(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、座面に設けられた複数のエアバッグの膨張及び収縮を制御して座面の傾斜を制御することにより、使用者の腰椎や骨盤の偏位を矯正するための健康椅子を開示している。しかしながら、特許文献1の健康椅子は、座面を傾斜させる傾斜手段と、該傾斜手段の傾斜を制御する制御手段と、を開示するだけであり、使用者の身体がどのようなバランス状態であるかには無関係に、或る決められたストレッチやエクササイズを使用者に行わせている。すなわち、特許文献1の健康椅子は、使用者の身体がどのようなバランス状態にあるかを検出するものではないので、不適切なストレッチやエクササイズを使用者に行わせる恐れがある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、使用者の身体がどのようなバランス状態にあるかを検出することのできる身体エクササイズ機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の身体エクササイズ機器は、
使用者が着座するための座面を有する座部と、
前記座部の前記座面を左右又は前後に傾斜させるために設けられる左右一対の及び/又は前後一対のエアバッグと、
前記エアバッグに加圧エアを供給する給気部と、
前記エアバッグに対する給気及び排気の切換を行う給排気切換部と、
前記エアバッグにおける圧力を検出する圧力検出部と、
前記給排気切換部の切換動作によって前記左右一対の又は前後一対のエアバッグに対して給気又は排気を行う過程で、前記圧力検出部によって検出される前記左右一対の又は前後一対のエアバッグにおける経時的圧力変化の差に基づいて、前記使用者の左右又は前後におけるバランス状態を判定するバランス判定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明の身体エクササイズ機器では、給排気切換部によって左右一対の又は前後一対のエアバッグに対して給気又は排気を行う過程で、バランス判定部が、圧力検出部によって検出される左右一対の又は前後一対のエアバッグにおける経時的圧力変化の差に基づいて、使用者の左右又は前後におけるバランス状態を判定する。その結果、バランス判定部によって判定された使用者の左右又は前後におけるバランス状態に適した推奨エクササイズ等を使用者に実行させることが可能になる。
【0008】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記左右一対の又は前後一対のエアバッグについて、前記エアバッグから前記給排気切換部に至る給排気経路の通気抵抗が等しいことを特徴とする。
【0009】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、左右一対の又は前後一対のエアバッグに対する使用者の負荷がバランス状態の判定に直接反映されるので、バランス判定部による使用者の左右又は前後におけるバランス状態の判定が簡易になる。
【0010】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記バランス判定部が、前記使用者の左右又は前後におけるバランス状態として、左寄り及び右寄り、又は、前寄り及び後寄りを少なくとも含むように判定することを特徴とする。
【0011】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、使用者の左右又は前後におけるバランス状態について必要最低限の判定を行うことで、バランス状態の判定処理を迅速に行うことができる。
【0012】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記経時的圧力変化の差が、前記エアバッグの排気を始めてから或る定められた時間が経過したときの圧力差であることを特徴とする。
【0013】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、左右一対の又は前後一対のエアバッグについての圧力差が圧力検出部で精度良く検出されるので、バランス状態の判定処理を精度良く行うことができる。
【0014】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記圧力検出部が、前記エアバッグのそれぞれに設けられていることを特徴とする。
【0015】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、個別に設けられた圧力検出部によって個々のエアバッグの圧力が直接検出されるので、バランス状態の判定処理を迅速に行うことができる。
【0016】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記圧力検出部が、前記エアバッグの全てに共用するものとして1つだけ設けられているとともに、前記給排気切換部の切換動作によって前記エアバッグのそれぞれの圧力を検出することを特徴とする。
【0017】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、比較的高価な構成要素である圧力検出部の数を1つにすることで、低コスト化を実現することができる。
【0018】
一実施形態の身体エクササイズ機器では、前記バランス判定部によって判定された結果に応じたストレッチ及び/又はエクササイズを使用者に提示することを特徴とする。
【0019】
この一実施形態の身体エクササイズ機器では、バランス判定部によって判定された使用者の左右又は前後におけるバランス状態に適したストレッチやエクササイズを使用者に実行させることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の身体エクササイズ機器によれば、使用者の身体がどのようなバランス状態にあるかを検出することができる。その結果、バランス判定部によって判定された使用者の左右又は前後におけるバランス状態に適したストレッチやエクササイズを使用者に実行させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1に示すように、この発明の身体エクササイズ機器1は、略円盤状のハウジング3と、略円盤状の座部4と、から構成されている。ハウジング3は、下ハウジング3aと、下ハウジング3aの中で揺動可能に構成された上ハウジング3bと、から構成されている。座部4は、ハウジング3の上ハウジング3bの上面に載置可能なように構成されている。座部4は、全体が弾性を有するクッション材で構成されている。座部4の上面は、着座する使用者の臀部を安定的に支持するように構成された湾曲面であり、座面4aとして働く。
【0024】
図2に示すように、下ハウジング3aの内側上面の前側位置、左側位置、後側位置及び右側位置のそれぞれにはブラケット8が固定されており、当該ブラケット8に対して、前エアバッグ31、左エアバッグ32、後エアバッグ33及び右エアバッグ34がそれぞれ取り付けられている。上ハウジング3bの下面は、各エアバッグ31,32,33,34の各上面部によって支持されている。各エアバッグ31,32,33,34は、例えば、蛇腹形状をした多層の袋体であり、袋体内部にエアを給気することにより袋体を上方向に伸長させることができ、袋体内部のエアを排気することにより下方向に収縮させることができる。各エアバッグ31,32,33,34の上下動に応じて、座部4の座面4aが、上下動したり、傾斜したりする。各エアバッグ31,32,33,34は、実質的に等しい通気抵抗(形状や内容積が同じ)を有している。したがって、各エアバッグ31,32,33,34は、エアの給気により略同じ挙動で膨張するとともに、エアの排気により略同じ挙動で収縮する。
【0025】
図2に示すように、下ハウジング3aの内面及び上ハウジング3bの下面で囲まれる内部空間には、ポンプ16a及びタンク16bからなる給気部16と、給排気切換部としての三方切換電磁弁18とが、配設されている。
図2には示されていないが、上記内部空間には、制御部11と記憶部12と電源13と圧力検出部17と通信部22とがそれぞれ配設されている。また、ハウジング3の下ハウジング3aの側面には、図示しない表示部14及び操作部15が配設されている。
【0026】
次に、
図3を参照して、身体エクササイズ機器1のハードウエア構成について説明する。
【0027】
図3は、身体エクササイズ機器1をネットワーク上でも使用可能な構成として例示したものである。身体エクササイズ機器1は、ネットワーク(図示しない)を介して、サーバ(図示しない)に対して有線又は無線によって相互に通信可能であるように構成されている。
【0028】
図2に示すように、身体エクササイズ機器1のハウジング3は、制御部11と、記憶部12と、電源13と、表示部14と、操作部15と、通信部22と、給気部16と、圧力検出部17と、給排気切換部18と、を含む。
【0029】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)およびその補助回路を含み、身体エクササイズ機器1を構成する各部を制御し、記憶部12に記憶されたプログラムおよびデータに従って各種の処理を実行する。すなわち、制御部11は、操作部15、および、通信部22から入力されたデータを処理し、処理したデータを、記憶部12に記憶させたり、表示部14で表示させたり、通信部22から出力させたりする。
【0030】
制御部11は、CPUがプログラムを実行して、三方切換電磁弁18の開閉の制御を行う。三方切換電磁弁18の開閉の制御を行うことにより、左右一対のエアバッグ32,34又は前後一対のエアバッグ31,33の給排気の制御を行うことができる。制御部11は、左右一対のエアバッグ32,34又は前後一対のエアバッグ31,33の給排気の制御を行う過程で、圧力検出部としての圧力センサ17によって測定された左右一対のエアバッグ32,34又は前後一対のエアバッグ31,33の経時的圧力変化の差に基づいて、使用者の左右又は前後におけるバランス状態を判定するバランス判定部として働く。
【0031】
制御部11は、判定された使用者のバランス状態や、判定されたバランス状態に応じた推奨のストレッチ及び/又はエクササイズ(以下、推奨エクササイズ等という。)の内容を表示部14に表示することを制御する表示制御部として働く。
【0032】
記憶部12は、制御部11でプログラムを実行するために必要な作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)と、制御部11で実行するための基本的なプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)と、を含む。また、記憶部12の記憶領域を補助するための補助記憶装置の記憶媒体として、半導体メモリ(メモリカード、SSD(Solid State Drive))などを用いることができる。
【0033】
記憶部12のROMは、使用者の左右又は前後におけるバランス状態を判定する判定基準と、推奨エクササイズ等の内容と、推奨エクササイズ等を使用者に実行させるための給排気切換部18の作動シーケンスと、推奨エクササイズの表示内容と、をそれぞれ記憶している。
【0034】
操作部15は、例えば、身体エクササイズ機器1の電源13をON又はOFFするために操作される電源スイッチ(図示しない)と、使用者毎の測定結果を記憶部12に保存するためにいずれの使用者であるか、あるいは、提示された推奨エクササイズ等のうちいずれの選択肢、を選択するために操作される操作スイッチ(図示しない)と、を備える。
【0035】
表示部14は、表示画面(例えば、LEDによる点灯での表示や、LCD(Liquid Crystal Display)またはEL(Electroluminescence)ディスプレイなど)を含む。表示部14は、使用者の測定結果や推奨エクササイズ等の内容等を表示画面に表示する。当該表示画面の制御は、表示制御部として機能する制御部11によって行われる。
【0036】
通信部22は、ネットワークを介して、制御部11によって生成されたデータや記憶部12に格納されていたデータをサーバへ送信したり、サーバの制御部(図示しない)によって生成されたデータやサーバの記憶部(図示しない)に格納されていたデータを受信したりするために用いられる。ここで、サーバとあるのは、通常のサーバに加えて、例えば、パーソナルコンピュータのような据え置き型端末、あるいは、携帯電話やスマートフォンやPDA(パーソナル・デジタル・アシスタンツ)やタブレット(tablet)のような携帯型端末を含む広い概念を意味している。
【0037】
図4を参照しながら、身体エクササイズ機器1におけるエア制御システムの一例を説明する。加圧エアを作り出すポンプ16aは、加圧エアを貯蔵するタンク16bに接続されたあと、メイン経路20に接続されている。メイン経路20には、圧力検出部としての圧力センサ17が接続されていて、圧力センサ17によってメイン経路20における圧力が検出される。メイン経路20は、三方切換電磁弁18の供給ポートに接続されている。
【0038】
三方切換電磁弁18は、4つのエアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18d、すなわち、前エアバッグ用電磁弁18aと、左エアバッグ用電磁弁18bと、後エアバッグ用電磁弁18cと、右エアバッグ用電磁弁18dと、から構成されている。4つのエアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18dは、それぞれ、制御部11からの弁制御信号によって制御される。各エアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18dは、実質的に等しい通気抵抗(ポートの形状や口径が同じ)を有している。したがって、各エアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18dは、各エアバッグ31,32,33,34の給気時及び排気時において、略同じ挙動でエアの給気及び排気を行うことができる。
【0039】
前用分岐経路21aは、前エアバッグ用電磁弁18a及び前エアバッグ31を接続している。左用分岐経路21bは、左エアバッグ用電磁弁18b及び左エアバッグ32を接続している。後用分岐経路21cは、後エアバッグ用電磁弁18c及び後エアバッグ33を接続している。右用分岐経路21dは、右エアバッグ用電磁弁18d及び右エアバッグ34を接続している。各分岐経路21a,21b,21c,21dは、実質的に等しい通気抵抗(接続配管の長さや口径が同じ)を有している。したがって、各分岐経路21a,21b,21c,21dは、各エアバッグ31,32,33,34の給気時及び排気時において、略同じ挙動でエアを給気及び排気を行うことができる。
【0040】
前述したように、各エアバッグ31,32,33,34が、実質的に等しい通気抵抗を有していて、各エアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18d及び各分岐経路21a,21b,21c,21dも実質的に等しい通気抵抗を有している。したがって、各エアバッグ31,32,33,34から対応する各エアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18dに至る給排気経路21a,21b,21c,21dのそれぞれは、実質的に等しい通気抵抗を有している。
【0041】
4つのエアバッグ用電磁弁18a,18b,18c,18dのうち、或るエアバッグ用電磁弁(例えば18b)が第1位置に切り換わると、当該或るエアバッグ用電磁弁(例えば18b)に対応するエアバッグ(例えば32)とタンク16bとが連通する。そして、タンク16bから加圧エアが当該対応するエアバッグ(例えば32)に給気されると、当該対応するエアバッグ(例えば32)が膨張して、当該対応するエアバッグ(例えば32)の上にある座部4を押し上げる。当該或るエアバッグ用電磁弁(例えば18b)が第2位置に切り換わると、対応する分岐経路(例えば21b)が遮断されて、当該対応するエアバッグ(例えば32)の膨張した状態が維持される。当該或るエアバッグ用電磁弁(例えば18b)が第3位置に切り換わると、当該対応するエアバッグ(例えば32)が大気と連通して当該対応するエアバッグ(例えば32)の排気が行われて、当該対応するエアバッグ(例えば32)が収縮し、当該対応するエアバッグ(例えば32)の上の座部4が下降する。後述する推奨エクササイズ等を実行するときには、エアバッグ31,32,33,34において、上記膨張動作及び収縮動作が適宜に行われる。そして、エアバッグ31,32,33,34の動作に応じて、座部4が上下動したり傾斜したりする。
【0042】
図5乃至7を参照しながら、この発明の身体エクササイズ機器1における、使用者のバランス状態を検出する検出原理について説明する。
【0043】
使用者の身体バランス状態の差異によって、一対の左エアバッグ32及び右エアバッグ34における経時的圧力変化がどのような挙動を取るかを測定する代わりに、一対の左エアバッグ32及び右エアバッグ34に対する重し39の配置を変化させたときに一対の左エアバッグ32及び右エアバッグ34における経時的圧力変化がどのような挙動を取るかを測定した。
【0044】
円盤状の支持板38を介してブロック状の重し39(例えば重量が20kg)を左エアバッグ32及び右エアバッグ34の上に配置し、左エアバッグ32及び右エアバッグ34のそれぞれに圧力センサ17を接続する。左エアバッグ32及び右エアバッグ34に対する重し39の配置は、中央配置、左寄り配置又は右寄り配置とする。そして、同じ体積の加圧エアを左エアバッグ32及び右エアバッグ34にそれぞれ給気することで左エアバッグ32及び右エアバッグ34を膨張させる。図示しないエアバッグ用電磁弁18b,18dを同時に開放することで、膨張した左エアバッグ32及び右エアバッグ34を同時に同じ体積で排気する。このとき、重し39の荷重を負荷させた左エアバッグ32及び右エアバッグ34における経時的圧力変化がどのような挙動を取るかを測定する。
【0045】
重し39を中央配置にした場合を
図5に示し、重し39を左寄り配置にした場合を
図6に示し、重し39を右寄り配置にした場合を
図7に示す。
図5乃至7のそれぞれにおいて、(A)は上方から見た測定状態の模式図であり、(B)は側面から見た測定状態の模式図であり、(C)は測定結果を示す図である。なお、
図5(C),
図6(C)及び
図7(C)において、横軸が測定時間(単位:秒)であり、縦軸が測定圧力(単位:×10
3Pa)である。
【0046】
図5(C)に示すように、左エアバッグ32及び右エアバッグ34に対して約28×10
3Paの圧力まで印加したあと、対応するエアバッグ用電磁弁18b,18dを段階的に開放して排気することによってエアバッグ32,34内の圧力を段階的に下げたあと、大気圧と等しくなるまでエアバッグ用電磁弁18b,18dの開放を継続する。
【0047】
図5(C)は、重し39を中央に配置したものであるから、本来、左エアバッグ32の圧力変化と右エアバッグ34の圧力変化が同じ軌跡を辿るはずであるが、左エアバッグ32等における通気抵抗と右エアバッグ34等における通気抵抗とが、現実には、僅かに相違していることを反映しているものと思われる。
【0048】
図6(C)及び
図7(C)は、それぞれ、重し39を左寄り配置及び右寄り配置にしたものである。
図6(C)と
図7(C)とを比較すると、左右一対のエアバッグ32,34の給気時及び排気時において、左エアバッグ32の圧力変化と右エアバッグ34の圧力変化とが、異なった挙動を取るという結果が得られている。
【0049】
図6(C)において、給気時の圧力が約8乃至約12×10
3Paであるとき、排気時の圧力が約21×10
3Pa、約18×10
3Pa、約15×10
3Paにそれぞれ保持されたとき、及び、大気圧と等しくなるようにエアバッグ用電磁弁18dの継続的な開放を行った直後からしばらくの間(約12×10
3Pa乃至約3×10
3Pa)において、それぞれ、重し39の荷重がより多く負荷されている左エアバッグ32の圧力が高くなっている。
【0050】
図7(C)において、給気時の圧力が約8乃至約12×10
3Paであるとき、排気時の圧力が約21×10
3Pa、約18×10
3Pa、約15×10
3Paにそれぞれ保持されたとき、及び、大気圧と等しくなるようにエアバッグ用電磁弁18bの継続的な開放を行った直後からしばらくの間(約12×10
3Pa乃至約3×10
3Pa)において、それぞれ、重し39の荷重がより多く負荷されている右エアバッグ34の圧力が高くなっている。
【0051】
図6(C)での左寄り配置の圧力変化の測定結果において、圧力が高くなっているのは、重し39の荷重がより多く負荷されている左エアバッグ32である。また、
図7(C)での右寄り配置の圧力変化の測定結果において、圧力が高くなっているのは、重し39の荷重がより多く負荷されている右エアバッグ34である。すなわち、いずれの場合においても、左右一対のエアバッグ32,34の給気又は排気が行われる過程において、圧力変化の差が存在しており、圧力が相対的に高くなっているのは、重し39の荷重がより多く負荷されているエアバッグである。これは、エアバッグ32,34等の有する通気抵抗の存在によりエアバッグ32,34等に対する瞬間的な給気又は排気が行われないために、左右のエアバッグ32,34において同じ体積の加圧エアを給気又は排気したときであっても、重し39の荷重・加圧効果により、重し39の荷重がより多く負荷されている側のエアバッグでの圧力が、結果的に高くなっているものと思われる。
【0052】
したがって、給気時及び排気時のいずれにおいても、左右一対のエアバッグ32,34における経時的圧力変化の差を検出することにより、重し39が左右のいずれに片寄っているかを判定することができ、当該片寄りの検出原理を使用者の身体バランス状態の判定にも適用することができる。
【0053】
図8及び9を参照しながら、この発明の身体エクササイズ機器1における、1つの圧力センサ17を用いて、左右一対のエアバッグ32,34における圧力を測定する方法について説明する。
【0054】
図8及び9に示すように、三方切換電磁弁18とタンク16bとの間のメイン経路20に、1つの圧力センサ17が接続されている。左右のエアバッグ32,34に対する給排気を行うために、三方切換電磁弁18のうち左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dが用いられる。なお、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dは、上述したように、第1位置において左右のエアバッグ32,34とタンク16bとが連通し、第2位置において分岐経路21b,21dを遮断し、第3位置において左右のエアバッグ32,34と大気とが連通するように構成されている。
【0055】
まず、
図8(A)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dが第1位置に切り換わり、タンク16bに貯蔵された加圧エアが、左右のエアバッグ32,34の両方に供給されて、左右のエアバッグ32,34が膨張する(並行給気)。左右のエアバッグ32,34の給気過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0056】
図8(B)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dが第2位置に切り換わり、左右のエアバッグ32,34の膨張状態を所定時間(例えば3乃至4秒)保持する(給気停止・保持)。左右のエアバッグ32,34の膨張保持時の圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0057】
図8(C)では、左エアバッグ用電磁弁18bだけが第3位置に切り換わり、左エアバッグ32内の加圧エアが大気中に排気されて、左エアバッグ32が収縮する(左エアバッグの排気)。左エアバッグ32の排気過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0058】
図8(D)では、左エアバッグ32の排気を始めてから所定時間(例えば3乃至4秒)が経過すると、左エアバッグ用電磁弁18bが第2位置に切り換わり、左右のエアバッグ32,34を所定時間(例えば3乃至4秒)保持する(左エアバッグ32の排気停止・保持)。左エアバッグ32の排気後に所定時間保持している間の圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0059】
図8(E)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dの両方が第3位置に切り換わり、左エアバッグ32,右エアバッグ34内の加圧エアがそれぞれ大気圧に等しくなるまで排気されて、左エアバッグ32,右エアバッグ34が収縮する(並行排気)。左右のエアバッグ32,34の大気開放過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0060】
次に、
図9(F)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dが第1位置に切り換わり、タンク16bに貯蔵された加圧エアが、左右のエアバッグ32,34の両方に供給されて、左右のエアバッグ32,34が膨張する(並行給気)。左右のエアバッグ32,34の給気過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0061】
図9(G)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dが第2位置に切り換わり、左右のエアバッグ32,34の膨張状態を所定時間(例えば3乃至4秒)保持する(給気停止・保持)。左右のエアバッグ32,34の膨張保持時の圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0062】
図9(H)では、右エアバッグ用電磁弁18dだけが第3位置に切り換わり、右エアバッグ34内の加圧エアが大気中に排気されて、右エアバッグ34が収縮する(右エアバッグの排気)。右エアバッグ34の排気過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0063】
図9(I)では、右エアバッグ34の排気を始めてから所定時間(例えば3乃至4秒)が経過すると、右エアバッグ用電磁弁18dが第2位置に切り換わり、左右のエアバッグ32,34を所定時間(例えば3乃至4秒)保持する(右エアバッグ34の排気停止・保持)。右エアバッグ34の排気後に所定時間保持している間の圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0064】
図9(J)では、左エアバッグ用電磁弁18b,右エアバッグ用電磁弁18dの両方が第3位置に切り換わり、左エアバッグ32,右エアバッグ34内の加圧エアがそれぞれ大気圧に等しくなるまで排気されて、左エアバッグ32,右エアバッグ34が収縮する(並行排気)。左右のエアバッグ32,34の大気開放過程での圧力を、圧力センサ17によって測定する。
【0065】
上記圧力測定方法では、メイン経路20に接続された1つの圧力センサ17を用いて、左右のエアバッグ32,34の平均化された圧力を測定することになるので、左右のエアバッグ32,34の圧力をそれぞれ直接的には測定することができない。しかしながら、
図8(D)では、左エアバッグ32の排気を反映した圧力を測定し、
図9(I)では、右エアバッグ34の排気を反映した圧力を測定しているので、左エアバッグ32の圧力及び右エアバッグ34の圧力をそれぞれ間接的に測定していることになる。したがって、
図8(D)及び
図9(I)で示される動作を行ったときに得られる圧力値は、それぞれ、左エアバッグ32の排気に関係した圧力及び右エアバッグ34の排気に関係した圧力として用いることができる。このように、比較的高価な部品である圧力センサ17を1つだけ用いて、複数のエアバッグについての圧力測定を行うことで、低コスト化を実現することができる。
【0066】
なお、エアバッグ31,32,33,34のそれぞれに対して圧力センサ17を個別に配設することもできる。この場合、各エアバッグ31,32,33,34の圧力が同時並行的に直接検出されるので、バランス状態の判定処理を迅速に行うことができる。
【0067】
図10乃至13を参照しながら、1つの圧力センサ17を用いて、左右一対のエアバッグ32,34における圧力を測定して、当該測定結果に基づいて使用者の左右の身体バランス状態を判定する方法について説明する。
【0068】
図10乃至12は、1つの圧力センサ17を用いて、左右方向において異なる身体バランス状態にある複数の或る使用者が、身体エクササイズ機器1の座部4の座面4aに着座したときの、左右のエアバッグ32,34における経時的圧力変化の測定結果を示している。
図10乃至12において、横軸が測定時間(単位:秒)であり、縦軸が測定圧力(単位:×10
3Pa)である。
図10は、左右方向のバランスが取れている使用者のものであり、
図11は、バランスが左側に片寄った使用者のものであり、
図12は、バランスが右側に片寄った使用者のものである。なお、
図10乃至12のそれぞれにおいて、(A)乃至(J)は、
図8の(A)乃至(E)及び
図9の(F)乃至(J)の動作にそれぞれ対応している。
【0069】
図10において、左側のチャートは、左エアバッグ32の圧力変化に関係し、右側のチャートは、右エアバッグ34の圧力変化に関係している。図中の(D)は、
図8(D)すなわち左エアバッグ32の排気停止・保持の動作に対応し、このときの圧力は、左エアバッグ32の排気に関係した圧力であり、便宜的に左エアバッグ排気圧力と呼ぶことにする。また、図中の(I)は、
図9(I)すなわち右エアバッグ34の排気停止・保持の動作に対応し、このときの圧力は、右エアバッグ34の排気に関係した圧力であり、便宜的に右エアバッグ排気圧力と呼ぶことにする。左エアバッグ排気圧力の方が右エアバッグ排気圧力よりも大きくて、両者の圧力差(ΔP
1)を算出すると、約1.44×10
3Paである。
図10は、左右方向のバランスが取れている使用者についての測定結果であるから、理想的には左エアバッグ排気圧力と右エアバッグ排気圧力との間には圧力差が無くて、圧力差(ΔP
1)がゼロになるはずである。しかしながら、上述したように、左右方向のバランスが取れている使用者であっても、現実的には、エアバッグ等における通気抵抗の不均一さに起因した、僅かな差異が存在している。逆に、左右方向のバランスが取れている使用者に関しては、エアバッグ等における通気抵抗が完全に均一であれば、圧力差(ΔP
1)がゼロになる。
【0070】
図11は、バランスが左側に片寄った使用者についての測定結果である。
図11においても、上記
図10と同様に、図中の(D)での左エアバッグ排気圧力が図中の(I)での右エアバッグ排気圧力よりも大きくて、両者の圧力差(ΔP
2)を算出すると、約2.22×10
3Paである。
【0071】
図12は、バランスが右側に片寄った使用者についての測定結果である。
図12においても、上記
図10と同様に、図中の(D)での左エアバッグ排気圧力が図中の(I)での右エアバッグ排気圧力よりも大きくて、両者の圧力差(ΔP
3)を算出すると、約0.55×10
3Paである。
【0072】
図10乃至12から得られる左エアバッグ排気圧力と右エアバッグ排気圧力との間での圧力差ΔP
1,ΔP
2,ΔP
3をそれぞれプロットすると、
図13のようになる。
図13から明らかなように、左右方向のバランスが取れている使用者についての測定結果ΔP
1を中心にして、圧力差ΔP
2,ΔP
1,ΔP
3が直線上にプロットされる。したがって、左エアバッグ排気圧力と右エアバッグ排気圧力との間での圧力差ΔPを用いて、使用者が、左右方向のバランスが取れている、バランスが左側に片寄っている、あるいは、バランスが右側に片寄っている、のいずれに該当するかを判定することができる。
図13の場合では、例えば、圧力差ΔPが約1.8×10
3Paよりも大きければ、バランスが左側に片寄っていると判定し、圧力差ΔPが約1.0×10
3Paよりも小さければ、バランスが右側に片寄っていると判定し、圧力差ΔPが約1.0×10
3Paと約1.8×10
3Paとの間であれば、左右方向のバランスが取れていると判定することができる。
【0073】
身体エクササイズ機器1の記憶部12には、
図14に例示するような推奨エクササイズ等に関するメニューが、記憶されている。すなわち、記憶部12のROMには、バランスが左側に片寄っている人用のメニューと、左右方向のバランスが取れている人用のメニューと、バランスが右側に片寄っている人用のメニューとが、それぞれ記憶されている。
図14の例示では、各メニューが3つの選択肢を有している。
【0074】
制御部11は、使用者のバランス状態に関して得られた判定結果に応じて、適切な推奨エクササイズ等のメニューを使用者に提示する推奨エクササイズ提示部として働く。制御部11は、例えば、該当するメニューの複数の選択肢を表示部14に表示するように制御する表示制御部として働く。例えば、使用者のバランス状態が左側に片寄っていると判定されたときは、表示部14には「左寄り:1)右中殿筋前部,右大腿筋膜張筋,右梨状筋のストレッチ」等のように表示される。
【0075】
使用者は、操作部15の操作ボタンを操作して、表示部14に表示された複数の選択肢の中からいずれかの選択肢を選択する。制御部11が、三方切換電磁弁18の切換動作を制御し、各エアバッグ31,32,33,34の膨張及び収縮の動作をそれぞれ制御することにより、座部4は、選択されたメニューの内容に応じて、上下動したり傾斜したりする。したがって、使用者が座部4に着座すると、バランス判定部としての制御部11によって、使用者の左右のバランス状態が判定される。その結果、当該左右のバランス状態に応じた適切な推奨エクササイズ等を使用者に実行させることが可能になる。
【0076】
以上説明したように、この発明の身体エクササイズ機器1によれば、給排気切換部として働く三方切換電磁弁18の切換動作によって左右一対のエアバッグ32,34に対して給気又は排気を行う過程で、バランス判定部として働く制御部11が、圧力センサ17によって検出される左右一対のエアバッグ32,34における経時的圧力変化の差に基づいて、使用者の左右におけるバランス状態を判定することができる。その結果、制御部11によって判定された使用者の左右におけるバランス状態に応じた適切な推奨エクササイズ等を使用者に実行させることが可能になる。
【0077】
なお、
図13における判定は、「バランスが左側に片寄っている」と「左右方向のバランスが取れている」と「バランスが右側に片寄っている」という3つの判定から構成されるが、
図13に示した判定基準に用いる数値範囲を細かく設定することより、「バランスが大きく左側に片寄っている」と「バランスが少し左側に片寄っている」と「左右方向のバランスが取れている」と「バランスが少し右側に片寄っている」と「バランスが大きく右側に片寄っている」という5つの判定とすることができる。また、制御部11による判定数をさらに増やすことができることは言うまでもない。
【0078】
また、判定される使用者のバランス状態、及び、経時的圧力変化の差を検出するために用いるエアバッグや電磁弁等に関して、左右方向の場合について説明したが、前後方向の場合についても同様に適用することができるので、上記説明において「左右の」とあるのを、「前後の」と読み替えることができる。
【0079】
上述した実施形態及びその中で用いた数値等は、この発明の理解を容易にするための例示であり、限定的に解釈するべきではない。この発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定されるべきである。