(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記離間位置の第2筐体は、上記第2カバーの上方において、上記廃インクタンクの高さより高い位置まで上記第2カバーから離間される請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
上記廃インクタンクは、線材によって環状に構成され且つ上記連結部に嵌着された上記チューブの外周面に取り付けられる環状部と、上記環状部を構成する上記線材の一端及び他端を交差させて構成された把持部とを有する締付部材を更に有しており、
上記締付部材は、上記環状部の内径寸法が上記チューブの外形寸法より小さい自然状態と、上記把持部を構成する上記線材の一端及び他端を互いに近づけることによって上記環状部を拡径させた拡径状態と、に状態変化可能に構成されている請求項6から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
上記締付部材は、上記環状部から上記チューブの先端に向けて延出され、且つその先端が上記環状部側に折り返されて上記チューブ内に挿入される係止部を更に有する請求項9に記載のインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複合機は、その背面を壁などに対面させた状態で設置されるのが一般的である。そのため、上記構成の複合機において廃液収容体を交換しようとすると、複合機の背面と壁との間に作業スペースを形成するために、複合機を移動させる必要がある。このとき、複合機の周辺に複合機を移動させるためのスペースをさらに形成する必要が生じたり、複合機に接続されたケーブル等を外す必要が生じたりし、廃液収容体の交換作業が煩雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃インクタンクを容易に交換可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、上方に開口された第1筐体と、上記第1筐体に設けられており、ノズルからインクを吐出することによってシートに画像を記録する記録部と、上記第1筐体の開口の一部を覆う第1カバーと、上記第1カバーに対して着脱可能に設けられており、上記第1筐体の開口のうちの上記第1カバーによって覆われていない領域を覆う第2カバーと、上記第1筐体の内部の上記第2カバーに対向する位置において上記第1筐体に着脱可能に支持されており、上記ノズルから排出された廃インクを貯留する廃インクタンクと、上記第1筐体の上方に配置されており、上記第1カバー及び上記第2カバーの上面に近接する近接位置と、上記第1カバー及び上記第2カバーから離間して上記第2カバーを露出させる離間位置とに移動可能に上記第1カバーによって支持された第2筐体とを備える。
【0008】
上記構成によれば、第2筐体を近接位置から離間位置に移動させ、第2カバーを外すだけで廃インクタンクを交換することができる。このように、インクジェット記録装置を移動させたり、ケーブルを着脱したりする必要がなくなるので、廃インクタンクの交換作業が容易になる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記記録部は、上記廃インクタンクから離間された位置において走査方向に往復動するキャリッジと、上記キャリッジに搭載されており、上記ノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドとを有している。そして、上記第1筐体は、上記キャリッジが往復動する範囲のうちのシートが通過しない位置において上記ノズル面を覆うキャップと、上記キャップに連通されて上記ノズルから廃インクを吸引する吸引機構と、上記吸引機構によって吸引された廃インクを流通可能に上記吸引機構と上記廃インクタンクとを接続するチューブと、上記吸引機構と上記廃インクタンクとの間の上記チューブの延設経路上に設けられており、上記チューブの上記廃インクタンクとの接続位置より下方において上記チューブに上方側から当接する当接部とを更に有する。
【0010】
上記構成によれば、廃インクタンクを第1筐体に対して上方に取り出す際に、チューブが必要以上に引き出されるのを防止できる。その結果、新しい廃インクタンクを取り付ける際に、チューブを第1筐体内に戻す手間を軽減できる。
【0011】
(3) さらに好ましくは、上記当接部は、上記延設経路上において、上記吸引機構より上記廃インクタンクに近い位置に設けられている。
【0012】
これにより、チューブが必要以上に引き出されるのを更に有効に防止できる。
【0013】
(4) 好ましくは、上記離間位置の第2筐体は、上記第2カバーの上方において、上記廃インクタンクの高さより高い位置まで上記第2カバーから離間される。
【0014】
上記構成によれば、廃インクタンクを傾けることなく第1筐体から上方に取り出せる。その結果、廃インクタンクを取り出しやすくなると共に、交換作業時に廃インクが漏れ出すのを防止できる。
【0015】
(5) 好ましくは、上記第2筐体は、上記第1筐体の上面を画定する第1辺側において、上記第1カバーによって回動可能に支持されている。そして、上記第1筐体は、上記第1辺及び上記第1辺に対向する第2辺の間において上記第1筐体及び上記第2筐体に連結されて、上記離間位置の上記第2筐体を支持する支持部材を更に有している。また、上記廃インクタンクは、上記支持部材の上記第1筐体との連結位置より上記第1筐体の第2辺側に配置されている。
【0016】
通常、ユーザは第2筐体の回動先端(すなわち、第1筐体の第2辺)側から第1筐体に手を入れて廃インクタンクを交換するので、廃インクタンクを支持部材より第2辺側に配置しておくことにより、交換作業時に支持部材が邪魔になることがない。
【0017】
(6) 好ましくは、上記第1筐体は、ケーブルが電気的に接続される端子を更に有している。そして、上記第2カバーの上面には、上記端子に接続されたケーブルを収容し且つ上記第1筐体の外部に案内する案内溝が形成されている。
【0018】
廃インクタンクの交換作業時に廃インクの漏出を完全に防止するのは極めて困難である。そこで上記構成のように、ケーブルを取り外さなければ第2カバーが外れないようにすることにより、ケーブルが汚染されるのを防止できる。
【0019】
(7) 一例として、上記廃インクタンクは、上記チューブの端部が嵌着可能で且つ嵌着された上記チューブを内部空間に連通させる連結部を有しており、且つ上方に開口された箱体と、上記箱体の内部空間に収容されており、上記連結部を通じて上記チューブから内部空間に流入した廃インクを吸収する吸収体とを有している。
【0020】
(8) 好ましくは、上記箱体は、上記第1筐体に載置され、且つ上記開口を構成する外縁部に上記第2カバーの下面に突設されたリブが当接されている。
【0021】
上記構成によれば、箱体の上下方向の移動が第1筐体及び第2カバーによって規制される。これにより、インクジェット記録装置の運搬時に箱体が傾いて廃インクが漏出するのを防止できる。
【0022】
(9) さらに好ましくは、上記開口を構成する外縁部は、各々が第1方向に延び且つ上記第1方向に交差する第2方向において互いに対向する第1縁部及び第2縁部を含む。上記第1縁部には、上記第1方向に離間した一対の第1突起が立設されている。上記第2縁部には、上記一対の第1突起と上記第1方向にずれた位置において上記第1方向に離間した一対の第2突起が立設されている。そして、上記第2カバーの下面には、上記第1方向に直交する面を有する板状の上記リブであって、上記一対の第1突起の間において上記第1縁部に当接される第1リブと、上記一対の第2突起の間において上記第2縁部に当接される第2リブとが突設されている。
【0023】
上記構成によれば、第1突起と第1リブとの係合及び第2突起と第2リブとの係合によって、箱体の第1方向の移動が規制される。さらに、第1突起と第2突起とを第1方向にずれた位置に設けたことにより、第1方向及び第2方向を含む平面上における箱体の回転が規制される。その結果、箱体の傾きを更に有効に防止できる。
【0024】
(10) 好ましくは、上記廃インクタンクは、線材によって環状に構成され且つ上記連結部に嵌着された上記チューブの外周面に取り付けられる環状部と、上記環状部を構成する上記線材の一端及び他端を交差させて構成された把持部とを有する締付部材を更に有している。そして、上記締付部材は、上記環状部の内径寸法が上記チューブの外形寸法より小さい自然状態と、上記把持部を構成する上記線材の一端及び他端を互いに近づけることによって上記環状部を拡径させた拡径状態と、に状態変化可能に構成されている。
【0025】
上記構成によれば、連結部に嵌着されたチューブが外側から締め付けられるので、チューブの先端からの廃インクの漏出を有効に防止できる。また、把持部を操作するだけで締め付けが解除されるので、廃インクタンクを容易に交換できる。
【0026】
(11) さらに好ましくは、上記締付部材は、上記環状部から上記チューブの先端に向けて延出され、且つその先端が上記環状部側に折り返されて上記チューブ内に挿入される係止部を更に有する。
【0027】
上記構成によれば、チューブの延出方向の廃インクタンクから離れる向きに締付部材がずれるのを防止できる。その結果、チューブの先端における廃インクの漏出を有効に防止できる。
【0028】
(12) 一例として、上記第2筐体は、シートに記録された画像を読み取る読取部を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第2筐体を近接位置から離間位置に移動させ、第2カバーを外すだけで廃インクタンクを容易に交換できるインクジェット記録装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、操作パネル13が設けられている側を手前側として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0032】
[複合機10の概略構成]
複合機10(本発明のインクジェット記録装置)は、プリンタ機能とスキャナ機能とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。複合機10は、
図1に示されるように、プリンタ筐体11と、プリンタ筐体11の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として概ね直方体の外形をなしている。また、複合機10の前面(より詳細には、プリンタ筐体11の前面)には、各種操作ボタン及び液晶表示部を備える操作パネル13が設けられている。プリンタ筐体11が本発明の第1筐体の一例であり、スキャナ筐体12が本発明の第2筐体の一例である。
【0033】
プリンタ筐体11は、記録用紙19(本発明のシートの一例、
図4参照)に画像を記録するプリンタ部14を備える。プリンタ部14は、給紙トレイ20から搬送された記録用紙19に画像を記録し、画像が記録された記録用紙19を排紙トレイ21に排出する。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、プリンタ筐体11の前面に設けられた開口を通じてプリンタ筐体11に着脱可能に取り付けられる。プリンタ部14の詳細は後述される。
【0034】
[スキャナ筐体12]
スキャナ筐体12は、画像読取部(FBS:Flat bed Scanner)16と、画像読取部16の上方に積層された原稿送り機構(ADF:Auto Document Feeder)17とを有し、プリンタ筐体11の上方において、プリンタ筐体11に対して移動可能に配置される。
【0035】
画像読取部16は、原稿が載置されるコンタクトガラス(不図示)と、コンタクトガラスの下方において往復動可能に設けられたCIS(Contact Image Sensor)ユニット(不図示)とを備える。CISユニットは、コンタクトガラス上に載置された原稿、或いは原稿送り機構17によって搬送された原稿に記録されている画像を読み取るイメージセンサ(不図示)を有している。
【0036】
原稿送り機構17は、画像読取部16の上面に設けられたコンタクトガラスに対向する近接位置(
図1参照)と、画像読取部16から離間してコンタクトガラスを露出させる離間位置(不図示)とに回動可能に画像読取部16によって支持されている。この原稿送り機構17は、原稿トレイ(不図示)の原稿をCISユニットの読取位置に搬送し、CISユニットによって画像が読み取られた原稿を排出トレイ(不図示)に排出する。
【0037】
図3に示されるように、プリンタ筐体11は上方が開口されており、当該開口の少なくとも一部が第1カバー30及び第2カバー31によって覆われる。また、プリンタ筐体11の内部には、プリンタ部14を構成する各構成要素、例えば、ガイドレール60、61、キャリッジ67、廃インクタンク80、及び端子51、52等が収容されている。
【0038】
一対のガイドレール60、61は、プリンタ筐体11の後方側において、フレーム(不図示)に支持されて各々が左右方向9に延設され、且つ前後方向8に離間されている。キャリッジ67は、ガイドレール60、61上に支持されており、ガイドレール60、61に沿って左右方向9(本発明の走査方向の一例)に往復動が可能である。廃インクタンク80は、プリンタ筐体11の右端で且つ前後方向8の中央の空間において、プリンタ筐体11に対して着脱可能に保持されている。すなわち、キャリッジ67は、廃インクタンク80から離間された位置において、左右方向9に往復動する。端子51、52は、プリンタ筐体11の前方側で且つ左右方向9の左側において、右を向いて(すなわち、第2カバー31の方を向いて)設けられている。
【0039】
プリンタ筐体11の上面は、第1カバー30によって覆われる。但し、第1カバー30は、プリンタ筐体11の上面の一部のみを覆っており、少なくとも廃インクタンク80の上方は開口されている。また、プリンタ筐体11の上面のうちの第1カバー30によって覆われていない領域、すなわち廃インクタンク80の上方の領域は、第2カバー31によって覆われる。また、第2カバー31は、第1カバー30に対して着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態における第1カバー30及び第2カバー31は、プリンタ筐体11の上面全体を覆っていない。より詳細には、プリンタ筐体11の前後方向8の後方側において左右方向9に延びる空間(記録用紙19が通過する空間)は、第1カバー30及び第2カバー31に覆われておらず、上方に開放されている。
【0040】
廃インクタンク80は、
図2に示されるように、プリンタ筐体11の内部において、第1カバー30によって覆われておらず、第2カバー31によって覆われた領域に配置されている。すなわち、第2カバー31を第1カバー30から取り外すことによって、廃インクタンク80は、プリンタ筐体11に上方から取り付け可能となり、且つプリンタ筐体11から上方に取り外し可能となる。一方、第2カバー31を第1カバー30に取り付けることによって、廃インクタンク80は、プリンタ筐体11に固定(位置決め)される。
【0041】
スキャナ筐体12の後端には、左右方向9の一方側端部及び他方側端部の2カ所に、ヒンジ部材18Aが設けられている。また、第1カバー30の後端には、ヒンジ部材18Aに対応する2カ所に、ヒンジ部材受入部18Bが設けられている。このヒンジ部材受入部18Bにヒンジ部材18Aが取り付けられることにより、スキャナ筐体12は、左右方向9に延びる回動軸周りに回動可能に第1カバー30によって支持される。
【0042】
より詳細には、スキャナ筐体12は、プリンタ筐体11(より詳細には、第1カバー30及び第2カバー31)の上面に近接した近接位置(
図1参照)と、プリンタ筐体11の上面から離間した離間位置(
図2参照)とに回動可能に構成されている。ここで、離間位置のスキャナ筐体12は、廃インクタンク80の上方(より詳細には、後述される第2カバー31の蓋部32の上方)において、廃インクタンク80の高さより高い位置まで第2カバー31から離間される。
【0043】
なお、本実施形態における近接位置とは、プリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とが対面し、且つ対面する2つの面の間に形成される空間に複合機10の外部からアクセスできない状態を指す。換言すれば、スキャナ筐体12を近接位置とすることにより、第2カバー31を第1カバー30から取り外すことができなくなる。
【0044】
本実施形態では、互いに対面するプリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とは、少なくともその一部において当接され、プリンタ筐体11がスキャナ筐体12を下方から支持している。本実施形態では、近接位置におけるプリンタ筐体11及びスキャナ筐体12は、その外縁部同士が当接されている。しかしながら、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とが外縁部の全周にわたって当接している必要は必ずしもない。すなわち、本実施形態における近接位置は、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間の空間に複合機10の外部からアクセスできない状態であればよく、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間に内部の空間にアクセスできない程度の小さな隙間が形成されることは許容される。
【0045】
一方、本実施形態における離間位置とは、近接位置において対面していたプリンタ筐体11の上面とスキャナ筐体12の下面とが離間され、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間に形成される空間に複合機10の外部からアクセス可能な状態を指す。換言すれば、スキャナ筐体12を離間位置とすることにより、第2カバーを第1カバーから取り外すことができる。本実施形態では、スキャナ筐体12が45°程度回動され、プリンタ筐体11から離間されている。これにより、ユーザは、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間の空間に、複合機10の前面側からアクセスしやすくなっている。
【0046】
また、
図2に示されるように、スキャナ筐体12が離間位置に回動された状態の複合機10の左端において、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12との間に支持部材62が配置されている。支持部材62は棒状の部材であって、その一端がプリンタ筐体11に連結され、他端がスキャナ筐体12に連結されている。この支持部材62は、離間位置のスキャナ筐体12をプリンタ筐体11に対して支持するものであり、スキャナ筐体12が離間位置から近接位置に自然に回動することを防止している。なお、支持部材62の位置は上記の例に限定されず、例えば複合機10の右端に配置されてもよい。
【0047】
なお、支持部材62は、廃インクタンク80が保持される空間よりも後端側において、プリンタ筐体11に連結されている。換言すれば、廃インクタンク80は、プリンタ筐体11と支持部材62との連結位置よりもプリンタ筐体11の前端側において、プリンタ筐体11に保持されている。プリンタ筐体11の上面の後端を画定する仮想的な辺が本発明の第1辺の一例であり、プリンタ筐体11の上面の前端を画定する仮想的な辺が本発明の第2辺の一例である。
【0048】
また、図示は省略するが、プリンタ筐体11は、プリンタ部14の動作を制御する制御部を備える。同様に、スキャナ筐体12は、画像読取部16及び原稿送り機構17の動作を制御する制御部を備える。プリンタ筐体11及びスキャナ筐体12に搭載された制御部は、基板と、基板に実装された電子部品とで構成される。また、プリンタ筐体11に搭載された制御部と、スキャナ筐体12に搭載された制御部とは、ケーブルによって電気的に接続されている。
【0049】
図4に示されるように、プリンタ筐体11の内部において、給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙19に圧接して回転することにより、積載された記録用紙19は、搬送路23に送り出される。
【0050】
搬送路23は、給紙トレイ20の後側の端部から上方且つプリンタ筐体11の前側へ曲がって、プリンタ筐体11の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出されている。搬送路23は、プリンタ筐体11の内部において、左右方向9の中央に形成されている。搬送路23には、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55が設けられている。搬送ローラ対54及び排出ローラ対55は、搬送路23上の記録用紙19を挟持して搬送向き15に搬送する。搬送路23は、搬送ローラ対54による挟持位置、記録部24の下側、及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙19は、搬送路23上を下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に到達し、記録部24によって画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
【0051】
記録部24は、搬送路23を搬送向き15へ搬送される記録用紙19に対して、画像を記録する。記録部24は、インクジェット方式で画像記録を行う。記録部24は、主として記録ヘッド65、及びキャリッジ67によって構成されている。また、搬送路23を挟んで記録部24に対向する位置(すなわち、搬送路23の下側)には、プラテン66が配置されている。プラテン66は、キャリッジ67が往復動する領域の全域(換言すれば、左右方向9における搬送路23の全域)にわたって延設されており、搬送路23を搬送される記録用紙19を下方から支持する。
【0052】
キャリッジ67は、搬送路23の上方に設けられている。キャリッジ67は、ベルト駆動機構(不図示)によって伝達されたキャリッジ駆動モータ(不図示)の回転駆動力によって、ガイドレール60、61に沿って左右方向9に往復動される。キャリッジ67には、記録ヘッド65が搭載されている。記録ヘッド65は、キャリッジ67の下面側に露出され、搬送路23を挟んでプラテン66と対向されている。キャリッジ67が左右方向9に往復動し、記録ヘッド65がプラテン66上の記録用紙19に対して選択的にインクを吐出することにより、記録用紙19に画像が記録される。
【0053】
図5(A)に示されるように、記録ヘッド65の下面68(本発明のノズル面の一例)には、複数のノズル69C、69M、69Y、69Bが形成されている。
図5(A)の例においては、ノズル69Cがシアン(C)のインクを吐出し、ノズル69Mがマゼンタ(M)のインクを吐出し、ノズル69Yがイエロー(Y)のインクを吐出し、ノズル69Bがブラック(Bk)のインクを吐出する。各色のインクに対応するノズル69C、69M、69Y、69Bは、それぞれ前後方向8に沿って複数配列されている。記録ヘッド65は、各ノズル69C、69M、69Y、69Bから記録用紙19に対してインクを選択的に吐出する。
【0054】
[パージ機構70]
図5(B)に示されるパージ機構70は、記録ヘッド65の移動経路の下方であって、プラテン66の右端よりも右側に配置されている。パージ機構70が配置された位置はパージ位置と呼ばれ、画像記録時に記録ヘッド65が往復動する範囲よりも右側に位置している。すなわち、パージ機構70は、キャリッジ67が往復動する範囲のうちの記録用紙19が通過しないパージ位置に配置されている。換言すれば、パージ機構70は、左右方向9において搬送路23から外れたパージ位置(すなわち、搬送路23の右側)に配置されている。なお、
図5(B)では、パージ機構70と廃インクタンク80とがチューブ76、77によって接続されていることを示すために、廃インクタンク80を模式的に図示しているが、廃インクタンク80と他の構成要素との位置関係を示すものではない。すなわち、
図5(B)は、キャリッジ67やパージ機構70の上方に廃インクタンク80が配置されていることを限定するものではない。
【0055】
パージ機構70は、可動部71と、可動部71を上下方向7へ移動させるカム機構72と、インクが流れる2本のチューブ76、77と、インクを吸引するポンプ73とを備えている。このパージ機構70は、記録ヘッド65のノズル69C、69M、69Y、69Bにインクを排出させ、排出されたインクをチューブ76、77を通じて廃インクタンク80に送り出すものである。以下、パージ機構70によってノズル69C、69M、69Y、69Bから排出されたインクは廃インクと表記され、記録用紙19に吐出されるインクと区別される。
【0056】
可動部71は、ゴム材料からなるキャップ74、75を備えている。キャップ74、75は、パージ位置において、記録ヘッド65の下面68と上下方向7に対面する位置に設けられている。カム機構72は、カム駆動モータ(不図示)により駆動され、可動部71を上下方向7へ移動させる。キャップ74、75は、可動部71が上方へ移動されることにより記録ヘッド65の下面68に当接する。その際、キャップ74がノズル69Bを覆い、キャップ75がノズル69C、69M、69Yを覆う。キャップ74、75には、チューブ76、77の一端がそれぞれ接続されている。チューブ76、77は、可撓性を有する樹脂チューブである。
【0057】
チューブ76、77の流路の途中にはポンプ73が設けられている。ポンプ73(本発明の吸引機構の一例)は、例えば、ポンプ駆動モータ(不図示)により駆動されるロータリ式のチューブポンプである。ポンプ73は、チューブ76、77を通じて記録ヘッド65の下面68とキャップ74、75との間の密閉空間に連通されている。キャップ74、75がノズル69C、69M、69Y、69Bを閉塞した状態においてポンプ73が駆動されると、キャップ74、75内が負圧となり、ノズル69C、69M、69Y、69B内のインクがキャップ74、75に排出される。ここで排出された廃インクは、チューブ76、77を通じて廃インクタンク80に流れ込む。
【0058】
また、チューブ76、77は、
図6に示されるように、パージ機構70からプリンタ筐体11の後方側に延出されており、更にプリンタ筐体11の右側面に沿って前方に延出されて、廃インクタンク80の連結部83、84に接続されている。また、プリンタ筐体11には、上述したチューブ76、77の延設経路上において、チューブ76、77に上方から当接する当接部63、64が設けられている。当接部63、64は、連結部83、84より下方においてチューブ76、77に当接する。本実施形態に係る当接部63は、上述したチューブ76、77の延設経路において、パージ機構70より廃インクタンク80に近い位置でチューブ76、77に当接する。一方、本実施形態に係る当接部64は、チューブ76、77の延設経路において、廃インクタンク80よりパージ機構70に近い位置でチューブ76、77に当接する。
【0059】
[廃インクタンク80]
廃インクタンク80は、
図7に示されるように、箱体81を有する。箱体81は、内部に空間を有する概ね直方体の箱状である。箱体81の内部空間には、インク吸収体82が収容される。また、箱体81の側面には、チューブ76、77が連結される連結部83、84が設けられている。すなわち、廃インクタンク80は、
図6に示されるように、連結部83、84が設けられた箱体81の側面をプリンタ筐体11の後方側に向けて取り付けられる。プリンタ筐体11は、廃インクタンク80の箱体81を少なくとも下方から支持している。 換言すれば、箱体81は、プリンタ筐体11に載置されている。
【0060】
箱体81の上面は、開口されている。箱体81の上面の開口を構成する縁部85、86、87、88のうち、各々が前後方向8に延び且つ左右方向9において互いに対向する縁部85、86には、それぞれ一対の突起89A、89Bが立設されている。一対の突起89A、89Bは、それぞれ縁部85、86において前後方向8に離間して設けられている。また、一対の突起89Aは、前後方向8における縁部85の前端側(すなわち、縁部87に近い側)に設けられている。これに対して、一対の突起89Bは、前後方向8における縁部86の概ね中央に設けられている。すなわち、一対の突起89A、89Bは、前後方向8においてずれた位置に設けられている。前後方向8が本発明の第1方向の一例であり、左右方向9が本発明の第2方向の一例である。
【0061】
インク吸収体82は、開口された箱体81の上面から内部空間に対して出し入れされる。インク吸収体82は、例えば、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなる。連結部83、84を通じてチューブ76、77から箱体81の内部空間に流入した廃インクは、多孔材料で形成されたインク吸収体82の孔に進入することによって吸収される。また、廃インクの水分は、開口された箱体81の上面から蒸発する。なお、縁部85には、縁部86に向けて突出し且つ前後方向8に延設された板状の庇部90が設けられている。庇部90は、箱体81の上面における縁部85、86の間隔を、箱体81の内部(換言すれば、インク吸収体82の幅)より狭くしている。これにより、箱体81に挿入されたインク吸収体82の脱落が防止される。
【0062】
連結部83、84は、箱体81の側面に突設されており、箱体81の内部空間と箱体81の外部とを連通させる貫通孔(不図示)が内部に設けられている。すなわち、チューブ76、77が連結部83、84の外周面に嵌着されることにより、チューブ76、77と箱体81の内部空間とが連通される。これにより、チューブ76、77を通じてパージ機構70から廃インクが箱体81の内部に流入可能となる。また、連結部83、84の外形寸法はチューブ76、77の内径寸法より小さい。これにより、チューブ76、77を容易に連結部83、84に取り付けることができる。さらに、連結部83、84に嵌着されたチューブ76、77の先端には、
図7に示されるように、締付部材91が取り付けられる。なお、
図7では、チューブ76及びチューブ76に取り付けられる締付部材91の図示は省略されている。また、締付部材91の詳細は後述される。
【0063】
[第2カバー31]
図8に示されるように、第2カバー31は、上下方向7が左右方向9及び前後方向8よりも短い板状部材である。第2カバー31は、上方から平面視した場合において、概ね矩形の蓋部32と、左右方向9と比較して前後方向8に長い案内部33とを含む。蓋部32は、案内部34の前方側から左方に延設されている。換言すれば、案内部34は、蓋部32の右端において前後方向8に延設されている。また、蓋部32と案内部33とは一体に形成されている。蓋部32と案内部33とは、第1カバー30に嵌りこむ嵌り込み部37、38をそれぞれ有する。蓋部32の嵌り込み部37は、蓋部32の左端に設けられている。また、案内部33の嵌り込み部38は、案内部33の前端の1カ所と右端の2カ所とに設けられている。
【0064】
嵌り込み部37、38が第1カバー30に嵌め込まれることによって、第2カバー31が第1カバー30に取り付けられる。これにより、廃インクタンク80の上方が第2カバー31によって覆われ、廃インクタンク80がプリンタ筐体11の内部に保持される。また、嵌り込み部37、38の嵌め込みを解除することによって、第1カバー30がプリンタ筐体11に取り付けられた状態のまま、第2カバー31を第1カバー30から取り外すことができる。これにより、廃インクタンク80の上方が開放され、第1カバー30がプリンタ筐体11に取り付けられた状態のまま、廃インクタンク80をプリンタ筐体11に対して着脱できる。
【0065】
第2カバー31が第1カバー30に取り付けられた状態において、蓋部32は、廃インクタンク80の上面に対面する位置に配置される。蓋部32の上面のうちのインク吸収体81に対向する部分は、下方にへこんでいる。換言すれば、蓋部32の下面のうちのインク吸収体81に対向する部分は、下方に突出している。案内部33の上面には、端子51、52に接続されたケーブルを収容し且つプリンタ筐体11の外部へ案内する案内溝34が形成されている。より詳細には、端子51、52に接続されたケーブル57、58は、案内溝34の前端に左方から進入し、後方に屈曲されてプリンタ筐体11の後端(ヒンジ部材18Aの近傍)から外部に延出される。
【0066】
案内溝34は、第2カバー31の最上端よりも下方に凹んだ溝形状となっており、左右方向9に沿って延びた第1溝34Aと前後方向8に沿って延びた第2溝34Bとで構成されている。第1溝34Aは左端が開放されており、第1カバー31に設けられたケーブルの案内溝(不図示)と接続されている。第1溝34Aの右端は第2溝34Bの前端と接続されており、この接続箇所において案内溝34は屈曲している。第2溝34Bは後端が開放されており、プリンタ筐体11の後端まで延びている。なお、本実施形態における第2溝34Bは、案内部33に設けられた底壁及び一方の側壁と、第1カバー30に設けられた他方の側壁とによって構成される。また、案内部33は省略可能である。
【0067】
また、
図9に示されるように、第2カバー31の蓋部32の下面であって廃インクタンク80と対向する面には、リブ35、36が突設されている。リブ35、36は板状の部材であって、前後方向8に直交する面(すなわち、左右方向9に延設された面)を有している。第2カバー31が第1カバー30に取り付けられると、リブ35は一対の突起89Aの間において縁部85に当接され、リブ36は一対の突起89Bの間において縁部86に当接される。図示は省略するが、庇部90に代えて、インク吸収体82の上面に当接するリブを更に第2カバー31の下面に設けてもよい。
【0068】
[締付部材91]
締付部材91は、
図10に示されるように、針金(本発明の線材の一例)等を屈曲させて形成されている。締付部材91は、環状部92と、把持部93と、係止部94とを備えており、連結部84に嵌着されたチューブ77の外周面に取り付けられる。環状部92は、リング状に形成されている。把持部93は、環状部92の一方側から延出された針金の一端及び他端を交差させて構成されている。係止部94は、環状部92の他方側をチューブ77の先端(連結部84に嵌着される側の端部)に向けて延出させ且つ先端を環状部92側に折り返して構成されている。
【0069】
図10(A)及び
図10(B)は、環状部92の内径寸法が連結部84に嵌着されたチューブ77の外形寸法より小さい状態を示している。
図10(A)及び
図10(B)に示される環状部92の状態は、自然状態と表記される。すなわち、チューブ77の外周面に取り付けられた自然状態の環状部92は、
図10(C)に示されるように、チューブ77を縮径させる向きに圧縮する。また、自然状態における環状部92の内径寸法は、連結部84の外径寸法より若干小さい。但し、連結部84は、例えば箱体81と同じ樹脂で形成されており、締付部材91が取り付けられたとしても内部の貫通孔が閉塞されることはないように構成されている。その結果、締付部材91が取り付けられたチューブ77は、連結部84の外周面に密着され、連通部84を通じて箱体81の内部空間に連通される。
【0070】
把持部93は、締付部材91をチューブ77に着脱させる際に、ユーザによって把持される部分である。把持部93を構成する一対の端部を互いに近づける方向に移動させると、環状部92が拡径する。環状部92のこの状態は、拡径状態と表記される。すなわち、把持部93は、環状部92の内径寸法がチューブ77の外形寸法より小さい自然状態と、環状部92の内径寸法がチューブ77の外形寸法より大きい拡径状態とに、環状部92を姿勢変化させる。
【0071】
係止部94は、締付部材91を構成する針金を概ねU字形状に屈曲させた部分である。より詳細には、
図10(C)に示されるように、係止部94を構成する各部のうち、環状部92からチューブ77の先端に向かう部分がチューブ77の外面に沿って延設され、屈曲部分の内側がチューブ77の開口を構成する外周縁(すなわち、チューブ77の先端)に当接され、屈曲部分から環状部92に向かう部分がチューブ77の内面に沿って延設されている。この係止部94によって、チューブ77の延設方向における締付部材91の位置決めがなされる。なお、環状部92に向かって折り返された係止部94の先端は、環状部92から離間している。すなわち、締付部材91をチューブ77に取り付けた状態において、チューブ77の内側に配置される係止部94は、環状部92による締付位置よりチューブ77の先端側に位置する。
【0072】
上記構成の締付部材91は、例えば、以下のような手順でチューブ77に取り付けられる。まず、拡径状態にされた環状部92に、係止部94と反対側からチューブ77が挿入される。なお、チューブ77は、その先端が係止部94の屈曲部分の内側に当接する位置まで挿入される。次に、環状部92を拡径状態に維持してチューブ77を連結部84に嵌着する。最後に、把持部93に加えた力を除去して環状部92を拡径状態から自然状態に状態変化させることにより、チューブ77が連結部84に密着される。
【0073】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、スキャナ筐体12を近接位置から離間位置に回動させ、且つ第2カバー31を外すだけで廃インクタンク80を交換できる。これに対して、例えば廃インクタンク80が第1カバー30で覆われている場合、プリンタ筐体11とスキャナ筐体12とを接続するケーブルを取り外し、スキャナ筐体12を第1カバー30から取り外し、更に第1カバー30をプリンタ筐体11から取り外して初めて、廃インクタンク80を交換できる。このように、本実施形態によれば、複合機10を移動させたり、ケーブルを着脱したりする必要がなくなるので、廃インクタンク80の交換作業が容易になる。
【0074】
また、本実施形態のように、プリンタ筐体11の後端側においてスキャナ筐体12が回動可能に支持されている複合機10において、ユーザはスキャナ筐体12の回動先端(すなわち、複合機10の前端)側からプリンタ筐体11に手を入れて廃インクタンク80を交換するのが一般的である。そこで、廃インクタンク80を支持部材62よりプリンタ筐体11の前方に配置しておくことにより、交換作業時に支持部材62が邪魔になることがない。
【0075】
また、本実施形態によれば、スキャナ筐体12を離間位置に回動させることにより、廃インクタンク80の上方に廃インクタンクの高さ以上の空間が形成される。これにより、廃インクタンク80を傾けることなく、プリンタ筐体11から上方に取り出せる。その結果、廃インクタンク80が取り出しやすくなると共に、開口された箱体81の上面から廃インクが漏出するのを防止できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、当接部63、64をチューブ76、77に上方側から当接させることにより、廃インクタンク80を上方に取り出す際に、チューブ76、77が必要以上に引き出されるのを防止できる。その結果、新しい廃インクタンク80を取り付ける際に、チューブ76、77をプリンタ筐体11内に戻す手間を軽減できる。また、廃インクタンク80の連結部83、84より下方において当接部63、64をチューブ76、77に当接させることにより、廃インクタンク80を取り出した際にチューブ76、77の先端が上を向く。その結果、チューブ76、77内に残った廃インクが漏出するのを抑制できる。なお、当接部63と当接部64とでは、廃インクタンク80に近い位置に配置されている当接部63の方が、上述の効果に大きく寄与する。
【0077】
また、本実施形態によれば、締付部材91によってチューブ76、77が連結部83、84の外周面に密着されるので、複合機10の使用時、或いは複合機10の移動時において、チューブ76、77と廃インクタンク80との連結部分から廃インクが漏出するのを防止できる。また、チューブ76、77が連結部83、84から取り外されたとしても、締付部材91は、チューブ76、77の外周面に留まってチューブ76、77を閉塞させる。その結果、廃インクタンク80を交換する際、或いはチューブ76、77が連結部83、84から意図せず脱落したとしても、チューブ76、77に残った廃インクの漏出を抑制できる。
【0078】
但し、廃インクタンク80の交換時における廃インクの漏出を完全に防止することは極めて困難である。そこで本実施形態では、端子51、52に接続されたケーブル57、58を第2カバー31の上面の案内溝34で敢えて保持している。これにより、ケーブル57、58を取り除かなければ第2カバー31を取り外せなくなるので、廃インクタンク80の交換時に漏出した廃インクによってケーブル57、58が汚染されるのを防止できる。なお、ケーブル57、58の種類は特に限定されないが、例えば、LANケーブルやモジュラーケーブル等である。
【0079】
本実施形態によれば、プリンタ筐体11及び第2カバー31によって廃インクタンク80(詳細には、箱体81)が位置決めされる。すなわち、プリンタ筐体11に載置されることにより、箱体81の下方への移動が規制される。また、第2カバー31のリブ35、36に当接されることにより、箱体81の上方への移動が規制される。また、リブ35、36が一対の突起89A、89Bの間に配置されることにより、箱体81の前後方向8への移動が規制される。さらに、一対の突起89A、89Bを前後方向8にずらして設けることにより、水平面上における箱体81の回転が規制される。これにより、複合機10の運搬時等に箱体81が傾いて廃インクが漏出するのを防止できる。
【0080】
[変形例]
本実施形態では、スキャナ筐体12の回動軸をプリンタ筐体11の後端において左右方向9に延設した例を説明したが、本発明はこれに限定されず、任意の位置に回動軸を設定することができる。また、プリンタ筐体11に対してスキャナ筐体12が回動可能であることに限定されず、例えば、プリンタ筐体11に対してスキャナ筐体12が上下方向7に平行移動可能であってもよいし、プリンタ筐体11に対してスキャナ筐体12が前後方向8或いは左右方向9にスライド可能であってもよい。すなわち、第2カバー31を覆う位置(近接位置)と、第2カバー31を露出させる位置(離間位置)とに、スキャナ筐体12をプリンタ筐体11に対して移動させることができる構成であればよい。
【0081】
また、本実施形態では、廃インクタンク80がパージ機構70に接続されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、キャリッジ67の移動範囲内において記録ヘッド65の下面に68に対面する位置に設けられており、ノズル69C、69M、69Y、69Bから空吐出された廃インクを貯留する廃インクタンクにも本発明は適用できる。なお、ノズル69C、69M、69Y、69Bにインクを空吐出させる動作は、フラッシング動作と称される。
【0082】
また、本実施形態では、箱体81の互いに対向する縁部85、86それぞれに一対の突起89A、89Bが形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、互いに交差する方向に延びる2つの縁部に一対の突起が設けられてもよい。一例として、縁部85に前後方向8に離間した一対の突起89Aが設けられ、縁部85と交差する方向に延びる縁部87に左右方向9に離間した一対の突起(不図示)が設けられていてもよい。
【0083】
さらに、本実施形態では、第2筐体として、画像読取部16及び原稿送り機構17を備えるスキャナ筐体12の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。第2筐体は、例えば、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって外部装置からデータを受信するデータ受信部等であってもよい。