(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車室の天井(11)に設けられ、外側の空気を内部に吸入するための吸込口(13)、および内部から外側へ空気を吹き出すための吹出口(14)を有するユニットケース(12)と、
前記ユニットケース内に設けられ、前記吸込口から前記空気を吸入して、前記吸入した前記空気を前記吹出口を介して前記ユニットケースの外側へ送風する遠心式の送風機(16)と、
前記ユニットケースの前記天井側に位置する上面から間隔をあけて少なくとも1つ設けられる板状の遮蔽部材(74)と、を含み、
前記送風機は、
回転軸方向より吸引した空気を径外方向に吐出する遠心式ファン(71)と、
前記遠心式ファンを回転駆動するモータ(72)と、
前記モータの駆動を制御する回路素子(76)および前記回路素子が実装される回路基板(75)を有する制御回路(73)と、を備え、
前記遮蔽部材は、前記ユニットケースの前記上面と前記回路基板との間に、前記回路基板から間隔をあけて設けられることを特徴とする車両用空調装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、
図1〜
図4を用いて説明する。本実施形態の空調装置10は、たとえば自動車の車室の天井11に設置され、車室内の後部座席側を冷房する。空調装置10は、たとえば運転席および助手席が並ぶ1列目の座席とその後列にあたる2列目の座席の間の天井11に配置される。このような空調装置10は、一般にリアクーラと称されている。
【0014】
空調装置10は、空調装置10の外郭を構成するユニットケース12を有している。ユニットケース12は、予め定める長手方向に延びる扁平な直方体形状であって、
図1の左右方向(長手方向)が車両の左右方向Xに対応し、
図1の上下方向が車両の前後方向Yに対応し、
図2の上下方向が車両の上下方向Zに対応する。したがってユニットケース12の長手方向は、車両の左右方向Xと平行である。またユニットケース12は、車両の上下方向Zに対応する厚みが幅および長さよりも小さい。したがって車両天井11に沿うように配置されるので、車室空間を圧迫することを防いでいる。ユニットケース12は、たとえば樹脂からなる。
【0015】
車両前方側のユニットケース12の側部には、車室内に開口する吸込口13が形成されている。吸込口13は、ユニットケース12の外側の空間のある車室内の空気を吸入するための開口である。また車両後方側のユニットケース12の側部には、車室内に開口する吹出口14が形成されている。吹出口14は、ユニットケース12内から車室内に空気を吹き出すための開口である。
【0016】
次にユニットケース12の内部の構成に関して説明する。ユニットケース12の内部には、蒸発器15と送風機16と配置されている。ユニットケース12内部の車両左右方向Xの一方側(本実施形態では
図1の左方側)の端部には、蒸発器15(熱交換器)が設けられている。
【0017】
蒸発器15は、通過する空気と内部を流れる冷媒とを熱交換して、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器15は、図示は省略するが、複数の冷媒流路を有し、この冷媒流路は冷凍サイクル(図示せず)と接続されている。そして蒸発器15の入口側の冷媒回路には、例えば、温度作動式の膨張弁(図示せず)が設けられている。この膨張弁によって、冷凍サイクルの冷媒配管からの高圧液冷媒を減圧して蒸発器15へ送り、そして蒸発器15は、冷媒流路を流れる減圧された冷媒の蒸発潜熱を空気から吸熱して空気を冷却、除湿するようになっている。
【0018】
蒸発器15は、
図3に示すように、扁平状である。蒸発器15の厚み方向は、車両の左右方向Xに対して交差するように設けられている。蒸発器15は、好ましくは水平方向に沿った状態(0度、左右方向Xと厚み方向とが直交)以上30度以下(左右方向Xと厚み方向とが交差)となるように設けられている。本実施形態では蒸発器15は、車両前後方向Yに対して傾斜して設置され、ユニットケース12の上側のケースの内壁と下側のケースの内壁とで固定されている。
【0019】
蒸発器15を通過する空気の通路は、蒸発器通路部32によって構成される。蒸発器通路部32は、車両が水平状態であると上下方向Z(鉛直方向)に延びる。これによって吸込側通路部31を通過した空気が車両下方に向かって流れて、蒸発器15を通過し、送風機側通路部33に至る。
【0020】
蒸発器15の表面には、空気を冷却する際にドレン水が発生する。このドレン水は、蒸発器15のうちユニットケース12の下側に対向する面からユニットケース12内に落下する。そこで蒸発器15が配置される側(
図1の左方側)には、ドレン水をユニットケース12内にて蒸発器15が配置される側に留めるせき止め構造が設けられている。
【0021】
具体的には、ユニットケース12の下側の内壁には、蒸発器15にて発生したドレン水(凝縮水)をせき止める堰部18が設けられている。堰部18は、ユニットケース12内意にて車両前後方向Yに延びる板状を成している(
図2参照)。また堰部18は蒸発器15と送風機16との間に配置されている。堰部18の高さは、ドレン水の発生量及び車両の最大登坂角度等を考慮して、せき止められたドレン水が堰部18を乗り越えないような高さとしている。
【0022】
ユニットケース12において、堰部18のそれぞれの近傍には、堰部18でせき止められたドレン水をユニットケース12外へ排出する排出部として排水口19が設けられている。排水口19には、それぞれ、ドレン水を車両下方へ案内するドレインホース(図示せず)が接続されている。ドレンホースは、車両下方に導かれ車外へドレン水が排出されるようになっている。
【0023】
ユニットケース12内部の車両左右方向Xの他方側(本実施形態では
図1の右方側)の端部には、遠心式の送風機16が設けられる。したがって送風機16は、蒸発器15とは左右方向Xの反対側に位置する。送風機16は、蒸発器15の下流側に設けられ、吸込口13から空気を吸入して、吸入した空気を送風する電動式の送風手段である。換言すると、蒸発器15は、送風機16の上流側に設けられる。
【0024】
次に、ユニットケース12の構成に関してさらに説明する。吸込口13から送風機16に至る空気通路は、互いに異なる通路中心軸を中心にした複数の通路部を含んで構成される。通路部の通路中心軸とは、通路部の断面中心(重心)を結んだ軸である。また通路部とは、ユニットケース12の内で、送風機16の駆動によって空気が流れる通路を形成している部分である。
【0025】
吸込口13は、
図1および
図2に示すように、左右方向Xに延び、ユニットケース12の前方側側部の上半分を占めており、長方形状に形成される。またユニットケース12内には、吸込口13が形成される上層と、吸込口13が形成されていない下層とを隔てる仕切り板20が設けられる。したがって仕切り板20は、車両の上下方向Zに交差するように延びる。仕切り板20は、ユニットケース12内の全域ではなく、部分的に設けられ、少なくとも蒸発器15および送風機16が位置する部分には設けられていない。
【0026】
複数の通路部には、吸込側通路部31、蒸発器通路部32および送風機側通路部33とが含まれる。吸込側通路部31は、吸込口13から蒸発器15に至る前までの通路部である。吸込側通路部31は、
図1に示すように、吸込口13から左斜め上方に向かう通路部である。したがって吸込側通路部31の通路中心軸は、
図1に示すように左斜め上方に延びる。
【0027】
蒸発器通路部32は、吸込側通路部31を通過した空気が車両下方に向かって流れて、蒸発器15を通過し、送風機側通路部33に至るまでの通路部である。したがって蒸発器通路部32は、通路中心軸が上下方向Zに延びる(
図2および
図3参照)。これによって、上層に位置する吸込側通路部31を通過した空気が、下層に位置する送風機側通路部33に送られる。
【0028】
送風機側通路部33は、蒸発器通路部32を通過した空気が
図2の右方に向かって流れて、送風機16に至るまでの通路部である。送風機側通路部33は、吸込側通路部31とは前述の仕切り板20によって区画されている。また送風機側通路部33は、通路中心軸が左右方向Xに延びる(
図2および
図3参照)。このように吸込口13から一直線で送風機16に至る空気通路はなく、吸込口13から吸い込まれた空気は、吸込側通路部31、蒸発器通路部32および送風機側通路部33を経て、送風機16に吸い込まれる。具体的には、吸込口13から吸い込まれた空気は、ユニットケース12内でいわゆるUターンした後、送風機16に吸い込まれる。換言すると、吸込口13から吸い込まれた空気は、少なくとも1回は向きが変更されて、変更後に送風機16に吸い込まれる。したがって空気流れが異なる複数の通路部がユニットケース12内には設けられている。
【0029】
送風機16に吸い込まれた空気は、吹出口14から車室内に向けて吹き出される。吹出口14はユニットケース12の一つの外壁に設けられる。具体的には、吹出口14は、
図1および
図2に示すように、後方側側部の外壁に左右方向Xに間隔をあけて複数、本実施形態では4つ設けられる。また吹出口14の上下方向Zの位置は、互いに等しい。したがって空調装置10が車両に搭載された状態で、車両が水平にある状態では、吹出口14が水平方向に並んでいる。
【0030】
各吹出口14と送風機16との距離は、最も左右方向Xの左方側(
図1の右方側)に位置する吹出口14aが送風機16と最も近く、最も左右方向Xの右方側(
図1の左方側)に位置する吹出口14bが、送風機16と最も遠い。各吹出口14は、送風機16から等距離になく、送風機16の吹出口16aの距離は各吹出口14毎に異なる。各吹出口14との距離は、本実施形態では各吹出口14の中心と送風機16のファンの中心軸との距離である。各吹出口14との距離は、たとえば各吹出口14の中心と送風機16の吹出口16aとの距離であってもよい。
【0031】
また各吹出口14と蒸発器15との距離は、最も左右方向Xの右方側(
図1の左方側)に位置する吹出口14bと最も近く、最も左右方向Xの左方側(
図1の右方側)に位置する吹出口14aが最も遠い位置に配置されている。各吹出口14との距離とは、各吹出口14の中心と蒸発器15の重心との距離である。
【0032】
それぞれの吹出口14は、長方形状に形成される。
図1の右方の2つの吹出口14は、助手席側の後部座席に向けて空調風を送るための開口であり、左方の2つの吹出口14は、運転席側の後部座席に向けて空調風を送るための開口である。また吹出口14は、
図1に示すように、下方に向けて開口している。
図1に示すように、送風機16からの吹出口14に向かう通路部は、運転席側と助手席側との2つ有する。送風機16から送風された空気は、送風機16の直後ではユニットケース12の上層を流れ、
図2に示すように、途中から下層に向かって流れる。そして前述の吹出口14から車室内に向けて送風される。このように吹出口14が左右方向Xに間隔をあけて設けられるので、運転席側および助手席側の後部座席に向けて空調風を送風することができる。
【0033】
次に、送風機16の構成に関して
図4を用いてさらに説明する。送風機16は、遠心多翼ファン71(例えばシロッコファン)と、これを回転駆動するモータ72と、制御回路73と、スクロールケーシング17と、遮蔽部材74を含んで構成される。
【0034】
遠心多翼ファン71は、回転軸方向より吸引した空気を径外方向に吐出する遠心式ファンである。モータ72は、たとえばブラシレスモータが用いられ、遠心多翼ファン71を回転駆動する駆動手段である。制御回路73(制御回路)は、回路基板75および回路基板75に実装される回路素子76を含み、モータ72の駆動を制御する。スクロールケーシング17は、遠心多翼ファン71を収納するとともに、遠心多翼ファン71から吹き出す空気の通路を構成する渦巻き状の部材である。遠心多翼ファン71の軸71aは、上下方向Zに延びるように配置される。送風機16の吹出口16aは、
図1に示すように遠心多翼ファン71の遠心方向に延びるように設けられた通風路に接続されている。
【0035】
遮蔽部材74は、たとえば金属からなり、好ましくは放熱性に優れる材料、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。遮蔽部材74は、板状であって、厚み方向が上下方向Zに延びる。遮蔽部材74は、ユニットケース12の天井11側の面(上面12a)から間隔をあけて設けられる。ユニットケース12の上面12aには、柱状のスペーサ77が下方に凸となるようにねじなどによって設けられる。遮蔽部材74は、スペーサ77に固定される。これによって遮蔽部材74は、ユニットケース12に固定される。
【0036】
回路基板75は、板状であって、遮蔽部材74の下面(
図4の下方側に位置する面)から下方に間隔をあけて平行に配置されている。遮蔽部材74には、柱状のスペーサ77が下方に凸となるようにねじなどによって固定される。回路基板75は、遮蔽部材74の下面にあるスペーサ77に固定される。これによって回路基板75は、ユニットケース12に固定される。
【0037】
そして回路素子76は、回路基板75の上面(
図4の上方側に位置する面)に実装されている。換言すると、回路素子76は、遮蔽部材74と回路基板75との間に位置している。さらに換言すると、遮蔽部材74はユニットケース12の上面12aと回路基板75との間に介在されて、天井11から熱を遮蔽するように回路基板75を覆うように設けられる。
【0038】
またモータ72は、回路基板75の下面(
図4の下方側に位置する面)に設けられる。具体的には、モータ搭載用板(図示せず)が回路基板75の下方に間隔をあけて固定される。そしてモータ搭載用板の下面に、モータ72が固定される。これによってモータ72がユニットケース12内に固定される。したがって遠心多翼ファン71は、回路基板75の下方側(天井11とは反対側)に位置している。換言すると、遠心多翼ファン71のモータ72は、回路基板75の下方に軸71aが位置しており、回路基板75からいわゆる下向きに搭載されている。
【0039】
以上説明したように本実施形態の空調装置10では、遠心式の送風機16を用いているので、クロスフローファンと同一の風量であっても、小型化することができる。したがって送風機16の上下方向Zの寸法を小さくすることができる。これによってユニットケース12を薄型化することができる。またユニットケース12の天井11側の上面12aには、間隔をあけて遮蔽部材74が設けられる。間隔をあけて遮蔽部材74が設けられるので、天井11と遮蔽部材74との間に空気層を形成することができる。これによって天井11から伝わる熱を空気層によって遮蔽部材74の下方に伝わることを抑制することができる。このような遮蔽部材74は、ユニットケース12の上面12aと回路基板75との間に、回路基板75から間隔をあけて設けられるので、回路基板75に天井11からの熱が伝わるのを抑制することができる。これによってモータ72の駆動を制御する回路素子76は通常の耐熱性を有するものを用いることができる。したがって高い耐熱性を有する特別な回路素子に比べて、安価な回路素子を用いることができるので、製造コストを低減することができる。このように本実施形態の空調装置10では、回路基板75の周囲の温度を下げることができるモータ72および送風機16のケース構造を実現し、回路基板75を搭載したモータ72を送風機16に搭載可能とすることができる。
【0040】
また本実施形態では、ユニットケース12は樹脂からなり、遮蔽部材74は金属からなる。樹脂は伝熱性が低いので、車外からの熱がユニットケース12内に伝わるのを抑制することができる。また金属は伝熱性が高いので、遮蔽部材74に伝わった熱を遮蔽部材74の全体に伝熱させることによって、拡散することができる。これによって回路素子76が通電による発熱した熱も遮蔽部材74によって回路素子76の周囲に部分的に留まることなく、周囲に発散することができる。これによって回路素子76の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
さらに本実施形態では、ブラシレスモータが用いられるので、モータ72の構成を簡略化することができる。またブラシレスモータは電力消費が少ないので、空調装置10の消費電力を抑制することができる。またブラシレスモータは、ブラシを交換する必要がなくメンテナンスフリーなので保守管理が容易である。
【0042】
また本実施形態では、モータ72は回路基板75における反対側、すなわち回路基板75の下方に設けられる。換言すると、モータ72が下向き搭載されるので、送風機16の吸込口16bが下側となる。蒸発器15にて発生するドレン水は、ユニットケース12の下方に堰部18によって蒸発器15側に留まっている。しかし走行中の車両の傾きおよび車両の振動によっては、堰部18を乗り越えて送風機16側に少量のドレン水が至ることがある。このように送風機16側にドレン水がきても、モータ72が下向き搭載であり、ユニットケース12の底面には回路素子76が実装されていないので、ドレン水による回路素子76の被水を抑制することができる。
【0043】
さらに本実施形態では、ユニットケース12の左右方向Xの一方側に送風機16が、他方側に蒸発器15が設けられる。したがって空調装置10を構成する部品のうち、比較的重い部品をユニットケース12の左右方向Xの両側に配置していることになる。これによって車両の天井11に搭載した際に、車両の強度が強い部分、たとえば車両のピラー側に重い部品を配置することができる。これによって車両取付状態でのユニット強度を高くすることができる。また空調装置10の左右方向Xの重量バランスもよくすることができる。
【0044】
また本実施形態では、ユニットケース12の左右方向Xの一方側に送風機16が、他方側に蒸発器15が設けられる。したがってユニットケース12の中央には、送風機16から送風された空気を複数の吹出口14に分配するためのスペースを確保できる。したがって低圧損化することができる。換言すると、送風機16と蒸発器15との間を、送風機16から吹出口14への通路に用いることができる。したがって風量割合の成立、吹出口位置の自由度向上を図ることができる。
【0045】
さらに本実施形態では、蒸発器15を片側に寄せ、さらに蒸発器15を通過する空気は上方から下方に向かう。これによって蒸発器15のドレン水を通過する風によって除去することができる。したがって蒸発器15の保水量を低減でき、車両旋回時の水漏れ対策の簡易化することができる。また蒸発器15を傾斜させているので、ユニットケース12の上下方向Zの寸法を抑えることができる。
【0046】
さらに本実施形態では、吸込口13から送風機16までの通路も仕切り板20によってUターンするように構成されている。これによって吸込通風路を長く取ることができ、吸込騒音の低減ができる。
【0047】
また本実施形態では、ユニットケース12内の送風機16の上流側に蒸発器15が設けられる。したがって、送風機16から吸込騒音は、蒸発器15を通過するので、蒸発器15にて吸込騒音を減衰させることができる。これによって吸込口13から発する吸込騒音を低減することができる。
【0048】
さらに本実施形態では、吹出口14は、送風機16によって送風された空気を車室の後部座席が配置される空間に向けて吹き出すように空調装置10が配置される。これによって車両前方の空間がインパネ内の車両用空調装置によって空調されている場合には、その空調されている空気を吸い込んで、車両後方に送風することができる。また後部座席を空調するので、車両の前方に車両用空調装置がある場合には、併用することによって、車室内全体を空調することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、
図5を用いて説明する。本実施形態の空調装置10Aでは、
図5に示すように遮蔽部材74を2つ備える点に特徴を有する。遮蔽部材74は、天井11から間隔をあけて2枚間隔をあけて配置される。したがって隣接する遮蔽部材74の間にも空気層が形成される。またいずれか一方の遮蔽部材74が樹脂であってもよく、両方とも樹脂であってもよく、両方とも金属であってもよい。ユニットケース12および遮蔽部材74の両方とも樹脂であっても、遮蔽部材74によって空気層を形成することができるので、回路素子76に熱が伝わることを抑制することができる。
【0050】
このような本実施形態では、2枚の遮蔽部材74が用いられるので、2層の空気層を形成することができる。これによって天井11からの熱が回路素子76に伝わることを、さらに抑制することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、
図6および
図7を用いて説明する。本実施形態の空調装置10Bでは、吸込口13Bの位置および送風機16の吹出口16aから吹出口14に延びる通路部24の構成に特徴を有する。
【0052】
吸込口13Bは、
図7に示すように、第1実施形態よりも左右方向Xの右方側(
図7の左方側)に寄っている。これによって吸込口13Bからユニットケース12内を覗いた場合、蒸発器15の一部を視認することができる。このように吸込口13Bから送風機16に至る経路が短くなるので、圧損を低減することができる。
【0053】
また送風機16の吹出口16aは、左右方向Xの右方側(
図6の左方側)に向かって開口し、それからL字に屈曲している通路を通過後、二股に別れる通路部24を通過して、各吹出口14に至る。これによって、各吹出口14からの風量をより均等にすることができる。また本実施形態のような空調装置10Bであっても、前述の第1実施形態の送風機16を搭載することによって、同様の作用および効果を達成することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0055】
上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0056】
前述の第1実施形態では、空調装置10は車両に設けられ、車室内を空調しているが、車両用に限るものではない。たとえば、工場内でスポット的に空調する空調装置10に適用してもよく、住居などの建物の室内を空調する空調装置10に適用してもよい。
【0057】
前述の第1実施形態では、吹出口14は、車室の後方に送風機16によって送風していたが、車室の後方に限るものではなく、前方座席が配置される空間に向けて吹き出すように配置してもよい。
【0058】
前述の第1実施形態では、モータ72はブラシレスモータによって実現されているが、ブラシレスモータに限るものではなく、DCモータおよび小型モータなどを用いてもよい。またモータ72を回路基板75の天井11側に配置してもよい。