特許第6019991号(P6019991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019991
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161020BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M7/48 R
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-207573(P2012-207573)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-64374(P2014-64374A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雅人
(72)【発明者】
【氏名】片山 寛
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−312484(JP,A)
【文献】 特開2006−230064(JP,A)
【文献】 特開2002−280860(JP,A)
【文献】 特開2001−028884(JP,A)
【文献】 特開2012−239256(JP,A)
【文献】 特開2011−029480(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/032656(WO,A1)
【文献】 特開2012−169341(JP,A)
【文献】 米国特許第05644103(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置可能な筐体を備え、
該筐体内は、
複数のパワーモジュールおよび該パワーモジュールのそれぞれに対応する複数のリアクトルが配置され、
前記パワーモジュールは、
該パワーモジュールに対応する前記リアクトルと所定の間隔を空けて配置され、
前記パワーモジュールおよび前記リアクトルの組は、
前記パワーモジュール同士および前記リアクトル同士がそれぞれ水平方向に沿って一列に揃うように並設される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記筐体内は、
前記複数のパワーモジュールおよび前記複数のリアクトルが前記筐体の前記壁面側に具備された放熱部材に当接されつつ配置される高発熱部と、
入力回路および出力回路が配置される低発熱部と、
に区画され、
前記パワーモジュールは、前記リアクトルの鉛直下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記高発熱部および前記低発熱部は、
水平方向に並列に配置されること
を特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記リアクトルは、
外周径を略同一とする略円筒状にそれぞれ形成されるとともに、該円筒の中心軸を共有し、かつ、前記中心軸が水平方向に略平行となるように配置されること
を特徴とする請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
すべての前記リアクトルを保持したまま前記放熱部材と一体に連結されるホルダ
をさらに備えること
を特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記リアクトルの少なくとも1つは、直流用の直流リアクトルであって、
前記直流リアクトルは、
前記入力回路を備える基板に寄せて配置されること
を特徴とする請求項〜5のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記高発熱部および前記低発熱部は、
隔壁によって区画されていること
を特徴とする請求項のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記パワーモジュールおよび前記リアクトルの組にそれぞれ対応するコンデンサをさらに備え、
該コンデンサは、
対応する組の前記パワーモジュールおよび前記リアクトルの間に、他の組の前記コンデンサと水平方向に沿って一列に揃うように配置されること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光などから得られるエネルギを供給するシステムの開発がなされている。かかる発電システムのうち、たとえば、一般に利用される太陽光発電システムでは、太陽光によって発電された直流電力を交流電力に変換して一般家庭等に供給するための電力変換装置が必要となる。
【0003】
かかる電力変換装置には、電力変換回路を構成するパワーモジュールやリアクトル、コンデンサといった多くの発熱部品が搭載される。このため、電力変換装置には、これら発熱部品を放熱させる機構を設ける必要があるが、一般家庭等の家屋に設置される点を鑑みれば、静音性に優れることが好ましい。
【0004】
そこで、送風機といった比較的運転音の大きい部品を要する強制空冷方式ではなく、放熱フィン等を用いた自然空冷方式を採用することで静音性を高めた電力変換装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、特許文献1には、筐体内を仕切板で中央室と側室とに分割し、中央室には電力変換素子(パワーモジュール)および電子回路素子が取り付けられた基板を、側室にはリアクタ(リアクトル)を、それぞれ設けた電源装置(電力変換装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−028884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電力変換装置は、一般家庭等の家屋への設置に適した、具体的には、耐ノイズ性および放熱性に優れたコンパクトな構成とするうえでさらなる改善の余地がある。
【0008】
たとえば、パワーモジュールやリアクトル、コンデンサ間の配線からは、これを流れる大電流によってノイズが生じやすいが、従来の電力変換装置は、かかるノイズへの対策が不十分であった。また、パワーモジュールやリアクトルといった発熱部品が分散して配置されるため、効率的な放熱効果を得づらいうえに、省スペース化も図りづらかった。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、耐ノイズ性および放熱性に優れたコンパクトな電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係る電力変換装置は、壁面に設置可能な筐体を備え、該筐体内は、複数のパワーモジュールおよび該パワーモジュールのそれぞれに対応する複数のリアクトルが配置され、前記パワーモジュールは、該パワーモジュールに対応する前記リアクトルと所定の間隔を空けて配置され、前記パワーモジュールおよび前記リアクトルの組は、前記パワーモジュール同士および前記リアクトル同士がそれぞれ水平方向に沿って一列に揃うように並設される。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、耐ノイズ性および放熱性に優れたコンパクトな電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る電力変換装置の使用状態を示す説明図である。
図2図2は、同電力変換装置の主回路構成を示す説明図である。
図3図3は、同電力変換装置の分解斜視図である。
図4図4は、同電力変換装置の内部構造を示す斜視図である。
図5図5は、同電力変換装置の側面視による説明図である。
図6図6は、同電力変換装置の内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電力変換装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
まず、本実施形態に係る電力変換装置の概略について、図1および図2を用いて説明する。図1は実施形態に係る電力変換装置1の使用状態を示す説明図、図2は電力変換装置1の主回路構成を示す説明図である。
【0015】
本実施形態に係る電力変換装置1は、所定の取付用壁面200に保持可能な壁掛けタイプとして構成されており、たとえば、一般家庭の家屋内の取付用壁面200に設置可能な筐体10を備えている。
【0016】
図1に示すように、筐体10は、前面開口の矩形箱型のケース本体100と、このケース本体100に着脱自在に取付けられた前面パネル110とを有し、取付ベース板120を介して取付用壁面200に取付けられる。
【0017】
取付用壁面200に取付けられた電力変換装置1は、直流電力の発電手段である太陽光電池パネル2と入力ケーブル21を介して接続する一方、交流電力の交流電源40と単相三線の出力ケーブル22を介して接続している。なお、太陽光電池パネル2は、太陽光を受けて直流電力を発生する複数の太陽電池セルにより構成されており、例えば、家屋の屋根などに設けられる。
【0018】
また、電力変換装置1の筐体10の右側側面には、出力端子であるコンセント410を設けている。このコンセント410にコード23を繋ぐことによって、例えば、停電時にも電気器具430に電力を供給することができる。
【0019】
なお、以下において、電力変換装置1の各構成要素の相対的な位置関係を説明する場合、上下左右側、及び前後側あるいは手前側、奥側で方向を示す場合があるが、各方向の基準となるのは、電力変換装置1を壁掛けし、正対した状態とする。
【0020】
こうして、電力変換装置1は、太陽光電池パネル2が太陽光を受けて発電した直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を、切換スイッチ41(図2)を介して交流電源40や電気器具430に供給することができる。
【0021】
本実施形態に係る電力変換装置1の筐体10内には、図2に示すように、パワーモジュール6およびリアクトル7が配設されている。パワーモジュール6は、第1、第2、第3のパワーモジュール61,62,63によって構成される。また、リアクトル7は、第1、第2、第3のパワーモジュール61,62,63のそれぞれに対応する第1、第2、第3のリアクトル71,72,73によって構成される。ここでは、第1のパワーモジュール61と、直流リアクトルである第1のリアクトル71とが組をなす。また、第2のパワーモジュール62と、交流リアクトルである第2のリアクトル72とが組をなすとともに、第3のパワーモジュール63と、これも交流リアクトルである第3のリアクトル73とが組をなす。
【0022】
また、図示するように、パワーモジュール6およびリアクトル7の組にそれぞれ対応するコンデンサ5をさらに備えている。かかるコンデンサ5は、インバータ用平滑コンデンサとしての機能を有し、パワーモジュール6のスイッチングによって生じる電圧変動を平滑にする。また、副次的な機能として、サージ電圧の上昇を抑制することもできる。かかるコンデンサ5は、第1〜第3のインバータ用平滑コンデンサ51,52,53によって構成されており、第1〜第3のパワーモジュール61〜63および第1〜第3のリアクトル71〜73の各組にそれぞれ対応して設けられる(図4参照)。
【0023】
なお、上述のとおり、第1〜第3のインバータ用平滑コンデンサ51,52,53を総称してコンデンサ5としたが、同様に、以下では、3つのパワーモジュール61,62,63を総称してパワーモジュール6と記す場合がある。また、3つのリアクトル71,72,73についても、総称してリアクトル7と記す場合がある。
【0024】
また、図2に示すように、筐体10内には、入力用基板3および出力用基板部4が収納されている。入力用基板3には、入力側ノイズフィルタ84や入力平滑コンデンサ50等を有し、直流電力を入力する入力回路が設けられている。入力平滑コンデンサ50は、太陽光電池パネル2から出力される入力側の電圧変動を平滑にする機能を有する。また、出力用基板部4には、出力側ノイズフィルタ85等を有し、交流電力を出力する出力回路が設けられている。
【0025】
なお、図2は、あくまでも回路の説明図であり、回路を構成する要素などは、実際の物理的な配置とは異なる。たとえば、入力用基板3と出力用基板部4とは、図2ではパワーモジュール6やリアクトル7やコンデンサ5を有するパワー回路を挟んで左右に位置しているように示されているが、本実施形態では、後述する一例のように、筐体10の前後方向に並設されている(図3参照)。
【0026】
パワーモジュール6は、図示するように、スイッチング素子として機能する2つの半導体素子60,60を備えた回路を有し、3つのパワーモジュール61,62,63が、筐体10内において水平方向に沿って一列に並設されている。なお、パワーモジュール61については、2つの半導体素子60,60のうち1つはダイオード(図示せず)が適用される場合がある。
【0027】
なお、本実施形態に係る電力変換装置1では、3つのパワーモジュール61,62,63は、それぞれ独立したパッケージを有する構成としている。しかし、このような独立した構成に限らず、たとえば、1つの共通パッケージに、半導体素子60を2つずつ設けて3つのパワーモジュール61,62,63を構成することもできる。
【0028】
また、半導体素子60を構成する材料として、たとえば、単元素半導体のシリコン、III−V族化合物半導体、III−VI族化合物半導体の中から好ましい材料を適宜設定することができる。
【0029】
さらに、筐体10内には、外部コントロール基板81と、制御基板82と、電源基板83とが収納されている。電源基板83は、外部コントロール基板81と制御基板82とに電力供給する制御電源が設けられている。
【0030】
上述したように、入力用基板3には、入力回路の一部を構成する入力側ノイズフィルタ84が設けられており、出力用基板部4には、出力回路の一部を構成する出力側ノイズフィルタ85が設けられている。これら入力側ノイズフィルタ84および出力側ノイズフィルタ85は、いずれも高周波ノイズを除去するEMIフィルタである。
【0031】
また、出力用基板部4には、自立運転と系統運転とを切り換える切換スイッチ41が設けられるとともに、電力変換用のパワー回路に対する入力端子および出力端子を備えた外部接続端子台42が設けられている。
【0032】
上述してきた構成により、太陽光電池パネル2で発電された直流電力は、筐体10の右側下部に設けられた外部接続端子台42の入力端子を経由して入力側ノイズフィルタ84から入力平滑コンデンサ50および第1のリアクトル71を介して半導体素子60,60を備えたパワーモジュール6に至る。そして、パワーモジュール6により直流から変換された交流電力は、第2、第3のリアクトル72,73、およびフィルタ用コンデンサ54を介して出力側ノイズフィルタ85に至る。第2、第3のリアクトル72,73およびフィルタ用コンデンサ54は、高調波抑制用のフィルタとして機能する。交流電力は、さらに、出力側ノイズフィルタ85から外部接続端子台42の出力端子を介して、交流電源40に供給されることになる。
【0033】
ここで、図3図6を参照しながら、電力変換装置1の内部構造について説明する。図3は、電力変換装置1の分解斜視図、図4は、電力変換装置1の内部構造を示す斜視図、図5は、電力変換装置1の側面視による説明図、図6は、電力変換装置1の内部構造を示す説明図である。
【0034】
本実施形態に係る電力変換装置1は、図6に示すように、筐体10を、高発熱部11と低発熱部12とに区画している。すなわち、ノイズや熱の発生源となるパワーモジュール6およびリアクトル7と、ノイズや熱を殆ど発生することのない入力用基板3および出力用基板部4とを、筐体10の内部で物理的に分離している(図3参照)。こうして、筐体10内を、高ノイズ発生部ともなる高発熱部11と、低ノイズ発生部ともなる低発熱部12とに区画することにより、入力回路および出力回路へのノイズや熱による悪影響を可及的に抑制するようにしている。
【0035】
本実施形態に係る電力変換装置1では、筐体10の左右長手方向に沿って、高発熱部11および低発熱部12が水平方向に並列に形成されている。かかる構成により、電力変換装置1の各種構成要素を、高熱を発生する要素と発生しない要素とに分離しつつ筐体10内にコンパクトに収めることができ、電力変換装置1の小型化に寄与することができる。
【0036】
図3図6に示すように、高ノイズ発生部ともなる高発熱部11は、第1〜第3のパワーモジュール61〜63および第1〜第3のリアクトル71〜73を、筐体10の奥側、すなわち、取付用壁面200側に設けた放熱部材9に当接させつつ配置して形成される。なお、本実施形態における放熱部材9は、実質的には、ヒートシンク91と、このヒートシンク91とパワーモジュール6およびリアクトル7との間に介在させる熱伝導シートやシリコンコンパウンド(いずれも不図示)などから構成される。ヒートシンク91には複数のフィン910が形成されている(図3)。
【0037】
一方、低ノイズ発生部ともなる低発熱部12は、入力用基板3に設けられた前述の入力回路と、出力用基板部4に設けられた前述の出力回路が配置されて形成される。図3に示すように、入力用基板3は、筐体10の奥側(取付用壁面200側)に、絶縁シート160を介して配設されており、出力用基板部4は、入力用基板3に対して筐体10の前側に、所定間隔をあけて重合状態に配置されている。
【0038】
本実施形態における出力用基板部4は、図6に示すように、パワー回路が設けられたパワー基板部600と一体形成されており、図示するように、隔壁130を介して高発熱部11と低発熱部12とに区画されている。なお、隔壁130は、金属板により形成されており、出力用基板部4の各回路などに対してリアクトル7からの熱のみならず、放射ノイズによる影響をも回避できるようにしている。また、本実施形態では、図示することは省略しているが、出力用基板部4とパワー基板部600とが形成された基板裏側の空間についても、隔壁を介して高発熱部11と低発熱部12とに区画している。なお、図示した隔壁130と基板裏側に設けた隔壁とは別体であってもよいし、たとえば、一体の隔壁を用いて、基板を貫通させた状態で配設してもよい。
【0039】
図6に示すように、パワーモジュール6は、当該パワーモジュール6に対応するリアクトル7の鉛直下方に所定の間隔を空けて配置されている。そして、パワーモジュール6およびリアクトル7の各組(第1のパワーモジュール61と第1のリアクトル71、第2のパワーモジュール62と第2のリアクトル72、第3のパワーモジュール63と第3のリアクトル73)は、第1〜第3のパワーモジュール61〜63同士および第1〜第3のリアクトル71〜73同士がそれぞれ水平方向に沿って一列に揃うように並設されている。
【0040】
かかる構成により、パワーモジュール6とリアクトル7との距離D2を可及的に縮めることができるとともに、両者を等間隔で配置することが可能となる。したがって、安定的にノイズの発生を抑制することができ、かつ、電力変換装置1の小型化に寄与することができる。
【0041】
また、図6に示すように、高発熱部11内における上側にリアクトル7が、下側にパワーモジュール6が配置されることになる。そして、発熱量の大きい各パワーモジュール6は、図5に示すように、放熱部材9に当接した状態で配設されている。
【0042】
すなわち、パワーモジュール6の熱は、主にヒートシンク91を介して放熱されるが、当該パワーモジュール6を、発熱する部品の中でも最下方位置に配設したため、筐体10の外部のフレッシュな空気を受けやすくなり、冷却効果をより高めることができる。他方、筐体10における高発熱部11の上側に配置されたリアクトル7の熱は、自然対流などにより、筐体10の内部を流れる空気によって冷却される。なお、筐体10の内部に空気が円滑に流れるように、筐体10のケース本体100上面および底面には、多数のスリット群150が形成されている(図1および図3を参照)。
【0043】
なお、互いに前後方向に重なるように配設されたパワーモジュール6とパワー基板部600とは、図5に示すように、リード640により接続している。
【0044】
ところで、リアクトル7は、図6に示すように、第1〜第3のリアクトル71〜73のいずれも、その外周径D1を略同一とする略円筒状に形成されている。そして、円筒の中心軸を共有し、かつ、中心軸が水平方向に略平行となるように配置されている。
【0045】
したがって、図3図5に示すように、第1〜第3のリアクトル71〜73は、共通の固定ホルダ75によって固定することが可能となり、リアクトル7の設置および固定に要する余分なスペースを排除することができる。したがって、筐体10内におけるデッドスペースの発生を抑制できるため、筐体10をサイズダウンすることができ、結果的に電力変換装置1の小型化に寄与することができる。
【0046】
固定ホルダ75は、すべてのリアクトル7(第1〜第3のリアクトル71〜73)を保持したまま放熱部材9と一体に連結可能に構成されており、図5に示すように、リアクトル7の外周と略同じ曲率の湾曲面751を有する。そして、同様な湾曲面761を有し、ヒートシンク91に密着して取付けられたリアクトルベース76との間でリアクトル7を抱持可能としている。なお、図3に示すように、固定ホルダ75とリアクトルベース76とは、連結杆77によって連結されている。
【0047】
また、固定ホルダ75の外側面上半部には、複数のフィン752が長手方向に列設されており、リアクトル7に対する冷却効果をより高めている。すなわち、リアクトル7は、固定ホルダ75とリアクトルベース76との間から進入する下方からの自然対流によって冷却されるとともに、リアクトルベース76からヒートシンク91を介して放熱される。さらに、リアクトル7の外周面手前側は、複数のフィン752を有する固定ホルダ75を介して放熱されることになる。
【0048】
なお、リアクトル7の少なくとも1つは、直流リアクトルであり、当該直流リアクトルにより、パワー基板部600に供給される直流電力を所要の電圧に昇圧している。そして、他の交流リアクトルにより、パワー基板部600で発生する高調波の外部流出を抑制している。
【0049】
ここでは、図2に示すように、第1のリアクトル71を直流リアクトルとしている。そして、この第1のリアクトル71は、入力用基板3に寄せて配置されている。これに伴い、第1のリアクトル71に対応して組をなす第1のパワーモジュール61も入力用基板3に近接する位置に設けられることになる。
【0050】
直流リアクトルである第1のリアクトル71は、交流リアクトルである第2、第3のリアクトル72,73に比べ、巻線数が多く、軸方向の丈が長くなっているため、重量的にも嵩む。このように、相対的に重量のある第1のリアクトル71を入力用基板3に寄せて配置したため、結果的には筐体10の中央寄りに配置されることになり、筐体10を取付用壁面200に掛けたときの重量バランスが良好となる。
【0051】
また、本実施形態に係る電力変換装置1は、パワーモジュール6およびリアクトル7の組にそれぞれ対応するコンデンサ5、すなわち、第1、第2、第3のインバータ用平滑コンデンサ51,52,53を備えている。
【0052】
かかるコンデンサ5(第1〜第3のインバータ用平滑コンデンサ51〜53)は、図6に示すように、対応する組のパワーモジュール6およびリアクトル7の間に、他の組のコンデンサ5と水平方向に沿って一列に揃うように配置されている。
【0053】
このように、コンデンサ5を含むパワー回路では、それぞれ組をなすパワーモジュール6、リアクトル7、およびコンデンサ5が、等間隔に整然と配置されることになり、高発熱部11内において各要素を集中配置することが可能となっている。したがって、筐体10の小型化、さらには配線長さも短くなるためノイズ発生の抑制にも貢献することができる。
【0054】
以上説明してきたように、本実施形態に係る電力変換装置1は、筐体10内の長手方向の一側に、発熱する複数のパワーモジュール6および各パワーモジュール6のそれぞれに対応する複数のリアクトル7を集中配置して高発熱部11を形成している。一方、他側には、直流電力を入力する入力回路および交流電力を出力する出力回路を配置して低発熱部12を形成している。このように、筐体10内を高発熱部11と低発熱部12とに、水平方向に並列的に区画したため、小型でコンパクトな筐体10を採用しながら、耐ノイズ性および放熱性に優れた電力変換装置1とすることができる。
【0055】
なお、上述してきた電力変換装置1は、高発熱部11と低発熱部12とを隔壁130によって区画したが、必ずしも隔壁130を設ける必要はない。また、隔壁130を設ける場合でも、上述したように、出力用基板部4とパワー基板部600とを一体形成した基板の裏面側の空間にも設けるのではなく、基板の表面側にのみ立設してもよい。あるいは、基板の裏面側の空間のみに設けても構わない。
【0056】
また、上述してきた電力変換装置1は、筐体10内を、高発熱部11と低発熱部12とに二分したが、たとえば、低発熱部12を第1の低発熱部と第2の低発熱部とに分離し、中央に高発熱部11を形成し、これを挟むように、第1の低発熱部と第2の低発熱部とを配置することもできる。
【0057】
この場合、一体形成されたパワー基板部600と出力用基板部4とを分離形成し、前後方向に所定間隔をあけて重なるように配設していた入力用基板3と出力用基板部4とをそれぞれ第1の低発熱部と第2の低発熱部として、高発熱部11を挟むように左右に配置すればよい。かかる構成とすれば、筐体10をより薄くすることができる。また、かかる構成とした場合でも、高発熱部11と第1の低発熱部および第2の低発熱部とを、隔壁130でそれぞれ区画することができる。
【0058】
以上、電力変換装置1を、上述してきた実施形態を通して説明したが、さらなる効果や変形例などは、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 電力変換装置
3 入力用基板
4 出力用基板部
5 コンデンサ
6 パワーモジュール
7 リアクトル
9 放熱部材
10 筐体
11 高発熱部
12 低発熱部
75 固定ホルダ
130 隔壁
200 取付用壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6