(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材は中空筒状であって前記長尺筒状部材の全長に亘って延在すると共に、前記長尺筒状部材は、前記保持部材よりも高引張強度の材質で形成されている請求項2〜5の何れか1項に記載の車両フレーム用の単位フレーム。
構成部材として、車両の両側縁に沿って延在する1対のサイドメンバと、前記1対のサイドメンバを結合する車両幅方向の部材である少なくとも1つのクロスメンバと、端部において前記サイドメンバに固定され、前記車両の屋根を下方から支持するAピラー、Bピラー、およびCピラーと、を備え、
前記サイドメンバ、前記クロスメンバ、および前記Aピラー、Bピラー、Cピラーの少なくとも1つの構成部材が、請求項1〜13に記載の車両フレーム用の単位フレームまたは請求項14に記載のフレーム構造体から構成されている車両フレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、円筒パイプを複数本軸方向に束ねた構造体においては、ある所定の箇所において必要とされる強度に応じて柔軟に設計変更することが困難である。
また、前記構造体において、円筒パイプの軸線と交差する方向に延在するボルトで円筒パイプ同士を結合する構造体は、円筒パイプを溶接接合する構造体と比較して生産効率が悪いという問題がある。
【0011】
一方、一対のサイドレールと両端でこの一対のサイドレールを接続するクロスメンバとを有する車台フレームの軸方向に環状の接続部材を配置した車体フレームにおいては、この接続部材の存在によって燃料タンクやシャシ部品等の配置の自由度が低下する可能性がある。
【0012】
また、製造時の形態からの変向が可能な車両フレーム構造として検討された車両フレーム構造にも種々の問題がある。たとえば、特許文献5の自動車においては、骨格フレーム構造を切断することにより、車体の伸縮自在としているから、骨格フレーム構造を切断することで生じる強度低下を保証する手立てが必要である。
【0013】
特許文献6の車両においては、骨格フレーム自体が伸縮するわけではないから、車体サイズの変化量には限界がある。
【0014】
特許文献7に記載の車両フレーム構造においては、車両設計に応じて異なるフレームを採用することは可能であるが、ユーザが使用状況に応じて骨格フレーム構造を変化させることは極めて困難である。
【0015】
特許文献8の前部車体構造は、衝突荷重を逃がしてエンジンマウントやフロントサイドメンバの損傷を低減することを目的としており、ユーザが自由に形態を変更できる車体構造を提供するものではない。
【0016】
本発明は、ある所定の箇所において求められる強度や車両そのものの用途に応じて設計変更や形態変化が容易にできるとともに、燃料タンクやシャシ部品等の配置の自由度が低下を抑えることができる
車両フレーム用の単位フレーム、フレーム構造体、および車両フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様は、複数の長尺筒状部材と、
前記長尺筒状部材とは別部材で形成され、前記長尺筒状部材を互いに間隔をあけて並列配置されるように保持する保持手段と、を
備え、前記長尺筒状部材は軸方向に分割され、分割された一方の長尺筒状部材の一端側と他方の長尺筒状部材の一端側に、前記分割された一方の長尺筒状部材と前記分割された他方の長尺筒状部材との軸方向の間隔が変更可能な挿入部材が挿入され、前記分割された一方の長尺筒状部材と前記挿入部材とが固定されると共に、前記分割された他方の長尺筒状部材と前記挿入部材とが固定されている、車両フレーム用の単位フレームに関する。
【0018】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、長尺筒状部材の外径、肉厚、および材質を変更することによって強度を変化させることができるから、求められる強度に応じた柔軟な設計変更が可能になる。また、燃料タンクやシャシ部品等の配置の自由度の低下が抑えられる。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記保持手段が、前記長尺筒状部材が固定される保持部材であるものに関する。
【0020】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、保持手段として、長尺筒状部材が固定される保持部材を用いているから、全体として強固な構造体となる。
【0021】
本発明の第3の態様は、第2の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、長尺筒状部材が保持部材の外側に配置されているものに関する。
【0022】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、長尺筒状部材が保持部材の外側に配置されているから、長尺筒状部材が保持部材の内側に配置されている
車両フレーム用の単位フレームと比較して、保持部材への長尺筒状部材の取付けや、長尺筒状部材の長さおよび外径の変更が容易である。
【0023】
本発明の第4の態様は、第2または第3の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、保持部材に前記長尺筒状部材を保持するための凹部が形成されているものに関する。
【0024】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、長尺筒状部材は保持部材の凹部で保持されるから、保持部材に凹部が形成されていない場合と比較して長尺筒状部材の保持部材に対する位置決めが容易であり、また保持部材による長尺筒状部材の保持がより確実である。
【0025】
本発明の第5の態様は、第2〜第4の何れかの態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記保持部材は、前記長尺筒状部材の長さ方向に離間して複数配置されているものに関する。
【0026】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、保持部材が長尺筒状部材の全長に亘って延在する形態の
車両フレーム用の単位フレームと比較して軽量化が図れる。
【0027】
本発明の第6の態様は、第2〜第5の何れかの態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記保持部材が中空筒状であって前記長尺筒状部材の全長に亘って延在すると共に、前記長尺筒状部材が前記保持部材よりも高引張強度の材質で形成されているものに関する。
【0028】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、保持部材は、長尺筒状部材の全長に亘って延在する中空筒状とされているから、基本的強度を保持部材に持たせることができる。一方、長尺筒状部材を保持部材よりも高引張強度の材質で形成することにより、保持部材だけでは強度が不足する場合に、不足分の強度を長尺筒状部材に負担させることができる。また、長尺筒状部材の板厚を保持部材よりも薄くできるから、保持部材と長尺筒状部材とを同一の材質で形成したフレーム構造体と比較して軽量である。
【0029】
本発明の第7の態様は、第6の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記保持部材を長手方向に沿って複数の区画に区分する隔壁を有するものに関する。
【0030】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、保持部材に隔壁が設けられているため、隔壁がない場合と比較して保持部材の座屈強度が高まる。したがって、
車両フレーム用の単位フレーム全体として要求される座屈強度が同一であれば保持部材の肉厚を薄くできるから、
車両フレーム用の単位フレームの軽量化を図ることができる。
【0031】
本発明の第8の態様は、第2〜第7の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記長尺筒状部材を前記保持部材における所定の位置に固定する固定部材を備えるものに関する。
【0032】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、長尺筒状部材は、固定部材によって保持部材に固定されるから、長尺筒状部材を保持部材に溶接する必要がなくなる。したがって、長尺筒状部材への熱影響を回避できる。
【0033】
本発明の第9の態様は、第2〜第5の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記保持部材がプレート状であって、前記長尺筒状部材が前記保持部材の外周に固定されているものに関する。
【0034】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、保持部材は、プレート状であるから、適宜の板材を所定の平面形状に切り抜いて形成できる。したがって、特に保持部材が複雑な平面形状を有している場合には、保持部材が筒状である場合と比較して保持部材の形成が容易である。
【0035】
【0036】
本発明の
第10の態様は、
第2〜第9の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記長尺筒状部材は少なくとも1箇所で分割され、分割部に異なる長さの
前記挿入部材を挿入することにより、
前記分割された一方の長尺筒状部材と前記分割された他方の長尺筒状部材との軸方向の寸法が変更可能とされ
、前記長尺筒状部材と前記挿入部材とは固定されているものに関する。
【0037】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、長尺筒状部材を伸縮させることにより、
車両フレーム用の単位フレーム全体を伸縮できるから、構成部材の寸法を可変とすることにより、車両の形態を変化させる車両フレームに好適に使用できる。
【0038】
本発明の
第11の形態は、
複数の長尺筒状部材と、一方の側に、第1の長尺筒状部材を互いに間隔をあけて並列配置されるように保持すると共に、他方の側に第2の長尺筒状部材を互いに間隔をあけて並列配置されるように保持する保持手段と、を備え、前記保持手段は、
前記第1の長尺筒状部材の端部に形成された第1の屈曲部と、前記第2の長尺筒状部材の端部に形成された第2の屈曲部とを、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部の軸線周りに回転可能に支持する回転保持手段である車両フレーム用の単位フレームに関する。
【0039】
前記
車両フレーム用の単位フレームにおいては、回転保持手段に対して長尺筒状部材を回転させることにより、形態を変化させることができる。
【0040】
本発明の
第12の態様は、
第11の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、前記回転保持手段として、
前記第1の長尺筒状部材、及び前記第2の長尺筒状部材を、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部の前記軸線周りに回転させる回転手段を備える回転保持装置を用いたものに関する。
【0041】
本発明の
第13の態様は、
第11の態様の
車両フレーム用の単位フレームにおいて、回転保持手段として、
回転手段を有しない回転保持部材を用いたものに関する。
【0042】
第12の態様の
車両フレーム用の単位フレームと
第13の態様の
車両フレーム用の単位フレームとを交互に組み合わせることにより、長尺筒状部材がジグザグ状に屈曲した形態と、ほぼ一直線上に伸長した形態と、の間で形態を変化支えることのできる
車両フレーム用の単位フレームが提供される。
【0043】
本発明の
第14の態様は、
第1〜第13の何れかの態様の複数の
車両フレーム用の単位フレームと、前記
車両フレーム用の単位フレームの備える長尺筒状部材の軸方向に前記
車両フレーム用の単位フレームを繋ぎ合わせる接続部材と、を備えるフレーム構造体に関する。
【0044】
前記フレーム構造体においては、接続部材によって
車両フレーム用の単位フレームを軸方向に連結することにより、種々の長さの部材を構成できる。
【0045】
本発明の
第15の形態は、構成部材として、車両の両側縁に沿って延在する1対のサイドメンバと、前記1対のサイドメンバを結合する車両幅方向の部材である少なくとも1つのクロスメンバと、端部において前記サイドメンバに固定され、前記車両の屋根を下方から支持するAピラー、Bピラー、およびCピラーと、を備え、
前記サイドメンバ、前記クロスメンバ、および前記Aピラー、Bピラー、Cピラーの少なくとも1つの構成部材が、
請求項1〜13に記載の
車両フレーム用の単位フレームまたは
請求項14に記載のフレーム構造体から構成されている車両フレームに関する。
【0046】
前記態様の車両フレームにおいては、構成部材の少なくとも一部を前記
車両フレーム用の単位フレームまたはフレーム構造体で構成することにより、ある所定の箇所において求められる強度や車両そのものの用途に応じて設計変更や形態変化が容易にできるとともに、燃料タンクやシャシ部品等の配置の自由度が低下を抑えることができる。
【0047】
【0048】
【0049】
前記車両フレームにおいては、伸縮可能とされた構成部材を伸縮させることにより、車両の幅や長さ、ホイールベース、および形態を変化させることができる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、ある所定の箇所において求められる強度に応じて設計変更が容易にできる上に、燃料タンクやシャシ部品等の配置の自由度の低下を抑えられる
車両フレーム用の単位フレームおよびフレーム構造体、並びに必要に応じて形態を変化させることのできる車両フレームが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0052】
1.
参考例1
以下、
参考例1に係る単位フレームの一例について図面を用いて説明する。
図1に示すように、
参考例1の単位フレーム1は、
長尺筒状部材の一例としての3本のパイプ部材22と、パイプ部材22をその円周方向に沿って等間隔に、且つ互いに平行に保持する保持部材24と、を備える。
【0053】
図1に示すように、保持部材24は、パイプ部材22の全長に亘ってパイプ部材22を保持すると共に、直径が同一の円筒であるパイプ部材25を円周方向に沿って120度の間隔で3本束ねた構成とされている。パイプ部材25同士の接合は、レーザ溶接やアーク溶接等の溶接や鑞付け等により可能であるが、溶接や鑞付けには限定されず、例えば接着や、ボルトなどの締結具による機械的固定も可能である。なお、パイプ部材25同士を溶接で接合する場合は、パイプ部材25の全長に亘って線状に溶接してもよいが、点状に溶接すればパイプ部材25への熱影響を低減できるから好ましい。
【0054】
パイプ部材25の材質には特に制限は無いが価格の点から汎用材が好ましい。このような汎用材としては、JIS STK400、STKM11A、STKM13A等の軟鋼や、A5052合金、A6061合金、A6063合金等の汎用アルミニウム合金などがある。
【0055】
図1に示すように、パイプ部材22は、保持部材24の隣接する2本のパイプ部材25に全長に亘って当接するように固定されている。
【0056】
パイプ部材22の外径dは30mm、肉厚t=1mmであり、パイプ部材25の外径Dは30〜150mm、肉厚T=1mmである。
【0057】
パイプ部材25の外径Dは、パイプ部材22の外径d以上であるが、パイプ部材22の外径dの5倍以下が好ましく、特に3倍以下が好ましい。パイプ部材25の外径Dがパイプ部材22の外径dよりも小さい場合、パイプ部材25を3本束ねて構成される保持部材24だけでは基本的構造を負担できない可能性がある故に好ましくない。一方、パイプ部材25の外径Dがパイプ部材22の外径dの5倍よりも大きな場合には、保持部材24だけでは強度が不足する場合にパイプ部材22に十分な強度を分担させることができない可能性がある。
【0058】
但し、パイプ部材22の外径dとパイプ部材25の外径Dとの間に前記関係が成り立つ限り、第1パイプ部材22の外径dは30mmには限定されず、パイプ部材25の外径Dは30〜150mmには限定されない。具体的には、パイプ部材22の外径dは15〜50mm程度が好ましく、20〜40mm程度が更に好ましく、25〜35mm程度が最も好ましい。パイプ部材25の外径Dは、15〜250mm程度が好ましく、20〜200mm程度が更に好ましく、25〜175mm程度が最も好ましい。しかしながら、パイプ部材22の外径およびパイプ部材25の外径Dは、前記範囲には限定されず、単位フレーム1に要求される曲げ強度、曲げ剛性、および捻り剛性等に応じて適宜決定できる。
【0059】
パイプ部材22の肉厚およびパイプ部材25の肉厚Tは、1mmには限定されず、単位フレーム1に要求される曲げ強度、曲げ剛性、およびねじり剛性に応じて適宜決定できる。具体的には、パイプ部材22の肉厚tおよびパイプ部材25の肉厚Tは、0.5〜2mm程度が好ましく、0.5〜1.5mm程度が更に好ましい。なお、
参考例1ではパイプ部材22の肉厚tとパイプ部材25の肉厚Tとは同一であるが、パイプ部材22の材質によっては、パイプ部材22の肉厚tをパイプ部材25の肉厚Tよりも薄くすることができる。
【0060】
パイプ部材22は、パイプ部材25よりも高引張強度の材質から形成される。具体的には、パイプ部材25にJIS STK400、STKM11A、STKM13A等の軟鋼を使用する場合には、パイプ部材22には、590MPa級高張力鋼、980MPa級高張力鋼、1470MPa級高張力鋼等の各種高張力鋼を使用することが好ましい。一方、パイプ部材25にA5052合金、A6061合金、A6063合金等の汎用アルミニウム合金を使用する場合には、パイプ部材22にはA2014系、A2017系、A2024系、A7003系、A7N01系、A7046系、A7075系、A7050系などの高強度構造用アルミニウム合金が使用できる。なお、パイプ部材25として軟鋼を使用する場合、および汎用アルミニウム合金を使用する場合の何れにおいても、パイプ部材22としてCFRP管を使用できる。
【0061】
以下、パイプ部材22とパイプ部材25との接合について説明する。
パイプ部材22に高張力鋼を、パイプ部材25に軟鋼を用いる場合、およびパイプ部材22に高強度構造用アルミニウム合金を、パイプ部材25に汎用アルミニウム合金を用いる場合は、パイプ部材22とパイプ部材25とを溶接又は接着で接合できる。パイプ部材22とパイプ部材25とを溶接で接合する場合は、パイプ部材22の全長に亘って連続溶接してもよいし、点溶接してもよい。パイプ部材22とパイプ部材25との溶接にはレーザ溶接やアーク溶接等を使用できる。尚、パイプ部材22としてCFRP管を用いる場合は、パイプ部材25に軟鋼を用いる場合、およびパイプ部材25に汎用アルミニウム合金を用いる場合の何れにおいても、パイプ部材22とパイプ部材25との接合は接着が好ましい。
【0062】
パイプ部材22において溶接による材質の熱劣化を特に避ける必要がある場合、およびパイプ部材22としてCFRP管のように溶接による接合が不適切な管材を用いる場合には、
図2に示すように、
固定部材の一例としての短冊状板材26を用いてパイプ部材22をパイプ部材25に固定できる。
【0063】
短冊状板材26は、略V字型に屈曲され、中央部においてパイプ部材22に当接するとともに、両端部においてパイプ部材25に溶接されている。したがって、短冊状板材26の材質は、パイプ部材25に溶接可能な材質であれば、特に制限はない。したがって、パイプ部材25が軟鋼製であるときは、短冊状板材26も軟鋼製とすることができる。一方、パイプ部材25が汎用アルミニウム合金製であるときは、短冊状板材26も汎用アルミニウム合金製とすることができる。
【0064】
パイプ部材22は、短冊状板材26によってパイプ部材25に押圧された状態であってもよいが、パイプ部材25に対してパイプ部材22の位置が移動することが好ましくない場合には、パイプ部材22を短冊状板材26に固定することが好ましい。パイプ部材22が高張力鋼又は高強度構造用アルミニウム合金からなるときは、パイプ部材22を短冊状板材26に固定する方法としては点溶接や接着が可能である。なお、パイプ部材22としてCFRP管を用いるときは、パイプ部材22を短冊状板材26に固定する方法としては接着が適当である。
【0065】
また、パイプ部材22をパイプ部材25に固定するのに、
固定部材として短冊状板材26を用いる代わりに、
図3に示すように単位フレーム1の周方向に沿って延在するバンド状部材27を用いてもよい。
【0066】
バンド状部材27は、たとえば、隣接する2本のパイプ部材25の間にパイプ部材22を配置し、次いで炭素繊維と半硬化のマトリクス樹脂とからなる炭素繊維プレプリグ材からなるテープ状部材を、このテープ状部材の繊維方向に沿って所定の回数だけ張力を加えて巻回し、最後に所定の温度でマトリクス樹脂を硬化させることによって構成できる。
【0067】
この形態のバンド状部材27においては、テープ状部材は、パイプ部材22およびパイプ部材25に巻回する段階でパイプ部材22およびパイプ部材25に接着する。そして、テープ状部材を熱硬化させることにより、テープ状部材とパイプ部材22およびパイプ部材25との接着が強固になる。したがって、バンド状部材27をパイプ部材22およびパイプ部材25に接着させるための接着操作が不要になる。
【0068】
単位フレーム1においては、保持部材24はパイプ部材25を3本束ねた構造とされているから、基本的強度を保持部材24に持たせることができる。一方、パイプ部材22は、パイプ部材25よりも高引張強度の材質で形成されているから、パイプ部材25だけでは強度が不足する場合に、不足分の強度をパイプ部材22に負担させることができる。
【0069】
また、パイプ部材25に、軟鋼や汎用アルミニウム合金等の安価で信頼性の高い材質を使用しているから、パイプ部材25として規格品のパイプ部材を使用できる。したがって製造コストを削減できる。
【0070】
更に、前述のようにパイプ部材22には、パイプ部材25よりも強度の高い材質を用いているから、パイプ部材22はパイプ部材25よりも板厚を薄くできる。したがって、軽量化が可能である。
【0071】
加えて将来設計変更が必要になった場合においても、パイプ部材25については外径、板厚、および材質を変更することなく、パイプ部材22の設計変更のみによって要求強度の向上に容易に対応できる。
【0072】
前述のように、単位フレーム1においては、保持部材24はパイプ部材25を3本束ねた構造とされており、パイプ部材22は、保持部材24における隣接する2本のパイプ部材25に当接するように固定されている。したがって断面2次モーメントが高い構造となっているので曲げ剛性が高く、曲げ加重や圧縮加重による座屈に強い構造が得られる。
【0073】
2.
参考例2
以下、
単位フレームの参考例2について図面を用いて説明する。
図4以下において
図1〜
図3と同様の符号は、前記符号が
図1〜
図3において示すのと同様の構成要件を示す。
【0074】
図4および
図5に示すように、
参考例1の単位フレーム2は、互いに間隔をあけて平行に配列された3本のパイプ部材22と、パイプ部材22の長さ方向に離間した状態で、3本のパイプ部材22の内側に固定された3個の保持部材28と、を備える。
【0075】
パイプ部材22については
参考例1のところで述べたとおりである。
【0076】
保持部材28は、
参考例1のフレーム構造1における保持部材24と同様に、パイプ部材25を120度間隔で3本束ねて固定した構成とされている。また、パイプ部材25を束ねて保持部材28とする手段、およびパイプ部材25については、
参考例1のところで述べたとおりである。しかしながら、保持部材24とは異なり、パイプ部材25の軸方向の長さはパイプ部材22よりも短い。
【0077】
図4に示すように、パイプ部材22は、保持部材28における隣接する2本のパイプ部材25の間に溶接や接着等の方法によって直接固定してもよい。また、
図5に示すように、短冊状板材26を介して隣接する2本のパイプ部材25の間に固定してもよい。パイプ部材22をパイプ部材25の間に接着や溶接で固定する手順、および短冊状板材26については
参考例1のところで述べたとおりである。
【0078】
尚、図示されていないが、保持部材28を構成する3本のパイプ部材25の一端又は両端に端板を設ければ、端板がない場合と比較してパイプ部材25の径方向に沿った圧縮強度が高くなるから好ましい。
【0079】
参考例1の単位フレーム2においては、保持部材28は、パイプ部材22の全長に亘って設けられているのではなく、パイプ部材22の長さ方向に離間して3個設けられている。言い換えれば単位フレーム2は所謂中抜き構造とされている。したがって、
参考例1の単位フレームが有する特長に加え、更なる軽量化が可能であるという特長を有する。また、パイプ部材22をパイプ部材25に溶接する際の熱影響を
参考例1の単位フレーム1と比較してより少なくすることができる。
【0080】
3.
参考例3
以下、
単位フレームの参考例3について図面を用いて説明する。
図6(A)、
図6(B)、
図7、および
図7(B)に示すように、
参考例3の単位フレーム3は、全体として角パイプ状の保持部材30と、保持部材30の4つの側壁面の夫々に保持されて互いに平行に延在する4本のパイプ部材22と、を有する。なお、4本のパイプ部材22のうち、
図6および
図7において手前側に位置するパイプ部材22については二点鎖線で示されている。
【0081】
保持部材30の夫々の側壁面31の幅方向中央部には、保持部材30の長さ方向に延在するように形成された三角形状の断面を有する凹部32が形成され、パイプ部材22は凹部32において保持される。
【0082】
図6(B)に示すように、保持部材30を長手方向に沿って複数の区画に区分する隔壁33を保持部材30に設けることができる。保持部材30に隔壁33を設けることにより、保持部材30の曲げ剛性、捻り剛性、および座屈強度を高めることができる。
【0083】
パイプ部材22の外径dは、
参考例1のところで述べたように30mmには限定されず、単位フレーム3に要求される曲げ強度、曲げ剛性、およびねじり剛性に応じて適宜決定できる。具体的には、パイプ部材22の外径dは15〜50mm程度が好ましく、20〜40mm程度が更に好ましく、25〜35mm程度が最も好ましい。
【0084】
保持部材30の一辺の長さ、言い換えれば側壁面31の短辺の長さlは、d≦l≦5dの範囲が好ましく、特に、d≦l≦3dの範囲が好ましい。保持部材30の一辺の長さlについても、単位フレーム3に要求される強度、曲げ剛性、および捻り剛性に応じて適宜決定できる。具体的には、保持部材30の一辺の長さlは、15〜250mm程度が好ましく、20〜200mm程度が更に好ましく、25〜175mm程度が最も好ましい。
【0085】
保持部材30には、JIS STK400、STKM11A、STKM13A等の軟鋼、およびA5052合金、A6061合金、A6063合金等の汎用アルミニウム合金のように安価で加工性の良好な材質を使用できる。なお、保持部材30に隔壁33を設ける場合、隔壁33にも保持部材30と同様の材質を使用できる。
【0086】
一方、パイプ部材22には、保持部材30よりも強度の高い材質が使用される。具体的には、保持部材30に軟鋼を使用する場合には、パイプ部材22には
参考例1で述べた高張力鋼が使用され、保持部材30に汎用アルミニウム合金を使用する場合には、パイプ部材22には
参考例1で述べた高強度構造用アルミニウム合金が使用される。なお、保持部材30に軟鋼および汎用アルミニウム合金を使用する場合の何れにおいても、パイプ部材22にはCFRP管を使用できる。
【0087】
パイプ部材22と保持部材30との接合については以下の通りである。
パイプ部材22に高張力鋼を、保持部材30に軟鋼を用いる場合、およびパイプ部材22に高強度構造用アルミニウム合金を、保持部材30に汎用アルミニウム合金を用いる場合は、パイプ部材22と保持部材30とを溶接又は接着で接合できる。パイプ部材22と保持部材30とを溶接で接合する場合は、パイプ部材22の全長に亘って連続溶接してもよいし、点溶接してもよい。パイプ部材22と保持部材30との溶接にはレーザ溶接やアーク溶接等を使用できる。尚、パイプ部材22としてCFRP管を用いる場合は、保持部材30に軟鋼を用いる場合、および保持部材30に汎用アルミニウム合金を用いる場合の何れにおいても、パイプ部材22と保
持部材30との接合は接着が好ましい。
【0088】
パイプ部材22において溶接による材質の熱劣化を特に避ける必要がある場合、およびパイプ部材22としてCFRP管のように溶接による接合が不適切な管材を用いる場合には、
図7(A)および
図7(B)に示すように、短冊状板材26を用いてパイプ部材22を保持部材30に固定できる。短冊状板材26については
参考例1で説明したとおりである。
【0089】
単位フレーム3においては、基本的強度を保持部材30に持たせ、保持部材30だけでは強度が不足する場合に、不足分の強度をパイプ部材22に負担させることができる。
【0090】
また、保持部材30は、軟鋼や汎用アルミニウム合金等の安価で信頼性の高い材質を使用し、プレス成形や押出成形で製造できるから、製造コストを削減できる。
【0091】
更に、前述のようにパイプ部材22には、保持部材30よりも強度の高い材質を用いているから、パイプ部材22は保持部材30よりも板厚を薄くできる。したがって、軽量化が可能である。
【0092】
加えて将来設計変更が必要になった場合においても、保持部材30については外径、板厚、および材質を変更することなく、パイプ部材22の設計変更のみによって強度向上に容易に対応できる。
【0093】
更に加えて、保持部材30に隔壁33を設けることにより、隔壁33を設けない場合と比較して曲げ強度、曲げ剛性、および捻り剛性のより高い単位フレームが得られる。
【0094】
4.
参考例4
以下、
単位フレームの参考例4について図面を用いて説明する。
図8(A)、
図8(B)、
図9(A)、および
図9(B)に示すように、
参考例4の単位フレーム4は、互いに平行に配列された4本のパイプ部材22と、4本のパイプ部材22の長さ方向に離間した状態で内側から保持する3個の保持部材34と、を備える。尚、4本のパイプ部材22のうち、
図8および
図9において手前側に位置するパイプ部材22については二点鎖線で示されている。
【0095】
パイプ部材22の材質、外径、肉厚については
参考例1のところで述べたとおりである。
【0096】
図8および
図9に示すように、保持部材34は、パイプ部材22の両端部と中央部とに合計3個配置されている。保持部材34は、
参考例3の保持部材30と同様に、全体として各パイプ状であり、保持部材34の各側壁面35には、パイプ部材22を保持するための三角形状の凹部36が形成されている。保持部材34の軸方向の長さはパイプ部材22よりも短い。なお、保持部材34の一辺の長さlについては
参考例3における保持部材30と同様である。
【0097】
保持部材34の材質としては、
参考例3の保持部材30と同様、軟鋼および汎用アルミニウム合金を挙げることができる。保持部材34の材質が軟鋼である場合には、パイプ部材22の材質は高張力鋼が好ましく、保持部材34の材質が汎用アルミニウム合金である場合には、パイプ部材22の材質は高強度構造用アルミニウム合金であることが好ましい。なお、保持部材34が軟鋼および汎用アルミニウム合金の何れの場合においても、パイプ部材22にCFRP管を用いることができる。
【0098】
図8(B)は、保持部材34に端板37を設けた例である。
図8(B)に示す例では、3個の保持部材34のうち、パイプ部材22の両端部を保持する保持部材34においては、パイプ部材22の中央部を保持する保持部材34に相対する側の端面に端板37が設けられ、パイプ部材22の中央部を保持する保持部材34においては両側の端面に端板37が設けられている。端板37の平面形状は保持部材34の断面形状と実質的に同一である。保持部材34に端板37を設けることにより、端板37がない場合と比較して保持部材34におけるパイプ部材22の径方向に沿った圧縮強度、および捻り剛性が高くなるから好ましい。なお、保持部材34と端板37の材質は同一であることが望ましい。
【0099】
パイプ部材22を保持部材34の凹部36に接合する方法としては、溶接および接着がある。また、
図9(A)および
図9(B)に示すように短冊状板材26による接合も可能である。
【0100】
参考例4の単位フレーム4においては、保持部材34は、パイプ部材22の全長に亘って設けられているのではなく、パイプ部材22の長さ方向に離間して3個設けられている。言い換えれば単位フレーム4は所謂中抜き構造とされている。したがって、
参考例3の単位フレームが有する特長に加え、更なる軽量化が可能であるという特長を有する。また、パイプ部材22に、熱に敏感な材質を用いた場合においても、第1パイプを保持部材34の凹部36に溶接する際の熱影響を少なくすることができる。
【0101】
5.
参考例5
以下、
単位フレームの参考例5について図面を用いて説明する。
図10に示すように、
参考例5の単位フレーム5は、互いに平行に配列された4本のパイプ部材22と、パイプ部材22を内側から保持する3個の保持部材40と、を備える。
【0102】
保持部材40は略正方形の平面形状を有するプレート状であって、各辺の中央部には、パイプ部材22が固定されるV字型の切込部42が形成されている。
【0103】
保持部材40の厚みは、通常のプレス打ち抜き加工で製造可能な範囲であれば特に制限は無いが、切込部42においてパイプ部材22との接触面積を確保する観点からは、2〜5mm程度が好ましい。
【0104】
保持部材40の材質としては、軟鋼および汎用アルミニウム合金が挙げられる。保持部材40に軟鋼を用いる場合には、パイプ部材22には高張力鋼が使用される。一方、保持部材40に汎用アルミニウム合金を用いる場合には、パイプ部材22には高強度構造用アルミニウム合金を使用できる。なお、保持部材40に軟鋼を用いる場合および汎用アルミニウム合金を用いる場合の何れにおいても、保持部材40とパイプ部材22との接合にはレーザ溶接やアーク溶接などの溶接が好ましく使用される。
【0105】
パイプ部材22の外径および肉厚については
参考例1のところで述べたとおりである。
【0106】
参考例5の単位フレーム5においては、保持部材40はプレート状であって通常のプレス打ち抜き加工で製造可能であるから、
参考例1〜4の単位フレームと比較して製造が容易である。
【0107】
また、単位フレーム5に要求される曲げ強度、曲げ剛性、および捻り剛性に対しては、パイプ部材22の材質、外径、および肉厚を適宜変更することにより、対応可能である。
【0108】
6.
参考例6
以下、
単位フレームの参考例6について図面を用いて説明する。
図11に示すように、
参考例6の単位フレーム6は、
参考例2の単位フレーム2において、予め実質的に同一方向に屈曲するように曲げ加工したパイプ部材22を、3個の保持部材28A、28B、および28Cで保持することにより、全体として所定の曲率半径で屈曲した形状としたものである。但し、
参考例2の単位フレーム2とは異なり、保持部材28A、B28、および28Cのパイプ部材22の軸方向の長さ、および保持部材28A、28B、および28Cを構成するパイプ部材25の外径、肉厚は同一である必要はなく、単位フレーム6の各部分の形状に応じて適宜設定できる。
【0109】
7、
参考例7
以下、本発明のフレーム構造体の一例について図面を用いて説明する。
図12に示すように、
参考例7に係るフレーム構造体7は、単位フレーム2Aと単位フレーム2Bとを接続部材50で接続した構成を有する。
【0110】
単位フレーム2Aおよび単位フレーム2Bは、
参考例2の単位フレーム2である。
【0111】
接続部材50は、
参考例2の単位フレーム2における保持部材28と同一の構成を有している。即ち、3本のパイプ部材25を3本束ねて固定した構成とされている。
【0112】
図12(A)に示すように、単位フレーム2Aおよび単位フレーム2Bの末端部から突出する3本のパイプ部材22を、接続部材50の隣り合う2個のパイプ部材25の間に挿入される。そして、
図12(B)に示すように、単位フレーム2Aの末端のパイプ部材22と単位フレーム2Bの末端のパイプ部材22とは接続部材50と溶接や接着などの手段によって接続される。
【0113】
フレーム構造体7においては、接続部材50によって単位フレーム2(2A、2B)を軸方向に連結することにより、種々の長さの部材を構成できる。
【0114】
また、接続部材50として単位フレーム2における保持部材28と同様の構成のものを使用しているから、保持部材28を接続部材50としても流用でき、部品の種類を削減できる。
【0115】
8、
参考例8
以下、
参考例8の単位フレームを車両のBピラーに用いた例について図面を用いて説明する。
図13(A)および
図13(B)において矢印FR,RE、R、L、UP、およびDNは、夫々車両前方、車両後方、車両右方、車両左方、車両上方、および車両下方を示す。これは、
図14以下の図面においても同様である。
【0116】
図13(A)および
図13(B)に示すように、
参考例8のフレーム8は全体として門型とされ、一対のBピラー80と、前記一対のBピラー80の上端に掛け渡されたルーフクロスメンバ81と、を有する。
【0117】
図13(A)に示すように、車両フレームの左右両側縁には、夫々車両前後方向に延在するサイドメンバが設けられている。
図13(A)〜
図13(C)に示すように、車両右方Rに位置するBピラー80は、下端において車両左方Lに屈曲し、車両右方Rのサイドメンバに結合されている。一方、車両左方Lに位置するBピラー80は、下端において車両右方Rに屈曲し、車両左方Lのサイドメンバに結合されている。また、車両右方RのBピラー80は、中央部において車両左方Lに向かって屈曲し、車両左方LのBピラー80は、中央部において車両右方Wに向かって屈曲している。
【0118】
図13(B)に示すように、Bピラー80は、夫々予めBピラー80の形状に合わせて曲げ加工をした3本のパイプ部材22を、5個の保持部材28A、28B、28C、28D,および28Eで保持して構成されている。ここで、保持部材28Aは、保持部材28A〜28Eのうち、最下方に位置する保持部材であり、保持部材28Eは、最上方に位置する保持部材である。保持部材28A〜28Eは夫々3個のパイプ部材25を円周方向に沿って120度の間隔で3本束ねて構成されている。但し、Bピラー80は下方から上方に向かって細くなる構成とされているから、保持部材28Aを構成するパイプ部材25の直径および長さが最も大きく、保持部材28B,28C,28Dの順でパイプ部材25の直径および長さが小さくなり、保持部材28Eを構成するパイプ部材25の直径および長さが最も小さい。パイプ部材22は、Bピラー80の頂部において120度の間隔で束ね合わされている。なお、パイプ部材22およびパイプ部材25の直径、肉厚、および材質等については、上述した事項を除いては
参考例1および2で述べたとおりである。
【0119】
図13(B)に示すように、ルーフクロスメンバ81は、Bピラー80を構成するパイプ部材22と同一の直径、肉厚、および材質を有するパイプ部材22を120度間隔で3本束ね合わせて構成されている。なお、
図13(C)に示すように、ルーフクロスメンバ81は、3本のパイプ部材22を保持部材28Fで保持したものであってもよい。保持部材28Fもまた、3個のパイプ部材25を円周方向に沿って120度の間隔で3本束ねて構成されている。保持部材28Fを構成するパイプ部材25は、保持部材28Eを構成するパイプ部材25と同一またはより小さい外径とすることができる。
【0120】
車両右方および車両左方のBピラー80を構成するパイプ部材22は、ルーフクロスメンバ81を構成するパイプ部材22に夫々結合されている。Bピラー80のパイプ部材をルーフクロスメンバ81のパイプ部材に結合する手段としては、溶接、鑞付け、および結合金具による結合が挙げられる。
【0121】
以上、別々に構成されたBピラー80とルーフクロスメンバ81とを接合してフレーム8を構成した例について述べたが、フレーム8においては、1対のBピラー80とルーフクロスメンバ81とを連続した3本のパイプ部材を用いて一体的に構成してもよい。
【0122】
9、
参考例9
以下、構成部材の一部を伸縮可能とした車両フレームの一例について説明する。
図14に示すように、
参考例9の車両フレーム100は、構成部材として、車両両側縁に沿って車両前後方向に延在する1対のサイドメンバ102と、一対のサイドメンバ102を車両前端側において車両幅方向に結合するクロスメンバ104と、サイドメンバ102を車両項端側において車両幅方向に結合するクロスメンバ106と、サイドメンバ102の車両前端側から車両上方UPに向かって伸びる1対のAピラー108と、サイドメンバ102の中央部から車両上方UPに向かって延びる一対のBピラー111と、サイドメンバ102の車両後端側から車両上方UPに向かって伸びる1対のCピラー112と、Bピラー111の上端に架け渡されたルーフクロスメンバ113と、を備える。1対の
Bピラー111のうち、車両右方Rに位置する
Bピラー111は、下端において車両左方Lに屈曲し、車両右方Rのサイドメンバ102および後述するサイドメンバ114に結合されている。一方、車両左方Lに位置する
Bピラー111は、下端において車両右方Rに屈曲し、車両左方Lのサイドメンバ102および114に結合されている。また、
車両右方Rの
Bピラー111は、中央部において車両左方Lに向かって屈曲し、車両左方Lの
Bピラー111は、中央部において車両右方Rに向かって屈曲している。Aピラー108の上端部は車両後方REに向かって、Cピラー112の上端部は車両前方FRに向かって屈曲してルーフサイドレールを構成するとともに、Bピラー111の頂部に結合されている。
【0123】
車両フレーム100においては、夫々のサイドメンバ102に沿って平行に、且つサイドメンバ102に対して車両内側に、サイドメンバ114が並行に設けられているが、サイドメンバ114は省略してもよい。
【0124】
夫々のサイドメンバ102の車両前方FWには、フロントサスペンションやエンジン等が取り付けられるフロントサイドメンバ116が設けられ、夫々のサイドメンバ102の車両後方REにはリアサスペンション等が取り付けられるリアサイドメンバ118が固定されている。フロントサイドメンバ116は前端部で車両内側に屈曲されてフロントクロスメンバ120とされ、リアクロスメンバ119は項端部で車両内側に屈曲されてリアクロスメンバ122とされている。したがって、フロントサイドメンバ116とフロントクロスメンバ120とは全体として一体的に構成され、全体としてU字型の構造体を構成している。同様に、リアサイドメンバ118とリアクロスメンバ122とは全体として一体的に構成され、全体としてU字型の構造体を構成している。
【0125】
車両フレーム100の構成部材であるサイドメンバ102、クロスメンバ104、クロスメンバ104、クロスメンバ106、Aピラー108、Bピラー111、Cピラー112、ルーフクロスメンバ113、サイドメンバ114、フロントサイドメンバ116、リアサイドメンバ118、フロントクロスメンバ120、およびリアクロスメンバ122は、単一のパイプ部材から構成されていてもよく、
参考例2〜6の単位フレーム2〜6または
参考例7のフレーム構造体7から構成されていてもよい。
【0126】
車両フレーム100の構成部材を単一のパイプ部材23から構成する場合においては、パイプ部材23の材質としては、パイプ部材22またはパイプ部材25の材質と同様の材質が使用できる。
【0127】
また、Bピラー111とルーフクロスメンバ113とは、何れも単位フレーム2から形成されていてもよく、また、Bピラー111が単位フレーム2から構成され、ルーフクロスメンバ113が単一のパイプ部材から構成されていてもよい。
【0128】
図14に示すように、車両幅方向に延在する構成部材であるクロスメンバ104、クロスメンバ106、フロントクロスメンバ120、リアクロスメンバ122、およびルーフクロスメンバ113には、車両の幅を増減させるための伸縮部Aが設けられている。一方、車両前後方向に延在する構成部材であるサイドメンバ102、サイドメンバ114、およびCピラー112上端から延在するルーフサイドレール部には、車両の全長を延長したり短縮したりするための伸縮部Bが設けられている。
【0129】
以下、伸縮部Aおよび伸縮部Bの構成について説明する。
車両フレーム100の各構成部材が単一のパイプ部材23から構成されている場合は、
図15に示すように、所定箇所においてパイプ部材23を切断し、パイプ部材23の内側を摺動できる外径を有する挿入パイプ部材23Cを、一方のパイプ部材23Aに固定するとともに、他方のパイプ部材23Bに対して摺動可能とすることにより、伸縮部Aおよび伸縮部Bを構成することができる。
図15(A)は、伸縮部A(伸縮部B)が伸長したところを、
図15(B)は、伸縮部が収縮したところを示す。なお、パイプ部材23Bの末端に割を入れ、クランプでパイプ部材23Bを締め付けることにより、挿入パイプ部材23Cをパイプ部材23Bに相対的に固定することができる。また、パイプ部材23Bと挿入パイプ部材23Cとに一定間隔で穴を穿設し、所定の位置の穴にピンを挿通してパイプ部材23Bと挿入パイプ部材23Cとを固定してもよい。
【0130】
また、伸縮部Aおよび伸縮部Bにおいては、
図16に示すように、パイプ部材23Aとパイプ部材23Bとの間に長さの異なるスペーサ23Dを挿入することにより、伸長、収縮させてもよい。スペーサ23Dは、パイプ部材23Aおよびパイプ部材23Bと同一の外径及び内径を有するパイプ状の部材であるスペーサ部材23Fと、スペーサ部材23Fの内側に挿通され、両端がスペーサ部材23Fから突出した状態で固定されているとともに、パイプ部材23Aおよびパイプ部材23Bの内側に挿入される挿入部23Eと、を備える。サイドメンバ102などの構造部材においては、伸縮部Aおよび伸縮部Bにおいて、
図16(A)に示すように、より長さの長いスペーサ部材23Fを有するスペーサ23Dを挿入することにより、パイプ部材23を伸長でき、
図16(B)に示すように、より長さの短いスペーサ部材23Fを有するスペーサ23Dを挿入することにより、パイプ部材23を短縮できる。
【0131】
10.実施形態1
一方、車両フレーム100の各構成部材がたとえば
参考例2の単位フレーム2から構成されている場合は、
図17に示すように、単位フレーム2の3本のパイプ部材22における保持部材28で保持された部分の間に伸縮部A(伸縮部B)を形成することができる。即ち、パイプ部材22を所定の位置で切断し、パイプ部材22の内側を摺動できる外径を有する挿入パイプ部材22Cを、一方のパイプ部材22Aに固定するとともに、他方のパイプ部材22Bに対して摺動可能とすることにより、伸縮部Aおよび伸縮部Bを構成することができる。なお、パイプ部材22Bの末端に割を入れ、クランプでパイプ部材22Bを締め付けることにより、挿入パイプ部材22Cをパイプ部材22Bに相対的に固定することができる。また、パイプ部材22Bと挿入パイプ部材22Cとに一定間隔で穴を穿設し、所定の位置の穴にピンを挿通してパイプ部材22Bと挿入パイプ部材22Cとを固定してもよい。
【0132】
また、車両フレーム100の構成部材が複数の単位フレーム2Aおよび単位フレーム2Bから構成されている場合においては、
図18に示すように、伸縮部A(伸縮部B)において、接続部材52によって、単位フレーム2Aの各パイプ部材22と、単位フレーム2Bの対応するパイプ部材22と、を接続することができる。接続部材52は、
図16に示すスペーサ23Dと同様に、パイプ部材22と同一の外径及び内径を有するパイプ状の部材であるスペーサ部材52Aと、スペーサ部材52Aの内側に挿通され、両端がスペーサ部材52Aから突出した状態で固定されているとともに、一方の端部が単位フレーム2Aのパイプ部材22に、他方の端部が単位フレーム2Bのパイプ部材22の内側に挿入される挿入部52Bと、を備える。サイドメンバ102などの構造部材においては、伸縮部A及び伸縮部Bにおいては、単位フレーム2Aおよび単位フレーム2Bを接続するのに、
図18(A)に示すように、より長さの長いスペーサ部材52Aを有する接続部材52を使用することにより伸長でき、
図18(B)に示すように、より長さの短いスペーサ部材52Aを有する接続部材52を使用することにより短縮できる。
【0133】
なお、
参考例9、及び実施形態1の車両フレーム100を有する車両においては、外被に伸縮性の材料を使用することにより、各構成部材を伸縮させることによる車両フレーム100の形態変化に外被が追随できるようにするか、または、複数の外被を用意しておき、車両フレーム100の形態が変化したときは、外被を対応する形態のものに交換可能とすることができる。
【0134】
11.実施形態2
以下、長尺筒状部材たるパイプ部材が保持部材に回転可能に保持されているとともに、パイプ部材が保持部材に対して回転することにより、形態を変化させることのできる単位フレームの一例について説明する。
【0135】
<構成>
図19および
図20に示すように、
実施形態2の単位フレーム10は、本発明の保持手段、特に回転保持手段としての回転保持装置68、回転保持部材70、回転保持装置72、回転保持部材74、および回転保持装置76と、回転保持装置68と回転保持部材70とで両端において回転可能に保持される3本のパイプ部材60と、回転保持部材70と回転保持装置72とで両端において回転可能に保持される3本のパイプ部材62と、回転保持装置72と回転保持部材74とで両端において回転可能に保持される3本のパイプ部材64と、回転保持部材74と回転保持装置76とで両端において回転可能に保持される3本のパイプ部材66と、を備える。ここで、回転保持装置68、72は、パイプ部材60、64を能動的に回転させることにより、後述するように単位フレーム10を
図19に示す屈曲状態から
図20に示す伸長状態に変化させる機能を有するが、回転保持部材70、74、および76は、パイプ部材60、62、64、66を能動的に回転させる機能は有さず、ただ回転可能に支持しているだけである。
【0136】
パイプ部材60、62、64、および66の材質としては、パイプ部材22と同様の材質が挙げられる。
【0137】
以下、回転保持装置68について説明する。
図19、
図20、および
図21に示すように、3本のパイプ部材60は回転保持装置68において、互いに等間隔に、且つ平行に保持される。
図21に示すように、回転保持装置68は、各パイプ部材60の一端に固定され、パイプ部材60の軸線60A上にはなく、且つ平行でもない回転軸69の周りに回転させる歯車68Aと、歯車68Aに噛合するとともに、歯車68Aよりも端数の多い歯車68Bと、歯車68Bを回転駆動させるステッピングモータ68Cと、を有する。
図21(B)は、回転保持装置68において、パイプ部材60が
図21(A)の状態から180度回転した状態を示す。
図21(B)において二点鎖線は
図21(A)におけるパイプ部材60の位置を示す。
【0138】
回転保持装置68において歯車68Aの回転軸69とパイプ部材60の軸線60Aとの成す角度αは、0度より大きく90度以下であれば特に制限はないが、好ましくは10度〜75度の範囲であり、より好ましくは20度〜60度の範囲であり、最も好ましくは25度〜45度の範囲である。
【0139】
次に、回転保持装置72について説明する。
図19、
図20、および
図22に示すように、3本のパイプ部材62および3本のパイプ部材64は、回転保持装置72において夫々互いに等間隔に、且つ平行に保持されている。
【0140】
回転保持装置72は、各パイプ部材64の端部に固定され、パイプ部材64をパイプ部材64の軸線64A上になく、且つ平行でもない回転軸73の周りに回転させる歯車72Aと、歯車72Aに噛合するとともに、歯車72Aよりも端数の多い歯車72Bと、歯車72Bを回転駆動させるステッピングモータ72Cと、を有する。
図22(B)は、回転保持装置72において、パイプ部材64が
図22(A)の状態から180度回転した状態を示す。
【0141】
図22(A)および
図22(B)から明らかなように、パイプ部材62は、回転保持装置72に対して回転しない状態で保持される。したがって、歯車72Aが回転すると、パイプ部材64は、パイプ部材62に対して相対回転する。パイプ部材62の軸線62Aもまた、回転軸73に対して並行ではなく、また回転軸73上にもない。パイプ部材62の軸線62Aと回転軸73との成す角θと、パイプ部材64の軸線64Aと回転軸73との成す角δとは、0度より大きく90度以下であれば特に制限はないが、好ましくは10度〜75度の範囲であり、より好ましくは20度〜60度の範囲であり、最も好ましくは25度〜45度の範囲である。なお、角度θと角度δとは等しくても異なっていてもよいが、単位フレーム10の設計上からは等しいことが好ましい。なお、回転保持装置68および回転保持装置72でパイプ部材60、64を回転させる手段は、パルスモータ68C、72Cには限定されず、例えば人力で回転させるものであってもよい。
【0142】
最後に、回転保持装置76について説明する。
図19、
図20、及び
図24に示すように、3本のパイプ部材66は、回転保持装置76において夫々互いに等間隔に、且つ平行に保持されている。
【0143】
回転保持装置76は、全体として回転保持装置68を
図19及び
図20における左右方向に逆転させた構成を有する。
図24に示すように、回転保持装置76は、各パイプ部材66の一端に固定され、パイプ部材66の軸線66A上にはなく、且つ平行でもない回転軸75の周りに回転させる歯車76Aと、歯車76Aに噛合するとともに、歯車76Aよりも端数の多い歯車76Bと、歯車76Bを回転駆動させるステッピングモータ76Cと、を有する。
【0144】
回転保持装置76において歯車76Aの回転軸75とパイプ部材66の軸線66Aとの成す角度は、0度より大きく90度以下であれば特に制限はないが、好ましくは10度〜75度の範囲であり、より好ましくは20度〜60度の範囲であり、最も好ましくは25度〜45度の範囲である。
【0145】
次に、回転保持部材70について説明する。
図19、
図20、および
図23に示すように、3本のパイプ部材60および3本のパイプ部材62は、回転保持部材70において夫々互いに等間隔に、且つ平行に保持されている。
【0146】
回転保持部材70は、パイプ部材60とパイプ部材62とを、パイプ部材60の軸線60Aおよびパイプ部材62の軸線62Aの何れとも並行ではない回転軸71の周りに回転可能に支承する3個の支承部70Aと、回転保持部材70の中心から外側に向かって延在するとともに円周方向に沿って等間隔に配置され、先端に
支承部70Aが固定されている腕状部材70Bと、を備える。したがって、回転保持部材70は、全体としてY字型構造体を形成する
【0147】
パイプ部材60とパイプ部材62とは、支承部70Aを挟んで互いに反対側に位置するとともに、互いに独立して回転軸71の周りに回転可能に支承されている。また、
パイプ部材60の軸線60Aと回転軸71との成す角θ’と、
パイプ部材62の軸線62Aと回転軸71との成す角δ’と、は0度より大きく90度以下であれば特に制限はないが、好ましくは10度〜75度の範囲であり、より好ましくは20度〜60度の範囲であり、最も好ましくは25度〜45度の範囲である。なお、角度θ’と角度δ’とは等しくても異なっていてもよいが、単位フレーム10の設計上からは等しいことが好ましい。
【0148】
なお、回転保持部材74も
回転保持部材70と同様の構成を有しているから、回転保持部材74については説明を省略する。
【0149】
<作用>
単位フレーム10において、
図25(A)に示すように、回転保持装置68、72において、パイプ部材60およびパイプ部材64を、
図19に示すジグザグ状に屈曲した状態から、矢印で示すように、回転保持装置76の側から見て反時計回り方向に回転させる。
【0150】
回転保持装置68、72、76において、パイプ部材60およびパイプ部材64を回転させると、それに伴ってパイプ部材62、66も回転保持部材70、74に対して回転、即ち自転するとともに、
図26(B)において矢印で示すように、単位フレーム10の骨格全体も回転保持装置68を中心として反時計回り方向に回転、即ち公転する。そして、単位フレーム10が180度公転すると、
図27(A)及び
図27(B)に示すように単位フレーム10は伸長状態に移行する。
【0151】
<効果>
単位フレーム10においては、回転保持装置68、72、76、および回転保持部材70、74は、パイプ部材60、62、64、66を円周方向に沿って3本ずつ等間隔に保持する。したがって、回転保持装置68、72、76および回転保持部材70および74はY字型構造体を見ることができるから、単位フレーム10は、
図25〜27に示すように、パイプ部材60、62、64、66がY字型構造体で支持された構造体でもある。
したがって、単位フレーム10、および単位フレーム10を複数接続したフレーム構造体は、回転保持装置68、72、76でパイプ部材60、64、66を回転させない限り、曲げ方向および圧縮方向に高い剛性を有する。
【0152】
12.実施形態3
以下、単位フレーム10を用いたフレーム構造体の一例について説明する。
【0153】
<構成>
図28に示すフレーム構造体11は、2個の単位フレーム10A、10Bを、パイプ部材66において回転保持装置78で接続した構成を有している。したがって、単位フレーム10A、10Bは、夫々回転保持装置76を回転保持装置78で置き換えた構成とされているとともに、単位フレーム10Aと単位フレーム10Bとは、回転保持装置78を介して
図28における左右対称に配置されている。
【0154】
図29に示すように、回転保持装置78は、単位フレーム10Aの3本のパイプ部材66と、単位フレーム10Bの3本のパイプ部材66と、パイプ部材66の軸線66Aになく、且つ軸線66Aと並行でもない回転軸77の周りに回転させる歯車78Aと、歯車78Aに噛合して歯車78Aを回転させる歯車78Bと、歯車78Bを回転させるステッピングモータ78Cと、を備える。
【0155】
単位フレーム10Aおよび単位フレーム10Bの構成は、回転保持装置78の部分を除いては
実施形態2のところで説明したとおりである。
【0156】
<作用>
フレーム構造体11において、単位フレーム10Aおよび単位フレーム10Bが
図28において実線で示すようにジグザグ状の屈曲状態から伸長状態に移行する手順について以下に説明する。
【0157】
図28において実線で示すように、回転保持装置68および回転保持装置72において夫々パイプ部材60、64を、単位フレーム10Aにおいては回転保持装置78からみて反時計回り方向に回転させ、単位フレーム10Bにおいては回転保持装置78からみて時計回り方向に回転させる。なお、回転保持装置78においても、回転保持装置72におけるパイプ部材64の回転と同調させてパイプ部材66を回転させる。
【0158】
これにより、
実施形態2のところで説明したように、単位フレーム10Aおよび単位フレーム10Bの何れも、
図28において一点鎖線で示す移行状態を経由して二点鎖線で示す伸長状態に移行する。
【0159】
しかしながら、単位フレーム10Aのパイプ部材66と単位フレーム10Bのパイプ部材66とは、回転保持装置78を挟んで逆V字型の相対位置関係が保持されるように回転保持装置78で支承されている。したがって、フレーム構造体11においては、単位フレーム10A、10Bが何れも屈曲状態にあるときは、
図28において実線で示すように、ジグザグ状に屈曲してはいるが、全体としては直線状に延在した形態である。これに対して、単位フレーム10A、10Bが何れも伸長状態にあるときは、
図28において二点鎖線で示すように、フレーム構造体11は回転保持装置78において逆V字型に屈曲した形態をとる。
【0160】
図30に、フレーム構造体11を
図14に示す車両フレーム100のCピラー112に適用した例を示す。
【0161】
フレーム構造体11において、単位フレーム10A、10Bの何れも屈曲状態としたときは、フレーム構造体11、言い換えればCピラー112は全体として直線状に延在した形態をとるから、
図30(A)に示すように、車両の誕生部が全体として車両後方REに向かって下方に傾斜する形態となる。したがって、
図30(A)に示す形態の車両は、クーペの形態となる。一方、フレーム構造体11において、単位フレーム10A、10Bの何れも伸長状態としたときは、フレーム構造体11、言い換えればCピラー112は中央部で逆V字型に屈曲した形態となるから、
図30(B)に示すように、
図30(A)の形態の車両と比較して天井部が上方に盛り上がった形態となる。したがって、
図30(B)に示す形態の車両は、セダンの形態となる。このように、フレーム構造体11からなるCピラー112を有する車両においては、Cピラー112の形態を変化させることにより、車両の形態も変化させることができる。