特許第6020104号(P6020104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020104
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】粗大ごみ処理施設の防火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/04 20060101AFI20161020BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20161020BHJP
   A62C 2/04 20060101ALI20161020BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20161020BHJP
   A62C 37/36 20060101ALI20161020BHJP
   G08B 17/12 20060101ALI20161020BHJP
   B02C 23/04 20060101ALI20161020BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A62C3/04
   A62C3/00 D
   A62C3/00 J
   A62C2/04 B
   A62C2/06 501
   A62C37/36
   G08B17/12 A
   B02C23/04
   B65G43/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-267678(P2012-267678)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113213(P2014-113213A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】阿部 盛一
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−106748(JP,A)
【文献】 特開2001−46541(JP,A)
【文献】 特開2001−276272(JP,A)
【文献】 特開昭59−2759(JP,A)
【文献】 特開平9−288786(JP,A)
【文献】 特開2011−240295(JP,A)
【文献】 社団法人全国市有物件災害共済会,「ごみ処理施設の火災と爆発事故防止対策マニュアル」,2009年 7月 1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−3/16,35/00−99/00,
G08B 17/00−17/12,
B02C 23/04,
B65G 43/02,
G01J 1/00−1/60,5/00−5/62,
B09B 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗大ごみを破砕する破砕機と、破砕された粗大ごみを搬送し入側ゲート及び出側ゲートを有する搬送コンベヤを備える粗大ごみ処理施設における防火装置であって、
前記搬送コンベヤの周囲を覆い外部から赤外線が入らないように遮蔽するケースと、
該ケースに設けられる熱源検知手段及び複数の散水ノズルと、
該散水ノズルの散水制御弁と前記搬送コンベヤと入側ゲート及び出側ゲートの動作を制御する制御装置とを備え、
前記熱源検知手段は、前記搬送コンベヤにより搬送され温度上昇し発火前の状態である粗大ごみから発生する波長が0.7〜2.5μmの範囲の近赤外線を検出して近赤外線を発生している粗大ごみを熱源として検知し、
前記制御装置は、前記熱源検知手段が熱源を検知したときに、熱源検知個所付近の散水ノズルの散水制御弁を開き粗大ごみに散水して冷却し温度上昇を抑え発火を防止し、前記搬送コンベヤを停止して新たな粗大ごみの供給を絶ち、温度上昇した粗大ごみの次の設備への搬送を停止し、前記入側ゲート及び出側ゲートを閉鎖し前記ケース内への外気の供給を遮断するように制御することを特徴とする粗大ごみ処理施設の防火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗大ごみ処理施設の防火装置に係り、特に、粗大ごみ処理施設、ごみの固形燃料化施設、自動車シュレッダーダスト処理施設、容器包装プラスチック処理施設等に用いるのに好適な、都市ごみや産業廃棄物(以下、ごみと総称する)の発火を事前に防止することが可能な粗大ごみ処理施設の防火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ごみを、焼却、溶融、ガス化等により処理するには、まず破砕処理施設においてごみを所望の大きさに破砕し、有価物や不燃物、可燃物等に選別する処理が行なわれる。
【0003】
この際、ごみ内にはガスボンベやスプレー缶、有機溶剤容器、ガソリン容器、灯油容器等の可燃物が残留する容器類や、切断されると発火するリチウム系電池等(以下、危険物と総称する)が多数混入しており、これらの危険物は、ごみの収集段階で分別されて取り除かれている筈であるが、現実には、廃棄物処理施設へ搬入されてくるごみ内には、多数の危険物が混入している。
【0004】
そのため、廃棄物処理施設では、搬入されてきたごみを破砕機へ投入する前に目視によって選別し、危険物を除去するようにしている。又、万一過誤により危険物が投入された場合に備えて火災や爆発事故の発生を防止する対策を採っている。
【0005】
廃棄物処理施設における防火対策には、非特許文献1に記載されているように、発火による温度上昇を検知するための例えば消耗式熱電対でなる熱感知器(温度感知器)を破砕機出口付近に設けたり、図1に例示する如く、炎から放射される赤外線(波長4.4μm付近の火災識別用第1波長、波長4.0μm付近の非火災報識別用第2波長)や紫外線(波長0.1μm付近の紫外線監視波長)を検知する炎感知器を、常時発生している破砕の火花を検知しない位置で破砕物の直撃を受けない、下流側の破砕物搬送コンベヤに設置することが行なわれている。このような温度や炎の検出を基本とする火災検出器は、破砕機内部のような狭い空間部での火災であれば、迅速且つ正確に火災の発生を検知することができる。
【0006】
しかしながら、搬送装置の内部では、破砕された廃棄物が0.3〜0.8m/秒程度の高速度で搬送されるため、火災発生箇所が火災検出器の設置部を瞬時に通過することになり、温度感知式の火災検出器では火災の検知ができない。又、この種の搬送装置では、搬送物が山盛り状態で搬送されるため、火種が埋もれた状態となっていることが多く、このような状態下では、火炎の検知が一層困難になる。
【0007】
更に、搬送装置の内部は、ごみの破砕により生じた粉塵が常時多量に存在する状態の雰囲気にあるため、炎感知式の火災検出器では炎の発生を検知するのが遅れたり、煙感知式の火災検出器では誤報を生じる等の問題がある。
【0008】
その上、従来の温度、炎、煙等の感知を基本とする火災検出器は、一般に検出感度が低くて、火災がある程度進行しないとこれを検知することができない上、搬送物が高速搬送されていること等と相俟って、火災発生時の初期消火が困難である。その結果、搬送装置内の損傷が甚大になり易い上、消火後の搬送装置の復旧に時間がかかって、短時間内に破砕設備を再運転することができない等の問題がある。
【0009】
このような問題点を解決するべく、特許文献1には、破砕物搬送装置のケーシング内に内部雰囲気のCO濃度を検出するCO検知器を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−240295号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「破砕ごみ処理施設の火災と爆発事故防止対策マニュアル」128−129頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、CO検知器は、導管によりガスを吸引してセンサー部に導くために、導管を通過するための時間が長いことや、正確なCO濃度を測るためには、吸引するガスに含まれるダスト除去や湿気除去を予め行なう必要があるため、前処理装置としてのフィルターや活性炭が必要であり、導管による通過時間に加えて前処理装置を通過するための時間も必要で、瞬時にCO濃度を計測することができない。そのため、発火したごみはコンベヤで次工程に搬送されてしまう危険性がある。又、ごみの臭気対策等の理由で機器の内部を負圧にしている場合は、CO検知器に設置したポンプの能力よりも誘引ファンの能力が高く、発生するガスを十分に吸引できない場合もある。そのために特許文献1の提案は、多量にCOガスが発生した場合等には、有効であるが、その時点では既に火災が拡大しており、十分な防火対策とはならないという問題点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、廃棄物処理設備における廃棄物の周囲を、外部から赤外線が入らないように遮蔽した状態で、温度上昇し発火前の状態である廃棄物から発生する波長が0.7〜2.5μmの範囲の近赤外線を熱源検知器により検出して近赤外線を発生している廃棄物を熱源として検知し、該熱源検知器が熱源を検知したときに、制御装置が散水ノズルを制御し熱源検知個所付近に散水して、廃棄物を冷却し温度上昇を抑え発火を防止することにより、前記課題を解決したものである。
【0014】
本発明は、又、廃棄物処理設備における廃棄物の周囲を、外部から赤外線が入らないように遮蔽する遮蔽手段と、該遮蔽手段の内側にあり温度上昇し発火前の状態である廃棄物から発生する波長が0.7〜2.5μmの範囲の近赤外線を検出して近赤外線を発生している廃棄物を熱源として検知する複数の熱源検知手段と、廃棄物に散水する複数の散水ノズルと、該散水ノズルの散水制御弁を制御する制御装置とを備え、該制御装置は、前記熱源検知手段が熱源を検知したときに、熱源検知個所付近の散水ノズルの散水制御弁を開き廃棄物に散水して冷却し温度上昇を抑え発火を防止するように制御することを特徴とする廃棄物処理設備の防火装置を提供するものである。
【0016】
本発明は、又、粗大ごみを破砕する破砕機と、破砕された粗大ごみを搬送し入側ゲート及び出側ゲートを有する搬送コンベヤを備える粗大ごみ処理施設における防火装置であって、前記搬送コンベヤの周囲を覆い外部から赤外線が入らないように遮蔽するケースと、該ケースに設けられる熱源検知手段及び複数の散水ノズルと、該散水ノズルの散水制御弁と前記搬送コンベヤと入側ゲート及び出側ゲートの動作を制御する制御装置とを備え、前記熱源検知手段は、前記搬送コンベヤにより搬送され温度上昇し発火前の状態である粗大ごみから発生する波長が0.7〜2.5μmの範囲の近赤外線を検出して近赤外線を発生している粗大ごみを熱源として検知し、前記制御装置は、前記熱源検知手段が熱源を検知したときに、熱源検知個所付近の散水ノズルの散水制御弁を開き粗大ごみに散水して冷却し温度上昇を抑え発火を防止し、前記搬送コンベヤを停止して新たな粗大ごみの供給を絶ち、温度上昇した粗大ごみの次の設備への搬送を停止し、前記入側ゲート及び出側ゲートを閉鎖し前記ケース内への外気の供給を遮断するように制御することを特徴とする粗大ごみ処理施設の防火装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
ごみは、特許文献1に記載されているように、蓄熱→酸化促進→温度上昇→くすぶりの過程を経て発火する。本発明では「蓄熱→酸化促進→温度上昇」までの間に、ごみの温度が上昇した時点で発生する近赤外線を、ごみの発火前に検知するため、図2に例示する如く、ごみ4に含まれる、高温になった金属片6や、その周りで加熱した可燃物8の温度若しくは小さな炎も検知でき、その後の散水などの防火装置を十分に機能させて、ごみ4の発火を事前に防止することが可能である。なお、太陽光や照明から放出される赤外線による誤検知を防止するため、近赤外線を検出する熱源検知手段(図では熱源検知器12)設置部の周りは、例えばケース10で遮蔽する必要がある。
【0021】
熱源を検知した場合は、検知箇所付近に散水すること等により、ごみを冷却して温度上昇を抑え、ごみの発火を防止する。
【0022】
なお、赤外線を利用する方法は、非特許文献1に記載された炎感知器が一般的であるが、炎感知器は、主にガスバーナーで火が消えてガスだけ出ている失火状態を検知するために、図1に示したように、波長が4.0μm付近の中赤外線、波長が4.4μm付近の遠赤外線、及び、波長が0.1μm付近の紫外線を検知しているため、火災が拡大して火炎が十分に大きくなった時点では有効であるが、火災を未然に防ぐことには効果が無かった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】炎の波長と、従来の炎感知器及び本発明の近赤外線検出手段で用いる検知波長帯を比較して示す波長スペクトル図
図2】本発明の原理を説明するための、近赤外線検出イメージを示す斜視図
図3】本発明を粗大ごみ処理施設へ適用した実施形態を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
本実施形態は、本発明を図3に示すような粗大ごみ処理施設へ適用したものである。
【0026】
図3において、粗大ごみは供給コンベヤ20で破砕機22に投入される。破砕機22のハンマー22Aはシャフト22Bの周りを高速で回転しているため、金属片等はハンマー22Aで粉砕され、スクリーン22Cより小さくなってから排出されるが、この際、金属片等は破砕機22内部で加熱される。
【0027】
破砕機22で破砕され、スクリーン22Cを通過した金属片等は、例えば振動式の排出コンベヤ26を通過して、例えば不燃性材料の金属製コンベヤとされた第1搬送コンベヤ28に排出される。この第1搬送コンベヤ28の周りは、例えば鉄製のケース10で覆われており、照明等から放出される赤外線が遮蔽されている。
【0028】
前記第1搬送コンベヤ28上のケース10には、図1中に示したような、例えば波長0.7〜2.5μmの監視波長範囲の近赤外線を検知するための、本発明による熱源検知器12が必要に応じていくつか設けられている。図では第1搬送コンベヤ28の入側と出側近傍にそれぞれ設けられているが、熱源検知器12の配設場所及び数はこれに限定されない。
【0029】
前記熱源検知器12の周りには散水ノズル30がいくつか設けられており、熱源検知器12で熱源が検知されたときは、制御装置(図示省略)を介して散水制御弁32を開くことにより散水して消火できるようにされている。図では第1搬送コンベヤ28の搬送方向に沿って散水ノズル30が5個設けられているが、散水ノズル30の配置場所及び散水系統数は、これに限定されない。
【0030】
なお、破砕機22の直下には振動式の排出コンベヤ26が配置されており、排出コンベヤ26近傍に熱源検知器12を設置した場合には、振動により熱源検知器12のセンサーや散水配管が劣化するため、熱源検知器12は第1搬送コンベヤ28に設けられることが好ましい。
【0031】
又、前記第1搬送コンベヤ28の入側及び出側には入側ゲート34及び出側ゲート36が設けられており、熱源検知器12が、高温になった金属片6や、その周りで加熱した可燃物8等の熱源を検知した場合は、制御装置により第1搬送コンベヤ28を自動的に停止すると共に、ゲート34及び36を自動的に閉鎖して、入側ゲート34により新たな可燃物8の供給を絶ち、出側ゲート36により高温になった金属片6を次の第2搬送コンベヤ38以降の設備に送らないようにすると共に、ケース10内への外気(酸素)の供給を遮断して、火炎の拡大を防ぐようにされている。
【0032】
図3において、40は、破砕機22内部のガスを希釈して爆発を防止するための希釈ファン、42は、破砕機22の上方を覆う上部フード、44は、該上部フード42から排気するための排気ダクト、46は分離機、48は集塵機、50は排風機である。
【0033】
なお、前記実施形態においては、ハンマーを用いた横型の破砕機22が用いられている例を示したが、破砕機22の種類は、これに限定されず、例えば回転刀を用いた物や、竪型の物であっても良い。
【0034】
又、消火手段も散水スプレーに限定されず、例えば不活性ガスを吹込むものであってもよい。
【0035】
又、前記実施形態においては、本発明が粗大ごみ処理施設の第1搬送コンベヤ28に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、例えばごみの固形燃料化施設の乾燥機の出側や成形機の出側に設けたり、自動車シュレッダーダスト処理施設の破砕機直下に設けたり、容器包装プラスチック処理施設の破砕機出側に設けることができる。なお、自動車シュレッダーダスト処理施設の場合には、振動式の排出コンベヤではなく通常のベルトコンベヤが使用されるため、熱源検知器を破砕機の直下に設けることができる。
【0036】
なお、前記説明においては、本発明が、粗大ごみ処理施設、ごみの固形燃料化施設、自動車シュレッダーダスト処理施設、容器包装プラスチック処理施設に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、これら以外の廃棄物処理設備にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
4…ごみ
6…金属片
8…可燃物
10…ケース
12…熱源検知器(近赤外線検出手段)
20…供給コンベヤ
22…破砕機
26…排出コンベヤ
28、38…搬送コンベヤ
30…散水ノズル
32…散水制御弁
34、36…ゲート
図1
図2
図3