(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記節電モードにおける洗浄液の最大吐出圧力は、前記通常モードにおける洗浄液の最大吐出圧力の80%以下に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、洗浄機の電源には商用電源が用いられており、使用場所は商用電源が確保できる場所に限られていた。しかし、洗浄機の電源に電池を用いれば、商用電源が確保できない場所(屋外、ベランダ、ガレージなど)での使用も可能になる。
【0005】
一方、電池(マンガン電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウム電池など)の電圧は、放電容量がある値に達すると急激に低下する特性を有する。さらに、二次電池、特にリチウム電池の場合には、電圧がある閾値電圧に達した後も放電が継続されると(過放電が行われると)、充放電性能が著しく低下してしまう。
【0006】
そこで、充放電可能な複数の電池セルから構成される電池パックなどには、過放電を防止するための回路を備えているものが多い。この種の回路は、電池パックの各電池セルの電圧を監視し、少なくとも一つの電池セルの電圧が所定電圧(以下“放電停止電圧”)に達すると、放電を停止させる。
【0007】
上記のような電池パックを洗浄機の電源として用いた場合、ある電池セルの電圧が放電停止電圧に達すると電池パックからの電力供給が途絶え、洗浄機の運転が停止する。ここで、放電停止電圧は各電池セルの閾値電圧と同一か、それよりも若干高い値に設定されるのが一般的である。したがって、電池パックの電圧は、放電容量がある値に達するまでの間は緩やかに低下しているが、放電容量がある値に達すると急激に低下して直ぐに放電停止電圧に達してしまう。よって、洗浄機を使用している作業者が電池パックの電圧低下を認識することは困難であり、たとえ電圧低下を認識することができたとしても、それは放電停止電圧に達する直前になる。すなわち、作業者が電池パックの電圧低下を認識した後、短時間で洗浄機の運転が停止してしまう事態が発生する虞がある。
【0008】
本発明の目的は、電池を電源とする洗浄機の連続運転時間を延長させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洗浄機は、ポンプによって洗浄液を吐出する本体と、該本体に接続される洗浄ガンとを備える洗浄機であって、電池から電力供給を受けて前記ポンプを駆動する電動モータと、前記電動モータの回転数を変化させて洗浄液の吐出圧力を増減させる制御部とを有し、前記電池の電圧が前記電動モータへの電力供給が停止される所定の第一電圧よりも高い所定の第二電圧まで低下すると、洗浄液の最大吐出圧力をそれまでよりも低くする。
【0010】
本発明の一態様では、前記電池の電圧が前記第二電圧まで低下すると、前記電動モータの回転数を低下させる。
【0011】
本発明の他の態様では、前記電池の電圧が前記第二電圧まで低下すると、前記電動モータへの印可電圧を低下させる。
【0012】
本発明の他の態様では、前記電動モータは、通常モードと該通常モードに比べて洗浄液の最大吐出圧力が低く設定されている節電モードとを含む少なくとも2つの制御モードで駆動され、前記通常モード中に前記電池の電圧が前記第二電圧まで低下すると、前記電動モータの制御モードが前記通常モードから前記節電モードに切替えられる。
【0013】
本発明の他の態様では、前記節電モードにおける洗浄液の最大吐出圧力は、前記通常モードにおける洗浄液の最大吐出圧力の80%以下に設定されている。
【0014】
本発明の他の態様では、作業者によって操作される操作部が設けられ、前記操作部の操作量に応じて前記電動モータの回転数が変化し、各制御モードにおける洗浄液の最大吐出圧力以下の範囲内において洗浄液の吐出圧力が増減される。
【0015】
本発明の他の態様では、前記操作部が前記本体に設けられる。
【0016】
本発明の他の態様では、前記操作部が前記洗浄ガンに設けられる。
【0017】
本発明の他の態様では、前記電池の種類を判定する判定部が設けられ、前記判定部によって判定された前記電池の種類に応じて前記電動モータを起動する際の制御モードが選択される。
【0018】
本発明の他の態様では、前記電池が二次電池である。
【0019】
本発明の他の態様では、前記電池の電圧が前記第二電圧以下に低下したことを報知する表示部が設けられる。
【0020】
本発明の他の態様では、前記電池の電圧が前記第一電圧に達した場合には前記電動モータが停止される。
【0021】
本発明の洗浄機は、ポンプによって洗浄液を吐出する本体と、該本体に接続される洗浄ガンとを備える洗浄機であって、電池から電力供給を受けて前記ポンプを駆動する電動モータと、前記電動モータを制御する制御部とを有し、前記電動モータは、洗浄液を所定の吐出圧力で吐出する通常モードと、前記電池の電圧に基づいて洗浄液の吐出圧力を変更する節電モードとを含む少なくとも2つの制御モードで駆動される。
【0022】
本発明の一態様では、前記通常モードと前記節電モードとを切り替えるモード切替手段が設けられる。
【0023】
本発明の他の態様では、洗浄液の吐出圧力を設定する圧力設定手段が設けられ、前記通常モードでは、前記圧力設定手段により設定された吐出圧力で洗浄液が吐出される。
【0024】
本発明の洗浄機は、ポンプによって洗浄液を吐出する本体と、該本体に接続される洗浄ガンとを備える洗浄機であって、電池から電力供給を受けて前記ポンプを駆動する電動モータと、前記電動モータを制御する制御部とを有し、洗浄液を第一の最大吐出圧力で吐出可能な高圧モードと、洗浄液を前記第一の最大吐出圧力よりも低い第二の最大吐出圧力で吐出可能な低圧モードとを含む少なくとも2つの制御モードで洗浄液を吐出可能である。
【0025】
本発明の一態様では、前記高圧モードと前記低圧モードとを切り替えるモード切替手段が設けられる。
【0026】
本発明の他の態様では、前記制御部は、前記高圧モード設定時中に洗浄液の吐出圧力を変更可能である。
【0027】
本発明の他の態様では、前記制御部は、前記電池の電圧が前記電動モータへの電力供給が停止される所定の第一電圧よりも高い所定の第二電圧まで低下すると、洗浄液の吐出圧力をそれまでよりも低下させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電池を電源とする洗浄機の連続運転時間を延長させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施形態1)
以下、本発明が適用された洗浄機の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る洗浄機は、
図1に示される本体1と、
図2に示される洗浄ガン2とを有しており、本体1と洗浄ガン2はホース3を介して接続される。
【0031】
図1に示されるように、本体1の上部にはタンク10が一体的に設けられており、タンク10の上面には把手11と、タンク10内に洗浄液を供給するための注水口(不図示)とが一体成形されている。注水口からタンク10内に洗浄液を供給したり、タンク10内の洗浄液を注水口から排出したりする場合には、図示されているキャップ12を本体1から取り外して注水口を開口させる。図示されているキャップ12はねじ込み式であって、反時計回りに回転させると本体1から外れ、時計回りに回転させると本体1に固定される。
【0032】
本体1の側面には操作部としてのメインスイッチ13が設けられている。メインスイッチ13はダイヤル式であり、メインスイッチ13の回転操作により洗浄機の電源がON/OFFされる。本実施形態では、メインスイッチ13を初期位置から時計回りに所定角度だけ回転させると電源がONされ、反時計回りに回転させて初期位置に戻すと電源がOFFされる。
【0033】
本体1の正面には、
図2に示される洗浄ガン2から延びるホース3が接続される吐出口としての接続プラグ14が設けられている。上記のようにメインスイッチ13を回転操作すると、後述する電動モータ31(
図4)によってポンプ30(
図4)が駆動され、加圧された洗浄液がホース3を介して洗浄ガン2に供給される(圧送される)。この状態で洗浄ガン2のトリガレバー15が操作されると(引かれると)、洗浄ガン2の先端に設けられている噴射ノズル16から洗浄液が吐出される。本実施形態では、
図1に示されるメインスイッチ13を時計回りに回転させて電源をONさせた後に、メインスイッチ13を同方向にさらに回転させると、その操作量(初期位置に対する回転角)に応じて
図4に示される電動モータ31の回転数が増減される。具体的には、メインスイッチ13の回転角が増大すると電動モータ31の回転数が上昇し、回転角が減少すると電動モータ31の回転数が低下する。すなわち、メインスイッチ13は、電動モータ31の回転数を変化させて洗浄液の吐出圧力を増減させる操作部として機能する。
【0034】
図3に示されるように、本体1の下部(タンク10の下)には電池収容部20が形成されており、この電池収容部20に電源としての電池21が収容される。本体1の背面には、電池収容部20を開閉する蓋部材22が図中の矢印方向に回動可能に設けられている。蓋部材22を回動させて電池収容部20を開放することにより、電池21を電池収容部20に収容し、または、収容されている電池21を電池収容部20から取り出すことができる。電池収容部20の内壁には電極(本体側電極)が設けられており、電池収容部20に電池21を収容すると、電池21に設けられている電極(電池側電極)が本体側電極に接触して電気的導通が確保される。
【0035】
本実施形態における電池21は、直列接続された4つの電池セルから構成される電池パック(二次電池(リチウムイオン電池))であり、公称電圧は14.4[V]である。また、電池パック21には過放電防止回路が設けられており、電圧が所定の第一電圧(以下“放電停止電圧”)に低下すると放電が停止される。本実施形態では、放電停止電圧が8.0[V](電池セル当たり2.0V)に設定されており、電池パック21の電圧が8.0[V]に低下すると、過放電防止回路によって電池パック21の放電が停止される。すなわち、電池パック21からの電力供給が途絶える。
【0036】
図4に示されるように、本体1の下部(電池収容部20の下)には、タンク10から供給される洗浄液を加圧するポンプ30と、電池パック21(
図3)から電力供給を受けてポンプ30を駆動する電動モータ31と、各種の回路が設けられた回路基板32(
図5)とが配置されている。
【0037】
ポンプ30は、シリンダ30aと、シリンダ30a内に往復動可能に収容されたプランジャ30bとを有し、電動モータ31の回転運動がクランクシャフト30bによって往復運動に変換されてプランジャ30bに伝達される。すなわち、ポンプ30は、電動モータ31によって駆動される電動ポンプである。
【0038】
ポンプ30のシリンダ30aには、洗浄液が送り込まれる流入口と、洗浄液が送り出される流出口とが設けられており、流入口および流出口には一方向弁がそれぞれ設けられている。また、本体1の内部には、タンク10から供給される洗浄液をシリンダ30aの流入口に導くための流路と、シリンダ30aの流出口から流出した洗浄液を接続プラグ14に導くための流路とが設けられている。流入口からシリンダ30aに流入した洗浄液は、シリンダ30a内で往復運動を繰り返すプランジャ30bによって圧縮される(加圧される)。加圧された洗浄液はシリンダ30aの流出口から流出し、上記流路を経由して接続プラグ14に送られる。接続プラグ14に送られた洗浄液は、接続プラグ14に接続されているホース3(
図2)を介して洗浄ガン2(
図2)に送られる。
【0039】
図5に示されるように、回路基板32には、電池電圧検出回路41、操作量検出回路42および制御部を構成する制御回路43が少なくとも設けられている。電池電圧検出回路41は、電池パック21の電圧を検出し、検出結果を制御回路43に出力する。操作量検出回路42は、メインスイッチ13の回転角を検出し、検出結果を制御回路43に出力する。制御回路43は、電池電圧検出回路41および操作量検出回路42の検出結果に基づいて電動モータ31を制御する。
【0040】
まず、操作量検出回路42の検出結果に基づく電動モータ31の制御について説明する。操作量検出回路42は、メインスイッチ13の回転角に応じた信号を出力する。制御回路43は、操作量検出回路42から出力される信号に基づいて電動モータ31の回転数を変化させて、洗浄液の吐出圧力を連続的に増減させる。ここで、洗浄液の吐出圧力とはポンプ30の出口(
図4に示されるシリンダ30aの流出口)における洗浄液の圧力を意味する。
【0041】
さらに、制御回路43は、通常モードおよび節電モードを含む少なくとも2つの制御モードに従って電動モータ31の回転数を制御する。それぞれの制御モードについて洗浄液の最大吐出圧力が予め設定されており、節電モードにおける最大吐出圧力は、通常モードにおける最大吐出圧力よりも低く設定されている。上記のように、制御回路43は、メインスイッチ13の回転角の増減に従って洗浄液の吐出圧力を増減させるが、かかる吐出圧力の増減は、そのときの制御モードにおける最大吐出圧力以下の範囲内で行われる。すなわち、通常モードのときにメインスイッチ13の回転角が最大になった場合に得られる吐出圧力と、節電モードのときにメインスイッチ13の回転角が最大になった場合に得られる吐出圧力とは異なり、後者は前者に比して低い。本実施形態は、通常モードにおける最大吐出圧力は8.0[MPa]に設定されており、節電モードにおける最大吐出圧力は5.0[MPa]に設定されている。また、通常モードにおける電動モータ31の最大回転数は16,000[min
-1]、最大消費電流は30[A]である。一方、節電モードにおける電動モータ31の最大回転数は10,000[min
-1]、最大消費電流は15[A]である。
【0042】
なお、洗浄液の吐出圧力は電動モータ31の回転数に依存しており、電動モータ31の回転数は印加電圧に依存している。よって、各制御モードにおける最大吐出圧力は電動モータ31に対する最大印加電圧として設定されている。制御回路43は、電動モータ31に対する印加電圧を変化させることによって電動モータ31の回転数を増減させ、これにより洗浄液の吐出圧力を増減させる。
【0043】
次に、電池電圧検出回路41の検出結果に基づく電動モータ31の制御について説明する。制御回路43は、メインスイッチ13の操作によって電源がONされると、初期設定の制御モードである通常モードで電動モータ31を制御する(
図6のステップS1)。
【0044】
その後、制御回路43は、電池電圧検出回路41の検出結果に基づいて電池パック21の電圧をモニタする(
図6のステップS2)。電池電圧検出回路41は、電池パック21の電圧が所定の第二電圧まで低下すると信号を出力する。具体的には、電池電圧検出回路41は、電池パック21の電圧と基準電圧としての第二電圧(以下“モード切替電圧”)とを比較し、電池パック21の電圧がモード切替電圧以下に低下すると信号を出力する。そこで、制御回路43は、通常モードで電動モータ31を制御しているときに、電池電圧検出回路41から出力された信号が入力されると、電池パック21の電圧がモード切替電圧に低下したものと判断し、通常モードから節電モードに制御モードを切替える(
図6のステップS3)。ここで、モード切替電圧は、電池パック21の公称電圧(14.4V)よりも低く、かつ、放電停止電圧(8.0V)よりも高い電圧であって、本実施形態では10.0[V]に設定されている。すなわち、電池パック21の電圧が放電停止電圧まで低下する前に、電動モータ31の制御モードが通常モードから節電モードに自動的に切替えられる。換言すれば、電池パック21の電圧が放電停止電圧に達する前に、洗浄液の最大吐出圧力が自動的に制限される。その後、電池パック21の電圧がさらに低下し、放電停止電圧に達すると、過放電防止回路により電池パック21の放電が停止され、洗浄機の運転が停止する(
図6のステップS4)。
【0045】
上記のように、電池パック21の電圧が放電停止電圧に達すると、過放電防止回路によって電池パック21の放電が停止される。よって、洗浄機の連続運転時間は、使用開始から電池パック21の電圧が放電停止電圧に達するまでの時間である。この点、本実施形態に係る洗浄機では、電池パック21の電圧が放電停止電圧に達する前に自動的にモード切替えが実行され、洗浄液の最大吐出圧力が制限される。すなわち、電動モータ31の最高回転数が制限される。換言すれば、電動モータ31に対する最大印加電圧が制限され、電池パック21の消費電力が制限される。したがって、
図7に示されるように、最大吐出圧力は低くなるものの、使用開始から電池パック21の電圧が放電停止電圧に達するまでの時間が延長され、総じて洗浄機の連続運転時間が延長される。
【0046】
図5に示されるように、本実施形態に係る洗浄機には表示部17が設けられている。制御回路43は、上記のようにして電動モータ31の制御モードを通常モードから節電モードに切替えるのと同時に、表示部17を動作させて電池パック21の電圧低下を作業者に報知する。本実施形態における表示部17は、本体1の側面に設けられたLED17(
図1)であり、制御回路43は制御モードの切り替えと同時にLED17を点灯させる。なお、通常モードの際と節電モードの際でLED17の点灯色を変化させることによって電圧低下を報知してもよい。例えば、通常モードの際にはLED17を緑色で点灯させ、節電モードの際にはLED17を赤色で点灯させてもよい。さらに、表示部17としての液晶モニタを設け、該モニタ上に電圧低下を報知する所定のメッセージを表示させてもよい。
【0047】
もっとも、本実施形態では、通常モードにおける最大吐出圧力が8.0[MPa]に設定されているのに対し、節電モードにおける最大吐出圧力は5.0[MPa]に設定されている。よって、制御モードが通常モードから節電モードに切替えられると、作業者が認識するのに十分な程度の落差をもって洗浄液の吐出圧力が低下する。したがって、作業者は、洗浄液の吐出圧力の低下により電池パック21の電圧低下を認識することができるので、表示部17を省略してもよい。ここで、各制御モードにおける最大吐出圧力は上記圧力に限定されるものではなく、任意に設定することができる。しかし、洗浄液の吐出圧力の低下によって電圧低下を作業者に報知する観点からは、節電モードにおける最大吐出圧力が通常モードにおける最大吐出圧力の80%以下に設定されていることが好ましい。
【0048】
なお、
図1に示されるLED17の下にある押しボタン18は、当該洗浄機に水抜き動作を実行させるための専用ボタンである。また、節電モードに切り替えられても、最大吐出圧力は5.0[MPa]であるため、高圧洗浄作業には十分な吐出圧力を確保することができる。
【0049】
以下、本発明が適用された洗浄機の他例について説明する。もっとも、以下に説明する洗浄機の基本構成は、本実施形態に係る洗浄機と共通である。そこで、本実施形態に係る洗浄機と共通する構成についての説明は適宜省略し、主に相違点について説明する。また、本実施形態に係る洗浄機と共通する構成については同一の符号を用いる。
【0050】
(実施形態2)
実施形態1に係る洗浄機では、電動モータ31の回転数を変化させて洗浄液の吐出圧力を増減させるための操作部は、本体1に設けられたメインスイッチ13であった。これに対し、本実施形態に係る洗浄機では、洗浄ガン2に上記操作部が設けられている。
【0051】
図8に示されように、本実施形態に係る洗浄機を構成する洗浄ガン2には、
図5に示される操作量検出回路42に相当する操作量検出回路142が設けられている。操作量検出回路142は、洗浄ガン2が備えるトリガレバー15の操作量(ストローク量)に応じた信号を出力する。制御回路43は、操作量検出回路142から出力される信号に基づいて電動モータ31の回転数を変化させて、洗浄液の吐出圧力を増減させる。なお、操作量検出回路142から出力される信号は、有線によって本体1に伝送されて制御回路43に入力される。例えば、操作量検出回路142から出力される信号は、本体1と洗浄ガン2とを繋ぐホース3の被覆内に埋め込まれている信号ケーブルやホース3とは別体の信号ケーブルを介して本体1に伝送されて制御回路43に入力される。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る洗浄機では、洗浄ガン2に設けられたトリガレバー15が電動モータ31の回転数を変化させて洗浄液の吐出圧力を増減させる操作部である。
【0053】
もっとも、本実施形態に係る洗浄機においても、通常モードおよび節電モードを含む少なくとも2つの制御モードで電動モータ31の回転数が制御される。また、トリガレバー15の操作量(ストローク量)の増減に従った洗浄液の吐出圧力の増減は、そのときの制御モードにおける最大吐出圧力以下の範囲内で行われる。さらに、通常モード中に電池電圧検出回路41から出力された信号が制御回路43に入力されると、通常モードから節電モードに電動モータ31の制御モードが自動的に切替えられる。
【0054】
すなわち、本実施形態に係る洗浄機においても、電池パック21の電圧が放電停止電圧に達する前に、電動モータ31の制御モードが通常モードから節電モードに自動的に切替えられる。換言すれば、電池パック21の電圧が放電停止電圧に達する前に、洗浄液の最大吐出圧力が自動的に制限されるため作業時間を延ばすことが可能となる。
【0055】
なお、操作量検出回路142から出力される信号を無線によって本体1に伝送してもよく、
図9に示されるような実施形態もある。
図9に示される実施形態では、洗浄ガン2に送信部150が設けられ、本体1に受信部151が設けられている。送信部150は、操作量検出回路142から出力される信号を送出する。受信部151は、送信部150から送出された信号を受信して制御回路43に出力する。
【0056】
(実施形態3)
上記実施形態では、電池パック21の放電を停止させる過放電防止回路が電池パック21に設けられていたが、本実施形態では、過放電防止回路が本体1に設けられている。具体的には、
図5に示される電池電圧検出回路41とは別に、電池パック21の電圧が放電停止電圧以下になると制御回路43に信号を出力する第二の電池電圧検出回路が本体1に設けられている。本実施形態では、制御回路43は、第二の電池電圧検出回路から出力された信号が入力されると、電池パック21から電動モータ31への電力供給を停止する。
【0057】
(実施形態4)
本実施形態では、電池パック21の電圧が電動モータ31への電力供給が停止される所定の第一電圧よりも高い所定の第二電圧まで低下した後、洗浄液の最大吐出圧力が段階的または連続的に下げられる。具体的には、上記節電モード(第一の節電モード)よりも最大吐出圧力が低く設定された第二の節電モード、第二の節電モードよりも最大吐出圧力がさらに低く設定された第三の節電モードが用意されるとともに、上記モード切替電圧(第一のモード切替電圧)よりも低い第二のモード切替電圧、第二のモード切替電圧よりもさらに低い第3のモード切替電圧が設定されている。本実施形態では、電池パック21の電圧が第一のモード切替電圧まで低下すると、電動モータ31の制御モードが通常モードから第一の節電モードへ切替えられる。その後、電池パック21の電圧が第二のモード切替電圧まで低下すると、電動モータ31の制御モードが第一の節電モードから第二の節電モードに切替えられ、さらに第3のモード切替電圧まで低下すると、第二の節電モードから第3の節電モードに切替えられる。
【0058】
(実施形態5)
上記実施形態では、通常モードに関しても最大吐出圧力が予め設定されていたが、本実施形態では、通常モードに関しては最大吐出圧力が設定されていない。具体的には、通常モードの際には電動モータ31に対する印加電圧に関して特に制限が設けられていない。
【0059】
(実施形態6)
上記実施形態では、初期設定の制御モードとして通常モードが設定されていた。すなわち、電源がONされると、電池パック21の種類などに関わらず、常に通常モードで電動モータ31の制御が開始された。しかし、種類が異なる電池パック21が選択的に用いられることもある。例えば、放電容量が異なる電池パック21が選択的に用いられることもある。このような場合、電動モータ31の制御を開始する前に、すなわち、電動モータ31の起動前に、電池の種類を判定し、判定結果に基づいて適切な制御モードを選択することが好ましい。
【0060】
本実施形態では、
図10に示されるように、電池パック21の実装の有無および実装された電池パック21の種類を判定し、判定結果を制御回路43に出力する判定部160が設けられている。図示されている判定部160は、電池パック21に予め設けられている識別素子に基づいて電池パック21の種類を判定する。なお、識別素子には、電池パック21の種類(放電容量や電池電圧など)に応じて異なる抵抗値が設定されており、その抵抗値に基づいて電池パック21の種類を判定することが可能である。
【0061】
本実施形態では、
図11に示されるように、電池パック21が実装されたか否かが最初に判定される。具体的には、判定部160(
図10)によって識別素子の抵抗値が読み取られた場合には電池パック21が実装されたと判定され、抵抗値が読み取られない場合には電池パック21は実装されていないと判定される。電池パック21が実装されたと判定された場合には、続いて電池パック21の種類が判定される。本実施形態では、電池パック21の放電容量が3.0[Ah]または1.5[Ah]のいずれであるかが判定される。そして、実装されている電池パック21の放電容量が3.0[Ah]であると判定された場合には通常モードで電動モータ31の制御が開始される。一方、実装されている電池パック21の放電容量が1.5[Ah]であると判定された場合には節電モードで電動モータ31の制御が開始される。すなわち、
図10に示される判定部160によって判定された電池パック21の種類に応じて、電動モータ31を起動する際の制御モードが選択される。なお、通常モードで電動モータ31の制御が開始された後は、
図6に示されるステップS1以降と同様のステップで制御が行われる。一方、節電モードで電動モータ31の制御が開始された後は、
図6に示されるステップS3以降と同様のステップで制御が行われる。
【0062】
ここでは、電池パック21の放電容量に基づいて制御モードが選択される形態について説明したが、放電容量以外の要素に基づいて制御モードが選択してもよく、例えば、電池電圧に基づいて制御モードを選択してもよい。
【0063】
(実施形態7)
本実施形態では、洗浄液を所定の吐出圧力で吐出する通常モードと、電池電圧に応じて吐出圧力を変更する節電モードとを任意に選択することができる。作業時間にかかわらず常に最大吐出圧力で作業したい場合には通常モードを選択し、作業時間を延ばしたい場合には節電モードを選択することができる。例えば、
図1に示される押しボタン18を押し込む毎にモードが切替可能となっており、選択されたモードがLED17によって表示される。メインスイッチ13を回転させて電源をONさせた後に押しボタン18が1回押されると、通常モードが選択される。このとき、LED17が赤色に点灯して通常モードが選択されたことが表示される。この状態でトリガレバー15が操作されると、最大吐出圧力8.0〔MPa〕で洗浄液が吐出される。なお、本体1あるいは洗浄ガン2に操作量検出回路42あるいは142を設ければ、一定の最大吐出圧力だけではなく任意の圧力に設定することも可能となる。
【0064】
一方、押しボタン18が2回押されると節電モードが選択される。このとき、LED17が青色に点滅して節電モードが選択されたことが表示される。この状態でトリガレバー15が操作されると、電池電圧(電池容量)が高い場合には最大吐出圧力8.0〔MPa〕で洗浄液が吐出されるが、電池電圧が低下してくると、電池電圧に応じて吐出圧力が低下する。すなわち、電池電圧が第二電圧以下に低下すると最大吐出圧力が5.0〔MPa〕に低下して作業時間が確保される。
【0065】
また、節電モードが選択された場合には、通常モード時の最大吐出圧力より低い5.0〔MPa〕を最大吐出圧力とすれば、更なる作業時間の確保が可能となる。
【0066】
図11を用いて説明すると、電池実装の判断が押しボタン18が押されたか否かの判断となり、その後の電池容量の判断が押しボタン18が押された回数の判断となる。押しボタン18の押された回数が奇数の場合には通常モードに進み、偶数の場合には節電モードに進むことになる。通常モードの場合には、所定の吐出圧力にて洗浄液を吐出させることになる。節電モードの場合には、
図6のステップS1からステップS4が実行されることになる。なお、ステップS3及びステップS4のみを実行してもよい。
【0067】
(実施形態8)
本実施形態では、洗浄液の最大吐出圧力が相対的に高く設定されている高圧モードと、相対的に低く設定されている低圧モードとを任意に選択できる。例えば、高圧モードの最大吐出圧力は8.0〔MPa〕に設定され、低圧モードの最大吐出圧力は1.0〔MPa〕(水道圧程度)に設定される。モード切替は、実施形態7と同じように、押しボタン18の操作回数によって行うことができる。本実施形態では、高圧モードが選択された場合のみ、電池電圧に応じて吐出圧力が変更されるように構成されている。高圧モード選択時には、吐出圧力が高く電池の消費が多くなり作業時間が短くなってしまう。そこで、高圧モード選択時には、電池電圧が第二電圧まで低下したら吐出圧力をそれまでの圧力より低くすることで、作業時間を延ばすことができる。なお、低圧モード選択時には、吐出圧力が低いため電池の消費が少なくなり作業時間を確保することができる。
【0068】
図11を用いて説明すると、電池実装の判断が押しボタン18が押されたか否かの判断となり、その後の電池容量の判断が押しボタン18が押された回数の判断となる。押しボタン18の押された回数が奇数の場合には高圧モードに進み、偶数の場合には低圧モードに進むことになる。高圧モードの場合には、
図6のステップS2及びステップS4が実行されることになる。低圧モードの場合には、設定されている吐出圧力にて洗浄液を吐出する。また、低圧モードを選択すれば、動物やエアコン等の洗浄にも使用することができ、使用用途が広がる。
【0069】
以上のように、作業者が任意に動作モードを選択できるようにすれば、使用用途に応じた吐出圧力や作業時間を得ることができ、作業性の良い洗浄機を提供することができる。
【0070】
本明細書では、電源が二次電池である実施形態について説明した。しかし、ある放電容量を境に電圧が急激に低下する特性は二次電池に限った特性ではなく、一次電池を含む多くの電池に共通する特性である。本発明は、一次電池を電源とする洗浄機にも適用することができる。