(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに接触して回転又は循環移動し、トナー像を載せて搬送されてきた用紙を互いの間に挟んで加熱および加圧することにより該トナー像を該用紙上に定着する一対の定着部材と、
前記一対の定着部材に向かって搬送されてきた用紙を該一対の定着部材が互いに接触した定着領域に案内する案内部材とを備え、
前記案内部材が、
当該案内部材に向かって搬送されてくる用紙側を向いた案内面を有する金属部材と、
搬送されてくる用紙の搬送方向に交わる幅方向に間隔を空けて前記案内面上に配列され該案内面から突出して用紙の搬送方向前端縁の突き当てを受ける複数の樹脂部材とを備え、
前記複数の樹脂部材それぞれが、前記搬送方向前端部分に、前記案内面からの突出量が該搬送方向下流側に向かって連続的に減少したテーパ部を有し、
前記案内面が、前記樹脂部材の前記搬送方向前端よりもさらに該搬送方向下流側にまで広がっていることを特徴とする定着装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態としてのプリンタの概略構成図である。
【0018】
このプリンタ100の下部には、多数枚の用紙Pが積み重ねられた用紙トレイ120が配置されている。この用紙トレイ120は、
図1に示すように、このプリンタ100の筐体110よりも背面側(R側)に食み出た状態でプリンタ100にセットされる。
【0019】
この用紙トレイ120は、用紙Pの補充のために、前面側(F側)に引き出し自在となっている。
【0020】
この用紙トレイPに積み重ねられている用紙Pは、ピックアップロール131で取り出され2枚以上の用紙が積み重なったまま取り出されたときは捌きロール132により1枚のみ分離され、その分離された1枚の用紙が、その用紙の先端が調整ロール133に達するまで送り出される。この調整ロール133は、送り出されてきた用紙の姿勢を調え、後述する画像形成のタイミングに合わせてさらに下流側に送り出す役割を担っている。
【0021】
この調整ロール133の上方には、用紙搬送ベルト140が配置されている。この用紙搬送ベルト140は、ロール141に巻き架けられており、矢印A方向に循環移動し、調整ロール133からさらに下流側(
図1の上方側)に送り出された用紙Pを上方に向けて搬送する役割を担っている。
【0022】
この用紙搬送ベルト140に対面する位置には、矢印B方向に回転するドラム型の4つの感光体150が配置されている。各感光体150の周りには、帯電器151,現像器152,およびクリーナ153が配置されている。また、各感光体150に対し用紙搬送ベルト140を挟んだ位置には各転写器154が配置されている。さらに、これらの感光体150の背後(
図1では左側)には露光器160が配置されている。
【0023】
各感光体150は、帯電器151により帯電され、露光器160からの、画像信号に基づいて変調された露光光160aの照射を受けて露光されて、各感光体150上に各静電潜像が形成される。各感光体150上の静電潜像は、各現像器152により、各色のトナーで現像され、各感光体150上に各色のトナー像が形成される。
【0024】
ここで、各感光体150の回転軸方向(
図1の紙面に垂直な方向)の寸法は用紙の同方向(幅方向)の寸法よりも大きく、用紙の幅方向両端縁ぎりぎりまでトナー像が形成される。また用紙の縦方向(搬送方向)についても同様であり、感光体150上には、前端縁ぎりぎりから後端縁ぎりぎりまでトナー像が形成される。
【0025】
以上のトナー像形成サイクルは、調整ロール133により送り出されて用紙搬送ベルト140により搬送される用紙の搬送タイミングと同期して行なわれ、各転写器154により、各感光体150上の各色トナー像が用紙上に順次重なるように転写される。
【0026】
トナー像の転写を受けた用紙はさらに上方に搬送されて、定着器170による加熱および加圧を受け、その用紙上のトナー像がその用紙上に定着されて、用紙上に定着トナー像からなる画像が形成される。その用紙は、さらに排紙ロール180により、排紙トレイ111上に排出される。
【0027】
この排紙ロール180は、以下に説明する定着ベルト171やヒートロール172とともに定着器170を構成する一方の排紙ロール173と、プリンタ本体側に備えられたもう一方の排紙ロール181とから構成されている。プリンタ本体側に備えられた排紙ロール181は、定着器170側の排紙ロール173の回転に従動して回転する従動ロールである。このプリンタ100は、回転軸112を中心にして、筐体110の、定着器170の上方の部分とプリンタ100の前面側の部分が矢印C方向に開き、搬送途中で詰まってしまった用紙を手動で取り出すことができるようになっている。
【0028】
本実施形態における定着器170は、循環移動する無端の定着ベルト171と、その定着ベルト171を駆動し、また用紙上のトナー像を加熱するヒートロール172を備えた構成のものである。用紙搬送ベルト140により上方に搬送されてきた用紙は、その用紙先端が案内部材174に突き当てられ、その後、その用紙がその案内部材174により、定着ベルト171とヒートロール172とに挟まれた定着領域に案内される。この案内部材174も定着器170の一部を構成している部品である。
【0029】
このプリンタ100では、上述の通り、用紙の前端縁、後端縁、および両側縁のぎりぎりの位置まで画像が形成される。このため、用紙の縁から用紙搬送ベルト140上にトナーが溢れることがある。この用紙搬送ベルト140上に溢れたトナーをそのままにするとその溢れたトナーが用紙の裏面等に付着して用紙を汚すおそれがある。このため、ここにはその用紙搬送ベルト140上に溢れたトナーを掻き取るクリーニングブレード142が備えられている。このクリーニングブレード142により掻き取られたトナーは、図示しない回収ケースに収容される。
【0030】
用紙の両面に画像を形成するときは、上記のようにして用紙の第1面に画像が形成されて、排紙ロール180により、排紙トレイ111上に、その排紙ロール180に用紙後端部が挟まれた位置まで排出され、そのタイミングで排紙ロール180が逆転する。するとその用紙は、再び引き込まれて、今度は用紙搬送路191上を下方に搬送されてその用紙先端(第1面に画像が形成されるときの用紙搬送方向における用紙後端)が調整ロール133に達する。このとき、その用紙は、その第1面に画像を形成したときは表裏が反転している。その後は、調整ロール133により再度送り出されて、第1面への画像形成と同様にして、その用紙の第2面への画像形成が行なわれる。第2面への画像形成が行なわれた用紙は、排紙ロール180により排紙トレイ111上に排紙される。
【0031】
図2,
図3は、
図1に示すプリンタに備えられた定着器を、斜め上方であって、互いに別々の視点から見て示した斜視図である。また
図4,
図5は、
図2,
図3にも示す定着器を、斜め下方であって互いに別々の視点から見て示した斜視図である。
【0032】
図1に示す用紙搬送ベルト140により上方に搬送されてきた用紙は、その先端が
図4,
図5に示す案内部材174(
図1を合わせて参照)に突き当たり、
図1に示す定着ベルト171とヒートロール172とに挟まれた定着領域に向けて案内される。
図5にもヒートロール172が示されている。
【0033】
その定着領域を通過した用紙は、用紙通路切替部材175を押し上げて通行し、排紙ロール173と、プリンタ本体側の排紙ロール181(
図1参照)との間を通って排紙トレイ111上に排出される。
【0034】
用紙の両面に画像を形成するモードでは、排紙ロールにより排紙トレイ111上に送り出されつつある用紙の後端が用紙通路切替部材175を通過して、それまで押し上げられていた用紙通路切替部材175が元の姿勢に戻った段階で、排紙ロール173が反転する。すると、用紙は、今度は用紙通路切替部材175の上を通過し、
図1に示す用紙搬送路191に沿って搬送される。その後の用紙の通路については、前述の通りである。
【0035】
また、これらの
図2〜
図5には、レバー176が示されている。このレバー176は、用紙が定着ベルト171とヒートロール172とに挟まれた状態で詰まったときに、その挟まれた領域を緩めて詰まった用紙を取り除き易くするためのレバーである。
【0036】
また、
図4にはギア177が示されている。このギア177は、プリンタ本体に備えられた駆動源(図示せず)から駆動力を受けてその駆動力をヒートロール172および排紙ロール173に伝える役割を担っている。このギア177と排紙ロール173との間にはクラッチ(図示せず)が備えられており、排紙ロール173が逆転する際には、ギア177が受けた駆動力はその排紙ロール173には伝達されない。
【0037】
また、
図5にはもう1つのギア178が示されている。このギア178は、排紙ロール173の逆転時にプリンタ本体に備えられたもう1つの駆動源(図示せず)から駆動を受けるギアである。このギア178は、駆動力を受けて、その駆動力を、
図2〜
図4に示す、排紙ロール173に直結しているギア179に伝え、その排紙ロール173を逆転させる。
【0038】
図6は、定着器を、背面側(
図1に示す左側)から見た状態を示した背面図、
図7は、その定着器の、
図6に示す矢印X1−X1に沿う断面図である。
【0039】
この定着器170は、これまでにも説明した通り、定着ベルト171,ヒートロール172,排紙ロール173,案内部材174,用紙通路切替部材175,レバー176,ギア179等を有する。ヒートロール172は、円筒形状を有し回転する筒体172aと、その筒体内部に配置されてその筒体を加熱する加熱源172bとを有する。また、定着ベルト171は、その定着ベルト171とヒートロール172とが互いに接する定着領域に搬送されてきた用紙をヒートロール172に向けて加圧する加圧装置400を構成している。詳細は後述するが、その加圧装置400には、定着ベルト171の内側に、金属製の内枠410や、加圧部材420,430やフェルト部材440,441が配置されている。
【0040】
この定着器170には、さらに、定着ベルト171を清掃する清掃装置200とヒートロール172を清掃する清掃装置300が備えられている。
【0041】
前述の通り、このプリンタ100は、用紙の縁ぎりぎりまで広がる画像を形成するプリンタであり、用紙の縁からトナーが溢れることがある。このため、この定着器170においても、定着ベルト171やヒートロール172を清掃する清掃装置200,300が備えられている。
【0042】
これらの清掃装置200,300は、それぞれ定着ベルト171又はヒートロール172に接する第1の清掃ロール210,310と、その第1の清掃ロール210,310に接する第2の清掃ロール220,320を有する。
【0043】
詳細は後述するが、第1の清掃ロール210,310は、それぞれ定着ベルト171又はヒートロール172に向けてバネ付勢されており、第2の清掃ロール220,320は、第1の清掃ロール210,310に向けてバネ付勢されている。ここでこれら第1の清掃ロール210,310のバネ付勢の付勢力のベクトルと、第2の清掃ロール220,320のバネ付勢の付勢力のベクトルは互いに重なっている。このように2つの付勢力のベクトルが重なる方向に押すことにより全体の付勢力が小さくて済み、小型のバネで十分な付勢力を得ることができ、小型化に寄与している。
【0044】
図8〜
図10は、定着器の、定着ベルトとヒートロールの組立体を、それぞれ異なる視点から見て示した斜視図である。また
図11は、さらにヒートロールを取り外し定着ベルトの組立体を示した斜視図である。さらに
図12は、ヒートロールを残して定着ベルトを取り外して示した、ヒートロールの組立体を示した斜視図である。
【0045】
図8には、金属製の支持枠510と、定着ベルト171と、ヒートロール172が示されている。定着ベルト171は、その回転軸方向両端部が支持枠510に回転自在に支持されている。またヒートロール172も、その支持枠510に回転自在に支持されている。さらにこの
図8には、定着ベルト171を清掃する清掃装置200を構成する第1の清掃ロール210が示されている。この第1の清掃ロール210は、定着ベルト171の、用紙と接触する領域全域に渡って回転軸方向に長く延びている。また、
図11には、定着ベルト171と、清掃装置200を構成する第1の清掃ロール210とに加え、その清掃装置200を構成する第2の清掃ロール220も示されている。
【0046】
この第2の清掃ロール220は、第1の清掃ロール210とほぼ同じ長さを有し、第1の清掃ロール210の回転軸方向全域に渡ってその第1の清掃ロールに接している。
【0047】
ここで、第1の清掃ロール210は定着ベルト171の外面に接触してその定着ベルト171の循環移動に伴って従動回転し、その定着ベルト171に付着した残存トナーをその定着ベルト171から剥がして自らに付着させる部材である。
【0048】
また、第2の清掃ロール220は、定着ベルト171との間に第1の清掃ロール210を挟んだ位置においてその第1の清掃ロール210に接触してその第1の清掃ロール210の回転に伴って従動回転し、その第1の清掃ロール210に付着している残存トナーをその第1の清掃ロール210から剥がして自らに付着させる部材である。この第2の清掃ロール220に付着した残存トナーは、このプリンタ100(
図1参照)が使用されている間、すなわちこのプリンタ100の寿命が尽きるまで、その第2の清掃ロール220に付着した状態のままとどまっている。
【0049】
また、
図9,
図10には、定着ベルト171とヒートロール172とに加え、ヒートロール172を清掃する清掃装置300を構成する第1の清掃ロール310と第2の清掃ロール320が示されている。また
図12は、定着ベルト171は取り外されて支持枠510にヒートロール172が支持された状態を示す図であるが、この
図12にも、ヒートロール172を清掃する清掃装置300を構成する第1の清掃ロール310および第2の清掃ロール320が示されている。
【0050】
これら第1の清掃ロール310および第2の清掃ロール320は、定着ベルト171を清掃する清掃装置200を構成する、第1の清掃ロール210および第2の清掃ロール220と比較し、それぞれ同一材料、同一寸法の部品である。
【0051】
ヒートロール172を清掃する清掃装置300を構成する第1の清掃ロール310は、ヒートロール172に接してそのヒートロール172の回転軸方向ほぼ全域に渡って延びている。また第2の清掃ロール320は、第1の清掃ロール310に接してその第1の清掃ロールの回転軸方向ほぼ全域に渡って延びている。
【0052】
ヒートロール172を清掃する清掃装置310を構成する第1の清掃ロール310および第2の清掃ロール320の役割は、定着ベルトを清掃する清掃装置200を構成する第1の清掃ロール210および第2の清掃ロール220の役割とそれぞれ同じである。
すなわち、ヒートロール172に接する第1の清掃ロール310は、ヒートロール172に接触してヒートロール172の回転に伴って従動回転し、ヒートロール172に付着した残存トナーをヒートロール172から剥がして自らに付着させる部材である。また、第2の清掃ロール320は、ヒートロール172との間に第1の清掃ロール310を挟んだ位置において第1の清掃ロール310に接触して第1の清掃ロール310の回転に伴って従動回転し、第1の清掃ロール310に付着した残存トナーを第1の清掃ロール310から剥がして自らに付着させる部材である。この第2の清掃ロール320に付着した残存トナーは、このプリンタ100の寿命が尽きるまで、第2の清掃ロール320に付着したままとどまることになる。
【0053】
(清掃ロールの形状および硬度)
図13は、清掃装置を構成する第1の清掃ロールと第2の清掃ロールの模式図である。また
図14は、第1の清掃ロールがヒートロールに接触し、第2の清掃ロールが第1の清掃ロールに接触している様子を示した断面模式図である。これら
図13,
図14には、清掃装置の、これまでの図面では分かり難かった点が模式的に強調して示されている。
【0054】
図13には、第1の清掃ロール210,310と第2の清掃ロール220,320が互いに離れて並んだ状態に示されている。
【0055】
この
図13に強調して示されているように、第1の清掃ロール210,310は、回転軸中央から両端それぞれに向かうに従って連続的に減少する径を有する、いわゆるクラウン型のロールである。一方、本実施形態における第2の清掃ロール220,320は、回転軸方向いずれの箇所においても同じ径のストレートロールである。
【0056】
ただし、
図14を参照してより詳細に説明するように、第1の清掃ロール210,310は比較的軟らかい材質のロールであり、したがって第2の清掃ロール220,320は、その回転軸方向全域に渡って第1の清掃ロール210,310に接触している。
【0057】
前述の通り、第2の清掃ロール220,320に付着した残存トナーは、このプリンタ100(
図1参照)の寿命が尽きるまで、その第2の清掃ロール220,320に付着したままとどまる。
【0058】
このプリンタ100では用紙の幅方向全域に渡って画像が形成されるため、用紙幅方向に溢れたトナーが定着ベルト171やヒートロール172に付着することがある。また、このプリンタ100で使用可能な用紙の寸法は一種類ではなく、複数種類の用紙が使用可能である。このようなことから、最終的に第2の清掃ロール220,320に付着したまま残る残存トナーSTは、
図13に模式的に示すように、第2の清掃ロール220,320の回転軸方向両端部に積り勝ちである。すなわち、第2の清掃ロール220,320は、残存トナーを含めた場合、回転軸中央よりも両端寄りの方が太径となり勝ちである。そこで、第1の清掃ロール210,310をクラウン型にしておくことにより、残存トナーSTが未だ付着していない新品の状態から、残存トナーSTがかなり溜った、プリンタ100がかなり寿命に近づいた状態に至るまでの長期間に渡って、第1の清掃ロール210,310に付着した残存トナーを第2の清掃ロール220,320に確実に移すことを可能としている。
【0059】
また、第1の清掃ロール210,310がクラウン型であることは、ヒートロール172との関係では以下の作用も期待される。
【0060】
ヒートロール172は
図7を参照して説明した通り、円筒形状を有し回転する筒体172aと、その筒体内部に配置されてその筒体を加熱する加熱源172bを有する。この加熱源172bは、ヒートロール172の回転軸方向全域がほぼ均一に加熱されるようにその回転軸方向に延びた長尺の加熱源である。一方、上述の通り、このプリンタ100で使用可能な用紙は複数種類存在し、その中にはヒートロール172の回転軸方向全域は使用せずに中央領域のみ使用する小寸法の用紙も存在する。その場合、用紙が通過することによってヒートロール中央部分の熱が用紙に奪われ勝ちとなり、ヒートロール172の中央部分が比較的低温、両端部分が比較的高温となり勝ちである。このような、中央部分が低く両端部分が高いという温度分布が生じると、熱膨張によりヒートロール172の中央部分が細径、両側部分が太径の傾向となる。すなわち、ヒートロール172はクラウン型とは逆の傾向となる。そこで、ヒートロール172に接触する第1の清掃ロール210をクラウン型にしておくことにより、回転軸方向全域に渡ってヒートロール172への第1の清掃ロール210の接触幅を正規の接触幅に保ち、ヒートロール172に付着した残存トナーの、第1の清掃ロール210への移動を一層確実ならしめている。
【0061】
この第1の清掃ロール210,310は、弾性体周面を有するロールである。具体的にはこの実施形態における第1の清掃ロール210,310は、軸芯を耐熱ゴムで囲ったゴムロールである。耐熱ゴムとしては、シリコンゴムやフッ素ゴムなどが採用可能であって、JISA硬度で15度程度のゴム硬度のものが好適である。
【0062】
この第1の清掃ロール210,310に比較的軟らかい耐熱ゴムを採用すると、定着ベルト171やヒートロール172との間の接触面積、および第2の清掃ロール220,320との間の接触面積を確保できる。
【0063】
一方、第2の清掃ロール220,320は、第1の清掃ロール210,310よりも高い硬度の周面を有するロールである。具体的には本実施形態では、この第2の清掃ロール220,320は周面がブラスト加工された金属ロールである。第1の清掃ロール210,310がゴムロールであり、第2の清掃ロール220,320が金属ロールであることから、第2の清掃ロール220,320が第1の清掃ロール210,310に押し当てられると、
図14に示すように第1の清掃ロール210,310の方が凹み、その凹んだ領域が、第1の清掃ロール210,310と第2の清掃ロール220,320との間の接触領域となる。第1の清掃ロール210,310に付着した残存トナーは、第2の清掃ロール220,320との接触領域において第1の清掃ロール210,310が急に凹むため第1の清掃ロール210,310から剥がれ易くなる。一方、第2の清掃ロール220,320はブラスト加工されているため表面が粗く、このため第1の清掃ロール210,310に付着している残存トナーが確実に剥ぎ取られる。また、このブラスト加工により、剥ぎ取った残存トナーをその第2の清掃ロール220,320に保持しやすい表面性状となっている。
【0064】
また、第1の清掃ロール210,310は、定着ベルト171やヒートロール172と比較しても低い硬度を有する。このため、
図14にヒートロール172との関係を示すように、ヒートロール172との接触領域においても第1の清掃ロール210の方が撓み、これにより回転方向に幅広い接触領域が確保され、ヒートロール172に付着した残存トナーが第1の清掃ロール310に確実に移動する。ここでヒートロール172との間の幅広い接触領域を確保する目的だけであれば、ヒートロール172と第1の清掃ロール310のいずれの硬度が低くてもよいが、ここでは、第1の清掃ロール310の硬度を下げていることにより第1の清掃ロール310と接触することに起因する、ヒートロール172の表面を傷つける恐れを低減している。
【0065】
また、第1の清掃ロール210,310としてゴム硬度15度程度のゴムロールを採用すると、そのゴムロールの周面が適度な粘着性を持ち、この点も、定着ベルト171やヒートロール172に付着した残存トナーの、第1の清掃ロール210,310への移転を一層確実にしている。
【0066】
(清掃ロールの軸受およびバネ付勢)
図15は、ヒートロール用の清掃装置を示した正面図である。
【0067】
この
図15には、支持枠510と、その支持枠510に回転自在に支持されたヒートロール172と、そのヒートロール172用の清掃装置300を構成する第1の清掃ロール210および第2の清掃ロール220が示されている。矢印X2−X2,矢印X3−X3は、後述する断面図の断面位置を示している。それらの矢印X2−X2,X3−X3における断面図については後述する。
【0068】
図16は、第1の清掃ロールおよび第2の清掃ロールの一方の端部(
図15の、矢印X2−X2,X3−X3を付した側の端部)を示した正面図である。
【0069】
図17は、支持枠の一部と、第1の清掃ロールの軸受けである第1の軸受部材と、第2の清掃ロールの軸受けである第2の軸受部材を分解して示した分解斜視図である。
【0070】
また、
図18は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を分解した状態を回転軸方向から見た側面図である。さらに、
図19は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を組み立てた状態を回転軸方向から見た側面図、
図20は、第1の軸受部材と第2の軸受部材を組み立てた状態を、第1の軸受部材と第2の軸受部材の嵌合部分を示す方向(
図19とは90°異なる視点であって
図19に示す矢印Wの方向)から見た図である。
【0071】
ここでは、一方の端部の軸受部分について説明するが、もう一方の端部についても同様である。
【0072】
第1の軸受部材330には半円形状の溝331が設けられている。この半円形状の溝331には第1の清掃ロール310の軸が入り込み、これにより第1の清掃ロール310がその第1の軸受部材330に回転自在に支持される。
【0073】
また、第2の軸受部材340にも半円形状の溝341が設けられている。この第2の軸受部材340の溝341には第2の清掃ロール320の軸が入り込み、これにより第2の清掃ロール320が第2の軸受部材340に回転自在に支持される。
【0074】
ここで、
図17,
図18に示されているように、金属製の支持枠510には矢印D−D方向に延びる2つの辺511aに挟まれた溝511が形成されている。一方、第1の軸受部材330には、その両脇に、支持枠510の辺511aが入り込む溝332が形成されている。この第1の軸受部材330は、支持枠510の溝511に、その第1の軸受部材330の溝332に支持枠510の辺511aが嵌り込んだ状態に、矢印D−D方向に移動自在に配置される。この第1の軸受部材330は、後述する第1のバネ部材350(
図21参照)により、この第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310をヒートロール172に押し当てる向きに押されている。
【0075】
また、第1の軸受部材330には、さらに第2の軸受部材340と組み合う2つの溝333も形成されている。これらの溝333は、支持枠510と組み合うための溝332と同じ方向に延びている溝である。一方、第2の軸受部材340には、その第1の軸受部材340の2つの溝333にそれぞれ入り込む2つの突起342が設けられている。
【0076】
第2の軸受部材340は、2つの突起342が第1の軸受部材330の2つの溝333にそれぞれ入り込んだ状態で(
図20参照)、第1の軸受部材330に対し、矢印D−D方向に移動自在に支持される。
【0077】
この第2の軸受部材340は、支持枠510に支持された状態の第1の軸受部材330に支持され、後述する第2のバネ部材360(
図22参照)により、この第2の軸受部材340に支持された第2の清掃ロール320を第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310に押し当てる向きに押されている。
【0078】
さらに
図19に示されているように、第1の軸受部材330に設けられた、第1の清掃ロールの軸受け用の溝331と、第2の軸受部材340に設けられた、第2の清掃ロールの軸受用の溝341も、互いに矢印D−D方向に並んでいる。
【0079】
このように、第2の軸受部材340は第1の軸受部材330に支持されているため、第1の軸受部材330と第2の軸受部材340を支持枠510に別々に支持させる構造と比べ、装置の小型化に寄与している。
【0080】
また、第1の軸受部材330は、ヒートロール172を支持する支持枠510に支持されるため、その第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310の、ヒートロール172への押当方向が正確に制御される。これと同様に、第2の軸受部材340は、第1の清掃ロール310を支持する第1の軸受部材330に支持されるため、その第2の軸受部材340に支持された第2の清掃ロール320の、第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310への押当方向が正確に制御される。
【0081】
図21は、
図15の矢印X2−X2に沿う断面図である。また
図22は、
図15の矢印X3−X3に沿う断面図である。
【0082】
図21に示すように、第1の軸受部材330は、圧縮バネで構成された第1のバネ部材350により、その第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310をヒートロール172に押し当てる向きに力が加えられている。
【0083】
また、
図22に示すように、第2の軸受部材340は、トーションバネで構成された第2のバネ部材360により、その第2の軸受部材340に支持された第2の清掃ロール320を第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール320に押し当てる向きに力が加えられている。
【0084】
ここで、第1の軸受部材330は、支持枠510に矢印D−D(
図17,
図18参照)の方向に移動自在に支持されており、第2の軸受部材340はその第1の軸受部材330に対し、同一の方向(矢印D−Dの方向)に移動自在に支持されている。さらに、第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310の回転軸と第2の軸受部材340に支持された第2の清掃ロール320の回転軸も、矢印D−D方向に並んでいる。
【0085】
したがって、
図22に示す第2のバネ部材360は、第2の軸受部材340に力を加えることによって、その第2の軸受部材340に支持された第2の清掃ロール320を第1の軸受部材330に支持された第1の清掃ロール310に押し当てるとともに、
図21に示す、第1の軸受部材330に力を加える第1のバネ部材350と協同して、第1の清掃ロール310をヒートロール172に押し当てている。一方で、第2の清掃ロール320は、第2の軸受部材340に加わる第2のバネ部材360のみにより第1の清掃ロール310に押し当てられる。このため、第1の清掃ロール310の、ヒートロール172への押当力は、第2の清掃ロール320の、第1の清掃ロール310への押当力よりも確実に強い押当力となる。
【0086】
仮に、この押当力の大小関係が逆転すると、第2の清掃ロール320が第1の清掃ロール310に強く押し当てられていることにより第2の清掃ロール320が第1の清掃ロール310の回転に対する大きな抵抗となり、第1の清掃ロール310の、ヒートロール172から駆動力を受けて従動回転することが難しくなり、その従動回転が妨げられるおそれがある。ここでは、第1の清掃ロール310のヒートロール172への押当力の方が、第2の清掃ロール320の第1の清掃ロール310への押当力よりも確実に大きく保たれており、このため、第1の清掃ロール310はヒートロール172の回転に対し確実に従動回転し、第2の清掃ロール320は第1の清掃ロール310の回転に対し確実に従動回転する。これにより、残存トナーの確実な受渡しが行なわれる。
【0087】
また、上述の通り、第1の軸受部材330および第2の軸受部材340の移動方向はいずれも矢印D−D方向(
図17,
図18参照)であり、また、第1の軸受部材330に支持される第1の清掃ロール310の回転軸と第2の軸受部材340に支持される第2の清掃ロール320も矢印D−D方向に並んでいる。このため、第2のバネ部材360による押当力のベクトルは第1のバネ部材350による押当力のベクトルと方向が重なっている。したがって、第1の清掃ロール310をヒートロール172に押し当てるにあたり、最小のバネ力を使って所要の押当力を得ることができる。
【0088】
図23は、定着ベルト用の清掃装置の、軸受部分を示した斜視図である。
【0089】
この
図23には、案内部材174(
図1を合わせて参照)に隠れるように配置された、定着ベルト用の清掃装置200を構成する第1の清掃ロール210と第2の清掃ロール220の軸方向一方の端部が示されている。この定着ベルト用の清掃装置についても一方の端部の軸受構造のみ図示・説明を行なうが、もう一方の端部の軸受構造も同様である。
【0090】
この
図23にはさらに、第1の清掃ロール210の軸受である第1の軸受部材230が示されている。
【0091】
第1の軸受部材230は、支持枠510に移動自在に支持されている。この
図23にはあらわれていないが、ここには第2の清掃ロール230の軸受である第2の軸受部材240(
図24〜
図26参照)も備えられており、この第2の軸受部材240は第1の軸受部材230に移動自在に支持されている。さらにここには、第1の軸受部材230を押す第1のバネ部材250と第2の軸受部材240を押す第2のバネ部材260も備えられている。
【0092】
図24は、
図23に示す状態から更に第1の清掃ロールや第2の清掃ロールなどを取り外して、支持枠の一部と、第1の軸受部材と、第2の軸受部材を分解して示した分解斜視図である。
【0093】
また、
図25は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を分解した状態を回転軸方向から見た側面図、
図26は、第1の軸受部材および第2の軸受部材を組み立てた状態を回転軸方向から見た側面図である。
【0094】
第1の軸受部材230には半円形状の溝231が設けられている。この半円形状の溝231には第1の清掃ロール210の軸が入り込み、これにより第1の清掃ロール210がその第1の軸受部材230に回転自在に支持される。
【0095】
また、第2の軸受部材240にも半円形状の溝241が設けられている。この第2の軸受部材240の溝241には第2の清掃ロール220の軸が入り込み、これにより第2の清掃ロール220が第2の軸受部材240に回転自在に支持される。
【0096】
ここで、
図24,
図25に示されているように、金属製の支持枠510には矢印E−E方向に延びる2つの辺512aに挟まれた溝512が形成されている。一方、第1の軸受部材230には、その両脇に、支持枠510の辺512aが入り込む溝232が形成されている。この第1の軸受部材230は、支持枠510の溝512に、その第1の軸受部材230の溝232に支持枠510の辺512aが嵌り込んだ状態に、矢印E−E方向に移動自在に配置される。この第1の軸受部材230は、第1のバネ部材250(
図23,
図28参照)により、この第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210を定着ベルト171に押し当てる向きに押されている。
【0097】
また、第1の軸受部材230には、さらに第2の軸受部材240と組み合う2つの溝233も形成されている。これらの溝233は、支持枠510と組み合うための溝232と同じ方向に延びている溝である。一方、第2の軸受部材240には、その第1の軸受部材230の2つの溝233にそれぞれ入り込む2つの突起242が設けられている。
【0098】
第2の軸受部材240は、2つの突起242が第1の軸受部材230の2つの溝233にそれぞれ入り込んだ状態で、第1の軸受部材230に対し、矢印E−E方向に移動自在に支持される。
【0099】
この第2の軸受部材240は、支持枠510に支持された状態の第1の軸受部材230に支持され、第2のバネ部材260(
図23,
図29参照)により、この第2の軸受部材240に支持された第2の清掃ロール220を第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210に押し当てる向きに押されている。
【0100】
さらに
図26に示されているように、第1の軸受部材230に設けられた、第1の清掃ロールの軸受用の溝231と、第2の軸受部材240に設けられた、第2の清掃ロールの軸受用の溝241も、互いに矢印E−E方向に並んでいる。
【0101】
このように、第2の軸受部材240は第1の軸受部材230に支持されているため、第1の軸受部材230と第2の軸受部材240を支持枠510に別々に支持させる構造と比べ、装置の小型化に寄与している。
【0102】
また、第1の軸受部材230は、支持枠510に支持されるため、その第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210の、定着ベルト171への押当方向が正確に制御される。これと同様に、第2の軸受部材240は、第1の軸受部材230に支持されるため、その第2の軸受部材240に支持された第2の清掃ロール220の、第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210への押当方向が正確に制御される。
【0104】
図28に示すように、第1の軸受部材230は、圧縮バネで構成された第1のバネ部材250により、その第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210を定着ベルト171に押し当てる向きに力が加えられている。
【0105】
また、
図29に示すように、第2の軸受部材240は、同様に圧縮バネで構成された第2のバネ部材260により、その第2の軸受部材240に支持された第2の清掃ロール220を第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール220に押し当てる向きに力が加えられている。
【0106】
ここで、第1の軸受部材230は、支持枠510に矢印E−E(
図24,
図25参照)の方向に移動自在に支持されており、第2の軸受部材240はその第1の軸受部材230に対し、同一の方向(矢印E−Eの方向)に移動自在に支持されている。さらに、第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210の回転軸と第2の軸受部材240に支持された第2の清掃ロール220の回転軸も、矢印E−E方向に並んでいる。
【0107】
したがって、
図29に示す第2のバネ部材260は、第2の軸受部材240に力を加えることによって、その第2の軸受部材240に支持された第2の清掃ロール220を第1の軸受部材230に支持された第1の清掃ロール210に押し当てるとともに、
図28に示す、第1の軸受部材230に力を加える第1のバネ部材250と協同して、第1の清掃ロール210を定着ベルト171に押し当てている。このため、第1の清掃ロール210の、定着ベルト171への押当力は、第2の清掃ロール220の、第1の清掃ロール210への押当力よりも確実に強い押当力となる。
【0108】
この押当力の大小関係の作用は、前述のヒートロール172を清掃する清掃装置300を構成する第1の清掃ロール310および第2の清掃ロール320の場合と同様であり、重複説明は省略する。
【0109】
また、上述の通り、第1の軸受部材230および第2の軸受部材240の移動方向はいずれも矢印E−E方向(
図24,
図25参照)であり、また、第1の軸受部材230に支持される第1の清掃ロール210の回転軸と第2の軸受部材240に支持される第2の清掃ロール220も矢印E−E方向に並んでいる。このため、これもヒートロール172用の清掃装置300と同様、第2のバネ部材260に押当力のベクトルは第1のバネ部材250による押当力のベクトルと方向が重なり、第1の清掃ロール210を定着ベルト171に押し当てるにあたり、最小のバネ力を使って所要の押当力を得ることができる。
【0110】
(加圧装置の構造)
図30は、
図7に断面を示す加圧装置の外観斜視図である。また、
図31は、その加圧装置を構成する定着ベルトを両側部分のみを残し切除して、内部を示した斜視図である。さらに、
図32は、定着ベルトを両側部分を含め取り外して、加圧装置の、定着ベルトの内側の部分を示した図である。
【0111】
この加圧装置400は、その周囲が定着ベルト171で覆われており、その内側には、金属製の内枠410が軸方向に延びている。この内枠410は、その両端が
図8等に示す支持枠510に固定されている。定着ベルト171は、その両側部分が内枠410の両側部の支持部411に支持され、ヒートロール172(
図7参照)の回転駆動力を受けて矢印F方向に循環移動する。
【0112】
その内枠410には、軸方向に延びる樹脂製の加圧部材420が固定されており、その樹脂製の加圧部材420には、同様に軸方向に延びるゴム製の加圧部材430が固定されている。
【0113】
これらの加圧部材420,430に対し定着ベルト171を挟んで対面する領域にはヒートロール172(例えば
図8,
図9参照)が配置されており、これらの加圧部材420,430は、定着ベルト171をその内側からヒートロール172に向けて押圧し、定着ベルト171の外面とヒートロール172との間に、それらが互いに接触した定着領域を形成している。
【0114】
ゴム製の加圧部材430は、定着ベルト171をヒートロール172に向けて適度な弾性を持って押圧する役割の部材であり、樹脂製の加圧部材420は、そこを通過する用紙の剥離性を向上させるための部材である。これらの加圧部材420,430は、第2の接触部材の一例である。
【0115】
また、この加圧装置400を構成する内枠410にはさらに、軸方向に延びる、第1の接触部材の一例としてのフェルト部材440が固定されている。このフェルト部材440は、定着ベルト171を挟んで第1の清掃ロール210(
図7,
図8,
図11参照)と対面する領域に配置された、内枠410よりも軟質な部材である。本実施形態では、内枠410と定着ベルト171の内面との間に軟質なフェルト部材440が配置されているため、定着ベルト171の外面と第1の清掃ロール210との間に十分な幅の接触領域が確保され、この点も定着ベルト上の残存トナーの確実な除去に貢献している。
【0116】
また、このフェルト部材440には、潤滑油が含浸されている。定着ベルト171が循環移動すると、そのフェルト部材440に含浸させた潤滑油が定着ベルト171の内面に塗布され、これにより加圧部材420,430と定着ベルト171の内面との間の摩擦抵抗が低減し、定着ベルト171の円滑な循環移動を実現している。尚、
図30〜
図32にはあらわれていないが、この加圧装置400には、もう1つのフェルト部材441も備えられている(
図7参照)。このフェルト部材441にも潤滑油を含浸させており、定着ベルト171の内面には、それら2つのフェルト部材440,441双方に含浸させた潤滑油が塗布される。
【0117】
さらに、
図31,
図32に示すフェルト部材440、およびそのフェルト部材440に対し定着ベルトを挟んで対面する第1の清掃ロール210は、加圧部材420,430により定着ベルト171がヒートロール172に押し当てられて形成されている定着領域から定着ベルト171に沿って辿ったときに、その定着ベルト171の循環移動方向下流側(
図30,
図31に示す矢印Fの向き)に辿るよりも、循環移動方向上流側(
図30,
図31に示す矢印Fとは逆向き)に辿った方が近距離の位置に配置されている。すなわち、フェルト部材440や第1の清掃ロール210は、定着ベルト171の循環移動方向に関し、定着領域の上流側に配置されている。
【0118】
前述の通り、定着ベルト171は、定着領域で接しているヒートロール172の回転に従動して循環移動する。また、第1の清掃ロール210はその定着ベルト171の循環移動に従動して回転する。このため、第1の清掃ロール210等が仮に定着領域の下流側に配置されていると、定着ベルト171の、ヒートロール172により押し出された領域に第1の清掃ロール210が押し当てられていてその第1の清掃ロール210を回転させることになり、定着ベルト171の挙動や第1の清掃ロール210の回転が不安定になるおそれがある。これに対し、本実施形態では、第1の清掃ロール210等は定着領域の上流側に配置されているため、定着ベルト171の、第1の清掃ロール210が配置された領域は、ヒートロール172によって定着ベルト171が引き込まれて定着ベルト171の姿勢が安定している領域であり、この領域に配置されている第1の清掃ロール210も安定的に駆動され、定着ベルト171上の残存トナーが安定的に確実に第1の清掃ロール210に受け渡される。
【0119】
(案内部材)
図33は、案内部材の正面図、
図34は、
図33に示す矢印X6−X6に沿う断面図である。
【0120】
図1を参照して説明した通り、用紙搬送ベルト140により上方に搬送されてきた用紙は、その先端が案内部材174に突き当たり、さらに搬送されて定着ベルト171とヒートロール172とに挟まれた定着領域に案内される。
【0121】
この案内部材174は、案内面611を有する板部材610と、その板部材610の案内面611上に配列された複数の用紙受部材620を有する。板部材610は、
図12等に示すように支持枠510に固定されている。板部材610の案内面611は、この案内部材174に向かって搬送されてくる用紙側を向いた面であり、この案内部材174は、
図1,
図34に示すように、その案内面611を斜め下向きにした姿勢に配置されている。この板部材610は、本実施形態では金属製の板材で形成されている。
【0122】
また、複数の用紙受部材620は、樹脂(一例としてフッ素系樹脂)で形成された部材であり、搬送されてくる搬送方向に交わる幅方向(
図33に示す矢印G−G方向)に間隔を空けて、板部材610の案内面611上に配列されている。これらの用紙受部材620は案内面611から突出しており、搬送されてきた用紙の搬送方向前端縁は、直接的にはこれらの用紙受部材620に突き当てられる。これらの用紙受部材620は用紙幅方向(
図33に示す矢印G−G方向)について、案内面611の互いに隣接する用紙受部材620に挟まれた領域に用紙が接触するのを避ける間隔に、密に配列されている。
【0123】
下方からこの案内部材174に向かって搬送されてきた用紙は、その用紙の搬送方向前端縁が、案内面611から突出して配置されている用紙受部材620に突き当たる。前述した通り、このプリンタ100(
図1参照)では、用紙の前端縁から後端縁にまで広がる画像が形成される。このため、この案内部材174に向かって搬送されてきた用紙の前端縁にまでトナーが付着していることがある。用紙前端縁にトナーが付着したままその用紙が定着領域に案内されるとその前端縁に付着していたトナーがその定着領域において定着ベルト171やヒートロール172に付着し、その用紙の、定着ベルト171やヒートロール172の一回転に対応する距離だけ前端縁から下がった位置において用紙に付着し、用紙上の画像や用紙裏面を汚すおそれがある。
【0124】
本実施形態では、案内部材174に向かって搬送されてきた用紙の搬送方向前端縁が用紙受部材620に突き当たり、用紙前端縁に付着していたトナーはその突き当たりの衝撃によりその用紙前端縁から離れて案内面611に着地する。この案内面611を有する板部材610はヒートロール172の近傍にあり、しかも本実施形態における板部材610は金属板からなるため高い熱伝導率を有する。このため、この板部材610はトナーを溶融させる程度の高温となっており、案内面611に着地したトナーはその案内面611上に付着される。したがって、この案内面611は斜め下向きに配置されているにも拘らず、用紙前端縁から離れたトナーのうち下方に落下する比率はごく僅かであり、プリンタ内の不用意なトナー汚れが防止される。
【0125】
尚、用紙受部材620は樹脂材料からなり熱伝導率が低く、トナーがその用紙受部材620に付着することが防止されている。
【0126】
また、この金属板からなる板部材610は、その板部材610を支持する支持枠510(
図12参照)を経由してこのプリンタ100の筐体110(
図1参照)に接地され、電気的にゼロ電位となっている。また案内面611上に配列された用紙受部材620は、案内面611の、定着領域側前端領域611aを避けた、その定着領域側前端領域611aよりも搬送方向上流側において幅方向(矢印G−G方向)に配列されている。
【0127】
このためこの案内部材174は、この案内部材174に向かって上方に搬送されてきた用紙前端縁の用紙受部材620への突き当てを受けた後、その用紙を、案内面611の定着領域側前端領域611aに接触させながら定着領域に案内する。この案内面611への接触により、それまで帯電してきた用紙の電荷が板部材610を経由して放電される。このように、用紙は、その放電の後、定着領域に案内されるため、この用紙が帯電したまま定着領域に入り込んだ場合に生じるおそれがある画質欠陥あるいは用紙汚れの発生が防止される。
【0128】
次にこの案内部材174における用紙受部材620の構造、および板部材610への取付方法について説明する。
【0129】
図35は、案内部材174から用紙受部材620を取り外して、板部材610のみを
図33と同じ視点から示した正面図である。
【0130】
この板部材610には、案内面611と、その案内面611を表面としたときの裏面とに貫通した、用紙受部材620を取り付けるための穴630が形成されている。これらの穴630は、それぞれが用紙受部材620を1つずつ取り付けるための穴であり、用紙幅方向(矢印G−G方向)に間隔を空けて複数形成されている。
【0131】
図36、
図37、
図38は、用紙受部材の、それぞれ正面図、側面図、斜視図である。
【0132】
この用紙受部材620は、本体部621と挿入部622を有する。本体部621は、この用紙受部材620を板部材610に取り付けたときに案内面611から突出した状態となる部分である。また挿入部622は、その本体部621から板部材610側に向かって突出して、
図35に示す穴630に挿入される部分である。
【0133】
この用紙受部材620を板部材610に取り付けるにあたっては、用紙受部材620の挿入部622を板部材610の穴に挿入し、さらに案内面611に沿って移動させる。こうすることにより、この用紙受部材620は、その本体部621が案内面611から突出した状態に板部材610に取り付けられる。
【0134】
このように、用紙受部材620の挿入部622を板部材611の穴630に挿入した後、その用紙受部材620をその板部材610の案内面611に沿って移動させることにより取り付ける構造としたため、穴に差し込むだけで取り付ける構造と比べ用紙受部材620の裏面側への突出量を抑えつつ、板部材610に強固に取り付けられる。この板部材610の案内面611の裏面側にはその裏面の直ぐそばに、定着ベルト171を清掃するための清掃装置200が配置されている(
図7参照)。用紙受部材620として、案内面611の裏面側への突出量の小さい構造を採用することにより、装置の小型化に寄与している。
【0135】
ここで本実施形態では、この用紙受部材620は、その挿入部622を板部材610の穴630に挿入し、さらに案内面611に沿って定着領域に近づく方向(
図35に示す矢印H方向)に移動させることにより、板部材610に取り付けられる。
【0136】
このH方向は、搬送されてきた用紙が用紙受部材620を押す方向であり、このため用紙受部材620はプリンタ100の使用中に板部材610に一層強固に固定され、使用中に用紙受部材620が板部材610から外れてしまう危険性がさらに低減している。
【0137】
用紙受部材620の挿入部622は、この挿入部622を板部材610の穴630に挿入した後の案内面611に沿う移動方向後方の第1の翼状突起部641と、その移動方向前方の第2の翼状突起部642とを有する。
【0138】
第1の翼状突起部641は、
図37に示されているように、穴630への挿入方向に突出した第1の突出部641aと、本体部621との間に板部材610を挟む間隔を空けて、第1の突出部641aから上記の挿入方向と移動方向との双方に交わる幅方向両側に延びる爪部641bとを有する。
【0139】
また、第2の翼状突起部642も、第1の翼状突起部641と同様に、穴630への挿入方向に突出した第1の突出部642aと、本体部621との間に板部材610を挟む間隔を空けて、第1の突出部642aから挿入方向と移動方向との双方に交わる幅方向両側に延びる爪部642bとを有する。
【0140】
また、この用紙受部材620の挿入部622は、第1の翼状突起部641と第2の翼状突起部642との間に位置し、穴630への挿入方向に突出した第2の突出部643を有する(後述する
図41,
図44を合わせて参照)。
【0141】
図39は、板部材610の穴に用紙受部材620の挿入部622を挿入した後であって、かつ案内面に沿う移動前である、取付途中の第1段階にある状態を、板部材610の一部を切り欠いて、案内面に対する裏面側から案内部材を眺めたときの斜視図である。
【0142】
また、
図40は、
図39に示す第1段階における案内部材の側面図、
図41は、第1段階における案内部材を
図40に示す矢印X7−X7に沿う向きに眺めた図である。
【0143】
また
図42は、板部材610の穴に用紙受部材620の挿入部622を挿入し、さらに案内面に沿って移動させた後、すなわち取付けが完了した第2段階の状態を、板部材610の一部を切り欠いて案内面に対する裏面側から案内部材を眺めたときの斜視図である。
【0144】
また
図43は、
図42に示す第2段階における案内部材の側面図、
図44は、第2段階における案内部材を
図43に示す矢印X8−X8に沿う向きに眺めたときの案内部材の一部分を示す図である。
【0145】
板部材610に設けられた穴630は、
図41,
図44に示すように、第1部分631、第2部分632、第3部分633、および第4部分634から構成されている。
【0146】
第1部分631および第2部分632は、用紙受部材620の挿入部622を構成する第1の翼状突起部641および第2の翼状突起部642をそれぞれ受け入れる広さを有する部分である。
【0147】
また第3部分633は、用紙受部材620の挿入部622を穴630に挿入した後案内面611に沿って移動させる移動方向に延びて、第1部分631と第2部分632とを繋ぐ部分である。この第3部分633には、第1部分631および第2部分632が第1の翼状突起部641および第2の翼状突起部642がそれぞれ受け入れられる第1段階において第2の突出部643が受け入れられる。さらにその用紙受部材620を上記の移動方向に移動させた第2段階においては、この第3部分633には、第1の翼状突起部641の第1の突出部641a(
図37参照)を受け入れてその第1の突出部641aを幅方向に挟んで挟持する。このとき、板部材610は、本体部621と第1の翼状突起部641の爪部641b(
図36〜
図38参照)とにより板厚方向に挟まれた状態となる。
【0148】
さらに、穴630の第3部分633は、
図41に位置関係を示すように、上記の第1段階における第2の突出部643の移動方向前方に、その第2の突出部643よりも狭幅に形成された狭幅部633aを有する。この狭幅部633aは、第1段階にある用紙受部材620に移動方向前方への力を加えたときのみ、第2の突出部643の、その移動方向前方への通過を許す程度の幅となっている。
【0149】
第2の突出部643は、第2段階では、
図44に示すように、この狭幅部633aを移動方向前方に通過した位置にあり、この狭幅部633aが抵抗となって、用紙受部材620が移動方向後方には容易には移動せず、この用紙受部材620が板部材610から外れてしまうことが防止されている。
【0150】
また、穴630の第4部分634は、上記の第2段階において第2の翼状突起部642の第1の突出部642a(
図37参照)を受け入れて、その第1の突出部642aを幅方向に挟んで支持する部分である。この第2段階では、第2の翼状突起部642の爪部642b(
図36〜
図38参照)は、第1の翼状突起部641の爪部641bと同様、本体部621との間に板部材610を挟んだ状態となる。
【0151】
本実施形態における用紙受部材620は、上記の構造の挿入部622を有し、また板部材610の穴630は上記の形状を有し、それらの挿入部622と穴630により、用紙受部材620が板部材610に簡単にかつしっかりと取り付けられる。
【0152】
尚、ここでは、本発明を
図1に示す構成のプリンタ100に適用した例を示したが、本発明はトナーを用いて画像を形成するタイプの画像形成装置に広く適用することができるものである。