(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1に示すように、駐車支援システム100は、駐車支援ECU1、前部測距センサ2、後方カメラ3、舵角センサ4、車輪速センサ5、操作スイッチ群6、表示装置7、及び音声出力装置8を含んでいる。例えば、駐車支援ECU1と前部測距センサ2、後方カメラ3、舵角センサ4、車輪速センサ5、操作スイッチ群6、表示装置7、及び音声出力装置8とは、CAN(controller area network)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されている構成とすればよい。なお、駐車支援システム100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0016】
前部測距センサ2は、探査波を送信し、障害物で反射されるその探査波の反射波を受信することで障害物までの距離を検知するために用いられるセンサである。前部測距センサ2は、探査波を送信し、その探査波の反射波を受信するセンサであればよく、音波を用いるものであっても、光波を用いるものであっても、電波を用いるものであってもよい。
【0017】
例えば、前部測距センサ2としては、超音波センサ、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のセンサを用いることができる。なお、本実施形態では、超音波センサを用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0018】
前部測距センサ2は、指向性の中心線が自車の車軸方向から自車前方に傾くように、例えば自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される。前部測距センサ2の指向性の中心線は、一例として自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車前方に傾いて配置される構成とすればよい。これにより、前部測距センサ2からは、少し前方寄りの側方に向けて探査波が送信される。
【0019】
前部測距センサ2は、自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される構成に限らず、自車の前部バンパの前方に向いた面にも例えば2つずつ配置されるなど、さらに多く配置される構成としてもよい。なお、前部測距センサ2の他にも、自車の後部バンパの左右側面等に配置され、自車の後部の側方の障害物を検知する後部測距センサも備える構成としてもよい。
【0020】
ここで、前部測距センサ2を用いた障害物の検出態様の一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、自車の左側に障害物に挟まれた駐車空間が存在する場合を例に挙げて説明を行う。以降では、
図2の例をもとに説明を続けるものとする。
【0021】
図2中のAが自車を示しており、破線で示す矢印が自車Aの進行方向を示しており、B1、B2、B3が障害物を示しており、Cが自車の左側に配置された前部測距センサ2の検知範囲を示している。具体的には、障害物B1が自車Aの前進時の進行方向に対して奥側の駐車車両、障害物B3が手前側の駐車車両、障害物B2が移動可能な物体である。ここで言うところの移動可能な物体とは、駐車車両に対して乗り降りする人や一時的に立ち止まっている人やショッピングカートやコーンといった人力で移動可能な物体である。
【0022】
自車Aは、自車Aの左側に配置された前部測距センサ2から自車Aの少し前方寄りの左側方に向けて探査波を逐次送信しながら障害物B3、障害物B2、障害物B1の側方を通過しつつ、障害物B3、障害物B2、障害物B1からの反射波が得られる場合には、これを逐次受信することになる。
【0023】
後方カメラ3は、自車Aの例えば後部バンパよりも上方に設置され、自車後方に所定角範囲で広がる領域を撮像するものである。後方カメラ3は、光軸が車体後部の路面を向くように設置される。例えば後方カメラ3としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。後方カメラ3が撮像した自車後方周辺の画像(以下、後方画像)は、駐車支援ECU1に供給される。
【0024】
舵角センサ4は、自車Aのステアリングの操舵角を検出するセンサであり、自車Aが直進状態で走行するときの操舵角を中立位置(0度)とし、その中立位置からの回転角度を操舵角として出力する。また、車輪速センサ5は、各転動輪の回転速度から自車Aの速度を検出するセンサである。
【0025】
操作スイッチ群6としては、例えば表示装置7と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により駐車支援ECU1へ各種機能の操作指示を行う。
【0026】
表示装置7は、駐車支援ECU1の指示に従ってテキストや画像を表示する。例えば表示装置7は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、表示装置7としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられたディスプレイを利用する構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置のディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0027】
音声出力装置8は、スピーカ等から構成され、駐車支援ECU1の指示に従って音声を出力する。なお、音声出力装置8としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられた音声出力装置を利用する構成としてもよい。
【0028】
駐車支援ECU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM・RAM・EEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。駐車支援ECU1は、前部測距センサ2、後方カメラ3、舵角センサ4、車輪速センサ5、操作スイッチ群6から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行する。
【0029】
例えば、駐車支援ECU1は、自車を後退させて駐車空間へ並列駐車や縦列駐車させるための車両走行の支援に関する処理(以下、後退駐車支援関連処理)等の各種の処理を実行する。駐車支援ECU1が請求項の駐車支援装置に相当する。
【0030】
ここで、
図3のフローチャートを用いて、駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理についての説明を行う。本フローは、駐車支援ECU1が所定の開始トリガを検出したときに開始される。開始トリガとしては、例えば操作スイッチ群6のうちの駐車支援開始スイッチをオンにする操作入力などが挙げられる。
【0031】
まず、ステップS1では、障害物領域検知処理を行って、ステップS2に移る。障害物領域検知処理では、障害物B3、障害物B2、障害物B1の横を前進しながら通過する際に、前部測距センサ2から逐次得られる障害物B3、障害物B1、障害物B2までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得する。よって、このステップS1の処理が請求項のセンサ情報取得手段に相当する。
【0032】
また、障害物領域検知処理では、取得した障害物までの距離を時系列に記憶した距離データ系列(点列)から、障害物B1、障害物B2、障害物B3の輪郭形状(
図4中のD1、D2、D3参照)を特定することで、障害物の位置する領域を検知する。ここで、距離データ系列から特定される障害物B1、障害物B2、障害物B3の輪郭形状は、自車Aの通過した経路側に向いた面の、地上面を基準とした平面座標系における輪郭形状である。一例としては、特開2008−21039号公報に開示されているのと同様の公知の方法によって、点列を楕円もしくは放物線により近似した上で障害物B1、障害物B2、障害物B3の輪郭形状を特定する。
【0033】
なお、
図5のD4で示すように、別個の障害物間の輪郭形状に明確な切れ目がなかった場合にも、隣り合う点列同士の距離データの変化率が所定の閾値以上となる箇所や輪郭形状の谷の部分といった変節点を切れ目と駐車支援ECU1で判断し、判断した切れ目を境にそれぞれ別個の障害物の輪郭形状として特定する構成とすればよい。
【0034】
ステップS2では、障害物長算出処理を行って、ステップS3に移る。障害物長算出処理では、障害物領域検知処理で特定した障害物B1、障害物B2、障害物B3の輪郭形状から、障害物B1、障害物B2、障害物B3の障害物長を算出する。ここで言うところの障害物長とは、自車Aが通過する経路の側方に存在する障害物の、自車Aの前進時に通過する経路に沿った方向(つまり、経路方向)の長さである。よって、このステップS2が請求項の障害物長決定手段に相当する。経路方向は、自車の前進時の進行方向に沿った方向と言うこともできる。
【0035】
障害物長算出処理では、障害物領域検知処理で特定した障害物B1・B2・B3の輪郭形状から、障害物B1・B2・B3についての経路方向の両端位置を検出する。一例としては、輪郭形状をなす点列について、両端から順番に隣り合う点列同士の距離データの変化率を調べ、各端において変化率が最初に所定の閾値未満となる箇所を両端位置として検出する構成とすればよい。そして、検出した両端位置間の距離を、障害物長として算出する。
【0036】
ステップS3では、移動可否推定処理を行って、ステップS4に移る。移動可否推定処理では、前部測距センサ2での検知結果をもとに、前部測距センサ2で検知した障害物が人力で移動可能な障害物か否かを推定する。よって、このステップS3の処理が請求項の移動可否推定手段に相当する。
【0037】
一例としては、障害物の大きさが所定値以上の場合には、人力で移動可能でない障害物(以下、固定物)と推定し、障害物の大きさが所定値未満の場合には、人力で移動可能な障害物(以下、移動可能物)と推定する構成とすればよい。例えば、障害物長算出処理で算出した障害物長を障害物の大きさとして用いる構成とすればよい。
【0038】
他にも、障害物領域検知処理で特定した障害物の輪郭形状をもとに、障害物の輪郭形状と固定物か移動可能物かを示す情報とを対応づけたテーブルを参照して、障害物が固定物か移動可能物かを推定する構成としてもよい。テーブルについては、実際に様々な形状の固定物や移動可能物を前部測距センサ2で検知して輪郭形状を特定し、駐車支援ECU1の製造時等に予めメモリに予め格納しておく構成とすればよい。
【0039】
さらに、前部測距センサ2以外に前述の後部測距センサも用いる構成においては、前部測距センサ2で検知した際の障害物の位置から、後部測距センサで検知した障害物の位置が所定値以上移動していた場合に、その障害物を移動可能物と推定する構成としてもよい。
【0040】
なお、ステップS1〜ステップS3までの処理と、それに続く後述のステップS4までの一例の処理は、後述のステップS5で駐車可能と判定されるまでは、例えば所定の走行距離ごとに行われるものとする。
【0041】
ステップS4では、駐車空間検出処理を行って、ステップS5に移る。駐車空間検出処理では、例えば障害物に挟まれた駐車空間といった、障害物に隣接する駐車空間を検出する。このステップS4の処理が請求項の駐車空間検出手段に相当する。ここで、
図6のフローチャートを用いて、駐車空間検出処理の一例についての説明を行う。
【0042】
まず、ステップS41では、トリガ検知判定処理を行う。トリガ検知判定処理では、所定のトリガを検知していたか否かを判定する。一例としては、ステップS1のフローが開始してからの間に所定のトリガを検知していたか否かを判定する。また、後述のステップS5で駐車可能でないと判定されてステップS1のフローが再度繰り返された場合には、新たなステップS1のフローが開始してからの間に所定のトリガを検知していたか否かを判定する。
【0043】
所定のトリガの一例としては、操作スイッチ群6のうちの、前部測距センサ2で検知中の障害物のキャンセルを指示するためのスイッチ(以下、キャンセルスイッチ)の操作が挙げられる。よって、操作スイッチ群6が請求項の操作スイッチに相当する。キャンセルスイッチの操作の検知は、キャンセルスイッチの信号をもとに駐車支援ECU1が行う。よって、駐車支援ECU1が請求項のトリガ検知手段に相当する。
【0044】
キャンセルスイッチの操作は、駐車空間の検出において無視して欲しい障害物が前部測距センサ2で検知中であるとユーザが目視等で判断したタイミングで行うものとする。本実施形態では、キャンセルスイッチの操作をトリガとして検知する場合を例に挙げて以降の説明を行う。
【0045】
上述したようなトリガを検知した場合には、トリガ検知時の時刻(つまり、トリガ検知時のタイムスタンプ)を駐車支援ECU1のメモリに記憶しておくものとする。そして、ステップS41では、トリガを検知していたと判定した場合(ステップS41でYES)には、ステップS42に移る。一方、トリガを検知していなかったと判定した場合(ステップS41でNO)には、ステップS51に移る。
【0046】
ステップS42では、トリガ検知時障害物特定処理を行って、ステップS43に移る。トリガ検知時障害物特定処理では、トリガ検知時のタイムスタンプと、前部測距センサ2での障害物の検知時のタイムスタンプとから、トリガ検知時に前部測距センサ2で検知していた障害物(以下、トリガ検知時障害物)を特定する。
【0047】
また、トリガ検知時障害物特定処理では、トリガ検知時障害物に前後して検知されている障害物(以下、トリガ検知前後障害物)も特定する。トリガ検知前後障害物の特定については、前部測距センサ2での障害物の検知時のタイムスタンプから、トリガ検知時障害物の検知の直前や直後に検知した障害物を特定することで行う構成とすればよい。
【0048】
トリガ検知時障害物の検知の直前と直後とのいずれにも障害物を検知していた場合には、トリガ検知前後の両方の障害物がトリガ検知前後障害物となる。一方、トリガ検知時障害物の検知の直前と直後とのいずれか一方でしか障害物を検知していなかった場合には、その一方の障害物がトリガ検知前後障害物となる。
【0049】
ステップS43では、障害物長比較処理を行って、ステップS43に移る。障害物長比較処理では、トリガ検知時障害物の障害物長(以下、検知時障害物長)とトリガ検知前後障害物の障害物長(以下、検知前後障害物長)とを比較する。検知時障害物長と検知前後障害物長とについては、ステップS2の障害物長算出処理で算出した値を用いる構成とすればよい。
【0050】
そして、ステップS44では、検知時障害物長が検知前後障害物長以下であった場合(ステップS44でYES)には、ステップS45に移る。一方、検知時障害物長が検知前後障害物長よりも長かった場合(ステップS44でNO)には、ステップS48に移る。
【0051】
ステップS45では、トリガ検知時障害物を除外候補としてステップS46に移る。これによれば、キャンセルスイッチの操作が適正なタイミングで行われ、
図7に示すように、移動可能な物体である障害物B2の前部測距センサ2での検知時に、キャンセルスイッチの操作が検知された場合には、移動可能な物体である障害物B2を除外候補とすることができる。
【0052】
ステップS46では、トリガ検知時障害物が除外対象外か否かを判定する。例えば、除外候補となった障害物が移動可否推定処理で移動可能物と推定されていた場合には、除外対象と判定する一方、移動可否推定処理で固定物と推定されていた場合には、除外対象外と判定する。そして、除外対象外と判定された場合(ステップS46でYES)には、ステップS51に移る。一方、除外対象外でないと判定された場合(ステップS46でNO)には、ステップS47に移る。
【0053】
ステップS47では、第1空間検出処理を行って、ステップS5に移る。第1空間検出処理では、トリガ検知時障害物を除外した上での駐車空間を検出する。また、第1空間検出処理では、自車Aの通過した経路方向においてお互いに対向する障害物の各端部間の距離を求めることで、駐車空間の大きさを決定する。
【0054】
図7の例では、トリガ検知時障害物としての障害物2を除外した上で、障害物B3と障害物B1とのお互いに対向する障害物の各端部間の距離(
図10のE1参照)を求めることになる。ここで言うところの駐車空間の大きさとは、自車Aの通過した経路方向における駐車空間の長さを示しており、以下でも同様とする。
【0055】
ステップS48では、トリガ検知時障害物よりも障害物長が短かったトリガ検知前後障害物を除外候補としてステップS49に移る。これによれば、キャンセルスイッチの操作のタイミングが早すぎ、
図8に示すように、移動可能な物体である障害物B2よりも進行方向手前側の駐車車両である障害物B3の前部測距センサ2での検知時に、キャンセルスイッチの操作が検知された場合にも、移動可能な物体である障害物B2を除外候補とすることができる。より詳しくは、トリガ検知時障害物である障害物B3の障害物長は、トリガ検知前後障害物B2の障害物長よりも長いため、障害物B3よりも障害物長が短かった障害物B2が除外候補となる。
【0056】
また、キャンセルスイッチの操作のタイミングが遅すぎ、
図9に示すように、移動可能な物体である障害物B2よりも進行方向奥側の駐車車両である障害物B1の前部測距センサ2での検知時に、キャンセルスイッチの操作が検知された場合にも、移動可能な物体である障害物B2を除外候補とすることができる。より詳しくは、トリガ検知時障害物である障害物B1の障害物長は、トリガ検知前後障害物B2の障害物長よりも長いため、障害物B1よりも障害物長が短かった障害物B2が除外候補となる。
【0057】
ステップS48の処理によれば、キャンセルスイッチの操作のタイミングが早すぎたり、遅すぎたりして、移動可能な物体の前後の固定物がトリガ検知時障害物となってしまった場合でも、移動可能な物体が除外候補となるように補正することができる。よって、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かの判定の精度をより向上させることが可能になる。
【0058】
ステップS49では、除外候補としたトリガ検知前後障害物が除外対象外か否かを、ステップS46と同様にして判定する。そして、除外対象外と判定された場合(ステップS49でYES)には、ステップS51に移る。一方、除外対象外でないと判定された場合(ステップS49でNO)には、ステップS50に移る。
【0059】
ステップS50では、第2空間検出処理を行って、ステップS5に移る。第2空間検出処理では、トリガ検知時障害物よりも障害物長が短かったトリガ検知前後障害物を除外した上での駐車空間を検出する。また、第2空間検出処理でも、自車Aの通過した経路方向においてお互いに対向する障害物の各端部間の距離を求めることで、駐車空間の大きさを決定する。
【0060】
図8及び
図9の例では、トリガ検知時障害物よりも障害物長が短かったトリガ検知前後障害物としての障害物2を除外した上で、障害物B3と障害物B1とのお互いに対向する障害物の各端部間の距離(
図10のE1参照)を求めることになる。
【0061】
また、ステップS51では、第3空間検出処理を行って、ステップS5に移る。第3空間検出処理では、障害物領域検知処理で輪郭形状を特定していた全障害物(本例では障害物B1・B2・B3)を対象として駐車空間を検出する。第3空間検出処理でも、自車Aの通過した経路方向においてお互いに対向する障害物の各端部間の距離を求めることで、駐車空間の大きさを決定する。本例では、障害物B3と障害物B2、障害物B2と障害物B1とのお互いに対向する障害物の各端部間の距離(
図10のE3、E2参照)を求めることになる。
【0062】
ステップS46及びステップS49の処理によれば、固定物と推定したものを除外対象外とすることで、駐車車両等の固定物を誤って除外候補としてしまった場合でも、この固定物を除外して駐車空間の検出が行われないようにすることが可能になる。よって、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かの判定の精度をより向上させることが可能になる。
【0063】
図3に戻って、ステップS5では、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かを判定する。自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かは、駐車空間の大きさと自車Aの寸法とに基づいて判定する。よって、このステップS5が請求項の駐車可否判定手段に相当する。ここで言うところの駐車空間の大きさとは、自車Aの通過した経路方向における駐車空間の長さとする。また、自車Aの寸法は、駐車支援ECU1の例えばEEPROM等の不揮発性メモリに予め記憶されているものとすればよい。
【0064】
そして、自車Aが駐車可能と判定した場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。また、自車Aが駐車可能でないと判定した場合(ステップS5でNO)には、ステップS1に戻り、障害物B1・B2・B3よりも自車Aの進行方向に対してさらに奥側に存在する障害物の検出を行ってフローを繰り返す。
【0065】
ステップS6では、目標駐車位置算出処理を行って、ステップS7に移る。目標駐車位置算出処理では、駐車空間検出処理で検出した駐車空間に自車Aを駐車する際の目標駐車位置を設定する。
【0066】
ステップS7では、駐車経路算出処理を行って、ステップS8に移る。駐車経路算出処理では、自車Aの現在位置に基づいて後退開始位置を設定し、目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、特開2003−34206号公報や特開2009−83806号公報に開示されているように公知であるので、詳細については省略する。
【0067】
ステップS8では、駐車支援処理を開始して、ステップS9に移る。駐車支援処理では、駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う。よって、このステップS6の処理が請求項の支援手段に相当する。操舵支援としては、ステアリングの操舵タイミングや操舵量の案内音声を音声出力装置8から出力する構成としてもよい。
【0068】
ステップS9では、自車Aが駐車を完了したことを検知した場合(ステップS9でYES)には、フローを終了する。自車Aが駐車を完了したことは、例えばシフト位置が駐車位置となったことを示す信号が、図示しないシフトポジションセンサから得られたことをもとに、駐車支援ECU1が検知する構成とすればよい。一方、自車Aが駐車を完了したことを検知していない場合(ステップS9でNO)には、ステップS8に戻ってフローを繰り返す。
【0069】
以上の構成によれば、移動可能な物体を前部測距センサ2で検知中と判断されるタイミングでユーザがキャンセルスイッチを操作することにより、駐車支援ECU1では、その移動可能な物体を除外した上で駐車空間を検出し、自車がその駐車空間に駐車可能か否かの判定を行うことが可能になる。よって、駐車空間に一時的に立ち止まっている人やショッピングカート等の移動可能な物体が駐車空間に存在する場合であっても、この移動可能な物体が存在しないとした場合の駐車空間をもとに、駐車可能か否かの判定を行うことができる。
【0070】
従って、移動可能な物体が存在する駐車空間から当該移動可能な物体を移動させれば駐車可能な駐車空間を、駐車可能な駐車空間とより精度良く判定することが可能になる。その結果、駐車可能な駐車空間が存在する場合にも関わらず駐車可能な駐車空間が存在しないと誤判定してしまう状況を生じにくくすることが可能になる。
【0071】
なお、前述の所定のトリガの他の例としては、乗員の降車と推定される車両状態が挙げられる。これは、前部測距センサでの障害物の検知の継続中に乗員が降車する場合には、乗員が降車して移動可能な物体を移動させる可能性が高いと推測されるためである。乗員の降車と推定される車両状態の具体例としては、パーキングブレーキがオンになって、且つ、ドア開閉が行われた状態、及びシフトポジションが駐車位置(P)になって、且つ、ドア開閉が行われた状態等がある。
【0072】
パーキングブレーキがオンになったことは、パーキングブレーキの信号をもとに駐車支援ECU1が判断すればよいし、シフトポジションがPになったことは、シフトポジションセンサの信号をもとに駐車支援ECU1が判断すればよい。また、ドア開閉が行われたことは、ドアカーテシスイッチの信号をもとに駐車支援ECU1が判断すればよい。よって、駐車支援ECU1が請求項の降車検知手段に相当する。
【0073】
(実施形態2)
本発明は前述の実施形態1に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この実施形態2について図を用いて説明を行う。実施形態2の駐車支援システム100は、駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の駐車支援システム100と同様である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
ここで、
図11のフローチャートを用いて、実施形態2の駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理の一例について説明を行う。実施形態2の駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理のフローは、一部を除けば実施形態1の駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理と同様であるので、異なる部分を除いては説明を省略する。
【0075】
まず、ステップS101〜ステップS103については、前述のステップS1〜ステップS3と同様である。よって、ステップS101の処理が請求項のセンサ情報取得手段、ステップS102の処理が請求項の障害物長決定手段、ステップS103の処理が請求項の移動可否推定手段に相当する。
【0076】
ステップS104では、駐車空間検出処理を行って、ステップS105に移る。駐車空間検出処理では、例えば障害物に挟まれた駐車空間といった、障害物に隣接する駐車空間を検出する。このステップS104の処理が請求項の駐車空間検出手段に相当する。ここで、
図12のフローチャートを用いて、駐車空間検出処理の一例についての説明を行う。
【0077】
ステップS141では、障害物長算出処理で算出した障害物長が規定長以下の障害物があるか否かを判定する。ここで言うところの規定長は、前述の移動可能物と固定物とを区別して推定する際の値と同様の値とすればよい。そして、障害物長が規定長以下のものがあると判定した場合(ステップS141でYES)には、ステップS142に移る。一方、障害物長が規定長以下のものがないと判定した場合(ステップS141でNO)には、ステップS145に移る。
【0078】
ステップS142では、障害物長が規定長以下だった障害物を除外候補としてステップS143に移る。ステップS143では、ステップS142で除外候補とした障害物が除外対象外か否かを判定する。例えば、除外候補となった障害物が移動可否推定処理で移動可能物と推定されていた場合には、除外対象と判定する一方、移動可否推定処理で固定物と推定されていた場合には、除外対象外と判定する。
【0079】
ステップS143の処理によれば、固定物と推定したものを除外対象外とすることで、駐車車両等の固定物を誤って除外候補としてしまった場合でも、この固定物を除外して駐車空間の検出が行われないようにすることが可能になる。よって、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かの判定の精度をより向上させることが可能になる。
【0080】
そして、ステップS143では、除外候補となった障害物の全てが除外対象外と判定された場合(ステップS143でYES)には、ステップS145に移る。一方、除外候補となった障害物の一部でも除外対象外でないと判定された場合(ステップS143でNO)には、ステップS144に移る。
【0081】
ステップS144では、第4空間検出処理を行って、ステップS105に移る。第4空間検出処理では、除外候補となった障害物のうち、除外対象外でなかった障害物を除外した上での駐車空間を検出する。また、第4空間検出処理では、自車Aの通過した経路方向においてお互いに対向する障害物の各端部間の距離を求めることで、駐車空間の大きさを決定する。ステップS145では、前述のステップS51と同様にして第3空間検出処理を行って、ステップS105に移る。
【0082】
図11に戻って、ステップ105では、前述のステップS5と同様にして、自車Aが駐車可能な駐車空間であるか否かを判定する。そして、自車Aが駐車可能と判定した場合(ステップS105でYES)には、ステップS106に移る。また、自車Aが駐車可能でないと判定した場合(ステップS105でNO)には、ステップS101に戻り、自車Aの進行方向に対してさらに奥側に存在する障害物の検出を行ってフローを繰り返す。
【0083】
ステップS106では、駐車問い合わせ処理を行って、ステップS107に移る。駐車問い合わせ処理では、検出した駐車空間への駐車を行うか否かをユーザに問い合わせる。よって、このステップS6の処理が請求項の問い合わせ手段に相当する。上記問い合わせは、音声出力装置8から音声出力させることで行う構成としてもよいし、表示装置7に表示させることで行う構成としてもよい。
【0084】
ステップS107では、検出した駐車空間への駐車を行う旨の回答を受け付けたか否かを判定する。例えば、操作スイッチ群6のうちの、検出した駐車空間への駐車を行うことを指示するか否かの回答を受け付けるスイッチに対して、駐車を行う旨の操作が行われた場合に、駐車を行う旨の回答を受け付けたと判定する。一方、当該スイッチに対して、駐車を行わない旨の操作が行われた場合に、駐車を行わない旨の回答を受け付けたと判定する。よって、駐車支援ECU1が請求項の回答受け付け手段に相当する。
【0085】
そして、駐車を行う旨の回答を受け付けたと判定した場合(ステップS107でYES)には、ステップS108に移る。一方、駐車を行わない旨の回答を受け付けたと判定した場合(ステップS107でNO)には、ステップS101に戻ってフローを繰り返す。
【0086】
ステップS108〜ステップS111については、前述のステップS6〜ステップS9と同様である。よって、ステップS101の処理が請求項のセンサ情報取得手段、ステップS102の処理が請求項の障害物長決定手段、ステップS103の処理が請求項の移動可否推定手段に相当する。
【0087】
実施形態2の構成によれば、駐車支援ECU1は、障害物長が規定値以下である、移動可能な物体と推定される障害物を除外した上で駐車空間を検出し、自車がその駐車空間に駐車可能か否かの判定を行うことが可能になる。よって、駐車空間に一時的に立ち止まっている人やショッピングカート等の移動可能な物体が駐車空間に存在する場合であっても、この移動可能な物体が存在しないとした場合の駐車空間をもとに、駐車可能か否かの判定を行うことができる。
【0088】
従って、移動可能な物体が存在する駐車空間から当該移動可能な物体を移動させれば駐車可能な駐車空間を、駐車可能な駐車空間とより精度良く判定することが可能になる。その結果、駐車可能な駐車空間が存在する場合にも関わらず駐車可能な駐車空間が存在しないと誤判定してしまう状況を生じにくくすることが可能になる。
【0089】
なお、前述のステップS141〜ステップS144の処理は、降車を検知した場合に限って行い、降車を検知していない場合には駐車空間検出処理においてはステップS145の第3空間検出処理のみを行う構成としてもよい。これは、前部測距センサでの障害物の検知の継続中に乗員が降車する場合には、乗員が降車して移動可能な物体を移動させる可能性が高いと推測されるためである。
【0090】
乗員の降車の検知は、乗員の降車と推定される車両状態を検知することで行う構成とすればよい。乗員の降車と推定される車両状態の具体例としては、前述したように、パーキングブレーキがオンになって、且つ、ドア開閉が行われた状態、及びシフトポジションが駐車位置(P)になって、且つ、ドア開閉が行われた状態等がある。
【0091】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。