特許第6020046号(P6020046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020046
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】車両用走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20120101AFI20161020BHJP
   B60W 30/188 20120101ALI20161020BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20161020BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20161020BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20161020BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B60W50/14
   B60W30/188
   F02D29/02 K
   F02D11/10 K
   G05G5/03 Z
   G05G25/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-240569(P2012-240569)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-88147(P2014-88147A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】千野 直孝
(72)【発明者】
【氏名】久保田 正博
(72)【発明者】
【氏名】下光 喜代崇
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260503(JP,A)
【文献】 特開2001−260713(JP,A)
【文献】 特開2006−151323(JP,A)
【文献】 特開2000−233730(JP,A)
【文献】 特開2007−296915(JP,A)
【文献】 特開2004−110346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
F02D 9/00 − 11/10
F02D 29/00 − 29/06
B60K 26/00 − 26/04
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用走行制御装置であって、
ペダルストロークが小さい側に減速領域を設定し、ペダルストロークに応じて車両の加速度又は減速度を設定する加減速ペダルと、
前記加減速ペダルによって設定可能な減速度の最大値よりも大きな減速度を設定することのできるブレーキペダルと、
前記加減速ペダルによって設定可能な減速度の最大値よりも必要な減速度が大きく前記加減速ペダルから前記ブレーキペダルへのペダル踏み替えが必要であるかを判断する踏み替え要否判断手段と、
前記踏み替え要否判断手段によってペダル踏み替えが必要と判断された場合に、運転者にペダル踏み替えが必要なことを前記加減速ペダルの特性を変更することによって知らせる踏み替え示唆手段と、
を備えたことを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用走行制御装置であって、
前記踏み替え要否手段は、前記車両の旋回の度合いが急であるほど大きくなる旋回状態パラメータがしきい値を超えた場合に前記加減速ペダルから前記ブレーキペダルへの踏み替えが必要と判断する、
ことを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用走行制御装置であって、
前記踏み替え示唆手段は、前記加減速ペダルのペダルストロークが前記減速領域内の所定ストロークよりも小さい場合に設定される減速度を一定値にする不感帯領域設定手段を含む、
ことを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
前記踏み替え示唆手段は、前記加減速ペダルのペダルストロークが前記減速領域内の所定ストロークよりも小さい場合に前記加減速ペダルのペダル反力を増大させるペダル反力増大手段を含む、
ことを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用走行制御装置であって、
前記踏み替え示唆手段は、前記車両の旋回の度合いが急であるほど大きくなる旋回状態パラメータが大きいほど大きな値まで前記加減速ペダルのペダル反力を増大させる、
ことを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の車両用走行制御装置であって、
前記踏み替え示唆手段は、前記車両の旋回の度合いが急であるほど大きくなる旋回状態パラメータが大きいほど前記所定ストロークを小さな値に設定する、
ことを特徴とする車両用走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の加減速を制御する車両用走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アクセルペダルのペダルストロークが小さい側に減速領域を設け、ペダルストロークが減速領域にあるときは車両が減速するように構成し、アクセルペダルの操作のみで車両の加減速を実現するようにした加減速度制御システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−205015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術のように、アクセルペダルのみで車両の加減速を実現できる場合であっても、運転性等を考慮し、アクセルペダルのみで発生できる減速度を最大限速度よりも小さな所定減速度に抑えておき、これを超える減速度は別途設けられているブレーキペダルを踏むことで発生させるように構成される場合がある。
【0005】
このような構成では、アクセルペダルを操作しているときに所定減速度を超える減速度が必要な状況では、運転者はアクセルペダルからブレーキペダルへのペダル踏み替えを行う必要があるので、車両側から運転者に対して何らかのインフォメーションが出され、ペダル踏み替えの必要性を運転者が認識できるようにするのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、上記ペダル踏み替えが必要な場合に、ペダル踏み替えの必要性を運転者が認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、ペダルストロークが小さい側に減速領域を設定し、ペダルストロークに応じて車両の加速度又は減速度を設定する加減速ペダルと、前記加減速ペダルによって設定可能な減速度の最大値よりも大きな減速度を設定することのできるブレーキペダルと、を備えた車両用走行制御装置が提供される。
【0008】
車両用走行制御装置は、前記加減速ペダルによって設定可能な減速度の最大値よりも必要な減速度が大きく前記加減速ペダルから前記ブレーキペダルへのペダル踏み替えが必要であるかを判断し、ペダル踏み替えが必要と判断された場合に、運転者にペダル踏み替えが必要なことを前記加減速ペダルの特性を変更する。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、ペダル踏み替えが必要な状況では加減速ペダルの特性が変更されるので、運転者は加減速ペダルの特性変化からペダル踏み替えの必要性を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る車両用走行制御装置の概略構成図である。
図2】ペダルストロークに対する加減速度指令及びペダル反力の関係を規定したテーブル(S−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブル)である。
図3】コントローラの制御内容を示したフローチャートである。
図4】不感帯領域開始戻し量を設定するためのテーブルである。
図5】不感帯領域用ペダル反力を設定するためのテーブルである。
図6】修正S−Gテーブル及び修正S−Fテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、足首よりも下の部位を「足」と定義する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用走行制御装置1の概略構成を示している。車両用走行制御装置1は、加減速ペダル2、バネ部材3、アクチュエータ4、ストロークセンサ5、車速センサ6、横加速度センサ7、コントローラ9、及び、ブレーキペダル10を備える。
【0013】
加減速ペダル2は、車両の加減速度を制御するための足踏み式の操作部である。運転者が加減速ペダル2に足を置き、踏力を調整すれば、ペダルストローク(加減速ペダル2の操作量、具体的には、足が載置されている部分の変位量)が変化し、ペダルストロークに応じて車両が加速又は減速する。
【0014】
バネ部材3は、ペダル2と床面8との間に設けられる。バネ部材3は、加減速ペダル2が踏み込まれた場合にペダルストロークに応じたペダル反力(加減速ペダル2から足に作用する力)を発生させる。
【0015】
アクチュエータ4は、バネ部材3と並列に加減速ペダル2と床面8との間に設けられる。アクチュエータ4は、ペダル反力を増大させる方向及びペダル反力を減少させる方向のいずれの方向にも力を発生することができ、ペダル反力の調整機構として機能する。
【0016】
ストロークセンサ5は、加減速ペダル2のペダルストロークを検出するセンサである。
【0017】
車速センサ6は、車速を検出するセンサであり、例えば、車輪速センサである。
【0018】
横加速度センサ7は、車両の横加速度を検出するセンサである。横加速度は、車両の旋回の度合いが急であるほど大きくなる旋回状態パラメータの一つである。
【0019】
コントローラ9は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等で構成される。コントローラ9は、後述のペダル踏み替えが必要な状況でなければ、ストロークセンサ5の検出値に基づき、図2上段に示すペダルストロークと車両加減速度との関係を規定したS−Gベーステーブルを参照して加減速度指令を設定する。
【0020】
S−Gベーステーブルによれば、ペダルストロークが0からS0までの減速領域にある場合は、加減速度指令が減速度となり、ペダルストロークが小さくなるほど車両の減速度が大きくなる。ペダルストロークを0にすると、加減速度指令は加減速ペダル2で設定可能な減速度の最大値であるGd0に設定される。なお、Gd0は車両が発生することのできる最大減速度Gdmaxよりも小さな値に設定される。これに対し、ペダルストロークがS0から最大ストロークSmaxまでの加速領域にある場合は、加減速度指令が加速度となり、ペダルストロークが大きくなるほど車両の加速度が大きくなる。
【0021】
そして、加減速度指令が加速度である場合は、コントローラ9は、当該加速度が実現されるよう駆動部11の駆動力を制御する。駆動部11は、エンジン車であればエンジン及びその制御部、HEVであればエンジン、モータ及びこれらの制御部、EVであればモータ及びその制御部である。これに対し、加減速度指令が減速度である場合は、コントローラ9は、当該減速度が実現されるよう制動部12の制動力を制御する。制動部12は、エンジン車であればブレーキ及びその制御部、モータの回生トルクで制動が可能なHEV及びEVである場合はブレーキ、モータ及びこれらの制御部である。
【0022】
また、コントローラ9は、後述のペダル踏み替えが必要な状況でなければ、ストロークセンサ5の検出値に基づき、図2下段に示すペダルストロークとペダル反力との関係を規定したS−Fベーステーブルを参照して、ペダル反力を設定する。S−Fベーステーブルによれば、ペダルストロークが小さくなるほど小さなペダル反力が設定され、コントローラ9は、設定されたペダル反力が実現されるようにアクチュエータ4を制御する。
【0023】
ブレーキペダル10は、車両の減速度のみを制御するための足踏み式の操作部である。運転者が加減速ペダル2からブレーキペダル10に踏み替え、ブレーキペダル10を踏み込むことによって、加減速ペダル2で設定可能な減速度の最大値であるGd0よりも大きな減速度を加減速度指令として設定することができる。ブレーキペダル10が踏み込まれた場合、コントローラ9は、ブレーキペダル10によって設定された加減速度指令(減速度)が実現されるように制動部12の制動力を制御する。
【0024】
上記の通り、加減速ペダル2のみでは、G0よりも大きな減速度を加減速度指令として設定することができない。このため、G0をよりも大きな減速度が必要で加減速ペダル2の操作のみでは減速度が不足する状況(例えば、コーナリング中)では、運転者に対して何らかのインフォメーションを出し、加減速ペダル2からブレーキペダル10への踏み替えを促すのが好ましい。
【0025】
そこで、コントローラ9は、かかる状況では、S−Gベーステーブル、S−Fベーステーブルを修正して加減速ペダル2の特性を変更し、この特性変化を通じて運転者にペダル踏み替えの必要性を認識させ、ペダル踏み替えを促すようにする。
【0026】
図3は、コントローラ9の制御内容を示したフローチャートである。以下、これを参照しながらコントローラ9の制御内容について説明する。
【0027】
まず、S11では、コントローラ9は、図2に示したS−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルを読み込む。
【0028】
次に、S12では、コントローラ9は、ペダル踏み替えが必要であるか判断する。具体的には、コントローラ9は、横加速度センサ7で検出される車両の横加速度がコーナリング判定しきい値を超えているか判断し、車両の横加速度がコーナリング判定しきい値を超えている場合に、車両がコーナリング中で必要な減速度がG0よりも大きく、ペダル踏み替えが必要であると判断する。
【0029】
ペダルの踏み替えが必要であると判断された場合は、処理がS13以降に進み、コントローラ9は、S−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルを修正する。
【0030】
具体的には、コントローラ9は、図4に示すテーブルを参照して、不感帯領域開始戻し量ΔSを設定する(S13)。不感帯領域開始戻し量ΔSは、横加速度が大きいほど小さな値に設定される。これは横加速度が大きいほど早いタイミングで加減速ペダル2の特性を変更するためであり、詳しくは後述する。また、不感帯領域開始戻し量ΔSには下限値ΔSminが設定されており、下限値ΔSminよりも小さな値には設定されない。
【0031】
そして、コントローラ9は、S−Gベーステーブルを、図6上段に示すように、ペダルストロークが0からS0−ΔSの領域において加減速度指令が一定値(補正前のS0−ΔSに対応する値)となるように修正し、当該領域をペダルストロークが変化しても加減速度指令が変化しない不感帯領域として設定する(S14)。
【0032】
不感帯領域開始戻し量ΔSには上記の通り下限値ΔSminが設定されているので、修正S−Gテーブルにおいても、必ずペダルストロークが小さくなるにつれ減速度が大きくなる領域(ペダルストロークがS0−ΔSからS0の領域)が残される。
【0033】
さらに、コントローラ9は、図5に示すテーブルを参照して、不感帯領域用ペダル反力Fdを設定する(S15)。不感帯領域用ペダル反力Fdには、車両の横加速度が大きいほど大きな値が設定される。
【0034】
そして、コントローラ9は、S−Fベーステーブルを、図6下段に示すように、S0からのペダル戻し量が不感帯領域開始戻し量ΔSを超えて不感帯領域に入ると、ペダル反力が不感帯領域用ペダル反力Fdまでステップ的に増大するように修正する(S16)。
【0035】
S−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルの修正が終了したら、処理がS17に進む。また、S12でペダル踏み替えが必要と判断されなかった場合も処理がS17に進む。
【0036】
S17では、コントローラ9は、ペダルストロークを読み込む。
【0037】
S18では、コントローラ9は、テーブル参照によって加減速度指令及びペダル反力を設定する。参照するテーブルは、S−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルの修正がなされている場合は、修正S−Gテーブル及び修正S−Fテーブルであり、そうでない場合はS−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルである。
【0038】
S19では、コントローラ9は、S18で設定された加減速度指令が加速度か減速度かを判断する。加減速度指令が加速度である場合は処理がS20に進み、コントローラ9は、加減速度指令の加速度が実現されるように、駆動部11を制御する。
【0039】
これに対し、S18で設定された加減速度指令が減速度である場合は処理がS21に進み、コントローラ9は、加減速度指令の減速度が実現されるように、制動部12を制御する。
【0040】
S22では、コントローラ9は、S18で設定されたペダル反力が実現されるように、アクチュエータ4を制御する。
【0041】
続いて上記制御を行うことによる作用効果について説明する。
【0042】
車両の横加速度がコーナリング判定しきい値を超えておらず、加減速ペダル2のみで必要な減速度を実現することができる状況では、図2に示すS−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルを参照してペダルストロークに対応する加減速度指令及びペダル反力が設定され、車両の加減速度及び加減速ペダル2のペダル反力が制御される。
【0043】
しかしながら、車両の横加速度がコーナリング判定しきい値を超え、加減速ペダル2のみで必要な減速度を実現することができない状況では、図2に示すS−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルが図6に示すように修正される。そして、修正S−Gテーブル及び修正S−Fテーブルを参照してペダルストロークに対応する加減速度指令、ペダル反力が設定され、車両の加減速度及び加減速ペダル2のペダル反力が制御される。
【0044】
修正S−Gテーブルによれば、加減速ペダル2のS0からのペダル戻し量が不感帯領域開始戻し量ΔSを超えると、加減速度指令が一定値を取り、加減速ペダル2を戻しても車両の減速度が変化しなくなる。これにより、運転者は、加減速ペダル2の操作では車両の減速度を増大させることはできず、さらなる減速度を発生させるにはペダル踏み替えが必要であることを認識することができる。
【0045】
また、修正S−Fテーブルによれば、加減速ペダル2のS0からのペダル戻し量が不感帯領域開始戻し量ΔSを超えると、ペダル反力がステップ的に不感態領域用ペダル反力Fdまで増大される。ペダル反力が増大されると、運転者は足が押し戻されるような力を加減速ペダル2から受けるので、これによっても運転者はペダル踏み替えが必要であることを認識することができる。
【0046】
さらに、カーブの曲率半径が小さいほど、また、コーナリング時の車速が高いほど、車両の横加速度が大きくなり、下肢の保持が不安定になるとともに、運転者の緊張度合いが高まることから、加減速ペダル2の上記特性変化(不感帯領域による減速度不変、ペダル反力の増大)に運転者が気づきにくくなる。
【0047】
このため、上記制御では、車両の横加速度が大きいほど不感帯領域開始戻し量ΔSを小さくし(図4)、ペダル戻し量がより小さいところから、すなわち、より早いタイミングで加減速度指令を一定にするようにするとともに、加減速ペダル2で発生可能な減速度を小さくしている。また、車両の横加速度が大きいほど不感態領域用ペダル反力Fdを大きくしている(図5)。これにより、運転者が加減速ペダル2の特性変化に気づきにくい状況であっても、運転者が加減速ペダル2の特性変化に気づきやすくなり、ペダル踏み替えの必要性を認識させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的に限定する趣旨ではない。
【0049】
例えば、上記実施形態では、車両の旋回状態パラメータとして横加速度を検出し、制御に用いているが、横加速度に代えて、ヨーレート、舵角、ナビゲーション情報(カーブの曲率等)、シート座面等に設けた荷重センサの検出値等に基づき行うようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ペダル踏み替えが必要であると判断された場合に、S−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルの両方を修正しているが、いずれか一方のみを修正するようにしてもよい。また、加減速ペダル2の特性変更の態様はS−Gベーステーブル及びS−Fベーステーブルの修正に限らず、その他、運転者が認識できる態様であればよい。
【0051】
また、コーナリング時以外であっても、ペダル踏み替えが必要と判断される状況において、上記S−Gベーステーブル及び/またはS−Fベーステーブルの修正を行い、加減速ペダル2の特性を変化させることで、ペダル踏み替えの必要性を運転者に認識させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用走行制御装置
2 加減速ペダル
9 コントローラ(踏み替え要否判断手段、踏み替え示唆手段)
10 ブレーキペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6