【実施例】
【0014】
(実施例1)
上記内燃機関用の点火プラグにかかる実施例について、図を用いて説明する
本例の点火プラグ1は、
図1〜
図3に示すごとく、同心円状に巻回した一次コイル21及び二次コイル22を有するコイル部2と、コイル部2の軸方向Xの一端側に配置され、一次コイル21の通電及びその遮断を行うイグナイタ32と、外部と電気的に接続するためのコネクタ部4と、電磁ノイズを防止するためのコンデンサ33とを備えている。
【0015】
そして、
図3に示すごとく、コイル部2の軸方向Xから見た場合に、イグナイタ32は、コネクタ部4と対向するように配置されており、コンデンサ33は、イグナイタ32におけるコネクタ部4と対向する対向側Y1の先端位置C1よりも反対向側Y2であって、かつイグナイタ32の外側に配置されている。
なお、本例では、点火コイル1をコイル部2の軸方向Xから見た場合に、イグナイタ32とコネクタ部4とが対向する方向を対向方向Yとしている。また、対向方向Yの一方側を対向側Y1、他方側を反対向側Y2としている。
以下、これを詳説する。
【0016】
図1に示すごとく、点火コイル1は、内外周に同心円状に配置された一次コイル21及び二次コイル22とこれらを内側に収容するコイルケース23とを有するコイル部2と、イグナイタ32を収容すると共に、コイル部2の軸方向上端部を嵌合する嵌合穴31が設けられた樹脂製のイグナイタケース3とを備えている。
【0017】
コイル部2は、エンジン(内燃機関)のプラグホール内に配置されている。コイル部2の軸方向下端部には、スパークプラグに導通されるプラグ装着部5が設けられている。また、イグナイタケース3は、エンジン(内燃機関)のプラグホールの外部に配置されている。また、イグナイタケース3は、コイル部2の軸方向上端部に嵌合されている。
【0018】
同図に示すごとく、コイル部2において、一次コイル21は、樹脂製の一次スプール211の外周に一次電線を巻回して形成されている。また、二次コイル22は、樹脂製の二次スプール221の外周に一次電線よりも細い二次電線を一次コイル21よりも多い巻回数で巻回して形成されている。また、一次コイル21及び二次コイル22の内周側には、軟磁性体からなる中心コア24が配置されている。また、コイル部2の最外周側には、軟磁性体からなる外周コア25が配置されている。
【0019】
また、プラグ装着部5は、コイルケース23に連結した(本例では、コイルケース23と一体成形された)樹脂製の筒状ベース部51と、一次スプール211の軸方向下端部において二次コイル22の高電圧巻線端部を導通する高電圧端子52と、高電圧端子52に導通され、スパークプラグの電極部を導通させるコイルスプリング53と、スパークプラグの碍子部を圧入するプラグキャップ54とを用いて構成されている。
【0020】
また、イグナイタケース3において、嵌合穴31は、イグナイタケース3を軸方向に貫通して形成されている。嵌合穴31には、コイル部2の軸方向上端部が下方から嵌入されている。
また、イグナイタケース3には、点火コイル1を外部と電気的に接続するためのコネクタ部4と、点火コイル1をエンジン(内燃機関)に固定するためのフランジ部35とが外側に突出するように設けられている。
【0021】
図2に示すごとく、イグナイタケース3内には、一次コイル21の通電及びその遮断を行う制御回路基板が内蔵されたイグナイタ32が配置されている。イグナイタ32は、イグナイタケース3に設けられたイグナイタ配置面30上に配置されている。また、イグナイタ32は、制御回路基板をモールド樹脂によって封止してなる。
【0022】
図3に示すごとく、イグナイタ32は、コイル部2の軸方向Xから見た場合に、コネクタ部4と対向するように配置されている。また、イグナイタ32は、制御回路基板から外側に引き出された複数のイグナイタ端子321を有する。イグナイタ端子321は、対向側Y1に突出して設けられている。
【0023】
同図に示すごとく、コネクタ部4には、複数のコネクタ端子40が設けられている。本例において、複数のコネクタ端子40は、電源端子41とグラウンド端子42と点火信号端子43とにより構成されている。
【0024】
電源端子41は、イグナイタケース3内において、イグナイタ32のイグナイタ端子321に接続される接続端子部411と、接続端子部411から延設してなると共にコンデンサ33に接続するための接続リード部412とを有する。接続リード部412は、イグナイタ32の側方において、対向方向Yに形成されている。また、電源端子41には、一次コイル21の一方の巻線端部が接続されている。
【0025】
グラウンド端子42は、イグナイタケース3内において、その途中でイグナイタ32のイグナイタ端子321に接続される接続端子部421と、コンデンサ33に接続するための接続リード部422とに枝分かれして形成されている。接続リード部422は、イグナイタ32の側方において、電源端子41の接続リード部412と並んで対向方向Yに形成されている。
点火信号端子43は、イグナイタケース3内において、イグナイタ32のイグナイタ端子321に接続されている。
【0026】
また、同図に示すごとく、イグナイタケース3内には、一次コイル21の他方の巻線端部に接続される接続導体部49が設けられている。接続導体部49は、イグナイタ32のイグナイタ端子321に接続されている。
【0027】
図2、
図3に示すごとく、イグナイタケース3内には、コンデンサ33が配置されている。コンデンサ33は、イグナイタケース3のイグナイタ配置面30に設けられた収容凹部301に収容されている。また、コンデンサ33は、一対のリード端子331を介してそれぞれ電源端子41の接続リード部412及びグラウンド端子42の接続リード部422に接続されている。これにより、コンデンサ33は、電源端子41とグラウンド端子42との間に配置され、電源端子41に重畳する電磁ノイズの影響を小さくすることができる。
【0028】
図3に示すごとく、コンデンサ33は、コイル部2の軸方向Xから見た場合に、イグナイタ32におけるコネクタ部4と対向する対向側Y1の先端位置C1よりも反対向側Y2であって、かつイグナイタ32の外側に配置されている。本例において、コンデンサ33は、イグナイタ32における反対向側Y2の先端位置C2よりも反対向側Y2に配置されている。すなわち、コンデンサ33は、イグナイタ32よりも反対向側Y2に配置されている。
【0029】
また、同図に示すごとく、イグナイタケース3内には、ダイオード34が配置されている。ダイオード34は、一方のリード端子341を介して電源端子41の接続端子部411に接続されている。また、ダイオード34は、他方のリード端子342を介して二次コイル22の低電圧側巻線端部に接続されている。これにより、ダイオード34は、二次コイル22の低電圧側巻線端部と電源端子41との間に配置される。
【0030】
また、
図1、
図2に示すごとく、コイル部2及びイグナイタケース3内に形成された隙間には、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂11が充填されている。
また、イグナイタケース3の下端部には、筒状突起部36が設けられている。筒状突起部36には、エンジンのプラグホール内への水の浸入を防止するためのシールラバー37が配設されている。
【0031】
次に、本例の点火コイル1における作用効果について説明する。
本例の点火コイル1において、コイル部2の軸方向Xから見た場合に、イグナイタ32は、コネクタ部4と対向するように配置されている。そして、コンデンサ33は、イグナイタ32におけるコネクタ部4と対向する対向側Y1の先端位置C1よりも反対向側Y2であって、かつイグナイタ32の外側に配置されている。そのため、コンデンサ33の配設位置を、イグナイタ32とコネクタ部4との間の領域、つまりイグナイタ32の端子群やコネクタ部4の端子群が互いに密集している領域であり、点火コイル1使用時の冷熱繰り返しによって発生した熱応力の影響を受けやすい領域(ターミナル密集部T(
図3参照))から遠ざけることができる。これにより、冷熱繰り返しによって発生した熱応力によるコンデンサ33の損傷を抑制することができる。
【0032】
また、本例において、コイル部2の軸方向Xから見た場合に、コンデンサ33は、イグナイタ32よりも反対向側Y2に配置されている。そのため、コンデンサ33の配設位置を、イグナイタ32とコネクタ部4との間の領域、つまり上述のターミナル密集部Tから十分かつ確実に遠ざけることができる。これにより、冷熱繰り返しによって発生した熱応力によるコンデンサ33の損傷を抑制するという上述の効果をさらに高めることができる。
【0033】
また、点火コイル1は、イグナイタ32を収容するイグナイタケース3を備え、イグナイタケース3は、イグナイタ32を配置するイグナイタ配置面30を有し、イグナイタ配置面30には、コンデンサ33を収容する収容凹部301が設けられている。そのため、コンデンサ33をイグナイタ配置面30の収容凹部301に収容することにより、コンデンサ33が冷熱繰り返しによって発生した熱応力による影響を受けにくくすることができる。これにより、コンデンサ33の損傷をさらに抑制することができる。また、コンデンサ33をイグナイタ配置面30の収容凹部301に収容することにより、スペースを有効活用することができ、体格の小型化を図ることができる。
【0034】
また、イグナイタ配置面30に収容凹部301を設けることにより、冷熱繰り返しによってイグナイタ32とイグナイタケース3との間に発生する熱応力をイグナイタ配置面30の収容凹部301によって吸収・緩和することができる。これにより、冷熱繰り返しによって発生した熱応力によるイグナイタ32の損傷を抑制することもできる。
【0035】
また、イグナイタケース3内に搭載されたイグナイタ32、コンデンサ33、ダイオード34等の各素子本体は、いずれも干渉しない場所、すなわちコイル部2の軸方向Xにおいて互いに重ならないように配置されている。また、各素子本体に接続される各端子は、互いに接触しないように配置されている。そのため、剛体(各素子本体、各端子)近辺で発生する冷熱繰り返しによる応力集中を回避することができる。これにより、コンデンサ33のリード端子331の断線、リード端子331と接続リード部412、422との接合部の断線、コンデンサ33内のチップの破損を防止することができる。そして、経時的な影響を受けることなく、コンデンサ33によって電磁ノイズを防止し続けることができる。
【0036】
このように、本例によれば、コンデンサ33の損傷を抑制することができる内燃機関用の点火コイル1を提供することができる。
【0037】
(実施例2)
本例は、
図4、
図5に示すごとく、コネクタ端子40等の構成を変更した例である。
同図に示すごとく、コネクタ端子40のうち、グラウンド端子42の接続リード部422は、イグナイタケース3とイグナイタ32との間を通るように、対向方向Yに形成されている。また、これに伴ってダイオード34の配設位置等を変更している。
その他の基本的な構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
【0038】
(実施例3)
本例は、
図6に示すごとく、コンデンサ33、コネクタ端子40等の構成を変更した例である。
同図に示すごとく、コンデンサ33は、イグナイタ32における対向側Y1の先端位置C1と反対向側Y2の先端位置C2との間であって、かつイグナイタ32の外側に配置されている。すなわち、コンデンサ33は、イグナイタ32の側方に配置されている。
【0039】
また、コネクタ端子40のうち、グラウンド端子42の接続リード部422は、イグナイタケース3とイグナイタ32との間を通るように、対向方向Yに形成されている。また、これに伴ってダイオード34の配設位置等を変更している。
その他の基本的な構成及び作用効果は、実施例2と同様である。