(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための形態について、本発明のタッチスイッチ素子及びタッチスイッチ装置について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、本発明のタッチスイッチ素子について図面を用いて説明する。
図1は、タッチスイッチ素子の部分断面図である。
図2〜5は、タッチスイッチ素子の種種の実施態様の部分断面図である。
図6は、タッチスイッチ素子の構成要素であるタッチセンサ層の部分平面図と部分断面図である。
図7は、タッチスイッチ素子の構成要素である光拡散パターン部のパターン平面図である。
図8は、タッチスイッチ素子を使用したタッチスイッチ装置の構成を示す概略図である。
【0011】
(タッチスイッチ素子)
図1は、タッチスイッチ素子の一実施態様の構成の概略図である。
図1に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、光拡散パターン部2、タッチセンサ層3、半透明意匠層4が順に配置されたものである。
図1において、タッチスイッチ素子10は、使用しない場合には発光層1を消光状態として、半透明意匠層4側すなわち操作側からみて、半透明意匠層4の絵柄模様のみが視認されて、発光層1、光拡散パターン部2、タッチセンサ層3については視認されないよう形成されたものである。そして、タッチスイッチ素子10は、使用する場合には発光層1を発光状態として、その光が光拡散パターン部2の遮光部6により遮光され光拡散部5を透過し、タッチセンサ層3と半透明意匠層4を透過して、操作側からパターンとして視認できるよう形成されたものである。
ここで、タッチスイッチ素子10において、半透明意匠層4上に視認されるパターンとタッチセンサ層3を透過するパターンとは平面視上対応する位置関係にあり、半透明意匠層4上にパターンの所定の箇所に指などの接触(タッチ)があった場合に、タッチセンサ層3においてその箇所の位置情報を検出することができるよう設定されている。
図1のような実施態様によれば、タッチセンサ層3が半透明意匠層4の裏面に直接形成されたシートを予め製造しておくことが可能であり、タッチセンサ層3の面が半透明意匠層4の面に沿って精度良く形成し易いこと、及びタッチスイッチ素子を内装や機器や設備に施工する際に工程を短縮できること等の利点がある。
【0012】
図2〜
図5は、タッチスイッチ素子の種種の実施態様の構成概略図であって、タッチスイッチ素子の層構成上の光拡散パターン部の位置が
図1に示されるものとは異なる。
【0013】
図2に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1上に、タッチスイッチ素子の操作側に向かってタッチセンサ層3、光拡散パターン部2、半透明意匠層4が順に積層されたものである。
図2において、タッチスイッチ素子10は、使用しない場合には発光層1を消光状態として、半透明意匠層4側すなわち操作側からみて、半透明意匠層4の絵柄模様のみが視認されて、発光層1、タッチセンサ層3、光拡散パターン部2については視認されないよう形成されたものである。そして、タッチスイッチ素子10は、使用する場合には発光層1を発光状態として、その光がタッチセンサ層3を透過して、光拡散パターン部2の遮光部6により遮光され光拡散部5を透過し、半透明意匠層4を透過して、操作側からパターンとして視認できるよう形成されたものである。
図2のような実施態様によれば、発光層1の発光時に、光拡散パターン部2のパターンは、直接、半透明意匠層4に到達し、タッチセンサ層3の二つの電極の配線による光透過率の低下がないため、視認し易い利点がある。
【0014】
図3(a)及び(b)は、光拡散パターン部2を構成する光拡散部5と遮光部6とがタッチセンサ層3をはさんで互いに反対側に設けられている点で
図1、2に示されるものとは異なる。ここで、光拡散部5をパターン状に有するものを光拡散パターン層15とし、その光拡散パターン層15の非光拡散部は空隙でもよく、樹脂などが充填されていてもよく、透明基材に設けられた場合にはその基材フィルム自体であってもよい。また、遮光部6をパターン状に有するものを遮光パターン層16とし、その遮光パターン層16の非遮光部は空隙でもよく、樹脂などが充填されていてもよく、透明基材に設けられた場合にはその基材フィルム自体であってもよい。
図3(a)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、遮光パターン層16、タッチセンサ層3、光拡散パターン層15、半透明意匠層4が順に積層されたものである。
また、
図3(b)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、光拡散パターン層15、タッチセンサ層3、遮光パターン層16、半透明意匠層4が順に積層されたものである。
図3(a)及び(b)の実施態様によれば、光拡散パターン部2の光拡散パターン層15(光拡散部5)と遮光パターン層16(遮光部6)の各々は、隣接する半透明意匠層4又はタッチセンサ層3に直接形成しておくことも可能であり、光拡散パターン部2の基材が不要となること、及び施工時の工程を短縮できることなどの利点がある。
【0015】
図4(a)、(b)、(c)及び(d)は、光拡散パターン部2が、光拡散部5を含む全面に設けられた光拡散層7と、遮光部6をパターン状に有する遮光パターン層16とからなる点で
図1〜3に示されるものとは異なる。ここで、光拡散層7は、発光層1の全面を平面視上カバーするよう設けられたものであり、したがって遮光パターン層16の非遮光部を平面視上カバーするよう設けられたものである。また、遮光パターン層16は、その非遮光部6は空隙でもよく、樹脂などが充填されていてもよく、透明な基材上に遮光部を設けた場合にはその基材自体であってもよい。
図4(a)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、遮光パターン層16、光拡散層7、タッチセンサ層3、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
また、
図4(b)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、光拡散層7、遮光パターン層16、タッチセンサ層3、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
また、
図4(c)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、タッチセンサ層3、遮光パターン層16、光拡散層7、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
また
図4(d)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、タッチセンサ層3、光拡散層7、遮光パターン層16、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
図4(a)、(b)、(c)及び(d)の各実施態様によれば、光拡散パターン部2の光拡散部5をパターン状に設ける必要がなく製造工程を短縮できる利点がある。
【0016】
図5は、光拡散パターン部2が、光拡散部5を含む全面に設けられた光拡散層7と、遮光部6をパターン状に有する遮光パターン層16とからなり、光拡散パターン部2の光拡散層7と遮光パターン層16とがタッチセンサ層3をはさんで反対側に設けられている点で
図4に示されるものとは異なる。
図5(a)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、光拡散層7、タッチセンサ層3、遮光パターン層16、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
図5(a)のような実施態様によれば、光拡散部5をパターン状に設ける必要がなく製造工程を短縮できること、及び光拡散パターン部2のパターンが視認し易いことの利点がある。
また、
図5(b)に示すように、タッチスイッチ素子10は、発光層1、遮光パターン層16、タッチセンサ層3、光拡散層7、及び半透明意匠層4が順に積層されたものである。
図5(b)のような実施態様によれば、光拡散部5をパターン状に設ける必要がなく製造工程を短縮できる利点がある。また、光拡散層7を半透明意匠層4の基材上または基材中に設けて、発光層1の消光時における半透明意匠層4自体の隠蔽層として併用することもできる利点がある。
【0017】
次に、本発明のタッチスイッチ素子を構成する各層の材料及び製造方法について説明する。
【0018】
(タッチセンサ層)
図6は、
図1〜
図5のタッチスイッチ素子10を構成するタッチセンサ層3の部分断面図と部分平面図である。
図6(a)は、タッチセンサ層3の平面図であり、
図6(c)は、タッチセンサ層の
図6(a)とは反対側の平面図である。
図6(b)は、
図6(a)及び
図6(c)の平面図のS−S線における断面図である。
図6に示すように、タッチセンサ層3は、誘電体部である基材11と、基材11の一方の側の面上に設けられた第1電極部21と、基材11の他方の側の面上に設けられた第2電極部22と、を有している。
第1電極部21には複数の第1導電体31が含まれ、第1導電体31の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びている。
また、第2電極部22には複数の第2導電体32が含まれ、第2導電体32の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びている。
更に、第1導電体31と第2導電体32は、前記タッチセンサ層3の平面視上互いに交差してなるものである。
ここで、タッチセンサ層3は、
図8に示すようにタッチスイッチ装置100に適用されて、制御部50と接続されることによって、第1導電体31と第2導電体32との交点の基材11の部分にはコンデンサが形成され、操作者のタッチ操作に応じて交点の静電容量が変化することでタッチ操作の有無を検出することができるものである。
【0019】
また、タッチセンサ層3の他の実施態様として、基材の一方の側(操作側又は発光層側)の同一面上に設けられた第1電極部と第2電極部を有したものを用いることができる。
この場合には、第1電極部には複数の第1導電体が含まれ、第1導電体の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びており、第2電極部には複数の第2導電体が含まれ、第2導電体の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びており、第1導電体と第2導電体は、前記タッチセンサ層の平面視上互いに交差しており、誘電体部は、前記第1導電体と前記第2導電体との間にあって、前記第1導電体と前記第2導電体が平面視上交差した部分に設けられている。
【0020】
また、タッチセンサ層3の他の実施態様として、第1基材の面上に設けられた第1電極部と、第2基材の面上に設けられた第2電極部を有したものを用いることができる。
この場合には、第1電極部には複数の第1導電体が含まれ、第1導電体の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びており、第2電極部には複数の第2導電体が含まれ、第2導電体の各々は、その配列方向と直交する方向に沿って直線状に延びており、第1導電体と第2導電体が前記タッチセンサ層の平面視上互いに交差してなるように、第1基材の第1電極部側とは反対側に、第2基材の第2電極部側を接着剤を介して貼り合わせて形成されている。誘電体部は、前記第1電極部と前記第2電極部との間にある第1基材に相当する。
【0021】
タッチセンサ層3の第1導電体及び第2導電体を構成する材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、タングステン、クロム、チタンなどの金属のうち1種または2種以上を組み合せた合金を用いることができる。
また、タッチセンサ層に透明性を有することが必要な場合には、第1導電体及び第2導電体を構成する材料としては、例えば、インジウム錫オキサイド(ITO)、酸化インジウム、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリアセチレン等の高分子化合物を用いることができる。
タッチスイッチ素子が大型すなわち面積が大きくなる場合には、タッチセンサ層の配線の制御部ICから遠い部分では動作速度が遅くなるなどの影響を少なくするため、低抵抗の材料が望ましく、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルを使用することが好ましい。
【0022】
タッチセンサ層3の誘電体部としては、第1電極部と第2電極部の間にあって、光透過性、絶縁性を有する部材であれば適宜選択可能である。
図6に示すように、基材の一方の側の面上に第1電極部と、基材の他方の側の面上に第2電極部が設けられているタッチセンサ層の実施態様の場合は、基材自体が誘電体部であるものが選択される。また、他のタッチセンサ層の実施態様として、第1電極部と第2電極部とが同一面上に配設された場合には、誘電体部は、前記第1導電体と前記第2導電体との間にあって、前記第1導電体と前記第2導電体が平面視上交差した部分に薄膜状に設けられる。
【0023】
タッチセンサ層3の誘電体部の材料としては、絶縁性を有する樹脂やSiO2やSiON等の金属酸化物などが用いられる。樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくは、シンジオタクティックポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロへキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等を挙げることができる。
上記の材料をフィルム形状にして基材として用いることや、また、溶剤に溶解して塗布して塗布膜として用いることが可能である。また上記の樹脂をベースとした感光性樹脂として用いることもできる。
【0024】
タッチセンサ層3の形成方法としては、第1導電体と第2導電体のストライプ状のパターンの形成には、印刷法やフォトリソグラフィー法などが用いられる。
印刷法では、導電体の構成材料をインクとして調整して、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット法などによって形成することができる。また、フォトリソグラフィー法では、導電性材料を基板の全面に形成しておき、その上に感光性レジストを積層し、フォトマスを介して露光した後に現像、エッチングによりストライプ状パターンを形成する。導電性感光性材料を使用した場合には、基板の全面に形成しておき、フォトマスを介して露光した後に現像して形成することができる。
形成順序については、第1導電体と第2導電体の一方を先に形成した後に他方を形成してもよく、第1導電体と第2導電体の両方を同時に形成してもよい。
【0025】
(半透明意匠層)
半透明意匠層4としては、壁や床などの内装材、機器や家具の表面被覆材として意匠性を高めるために用いられるものである。タッチスイッチ素子の発光層が発光時には、光拡散パターン部の光拡散部を透過してパターンを操作側から視認することができる程度に光透過性、透明性を有し、発光層が消光時には光拡散パターン部、タッチセンサ層、発光層が操作側から視認されないよう隠蔽性を有して、すなわち半透明性を有するものであればよい。
【0026】
半透明意匠層4の構成材料としては、基材上に少なくとも意匠性を有する層が積層されたものであって、必要によって表面保護層、接着プライマー層などを設けてもよいが、全体として半透明性である。
【0027】
半透明意匠層4の基材としては、透明又は半透明であれば、他には特に限定されず、壁や床などの内装材、機器や家具の表面被覆材の意匠材分野で通常用いられるものが使用できる。
【0028】
半透明意匠層4の意匠性を有する層としては、機器や家具の表面被覆材、壁や床などの内装材に適したものであればどのようなものも使えるが、絵柄模様を有する層を用いる場合には、絵柄模様としは、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼り模様、煉瓦模様、布目模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
【0029】
(発光層)
発光層1としては、発光時には光拡散パターン部の光拡散部を透過して、操作側からそのパターンを視認できるような照度と均一性を有するものであればよい。
発光層は、タッチスイッチ素子を構成して、光拡散パターン部に対して直下に直接的に設けられても、導光板の使用などにより間接的に設けられてもよい。
発光層1の光源としては、白熱灯、蛍光灯や、発光ダイオード素子、エレクトロルミネッセンス素子、レーザーによる光や、太陽光などを用いることができる。それらの中でも、発光ダイオード素子、エレクトロルミネッセンス素子やレーザーによる光源は、コンパクトな設計を可能とし、設置の際に内装材、機器や家具の外観意匠への影響を少なくできる点で好ましい。
【0030】
(光拡散パターン部)
光拡散パターン部2は、光拡散部及び遮光部を有するものである。
光拡散パターン部2のパターンは、被操作機器の配置図面や操作指示内容(強度、速度、程度)などが絵、文字、図面の形で表示されたものである。
発光層の発光時には、光拡散パターン部のパターンが半透明意匠層に投影されて操作側から視認することができるものであり、且つ発光層が消光時には操作側から視認されないように形成されてなるものであ。
したがって、光拡散パターン部2は、タッチスイッチ素子において半透明意匠層と発光層の間にあって、タッチセンサ層と共に積層されていればよく、例えば、半透明意匠層、タッチセンサ層、光拡散パターン部及び発光層が順に積層されている場合や、半透明意匠層、光拡散パターン部、タッチセンサ層及び発光層が順に積層されている場合が使用できる。
また、光拡散パターン部2を構成する光拡散部と遮光部は同一平面上になくてもよく、光拡散部と遮光部のいずれか一方が半透明意匠層とタッチセンサ層との間に設けられ、光拡散部と遮光部のいずれかの他方がタッチセンサ層と発光層の間に設けられたものであってもよい。
また、光拡散パターン部2は、光拡散部を含む光拡散層と遮光部を含む遮光パターン層とが積層されたものであってもよい。
【0031】
光拡散部としては、光拡散率が高く、全光線透過率が大きい光学特性を有するものであって、発光層の発光時には、操作側からみて遮光部6との明暗コントラストを明確にしてパターンを視認できるように形成されていればよい。また、発光層の消光時には、光拡散パターン部2の操作側から光が反射されて発光層1側の部材が視認されないよう形成されていればよい。
光拡散部を構成する材料としては、基材表面に不規則な凹凸を有するもの、基材中に光拡散性微粒子を有するもの、基材中に微細な多孔構造を有するものなどが使用できる。
【0032】
遮光部としては、発光層の発光時には、その光を遮断することにより光拡散部との明暗コントラストを明確にしてパターンを視認できるように形成されていればよい。
遮光部を構成する材料としては、金属薄膜や、樹脂中に金属化合物、顔料、カーボンなどの遮光性粒子を有するものが使用できる。
【0033】
光拡散パターン部2の形成方法としては、光拡散部の構成材料によりインキを作成し、基材上に該インキを印刷法によりパターン状に印刷し、遮光部の構成材料によりインキを作成し、先に形成された光拡散部以外の部分に該インキを印刷法によりパターン状に印刷して形成する方法を用いることができる。
【0034】
また、光拡散パターン部2を構成する光拡散部と遮光部は同一平面上にない場合の光拡散パターン部2の形成方法としては、光拡散部と遮光部のいずれか一方を半透明意匠層4またはタッチセンサ層3上に形成し、光拡散部と遮光部のいずれかの他方をタッチセンサ層の発光層側または発光層上に形成する方法を用いることができる。
【0035】
また、光拡散パターン部2の形成方法として、光拡散パターン部が光拡散部を含む光拡散層と遮光部を含む遮光パターン層とが積層されてなる場合には、基材上に光拡散部を全面に設け、その上に遮光部をパターン状に設けて遮光パターン層を形成する方法が用いることができる。
【0036】
図7は、光拡散パターン部2のパターン40の一実施形態である。
図7に示すように、タッチスイッチ素子10を建物内装にセットした場合において、光拡散パターン部のパターン40は、建物内部の平面図とその平面図中に建物内部の複数の被操作部(例えば、窓Xを含む窓や戸、照明Aを含む照明装置など)とが表示された配置図と、被操作機器の作動内容(窓や戸の開閉方向の上下、照明装置の明るさの大小)が表示された逆三角形のデザインが示されたものを適用することができる。
また、光拡散部のパターン40の他の実施形態としては、車両内部の全体図とその車両内の複数の被操作部を示した配置図と、被操作機器の作動内容(窓の開閉、シート位置調整、情報端末機器調整など)の表現されたデザインや文字によって示されたものを適用することができる。
【0037】
次に、本発明のタッチスイッチ装置について、その構成要素と機能、及び使用例を挙げて説明する。
図8は、本発明のタッチスイッチ装置100であって、本発明のタッチスイッチ素子10に制御部50を加えてなる実施形態を説明するための構成図である。
図8に示すように、タッチスイッチ装置100は、タッチスイッチ素子10と、タッチスイッチ素子10のタッチセンサ層3と発光層1に接続された制御部50と、を有している。
【0038】
タッチスイッチ装置100の制御部50は、タッチスイッチ素子10のタッチセンサ層3に指などの接触により入力された情報を処理してその接触位置を特定する検出制御機能を有している。この指などによる入力については、同時に多点を接触して入力する所謂マルチタッチに対応する検出機能を有し、タップやドラッグ、ズーム、回転などのジェスチャーによる入力に対応する機能を有する。
また、タッチスイッチ装置100の制御部50は、使用しない場合には消光状態の発光層1に入力された情報を処理して発光層1に発光する指示を出力する機能を有する。
また、タッチスイッチ装置100の制御部50は、発光層1を発光状態として、光拡散パターン部によるパターン40を操作者が視認して必要な箇所を接触して入力された情報を処理して、入力情報に対応した被操作機器60の制御に関する情報を出力する機能を有する。
【0039】
図8に示すタッチスイッチ装置100を操作する使用例について説明する。
このタッチスイッチ装置100には、
図7に示すパターン40を有する光拡散パターン部2を配設したタッチスイッチ素子10が組込まれている。
タッチスイッチ装置100を使用しない場合には、タッチスイッチ素子10の操作側の半透明意匠層4の絵柄模様のみが視認され、配設されたタッチセンサ層などが視認されない状態にあるので、タッチスイッチ素子10の設置箇所を含む外観の意匠を損なうことがない状態にある。
次に、タッチスイッチ装置100の半透明意匠層4の表面を指の接触、タッチにより、タッチされた情報が入力され制御部50によって発光層1が発光する。この場合、タッチスイッチ素子が隠されている状態で最初のタッチをする位置を判りやすくするために、タッチセンサ層3が埋設された半透明意匠層4の表面に目印となるマークを形成しておいてもよい。
ここで、タッチスイッチ素子10の発光層1の発光によって、半透明意匠層4上に光拡散パターン部2を介して形成されたパターン40(
図7)を操作側から視認することができる
次に、操作者は、
図7に示されるパターン40(部屋間取り図面と逆三角形のパターン)を見て、その部屋の照明Aの部分にタッチし、同時に操作者は操作内容が象徴的に表示されたデザインである逆三角形の頂点から底辺に向かって、すなわち矢印(→)の方向に指をスライドさせるジェスチャーによって入力する(ここで、前記の矢印(→)は、説明のために示されたものであってパターン40には含まれていない)。
この入力情報は、制御部50に送られてタッチセンサ層上の位置情報とジェスチャー情報として検出されて、パターン40の部屋間取り図面の位置情報、及びジェスチャーと被操作機器の作動内容の関係と照合されて、確定された情報は被操作機器60への出力情報として送られる。このタッチスイッチ装置100からの出力情報に従って、被操作機器である照明Aは、点灯して徐々に照度が上げられる。
また他の操作例として、操作者が、前記と同じ
図7のパターン40の部屋間取り図面を見て、その部屋の窓Xをタッチし、同時に三角形の底辺から頂点に向かってすなわち矢印(→)の方向に指をスライドさせるジェスチャーによって入力すると、前記と同様に制御部50の処理によって、窓Xが上方向に引き上げられて開けられる。
【0040】
したがって、本発明のタッチスイッチ装置によれば、使用しない場合には、タッチスイッチ素子の操作側の半透明意匠層が不透明反射体となり、配設されたタッチセンサ層などが見えない状態にあって設置箇所周辺の外観意匠を損なうことがなく、使用する場合には、操作者は操作内容などが表示されたパターンを視認してそのパターンの中の必要な箇所に指を接触して被操作機器を操作することを可能にし、またジェスチャーにより人間の感覚に沿ったスイッチ操作を可能にする効果がある。