(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記表示装置の画素領域に対応した領域で、前記黄色の硬化膜が配された領域においては、波長400〜450nmの範囲における透過率が1%以下であることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
請求項1ないし2のいずれか1項に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記黄色の硬化膜は、色材として、C.I.ピグメントイエロー139を含有していることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ形成基板であって、前記表示装置は、青色発光の有機EL発光層を全画素領域に配して青色光源としている表示装置であることを特徴とするカラーフィルタ形成基板。
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず、本発明のカラーフィルタ形成基板の実施形態の第1の例を、
図1に基づいて説明する。
図1(a)に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10は、有機EL素子を発光源とする青色光源からの青色発光光を、赤色発光用の色変換層、赤色発光用の色変換層に照射することにより、それぞれ、青色以外の赤色光、緑色光に変換する色変換方式の表示装置に用いられるカラーフィルタ形成基板で、
図1(b)に示すようにして、モバイル機種のノートパソコンや多機能端末機器(高機能端末機器とも言う)等のモバイル電子機器の有機EL表示装置に用いられる。
第1の例のカラーフィルタ形成基板10は、ガラス基板からなる透明基板を基材11として、該基材11の一面側において、表示領域に画素領域を区分けする画素区分用遮光層(ブラックマトリクスとも言う)12と、カラーフィルタ用の黄色と青色の各色の硬化膜(着色樹脂層とも言う)を、それぞれ、区分けされた画素領域を覆うように配しているが、ここでは、特に、用いられる表示装置の赤色画素および緑色画素に対応する領域に黄色の硬化膜13Yを配しており、青色画素領域に対応する領域に青色の硬化膜13Bを配している。
図1(b)に示す表示装置は、簡単には、
図1(c)に示す、基材21の一面側にTFT回路(図示していない)、陽極25と陰極28の電極間に青色発光層27を含む有機EL層26を有する有機発光素子、酸素遮断層28、色変換層23を、積層して配した構造のTFT形成基板20と、
図1(a)に示す、基材11の一面に、画素区分用遮光層12を形成し、更に、黄色の硬化膜13Y、青色の硬化膜13Bを形成した第1の例のカラーフィルタ形成基板10とを、
図1(b)に示すように対向して積層した構造のものである。
尚、通常、
図1(a)に示すカラーフィルタ形成基板10は、カラーフィルタ用の各色の硬化膜13B、13Y形成側全体を覆うように、保護層(
図2(a)に示す保護層15と同じ)で覆い、この状態で表示装置に適用され、また、
図1(b)では明記されていないが、保護膜を覆ったカラーフィルタ形成基板10と、
図1(c)に示すTFT形成基板20とは、充填材等を介して積層される。
【0014】
ここで、
図3を参照にして、
図1(b)に示す表示装置のR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の表示について、簡単に説明しておく。
図3に示すように、黄色の硬化膜13Yの分光特性は、TFT形成基板20の青色発光層22からの
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBを、それぞれ、赤色発光用の色変換層12r、緑色発光用の色変換層12gに照射させた際に発光する赤色発光光23LR、緑色発光光23LGを、十分に通過させるものである。
したがって、赤色画素領域においては、TFT形成基板20の青色発光層22からの
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBは、赤色発光用の色変換層12rに照射されると、
図3のR1のような赤色の分光輝度特性を有する赤色発光光23LRを発生させ、該発生した赤色発光光23LRのほとんどがカラーフィルタ形成基板側に進むが、黄色の硬化膜13Yは、発生した赤色発光光23LRをほとんど通過させるものであるため、赤色画素領域において黄色の硬化膜13Yを通過して観察者側に達する光は、赤色の光13LRとして出射される。
また、緑色画素領域においては、TFT形成基板20の青色発光層22からの
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBは、緑色色変換層12gに照射されると、
図3のG1のような緑色の分光輝度特性を有する緑色発光光23LGを発生させ、該発生した緑色発光光23LGのほとんどがカラーフィルタ形成基板側に進むが、黄色の硬化膜13Yは、発生した緑色発光光23LGをほとんど通過させるものであるため、緑色画素領域において黄色の硬化膜13Yを通過して観察者側に達する光は、緑色の光13LGとして出射される。
一方、青色画素領域においては、TFT形成基板20の青色発光層22からの
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBは、透明層23tを通過して、青色発光光23LB(22LB)はカラーフィルタ形成基板側に進み、青色の硬化膜13Bを通過して観察者側に達する光は、青色の光13LBとして出射される。
このように、赤色画素領域、緑色画素領域、青色画素領域においては、それぞれ、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の光が出射されることにより、R、G、Bの三原色が得られ、R、G、Bの三原色によるフルカラー表示ができるのである。
尚、
図3において、従来の、R、G、Bの3色のカラーフィルタ用の硬化膜の一般的な分光特性を、それぞれ、R0、G0、B0として示している。
【0015】
ここでは、
図1(b)に示す表示装置の画素領域に対応して配した、
図1(a)に示すカラーフィルタ形成基板10の黄色の硬化膜13Yは、波長400〜450nmの範囲において透過率を1%以下にしている。
このため、
図1(b)に示す表示装置においては、TFT形成基板20の青色発光層22からの、
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBを、それぞれ、赤色発光用の色変換層23r、緑色発光用の色変換層23gに照射させた際に発光する赤色発光光23LR、緑色発光光23LGを、波長400〜450nmの範囲でほとんどカットすることができ、結果、観察者側から外光の影響による色変換層での発光を抑制できるものとしている。
即ち、該赤色発光光23LRの発光する領域、緑色発光光23LGの発光する領域においては、観察者側から外光の影響による混色や白浮きを回避できるものとしている。
【0016】
また、ここでは、表示装置に用いられた際に、表示領域となる領域を表示用領域としている。
また、硬化膜(着色樹脂層とも言う)13は、カラーフィルタ用の各色の硬化膜12B、12Yや画素区分用遮光層用の硬化膜(着色樹脂層)12を総称している。
また、表示用領域には、カラーフィルタ用の各色の硬化膜13B、13Yが、画素区分用遮光層12により分離された画素領域の開口部(開口パターンとも言う)を覆うように所定の配列に形成されている。
画素区分用遮光層12の開口パターンの形状や各色の硬化膜の配列は、特に限定されない。
画素区分用遮光層12の開口パターンの形状がストライプ状の形状のものや、くの字形状、デルタ配列などの様に硬化膜13B、13Yの配列を変えたものも挙げられる。
【0017】
更に、各部の材料について述べる。
<基板11>
第1の例に用いられる透明基板からなる基材11としては、従来よりカラーフィルタに用いられているものを用いることができ、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができるが、特に、無機基板を用いることが好ましく、無機基板のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。
さらには、上記ガラス基板のなかでも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。
無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
上記基板は、通常、透明基板が用いられている。
【0018】
<画素区分用遮光層12>
画素区分用遮光層12としては、例えば、ここでは、エポキシ樹脂等の樹脂で被覆したカーボンブラックをピグメント(顔料)としてバインダ樹脂中に分散させたものが用いられている。
カーボンブラックをピグメント(顔料)としてバインダ樹脂中に分散させたものは、膜厚を比較的薄くして遮光性の樹脂層を形成することができる。
ここでは、画素区分用遮光層12の形成をフォトリソグラフィー法を用いているが、この場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。 この場合、黒色着色剤および感光性樹脂を含有するブラックマトリクス形成用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
尚、印刷法やインクジェット法を用いて形成する場合もあるが、この場合には、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0019】
<黄色の硬化膜13Y、青色の硬化膜13B>
本例では、カラーフィルタ形成用の各色の硬化膜は、黄色の硬化膜13Y、青色の硬化膜13Bの2種である。
各色の硬化は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものであり、フォトリソ法(フォトリソグラフィー法とも言う)により形成されるものである。
上記硬化に用いられるバインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合、着色剤および感光性樹脂を含有する着色部形成用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
上記各色の着色層の膜厚は、通常、1μm〜5μm程度で設定される。
硬化膜の色としては、それぞれ、黄色、青色の2色を少なくとも含むものであれば特に限定されるものではない。
尚、黄色(Yとも記載)の硬化に用いられる色材としては、C.I.ピグメントイエロー139が好ましく挙げられるが、これに限定はされない。
青色(Bとも記載)の硬化膜に用いられる色材としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。
これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
<有機EL素子形成基板20>
(1) 基材21
基材21としては、基本的に、基材11と同様の材質が用いることができるが、第1の例のカラーフィルタを用いた
図1(b)に示す表示装置の場合は、基材11側から外側に出射して表示するため、透明である必要はない。
【0021】
(2) 青色発光層22
図1(b)に示す青色発光層22については、
図1(b)では明示していないが、例えば、
図1(c)に示すような材料構成とする。
(有機EL層26)
有機EL素子27を形成する有機EL層26は、少なくとも青ドーパントの層(発光層とも言う)を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。
青ドーパントの層(発光層)以外の有機EL層26を構成する有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を挙げることができる。
この正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合が多い。
また、有機EL層を構成する有機層としては、正孔ブロック層や電子ブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
有機EL層の構成としては、一般的な構成であればよく、青ドーパント:ホストの層(発光層)のみ、正孔注入層/青ドーパント:ホストの層(発光層)、正孔注入層/青ドーパント:ホストの層(発光層)/電子注入層、正孔注入層/正孔ブロック層/青ドーパント:ホストの層(発光層)/電子注入層、正孔注入層/青ドーパント:ホストの層(発光層)/電子輸送層などを例示することができる。
青ドーパント層の材料としては、例えば、特開平8−279394号公報に開示されているベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリディン系化合物等を挙げることができる。
具体的には、2−2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスヘンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系; 2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系; 2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等のベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤を挙げることができる。
また、上記の金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げることができる。
また、上記のスチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を挙げることができる。
また、上記のジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等を挙げることができる。
また、上記の芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびその誘導体を挙げることができる。
さらに、発光層の材料として、特開平5−258862号公報に記載されている一般式(Rs−Q)2−AL−O−Lで表される化合物も挙げることができる。
尚、(上記式中、ALはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート置換基を表す。
具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラーフェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
発光層の厚みは特に制限はなく、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
正孔注入層の材料としては、従来より光伝導材料の正孔注入材料として使用されているものや有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して使用することがでる。
正孔注入層の材料は、正孔の注入、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物あるいは無機物のいずれであってもよい。
具体的には、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。
さらに、正孔注入層の材料として、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物を挙げることもできる。上記のポリフィリン化合物としては、ポリフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、銅オクタメチルフタロシアニン等を挙げることができる。
また、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等を挙げることができる。正孔注入層の厚みは特に制限はなく、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
また、電子注入層の材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して使用することができる。
具体的には、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、上記のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
電子注入層の厚みは特に制限はなく、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
(陽極25、陰極28)
陽極25、陰極28の電極層を形成する導電性材料としては、一般に金属材料が用いられるが、有機物や無機化合物を用いてもよく、複数の材料を混合して用いてもよい。
また、陽極、陰極の電極層は、光の取り出し面に応じて、透明性を有するか否かを適宜選択される。
陽極25には、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましく用いられ、陰極28には、電子が注入し易いように仕事関数の小さな導電性材料が好ましく用いられる。
前記導電性材料としては、透明性を要求される場合には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、Zn−O−Al、Zn−Sn−O等が挙げられ、透明性が要求されない場合には、金属を用いることができ、具体的にはAu、Ta、W、Pt、Ni、Al、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
陽極25および陰極28のいずれの電極層も、抵抗が比較的小さいことが好ましい。
電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法、印刷法等を挙げることができる。
また、電極層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法を挙げることができる。
(酸素遮断層29)
酸素遮断層29は、酸素が、有機EL素子27と接触するのを遮断できるものであれば制限されない。
酸素遮断層の酸素透過量は、0.1cc/m
2 ・day未満が好ましく、0.01cc/m
2 ・day未満であることがより好ましい。
具体的な材料としては、透明無機物、透明樹脂、封止液が挙げられる。
まず、透明無機物が最も好ましい。
より具体的には、SiO2 、SiOx、SiOxNy、Si3 N4 、Al2 O3 、AlOxNy、TiO2 、TiOx、ITO(In2 O3 −SnO2 )、IZO(In2 O3 −ZnO)、SnO2 、ZnO、インジウム銅(CuIn)、金、白金、パラジウム等の一種単独又は二種以上の組み合わせ等の透明無機物が挙げられる。
この場合には、有機EL素子又は色変換層を劣化させないように、低温(100℃以下)で、成膜速度を遅くして成膜するのが好ましく、具体的にはスパッタリング、蒸着、CVD、イオンプレーティング等の方法が好ましい。
また、これらの透明無機物は、非晶質( アモルファス) であることが、酸素の遮断効果が高いので好ましい。
次に、透明樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、セロファン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、等のフッ素を含む樹脂が好ましい。
これらの膜は、二軸延伸法にてフィルム化したり、他の汎用の樹脂膜にコーティングされていてもよい。
次に、封止液としては、不活性液体が有機EL素子を劣化させないので好ましく、具体的には、フッ化炭化水素、シリコンオイル等が挙げられる。
ここで、酸素遮断層の厚さは、有機EL発光装置の精細度にもよるが、0.1μm〜1mm、好ましくは、0.5μm〜100μm、より好ましくは、1μm〜20μmである。
0.1μmより小さいと、酸素遮断効果がなくなり、1mmより大きいと、有機EL素子の光が拡散して、所望の色変換層の入射が妨げられるので、視認性が低下(色にじみ、混色、視野角依存)する。
【0022】
<色変換層23>
色変換層の材料は特に制限されるものではないが、例えば、蛍光色素及びバインダー樹脂、又は蛍光色素のみからなり、蛍光色素及びバインダー樹脂は、蛍光色素を顔料樹脂及び/又はバインダー樹脂中に溶解又は分散させた固形状態のものを挙げることができる。 有機EL素子における青色の発光を緑色発光に変換する場合の蛍光色素については、例えば、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフロルメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2′−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)等のクマリン色素、その他クマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、また、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド色素を挙げることができる。
また、有機EL素子における青色の発光を、赤色の発光に変換する場合の蛍光色素については、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン(DCM)等のシアニン系色素、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、その他にオキサジン系色素等が挙げられる。
さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば蛍光色素として選択することが可能である。
また、蛍光色素をポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の顔料樹脂中に予め練り込んで顔料化したものでもよい。
一方、バインダー樹脂は、透明な(可視光における光透過率が50%以上)材料が好ましい。
例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂(高分子)が挙げられる。
蛍光媒体を平面的に分離配置するために、フォトリソグラフィー法が適用できる感光性樹脂も選ばれる。
例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられる。
また、印刷法を用いる場合には、透明な樹脂を用いた印刷インキ(メジウム)が選ばれる。
例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマー、ポリマーまた、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂を用いることができる。
【0023】
色変換層23が、主に蛍光色素からなる場合は、所望の色変換層のパターンが得られるマスクを介して真空蒸着又はスパッタリング法で成膜することが好ましい。
一方、色変換層23が、蛍光色素と樹脂からなる場合は、蛍光色素と樹脂と適当な溶剤とを混合、分散又は可溶化させて液状物とし、当該液状物を、スピンコート、ロールコート、キャスト法等の方法で成膜し、その後、フォトリソグラフィー法で所望の色変換層のパターンにパターニングしたり、スクリーン印刷、インクジェット法等の方法で所望のパターンにパターニングして、色変換層を形成するのが好ましい。
【0024】
色変換層23の厚さは、有機EL素子の発光を十分に受光(吸収)するとともに、蛍光の発生機能を妨げるものでなければ、特に制限されるものではないが、例えば、10nm〜1,000μmとすることが好ましく、0.1μm〜500μmとすることがより好ましく、5μm〜100μmとすることがさらに好ましい。
この理由は、色変換層の厚さが10nm未満となると、機械的強度が低下したり、積層することが困難となる場合があるためである。
一方、色変換層の厚さが1mmを超えると、光透過率が著しく低下して、外部に取り出せる光量が低下したり、あるいは有機EL発光装置の薄型化が困難となる場合があるためである。
【0025】
次に、本発明のカラーフィルタ形成基板の実施形態の第2の例を挙げる。
第2の例のカラーフィルタ形成基板10aは、
図2(a)に示すように、
図1(a)に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10に対して、赤色画素領域に対応する領域においては、黄色の硬膜13Yの上に赤色発光用の色変換層14rを形成し、緑色画素領域に対応する領域においては、黄色の硬膜13Yの上に緑色発光用の色変換層14gを形成し、青色画素領域に対応する領域においては、青色の硬膜13Bの上に色変換層を設けない形態のもので、各色のカラーフィルタ用の硬化膜、各色変換層を覆うように透明な保護層15を表面平坦にして配している。
保護膜15以外の各部については、第1の例と機能、材質を同じとしている。
第2の例のカラーフィルタ形成基板10aは、
図2(c)に示す表示装置に用いられる。
図2(b)に示す表示装置は、簡単には、
図2(c)に示す、基材21の一面側にTFT回路(図示していない)、陽極25と陰極28の電極間に青色発光層27を含む有機EL層26を有する有機発光素子、酸素遮断層28を、積層して配した構造のTFT形成基板20aと、
図2(a)に示す、色変換層14(14r、14g)を形成した第2の例のカラーフィルタ形成基板10aとを、
図2(b)に示すように対向して積層した構造のものである。
尚、第2の例でも、
図2(b)に示す表示装置の画素領域に対応して配した、
図2(a)に示すカラーフィルタ形成基板10の黄色の硬化膜13Yは、波長400〜450nmの範囲において透過率を1%以下にしている。
第2の例のカラーフィルタ形成基板10aを用いた、
図2(b)に示す表示装置においても、TFT形成基板20の青色発光層22からの、
図3のB1に示されるような分光輝度特性を有する青色発光光22LBを、それぞれ、赤色発光用の色変換層14r、緑色発光用の色変換層14gに照射させた際に発光する赤色発光光14LR、緑色発光光14LGを、波長400〜450nmの範囲でほとんどカットすることができ、結果、観察者側から外光の影響による色変換層での発光を抑制できるものとしている。
即ち、該赤色発光光14LRの発光する領域、緑色発光光14LGの発光する領域においては、観察者側から外光の影響による混色や白浮きを回避できるものとしている。
【0026】
<保護層15>
保護層15用の材料としては、熱硬化性樹脂組成物と光硬化性樹脂組成物が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタ形成基板を面付けして作製後に、個片化する切断をするのに好ましい。
保護層用の光硬化性樹脂組成物としては、上記カラーフィルタ形成用の各色の着色層に用いられるバインダ樹脂と同様のもの、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。
この場合も、感光性樹脂を含有する着色部形成用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
尚、第1の例では、カラーフィルタ形成基板は面付けして形成した後に、樹脂組成物をスピンコーテイング法により塗布するが、各カラーフィルタ基板間に保護層の切れ目を設けておき、該切れ目において分離して個片化するため、保護層用の樹脂組成物を光硬化性樹脂組成物として、塗布後、乾燥し、所定領域のみ選択的に光照射して、現像して形成しているが、保護層の形成方法はこれに限定はされない。
保護層用の熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ化合物を用いたもの、熱ラジカル発生剤をもちいたものがあげられる。
エポキシ化合物としては、カルボン酸やアミン系化合物などにより硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
熱ラジカル発生剤としては過硫酸塩、ヨウ素等のハロゲン、アゾ化合物、および有機過酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、アゾ化合物または有機過酸化物である。
アゾ化合物としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス−[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、および2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などが挙げられ、有機過酸化物としては、ジ(4−メチルゼンゾイル)ペーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルエキサネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタネート、およびジクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0027】
本発明のカラーフィルタ形成基板は、上記形態に限定はされない。
例えば、上記第1の例において、各色の硬化膜形成側全体を保護層(
図2の保護層15に相当)で覆う形態も挙げられる。
上記第1の例、第2の例を有機EL素子を発光光源とした青色発光タイプの有機EL表示装置に適用したが、これに限定はされない。
他の青色発光方式でも良い。
【0028】
[実施例]
実施例を挙げて、本発明を更に説明する。
(実施例1)
実施例1は、
図1に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10を作製し、第1の例のカラーフィルタ形成基板10を適用した
図1(b)に示す表示装置を得たものです。
以下のように、光硬化性の硬化性樹脂組成物Aを調製して作製し、作製された硬化性樹脂組成物Aを用いて、カラーフィルタ形成用の青色硬化性樹脂組成物、黄色硬化性樹脂組成物、画素区分用遮光層(ブラックマトリクスとも言う)形成用の硬化性樹脂組成物を作製し、これらを用いて、各硬化性樹脂組成物毎にフォトリソ法を行い、カラーフィルタ用の各色の硬化膜(着色樹脂層)13B、13Yと、画素区分用遮光層12形成用の硬化膜(着色樹脂層)を形成したものです。
ここでは、画素区分用遮光層12用の遮光性の硬化膜(着色樹脂層)を形成した後、表示用領域のカラーフィルタ用の青色の硬化膜(着色樹脂層)13B、黄色の硬化膜(着色樹脂層)13Yを、それぞれフォトリソ工程で形成して、第1の例のカラーフィルタ形成基板10を作製した。
【0029】
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’ーアゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。
得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
・ 上記共重合樹脂溶液(固形分50%) :16重量部
・ ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)
:24重量部
・ オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70) :4重量部
・ 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン :4重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :52重量部
【0030】
(画素区分用遮光層(ブラックマトリクスとも言う)12の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、ビーズミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
・ 樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E) :20重量部
・ 高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 163) :5重量部
・ 溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) :75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光性の硬化膜形成用組成物を得た。
・ 上記黒色顔料分散液 :43重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :19重量部
・ ジエチレングリコールジメチルエーテル :38重量部
ガラス基板(旭硝子社製、AN材)上に上記遮光性の硬化膜形成用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光性の硬化膜を形成した。
当該遮光性の硬化膜を塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより、2.0kWの超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施した。
ここでは、フォトリソ法により、画素区分用遮光層を形成したが、形成膜厚は1.3μmとなった。
尚、上記の樹脂被覆カーボンブラック(三菱化学社製MS18E)は、平均粒径25nmである。
粒径は、例えば、日機装社製のレーザードップラー散乱光解析粒度分析計(商品名「Microtrac934UPA」)を用い、通常は、着色組成物に含まれる溶剤(希釈溶剤と呼ぶ)で希釈し、着色組成物の顔料粒径の累積が50%を占める粒径を50%平均粒径とし、その値を測定して求める。
【0031】
(青色の硬化膜13Bの形成)
更に、画素区分用遮光層12上に、下記組成の青色硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。
次いで、青色硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kwの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。
その後、基板を230℃の雰囲気下に15分間放置することにより、加熱処理を施して赤色画素パターンを表示用領域に形成した。
形成膜厚は2.0μmとなった。
<青色硬化性樹脂組成物の組成>
・ C.I.ピグメントブルー15:6 :5重量部
・ ポリスルホン酸型高分子分散剤 :3重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :25重量部
・ 酢酸−3−メトキシブチル :67重量部
【0032】
(黄色の硬化膜13Yの形成)
下記組成の青色硬化性樹脂組成物を用いて、青色の硬化膜13Yの形成と同様の工程で、塗布膜厚を変えて、形成膜厚が2.0μmとなるようにして、表示領域に黄色のレリーフパターンを形成した。
<黄色硬化性樹脂組成物の組成>
・ C.I.ピグメントイエロー139 :5重量部
・ ポリスルホン酸型高分子分散剤 :3重量部
・ 硬化性樹脂組成物A :25重量部
・ 酢酸−3−メトキシブチル :67重量部
【0033】
このようにして作製された
図1(a)に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10の、青色の硬化膜13B、黄色の硬化膜13Yについて、波長400nm〜700nmの範囲で透過率を測定した結果が、それぞれ、
図3に示すB0のグラフ、Y0のグラフである。
黄色の硬化膜13Yは、Y0のグラフから分かるように波長400nm〜450nmの範囲で透過率が1%以下である。
尚、
図3に示すB0のグラフ、G0のグラフ、R0のグラフは、それぞれ、
図4(a)に示す従来のカラーフィルタ形成基板110における、B、G、Rの各色のカラーフィルタ用の硬化膜113B、113G、113Rの波長400nm〜700nmの範囲での透過率特性に相当する。
【0034】
(保護膜の形成)
上記のようにして作製された
図1(a)に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10の、青色の硬化膜13B、黄色の硬化膜13Yを形成した側上に、前述の硬化性樹脂組成物Aをスピンコーティング法により塗布、乾燥し、乾燥塗膜2μmの塗布膜を形成して、これを保護膜とした。
硬化性樹脂組成物Aの塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて保護層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液23℃)中に1 分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。
その後基板を230℃の雰囲気中に15分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を形成した。
このようにして、
図1に示す第1の例のカラーフィルタ形成基板10に対して、保護膜を形成した。
【0035】
次に、保護層を形成した第1の例のカラーフィルタ形成基板10を用いて、以下のようにして、
図1(b)に示す表示装置を作成した。
(表示装置の作成)
予め、
図1(c)に示すような層構成でTFT形成基板20を形成しておき、保護層を配したカラーフィルタ形成基板10と、TFT形成基板20とを充填材(図示していない)を介して、
図1(b)のように対向して積層して、表示装置を作製した。
基材21の一面上への有機EL素子27の形成を形成したが、有機EL素子27の形成は一般的で、ここでは、説明を省略する。
ここでは、真空蒸着法により正孔注入層、発光層、電子注入層からなる青色発光層を形成した。
すなわち、まず、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを200nm厚まで蒸着して成膜し、その後、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することにより正孔注入層とした。
次いで、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを50nmまで蒸着して成膜することにより発光層とした。
その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層とし、青色発光層22を形成した。
次いで、以下のようにして、酸素遮断層29、色変換層23(23r、23g)を形成した。
尚、ここでは、
図2(b)における透明層23tは、透明な樹脂層で、カラーフィルタ形成基板とTFT形成基板とを積層する際の透明な充填材等がこれに相当する。
(色変換層23の形成)
赤色発光用の色変換層23rは、下記の赤色変換蛍光体層用塗布液を素材として用いて、スクリーン印刷法にて形成した。
(赤色変換蛍光体層用塗布液)
・ローダミンB … 3重量部
・メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体 … 47重量部
(メチルメタクリレート:メタクリル酸=2:1)
・ジグライム[Bis(2-methoxyethyl)Ether ] … 50重量部
(CH3 OCH2 CH2)2 O
緑色発光用の色変換層23gは、下記の緑色変換蛍光体層用塗布液を素材として用いて、スクリーン印刷法にて形成した。
(緑色変換蛍光体層用塗布液)
・ベーシックイエロー51 … 3重量部
・メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体 … 47重量部
(メチルメタクリレート:メタクリル酸=2:1)
・ジグライム[Bis(2-methoxyethyl)Ether ] … 50重量部
(CH3 OCH2 CH2)2 O
色変換層23r、23gの相対輝度特性は、それぞれ、
図3のR1のグラフ、G1のグラフのようになった。
【0036】
このように作製された表示装置について、目視により評価したが、表示状態は、従来の
図4(b)に示す表示装置と同程度であった。
また、表示装置の電源をOFFとし、標準光源(6500K)を外光光源として、外光による赤色発光用の色変換層23r、緑色発光用の色変換層23gの発光の有無を調べたが、発光は、目視では観察できなかった。
勿論、
図1(b)に示す色発光光23LRの発光する領域、緑色発光光23LGの発光する領域での、発光は観察できなかった。
これより、
図1(b)に示す赤色発光光23LRの発光する領域、緑色発光光23LGの発光する領域で、外光の影響による混色や白浮きを回避できるものと判断できる。