特許第6019999号(P6019999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6019999-積層セラミックス基板の分断方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019999
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】積層セラミックス基板の分断方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/91 20060101AFI20161020BHJP
   C04B 41/80 20060101ALI20161020BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C04B41/91 Z
   C04B41/80 Z
   B28D5/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-212192(P2012-212192)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-65633(P2014-65633A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084364
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 宜喜
(72)【発明者】
【氏名】武田 真和
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】田村 健太
【審査官】 立木 林
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−009767(JP,A)
【文献】 特開2009−280447(JP,A)
【文献】 特開昭64−018605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/91
B28D 1/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板の分断方法であって、
前記セラミックス基板及び前記金属膜の一方の面にスクライビングホイールを用いて他方の基板に到達しない第1のスクライブラインを形成し、
前記セラミックス基板及び前記金属膜の他方の面にスクライビングホイールを用いて前記第1のスクライブラインに沿って他方の基板に到達しない第2のスクライブラインを形成し、
前記第1,第2のスクライブラインに沿って前記セラミックス基板及び金属膜の少なくとも一方をブレイクすることによってスクライブラインに沿ってセラミックス基板を分断する積層セラミックス基板の分断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板の分断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来セラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板を分断する場合には、ダイシングソー等を用いて分断することが多かった。又特許文献1にはセラミックス基板をスクライブした後に金属層を接合し、エッチングによりスクライブラインの金属層を除去した後ブレイクするセラミックス接合基板の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−252971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1ではセラミックス基板に金属薄膜を積層する前にスクライブする必要があり、既に積層された積層セラミックス基板を分断するものではないという問題点があった。
【0005】
又積層された積層セラミックス基板を分断するために、図1(a)に示すようにセラミックス基板101に金属膜102を積層した積層基板100をスクライブしてブレイクする場合について説明する。まず図1(b)に示すようにセラミックス基板101の面にスクライビングホイール103でスクライブし、図1(c)に示すようにセラミックス基板101側からブレイクバー104で押圧してブレイクする。この場合にはセラミックス基板101は分離できても金属膜102は分離されないため、図1(d)に示すようにブレイクを施しても金属膜102が分離されずに残存してしまい、完全な分断ができないという問題点があった。
【0006】
又他の方法として図2(a),(b)に示すように、積層セラミックス基板100のうち、金属膜102の面にスクライビングホイール103を用いてスクライブを施す。次いで図2(c)に示すようにブレイクバー104を用いて積層セラミックス基板を分断しようとしても、金属膜102には十分な垂直クラックが形成されておらず、セラミックス基板101側には垂直クラックが生じていない。そのためブレイクすることは難しく、分離できなかったり、図2(d)に示すようにスクライブライン通り分離されることがないという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、セラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板を完全に分断し個別化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明の積層セラミックス基板の分断方法は、セラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板の分断方法であって、前記セラミックス基板及び前記金属膜の一方の面にスクライビングホイールを用いて他方の基板に到達しない第1のスクライブラインを形成し、前記セラミックス基板及び前記金属膜の他方の面にスクライビングホイールを用いて前記第1のスクライブラインに沿って他方の基板に到達しない第2のスクライブラインを形成し、前記第1,第2のスクライブラインに沿って前記セラミックス基板及び金属膜の少なくとも一方をブレイクすることによってスクライブラインに沿ってセラミックス基板を分断するものである。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、セラミックス基板に金属膜を積層した積層セラミックス基板を両側からスクライブし少なくとも一方の面からブレイクしている。このため金属膜の剥離を回避することができ、所望の形状に完全に分断し個別化することができ、端面精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は積層セラミックス基板のセラミックス基板側よりスクライブ及びブレイクする場合の分断処理を示す図である。
図2図2は積層セラミックス基板の金属膜側よりスクライブしブレイクする際の状態を示す図である。
図3図3は本発明の実施の形態による積層セラミックス基板の分断処理を示す図である。
図4図4は本発明の実施の形態による積層セラミックス基板の分断処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図3(a)はセラミックス基板11に金属膜12を施した分断の対象となる積層セラミックス基板(以下、単に積層基板という)10を示す図である。ここでセラミックス基板11はLTCC基板であってもよく、アルミナや窒化アルミ、チタン酸バリウム、窒化珪素等のセラミックス基板であってもよい。又金属膜12はニッケル、銀、金、銅及び白金等の薄膜であり、例えば膜厚が10〜20μmとする。このとき金属膜は何らかのパターンが形成されているものであってもよい。このような積層基板10を所定のパターンで分断する場合に、まず図3(b)に示すようにセラミックス基板11側より分断を予定するラインに沿って、図示しないスクライブ装置によってスクライビングホイール13を押圧し転動させてスクライブを形成する。こうして形成したスクライブラインを第1のスクライブラインS1とする。このスクライブに用いるスクライビングホイールは、高浸透のスクライブが可能なものを用いることが好ましい。例えば日本国特許文献3074143号に示されているように、円周面に所定間隔を隔てて多数の溝を形成し、その間を突起として高浸透型としたスクライビングホイールが提案されている。ここではこのようなスクライビングホイールを用いる。
【0012】
更に積層基板10を反転させ、図3(c)に示すように金属膜12の面よりスクライブラインS1の真上から図示しないスクライブ装置によってスクライブを形成する。こうして形成したスクライブラインを第2のスクライブラインS2とする。この場合には高浸透のスクライブが可能なスクライビングホイールを用いる必要はなく、ノーマルのスクライビングホイール14を用いることが好ましい。
【0013】
次いで図3(d)に示すように、支持部材15,16の上面にテープ17を配置し、ブレイク装置を用いて一対の支持部材15,16の中間にスクライブラインS1,S2が位置するように積層基板10を配置する。そしてその上部より第2のスクライブラインS2に沿ってブレイクバー18を押し下げブレイクを行う。更に図4(e)に示すように積層基板10を反転し、支持部材15,16の上面にテープ19を配置し、金属膜12側をブレイク装置の支持部材15,16に載せてスクライブラインS1に沿ってブレイクバー17を押し下げてブレイクする。こうすれば図4(f)に示すように、積層基板をスクライブラインS1,S2に沿って完全に分断し個別化することができ、端面精度を向上させることができる。この積層セラミックス基板の分断を格子状に行うことによって個別の積層基板チップを形成することができる。
【0014】
尚、前述した実施の形態では、図3(b),(c)に示すようにセラミックス面をスクライブし、次いで金属面をスクライブするようにしているが、先に金属面をスクライブし、その後セラミックス面をスクライブしてもよい。
【0015】
又前述した例では図3(d)及び図4(e)に示すように、セラミックス基板側からと金属膜側の両側からブレイク装置でブレイクするようにしているが、金属膜の種類や厚みによっては一方のブレイクを行うことで分断が可能となる。例えばセラミックス基板11にスクライブラインS1に沿って十分深くスクライブが浸透している場合や、金属膜12が十分薄い場合は、いずれか一方の面からブレイクすることにより分断し個別化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明はセラミックス基板に金属膜を積層した積層基板をスクライブ装置とブレイク装置を用いて容易に分断することができ、微小な積層基板の製造に有効である。
【符号の説明】
【0017】
10 積層セラミックス基板
11 セラミックス基板
12 金属膜
13,14 スクライビングホイール
15,16 支持部材
17,19 テープ
18 ブレイクバー
図1
図2
図3
図4