二輪車の場合に最も長い第3単位時間uG3を設定しているのは、二輪車は車両感知器3Aの感知領域外を通過して感知されない場合があるため、その感知漏れがあった場合に、二輪車の後方を走行する右折車両があるにも関わらず、右折青矢印灯の表示が打ち切られるのを防止するためである。
【0084】
本実施形態の単位延長青時間設定について、
図12の具体例を用いて詳しく説明する。
図12に示すように、車両感知器3Aが先頭の右折車両(乗用車)が通過してギャップを検出した場合、時間設定部111は、車両感知器3Bの計測により次に感知される後続の右折車両5が「大型車」であるという車種情報に基づいて、その大型車を感知するまでの単位延長青時間uGを、2番目に長い第2単位時間uG2に決定する。その後、前記大型車が通過することで車両感知器3Aが新たなギャップを検出すると、時間設定部111は、車両感知器3Bの計測により次に感知される後続の右折車両5が「乗用車」であるという車種情報に基づいて、その乗用車を感知するまでの単位延長青時間uGを、最も短い第1単位時間uG1に決定する。さらにその後、前記乗用車が通過することで車両感知器3Aが新たなギャップを検出すると、時間設定部111は、車両感知器3Bの計測により次に感知される後続の右折車両5が「二輪車」であるという車種情報に基づいて、その二輪車の次の後続車両(乗用車)を感知するまでの単位延長青時間uGを、最も長い第3単位時間uG3に決定する。
【0085】
以上、本実施形態の交通信号制御機1によれば、車両感知器3Aが感知する後続の右折車両5の車種情報に対応して、その後続の右折車両5が感知されるまでの単位延長青時間uGを決定するので、後続の右折車両5が大型車の場合に、その大型車が感知されるまでの単位延長青時間uGを長めに設定することができる。これにより、右折車両5の車種に対応して、適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、交通信号制御機1の制御部101(時間設定部111)が、単位延長青時間設定を行っているが、中央装置4の制御部が単位延長青時間設定を行うようにしてもよい。すなわち、中央装置4がそれらの制御処理を実行して右折感応制御の単位延長青時間uGを設定し、その設定結果に基づく制御指令を交通信号制御機1に送信するようにしてもよい。
【0087】
[第8の実施形態]
第7の実施形態は、車両感知器3Bとして画像式を採用しているが、本発明の第8の実施形態は、車両感知器3としてITS無線機を採用している。すなわち、本実施形態では、車両感知器3が、車載装置を搭載した車両(以下、本実施形態では単に「車両」という。)5から受信したプローブ情報に含まれる車種情報に基づいて、右折感応制御の「単位延長青時間設定」を行うようになっている。本実施形態のその他の構成については、第7の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0088】
本実施形態の延長限度時間設定の手順は、上述した第7の実施形態における
図13に示すフローチャートと同様であるが、ステップSS2及びステップSS3における具体的な処理手順が第7の実施形態と異なる。以下、このステップSS2,SS3の処理手順について説明する。
【0089】
ステップSS2において、時間設定部111は、車両感知器3Aが次に感知する後続の右折車両の有無を判定する。具体的には、車両感知器3Aが次に感知する後続の右折車両のプローブ情報を、車両感知器3Bが受信しているか否かによって判定する。
ステップSS3において、前記後続の右折車両がある場合、時間設定部111は、当該右折車両の車種情報を、車両感知器3Bから取得する。具体的には、車両感知器3Bが前記後続の右折車両からプローブ情報を受信し、そのプローブ情報に含まれる車種情報が、車両感知器3Bから通信部103を介し時間設定部111に転送される。
以上、本実施形態においても、第7の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0090】
〔その他の変形例〕
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、交通信号制御機1の制御部101において右折感応制御を行う際に、第5又は第6の実施形態の延長限度時間Teを設定する延長限度時間設定と、第7又は第8の実施形態の単位延長青時間uGを設定する単位延長青時間設定とを併用してもよい。この場合には以下のような作用効果を奏する。すなわち、延長限度時間設定のみを行う場合、例えば右折専用車線に大型車が存在するときに、延長限度時間設定により延長限度時間Teを長めに設定していても、大型車の動き出しが遅いことに起因して、延長限度時間Teに達する前に単位延長青時間uGに達して右折青矢印灯の表示が打ち切られる可能性がある。しかし、延長限度時間設定と単位延長青時間設定とを併用すれば、右折専用車線に大型車が存在する場合に、延長限度時間Teに加えて単位延長青時間uGも長めに設定することができるため、上記のような問題が生じるのを抑制することができる。
【0091】
また、交通信号制御機1の制御部101は、第1〜第4のいずれかの実施形態のクリアランス時間の全赤時間設定と、第5又は第6の実施形態の右折感応制御の延長限度時間設定とを併用したり、第1〜第4のいずれかの実施形態のクリアランス時間の全赤時間設定と、第7又は第8の実施形態の右折感応制御の単位延長青時間設定とを併用してもよい。さらに、前記全赤時間設定と前記延長限度時間設定と前記単位延長青時間設定とをすべて併用してもよい。これらの場合、交差点を通過する車両の車種に対応して、さらに適切な信号灯色の切替タイミングを決定することができる。