(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レンズのケース体への固定に圧入固定を採用した場合には、レンズやケース体の寸法精度を厳密に管理することが必要になり、製造コストが増大してしまう問題があった。また、圧入固定を採用した場合には、反射面であるレンズの外周面に応力が作用することとなってしまい、光学特性に少なからず悪影響を与えてしまう懸念もあった。
【0006】
一方、レンズのケース体への固定に接着固定を採用した場合には、接着剤を塗布してこれを硬化させる作業が必要になるため、組立作業が煩雑となって製造コストが増大してしまう問題があった。また、レンズに対するケース体の十分な保持力を確保するためには、接着剤の塗布量や硬化条件等を厳密に管理する必要が生じ、この点も製造コストが増大してしまう原因となっていた。
【0007】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、簡便な構成にてレンズをケース体に対して確実に固定することができ、これにより安価にかつ容易に製造することができる光ファイバヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に基づく光ファイバヘッドは、
コアおよびクラッドを含む芯線ならびに当該芯線を被覆する外装材である被覆材を含み、光が出射または入射する先端面を軸方向の先端部に有する長尺円柱状の光ファイバと、上記光ファイバの上記先端面に対向配置された略円柱状のレンズと、軸方向に沿った前端および後端を有し、上記光ファイバの上記先端部および上記レンズを内部に収容するとともに上記後端から上記光ファイバが引き出されてなる
単一の部材からなるケース体とを備えている。上記ケース体には、上記前端から上記後端にかけて順に、光を投光または受光するための開口部が形成された閉塞部、上記レンズが挿入されるレンズ挿入用孔部、および、上記光ファイバの上記先端部が挿入される光ファイバ挿入用孔部が設けられている。上記レンズ挿入用孔部の内径は、上記開口部の開口径よりも大きくかつ上記光ファイバ挿入用孔部の内径よりも小さい。上記レンズの軸方向に沿った嵌め合い長さは、上記レンズ挿入用孔部の軸方向に沿った嵌め合い長さよりも大きい。上記本発明の第1の局面に基づく光ファイバヘッドにあっては、
上記レンズが、上記レンズ挿入用孔部に挿入されるとともに、上記芯線の周面が露出されることなく当該芯線の周面が上記被覆材によって覆われた状態にある上記光ファイバの上記先端部が、上記光ファイバ挿入用孔部に挿入されることで、上記レンズの後端面に上記光ファイバの上記先端面が当接した状態において、上記光ファイバの上記先端部が
、上記ケース体の一部を径方向に沿って縮径させたカシメ部によって上記ケース体に固定されることにより、上記レンズが、軸方向に沿って上記閉塞部と上記光ファイバとによって挟持されること
のみによって上記ケース体に固定され
、上記カシメ部が、上記ケース体の軸方向に沿って上記光ファイバの上記先端面が位置する部分から距離をもって上記ケース体の上記後端側の位置に設けられている。
【0009】
上記本発明の第1の局面に基づく光ファイバヘッドにあっては、上記光ファイバの上記先端部の直径が、上記レンズの直径よりも大きいことが好ましい。
【0012】
本発明の第2の局面に基づく光ファイバヘッドは、
コアおよびクラッドを含む芯線ならびに当該芯線を被覆する外装材である被覆材を含み、光が出射する先端面を軸方向の先端部に有する長尺円柱状の投光ファイバと、
コアおよびクラッドを含む芯線ならびに当該芯線を被覆する外装材である被覆材を含み、光が入射する先端面を軸方向の先端部に有する長尺円柱状の受光ファイバと、上記投光ファイバの上記先端面に対向配置された略円柱状の投光レンズと、上記受光ファイバの上記先端面に対向配置された略円柱状の受光レンズと、軸方向に沿った前端および後端を有し、上記投光ファイバの上記先端部、上記受光ファイバの上記先端部、上記投光レンズおよび上記受光レンズを内部に収容するとともに上記後端から上記投光ファイバおよび上記受光ファイバが引き出されてなる
単一の部材からなるケース体とを備えている。上記ケース体には、上記前端から上記後端にかけて順に、光を投光するための投光用開口部および光を受光するための受光用開口部が形成された閉塞部、上記投光レンズおよび上記受光レンズが挿入されるレンズ挿入用孔部、および、上記投光ファイバの上記先端部および上記受光ファイバの上記先端部が挿入される光ファイバ挿入用孔部が設けられている。上記ケース体は、上記レンズ挿入用孔部のうちの上記投光レンズが挿入される部分である投光レンズ挿入用孔部と、上記受光レンズが挿入される部分である受光レンズ挿入用孔部とを区画する隔壁部を有している。上記投光レンズ挿入用孔部の内径は、上記投光用開口部の開口径よりも大きくかつ上記光ファイバ挿入用孔部のうちの上記投光ファイバが挿入される部分である投光ファイバ挿入用孔部の内径よりも小さい。上記受光レンズ挿入用孔部の内径は、上記受光用開口部の開口径よりも大きくかつ上記光ファイバ挿入用孔部のうちの上記受光ファイバが挿入される部分である受光ファイバ挿入用孔部の内径よりも小さい。上記投光レンズの軸方向に沿った嵌め合い長さは、上記投光レンズ挿入用孔部の軸方向に沿った嵌め合い長さよりも大きく、上記受光レンズの軸方向に沿った嵌め合い長さは、上記受光レンズ挿入用孔部の軸方向に沿った嵌め合い長さよりも大きい。上記本発明の第2の局面に基づく光ファイバヘッドにあっては、
上記投光レンズが、上記投光レンズ挿入用孔部に挿入されるとともに、上記芯線の周面が露出されることなく当該芯線の周面が上記被覆材によって覆われた状態にある上記投光ファイバの上記先端部が、上記投光ファイバ挿入用孔部に挿入され、かつ、上記受光レンズが、上記受光レンズ挿入用孔部に挿入されるとともに、上記芯線の周面が露出されることなく当該芯線の周面が上記被覆材によって覆われた状態にある上記受光ファイバの上記先端部が、上記受光ファイバ挿入用孔部に挿入されることで、上記投光レンズの後端面に上記投光ファイバの上記先端面が当接し
、かつ
、上記受光レンズの後端面に上記受光ファイバの上記先端面が当接した状態において、上記投光ファイバの上記先端部および上記受光ファイバの上記先端部が
、上記ケース体の一部を径方向に沿って縮径させたカシメ部によって上記ケース体に固定されることにより、上記投光レンズが、軸方向に沿って上記閉塞部と上記投光ファイバとによって挟持されること
のみによって上記ケース体に固定されているとともに、上記受光レンズが、軸方向に沿って上記閉塞部と上記受光ファイバとによって挟持されること
のみによって上記ケース体に固定され
、上記カシメ部が、上記ケース体の軸方向に沿って上記投光ファイバの上記先端面および上記受光ファイバの上記先端面が位置する部分から距離をもって上記ケース体の上記後端側の位置に設けられている。
【0013】
上記本発明の第2の局面に基づく光ファイバヘッドにあっては、上記投光ファイバの上記先端部の直径が、上記投光レンズの直径よりも大きいことが好ましく、また、上記受光ファイバの上記先端部の直径が、上記受光レンズの直径よりも大きいことが好ましい。
【0015】
上記本発明の第2の局面に基づく光ファイバヘッドにあっては、上記隔壁部の後端面から上記投光ファイバと上記受光ファイバとの間に達するように仕切り壁が突設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡便な構成にてレンズをケース体に対して確実に固定することができ、これにより安価にかつ容易に製造することができる光ファイバヘッドとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光ファイバヘッドの斜視図であり、
図2は、
図1に示す光ファイバヘッドの断面図である。また、
図3ないし
図5は、それぞれ
図1に示す光ファイバヘッドの
図2中におけるIII−III線、IV−IV線およびV−V線に沿った断面図である。まず、これら
図1ないし
図5を参照して、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aの構成について説明する。なお、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aは、透過型の光ファイバ型光電センサの投光ヘッドとして構成されたものである。
【0021】
図1ないし
図5に示すように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aは、投光ファイバ10と、ケース体20と、投光レンズ30とを備えている。
【0022】
投光ファイバ10は、光を伝送して外部に投光するものであり、コア11およびクラッド12を含む芯線と、芯線を被覆する被覆材13とを有する長尺円柱状の部材からなる。コア11およびクラッド12は、いずれも光透過性の部材にて構成されており、被覆材13は、遮光性の部材にて構成されている。
【0023】
投光ファイバ10としては、POF(Plastic Optical Fiber)およびGOF(Glass Optical Fiber)のいずれかが利用でき、より好適には、POFが利用できる。コア11およびクラッド12を構成する具体的な材質としては、POFの場合には、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル系樹脂またはフッ素系樹脂等に代表される樹脂材料が利用でき、GOFの場合には、ガラス材料全般が利用できる。なお、被覆材13としては、たとえばポリ塩化ビニル等に代表される樹脂材料が利用できる。
【0024】
投光ファイバ10は、光が出射する先端面10aをその軸方向の先端部に有している。投光ファイバ10の先端部においては、コア11およびクラッド12を含む芯線が露出されることはなく、当該芯線が被覆材13によって覆われた状態とされている。
【0025】
ケース体20は、投光ファイバ10の先端部および投光レンズ30を保持するための部材であり、中空略円筒状の形状を有している。ケース体20は、たとえば亜鉛合金やステンレス鋼、鉄鋼等の金属製の部材にて構成されている。
【0026】
ケース体20は、軸方向に沿った前端(
図2中に示す左側の端部)側に位置する本体部21と、軸方向に沿った後端(
図2中に示す右側の端部)側に位置する固定部22と、上記前端に位置する閉塞部23とを有している。
【0027】
本体部21の前端側の内部には、投光レンズ30が挿入される投光レンズ挿入用孔部24が設けられており、本体部21の後端側の内部および固定部22の内部には、投光ファイバ10の先端部が挿入される投光ファイバ挿入用孔部25が設けられている。また、閉塞部23には、軸方向に沿って貫通する投光用開口部23aが設けられている。なお、投光用開口部23aは、投光レンズ30によって光線制御された後の光を光ファイバヘッド1Aの外部に向けて投光するための部位である。
【0028】
これら投光用開口部23a、投光レンズ挿入用孔部24および投光ファイバ挿入用孔部25は、互いに連通するようにケース体20に貫通して設けられている。これにより、ケース体20には、その前端から後端にかけて順に、投光用開口部23aが設けられた閉塞部23、投光レンズ30が挿入される投光レンズ挿入用孔部24、および、投光ファイバ10の先端部が挿入される投光ファイバ挿入用孔部25が設けられることになる。
【0029】
また、本体部21の外周面には、雄ネジ部21aが設けられている。当該雄ネジ部21aは、光ファイバヘッド1Aを設置する際に使用されるものである。一方、固定部22の軸方向の所定位置には、カシメ部22aが設けられている。当該カシメ部22aは、ケース体20の内部に挿入された投光ファイバ10を保持する部位である。
【0030】
投光レンズ30は、投光ファイバ10の先端面10aから出射された光を光線制御するためのものである。投光レンズ30は、光透過性の部材にて構成されており、たとえばアクリル系樹脂等に代表される樹脂材料を用いた射出成形品にて構成されている。
【0031】
投光レンズ30は、略円柱状の形状を有しており、その前端面30a(
図2中に示す左側の端面)が凸状のレンズ面にて構成されており、その後端面30b(
図2中に示す右側の端面)が平面にて構成されている。
【0032】
なお、投光レンズ30としては、上述した射出成形品からなる樹脂レンズ以外にも、ガラスレンズ等の利用が可能である。
【0033】
投光ファイバ10の先端部および投光レンズ30は、それぞれケース体20に設けられた投光ファイバ挿入用孔部25および投光レンズ挿入用孔部24に収容されている。より詳細には、投光ファイバ10の先端部は、ケース体20の後端側に設けられた投光ファイバ挿入用孔部25内に配置されており、投光レンズ30は、ケース体20の前端側に設けられた投光レンズ挿入用孔部24内に主として配置されている。なお、ケース体20の後端からは、投光ファイバ10の先端部を除く部分が外部に向けて引き出されている。
【0034】
これにより、投光ファイバ10の先端面10aと投光レンズ30の後端面30bとは、ケース体20の内部において対向して配置されることになり、これら投光ファイバ10の先端面10aと投光レンズ30の後端面30bとがケース体20の内部において当接した状態とされている。
【0035】
上述したように、投光ファイバ10の先端部は、ケース体20の固定部22に設けられたカシメ部22aによって保持されている。カシメ部22aは、固定部22の軸方向に沿った一部が縮径するように固定部22を塑性変形させることで形成されたものであり、当該縮径されたカシメ部22aにより、ケース体20の内部に配置された投光ファイバ10が径方向において挟み込まれることで保持されている。
【0036】
より詳細には、上述したように、当該カシメ部22aによって保持される投光ファイバ10の先端部は、コア11およびクラッド12を含む芯線が被覆材13によって覆われた状態にあるため、当該縮径したカシメ部22aによって適度な弾性を有する被覆材13が押圧されて変形することになり、当該カシメ部22aが被覆材13の外周面10cに喰い込むことで強固にその固定が行なわれる。また、弾性を有する被覆材13がカシメ部22aと芯線との間に位置することにより、芯線の変形が抑制され、投光ファイバ10の光学特性がカシメ固定によって劣化することが防止可能となる。
【0037】
なお、カシメ部22aが位置する部分のケース体20の内周面に予め雌ネジ形状等の凹凸形状を付与することにより、カシメ加工後においてケース体20によってより強固に投光ファイバ10を保持することも可能である。
【0038】
一方、投光レンズ30は、軸方向に沿ってケース体20の閉塞部23と投光ファイバ10とによって挟持されることでケース体20に固定されている。すなわち、投光レンズ30は、投光レンズ挿入用孔部24に圧入されることなく、その外周面30cが投光レンズ挿入用孔部24の周面に基本的に接触することなく隙間をもった状態で投光レンズ挿入用孔部24内に配置されており、この状態において閉塞部23と投光ファイバ10とによって軸方向において挟み込まれることでケース体20に対して固定されている。
【0039】
これにより、投光レンズ30は、投光ファイバ10によってケース体20の閉塞部23に向けて押圧された状態で固定されることになり、当該固定後の状態において、投光ファイバ10の光軸と投光レンズ30の光学中心とが実質的に同一直線上に位置することになる。
【0040】
ここで、
図2に示すように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aにあっては、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1が、投光レンズ30の直径R
A2よりも大きく構成されている(R
A1>R
A2)。
【0041】
上記条件の下、
図4に示すように、投光ファイバ挿入用孔部25の内径R
A3は、当該投光ファイバ挿入用孔部25の内部に投光ファイバ10が挿入可能となるように、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1よりも僅かに大きく構成されており(R
A3>R
A1)、
図3に示すように、投光レンズ挿入用孔部24の内径R
A4は、当該投光レンズ挿入用孔部24の内部に投光レンズ30が挿入可能となるように、投光レンズ30の直径R
A2よりも僅かに大きく構成されている(R
A4>R
A2)。
【0042】
また、上記条件の下、
図3に示すように、投光用開口部23aの開口径R
A5は、投光レンズ30が投光レンズ挿入用孔部24に挿入された状態において当該投光レンズ30の周縁が閉塞部23に当接することとなるように、投光レンズ30の直径R
A2よりも小さく構成されている(R
A5<R
A2)。
【0043】
さらに、上記条件の下、
図2に示すように、投光レンズ30の軸方向に沿った嵌め合い長さL
A1は、投光レンズ30を投光レンズ挿入用孔部24に挿入した状態においてその後端が投光ファイバ挿入用孔部25内に位置することとなるように、投光レンズ挿入用孔部24の軸方向に沿った嵌め合い長さL
A2よりも大きく構成されている(L
A1>L
A2)。
【0044】
以上の条件を満たすことにより、上述したように、投光レンズ30が軸方向に沿って閉塞部23と投光ファイバ10とによって挟み込まれることになり、投光レンズ30をケース体20に対して固定することが可能になる。
【0045】
ここで、
図2に示すように、カシメ部22aは、ケース体20の軸方向に沿って投光ファイバ10の先端面10aが位置する部分から距離をもってケース体20の後端側の位置に設けられている。このように構成することにより、カシメ部22aを用いて投光ファイバ10をカシメ固定することで生じる投光ファイバ10のケース体20の軸方向に沿った伸長の影響が、投光ファイバ10の先端面10aにまで達することが緩和できることになり、投光ファイバ10の先端面10aの位置決めがより高精度に行なえることになる。
【0046】
図6ないし
図8は、本実施の形態における光ファイバヘッドの組立手順を示す概略図である。次に、これら
図6ないし
図8を参照して、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aの組立手順について説明する。
【0047】
上述した本実施の形態における光ファイバヘッド1Aを組立てるに際しては、まず、
図6に示すように、ケース体20に対して投光レンズ30が挿入される。その際、投光レンズ30は、ケース体20の後端側からケース体20に設けられた投光ファイバ挿入用孔部25を経由して投光レンズ挿入用孔部24に達するように挿入され、さらにその前端面30aがケース体20の閉塞部23に当接した状態となるようにされる。また、その際、投光レンズ30の前端面30aに設けられた凸状のレンズ部が閉塞部23に設けられた投光用開口部23aに嵌まり込むことにより、投光レンズ30がケース体20に対して位置決めされる。
【0048】
次に、
図7に示すように、投光レンズ30が挿入されてなるケース体20に対して投光ファイバ10の先端部が挿入される。その際、投光ファイバ10の先端部は、ケース体20の後端側からケース体20に設けられた投光ファイバ挿入用孔部25に対して挿入される。また、その際、投光ファイバ10の先端面10aが、先にケース体20に挿入された投光レンズ30の後端面30bに当接した状態とされる。ここで、投光ファイバ10の先端部は、芯線が被覆材13によって覆われた状態のままでよいため、当該被覆材13を取り除いて芯線を露出させる必要はない。
【0049】
次に、
図8(A)および
図8(B)に示すように、所定の形状を有するカシメ具100A,100Bを用いてケース体20の固定部22にカシメ加工が施される。ここで、カシメ具100A,100Bとしては、たとえば図示するように半割状のものが用いられ、これらカシメ具100A,100Bが固定部22を挟み込むように配置され、その後、これらカシメ具100A,100Bが互いに接近するように移動されることで上記カシメ加工が実施される。
【0050】
これにより、固定部22の一部が縮径するように塑性変形することになり、これによってカシメ部22aが固定部22に形成されることになる。これに伴い、投光ファイバ10の先端部がケース体20に対して固定されることになる。
【0051】
以上の工程を経ることにより、上述した本実施の形態における光ファイバヘッド1Aの組立てが完了し、
図1ないし
図5に示す如くの構成の光ファイバヘッド1Aが製造されることになる。
【0052】
以上において説明したように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aとすることにより、簡便な構成にて投光レンズ30をケース体20に対して固定することができ、そのため安価にかつ容易に製造できる光ファイバヘッドとすることができる。
【0053】
すなわち、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aとした場合には、投光レンズのケース体への固定に圧入固定を採用した場合に比べ、投光レンズやケース体の寸法精度を必要以上に厳密に管理する必要がなくなることになり、また接着剤を用いて投光レンズをケース体に固定する場合に比べ、接着剤を塗布してこれを硬化させる作業が不要になることになり、その結果、製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0054】
また、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aとした場合には、投光レンズのケース体への固定に圧入固定を採用した場合に比べ、投光レンズの外周面に応力が作用しないことになるため、光学特性に悪影響が生じてしまう懸念が一切ない点においても優位となる。
【0055】
また、本実施の形態における光ファイバヘッド1Aとした場合には、接着剤を用いて投光レンズをケース体に固定する場合に比べて接着剤が不要になるため、接着剤を使用した場合にその耐熱性の低さから設置が困難となる高温環境下への設置や、接着剤を使用した場合に当該接着剤からアウトガスが発生するためにその設置が困難となる半導体製造現場等のクリーン環境下への設置も可能になり、その適用範囲を大幅に拡大できる効果も得られる。
【0056】
なお、上述した本実施の形態においては、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1が、投光レンズ30の直径R
A2よりも大きく構成されている場合を例示したが、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1は、投光レンズ30の直径R
A2と同じに構成されていてもよいし、投光レンズ30の直径R
A2よりも小さく構成されていてもよい。
【0058】
また、上述した本実施の形態においては、透過型の光ファイバ型光電センサの投光ヘッドに本発明を適用した場合を例示したが、透過型の光ファイバ型光電センサの受光ヘッドに本発明を適用することも当然に可能である。
【0059】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における光ファイバヘッドの斜視図であり、
図10は、
図9に示す光ファイバヘッドの断面図である。また、
図11ないし
図13は、それぞれ
図9に示す光ファイバヘッドの
図10中におけるXI−XI線、XII−XII線およびXIII−XIII線に沿った断面図であり、
図14は、
図9に示す光ファイバヘッドの
図10中における領域XIVの拡大断面図である。以下、これら
図9ないし
図14を参照して、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bの構成について説明する。なお、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bは、反射型の光ファイバ型光電センサの投受光ヘッドとして構成されたものである。
【0060】
図9ないし
図13に示すように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bは、投光ファイバ10と、受光ファイバ40と、ケース体20と、投光レンズ30と、受光レンズ50とを備えている。光ファイバヘッド1Bは、上述した実施の形態1における光ファイバヘッド1Aのケース体20に、投光ファイバ10および投光レンズ30に加え、さらに受光ファイバ40および受光レンズ50が組付けられたものである。そのため、投光ファイバ10および投光レンズ30の形状およびそれらのケース体20に対する組付構造は、基本的には上述の実施の形態1におけるそれと同様である。
【0061】
受光ファイバ40は、光を伝送して外部に投光するものであり、投光ファイバ10と同様の部材にて構成されている。受光ファイバ40は、光が入射する先端面40aを有しており、コア41、クラッド42および被覆材43を含んでいる。受光ファイバ40の先端部においては、コア41およびクラッド42を含む芯線が露出されることはなく、当該芯線が被覆材43によって覆われた状態とされている。
【0062】
受光レンズ50は、外部から入射した光を光線制御して受光ファイバ40に入射させるためのものであり、投光レンズ30と同様の部材にて構成されている。受光レンズ50は、その前端面50a(
図10中に示す左側の端面)が凸状のレンズ面にて構成されており、その後端面50b(
図10中に示す右側の端面)が平面にて構成されている。
【0063】
ケース体20の本体部21の前端側の内部には、上述した投光レンズ挿入用孔部24に加えて、受光レンズ50が挿入される受光レンズ挿入用孔部26が設けられており、本体部21の後端側の内部および固定部22の内部には、上述した投光ファイバ挿入用孔部25に加えて、受光ファイバ40の先端部が挿入される受光ファイバ挿入用孔部27が設けられている。また、閉塞部23には、上述した投光用開口部23aに加えて、軸方向に沿って貫通する受光用開口部23bが設けられている。なお、受光用開口部23bは、光ファイバヘッド1Bに向けて照射された光を受光レンズ50に入射させるための部位である。
【0064】
これら受光用開口部23b、受光レンズ挿入用孔部26および受光ファイバ挿入用孔部27は、互いに連通するようにケース体20に貫通して設けられている。これにより、ケース体20には、その前端から後端にかけて順に、受光用開口部23bが設けられた閉塞部23、受光レンズ50が挿入される受光レンズ挿入用孔部26、および、受光ファイバ40の先端部が挿入される受光ファイバ挿入用孔部27が設けられることになる。
【0065】
ここで、投光レンズ挿入用孔部24と受光レンズ挿入用孔部26とは、ケース体20の内部に設けられた隔壁部28によって区画されている。一方、投光ファイバ挿入用孔部25と受光ファイバ挿入用孔部27とは、実質的に区画されておらず、相互に連通している。
【0066】
受光ファイバ40の先端部および受光レンズ50は、それぞれケース体20に設けられた受光ファイバ挿入用孔部27および受光レンズ挿入用孔部26に収容されている。より詳細には、受光ファイバ40の先端部は、ケース体20の後端側に設けられた受光ファイバ挿入用孔部27内に配置されており、受光レンズ50は、ケース体20の前端側に設けられた受光レンズ挿入用孔部26内に主として配置されている。なお、ケース体20の後端からは、受光ファイバ40の先端部を除く部分が外部に向けて引き出されている。
【0067】
これにより、受光ファイバ40の先端面40aと受光レンズ50の後端面50bとは、ケース体20の内部において対向して配置されることになり、これら受光ファイバ40の先端面40aと受光レンズ50の後端面50bとがケース体20の内部において当接した状態とされている。
【0068】
投光ファイバ10の先端部および受光ファイバ40の先端部は、ケース体20の固定部22に設けられたカシメ部22aによって一体的に保持されている。すなわち、投光ファイバ10の先端部および受光ファイバ40の先端部は、固定部22の軸方向に沿った一部が縮径するように塑性変形されることで形成されたカシメ部22aによって束ねられた状態とされ、この状態においてカシメ部22aが投光ファイバ10の外周面10cおよび受光ファイバ40の外周面40cの双方に喰い込むことで一体的に保持されている。
【0069】
一方、受光レンズ50は、投光レンズ30の場合と同様に、軸方向に沿ってケース体20の閉塞部23と受光ファイバ40とによって挟持されることでケース体20に固定されている。すなわち、受光レンズ50は、受光レンズ挿入用孔部26に圧入されることなく、その外周面50cが受光レンズ挿入用孔部26の周面に基本的に接触することなく隙間をもった状態で受光レンズ挿入用孔部26内に配置されており、この状態において閉塞部23と受光ファイバ40とによって軸方向において挟み込まれることでケース体20に対して固定されている。
【0070】
これにより、受光レンズ50は、投光レンズ30の場合と同様に、受光ファイバ40によってケース体20の閉塞部23に向けて押圧された状態で固定されることになり、当該固定後の状態において、受光ファイバ40の光軸と受光レンズ50の光学中心とが実質的に同一直線上に位置することになる。
【0071】
ここで、
図10に示すように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bにあっては、受光ファイバ40の先端部の直径R
B1が、受光レンズ50の直径R
B2よりも大きく構成されている(R
B1>R
B2)。
【0072】
上記条件の下、
図12に示すように、受光ファイバ挿入用孔部27の内径R
B3は、当該受光ファイバ挿入用孔部27の内部に受光ファイバ40が挿入可能となるように、受光ファイバ40の先端部の直径R
B1よりも僅かに大きく構成されており(R
B3>R
B1)、
図11に示すように、受光レンズ挿入用孔部26の内径R
B4は、当該受光レンズ挿入用孔部26の内部に受光レンズ50が挿入可能となるように、受光レンズ50の直径R
B2よりも僅かに大きく構成されている(R
B4>R
B2)。
【0073】
また、上記条件の下、
図11に示すように、受光用開口部23bの開口径R
B5は、受光レンズ50が受光レンズ挿入用孔部26に挿入された状態において当該受光レンズ50の周縁が閉塞部23に当接することとなるように、受光レンズ50の直径R
B2よりも小さく構成されている(R
B5<R
B2)。
【0074】
さらに、上記条件の下、
図10に示すように、受光レンズ50の軸方向に沿った嵌め合い長さL
B1は、受光レンズ50を受光レンズ挿入用孔部26に挿入した状態においてその後端が受光ファイバ挿入用孔部27内に位置することとなるように、受光レンズ挿入用孔部26の軸方向に沿った嵌め合い長さL
B2よりも大きく構成されている(L
B1>L
B2)。
【0075】
以上の条件を満たすことにより、上述したように、受光レンズ50が軸方向に沿って閉塞部23と受光ファイバ40とによって挟み込まれることになり、受光レンズ50をケース体20に対して固定することが可能になる。
【0076】
なお、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bの組立手順については、上述した実施の形態1における光ファイバヘッド1Aの組立手順に準じたものとなるため、その説明はここでは省略する。
【0077】
以上において説明したように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bとすることにより、上述した実施の形態1の場合と同様に、簡便な構成にて投光レンズ30および受光レンズ50をケース体20に対して固定することができ、そのため安価にかつ容易に製造できる光ファイバヘッドとすることができる。
【0078】
すなわち、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bとした場合には、投光レンズおよび受光レンズのケース体への固定に圧入固定を採用した場合に比べ、投光レンズや受光レンズ、ケース体の寸法精度を必要以上に厳密に管理する必要がなくなることになり、また接着剤を用いて投光レンズおよび受光レンズをケース体に固定する場合に比べ、接着剤を塗布してこれを硬化させる作業が不要になることになり、その結果、製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0079】
ここで、
図14に示すように、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bにあっては、ケース体20の内部に設けられた隔壁部28の後端面から投光ファイバ10と受光ファイバ40との間に達するように仕切り壁28aが突設されている。当該仕切り壁28aは、いわゆるクロストーク(投光ファイバから出射された光の一部が、光ファイバヘッドの外部を経由せずに光ファイバヘッドの内部を介して受光ファイバに達してしまう現象)の発生を防止するために設けられたものである。
【0080】
すなわち、本実施の形態における光ファイバヘッド1Bにあっては、投光レンズ30の軸方向に沿った嵌め合い長さL
A1が、投光レンズ挿入用孔部24の軸方向に沿った嵌め合い長さL
A2よりも大きく構成されているとともに、受光レンズ50の軸方向に沿った嵌め合い長さL
B1が、受光レンズ挿入用孔部26の軸方向に沿った嵌め合い長さL
B2よりも大きく構成されているため、当該仕切り壁28aが設けられていない場合には、投光ファイバ挿入用孔部25の前端および受光ファイバ挿入用孔部27の前端において、投光レンズ30の後端と受光レンズ50の後端とが何ら遮られることなく対峙することになり、上述したクロストークが発生し得ることとなってしまう。
【0081】
そのため、上述したように、隔壁部28に仕切り壁28aを設けることとすれば、投光ファイバ挿入用孔部25の前端および受光ファイバ挿入用孔部27の前端において、投光レンズ30の後端と受光レンズ50の後端とが当該仕切り壁28aによって遮られることとなり、クロストークの発生が未然に防止できることになる。
【0082】
なお、上述した本実施の形態においては、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1が、投光レンズ30の直径R
A2よりも大きく構成されているとともに、受光ファイバ40の先端部の直径R
B1が、受光レンズ50の直径R
B2よりも大きく構成されている場合を例示したが、投光ファイバ10の先端部の直径R
A1は、投光レンズ30の直径R
A2と同じに構成されていてもよいし、投光レンズ30の直径R
A2よりも小さく構成されていてもよく、また受光ファイバ40の先端部の直径R
B1は、受光レンズ50の直径R
B2と同じに構成されていてもよいし、受光レンズ50の直径R
B2よりも小さく構成されていてもよい。
【0084】
また、上述した本実施の形態においては、投光ファイバ挿入用孔部25と受光ファイバ挿入用孔部27とがケース体20の内部において連通した状態とされた場合を例示して説明を行なったが、ケース体20の内部に隔壁部を設けること等によってこれらを区画することとしてもよい。
【0085】
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、ケース体の外周面に雄ネジ部が形成された構成の光ファイバヘッドに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、当該雄ネジ部は必須のものではなく、雄ネジ部が設けられていない光ファイバヘッドに本発明を適用すること当然に可能である。
【0086】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。